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Specification :(In Japanese)金属ナノ粒子-炭素複合体、これによる触媒、ならびにこれを用いたナノカーボン類の製造方法およびナノカーボン類

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4590643
Publication number P2007-290949A
Date of registration Sep 24, 2010
Date of issue Dec 1, 2010
Date of publication of application Nov 8, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)金属ナノ粒子-炭素複合体、これによる触媒、ならびにこれを用いたナノカーボン類の製造方法およびナノカーボン類
IPC (International Patent Classification) C01B  31/02        (2006.01)
B01J  23/42        (2006.01)
B01J  23/755       (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  23/75        (2006.01)
FI (File Index) C01B 31/02 101F
B01J 23/42 M
B01J 23/74 321M
B01J 35/02 H
B01J 23/74 311M
Number of claims or invention 1
Total pages 11
Application Number P2007-043265
Date of filing Feb 23, 2007
Application number of the priority 2006100227
Priority date Mar 31, 2006
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Feb 23, 2007
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】瀧田 祐作
【氏名】西口 宏泰
【氏名】永岡 勝俊
【氏名】柏木 猛
Examiner (In Japanese)【審査官】小野 久子
Document or reference (In Japanese)鈴木弘恵他,炭水化物の熱分解による新規化合物の合成,日本化学会講演予稿集,日本,2006年 3月13日,Vol.86th, No.2,p.817
NG,S.H. et al,Spray Pyrolyzed PbO-Carbon Nanocomposites as Anode for Lithium-Ion Batteries ,J Electrochem Soc,米国,2006年 2月24日,Vol.153, No.4,p.A787-A793
YUAN,L. et al,Nano-structured SnO2-carbon composites obtained by in situ spray pyrolysis method as anodes in lithium batteries ,J Power Sources,NL,2005年 8月26日,Vol.146, No.1-2,p.180-184
Field of search C01B 31/00-31/36
B01J 23/42
B01J 23/75
B01J 23/755
B01J 35/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
大きさがX線回折(CuKα、波長1.5418Å)によって測定される0. 5nm~200nmである微細な金属及び又は金属酸化物が炭素質内に実質的に均一に分散された炭素質微細構造体を、ナノカーボン生長反応ガスの雰囲気にて400℃~2000℃の範囲内で加熱反応させることを特徴とするナノカーボン類の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は金属ナノ粒子-炭素複合体、これによる触媒、ならびにこれを用いたナノカーボン類の製造方法およびナノカーボン類の製造法、より詳しくは、炭素含有化合物と金属含有化合物の混合物またはこれらの溶液または分散体を、温度が400℃~2000℃である気相反応雰囲気に液滴状態で導入して熱分解することを特徴とする、金属ナノ粒子-炭素複合体、これによる触媒、ならびにこれを用いたナノカーボン類の製造方法およびナノカーボン類の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノカーボン類と総称される新規炭素材料、特にカーボンナノチューブやヘリングボーン型カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン等の繊維状ナノカーボン類、あるいはフラーレン、その他これらに限らずナノないしミクロンオーダーの構造を有する炭素材料(以下、ここではこれらを「ナノカーボン類」と総称する。)