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Specification :(In Japanese)擬似体内音声生成装置、擬似体内音声提供システム

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4482624
Publication number P2006-139096A
Date of registration Apr 2, 2010
Date of issue Jun 16, 2010
Date of publication of application Jun 1, 2006
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)擬似体内音声生成装置、擬似体内音声提供システム
IPC (International Patent Classification) G10L  21/04        (2006.01)
FI (File Index) G10L 21/04 120D
G10L 21/04 200Z
Number of claims or invention 13
Total pages 11
Application Number P2004-329019
Date of filing Nov 12, 2004
Date of request for substantive examination Jul 27, 2006
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】志村 洋子
【氏名】中村 豊彦
【氏名】甲斐 正夫
Representative (In Japanese)【識別番号】100112689、【弁理士】、【氏名又は名称】佐原 雅史
Examiner (In Japanese)【審査官】毛利 太郎
Document or reference (In Japanese)特開平09-140702(JP,A)
特開平04-057097(JP,A)
特開昭62-065088(JP,A)
特開平09-036685(JP,A)
特開2002-107807(JP,A)
特開2003-015677(JP,A)
特開平05-083087(JP,A)
特開平09-200042(JP,A)
特開昭61-048314(JP,A)
特開平09-191984(JP,A)
特開2003-202880(JP,A)
特開2002-229600(JP,A)
特開2001-038061(JP,A)
特開2002-229577(JP,A)
Field of search G10L 21/00-21/06
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
所定の第1周波数以下の音声を減衰させる第1減衰制御部と、
第1周波数よりも大きな第2周波数以上の音声を減衰させる第2減衰制御部と、
第1周波数と第2周波数の間にある第3周波数帯域の音声を減衰させる第3減衰制御部と、
前記音声を、相対位相差を付加しながら複数回に亘って重ね合わせる位相制御部と、
を備えることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項2】
請求項1において、更に、
前記第1周波数と前記第2周波数の間のであって、前記第3周波数帯域よりも大きな周波数となる第4周波数帯域の音声を減衰させる第4減衰制御部と、
を備えることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第3減衰制御部における減衰率が、前記第1及び第2減衰制御部の減衰率よりも小さく設定されていることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3のいずれかにおいて、
第1減衰制御部における前記第1周波数が0.3kHz以下に設定されており、更に、前記第2減衰制御部における前記第2周波数が2kHz以上に設定されていることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
第1減衰制御部における前記第1周波数が0.1kHz以下に設定されており、更に、前記第2減衰制御部における前記第2周波数が3kHz以上に設定されていることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記第3減衰制御部が、少なくとも0.2kHzから0.8kHzの周波数帯域の音声を減衰させることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記位相制御部が、0.2msから0.8msの範囲内で音声を遅延させて相対位相差を付加することを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記位相制御部が、0.3msから0.4msの範囲内で音声を遅延させて相対位相差を付加することを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記位相制御部が、少なくとも5回以上、音声を重ね合わせるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記位相制御部が、少なくとも8回以上、音声を重ね合わせるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、更に、
