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Specification :(In Japanese)太陽エネルギー利用装置の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4654443
Publication number P2008-007365A
Date of registration Jan 7, 2011
Date of issue Mar 23, 2011
Date of publication of application Jan 17, 2008
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)太陽エネルギー利用装置の製造方法
IPC (International Patent Classification) C03C  17/42        (2006.01)
F24J   2/48        (2006.01)
FI (File Index) C03C 17/42
F24J 2/48 M
Number of claims or invention 7
Total pages 14
Application Number P2006-178359
Date of filing Jun 28, 2006
Date of request for substantive examination May 23, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】小川 一文
Representative (In Japanese)【識別番号】100139262、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 和昭
【識別番号】100090697、【弁理士】、【氏名又は名称】中前 富士男
Examiner (In Japanese)【審査官】山崎 直也
Document or reference (In Japanese)国際公開第2004/052640(WO,A1)
特開平09-100141(JP,A)
国際公開第2005/030664(WO,A1)
特開平04-239633(JP,A)
特開平08-319137(JP,A)
特開2003-119384(JP,A)
特開平07-206475(JP,A)
特開2004-255592(JP,A)
特開2007-333291(JP,A)
Field of search C03C 15/00-23/00
F24J 2/48
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に前記透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、前記分散液を透明基材の表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で前記分散液が塗布された透明基材を熱処理する第4工程と、前記第4工程で熱処理された透明基材の表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有することを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記金属アルコキシドは、熱処理によりシリカ系ガラスを生成することを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記第4工程の熱処理温度が、250℃以上かつ、前記透明基材及び前記透明微粒子の融点以下であることを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
【請求項4】
請求項13のいずれか1項に記載の太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記金属アルコキシドを溶かした溶媒が水系であり、前記第1工程の前記透明微粒子の表面を覆う被膜は撥水性であることを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
【請求項5】
請求項14のいずれか1項に記載の太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記第5工程における前記撥水撥油防汚性被膜の形成は、(1)フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒、(2)フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体、及び(3)フッ化炭素基を有するイソシアネート誘導体のいずれかと有機溶媒とを含む膜形成溶液と、表面に前記透明微粒子を焼結固定させた前記透明基材とを接触させて行うことを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記膜形成溶液と前記透明基材の接触後、余分な膜形成溶液を洗浄除去することを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5及び6のいずれか1項に記載の太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記膜形成溶液は前記シラノール縮合触媒を含み、しかもケチミン化合物、有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数の化合物を、助触媒として前記シラノール縮合触媒と共に用いることを特徴とする太陽エネルギー利用装置の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性があり、高性能な離水性(滑水性ともいう)があり、かつ入射光の表面反射低減効果がある、撥水撥油防汚性の被膜が光入射側透明基材表面に形成された太陽電池や太陽熱温水器、温室等の太陽エネルギー利用装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】

