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Specification :(In Japanese)多相ポリマー微粒子及びその製造法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5103611
Publication number P2007-332187A
Date of registration Oct 12, 2012
Date of issue Dec 19, 2012
Date of publication of application Dec 27, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)多相ポリマー微粒子及びその製造法
IPC (International Patent Classification) C08J   3/12        (2006.01)
C08L 101/00        (2006.01)
FI (File Index) C08J 3/12 CERZ
C08J 3/12 CEZ
C08L 101/00
Number of claims or invention 6
Total pages 10
Application Number P2006-162535
Date of filing Jun 12, 2006
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 平成18年5月10日 社団法人 高分子学会発行の「高分子学会予稿集 55巻1号」に発表
Date of request for substantive examination Jan 15, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】藪 浩
【氏名】樋口 剛志
【氏名】下村 政嗣
Representative (In Japanese)【識別番号】100105050、【弁理士】、【氏名又は名称】鷲田 公一
【識別番号】100131587、【弁理士】、【氏名又は名称】飯沼 和人
Examiner (In Japanese)【審査官】繁田 えい子
Document or reference (In Japanese)特開2004-035785(JP,A)
特開2006-225525(JP,A)
特開昭46-002345(JP,A)
特開昭56-115324(JP,A)
Field of search C08J 3
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
溶解度パラメータの差が0.1以上10以下である2種以上のポリマーを該ポリマーに対する良溶媒に溶解して良溶媒溶液を調製する工程、及び
前記良溶媒と相溶する前記2種以上のポリマーに対する貧溶媒を前記良溶媒溶液に添加した後に、前記良溶媒を蒸発除去する工程を含む、
2種以上のポリマーからなり、該2種以上のポリマーがそれぞれ集合して形成される2種以上のポリマー相を有する多相ポリマー微粒子の製造方法。
【請求項2】
2種以上のポリマーの溶解度パラメータとの差が5.0以下である溶解度パラメータを有する良溶媒を使用する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
良溶媒の溶解度パラメータとの差が30以下である溶解度パラメータを有する貧溶媒を使用する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
良溶媒を減圧下で蒸発除去する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
減圧時の雰囲気圧力が10-3Pa~10kPaである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
毎秒0.01容積%以上の割合で良溶媒を蒸発除去する、請求項1に記載の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料、光学材料、生分解性材料又は生理活性物質などを含む広範な分野において適用できる、均一な粒径を有する微粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
