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Specification :(In Japanese)超音波形質転換法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5201497
Publication number P2007-300915A
Date of registration Feb 22, 2013
Date of issue Jun 5, 2013
Date of publication of application Nov 22, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)超音波形質転換法
IPC (International Patent Classification) C12N  15/09        (2006.01)
A01H   1/00        (2006.01)
A01H   5/00        (2006.01)
FI (File Index) C12N 15/00 ZNAA
A01H 1/00 A
A01H 5/00 A
Number of claims or invention 38
Total pages 33
Application Number P2007-099922
Date of filing Apr 5, 2007
Application number of the priority 2006107585
Priority date Apr 10, 2006
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Mar 10, 2010
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】萩尾 高志
Representative (In Japanese)【識別番号】100078282、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 秀策
【識別番号】100062409、【弁理士】、【氏名又は名称】安村 高明
【識別番号】100113413、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 夏樹
Examiner (In Japanese)【審査官】名和 大輔
Document or reference (In Japanese)特表2005-534299(JP,A)
Biotech.Adv.,2006,24(1),p.1-16
J.Exp.Bot.,2001,52(358),p.1135-42
Field of search C12N 15/00-15/90
CAplus/BIOSIS/MEDLINE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
WPI
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
核酸を植物細胞内に導入する方法であって、以下:
a)該植物細胞と該核酸との混合物を調製する工程、
b)該混合物を減圧処理する工程
c)該混合物を超音波処理する工程;および
d)該混合物をエレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程、
を包含する方法。
【請求項2】
前記超音波処理工程が2~4W/cm2の出力で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超音波処理工程が4W/cm2の出力で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波処理工程が3分間~6分間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波処理工程が6分間行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波処理工程の周波数が0.1MHz~10MHzである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記超音波処理工程の周波数が1MHzである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記減圧処理する工程が、大気圧よりも0.02MPa低い減圧下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記減圧処理する工程が、大気圧よりも0.096MPa低い減圧下で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記植物細胞が、植物の休眠組織の細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記植物の休眠組織が種子である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記植物の種子が完熟種子である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記植物細胞が、単子葉植物由来である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記単子葉植物がイネ科植物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イネ科植物がコムギである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記イネ科植物がイネである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記イネ科植物がトウモロコシである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記植物細胞が、双子葉植物由来である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記双子葉植物がマメ科植物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マメ科植物がダイズである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記双子葉植物がアブラナ科植物である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記アブラナ科植物がハクサイである、請求項21の方法。
【請求項23】
前記アブラナ科植物がシロイヌナズナである、請求項21の方法。
【請求項24】
前記双子葉植物がヒルガオ科植物である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記ヒルガオ科植物がアサガオである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記双子葉植物がナス科植物である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記ナス科植物がトマトである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記双子葉植物がウリ科植物である、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記ウリ科植物がウリである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記超音波処理工程が非接触超音波処理工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記非接触超音波処理工程が0.01~1.0W/cm2の出力で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記非接触超音波処理工程が0.543W/cm2の出力で行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記超音波処理工程が1秒~60分行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記超音波処理工程が6分間行われる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記超音波処理工程の周波数が0.1MHz~10MHzである、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記超音波処理工程の周波数が1MHzである、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
形質転換植物を作製する方法であって、以下の工程:
e)請求項1に記載の方法によって、形質転換された種子を作製する工程;および
f)該種子を成長させる工程、
を包含する方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、前記植物細胞を、分化、成長および/または増殖させる工程をさらに包含する、方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波処理を用いて、所望の核酸を細胞および/または組織に導入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズなどの主要穀物は人類の生存にとって必須のものであるが、世界的な人口増加に見合った食料を確保していくためには、現在より収量の多い作物を開発していく必要がある。収率を上げる品種改良の一つとして、組換えDNA技術を用いた形質転換作物の開発が行われている。
【0003】
また、例えば、ハクサイ、トマト、キュウリなどの野菜類は食生活を豊かにし、栄養面でも必須の作物である。しかしながら、これらの野菜は様々な病虫害に弱く、遺伝子組換え技術の利用により耐病虫害性を付与することができるならば、収穫量を安定させることが可能となる。そのため、有用な遺伝子の単離と共にこれらの遺伝子を用いる形質転換方法が開発されてきた。
【0004】
形質転換を行うためには、植物の場合、一般に、植物に対して直接的に遺伝子導入を行う方法(直接的遺伝子導入法)、または植物に対して間接的に遺伝子導入を行う方法(間接的遺伝子導入法)が行われる。
【0005】
現在までに、間接的な遺伝子導入法として、アグロバクテリウムを利用した方法が広く利用されている。例えばイネの完熟種子を培養して3週間後に得られたカルスに対してアグロバクテリウムを感染させる方法(非特許文献1を参照)あるいは、数日間、前培養した種子に対してアグロバクテリウムを感染させて形質転換体を迅速に得ることができる方法(特許文献1を参照)を挙げることができる。しかし、間接的遺伝子導入法を用いた場合、培養時間を短くすると、遺伝子導入ができなくなるか、または遺伝子導入効率が低下するという欠点がある。
【0006】
また、コムギについては、従来:(1)コムギの形質転換については、品種間差が大きく、培養に必要な期間も長いという問題があったこと(非特許文献2を参照);(2)コムギの形質転換においてアグロバクテリウムを利用する方法は成功していなかったこと(非特許文献2);ならびに、(3)コムギの形質転換では、その対象に開花後10日から2週間程度の未熟胚を用いなければならないという材料調製の困難性に加え、形質転換頻度が低いことなどから未だにパンコムギ等のコムギの形質転換は敬遠されがちであるという現状がある。
【0007】
そこで、従来の遺伝子導入法の欠点を改善する必要がある。また、簡便かつ大量処理が可能な遺伝子導入法を開発することも望まれている。従って、本発明は、植物形質転換体を得ることが必要な産業分野のみならず、植物を用いる開発研究においても大量処理・大量解析を容易にせしめ、ひいては飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え作物の開発につながる。

【特許文献1】特許第3141084号明細書
【非特許文献1】Hieiら,Plant Journal,6:271-282,1994