一般に、屋外に設置された太陽電池の発電効率や太陽熱温水器、温室等の集熱効率が、大気中の粉塵や雨による汚れにより経年劣化することはよく知られている。
一方、フッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤と非水系の有機溶媒よりなる化学吸着液を用い、液相で化学吸着して単分子膜状の撥水撥油防汚性の化学吸着膜単分子膜を形成できることは、すでによく知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面のヒドロキシル基などの活性水素とクロロシラン系の吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜を形成することにある。
【0003】

【特許文献1】特開平4-132637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の化学吸着単分子膜は吸着剤と基材表面との化学結合を用いているため、ある程度の耐摩耗性や撥水撥油防汚機能を持っているが、太陽電池や太陽熱温水器、温室用の防汚膜としては、耐候性能や離水性能、防汚性能が不足しているという課題があった。また、被膜が極薄のため入射光の表面反射低減効果も大きくは期待できないという課題があった。
【0005】
本発明は、高耐久、高離水性でかつ撥水撥油防汚性能が要求される太陽電池や太陽熱温水器、温室において、耐摩耗性能と高離水性能、防汚性能の向上と共に入射光の表面反射低減効果により、太陽電池の発電効率や太陽熱温水器、温室等の集熱効率の向上と、汚れによる経時劣化を防止する太陽エネルギー利用装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(削除)
【0007】
(削除)
【0008】
(削除)
【0009】
(削除)
【0010】
(削除)
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
(削除)
【0016】
前記課題を解決するための手段として提供される第1の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に前記透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、前記分散液を透明基材の表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で前記分散液が塗布された透明基材を熱処理する第4工程と、前記第4工程で熱処理された透明基材の表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有することを特徴とする。
なお、本明細書において「金属アルコキシド」は、テトラアルコキシシランを含むものとする。
【0017】
2の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、第1の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記金属アルコキシドは、熱処理によりシリカ系ガラスを生成することを特徴とする。
【0018】
3の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、第1及び第2の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記第4工程の熱処理温度が、250℃以上かつ、前記透明基材及び前記透明微粒子の融点以下であることを特徴とする。
【0019】
4の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、第1~第3の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記金属アルコキシドを溶かした溶媒が水系であり、前記第1工程の前記透明微粒子の表面を覆う被膜は撥水性であることを特徴とする。
【0020】
5の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、第1~第4の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記第5工程における前記撥水撥油防汚性被膜の形成は、(1)フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒、(2)フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体、及び(3)フッ化炭素基を有するイソシアネート誘導体のいずれかと有機溶媒とを含む膜形成溶液と、表面に前記透明微粒子を焼結固定させた前記透明基材とを接触させて行うことを特徴とする。
【0021】
6の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、第5の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記膜形成溶液と前記透明基材の接触後、余分な膜形成溶液を洗浄除去することを特徴とする。