nm~μmの領域の大きさを持った微粒子は、そのサイズにおいて材料が持つ本来の量子的な性質が顕著に現れること、体積に対する表面の比が平滑な基板などよりも非常に大きく、活性の高い表面状態を持っていること、などの理由から、光機能性、電子機能性、生体機能性などの機能を有する機能性材料として注目されている。
【0003】
特に、特性の異なる2種以上の材料を用いてナノサイズの微粒子を製造することができれば、1の微粒子に2以上の特性を付与することが出来、その応用範囲をさらに広げることができると期待される。
【0004】
ポリマー微粒子の製造法としては、既存の高分子溶液をSPG(Shirasu Porous glass Membrane)と呼ばれる多孔質膜に通して均一なW/O、あるいはW/O/Wエマルジョンとして10μmオーダーの微粒子を得る方法(非特許文献1)、高分子のエマルジョン溶液中での乳化重合反応やミクロエマルジョン重合反応によって微粒子を調製する方法(非特許文献2)などが知られている。しかし、前者の方法は製造される微粒子の粒径に限界がある、後者の方法は乳化剤や安定剤の混入が避けられないという問題を有している。また、後者の方法では、安定剤としてポリビニルアルコールやアルギン酸ナトリウム等の親水性ポリマーを用いるため、これらが表面に局在した微粒子しか得ることが出来ない。この様に、2種以上のポリマーを用いて良質かつ所望の特性を備えた微粒子を得ることは、依然として難しい課題である。
【0005】
2種以上の材質からなる微粒子を製造する方法としては、微粒子を適当な基板上に塗布した後に、その上面にスパッタリング等を行って金属を塗布する、あるいはその上面に高分子ブラシを合成するなどして、非対称な微粒子(Janus微粒子)を調整する方法がある(非特許文献3)。しかしこれらの方法も多段階の工程を必要とし、大量生産化が難しいと言う問題を有している。また、エマルジョンを用いてシリカ粒子にポリスチレン微粒子を結合させ、ダンベル上の微粒子を調製した後、高分子ブラシを合成する方法も知られている(非特許文献4)が、この方法も多段階の工程を必要とし、また生産効率が低いという問題を有している。
【0006】
また、非対称な異形微粒子を形成する方法として、シード重合と呼ばれる方法が知られている(特許文献1)。しかし、この方法も煩雑な操作を必要とし、また使用される2種のポリマーのうちの一方が必ず微粒子の表面側に配置されることになり、微粒子におけるポリマー間の配向性が著しく制限されるという問題がある。
【0007】
前記の方法とは異なる原理に基づく高分子からなる微粒子の製造方法として、良溶媒に溶解した有機材料溶液中に該良溶媒と相溶する前記材料の貧溶媒を添加して該材料の濃度を低下させることで、有機材料からなる微粒子を調製する方法が報告されている(特許文献2、非特許文献5)。しかし、この方法で用いられている有機系材料はいずれもホモポリマーやブロックコポリマーなどの単一材料であり、2種以上のポリマーからなる微粒子を製造する技術は開示されていない。

【非特許文献1】SPGテクノ株式会社のカタログ
【非特許文献2】小山昇ら、現代界面コロイド化学の基礎、1997年、日本化学会編、丸善発行
【非特許文献3】V. N. Paunovら、Advanced Materials、2004年、第16巻、第9号、788頁
【非特許文献4】Adeline Perroら、Chemical Communications、2005年、第44号、5542頁
【非特許文献5】Hiroshi Yabuら、Advanced Materials、2005年、第17巻、第17号、2062頁
【特許文献1】特開2003-226708
【特許文献2】特開2004-67883
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記特許文献2や非特許文献5などに記載された方法をさらに改良し、2種以上のポリマーからなる多相ポリマー微粒子とその製造法の開発を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、溶解度パラメータが互いに異なる2種以上のポリマーを良溶媒に溶解した良溶媒溶液を調製し、該良溶媒と相溶する前記ポリマーの貧溶媒を添加した後、良溶媒を蒸発除去させることによって、各ポリマーがそれぞれ集合ないし凝集してなる複数の相を有するポリマー微粒子を製造し得ることを見出し、下記の各発明を完成した。