【非特許文献2】Biotechnology in Agriculture and Forestry 46、Trangenic Crops I、Y.P.S.Bajaj編、Springer社発行、2000年、特に33頁のT.A.Loebによる記載
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、簡便、迅速かつ高効率な遺伝子導入法が確立されていないという上記現状に鑑み、当該分野において、簡便、迅速かつ高効率な遺伝子導入法を提供することである。
【0009】
簡便かつ迅速な本発明の方法を用いることによって、形質転換植物体を、迅速かつ大量に得ることが可能になる。従って、本発明は、植物形質転換体を得ることが必要な産業分野のみならず、植物を用いる開発研究においても大量処理・大量解析を容易にせしめ、ひいては飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え作物の開発につながる。さらに、植物のみならず、動物細胞、細菌細胞へのより効率的な遺伝子導入法も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、a)細胞と核酸との混合物を調製する工程;b)混合物を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;および、c)該混合物を超音波処理する工程、を包含する形質転換法を開発することによって達成された。また、上記方法においては、b)混合物を大気圧と異なる圧力下に維持する工程は必ずしも必要ではない。従って、本発明は、a)細胞と核酸との混合物を調製する工程;および、c)該混合物を超音波処理する工程、を包含する形質転換法をも提供する。
【0011】
一つの実施形態では、本発明の方法は、植物細胞(例えば、完熟種子)を用いて実施される。
【0012】
具体的には、発明者は、細胞中に遺伝子導入を行う際に、核酸が取り込まれやすいように細胞を処理する方法として各種試みた。その結果、細胞および/または組織を超音波処理することによって遺伝子導入が可能であることを見出した。さらに、発明者は、超音波処理を加圧または減圧処理と組み合わせることによって、さらに高効率の遺伝子導入が可能であることを見出した。また、発明者は、超音波処理をエレクトロポーレーションと組み合わせることによっても、細胞への高効率の遺伝子導入が可能であることを見出した。さらに、超音波処理を、超音波発信部分(プローブ)と、生物材料(例えば、細胞)または超音波処理用の緩衝液とを接触させない非接触超音波処理とすることによって、超音波発信プローブを洗浄する工程を省き、他の試料に由来する汚染が全く無い、より簡便な遺伝子導入法を確立した。
【0013】
従来法として、アグロバクテリウムを介したダイズへの間接的遺伝子導入法では、アグロバクテリウムの侵入を補助する手段としての宿主細胞を傷つける方法として超音波を用いることが開示されている(特表2002-534129)。しかし、超音波と加圧・減圧および/またはエレクトロポーレーションなどの直接的遺伝子導入法を組み合わせることによって遺伝子導入効率が顕著に上昇すること、およびそのような組み合わせによって高効率の遺伝子導入が可能であることについては、教示も示唆もされていなかった。
【0014】
本発明は、植物細胞のような細胞壁を有し形質転換が比較的困難な細胞に対しても、簡便かつ迅速な直接的遺伝子導入法を提供するものである。さらに、本発明は、植物細胞のみならず任意の細胞に対して行われ得る。本発明の形質転換法の対象となる細胞としては、動物細胞(例えば、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、魚類細胞、両生類細胞が挙げられるが、これに限定されない)、真菌細胞、細菌細胞が挙げられるが、これに限定されない。
【0015】
本方法は極めて簡便である。さらに、本発明の方法は、核酸導入操作後に通常必要な培養過程を必要としないため、得られる形質導入体が培養変異を含まないという利点も有する。従来の核酸導入操作後に必要とされた培養過程では、必然的に、培養変異が起こることが知られている。培養変異とは、当業者が通常理解し得る通り、培養過程で生じる遺伝学的変異を意味し、培養過程の間に、核酸導入される細胞がもともと有していた核酸配列および/または導入する核酸配列において生じる任意の配列改変(例えば、置換、欠失、挿入、転座、逆位、重複など)をいう。意図されない培養変異は、核酸導入した核酸導入体に望ましくない形質を付与することが多い。従って、この培養変異を全く起こさずに所望の核酸導入体を得ることができる本発明の方法は、非常に有益である。
【0016】
本発明はまた、従来の間接的遺伝子導入法で必須とされていた、数日~数週間の対象細胞(組織)の前培養を必要とせず、その結果、従来法よりも迅速に遺伝子導入が可能であるという利点を提供する。
【0017】
従って、本発明は以下を提供する。
(項目1)
核酸を細胞内に導入する方法であって、以下:
a)その細胞とその核酸との混合物を調製する工程、
b)その混合物を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;および
c)その混合物を超音波処理する工程、
を包含する方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、さらに、以下:
d)上記混合物をエレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程、
を包含する方法。
(項目3)
上記超音波処理工程が2~4W/cm2の出力で行われる、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記超音波処理工程が4W/cm2の出力で行われる、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記超音波処理工程が3分間~6分間行われる、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記超音波処理工程が6分間行われる、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記超音波処理工程の周波数が0.1MHz~10MHzである、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記超音波処理工程の周波数が1MHzである、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程が、上記細胞を減圧処理する工程である、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程が、上記細胞を加圧処理する工程である、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記減圧処理する工程が、大気圧よりも0.02MPa低い減圧下で行われる、項目9に記載の方法。
(項目12)
上記減圧処理する工程が、大気圧よりも0.096MPa低い減圧下で行われる、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記細胞が植物細胞である、項目1に記載の方法。
(項目14)
上記植物細胞が、植物の休眠組織の細胞である、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記植物の休眠組織が種子である、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記植物の種子が完熟種子である、項目15に記載の方法。
(項目17)
上記植物細胞が、単子葉植物由来である項目13に記載の方法。
(項目18)
上記単子葉植物がイネ科植物である、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記イネ科植物がコムギである、項目18に記載の方法。
(項目20)
上記イネ科植物がイネである、項目18に記載の方法。
(項目21)
上記イネ科植物がトウモロコシである、項目18に記載の方法。
(項目22)
上記植物細胞が、双子葉植物由来である項目13に記載の方法。
(項目23)
上記双子葉植物がマメ科植物である、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記マメ科植物がダイズである、項目23に記載の方法。
(項目25)
上記双子葉植物がアブラナ科植物である、項目22に記載の方法。
(項目26)
上記アブラナ科植物がハクサイである、項目25の方法。
(項目27)
上記アブラナ科植物がシロイヌナズナである、項目25の方法。
(項目28)
上記双子葉植物がヒルガオ科植物である、項目22に記載の方法。
(項目29)
上記ヒルガオ科植物がアサガオである、項目28に記載の方法。
(項目30)
上記双子葉植物がナス科植物である、項目22に記載の方法。
(項目31)
上記ナス科植物がトマトである、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記双子葉植物がウリ科植物である、項目22に記載の方法。
(項目33)
上記ウリ科植物がウリである、項目32に記載の方法。
(項目34)
上記細胞が昆虫細胞である、項目1に記載の方法。
(項目35)
上記昆虫細胞がカイコ細胞である、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記超音波処理工程が非接触超音波処理工程である、項目1に記載の方法。
(項目37)
上記非接触超音波処理工程が0.01~1.0W/cm2の出力で行われる、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記非接触超音波処理工程が0.543W/cm2の出力で行われる、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記超音波処理工程が1秒~60分行われる、項目36に記載の方法。
(項目40)
上記超音波処理工程が6分間行われる、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記超音波処理工程の周波数が0.1MHz~10MHzである、項目36に記載の方法。
(項目42)
上記超音波処理工程の周波数が1MHzである、項目36に記載の方法。
(項目43)
形質転換植物を作製する方法であって、以下の工程:
e)項目1に記載の方法によって、形質転換された種子を作製する工程;および
f)その種子を成長させる工程、
を包含する方法。
(項目44)
項目43に記載の方法であって、上記植物細胞を、分化、成長および/または増殖させる工程をさらに包含する、方法。
(項目45)
項目43に記載の方法によって作製された、植物。
(項目46)
培養変異を含まない、項目45に記載の植物。
【0018】
さらに、本発明の方法は、遺伝子導入のみならず、遺伝子以外の物質(例えば、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、糖、多糖、オリゴ糖、糖タンパク質、グリコプロテイン、低分子化合物など)を細胞に導入するためにも使用することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の遺伝子導入方法によって、対象となる細胞(組織)に対して、迅速かつ高効率な間接的遺伝子導入が可能となる。
【0020】
簡便な本発明の方法は、この分野の開発研究において重要な大量処理・大量解析を容易にせしめ、ひいては飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え体の開発につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
【0022】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0023】