【0022】
第7の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法は、第5及び第6の発明に係る太陽エネルギー利用装置の製造方法において、前記膜形成溶液は前記シラノール縮合触媒を含み、しかもケチミン化合物、有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数の化合物を、助触媒として前記シラノール縮合触媒と共に用いることを特徴とする。
【0023】
ここで、焼結固定された撥水撥油防汚性の透明微粒子で光入射側の透明基材の表面が覆われていることにより、太陽エネルギー利用装置における光入射側の透明基材の表面における撥水撥油防汚性、水滴離水性(滑水性)、耐摩耗性、耐候性等を向上することが可能になる。
【0024】
また、撥水撥油防汚性被膜で覆われた透明微粒子を用いることにより、シリカ、アルミナ等の安価で耐磨耗性等に優れた原料を用いて撥水撥油防汚性の太陽エネルギー利用装置を簡便に製造することが可能になる点で都合がよい。
【0025】
透明微粒子が透明な金属酸化物膜を介して透明基材の表面に焼結固定されていると、耐磨耗性を向上させる上で都合がよい。
【0026】
また、金属酸化物膜がシリカ系ガラス膜である場合には、透明基材と屈折率や熱膨張率が同一であるため、光学特性及び耐熱性等を向上させる点で都合がよい。
【0027】
また、シリカ系ガラス膜の表面が撥水撥油防汚性被膜で被覆されていると撥水撥油防汚性を高める上で都合がよい。
【0028】
撥水撥油防汚性被膜が透明微粒子及びシリカ系ガラス膜の表面に共有結合していると耐久性を向上する上で都合がよい。
【0029】
更に、透明微粒子が透光性のシリカ、アルミナ、あるいはジルコニアであると透光性を損なうことなく耐摩耗性を向上する上で都合がよい。
【0030】
また、透明微粒子の大きさが、可視光の波長(360~700nm)よりも小さいと、撥水ガラスの透光性を確保する上で都合がよい。なお、透明微粒子の大きさは5~300nmであることが好ましく、透光性を損なわないためには10~100nmであることが更に好ましい。
【0031】
水に対する接触角が130度以上に制御されていると、水滴離水性が向上し、雨水が表面に止まることがないので、安定的に透光性を確保する上で都合がよい。
【0032】
表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、分散液を透明基材の表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で分散液が塗布された透明基材を熱処理する第4工程と、第4工程で熱処理された透明基材の表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有する太陽エネルギー利用装置の製造方法に関する発明により、撥水撥油防汚性、水滴離水性(滑水性)、耐摩耗性、耐候性等が向上した太陽エネルギー利用装置を安価かつ簡便に製造することが可能になる。
【0033】
またこのとき、金属アルコキシドが、熱処理によりシリカ系ガラスを生成するものである場合には、耐磨耗性及び耐候性を向上できて都合がよい。
【0034】
また、第4工程の熱処理温度が、250℃以上かつ、透明基材及び透明微粒子の融点以下であると、微粒子の結合固定の際に、透明基材及び透明微粒子の溶融による変形を防止することができるため都合がよい。
【0035】
また、金属アルコキシドを溶かした溶媒が水系の場合、透明微粒子の表面を覆う被膜を撥水性のものにしておくと、塗布時、金属アルコキシドから微粒子を露出させ、アスペクト比の高い凸凹を形成できて都合がよい。
【0036】
また、撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を、(1)フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒、(2)フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体、及び(3)フッ化炭素基を有するイソシアネート誘導体のいずれかと有機溶媒とを含む膜形成溶液と、表面に透明微粒子を焼結固定させた透明基材とを接触させることにより行うと、簡便な操作で撥水撥油防汚性能を向上させることができ、表面の凹凸を損なうことなく表面エネルギーを減少させることができるため都合がよい。
【0037】
撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程において、膜形成溶液と透明基材の接触後、余分な膜形成溶液を洗浄除去する工程を含めると、表面の凹凸を損なうことなく更に表面エネルギーを減少させることができるため都合がよい。
【0038】
更に、撥水撥油性防汚性被膜を形成する第5工程において、フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体及びシラノール縮合触媒と有機溶媒とを含む膜形成溶液を使用する場合に、ケチミン化合物、有機酸、金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数の化合物を、助触媒としてシラノール縮合触媒と共に用いると、製造時間を短縮できて都合がよい。