【0010】
(1)溶解度パラメータの差が0.1以上10以下である2種以上のポリマーからなり、該2種以上のポリマーがそれぞれ集合して形成される2種以上のポリマー相を有する、多相ポリマー微粒子。
【0011】
(2)溶解度パラメータの差が0.1以上10以下である2種以上のポリマーを該ポリマーに対する良溶媒に溶解して良溶媒溶液を調製する工程、及び該溶液に該良溶媒と相溶する前記2種以上のポリマーに対する貧溶媒を添加した後に良溶媒を蒸発除去する工程を含む、2種以上のポリマーからなり、該2種以上のポリマーがそれぞれ集合して形成される2種以上のポリマー相を有する多相ポリマー微粒子の製造方法。
【0012】
(3)2種以上のポリマーの溶解度パラメータとの差が5.0以下である溶解度パラメータを有する良溶媒を使用する、(2)に記載の製造方法。
【0013】
(4)良溶媒の溶解度パラメータとの差が30以下である溶解度パラメータを有する貧溶媒を使用する、(2)又は(3)に記載の製造方法。
【0014】
(5)良溶媒を減圧下で蒸発除去する、(2)に記載の製造方法。
【0015】
(6)減圧下が10-3Pa~10kPaである、(5)に記載の製造方法。
【0016】
(7)毎秒0.01容積%以上の割合で良溶媒を蒸発除去する、(2)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明の多相ポリマー微粒子は、一つの微粒子に2種以上のポリマーを互いに分離した状態で含んでおり、その為、一つの微粒子に異方的に(asymmetrical)機能を付与することができ、多機能微粒子として利用することができる。例えば本発明の多相ポリマー微粒子は、電子ペーパーの色剤、あるいは固体界面活性剤へ適用することができる。また、本発明の製造方法は、かかる多機能微粒子を、極めて少ない工程により、かつ大量に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の多相ポリマー微粒子は、一定の溶解度パラメータ差を有する2種以上のポリマーからなり、各ポリマーはそれぞれが集合ないし凝集してなる相を形成しており、各相は互いに混和せずに分離した相として存在している、異種のポリマーからなる微粒子である。
【0019】
図1に、本発明の多相ポリマー微粒子の構成例を模式的に表す。図1において濃淡で区別されているものそれぞれが、ポリマーが集合ないし凝集してなる相を表している。
【0020】
なお、図1に示されるように、本発明の多相ポリマー微粒子において、相の数すなわちポリマーの種類の数には、2以上であれば他には特別の制限はない。また、非対称性の相構造を有する微粒子も、対照的な相構造を有する微粒子も、微粒子の内外方向において相構造を有する微粒子も、さらにはこれらの相構造を組み合わた相構造を有する微粒子も、いずれも本発明の多相ポリマー微粒子に含まれるものである。
【0021】
本発明で利用可能な2種以上のポリマーには、その選択と組み合わせにおいて後に述べる溶解度パラメータの差に関する条件を満たすことの他には、個々のポリマーの種類において特に制限はなく、水溶性ポリマー、非水溶性ポリマー、共重合体その他任意のポリマーを利用することができる。それらの非限定的な例を下記に示す。なお、()内の数値は、各ポリマーの溶解度パラメータである。
【0022】
1)水溶性ポリマー;N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM、22.8)、ポリエチレングリコール(PEG、20.2)など。
【0023】
2)非水溶性ポリマー;1,4-シス-イソプレン(16)、イソプレンエラストマー(17)、ポリスチレン(18)、ポリブタジエン(17.5)、ポリイソプレン(16~17)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、23)、ポリn-ブチルアクリレート(18)、ポリ塩化ビニル(19)、ポリアクリロニトリル(26)、ポリ乳酸(PLA、19)など。
【0024】