音声にピンクノイズを付加するノイズ付加制御部を備えるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、更に、
音声に心音を付加する心音付加部を備えるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【請求項13】
サーバによって通信回線を介して人間の音声を受信し、該音声を変換することで擬似体内音声を生成して配信する擬似体内音声提供システムであって、
前記サーバが、
前記通信回線を経て前記人間の音声を受信する音声受信部と、
前記音声受信部によって受信された音声を擬似体内音声に変換する請求項1乃至12のいずれかに記載の擬似体内音声生成装置と、
前記擬似体内音声生成装置によって生成された音声を前記通信回線を介して所定の場所に配信する音声配信部と、
を備えることを特徴とする擬似体内音声提供システム。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、体外の音声を、体内の音声に変換・生成するための擬似体内音声生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新生児が集団で管理されているような病院内では、新生児の一人が泣き出すと、他の新生児も泣き出すという「泣きの伝播現象」が頻繁に発生する。それを解消するために、例えば、心臓の音或いはそれに類する音が記録された「心音CD(コンパクトディスク)」や「心音発声ぬいぐるみ」が経験的に利用されるなど、病院では新生児を泣き止ませるための数々の試みが実施されている。母胎内の胎児は、常に心音を聞いていることから、生まれた後の新生児に心音を聞かせると、心が落ち着いて泣き止むことが多い。
【0003】
また、胎児には母親や父親の声も聞こえている。特に、母親の日常の会話は胎児の聴覚を常に刺激していることになる。従って、心音だけでは、必ずしも胎内の音環境を再現しているとはいえない。そこで、母親や父親の音声を変換し、胎内で胎児が聞こえている音に近づけてから、新生児に聞かせる音声変換装置なる試みがなされている。

【特許文献1】特開2000-259199
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が鋭意研究を重ねた結果、従来の音声変換装置の手法はある程度の効果が得られるものの、胎内の音環境を正確に再現できていないという問題があった。特に、出生体重2500グラム未満となるような低出生体重児は、生まれた後の泣きむずかりなどに対して、人の発達に重要な精神面ケアが必要になってくると考えられるが、そのためには、胎内に極めて近い音環境の中で、安眠効果等を提供しながら精神的支援を充実させていかなければならない。現在、低出生体重児は長期間に亘って保育器内で管理され、生命維持目的の医療行為が中心となるため、胎内で過ごす時間が不足しているにも関わらず、その時間を体外で補うことが出来ていない。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、母親等の声を高精度で胎内音声に近づけることで、新生児の精神的なケアを充実させ、発育を支援することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
【0007】
(1)所定の第1周波数以下の音声を減衰させる第1減衰制御部と、第1周波数よりも大きな第2周波数以上の音声を減衰させる第2減衰制御部と、第1周波数と第2周波数の間にある第3周波数帯域の音声を減衰させる第3減衰制御部と、前記音声を、相対位相差を付加しながら複数回に亘って重ね合わせる位相制御部と、を備えることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0008】
(2)上記(1)において、更に、前記第1周波数と前記第2周波数の間のであって、前記第3周波数帯域よりも大きな周波数となる第4周波数帯域の音声を減衰させる第4減衰制御部と、を備えることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)において、
前記第3減衰制御部における減衰率が、前記第1及び第2減衰制御部の減衰率よりも小さく設定されていることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0010】
(4)上記(1)、(2)又は(3)のいずれかにおいて、第1減衰制御部における前記第1周波数が0.3kHz以下に設定されており、更に、前記第2減衰制御部における前記第2周波数が2kHz以上に設定されていることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0011】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、第1減衰制御部における前記第1周波数が0.1kHz以下に設定されており、更に、前記第2減衰制御部における前記第2周波数が3kHz以上に設定されていることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0012】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記第3減衰制御部が、少なくとも0.2kHzから0.8kHzの周波数帯域の音声を減衰させることを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0014】