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したとおり、本発明によれば、高耐久、高離水性でかつ撥水撥油防汚性能が要求される太陽電池や太陽熱温水器、温室等の太陽エネルギー利用装置において、入射光の表面反射の低減と耐摩耗性や高離水性、防汚性を向上させることにより、太陽電池の発電効率の向上や太陽熱温水器、温室の集熱効率の向上と汚れによる経時劣化防止を同時に達成でき、発電効率を長期にわたり維持できる太陽電池や集熱効率を長期にわたり維持できる太陽熱温水器や温室を安価かつ簡便に提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明は、表面が撥水性又は撥油性被膜で覆われた透明微粒子を調製する第1工程と、金属アルコキシドを含む溶液中に前記透明微粒子を分散した分散液を調製する第2工程と、前記分散液を透明基材の表面に塗布し乾燥する第3工程と、酸素を含む雰囲気中で前記分散液が塗布された透明基材を熱処理する第4工程と、前記第4工程で熱処理された透明基材の表面に撥水撥油防汚性被膜を形成する第5工程を有する光入射側の透明基材の表面がこの透明基材の表面に焼結固定された撥水撥油性の透明微粒子で覆われている太陽エネルギー利用装置の製造方法を提供するものである。
【0041】
従って、本発明には、高耐久、高離水性でかつ撥水撥油防汚性能が要求される太陽電池や太陽熱温水器、温室等の太陽エネルギー利用装置において、安価かつ簡便な方法により、耐摩耗性能と高離水性能、防汚性能の向上と共に入射光の表面反射低減効果により、発電効率や集熱効率を向上し、汚れによる劣化を防止できるという作用がある。
【0042】
以下、本発明の詳細を実施例を用いて説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0043】
なお、本発明に関する太陽エネルギー利用装置として、太陽電池、太陽熱温水器、温室は、耐摩耗性能と高離水性能、防汚性能の向上と共に入射光の表面反射低減効果により、発電効率や集熱効率の向上と、汚れによる劣化を防止するという機能の付与方法が、原理的には同じであるので、代表例として、まず太陽電池の光入射側の透明基材がガラスの場合を取り上げて説明する。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
(A)化学吸着液の調製
フッ化炭素基(-CF3)を有するトリアルコキシシラン誘導体の一例であるCF3(CF27(CH22Si(OCH3399重量部、シラノール縮合触媒の一例であるジブチルスズジアセチルアセトナート1重量部をそれぞれ秤量し、有機溶媒の一例であるヘキサメチルジシロキサン溶媒に、トリアルコキシシラン誘導体の濃度が1重量%程度(好ましい濃度は、0.5~3%程度)になるように溶解して、化学吸着液を調製した。
【0045】
(B)撥油性の単分子膜(被膜の一例)で被覆されたシリカ微粒子の製造
透明微粒子の一例である、直径100nm程度(透明度を損なわないためには、微粒子の直径は、可視光波長(380~700nm)より小さいことが好ましい。具体的には、微粒子の直径は5~300nmであることが好ましく、10~100nmであることがより好ましかった)のシリカ微粒子1(図1(a))(透明であればガラス、アルミナ、ジルコニアの微粒子でもよい)をよく乾燥した後、化学吸着液に混合し、普通の空気中(相対湿度45%)で撹拌しながら1時間程度反応させた。シリカ微粒子1の表面にはヒドロキシル基2が多数含まれているので、トリアルコキシシラン誘導体の-Si(OCH33基とヒドロキシル基2が、シラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CH3OH)縮合し、シリカ微粒子1の表面全面に亘り、下式(I)に示したような膜厚約1nmのフッ化炭素基を含む単分子膜3が形成される。
【0046】
【化1】
JP0004654443B2_000002t.gif

【0047】
その後、クロロホルム等の塩素系溶媒で余分な未反応の吸着液を洗浄除去すると、表面全面に亘り表面と化学結合したフッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜で被覆された表面が撥油性のシリカ微粒子4を製造できた(図1(b))。
【0048】
(C)分散液の調製
熱処理によりシリカ系ガラスを生成する金属アルコキシドの一例であるテトラメトキシシラン(Si(OCH34)と、シラノール縮合触媒の一例であるジブチルスズジアセチルアセトナートを、それぞれモル比で99:1となるよう秤量し、有機溶媒の一例であるヘキサメチルジシロキサン溶媒に合計で1重量%程度の濃度(好ましい濃度は、0.5~3%程度)で溶解することにより調製した溶液(ゾルゲル法により透明被膜を形成することができる市販の金属アルコキシド溶液をアルコールで希釈したものを用いてもよい)中に、撥油性の単分子膜3で被覆されたシリカ微粒子4を1重量%程度分散させて、分散液を調製した。
【0049】
(D)透明微粒子を焼結した凹凸基材の製造
透明基材の一例であるガラス基材5(図2(a))の表面に、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法等の任意の方法により分散液を塗布した後、溶媒を蒸発させると、テトラメトキシシランと空気中の水分との反応による加水分解の結果生じたシラノール基がアルコキシシリル基との間で脱アルコール反応し、最終的に膜厚50nm程度のシリカ系ガラス成分を含む塗膜6が形成される。なお、このとき、撥油性の単分子膜3で被覆されたシリカ微粒子4は、溶媒を「弾く」ため、図2(a)に示すように、シリカ系ガラス成分を含む塗膜6中に埋没することなく表面付近に露出するので、シリカ系ガラス成分を含む塗膜6の表面にアスペスト比の高い凹凸を形成することができた。
【0050】
なお、水系溶媒を用いて分散液を作成する場合には、より安価なアルキルトリアルコキシシラン誘導体を用いて、シリカ微粒子1の表面に、例えば下記式(II)で示したような親油性を有する撥水性の被膜を形成することにより、上記の場合と同様に、シリカ系ガラス成分を含む塗膜6の表面にアスペクト比の高い凹凸を形成することができた。