3)共重合体;ブタジエン:スチレン=94:6の共重合体(16.45~16.64)、ブタジエン:スチレン=90:10の共重合体(17.13)、ブタジエン:スチレン=85:15の共重合体(16.55)、スチレン含量が25以上のブタジエンとスチレンの共重合体(17.5)など。
【0025】
本発明の多相ポリマー微粒子を形成する2種以上のポリマーは、上記に列記されるようなポリマーの中から、ポリマー間の溶解度パラメータの差が0.1以上10以下となるように選択されるポリマーである。例えば、2相ポリマー微粒子を形成するために選択される2種のポリマーAとポリマーBは、ポリマーAB間の溶解度パラメータの差が0.1以上10以下となる様な組み合わせとして選択される。また3相ポリマー微粒子を形成するために選択される3種のポリマーA、ポリマーB及びポリマーCは、ポリマーABCの全ての組み合わせ、すなわちポリマーAB、ポリマーAC、ポリマーBCの組み合わせにかかる各ポリマー間の溶解度パラメータの差がいずれも0.1以上10以下となる様な組み合わせとして選択される。
【0026】
上記の溶解度パラメータ差の条件を満たす2種以上のポリマーの組み合わせ例としては、PEGとNIPAM、ポリスチレンとポリイソプレン、ポリスチレンとポリブタジエン、ポリスチレンとPLA、ポリスチレンとポリブチルアクリレート等を挙げることができるが、これらには限定されない。
【0027】
本発明の微粒子の粒径は、1nm~1000μm、好ましくは10nm~100μmである。
【0028】
本発明の製造方法は、溶解度パラメータの差が0.1以上10以下である2種以上のポリマー(以下、単に2種以上のポリマーと表す)を該2種以上のポリマーに対する良溶媒に溶解して良溶媒溶液を調製する工程、及び該溶液に該良溶媒と相溶する前記2種以上のポリマーに対する貧溶媒を添加した後に良溶媒を蒸発除去する工程を含む、2種以上のポリマーからなり、該2種以上のポリマーがそれぞれ集合して形成される2種以上のポリマー相を有する多相ポリマー微粒子の製造方法である。ここで、「多相ポリマー微粒子」ならびに「相」は、前項において説明したとおりの意味である。
【0029】
飽くまで推論ではあるが、本発明の製造方法における基本的な物理化学的現象としては、2種以上のポリマーを溶解した良溶媒溶液に相溶な貧溶媒が加えられ、良溶媒溶液が希釈されることで、急激な溶質(ポリマー)の過飽和状態が生じ、このときの溶液濃度の揺らぎによって核となる粒子が形成され、さらにそれが成長することで一定の大きさを持った粒子が調製される、というものと考えることができる。
【0030】
本発明における特徴の一つは、2種以上のポリマーを良溶媒に溶解した混合溶液を用いる点にある。特許文献2や非特許文献5に記載された方法は、1種類の有機ポリマーの良溶媒溶液を貧溶媒で希釈することによって微粒子を製造する方法である。この場合、製造される微粒子は当該1種類の有機ポリマーからなる微粒子となる。一方、本発明の微粒子は、前項で説明したような2種以上のポリマーの混合良溶媒溶液を用いることで、2種以上のポリマーからなる多相ポリマー微粒子を製造する方法である。
【0031】
良溶媒ならびに貧溶媒いずれに対しても溶解度が互いに異なる2種以上のポリマーを用いた場合、それらの混合良溶媒溶液を貧溶媒で希釈すれば、2種以上のポリマーはそれぞれ別個独立に溶液濃度の揺らぎによって核となる粒子を形成し、それらが成長して微粒子を形成することで、単一ポリマーからなる複数種の微粒子が製造されるものと期待された。しかしながら、全く意外なことに、溶解度パラメータ差が0.1以上10以下となるような複数のポリマーを選択すること、ならびにこの選択された2種以上のポリマーの溶解度パラメータによって定めることのできる良溶媒と貧溶媒とを利用することで、2種以上のポリマーが互いに分離した相を形成しつつも、互いに別個独立の粒子を形成することなく、各ポリマーよりなる複数の相を有する一種類の多相ポリマー微粒子を製造することができることが明らかになった。
【0032】
本発明で用いる良溶媒ならびに貧溶媒は、互いに相溶姓を示すが、前項で説明した2種以上のポリマーに対する溶解力が大きく異なる溶媒であり、同溶解力が高い/強い溶媒を良溶媒として、低い/弱いあるいはほとんど溶解力を持たない溶媒を貧溶媒として適宜選択、組み合わせて使用される溶媒である。