7上記(1)乃至(6)のいずれかにおいて、前記位相制御部が、0.2msから0.8msの範囲内で音声を遅延させて相対位相差を付加することを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0015】
8上記(1)乃至(7)のいずれかにおいて、前記位相制御部が、0.3msから0.4msの範囲内で音声を遅延させて相対位相差を付加することを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0016】
9上記(1)乃至(8)のいずれかにおいて、前記位相制御部が、少なくとも5回以上、音声を重ね合わせるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0017】
10上記(1)乃至(9)のいずれかにおいて、前記位相制御部が、少なくとも8回以上、音声を重ね合わせるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0021】
11)上記(1)乃至(10)のいずれかにおいて、更に、音声にピンクノイズを付加するノイズ付加制御部を備えるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0022】
12)上記(1)乃至(11)のいずれかにおいて、更に、音声に心音を付加する心音付加部を備えるようにしたことを特徴とする擬似体内音声生成装置。
【0023】
13)サーバによって通信回線を介して人間の音声を受信し、該音声を変換することで擬似体内音声を生成して配信する擬似体内音声提供システムであって、前記サーバが、前記通信回線を経て前記人間の音声を受信する音声受信部と、前記音声受信部によって受信された音声を擬似体内音声に変換する上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の擬似体内音声生成装置と、前記擬似体内音声生成装置によって生成された音声を前記通信回線を介して所定の場所に配信する音声配信部と、を備えることを特徴とする擬似体内音声提供システム。


【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、極めて高精度に体内音環境を再現することが出来、新生児に対して精神的に安定できる環境を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の最良の形態の例について詳細に説明する。
【0026】
図1には、本実施形態に係る擬似体内音声提供システム1の全体構成が示されている。擬似体内音声提供システム1は、各家庭に設置されるPC(パーソナルコンピュータ)2、このPC2が無線又は有線通信回線を介して接続されるプロバイダ4、プロバイダ4が接続される公衆通信回線網(ここではインターネット網)6、同インターネット網6に接続されるWEBサーバ8、及び病院内システム10を備える。
【0027】
PC2では、マイクロフォン等を利用して母親又は父親の声を取込み、その音声をWAVEファイル形式でメモリやHDD(ハードディスク)等の記録媒体に保存する。更に、PC2に備えられる情報通信処理部を利用して、プロバイダ4及びインターネット網6を介してWEBサーバ8に同WAVEファイルを送信する。
【0028】
図2に拡大して示されるように、WEBサーバ8は、音声が含まれるWAVEファイルを受信する音声受信部80と、このWAVEファイルを加工して、受信音声を擬似体内音声に変換する擬似体内音声生成装置90と、擬似体内音声生成装置90によって生成された擬似体内音声を、インターネット網6を介して病院内システム10に送信する音声配信部82とを備えている。病院内システム10への音声配信は、PC2による母親からの配信指令を待って実行されるようになっている。また、生成された音声は、WEBサーバ8のデータベースに蓄積されており、繰りかえし利用できるようになっている。なお、これらの機能は、所定のプログラムが格納されるメモリやHDD等の記録媒体、インターネットと接続するための所定のハードウエア、前記プログラムを実行するための中央演算装置(CPU)等によって実現される。更に、このWEBサーバ8のデータベースには、病院内における新生児の管理IDやパスワード等が予め格納されており、PC2から入力された管理IDとパスワードによって、配信先となる新生児を特定できるようになっている。
【0029】
病院内システム10は、インターネット網6に接続されるルータ12、ルータ12に院内LANを介して接続される小型PC14、各小型PC14に接続される専用スピーカ16及びCCDカメラ18等を備える。なお、専用スピーカ16とCCDカメラ18は、各保育器に設置されている。
【0030】
小型PC14は、WEBサーバ8の音声配信部82から配信された擬似体内音声を受信し、専用スピーカ16によって新生児にその音声を伝えると共に、CCDカメラ18の映像を家庭に設置されるPC2に配信する。この映像配信はWEBサーバ8から配信される専用ホームページを介して実現される。具体的に専用ホームページは、親毎に提供される管理IDとパスワードで保護されており、そこには、予め変換されてデータベースに格納されている擬似体内音声が複数種類登録されている。その中で新生児に配信したい音声を選択して、再生指示ボタンを押すと、管理IDに対応する小型PC14に接続される専用スピーカ16からその音声が出力される。同時に、この専用ホームページには、CCDカメラ18によって撮影された静止映像が表示される。専用ホームページ上の更新ボタンを押せば、最新の静止映像が受信できるようになっており、配信した音声による新生児の反応を確認することが出来る。もちろん、リアルタイムの動画を提供するようにしても構わない。