本明細書において、用語「核酸導入」とは、人為的に核酸を細胞内または組織内に導入することを意味する。「核酸導入」によって核酸を導入した細胞または組織の表現型は、変化しても変化しなくても良い。本明細書において、用語「遺伝子導入」とは、遺伝形質を規定する因子である遺伝子を含む核酸を、人為的に細胞内または組織内に導入することを意味する。「遺伝子導入」によって遺伝子を含む核酸を導入した細胞または組織の表現型は、変化しても変化しなくても良い。本明細書において、用語「形質転換」とは、細胞内または組織内に、遺伝子を含む核酸を導入することによって、その細胞またはその組織の表現型に変化を生じることを意味する。ただし本明細書では、用語「核酸導入」と「遺伝子導入」と「形質転換」とが互換可能に使用される場合がある。本明細書中において、これらの用語が指す意味は、その用語が含まれる文脈から明らかである。
【0024】
用語「核酸導入体」、「遺伝子導入体」および「形質転換体」とは、それぞれ、核酸導入、遺伝子導入、および形質転換された細胞または組織から発生する生命体の全部または一部をいう。ただし本明細書では、用語「核酸導入体」と「遺伝子導入体」と「形質転換体」とが互換可能に使用される場合がある。本明細書中において、これらの用語が指す意味は、その用語が含まれる文脈から明らかである。核酸導入体、遺伝子導入体、および形質転換体は、任意の生命体であり得、例えば、原核細胞、および真核細胞(植物細胞等を含む)または組織から発生する生命体が例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれ、本明細書においてそれらの形態をすべて包含するが、特定の文脈において特定の形態を指し得る。同様のことが、核酸導入体および遺伝子導入体においても当てはまる。
【0025】
用語「細胞」は、どの生物由来の細胞、たとえば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(たとえば、哺乳動物細胞、鳥類細胞、魚類細胞、および両生類細胞などの脊椎動物、ならびに昆虫細胞などの無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)、真菌類(例えば、キノコ、カビ、酵母など)、単細胞生物(例えば、細菌(例えば、大腸菌)など)由来の細胞)でもよい。好ましくは、本発明において使用される細胞は、細胞壁を有する細胞であり、特に好ましくは、植物細胞である。
【0026】
本明細書において「組織」(tissue)とは、多細胞生物において、実質的に同一の機能および/または形態をもつ細胞集団をいう。通常「組織」は、同じ起源を有するが、異なる起源を持つ細胞集団であっても、同一の機能および/または形態を有するのであれば、組織と呼ばれ得る。通常、組織は、器官の一部を構成する。植物では、構成細胞の発達段階によって分裂組織と永久組織とに大別され、また構成細胞の種類によって単一組織と複合組織とに分けるなど、いろいろな分類が行われている。動物の組織は,形態的、機能的または発生的根拠に基づき、上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織などに区別される。
【0027】
本明細書中において、用語「組織」は、どの生物由来のどの組織(たとえば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(たとえば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)、真菌類など)由来の組織)でもよい。好ましくは、本発明において使用される組織は、細胞壁を含む組織であり、特に好ましくは、植物組織である。「植物組織」としては、休眠組織、生殖質、生長点、および花芽が挙げられるが、これに限定されない。好ましい休眠組織としては、完熟種子、未熟種子、冬芽、および塊茎が挙げられ、特に好ましくは完熟種子であるが、これに限定されない。
【0028】
用語「器官」は、生物個体のある機能が個体内の特定の部分に局在して営まれ,かつその部分が形態的に独立性をもっている構造体をいう。一般に多細胞生物(例えば、動物、植物、真菌類)では器官は特定の空間的配置をもついくつかの組織からなり、組織は多数の細胞からなる。そのような器官としては、植物の場合には、根、葉、茎、および花などが挙げられ、動物の場合には、皮膚、心臓、血管、角膜、網膜、腎臓、肝臓、膵臓、腸、胎盤、臍帯、肺、脳、神経、四肢末梢などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
本明細書において使用する場合、用語「選抜」とは、抗生物質に対する耐性検定および/または遺伝子工学的手法(例えば、PCR、サザンブロット法、ノーザンブロット法など)によって、核酸導入された核酸導入体を、核酸導入されていないものと区別することを意味する。特定の場合では、用語「選抜」は、形質転換植物を薬物存在下で培養および/または育成することによって、薬物耐性遺伝子によって形質転換された形質転換体を、形質転換されていない植物とを区別する工程を意味する。
【0030】
単子葉植物に所望の組換え遺伝子を導入するために、所望の組換え遺伝子を含む適切な植物発現用ベクターが構築される。このような植物発現用ベクターは、当業者に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。
【0031】
本明細書において使用する場合、「成長調節因子」とは、多細胞の成長に影響を与える因子であって、多細胞生物(例えば、植物)の器官や細胞で合成され、体液によって他の器官や部分に運ばれる化学物質またはその誘導体であって、1つまたは数多くの器官の機能、活性および/または構造を変える作用を有する物質をいう。植物細胞に対する成長調節因子を、植物成長調節因子という。植物成長調節因子としては、植物ホルモンが挙げられるが、これに限定されない。植物ホルモンとしては、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸、およびエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。オーキシンとしては、2,4-DおよびIAA(インドール酢酸)、NAA(ナフタリン酢酸)、およびIBA(インドール酪酸)が挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
本明細書において使用する場合、用語「超音波処理」とは、周波数が可聴周波領域(下限:16~20Hz、上限:16~20kHz)を超える弾性波であり、音波の一部である。本発明において用いる超音波の周波数は、100kHz~10MHz、好ましくは500kHz~5MHz、より好ましくは700kHz~3MHz、さらにより好ましくは900kHz~2MHz、最も好ましくは1MHzであるが、これらに限定されない。当業者は、適宜最適な周波数を選択することが可能である。
【0033】
本発明の超音波処理に用いる出力は、10mW~10W/cm2、好ましくは20mW~8W/cm2、より好ましくは50mW~6W/cm2、さらにより好ましくは0.1~4W/cm2最も好ましくは4W/cm2であるが、これらに限定されない。当業者は、適宜最適な超音波の出力を選択することが可能である。
【0034】
本発明の超音波処理の時間としては、1分間~30分間、好ましくは2分間~20分間、より好ましくは3分間~15分間、なおより好ましくは5分間~10分間、最も好ましくは6分間であるが、これらに限定されない。当業者は、適宜最適な超音波処理時間を選択することが可能である。
【0035】
本発明の一実施形態において、上記超音波処理は、非接触超音波処理であり得る。本明細書において使用する場合、用語「非接触超音波処理」とは、超音波発信プローブと、生物材料(例えば、細胞)または超音波処理用の緩衝液とを接触させない様式における超音波処理をいう。非接触超音波処理には、慣習的に行われている、処理終了後の洗浄工程(例えば、洗剤またはエタノール等による)を行う必要がなくなり、さらにより簡便な作業によって高効率の形質転換を行うことができるという利点がある。
【0036】
本発明の非接触超音波処理における超音波は、周波数が可聴周波領域(下限:16~20Hz、上限:16~20kHz)を超える弾性波であり、音波の一部である。本発明の非接触超音波処理において用いる超音波の周波数は、100kHz~10MHz、好ましくは500kHz~5MHz、より好ましくは700kHz~3MHz、さらにより好ましくは900kHz~2MHz、最も好ましくは1MHzであるが、これらに限定されない。当業者は、適宜最適な周波数を選択することが可能である。
【0037】
本発明の非接触超音波処理に用いる出力は、1mW~10W/cm2、好ましくは20mW~8W/cm2、より好ましくは50mW~6W/cm2、さらにより好ましくは0.1~4W/cm2、最も好ましくは0.543W/cm2(総出力約700W)であるが、これらに限定されない。当業者は、適宜最適な超音波の出力を選択することが可能である。
【0038】
本発明の非接触超音波処理の時間としては、1秒間~60分間、好ましくは2分間~20分間、より好ましくは3分間~15分間、なおより好ましくは5分間~10分間、最も好ましくは6分間であるがこれらに限定されない。当業者は、適宜最適な超音波処理時間を選択することが可能である。
【0039】
本明細書において使用する場合、用語「エレクトロポーレーション」とは、直流の高電圧パルスを用いて物理的に細胞(例えば、植物細胞)に小孔をあけ、そこから核酸(例えば、遺伝子を含む核酸)を細胞内に導入する方法をいう。エレクトロポーレーションの条件は、使用する種、組織、細胞などに依存して、当業者が適宜選択し得る。代表的なエレクトロポーレーションの電圧の条件は、10V/cm~200V/cm、好ましくは20V/cm~150V/cm、より好ましくは30V/cm~120V/cm、なおより好ましくは40V/cm~100V/cm、最も好ましくは50V/cm~100V/cmであるが、これらに限定されない。代表的なエレクトロポーレーションのパルス幅の条件は、1マイクロ秒~100ミリ秒、好ましくは100マイクロ秒~90ミリ秒、なお好ましくは500マイクロ秒~80ミリ秒、なおより好ましくは1ミリ秒~70ミリ秒、さらになおより好ましくは10ミリ秒~60ミリ秒、最も好ましくは50ミリ秒であるが、これらに限定されない。代表的なエレクトロポーレーションのパルスの回数は、1回~200回、好ましくは10回~150回、より好ましくは20回~120回、なおより好ましくは30回~110回、最も好ましくは40回~100回であるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において使用する場合、句「細胞(または組織)と核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する」とは、細胞(または組織)と核酸とを、それらの間でエレクトロポーレーションが起きる(すなわち、細胞(または組織)への核酸導入が起こる)ために必須のすべての条件(電圧条件、パルス幅条件、パルス回数条件、細胞(または組織)と核酸との間の位置関係、エレクトロポーレーションの実行時間などを含む)を備えた状態に配置することを意味する。エレクトロポーレーションが起きるために必須の条件は、当業者に容易に明らかであり、当業者はその条件を適宜決定し得る。
【0041】
さらに、本発明に従ってエレクトロポーレーションを行う際に、細胞(または組織)と核酸とに、少なくとも二種類の方向で電圧パルスをかけることが好ましい。最も簡単には、細胞(または組織)と核酸とに一定時間電圧パルスをかけた後で、その電圧パルス処理に使用した電極のアノードとカソードとを逆にして電圧パルスをかけ直すことによって、これは達成され得る。さらにこれは、エレクトロポーレーションチャンバー内で別の位置に配置された電極対を使用しても達成され得る。このようにして少なくとも二種類の方向で電圧パルスをかけることによって、核酸導入効率が顕著に高まる。
【0042】