【0033】
本発明における良溶媒は、前項で説明した2種以上のポリマーそれぞれに対する溶解度パラメータとの差が5.0以下である溶解度パラメータを有する良溶媒の使用が好ましい。この良溶媒の選択は、使用する2種以上のポリマーに応じて適宜決定することができる。また貧溶媒は、上記のように決定した良溶媒の溶解度パラメータとの差が30以下である貧溶媒を選択すればよい。
【0034】
従って、良溶媒、貧溶媒ともに、選択された2種以上のポリマーの溶解度パラメータに基づいて、上記の条件を満たす良溶媒並びに貧溶媒として適宜選択することができる。
【0035】
また、良溶媒と貧溶媒は互いに良く混和する溶媒の組み合わせが好ましいが、溶解度パラメータを基準とする上記の条件を満たすように決定された良溶媒及び貧溶媒は、互いに良く混和するものとなる。その結果、良溶媒溶液の希釈が短い時間に均等に行われることとなり、粒径分布の狭い(均一な粒径を有する)微粒子を作製することができる。
【0036】
また、本発明の製造方法において使用する良溶媒と貧溶媒の組み合わせは、貧溶媒の沸点が良溶媒の沸点より高く、かつその差が20℃以内となるような組み合わせとすることが好ましい。この関係を満たせば、混和した良溶媒と貧溶媒から選択的かつ簡便に良溶媒を除去することが容易になる。
【0037】
本発明で用いることができる具体的な溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF、18.6)、ジメチルエーテル(DME、18.0)、ベンゼン(18.8)、トルエン(18.2)、クロロホルム(19.0)、アセトン(20.3)、メタノール(29.7)、エタノール(26)、水(47.9)、ジメチルホルムアミド(DMF、24.8)、ジメチルスルホキシド(DMSO、29.7)、ジオキサン(16.2)、アセトニトリル(24.3)、1-プロパノール(24.3)、イソプロパノール(23.5)などを例示することができる。なお、()内の数値は各溶媒の溶解度パラメータ値を示す。
【0038】
これらの中から、使用される2種以上のポリマーに応じて、上記に述べたような性質を有する良溶媒と貧溶媒とを選択すればよい。その際、使用されるポリマーの各種溶媒に対する溶解度パラメータのデータ、溶媒間の相溶性データ、沸点等の既知のデータを収集あるいは確認し、これらを考慮することが望ましい。
【0039】
2種以上のポリマーとそれらに対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせの例としては、PEG+NIPAM+水(良溶媒)+DMSO(貧溶媒)又は1-プロパノール、ポリイソプレン+ポリスチレン+THF(良溶媒)+水(貧溶媒)などを挙げることができるが、これらには限定されない。
【0040】
良溶媒に溶解される2種以上のポリマーの量はそれぞれのポリマーの飽和濃度以下であれば特に限定されないが、飽和濃度~飽和濃度の1/100程度の濃度とすることが好ましい。
【0041】
また、2種以上のポリマーを溶解した良溶媒溶液に添加される貧溶媒の量は、2種以上のポリマーの種類、良溶媒および貧溶媒の種類、又は製造される微粒子の粒径などを考慮して、適宜選択することができるが、一般的には、良溶媒溶液の量に対して0.5~10倍の量の貧溶媒を添加することができる。
【0042】
2種以上のポリマーを溶解した良溶媒溶液への貧溶媒の添加速度は特に限定されず、通常の実験操作に従って添加すればよい。良溶媒溶液における2種以上のポリマーの濃度にもよるが、(液体体積)×10/分以上の時間をかけることが望ましい。また、本発明の微粒子の製造を行う際の温度は、使用する溶媒の沸点を考慮して定めればよいが、概ね0~90℃の任意の温度で行うことができ、好ましくは室温で行うことができる。
【0043】
本発明では、この様にして2種以上のポリマーを溶解した良溶媒溶液に貧溶媒を加えた後に、良溶媒を減圧下で蒸発除去する操作を行う。微粒子の粒径は、2種以上のポリマーの良溶媒溶液における濃度、及び添加する貧溶媒の量(良溶媒の量に対する比率)を調整することによっても制御することができる。また、良溶媒溶液の希釈を短い時間に均等に行うことによって、粒径分布の狭い微粒子を作製することができる。
【0044】