がいくつか発見され、その形状と潜在用途から注目されている。これらの中では特に、カーボンナノチューブは、従来の炭素材料と比較して著しく高強度かつ高導電性であるなどの性質により、近年、新材料として特に注目されている。これらナノカーボン類の製造には、炭素が生成する各種化学的手法が用いられており、例えば、炭素電極によるアーク放電、炭化水素の不完全燃焼、炭化水素や一酸化炭素の熱分解による方法などが挙げられる。
上記のうちでは、最近は特に、触媒の存在下、炭化水素や一酸化炭素等の炭素を含有する化合物の熱分解によるCVD(Chemical Vapor Deposition)法が、大量生産への有望な技術として注目されている。
【0003】
しかしながら、ここで用いる触媒の多くは、主に遷移金属を無機担体、例えばシリカ、アルミナ、ゼオライト等に担持しているため、生成したナノカーボン類にはこれら無機化合物が大量に残存するが、これらは不純物であり、除去するには酸またはアルカリによる洗浄処理を要する、という問題点を有している。あるいは、触媒に金属カルボニルやメタロセンを用いる方法もあるが、これらの化合物は毒性を有しているため、安全上の対策が必要という問題点がある。このようにこれらのナノカーボン類の製造は、未だ充分といえる大量生産法が確立されていないため、工業的用途に用いるには高価であり、利用が制限されているという問題を有している。
【0004】
一方、炭素を生成させる反応として、古くから知られているものに、糖類(炭水化物、含水炭素)の熱分解がある。この方法では、原料に糖類、すなわちCnH2mOmの一般式で表されるものを用いる。したがって、加熱することによりCnH2mOm→nC+mH2Oで表される反応式によって脱水と同時に炭素が生成する方法である。この方法の特徴は、原料が安価であることと、プロセスが単純で取り扱い物質の安全性も高く、さらに副生物が水であるので、炭素材料を大量かつ安価に、そのうえ環境への負荷も少ないという特徴を有している。
この方法により、糖類を含む原料を加熱することで活性炭のような炭素材料が得られることは、例えば、英国特許第292039号(特許文献1)により知られており、また最近では、含水炭素を含む廃棄物を焼成して活性炭とする例は、特開平9-208963号公報(特許文献2)や、パルプ(含水炭素の誘導体であるセルロースを含む)を加圧成型しながら熱分解する例は、特開2000-53467号公報(特許文献3)などで紹介されている。しかしながら、これらの方法は、いずれもナノカーボン類の製造を目的にしたものではなく、またその製造に関する記載はない。
【0005】
一方、アルミニウムシリケート分子体の気孔をテンプレートに用い、糖類等からナノチューブを生成させた例は、特開2003-34516公報(特許文献4)で紹介されている。この方法では、テンプレートに糖類(炭水化物水溶液)またはフルフリルアルコールを含浸させて加熱分解して炭素を生成し、テンプレートを溶解するというプロセスの性質上、安価に大量製造するという目的からすると不十分である。

【特許文献1】、英国特許第292039号
【特許文献2】特開平9-208963号公報
【特許文献3】特開2000-53467号公報
【特許文献4】特開2003-34516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、ナノカーボン類は大量生産法が確立されておらず、さらに、工業的に使用するにはコスト面、技術面での課題が残されている。一方で、糖類の熱分解という方法は、大量生産に向いているが、ナノカーボン類を工業的に製造するという点では未だ不十分であるといえる。
従って、本発明は主に、工業的に有用なナノカーボン類を、従来から知られている、糖類の熱分解を応用・改良したプロセスを用いて、金属ナノ粒子-炭素複合体を前駆体として用いて安価に大量生産する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を鑑み、発明者らが鋭意検討したところ、驚くべきことに、炭素含有化合物と金属含有化合物とを、好ましくは糖類の誘導体と金属化合物とを温度が400℃~2000℃、ゲージ圧力が-100~200kPaである気相反応雰囲気に液滴状態で導入して、熱分解せしめることにより、金属の粒子が炭素材料内に実質的に均一に分散されたものであって、XRD法によって測定される金属の粒子径が0.5nm~200nm好ましくは0.5nm~50nmである金属ナノ粒子-炭素複合体(以下、単に「複合体」と称することがある。)が得られること、さらにこれを前駆体として用いたところ、安価かつ効率的にナノカーボン類の製造が可能となったことを見出した。