【0031】
次に図3を参照して、擬似体内音声生成装置90について具体的に説明する。
【0032】
擬似体内音声生成装置90は、第1フィルタ部92、第2フィルタ部94、第3フィルタ部96、位相制御部98、ピンクノイズ付加部100、心音付加部102を備える。第1~第3フィルタ部92、94、96は、音声を周波数に応じてフィルタリングして減衰させる。第1フィルタ92は、バンドパスフィルタであって、下限周波数300Hzから上限周波数2000Hzとなる範囲内の音声をパスし、それ以外の範囲を減衰される。好ましくは、図4及び図5(A)に示されるように、下限周波数100Hzから上限周波数3000Hzの範囲内の音声をパスし、それ以外の範囲に関して-20dB減衰させるようにする。この第1フィルタ部92を本発明に対応させるとすれば、下限周波数300Hz又は100Hzが第1周波数に相当すると共に、上限周波数2000Hz又は3000Hzが第2周波数に相当し、この第1フィルタ部92が、第1周波数以下の音声を減衰させる第1減衰制御部及び第2周波数以上の音声を減衰させる第2減衰制御部の双方に対応していることになる。
【0033】
第2フィルタ部94はバンドストップフィルタであって、図4及び図5(B)に示されるように、下限周波数200Hzから上限周波数800Hzまでの帯域の音声を減衰させる。従って、第2フィルタ部94を本発明に対応させるとすれば、200Hzから800Hzまでの音声帯域が第3周波数帯域に相当し、この第2フィルタ部94が第3減衰制御部に対応する。従って、第3周波数帯域は、第1周波数(100Hz)と第2周波数(3000Hz)の間に位置していることになる。なお、ここでは減衰比率を、第1フィルタ部92の-20dBよりも小さい-10dBに設定している。
【0034】
第3フィルタ部96はバンドストップフィルタであって、図4及び図5(C)に示されるように、下限周波数1500Hzから上限周波数3000Hzまでの帯域の音声を-20dB減衰させる。従って、第3フィルタ部96を本発明に対応させるとすれば、第3周波数帯域よりも大きな周波数となる1500Hzから3000Hzの音声帯域が第4周波数帯域に相当し、この第3フィルタ部96が第4減衰制御部に対応することになる。なお、この第3フィルタ部96に関しては、上限周波数側に裾を広くしたフィルタ、即ち、3000Hz側に近づくにつれて減衰量が低減するような形状のフィルタにすることが望ましい。
【0035】
なお、第3フィルタ部96に関しては、下限周波数1250Hzから上限周波数1500Hzまでの帯域の音声を-20dB減衰させるようにすることも好ましい。この場合であっても、上限周波数側に裾を広くしたフィルタ、即ち、1500Hz側に近づくにつれて減衰量が低減するような形状のフィルタにすることが望ましい。
【0036】
また位相制御部98では、第1~第3フィルタ92、94、96を通過した音声を、相対位相差として0.37msのずれを確保しながら、8回~10回程度重ね合わせるようになっている。これにより、実際の体内音声に近い音声を生成可能となっている。なお、ここでは遅延量が0.37msに設定しているが、0.2msから0.8msの範囲内であることが望ましく、一層好ましくは、0.3msから0.4msの範囲内に設定する。
【0037】
ピンクノイズ付加部100は、上記位相制御部98を経た音声にピンクノイズを付加する。これは、後述する胃内の録音実験において、暗騒音が採録されており、この音響特徴とピンクノイズが合致することに起因している。なお、ピンクノイズとは、ホワイトノイズに-3B/オクターブのLPF(Low Pass Filter/低域通過フィルタ)を通したものである。例えば、周波数を横軸に、エネルギーを縦軸にとってピンクノイズをグラフ化すると、ピンクノイズは高い周波数帯域に行くにつれて右下がりのグラフになる。
【0038】
心音付加部102は、上記ピンクノイズを付加した後の音声に、母親の心音を付加する。母親の心音は、胸に固定したマイクロフォン等を通じて録音したものを利用する。なお、この心音データも、PC2によってWAVEファイルとして取り込まれ、WEBサーバ8に配信されたものである。
【0039】
次に、擬似体内音声生成装置90における各フィルタ部の設定根拠について説明する。
【0040】
本発明者は、人の胃の内部で本人の声を採録した音声データと、この本人の声を体外で同時に採録した音声データとを詳細に比較することにした。図6(A)は体外の採録音声データの波形、図6(B)は体内の採録音声データの波形が示されている。また、図7は、図6(A)(B)を数値的に比較した結果を図表として示している。なお、これらの計測は、1025Hzを基準値として行っている。
【0041】
第1フィルタ部92をこのような設定にしたのは、体内では2kHz以上、好ましくは3kHz以上の音声が激しく減衰することが明らかになったからである。また、人間の声帯が持つ基本周波数の下限は約100Hzであるため、それ以下の周波数、或いは多少余裕を見た約300Hz以下の音声は、音声以外のノイズと考えられ、その影響を排除するために減衰させることにした。
【0042】