【0051】
【化2】
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【0052】
次に、酸素を含む雰囲気中で600℃30分程度焼成(熱処理)(焼成温度は250℃以上かつガラス基材5及びシリカ微粒子1の融点以下の範囲内で、高いほど微粒子を強固にガラス表面に焼結固定することができる)することにより、ガラス基材5の表面にシリカ系ガラス膜(透明な金属酸化物膜の一例)6aを介してシリカ微粒子1が焼結固定され、表面にナノレベルの凹凸を有するガラス基材7を製造することができた。このとき、シリカ微粒子4表面のフッ化炭素基を含む単分子膜3は、酸素存在下で熱処理することにより完全に分解除去された(図2(b))。なお、焼成温度を250~350℃で行うと、単なる焼結のみで終わるが、350℃を超えると前記単分子膜3を完全に分解除去できた。
【0053】
(E)太陽電池層の作製
次に、表面にナノレベルの凹凸を有するガラス基材7の裏面にスパッタ蒸着法によりITOを蒸着製膜し、ITO透明電極8を形成した。次いでプラズマCVD法を用いて公知の方法でp型アモルファスシリコン層9とn型アモルファスシリコン層10を順に形成し、更にその上に反射膜を兼ねたアルミニウムのバック電極11を蒸着形成して太陽電池層を作製した(図3(a))。ここで、アモルファスシリコンの製膜温度やアルミニウム電極の蒸着温度は、通常450℃(シリカ微粒子1、ガラス基材5及びシリカ系ガラス膜6aの融点よりも低い)以下なので、太陽電池層の作製工程で微粒子を焼結固定したガラス基材7が破壊されることはなかった。
【0054】
(F)撥水撥油防汚性ガラス板の製造
最後に、撥水撥油防汚性のフッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体(例えばCF3(CF27(CH22SiCl3)を1重量%程度の濃度で非水系有機溶媒(例えば、脱水したノナン)に溶かして調製した膜形成溶液を、乾燥雰囲気中(相対湿度30%以下が好ましかった。)で、表面にナノレベルの凹凸を有するガラス基材7の光入射14面側表面に塗布し反応させると、表面にナノレベルの凹凸を有するガラス基材7表面のシリカ微粒子1は多数のヒドロキシル基(-OH)で覆われているので、前記膜形成溶液のクロロシリル基(SiCl)基とシリカ微粒子1の表面のヒドロキシル基とで脱塩酸反応が生じ、シリカ微粒子1の表面全面に亘り、前記式(I)に示した共有結合が形成される。その後、フロン系の溶媒で洗浄し、未反応のトリクロロシラン誘導体を除去すると、撥水撥油防汚性被膜の一例である撥水撥油防汚性単分子膜12でシリカ微粒子1の一部分及びシリカ系ガラス膜6aの表面が被覆された、表面に凹凸を有する撥水撥油防汚性単分子膜で被覆された太陽電池13を製造できた((図3(b))。ここで、矢印14は、光の入射方向を示す。
【0055】
ここで、ガラス基材5表面のシリカ微粒子1は、シリカ系ガラス膜6aを介してガラス板表面に焼結固定されており、焼結固定されたシリカ系微粒子1の露出した表面及びシリカ系ガラス膜6aの露出した表面は、全面フッ化炭素基を含む単分子膜12で被覆されている(共有結合されている)。また、フッ化炭素基を含む単分子膜12の膜厚は、ガラス基材5表面のシリカ微粒子1の大きさよりも遥かに小さい1nm程度である。そのため、透明微粒子を焼結した凹凸基材7の表面に凹凸を保持したまま撥水撥油性が付与された結果、いわゆる「蓮の葉効果」により水滴接触角がおよそ160度の超撥水性を実現することができた。
【0056】
ちなみに、フッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体CF3(CF27(CH22SiCl3を用いて平坦な基材表面に単分子膜を形成すると、臨界表面エネルギーは6~7mN/mになり、最大水滴接触角は115度程度であった。
すなわち、本発明の方法で作製した透明基材表面は、格段に表面エネルギーが小さくなり(平均3mN/m以下)、離水性能や防汚性能が極めて高い表面を実現できた。
【0057】
更に、シリカ微粒子は、ガラスよりも硬度が高く、アルカリ成分の含有量もほとんどなく、しかも透明基材表面に焼結固定されているため、直接透明ガラス基材表面にCF3(CF27(CH22SiCl3を用いて作成された単分子膜に比べて耐摩耗性能や耐水性能が高く、耐候性を大幅に向上できた。
【0058】
また、得られた単分子膜12の厚さは微粒子1を含めてもトータルで100nm程度であるため、透明性が損なわれることもなかった。
更に、撥油性単分子膜3で被覆されたシリカ微粒子4は、ナノ粒子の付着密度を制御することで表面屈折率を1.3~1.5の範囲で自由に制御できたので、光入射面の表面反射を極小にすることができた。
【0059】
なお、上記実施例1では、撥水撥油防汚性単分子膜12の形成のために、フッ化炭素基を有するトリアルコキシシラン誘導体CF3(CF27(CH22Si(OCH33を用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)~(12)に示したトリアルコキシシラン誘導体を使用することができた。
【0060】
(1) CF3CH2O(CH215Si(OCH33
(2) CF3(CH23Si(CH32(CH215Si(OCH33
(3) CF3(CF25(CH22Si(CH32(CH29Si(OCH33
(4) CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH29Si(OCH33