本発明においてエレクトロポーレーションを行う際に使用されるエレクトロポーレーションチャンバーは、核酸導入の対象となる細胞および/または組織を収容できるものであれば、どのような大きさであってもよい。特に好ましくは、エレクトロポーレーションチャンバーは、植物組織(例えば、植物種子)を収容し得る大きさを有する。本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、任意の形状であり得る。この形状としては、立方体、直方体、円筒形、チューブ形(例えば、胴体が均一であるかまたは均一でない横断面を有し、かつ底が先細りしてもしなていなくてもよい形状)などが挙げられるが、これらに限定されない。植物種子を収容し得る大きさであるために、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径は、例えば、以下の長さであり得る:少なくとも約5mmであるかまたは約5mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6mmであるかまたは約6mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7mmであるかまたは約7mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8mmであるかまたは約8mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9mmであるかまたは約9mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約1cmであるかまたは約1cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約2cmであるかまたは約2cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約3cmであるかまたは約3cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約4cmであるかまたは約4cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約5cmであるかまたは約5cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6cmであるかまたは約6cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7cmであるかまたは約7cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8cmであるかまたは約8cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9cmであるかまたは約9cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約10cmであるかまたは約10cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約15cmであるかまたは約15cmよりも長い、そして好ましくは、少なくとも約20cmであるかまたは約20cmよりも長い。本発明のエレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径の上限は、例えば、以下であり得るが、これらに限定されない:約25cm、約20cm、約15cm、約10cm、約9cm、約8cm、約7cm、約6cm、約5cm、約4cm、約3cm、約2cm、約1cm、約9mm、約8mm、約7mm、または約6mm。当然ながら、この長さは、上記に明示した数値の間の長さ(例えば、1.5cmなど)であり得る。本明細書中において「内接円」とは、チャンバー容器の内面上における少なくとも3つの任意の点に接するように描かれる任意の円を指す。ここで、チャンバー内に配置された電極も容器の一部とみなされ、従って、チャンバー容器の内面は、電極表面も含む。ただし、代表的に、使用される電極の厚みは、無視できるほど非常に薄い(例えば、0.1mmなど)。
【0043】
一つの局面において、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、四角形の横断面を有し、かつ内寸(例えば、縦×横×高さ)が、1cm×2cm×2cmである。別の局面では、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、円形の横断面を有し、かつ内寸(例えば、直径×高さ)が、1cm×4cmである。ここで、電極の占める領域は、チャンバーの内寸から除かれる。ただし上記の通り、代表的に、使用される電極の厚みは、無視できるほど非常に薄い。本明細書中において横断面とは、チャンバーの長軸方向に直交する断面をいう。本明細書中において内寸とは、チャンバー容器内面上の任意の2点を結ぶ長さを指し、特に、四角形の横断面を有するチャンバーの場合には、その横断面の縦および横、ならびに高さを指し、そして円形の横断面を有するチャンバーの場合には、その横断面の直径、および高さを指す。
【0044】
一つの実施形態では、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、植物種子を収容し得る大きさに変動可能である。大きさの変動は、任意の手段によって達成され得る。例えば、ネジなどを利用して適切な大きさに調整され得る。
【0045】
本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、任意の材料から作製され得る。エレクトロポーレーションチャンバーの材料としては、固体を形成し得る任意の材料が使用され得る。例えば、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。チャンバーは、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリスルホンなどの有機材料なども使用され得る。好ましくは、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、大気圧と異なる圧力に耐える能力(例えば、大気圧と異なる圧力にさらされても、破壊、亀裂および変形しない能力)を有し、特に好ましくは、減圧処理に耐える能力を有する。特に好ましくは、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、およびガラスから作製され、そして白金製またはステンレス製の電極を備える。
【0046】
好ましくは、本発明のエレクトロポーレーションチャンバーは、温度制御手段を備える。温度制御手段は、例えば、センサーなどで温度変化を感知し、手動または自動で、チャンバーの温度を制御し得る。温度制御手段は、代表的に、チャンバーの温度を冷却するように作用する冷却手段である。冷却手段は任意の手段であり得、例えば、氷、冷却ゲルなどを利用した手段であり得る。
【0047】
本発明のエレクトロポーレーションチャンバーには、少なくとも一対(二個)の電極が備えられる。従って、特定の実施形態では、本発明のチャンバーは、一対(二個)より多い電極(例えば、二対(四個)の電極、三対(六個)の電極、四対(八個)の電極、五対(十個)の電極、またはより多い対の電極)を備え得る。例えば、四角形の横断面を有するチャンバーにおいて、向かい合う内面に沿って電極を配置すると、二対(四個)の電極を取り付けることが可能である。さらなる例として、六角形の横断面を有するチャンバーにおいて、向かい合う内面に沿って電極を配置すると、三対(六個)の電極を取り付けることが可能である。このように、本発明のチャンバー内に配置される電極対は、任意の数であり得、そして任意の空間的位置関係をとり得る。
【0048】
本発明のエレクトロポーレーションチャンバー内に配置される電極の間の距離は任意の距離であり得、核酸導入の対象となる細胞および/または組織の大きさに応じて変動し得る。特に好ましくは、電極間の距離は、植物組織(例えば、植物種子)を収容し得る距離である。植物種子を収容し得る距離であるために、電極間の距離は、例えば、以下の長さであり得る:少なくとも約5mmであるかまたは約5mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6mmであるかまたは約6mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7mmであるかまたは約7mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8mmであるかまたは約8mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9mmであるかまたは約9mmよりも長い、好ましくは、少なくとも約1cmであるかまたは約1cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約2cmであるかまたは約2cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約3cmであるかまたは約3cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約4cmであるかまたは約4cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約5cmであるかまたは約5cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約6cmであるかまたは約6cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約7cmであるかまたは約7cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約8cmであるかまたは約8cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約9cmであるかまたは約9cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約10cmであるかまたは約10cmよりも長い、好ましくは、少なくとも約15cmであるかまたは約15cmよりも長い、そして好ましくは、少なくとも約20cmであるかまたは約20cmよりも長い。電極間の距離の上限は、例えば、以下であり得るが、これらに限定されない:約25cm、約20cm、約15cm、約10cm、約9cm、約8cm、約7cm、約6cm、約5cm、約4cm、約3cm、約2cm、約1cm、約9mm、約8mm、約7mm、または約6mm。当然ながら、電極間の距離は、上記に明示した数値の間の長さ(例えば、1.5cmなど)であり得る。
【0049】
一つの実施形態では、電極間の距離は、対になった電極間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である。電極間の距離の変動は、任意の手段によって達成され得る。例えば、ネジなどを利用して適切な距離に調整され得る。
【0050】
電極は、電流を流し得るという性質を有する限りにおいて任意の材料から作製され得る。電極の材料としては、例えば、白金、金、ステンレス、炭素、導電性ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましくは、電極は白金電極である。
【0051】
例示的なエレクトロポーレーションチャンバーは、白金電極を備える縦1cm×横2cm×高さ2cmの直方形チャンバーであり、その白金電極間の距離は、約1cmである。このエレクトロポーレーションチャンバーは、中程度の大きさ(約5~15mm程度)の植物種子(例えば、コムギ、イネ、トウモロコシなど)を処理する際に特に有用である。このチャンバーを使用することにより、中程度の大きさの植物種子を大量にまとめて(例えば、約10~30粒)処理することが可能である。
【0052】
他の例示的なエレクトロポーレーションチャンバーは、ステンレス電極を備える内径1cm×高さ4cmのマイクロチューブ型チャンバーであり、ステンレス電極間の距離は、約1cmである。このマイクロチューブ型チャンバーは、市販のマイクロチューブの内面に、ステンレス箔(例えば、約5×40mm(厚さ約0.1mm))を接着剤などで貼り付けることによって、容易に作製され得る。このマイクロチューブ型チャンバーは、遠心分離にかけて、細胞、組織および/または種子を底に沈殿させることができるため、溶液の交換を簡単にする。このため、このマイクロチューブ型チャンバーは、微小な(約0.1~5mm程度の)植物種子(例えば、シロイヌナズナなど)を処理する際に特に有用である。このチャンバーを使用することにより、微小な大きさの植物種子を大量にまとめて処理することが可能である。