さらに、2種以上のポリマーを溶解した良溶媒溶液に貧溶媒を混合した後、良溶媒を減圧下で急速に除去するという比較的簡便な操作によって、さらに細かい粒径と均一な粒径分布を有する微粒子を製造することも可能である。
【0045】
減圧の程度は、10-3Pa~10kPa、好ましくは10Pa~1kPaとすればよい。これは、例えばロータリーエバポレーターや減圧ポンプ、その他の一般的な減圧用機器を用いて再現できる条件である。従って、本発明の製造方法は超真空状態を維持するための大掛かりな設備などを特に必要とせず、実験室レベルにおいても、工業的生産レベルにおいても、容易に本発明を実施することができる。
【0046】
また、かかる減圧下での良溶媒の蒸発除去は、減圧開始から最長で3時間以内に終了させることが望ましい。具体的には、蒸発除去しようとする良溶媒の総容積100%について、毎秒0.01容積%以上の割合で良溶媒を蒸発除去することが望ましい。良溶媒の総体積が比較的小さい場合には、その蒸発除去は実質的に瞬時に終了することも可能である。また、良溶媒の総容積が大きいために、そのままでは1時間以内での蒸発除去が事実上困難であるような場合には、貧溶媒を加えた後の溶液を適当な量に分画して、それぞれの画分について溶媒除去を行なえばよい。
【0047】
この減圧下での良溶媒の蒸発除去を行うことにより、それを行わない場合に比べて、微粒子の粒径は10~50%ほどさらに小さくなる。また、その微粒子の粒度分布の標準偏差も10%程度小さくなり、より均一な粒径を有する微粒子を製造することができる。また、本発明の製造方法は、除去すべき溶媒の量にも依存するが、概ね数分から2、3時間で貧溶媒の添加によって希釈した良溶媒溶液から多相ポリマー微粒子を回収することができる。これにより、微粒子の製造効率が飛躍的に高まり、微粒子の工業的大量生産を可能とすることができる。
【0048】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0049】
ポリスチレン(Mn=17,000、Mw/Mn=1.03、Polymer Source社製、溶解度パラメータは18)とポリイソプレン(Mn=12,000、Mw/Mn=1.04、Polymer Source社製、溶解度パラメータは16~17)を、重量比で1:1、1:4、4:1の各割合で混合し、THF(溶解度パラメータは18.6)に溶解して0.1mg/mlの溶液1mlを調製した。
【0050】
この溶液に1.0ml/秒の速度で水(溶解度パラメータは47.9)2mlを攪拌しながら加えた。全量の水を加えた後、攪拌を止め、常温常圧でTHFを蒸発させ、微粒子を得た。動的光散乱により求めた前記微粒子の流体力学半径は、中心粒径が約300nmほどであった。
【0051】
この微粒子の相構造を確認するため、微粒子中のポリイソプレンを四酸化オスミウムを用いて染色した。5℃、12,000回転、15分間の遠心分離操作で前記微粒子を分離した。0.2%の四酸化オスミウム水溶液に分離した微粒子を加え、2分間インキュベートした。再び前記と同条件の遠心分離操作で微粒子を回収し、コロジオン膜を張った銅TEMグリッド上に得られた微粒子を滴下し、乾燥させた。この乾燥されたサンプルを走査型透過電子顕微鏡(STEM)、HD-2000、日立製作所製)を用いて観察した。この電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0052】
電子顕微鏡写真は、ポリマーの混合比に応じた量に相当する染色されたポリイソプレンからなる相と、同じく混合比に応じた量に相当する染色されていない相(ポリスチレン相)とが分離した微粒子像を与えた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1a】本発明の多相ポリマー微粒子(2相ポリマー微粒子)の相構造を表す模式図である。
【図1b】本発明の多相ポリマー微粒子(3相ポリマー微粒子)の相構造を表す模式図である。
【図2】実施例1で製造した本発明の微粒子の電子顕微鏡写真である。図2の左からポリスチレン:ポリイソプレンが4:1の微粒子、1:1の微粒子、1:4の微粒子である。
Drawing
(In Japanese)【図1a】
0
(In Japanese)【図1b】
1
(In Japanese)【図2】
2