(5) CF3COO(CH215Si(OCH33
(6) CF3(CF25(CH22Si(OCH33
(7) CF3CH2O(CH215Si(OC2H53
(8) CF3(CH23Si(CH32(CH215Si(OC2H53
(9) CF3(CF25(CH22Si(CH32(CH29Si(OC2H53
(10) CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH29Si(OC2H53
(11) CF3COO(CH215Si(OC2H53
(12) CF3(CF25(CH22Si(OC2H53
【0061】
また、親油性を有し撥水性のトリアルコキシシラン誘導体として、アルキルトリアルコキシシラン誘導体であるCH3(CH29Si(OCH33を使用したが、前記以外にも、下記(21)~(32)に示したアルキルトリアルコキシシラン誘導体を使用することができた。
【0062】
(21) CH3CH2O(CH215Si(OCH33
(22) CH3(CH23Si(CH32(CH215Si(OCH33
(23) CH3(CH25(CH22Si(CH32(CH29Si(OCH33
(24) CH3(CH29Si(CH32(CH29Si(OCH33
(25) CH3COO(CH215Si(OCH33
(26) CH3(CH27Si(OCH33
(27) CH3CH2O(CH215Si(OC2H53
(28) CH3(CH23Si(CH32(CH215Si(OC2H53
(29) CH3(CH27Si(CH32(CH29Si(OC2H53
(30) CH3(CH29Si(CH32(CH29Si(OC2H53
(31) CH3COO(CH215Si(OC2H53
(32) CH3(CH27Si(OC2H53
【0063】
実施例1において、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類を使用することが可能である。更に具体的には、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジ-プロピルチタネートを使用することが可能であった。
【0064】
なお、実施例1において、下記(41)~(45)に示したフッ化炭素基を有するトリクロロシラン誘導体及び(46)~(52)に示したフッ化炭素基を含むトリイソシアネートシラン誘導体を使用することができ、この場合シラノール縮合触媒は不要であった。
【0065】
(41) CF3CH2O(CH215SiCl3
(42) CF3(CH23Si(CH32(CH215SiCl3
(43) CF3(CF25(CH22Si(CH32(CH29SiCl3
(44) CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH29SiCl3
(45) CF3COO(CH215SiCl3
(46) CF3(CF25(CH22Si(NCO)3
(47) CF3CH2O(CH215Si(NCO)3
(48) CF3(CH23Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(49) CF3(CF25(CH22Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(50) CF3(CF27(CH22Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(51) CF3COO(CH215Si(NCO)3
(52) CF3(CF25(CH22Si(NCO)3
【0066】
また、膜形成溶液の溶媒としては、トリアルコキシシラン誘導体、トリクロロシラン誘導体、トリイソシアネートシラン誘導体のいずれの場合も、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させてフッ化炭素基を含む単分子膜を形成させる場合には、溶媒の沸点は50~250℃程度であることが好ましい。
【0067】
具体的に使用可能な溶媒としては、クロロシラン誘導体の場合は、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0068】
更に、アルコキシシラン誘導体を用いて溶媒の蒸発のみでフッ化炭素基を含む単分子膜を形成させる場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物が使用できた。
【0069】
また、使用可能なフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。更に、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加してもよい。
【0070】
上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、TiO2等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物をシラノール縮合触媒として用いた場合、上述のシラノール縮合触媒と同濃度の条件下で、反応時間を半分~2/3程度まで短縮できた。
【0071】
更に、ケチミン化合物、有機酸、TiO2等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は複数を、助触媒として上述のシラノール縮合触媒と共に用いることにより(シラノール縮合触媒と助触媒は、モル比1:9~9:1範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)、反応を更に数倍早くでき、製膜工程に要する時間を数分の一まで短縮できる。