【0053】
本明細書において使用する場合、細胞/組織(植物組織を含む)を、「大気圧と異なる圧力下に維持する」とは、細胞/組織(植物組織を含む)を、大気圧(通常は、1気圧=101.325kPa=約0.1MPa)よりも高い圧力下に維持する工程(加圧処理)、または低い圧力下に維持する工程(減圧処理)をいう。
【0054】
理論に拘束されることを意図しないが、細胞/組織(植物組織を含む)を大気圧と異なる圧力下に維持することによって、細胞/組織が受ける環境中の圧力が変化し、DNAなどの核酸を含む緩衝液が組織間・細胞間に浸透しやすくなり、その結果、従来不可能であった細胞壁を有する細胞および組織(特に、植物細胞および植物組織)を標的とするエレクトロポーレーションによる核酸導入/形質転換が可能になったものと考えられる。
【0055】
本明細書において使用する場合、用語「減圧処理」とは、核酸導入/形質転換される細胞/組織(植物組織(例えば、種子)を含む)を大気圧より低い気圧下に維持する処理をいう。本発明において、減圧処理は、大気圧よりも、0.02MPa低い圧力、好ましくは0.04MPa低い圧力、より好ましくは0.06MPa低い圧力、さらにより好ましくは0.08MPa低い圧力、0.094MPa低い圧力、または、0.095MPa低い圧力であり、最も好ましくは0.096MPa低い圧力で行われるが、これらに限定されない。減圧処理の時間は、1分~240分、好ましくは10分~180分、より好ましくは20分~120分、さらにより好ましくは30分~90分、最も好ましくは約60分であるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書において使用する場合、用語「加圧処理」とは、核酸導入/形質転換される細胞/組織(植物組織(例えば、種子)を含む)を大気圧より高い気圧下に維持する処理をいう。
【0057】
細胞を超音波処理する手段としては、超音波を発生する任意の手段が利用される。市販の超音波発生装置(例えば、ネッパジーン株式会社、ソニトロン2000)が挙げられるが、これに限定されない。細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する手段としては、減圧および/または加圧する能力を有する任意の手段が利用され得る。市販の減圧装置(例えば、真空デシケーターなど)および/または加圧装置もまた利用され得る。エレクトロポーレーション手段としては、任意のエレクトロポーレーション手段が利用され得る。市販のエレクトロポーレーション手段(例えば、CUY21EDIT遺伝子導入装置、ネッパジーン社、日本国千葉県市川市)もまた利用され得る。好ましくは、上記のエレクトロポーレーション手段に配置される2つの電極(第一電極および第二電極)の間の距離は、上記で定義付けられたような、植物種子を収容し得る距離にある。
【0058】
別の実施形態では、本発明のエレクトロポーレーション装置は、植物種子を収容し得る距離にある二つの電極を含み、そしてこのエレクトロポーレーション装置は、細胞/組織を大気圧と異なる圧力下に維持することと組み合わせて使用される。この実施形態では、このエレクトロポーレーション装置と、細胞/組織を大気圧と異なる圧力下に維持する手段とが、同一の機器の中に存在する必要はない。
【0059】
従来のエレクトロポーレーション装置は、極めて小さい細胞に対して電圧パルスをかけることを目的としていたため、チャンバーの内寸および電極間の距離をできるだけ小さくする必要があった。このため、従来のエレクトロポーレーション装置のチャンバーの内寸および電極間の距離は、代表的に、1mmまたは2mm程度であり、長くてもせいぜい4mmであった。従って、本発明のような、植物種子をも収容し得るほど大きなチャンバーおよび植物種子をも収容し得るほど長い距離で配置された電極を備えたエレクトロポーレーション装置は、これまで知られていない。
【0060】
本発明を実行する装置は、例えば、核酸と細胞とを含む混合液を入れる第一容器、細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する第二容器、および核酸と細胞とを含む混合液を超音波処理する第三容器をそなえ、これら容器は任意の容器であり得る。これらの容器は、同一であっても異なってもよい。必要に応じて、混合液をエレクトロポーレーションに供するための第四容器も提供される。この容器の材質としては、固体を形成し得る任意の材質が使用され得る。例えば、ガラス、シリカ、シリコン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)などが挙げられるがそれらに限定されない。容器は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用することができる。ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリスルホンなどの有機材料なども使用され得る。
【0061】
好ましくは、本発明の第一容器は、透明度が高く材料観察を容易にする材料(例えば、ポリスチレン)から作製される。好ましくは、本発明の第二容器は、大気圧と異なる圧力(特に、減圧)に耐える能力を有する材料(例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドおよびエポキシ樹脂)から作製され、より好ましくは、透明度が高く材料観察を容易にする性質も備えた材料(例えば、アクリル樹脂)から作製される。好ましくは、本発明の第三容器は、細胞との親和性を示す材料(例えば、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、およびガラス)から作製され、超音波に対して耐性を有する。好ましくは、本発明の第四容器は、細胞との親和性を示す材料(例えば、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、およびガラス)から作製され、白金製、金製、ステンレス製、炭素製、または導電性ポリマー製の電極を備える。これらの材料は、所望の性質を付与するために(例えば、容器本体に絶縁性を付与するために、または電極の導電性を高めるために)、任意の適切な材料でコーティングされてもよい。
【0062】
上記の第一容器および第二容器について、好ましくは、これらの容器は、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、特に好ましくは、減圧処理に耐える能力を有する。例えば、上記の第一容器は、上記の第二容器内および/または上記の第三容器内および/または上記の第四容器内に収容されてもよい。または、核酸と細胞とを含む混合液は、上記の第一容器から、上記の第二容器(または、その内部に収容される別の容器)内および/または上記の第三容器(または、その内部に収容される別の容器)内および/または上記の第四容器(または、その内部に収容される別の容器)内に注入されてもよい。
【0063】
細胞を、上記の第二容器中に配置する手段、および核酸と細胞とを含む混合液を、上記の第三容器中に配置する手段には、ベルトコンベアなどが有利に使用され得るが、これに限定されず、任意の手段が利用され得る。自動ポンプなどを利用して、第一容器、第二容器および第三容器中に配置された液体を、吸引/排出することによって移動させる方法もまた利用され得る。
【0064】
種子に対して超音波処理を行う場合、好ましくは、減圧処理または加圧処理をする種子を、処理前に、水(例えば、水道水)中に放置する。処理前の種子を水中に放置する場合、その放置時間は、6時間~48時間、好ましくは12時間~36時間、より好ましくは18時間~30時間、さらにより好ましくは20時間~26時間、最も好ましくは約24時間であるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明における例示的な核酸導入の条件は、種子を25℃で水溶液中に一晩放置し、翌日、真空装置の中に置き、大気圧より0.096MPa低い圧力にて1時間減圧処理を行い、その後、減圧処理した種子に対して、超音波処理(1MHz、4W/cm2、6分間)を行い、核酸導入/遺伝子導入を行うという条件である。当業者は、必要に応じて、超音波処理条件を適宜選択し得る。必要に応じて、減圧処理および超音波処理後に、エレクトロポーレーションが起きる条件下に細胞を配置する。その後、抗生物質を含む培地において選抜し、その後鉢上げ(ポットでの育成)により通常の植物個体を得ることができる。
【0066】
本明細書において用いられる「植物」とは、植物界に属する生物の総称であり、葉緑体、硬い細胞壁、豊富な永続性の胚的組織の存在,および運動する能力がない生物により特徴付けられる。植物の種類は、例えば、「原色牧野植物大図鑑」(北隆館(1982))などにおいて広範に分類されており、そこに記載されるすべての種類の植物が、本発明において使用され得る。代表的には、植物は、細胞壁の形成・葉緑体による同化作用をもつ顕花植物をいう。「植物」は、単子葉植物および双子葉植物のいずれも含む。単子葉植物としては、イネ科植物が挙げられる。好ましい単子葉植物としては、トウモロコシ、コムギ、イネ、エンバク、オオムギ、ソルガム、ライムギ及びアワが挙げられ、さらに好ましくは、トウモロコシ、コムギ、イネが挙げられるが、これらに限定されない。コムギには、従来法では形質転換体を得ることが困難であったコムギ品種農林61号も含まれる。双子葉植物としては、アブラナ科植物、マメ科植物、ナス科植物、ウリ科植物、ヒルガオ科植物が挙げられるが、これらに限定されない。アブラナ科植物としては、ハクサイ、ナタネ、キャベツ、カリフラワーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアブラナ科植物は、ハクサイおよびナタネである。特に好ましいアブラナ科植物は、ナタネである。マメ科植物としては、ダイズ、アヅキ、インゲンマメ、ササゲが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいマメ科植物は、ダイズである。ナス科植物としては、トマト、ナス、バレイショが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいナス科植物は、トマトである。ウリ科植物としては、マクワウリ、キュウリ、メロン、スイカが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいウリ科植物は、マクワウリである。ヒルガオ科植物としては、アサガオ、カンショ、ヒルガオが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヒルガオ科植物は、アサガオである。特に他で示さない限り、植物は、植物体、植物器官、植物組織、植物細胞、および種子のいずれをも意味する。植物器官の例としては、根、葉、茎、および花などが挙げられる。植物細胞の例としては、カルスおよび懸濁培養細胞が挙げられる。特定の実施形態では、植物は、植物体を意味し得る。
【0067】
別の実施形態において、本発明において使用され得る植物種の例としては、ナス科、イネ科、アブラナ科、バラ科、マメ科、ウリ科、シソ科、ユリ科、アカザ科、セリ科、ヒルガオ科、キク科などの植物が挙げられる。さらに、本発明において使用され得る植物種の例としては、任意の樹木種、任意の果樹種、クワ科植物(例えば、ゴム)、およびアオイ科植物(例えば、綿花)が挙げられる。
【0068】
簡便には、本発明の方法は、植物組織(休眠組織(完熟種子、未熟種子、冬芽、および塊茎を含む)、生殖質、生長点、および花芽を含む)に対して遺伝子導入を行い、最も簡便には、種子に対して遺伝子導入を行う。本発明の遺伝子導入法により核酸導入された種子はそのまま、例えば、土に植えて栽培することにより、容易に核酸導入体/形質転換体となり得る。種子は通常、胚、胚乳および種皮の三部分から構成される(野口弥吉・川田信一郎監修,該当部分は千坂英夫著,農学大事典,養賢堂,896頁,1987を参照のこと)。胚が、植物のすべての遺伝情報を備え、そして植物体へと生育する部分である。すべての単子葉植物および双子葉植物は胚を有する。本発明の遺伝子導入法により核酸導入すると、胚の部分において、導入した核酸の発現が認められた。従って、胚を含む種子を有するあらゆる植物で、本発明のこの最も簡便な方法により、容易に核酸導入植物体/形質転換植物体を得ることができる。