また、第2フィルタ部94をこのような設定にしたのは、200Hz~800Hzの間の帯域では、体内側が体外側と比較して-10dB程度減衰していることが判明したことに基づいている(図7参照)。第3フィルタ部96をこのような設定にしたのは、具体的に50名の21~22歳の健聴者に対する聞き取り実験を行った結果、1500Hzから3000Hzの間を減衰させることによって、体内音声と極めて近い音声を実現できることが判明したからである。特に音の明瞭度や響き方などに関して、体内音声に近い印象を与えることが可能になった。なお、図6、図7に示されるように、1250Hzから1500Hzの帯域が約-20dB程度減衰していることが判明していることで、そのようなフィルタリング手法を適用することも望ましい。以上のことから、第1~第3フィルタ部92、94、96を用いて音声を変換すれば、体内音環境を高精度で再現することが可能になる。
【0043】
次に、図8及び図9を用いて、擬似体内音声生成装置90における位相制御部98の設定の根拠について説明する。図8(A)は体外音声を採録した際の時間波形データを示している。図8(B)は、(A)の体外音声を、体内側で同時採録した際の時間波形データを示している。図9は、図8(A)、(B)の時間的な遅延関係を分析した結果を図表にまとめたものである。
【0044】
図8に示されるように、体外の音声が体内に伝わる間に、その音声が複数の間隔で遅延しながら伝播していることが明らかとなっている。つまり、体外音声が体内への伝達する際には、単に周波数特性の減衰のみではなく、振動となって遅延することがが明らかとなった。例えば、図8(A)の体外音声のピークP1(6.4msに位置する波形ピーク)は、図8(B)では複数のピークを有する波形となり、上記P1が遅延しながら複数回に亘って体内に到達していることがわかる。同様に、図8(A)のピークP2(12.3msに位置する波形ピーク)も、同様に遅延しながら複数回に亘って到達していることがわかる。更に、図9の分析結果から、遅延するピーク間の平均間隔が、P1、P2共に0.37msのずれであることが明らかとなった。これを具体的に再現するために、位相制御部98では、位相を0.37ms遅延させながら8回程度重ね合わせることで、実際の体内音に高精度で近似させることが可能となっている。
【0045】
本擬似体内音声提供システム1によれば、母親等の音声を擬似的な体内音声に変換・生成することが可能になる。特に、第2及び第3フィルタ部94、96によって、中間に位置する2つの周波数帯域を適宜減衰させているので、体内の音環境に一層近づけることができる。更に、位相制御部98によって音声の位相をずらしながら重ね合わせることで、クリアな音声ではなく、体内の環境に近いエコーを含んだ音声を生成できるので、特に新生児の精神安定に寄与する効果が得られる。
【0046】
また、本擬似体内音声提供システム1によれば、通信回線を介して、遠隔地から音声を提供すれば、擬似体内音声を新生児に提供することが可能となっている。従って、病院に通う時間がない母親であっても、リアルタイムで遠隔地から声をかけることが可能になるので、母親自身も安心して生活することができ、心理的・時間的ゆとりが得られる。なお、ここでは遠隔地として、自宅と病院間で音声を配信するシステムを紹介したが、本発明はそれに限定されず、例えば会社のPCから病院内の新生児へ、また、会社のPCから自宅の新生児へ音声を配信することも出来る。また、病院内であっても、隔離された環境(例えば無菌室)に設置された保育器に対して、多少距離の離れた場所からマイクロフォン等によって母親が新生児に話しかける場合にも、本システム1を利用することが可能である。その場合は、インターネットを介する必要がはく、病院内の通信回線(院内LAN)のみを利用すれば十分である。このシステムによって、母親自らの音声と心音によって子供が入眠し、むずかりが減少する様子を体験することで、母親が、育児に対する達成感、充実感を得ることにつながる。
【0047】
なお、ここでは特に示さないが、保育器内にマイクロフォンを設置し、新生児の声を母親のPC等に提供する機能も用意しておくことが好ましい。このようにすると、母親と新生児の相互の情報交換が出来るようになる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、育児用品や医療器具には勿論のこと、新生児用の玩具等にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る擬似体内音声提供システムの全体構成を示す図
【図2】同擬似体内音声提供システムの詳細構成を示す図
【図3】同擬似体内音声提供システムにおける擬似体内音声生成装置の詳細構成を示す図、
【図4】同擬似体内音声生成装置の各フィルタ部の特性を示す図表
【図5】同擬似体内音声生成装置の各フィルタ部の特性を示すグラフ
【図6】同擬似体内音声生成装置の各フィルタ部の設定根拠となる実験データを示すグラフ
【図7】同実験データを数値解析した結果を示す図表
【図8】同擬似体内音声生成装置の位相制御部の設定根拠となる実験データを示すグラフ
【図9】同実験データを数値解析した結果を示す図表
【符号の説明】
【0050】
1 擬似体内音声提供システム
2 PC
4 プロバイダ
6 インターネット
8 WEBサーバ
10 院内システム
90 擬似体内音声生成装置
92 第1フィルタ部
94 第2フィルタ部
96 第3フィルタ部
98 位相制御部
100 ピンクノイズ付加部
102 心音付加部
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8