【0072】
例えば、シラノール縮合触媒であるジブチルスズオキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換えた以外は同一の条件下で反応を行ったところ、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0073】
更に、助触媒としてケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3を、シラノール縮合触媒であるジブチルスズビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換えた以外は同一の条件下で反応を行ったところ、反応時間を20分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0074】
従って、以上の結果から、ケチミン化合物、有機酸、TiO2等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物は、シラノール縮合触媒よりも活性が高く、これらの化合物からなる群より選択された1つを助触媒としてシラノール縮合触媒を共に用いると、更に活性が高くなることが確認された。
【0075】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8-トリアザ-1,8-ノナジエン、3,11-ジメチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、2,10-ジメチル-3,6,9-トリアザ-2,9-ウンデカジエン、2,4,12,14-テトラメチル-5,8,11-トリアザ-4,11-ペンタデカジエン、2,4,15,17-テトラメチル-5,8,11,14-テトラアザ-4,14-オクタデカジエン、2,4,20,22-テトラメチル-5,12,19-トリアザ-4,19-トリエイコサジエン等がある。
【0076】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸等の一塩基酸、酪酸等のヒドロキシル酸、マロン酸等の二塩基酸を用いることができ、これらはいずれもほぼ同様の効果があった。
【0077】
また、上記実施例では、シリカ微粒子を例として説明したが、本発明は、表面に活性水素、すなわちヒドロキシル基の水素やアミノ基あるいはイミノ基の水素などを含んだ透明微粒子であれば、どのような透明微粒子にでも適用可能であった。
【0078】
具体的には、ガラス基材より硬い透明微粒子として、シリカ以外に、アルミナやジルコニア等が適用可能であることは言うまでもない。
【0079】
(実施例2)
実施例1で作成した透明基材と同条件で作成した、水滴接触角が160度程度(実用上、水滴接触角が130度以上であれば同様の効果が得られた。)のガラス板を太陽熱温水器に装着し屋外で実用化試験を行ったところ、空気中の粉塵や雨水による汚れもほとんど付着せず、普通のガラスを装着した場合に比べて平均5%程度集熱効率を向上できた。また、集熱効率の経時劣化も、普通のガラスを装着した場合に比べて、数十分の一まで低減できた。
【0080】
以上の実験結果は、本発明の太陽エネルギー利用装置の一例である太陽電池や太陽熱温水器がきわめて耐久性が高く高効率であることを示している。
【0081】
なお、以上の実施例では、太陽電池や太陽熱温水器の用途について開示したが、本発明の応用は、これら用途に限定されるものではなく、太陽エネルギーを利用する機器、例えば温室等にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1において、シリカ微粒子表面に撥油性のフッ化炭素基を含む単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のシリカ微粒子の断面図、(b)はフッ化炭素基を含む単分子膜が形成された後のシリカ微粒子の断面図である。
【図2】本発明の実施例1において、表面にフッ化炭素基を含む単分子膜を形成したシリカ微粒子を用い、表面がナノメータレベルで凸凹な透明ガラス基材を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した断面概念図であり、(a)はフッ化炭素基を含む単分子膜で被覆されたシリカ微粒子とシリカ系ガラス成分を含む塗膜を形成した状態を示す断面図であり、(b)は焼成後、単分子膜が除去された状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1において、表面が凸凹のガラス基材裏面に太陽電池層を形成する工程を説明するための概念図であり、(a)は裏面に太陽電池層を形成した状態の断面図、(b)は更に表面に撥水撥油防汚性単分子膜を形成した状態の断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1:シリカ微粒子、2:ヒドロキシル基、3:フッ化炭素基を含む単分子膜、4:撥油性単分子膜で被覆されたシリカ微粒子、5:ガラス基材、6:シリカ系ガラス成分を含む塗膜、6a:シリカ系ガラス膜、7:表面がナノレベルで凹凸なガラス基材、8:ITO透明電極、9:p型アモルファスシリコン層、10:n型アモルファスシリコン層、11:Al蒸着バック電極、12:撥水撥油防汚性単分子膜、13:表面が凹凸の撥水性単分子膜で覆われた太陽電池、14:光入射
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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