【0069】
アブラナ科の植物の例としては、Raphanus、Brassica、Arabidopsis、Wasabia、またはCapsellaに属する植物が挙げられ、例えば、大根、アブラナ、シロイヌナズナ、ワサビ、ナズナなどを含む。
【0070】
イネ科の植物の例としては、Oryza、Triticum、Hordeum、Secale、Saccharum、Sorghum、またはZeaに属する植物が挙げられ、例えば、イネ、オオムギ、ライムギ、サトウキビ、ソルガム、トウモロコシなどを含む。
【0071】
本明細書において用いられる「動物」とは、動物界に属する生物の総称であり、酸素と有機性食物を必要とし,植物や鉱物と違って任意的に動くことができる生物により特徴付けられる。動物は、大きく脊椎動物と無脊椎動物とに分類される。脊椎動物としては、例えば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物などが用いられ、より好ましくは、哺乳動物(例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)が用いられる。さらに好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)が用いられる。最も好ましくはヒト由来の細胞または器官などが用いられる。無脊椎動物としては、例えば、甲殻綱、ヤスデ綱、エダヒゲムシ綱、ムカデ綱、コムカデ綱、昆虫綱などが用いられる。より好ましくは、昆虫(例えば、チョウ目(カイコなどを含む))が用いられる。本発明の方法は、植物に対してのみならず、動物に対しても適用可能である。
【0072】
本明細書において、「トランスジェニック生物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた生物をいう。「トランスジェニック植物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた植物をいい、同様に「トランスジェニック動物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた動物をいう。
【0073】
本発明の方法により核酸導入/形質転換された細胞および組織は、当該分野において公知の任意の方法によって、分化、成長および/または増殖され得る。植物種の場合、細胞または組織を分化、成長および/または増殖させる工程は、例えば、その植物細胞もしくは植物組織またはそれらを含む植物体を栽培することによって達成され得る。本明細書では、植物の栽培は当該分野において公知の任意の方法により行うことができる。植物の栽培方法は、例えば、監修 島本功および岡田清,「モデル植物の実験プロトコール-イネ・シロイヌナズナ編-」:細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ4;イネの栽培法(奥野員敏)pp.28-32、ならびに、丹羽康夫著,シロイヌナズナの栽培法,pp.33-40に例示されており、当業者であれば容易に実施することができることから本明細書では詳述する必要はない。例えば、シロイヌナズナの栽培は土耕、ロックウール耕、水耕いずれでも行うことができる。白色蛍光灯(6000ルクス程度)の下、恒明条件で栽培すれば播種後4週間程度で最初の花が咲き、開花後16日程度で種子が完熟する。1さやで約40~50粒の種子が得られ、播種後2~3ケ月で枯死するまでの間に10000粒程度の種子が得られる。また、例えば、コムギの栽培においては、播種後に一定期間の低温短日条件にさらされなければ、出穂および開花しないことが周知である。従って、例えば、人工環境下(例えば、温室やグロスチャンバー)においてコムギを栽培する場合には、生育初期段階で、コムギ幼植物に低温短日処理(例えば、20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間での処理など)を行う必要がある。この処理は春化処理(vernalization)と呼ばれる。このような各植物種ごとに必要とされる栽培条件は、当該分野において一般に広く知られており、従って、本明細書中で詳述する必要はない。
【0074】
植物以外の種(例えば、動物種)の場合においても、核酸導入/形質転換された細胞および組織は、当該分野において公知の任意の方法によって、分化、成長および/または増殖され得る(例えば、泉美治ら編,生物化学実験のてびき 4.動物・組織実験法,化学同人,1987年などを参照のこと)。例えば、核酸導入した細胞および/または組織は、市販の飼料を供給しながら常温下(約25℃)で育成され得る。
【0075】
本明細書において使用される場合、導入される遺伝子は、ポリヌクレオチドからなる。
【0076】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’-O-メチル-リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’-P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC-5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC-5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC-5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine-modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースが2’-O-プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’-メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら,Nucleic Acid Res.,19:5081,1991;Ohtsukaら,J.Biol.Chem.,260:2605-2608,1985;Rossoliniら,Mol.Cell.Probes,8:91-98,1994)。用語「核酸」はまた、本明細書において、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を暗黙に包含する。その名が示唆するように「スプライス改変体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス改変体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。
【0077】
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」をさすことがある。本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
【0078】
本明細書では塩基配列の同一性の比較および相同性の算出は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
【0079】
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
【0080】
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1~n-1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。
【0082】
本発明において利用され得る一般的な分子生物学的手法としては、Ausubel F.A.ら編,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,New York,NY,1988;Sambrook J.ら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1987などを参酌して当業者であれば容易に実施をすることができる。
【0083】
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるものをいう。そのようなベクターとしては、原核生物細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体等の宿主細胞、好ましくは植物細胞において自律複製が可能であるか、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0084】
「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、植物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。選抜のための選択マーカーとしては、抗生物質カナマイシンに対する耐性を与える酵素ネオマイシンホスホトランスフェラーゼをコードするneo遺伝子(Beckら,Gene,19:327,1982;抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を与える酵素ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼをコードするhyg遺伝子(Gritz及びDavies,Gene,25:179,1983);及び除草剤ホスフィノトリシン(phosphinothricin)に対する耐性を与えるホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードするbar遺伝子(EP 242236);ストレプトマイシンフォスフォトランスフェラーゼをコードするspt遺伝子;ストレプトマイシン耐性遺伝子;スペクチノマイシン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子(例えば、H.S.Chawla,Introduction to Plant Biotechnology 2nd:363,Science Publishers,Inc.,単行本,2002);ならびにβ-グルクロニダーゼをコードするgus遺伝子(Jeffersonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,6:3901,1986)およびルシフェラーゼ遺伝子(Owら,Science,234:856,1986)、およびGFP(緑色蛍光タンパク質)コード遺伝子(例えば、フナコシ株式会社、東京都文京区本郷から入手可能)のようなスクリーン可能なマーカー遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明において選抜に使用する薬剤としては、カナマイシン、ハイグロマイシン、ジェネティシン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0086】
「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、植物細胞、および植物個体等の宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0087】
植物細胞に対する「組換えベクター」としては、Tiプラスミド、タバコモザイクウイルスベクター、ジェミニウイルスベクターなどが例示される。
【0088】
「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。ターミネーターとしては、CaMV35Sターミネーター、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、タバコPR1a遺伝子のターミネーターが挙げられるが、これに限定されない。本明細書において用いられる「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモータ領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、通常構造遺伝子の上流にあるが、好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在する。
【0089】
本明細書において、遺伝子の発現について用いられる場合、一般に、「部位特異性」とは、生物(例えば、植物)の部位(例えば、植物の場合、根、茎、幹、葉、花、種子、胚芽、胚、果実など)におけるその遺伝子の発現の特異性をいう。「時期特異性」とは、生物(たとえば、植物)の発達段階(例えば、植物であれば生長段階(例えば、発芽後の芽生えの日数)に応じたその遺伝子の発現の特異性をいう。そのような特異性は、適切なプロモーターを選択することによって、所望の生物に導入することができる。
【0090】
本明細書において、本発明のプロモーターの発現が「構成的」であるとは、生物のすべての組織において、その生物の生長の幼若期または成熟期のいずれにあってもほぼ一定の量で発現される性質をいう。具体的には、本明細書の実施例と同様の条件でノーザンブロット分析したとき、例えば、任意の時点で(例えば、2点以上(例えば、5日目および15日目))の同一または対応する部位のいずれにおいても、ほぼ同程度の発現量がみられるとき、本発明の定義上、発現が構成的であるという。構成的プロモーターは、通常の生育環境にある生物の恒常性維持に役割を果たしていると考えられる。本発明のプロモーターの発現が「ストレス応答性」であるとは、少なくとも1つのストレスが生物体に与えられたとき、その発現量が変化する性質をいう。特に、発現量が増加する性質を「ストレス誘導性」といい、発現量が減少する性質を「ストレス抑制性」という。「ストレス抑制性」の発現は、正常時において、発現が見られることを前提としているので、「構成的」な発現と重複する概念である。これらの性質は、生物の任意の部分からRNAを抽出してノーザンブロット分析で発現量を分析することまたは発現されたタンパク質をウェスタンブロットにより定量することにより決定することができる。ストレス誘導性のプロモーターを本発明のポリペプチドをコードする核酸とともに組み込んだベクターで形質転換された植物または植物の部分(特定の細胞、組織など)は、そのプロモーターの誘導活性をもつ刺激因子を用いることにより、ある条件下での特定の遺伝子の発現を行うことができる。
【0091】
「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ得る。植物において使用する場合、エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好ましい。エンハンサーは複数個用いられ得るが1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
【0092】
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、プロモーターと構造遺伝子との間に介在する配列が存在してもよいため、プロモーターと構造遺伝子とは必ずしも隣接して配置される必要はない。
【0093】
導入した遺伝子の存在は、サザンブロット法またはPCR法によって確認し得る。導入した遺伝子の転写は、ノーザンブロット法またはPCR法により、検出し得る。必要に応じて、遺伝子産物たるタンパク質の発現を、例えば、ウェスタンブロット法により確認し得る。
【0094】
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例にも限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例】
【0095】
本実施例においては、特に断りのない限り、以下の条件を用いた。
【0096】
(超音波処理装置)
本発明の超音波処理工程には、ネッパジーン株式会社のソニトロン2000を用いた。超音波を発生する装置であれば、任意の装置が使用可能である。超音波処理のプローブは、特に限定されないが、本実施例においては、30mmのプローブを用いた。
【0097】
(超音波処理)
本発明の超音波処理は、当業者が使用する宿主細胞に応じて、適宜選択することができる。本実施例においては、1MHz、4W/cm2、6分間、室温にて、処理を行った。
【0098】
(エレクトロポーレーションの装置)
本発明に用いたエレクトロポーレーションの装置には、市販のエレクトロポーレーション手段(例えば、CUY21EDIT遺伝子導入装置、ネッパジーン社、千葉県市川市)を使用し得る。本実施例においてエレクトロポーレーションを行う際に使用されるエレクトロポーレーションチャンバーは、形質転換の対象となる植物組織を収容できるものであれば、どのような大きさであってもよいが、冷却可能なチャンバーが好ましい。本実施例では、白金電極を備える縦1cm×横2cm×高さ2cmの特注のエレクトロポーレーションチャンバーを使用した。
【0099】
(エレクトロポーレーション)
減圧処理の後、シャーレの中の種子と緩衝液をチャンバーに移し、氷上に1分間静置する。そして、実施例に示すように、100Vあるいは50Vの電圧で(ただし、電極間の距離は1cm)、パルス幅50マイクロ秒の矩形波(50マイクロ秒の間、電圧を加え、50マイクロ秒~75マイクロ秒休む周期を繰り返す)、パルス回数50回あるいは99回行う。さらに氷上にチャンバーを2分間静置した後、緩衝液を捨て、元のシャーレに処理した種子を戻す。この種子を戻したシャーレに、2mlの0.5%ポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を入れる。このPVP水溶液は、雑菌の繁殖を抑えるために次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含む(有効塩素濃度が約0.01%となるように調整する)。
シャーレを4℃で約1時間保存した後、25℃で一晩静置する。
【0100】
(GUS分析)
X-Gluc液(100 mM pH7.0 リン酸緩衝液、0.05% X-Gluc(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド シクロヘキシルアンモニウム塩)、0.5mM フェリシアン化カリウム、0.5mM フェロシアン化カリウム、0.3% トリトンX-100、20% メタノール)を2ml加え、25℃で一晩静置した。染色の程度からGUS遺伝子の発現を確認する。
【0101】
(抗生物質培地による選抜)
GUS分析を行わず、以下のように生育させる。
a)7cmのろ紙を敷いた9cm×15mmのシャーレに、種子を移す。
b)蒸留水に溶かした抗生物質の水溶液を10ml添加する。コムギの種子をジェネティシンで選抜するときは濃度700~2000ppmを用いる。なお、イネの種子をジェネティシンで選抜するときの濃度は、200ppmである。
c)培養室で、25℃ 明期16時間(約2000ルクス) 暗期8時間の条件下または20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間の条件下にて、育成する。
【0102】
(形質転換体の育成)
抗生物質培地による選抜の後、植物を、園芸用培土(ニューマジックソイル;株式会社サカタのタネ、横浜市都筑区)を入れた直径8.5cm、高さ5.5cmのポット(植木鉢)を用いて、隔離型のグロスチャンバーで育成する(15℃ 明期8時間(ナトリウムランプ、約50000ルクス)、暗期16時間の条件または20℃ 明期8時間(約2000ルクス)および8℃ 暗期16時間の条件)。
【0103】
(DNAの抽出)
遺伝子導入を確認するPCRを行うために、形質転換植物の葉および茎を採取して、DNAを抽出する。DNAの抽出には、任意の周知の方法を使用し得る。代表的なDNA抽出方法は、CTAB法である(内宮博文「植物遺伝子操作マニュアル トランスジェニック植物の作り方」講談社サイエンティフィック,71-74頁,単行本,1989)。
【0104】
(PCR分析)
遺伝子導入後の個体の葉からDNAを抽出し、NPT II遺伝子を検出する一対のプライマー(5’-ctgcgtgcaatccatcttg-3’:配列番号1、5’-actcgtcaagaaggcgatagaag-3’:配列番号2)を用いてPCRを行う。また、さらなる一対のプライマー(5’-catgattgaacaagatggattgcacgcaggttctc-3’:配列番号3、5’-cagaagaactcgtcaagaaggcgatagaaggcgat-3’:配列番号4)もまた使用され得、このプライマー対は、より特異的にNPT II遺伝子を検出し得るので、より好ましい。ポリメラーゼは、株式会社パーキンエルマージャパン(横浜市西区)のAmpliTaq Goldを、製造業者の指示に従って、使用する。増幅に使用するサーマルサイクラーの条件は:
(a)95℃ 10分間を1サイクル;
(b)95℃ 1分間、64℃ 2分間、72℃ 2分間を50サイクル;
(c)72℃ 7分間を1サイクル;および
(d)その後4℃にて保存
である。
【0105】
(サザンブロット分析)
遺伝子導入後、上記PCR分析により導入遺伝子の存在が確認される場合、その個体由来のDNAを用いて、サザンブロット分析を行う。サザンブロット法は当該分野において周知であり、当業者は、その条件を必要に応じて適宜選択し得る。本実施例のサザンブロット分析では、導入したNPT II遺伝子に特異的な配列(配列表において、配列番号5として示される)を、プローブとして使用する。
【0106】
(遺伝解析)
サザンブロット分析により導入遺伝子が確認される場合、その植物については、さらに生育させ、自家受粉により多数の完熟種子を得る。その中からランダムに約10個の種子を取り、土を詰めたポットで栽培する。幼植物の葉からDNAを抽出し、このDNAをテンプレートとして上記PCR分析に記載の条件下でPCRを行う。
【0107】
(実施例1:超音波処理を用いる遺伝子導入)
減圧処理、エレクトロポーレーション、および超音波処理を組み合わせた形質転換を以下のように行った。
【0108】
(材料)
ジャポニカイネの完熟種子として、コシヒカリの玄米を使用した。コムギの種子としては、農林61号を用いた。ムギ類の種子として、イチバンボシの種子を使用した。ソルガム種子としてハイグレインソルゴーの種子を使用した。トマトの種子として、ミニキャロルの種子を使用した。使用した種子は当研究所で生育したもの、あるいは種苗会社から購入したものを用いた。
【0109】
(減圧処理)
目視により適当な完熟種子を約10~30粒選択し(種子の大きさにより異なる)、8mlの発芽用緩衝液(0.2% ポリビニルピロリドン(PVP)、0.2% アンチホルミン(有効塩素約0.001%))、および2mlのベントレート100倍液中で、暗黒下、25℃で一晩吸水させた。その後、滅菌済の蒸留水で種子を2~3回洗浄した。
【0110】
以下を含む溶液(総量 2000μl)
・超純粋 970μl
・2% ポリビニルピロリドン溶液 500μl
・10% Tween20溶液 30μl(または、Silwet-L77 0.5μlと超純粋30μl)
・0.1M スペルミジン溶液 100μl
・プラスミドDNA溶液(pWI-GUS) 200μl
を調製しシャーレーに入れて、さらに、種子を入れた。その後、氷上にシャーレーを配置して、10分間真空ポンプによる減圧処理をした(0.09MPa以上)。減圧チャンバーのコックを閉じ、真空ポンプのスイッチを切った。減圧状態のまま、2~3時間放置した。
【0111】
(エレクトロポーレーション)
電圧 50V/cm2、パルス幅 50m秒、パルス回数 50回の条件でのエレクトロポーレーションを氷上で行った。その後、氷上または冷蔵庫中で1~2時間冷却した。
【0112】
(超音波処理)
超音波処理を、室温にて、1MHz、4W/cm2、6分間行った。
【0113】
(養生)
25℃で2日間、養生を行った。なお、養生は、細胞に導入された遺伝子が発現する時間を提供するものに過ぎず、形質転換自体には不要である。
【0114】
(GUSアッセイ)
上記の方法を用いて、X-Gluc液に浸して、翌日以降にGUS遺伝子の発現を調査した。
【0115】
(遺伝子導入効率の評価)
上記の、減圧処理、エレクトロポーレーション、および超音波処理を組み合わせた形質転換に加えて、減圧処理および超音波処理を組み合わせた形質転換、減圧処理およびエレクトロポーレーションを組み合わせた形質転換、ならびに、超音波処理のみによる形質転換を行いその結果を、以下のように評価した。
【0116】
GUSの発現量を、青緑色の呈色によって評価した。最もGUS活性の高い(最も色の濃い)種子を「+10」と評価し、中程度のGUS活性を「±5」と評価し、プラスミドDNAを用いなかったネガティブコントロールを「0」と評価した。イネおよびコムギの場合の各スコアの例を図1および図2に示す。各実験条件での結果を、20種子の平均スコアとして算出した。統計処理は、エクセル(登録商標)(マイクロソフト社)での分散分析後、ダンカンの方法での範囲検定によって、行った(秋本浩一著、農学・生物学の統計分析大要、養賢堂、138~147頁)。
【0117】
その結果を以下の表に示す。
【0118】
【表1】
JP0005201497B2_000002t.gif
さらに、超音波処理のみを用いて(すなわち、エレクトロポーレーションや減圧処理を行うことなく)、ソルガム(品種:ハイグレインソルゴー)およびトマト(品種:ミニキャロル)に対して高効率で遺伝子導入することができた。
【0119】
以上の結果に示されるように、超音波処理のみを用る場合であっても、植物のような細胞壁を有する細胞に対して遺伝子導入が可能であることが実証された。また、この遺伝子導入法は、特定の生物種の細胞にのみ可能なものではなく、多様な生物種の細胞に対して適用可能であることが実証された。
【0120】
超音波処理に、減圧処理および/またはエレクトロポーレーションを組み合わせた場合、遺伝子導入効率はさらに向上した。超音波処理と減圧処理との組み合わせによる遺伝子導入の効率は、超音波処理とエレクトロポーレーションとの組み合わせによる遺伝子導入の効率を上回るものであった。
【0121】
超音波処理と減圧処理とを組み合わせて遺伝子導入をする場合、減圧処理用に使用した市販のプラスチックシャーレがそのまま遺伝子導入用チャンバーとして使用可能である。これに対して、超音波処理とエレクトロポーレーションとを組み合わせて遺伝子導入する場合、専用の遺伝子導入用チャンバーを購入、もしくは別注しなければならない。
【0122】
これらを考慮すれば、超音波処理と減圧処理とを組み合わせる遺伝子導入法は、従来法と比較して、専用のチャンバー等を必要としない簡便な方法でありながら、高効率の遺伝子導入が可能であるという利点を有する。
【0123】
(実施例2:超音波処理条件の検討)
超音波処理を用いる本発明の遺伝子導入法は、実施例1の条件にのみ限定されるものではなく、種々の条件において実施可能である。その具体例の一部を、本実施例において示す。
【0124】
(A.異なる減圧の程度を用いた場合の遺伝子導入効率)
コムギ(農林61号)に対して、実施例1の条件を以下のように改変して、遺伝子導入を行った:
(1)減圧時間を3時間に固定;
(2)エレクトロポレーション(EP)の条件を、50V/cm2、パルス幅50ms、パルス回数50回に固定;
(3)超音波処理の条件を、4W/cm2、6分に固定
(4)減圧の程度を、0.096MPa、0.090MPa、0.050MPa、および、0.0MPaとした。
結果を、以下の表に示す。
【0125】
【表2】
JP0005201497B2_000003t.gif
以上の結果において示されるように、0.050MPa程度の減圧の程度であっても、遺伝子導入が確認された。
【0126】
(B.異なる減圧処理時間を用いた場合の遺伝子導入効率)
コムギ(農林61号)に対して、実施例1の条件を以下のように改変して、遺伝子導入を行った:
(1)減圧の程度を0.096MPaに固定;
(2)エレクトロポレーション(EP)の条件を、50V/cm2、パルス幅50ms、パルス回数50回に固定;
(3)超音波処理の条件を、4W/cm2、6分に固定
(4)減圧時間を、3時間、1時間、30分、0分とした。
結果を、以下の表に示す。
【0127】
【表3】
JP0005201497B2_000004t.gif
以上の結果において示されるように、30分程度の減圧時間であっても、遺伝子導入が確認された。
【0128】
(C.異なる超音波強度を用いた場合の遺伝子導入効率)
コムギ(農林61号)に対して、実施例1の条件を以下のように改変して、遺伝子導入を行った:
(1)減圧の程度を0.096MPaに固定;
(2)減圧時間を、3時間に固定。
(3)エレクトロポレーション(EP)の条件を、50V/cm2、パルス幅50ms、パルス回数50回に固定;
(4)超音波処理を、4W/cm2、2W/cm2、および、0W/cm2で、6分間行った。
結果を、以下の表に示す。
【0129】
【表4】
JP0005201497B2_000005t.gif
以上の結果において示されるように、2W/cm2程度の強度の超音波処理であっても、遺伝子導入が確認された。
【0130】
(D.異なる超音波処理時間を用いた場合の遺伝子導入効率)
コムギ(農林61号)に対して、実施例1の条件を以下のように改変して、遺伝子導入を行った:
(1)減圧の程度を0.096MPaに固定;
(2)減圧時間を、3時間に固定。
(3)エレクトロポレーション(EP)の条件を、50V/cm2、パルス幅50ms、パルス回数50回に固定;
(4)超音波処理を、4W/cm2で、6分間、3分間、および0分間行った。
結果を、以下の表に示す。
【0131】
【表5】
JP0005201497B2_000006t.gif
以上の結果において示されるように、3分程度の超音波処理であっても、遺伝子導入が確認された。
【0132】
(実施例3:次世代個体における導入遺伝子の確認)
生育期間が短い早稲種のイネ品種「キタアケ」および「Milyang208」に、GUS発現量が比較的高かかったpWI系ベクターにnptII遺伝子を連結させたpWI-H5Kを、本発明の方法によって遺伝子導入した。遺伝子導入処理後、発芽種子をジェネティシンを含む培養液で選抜した。隔離温室内で育成を続けサザンブロット分析によってnptII遺伝子の存在を確認した個体について種子を得た。
【0133】
次いで、当世代(T0)において、導入nptII遺伝子の存在をサザンブロット分析によって確認した。ゲノムに組込まれずに細胞核内に残存し得るベクターの影響を排除するために、ゲノムDNAを制限酵素処理せずに電気泳動した。当世代(T0)について、5個体についてサザンブロット分析を実施し、5個体全てにおいて高分子側においてハイブリダイズされるバンド(ゲノムDNAを反映している)を確認した(図3Aを参照のこと)。
【0134】
サザンブロット分析によって遺伝子導入を確認した個体の中から、図3Aのレーン1の個体を自家受粉させ、次世代個体(T1)を育成した。1個体の親(T0)に由来する次世代(T1)植物からゲノムDNAから抽出し、プラスミドは切断しないNheI酵素でゲノムDNAを切断し、サザンブロット分析を行ったところ、供試した8個体の内5個体でnptII遺伝子の存在を確認した(図3Bを参照のこと)。したがって、本発明の方法を使用して、植物に安定に遺伝子を導入することができることが実証された。
【0135】
(実施例4:非接触超音波処理による形質転換)
本実施例では、超音波発信プローブと、生物材料(例えば、細胞)または超音波処理用の緩衝液とを接触させない非接触超音波処理による形質転換を実施した。非接触超音波処理のために、交叉超音波蛋白質自動活性化装置(エレコン科学株式会社、千葉県、日本)を使用した。
【0136】
イネ(キタアケ)の種子を100粒バイアルビンに入れ、催芽用緩衝液を2ml加えた。催芽用緩衝液の組成は、以下の通りである:
0.2% PVP(ポリビニルピロリドン)
0.2% アンチホルミン(次亜塩素酸ナトリウム溶液)
を含む蒸留水。
【0137】
一晩催芽させた後、催芽用緩衝液を除去した。
【0138】
以下:
940μl 蒸留水
500μl 0.2% PVP溶液
0.5μl Silwet L77
(もしくは10% Tween20溶液 30μl、このとき蒸留水は910μl)
100μl 0.1M スペルミジン溶液
200μl プラスミドDNA(DNA量は1μg/μlに調製)
100μl 10%セルラーゼ溶液
160μl 2.5M塩化カルシウム溶液
(総量約2000μl)
を含む溶液を調製し、この溶液2mlを加えた。以下の条件で減圧処理を行った:
(1)減圧の程度を0.096MPaに固定;
(2)減圧時間を、3時間に固定。
【0139】
この減圧処理したイネ(キタアケ)の種子が入ったバイアルビンを、超音波発信機を備えた恒温水槽にアタッチメントを利用して浮かべた。恒温水槽には、4℃に冷却した蒸留水を循環させ、超音波発信部分とは非接触の状態で、左右および下方の三方向から超音波を照射し、三方向からの超音波が交叉する位置にバイアルビンを設置した。超音波の出力は0.233W/cm2(総出力約300W)および0.543W/cm2(総出力約700W)であった。
【0140】
25℃で2日間、養生を行った。なお、養生は、細胞に導入された遺伝子が発現する時間を提供するものに過ぎず、形質転換自体には不要である。次いで、上記の方法を用いて、X-Gluc液に浸して、翌日以降にGUS遺伝子の発現を調査した。
【0141】
【表6】
JP0005201497B2_000007t.gif
上の表に示すように、高いGUS遺伝子発現が確認された。約5分の照射時間で良好な結果が得られた。この実験の終了後、洗剤またはエタノール等によって、プローブを汚染防止のために洗浄する必要はない。以上のことから、非接触超音波処理を使用することによって、本発明の形質転換法はより簡便なものになった。
【0142】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0143】
簡便かつ迅速な植物形質転換方法が提供される。
【0144】
簡便な本発明の方法はこの分野の開発研究において重要な大量処理・大量解析を容易にせしめ、ひいては飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え作物の開発につながる。例えば、本発明においては、減圧処理用に使用した市販のプラスチックシャーレがそのまま遺伝子導入用チャンバーとして使用できる。また、超音波処理を用いる場合には、エレクトロポーレーションを用いなくても非常に高効率の遺伝子導入が可能であるが、エレクトロポーレーション工程を省くことによって、エレクトロポーレーション用チャンバーを用いる必要がないという利点も、本発明によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、イネコシヒカリの形質転換の結果を示す写真である。左から、スコアが、+10、±5、0である。
【図2】図2は、コムギの形質転換の結果を示す写真である。左から、スコアが、+10、±5、0である。
【図3A】図3Aは、イネ品種「キタアケ」および「Milyang208」の当世代(T0)のサザンブロット分析の結果を示す。レーン1~4は、遺伝子導入処理をした品種「キタアケ」、レーン5は品種「キタアケ」の非形質転換体、レーン6は遺伝子導入処理をした「Milyang208」、レーン7は品種「Milyang208」の非形質転換体、レーン8はプラスミドDNA約5.8kbにそれぞれ対応する。
【図3B】図3Bは、図3Aのレーン1の個体の次世代(T1)のサザンブロット分析の結果を示す。レーン1は、0.9kbのnptIIフラグメント(図3Bにおいては不鮮明)、レーン2は非形質転換体、レーン3~10は次世代(T1)試料にそれぞれ対応する。

【配列表フリ-テキスト】
【0146】
配列番号1:NPT II遺伝子を検出するための正方向プライマー。
配列番号2:NPT II遺伝子を検出するための逆方向プライマー。
配列番号3:NPT II遺伝子を検出するための正方向プライマー。
配列番号4:NPT II遺伝子を検出するための逆方向プライマー。
配列番号5:NPT II遺伝子を検出するためのNPT II遺伝子の配列。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3A】
2
(In Japanese)【図3B】
3