【0008】
本発明は、上記の複合体、ならびにその製造法、およびナノカーボン類の製造法、さらには、この方法によるナノカーボン類に関するものでその特徴とするところは次の(1)~(6)に記載の通りである。
(1)、糖類またはその誘導体から選ばれる炭素含有化合物と金属含有化合物の混合物、またはこれらの溶液、または分散体、または混合物を極性溶媒の溶液とし、ゲージ圧力が-100~200kPaであり、温度が300℃~2000℃好ましくは500℃~1000℃の気相反応雰囲気に液滴状態または微粒子化噴霧で導入し、同時に不活性ガス又は酸素を導入して熱分解することを特徴とする金属及び又は金属酸化物-炭素複合体の製造方法。
(2)、上記(1)の製造方法により製造されたものであって、大きさがX線回折(CuKα、波長1.5418Å)によって測定される0.5nm~200nmである微細な金属及び又は金属酸化物が炭素質内に実質的に均一に分散された炭素質微細構造体であることを特徴とする金属及び又は金属酸化物-炭素複合体。
(3)、大きさがX線回折(CuKα、波長1.5418Å)によって測定される0.5nm~200nmである微細な金属及び又は金属酸化物が炭素質内に実質的に均一に分散された炭素質微細構造体を、ナノカーボン生長反応ガスの雰囲気にて400℃~2000℃の範囲内で加熱反応させることを特徴とするナノカーボン類の製造方法。
(4)、上記(3)の製造方法により製造されたものであって、大きさが直径が0.8nm~100nmのカーボンナノチューブを主体とすることを特徴とするナノカーボン類。
(5)、上記(3)の製造方法により製造されたものであって、直径が0.8nm~100nmのカーボンナノプレートを主体とすることを特徴とするナノカーボン類。
(6)、上記(3)の製造方法により製造されたものであって、大きさが0.8nm~10μmのカーボンナノボールを主体とすることを特徴とするナノカーボン類。
【発明の効果】
【0009】
上述の如く、本発明の方法によれば、金属ナノ粒子が炭素材料に分散された複合体が得られ、これを前駆体として用いることによって、従来知られていたナノカーボン類の製造法と比較して、安価に効率的に大量生産することが可能となり、各種用途、例えば樹脂や塗料の機能性フィラー、電極材等の各種電池材料、水素吸蔵材料、その他電気・電子デバイス等への応用が考えられる。さらに、従来は大量生産が困難であった、チューブ径の小さいカーボンナノチューブをも製造することが可能となるため、その産業界における貢献度は高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.本発明における金属及び又は金属酸化物-炭素複合体の最良の形態(定義)とその技術的意義
上記金属及び又は金属酸化物-炭素複合体とは、微細な金属及び又は金属酸化物が炭素質内に実質的に均一に分散された(好ましくはTEM(透過型電子顕微鏡)で観測した際、炭素マトリックスからなる面積をA、金属マトリックスからなる面積をBとしたとき、0.1<B/(A+B)<0.9を満たす)炭素質微細構造体である。上記微細な金属及び又は金属酸化物は、貴金属や遷移金属でその粒子径などの大きさはX線回折(CuKα、波長1.5418Å)によって測定される100nm以下好ましくは0.5nm~50nmである。
次に上記各技術条件とする理由(技術的意義)を詳述する。
【0011】
2.本発明における金属及び又は金属酸化物-炭素複合体の製造方法の最良の形態(定義)とその技術的意義
金属及び又は金属酸化物-炭素複合体の製造方法は、糖類またはその誘導体から選ばれる炭素含有化合物と金属含有化合物の混合物、またはこれらの溶液、または分散体、または混合物を極性溶媒の溶液とし、ゲージ圧力が-100~200kPaであり、温度が300℃~2000℃好ましくは500℃~1800℃の気相反応雰囲気に液滴状態で導入して同時に不活性ガス又は酸素を導入し熱分解する。炭素含有化合物と金属含有化合物が溶液状態の場合はスプレーまたは微粒子化噴霧にて上記気相反応雰囲気に導入するものである。
次に上記各技術条件の定義とその理由(技術的意義)を詳述する。
1)炭素含有化合物を糖類またはその誘導体とする理由。
原料として用いる炭素含有化合物(以下、単に「原料」と称することがある。)であるが、ここでは熱分解して炭素を生成するものであれば、その種類は問わない。これらの中で好ましくは、酸素を含む化合物、例えばアルコール/フェノール類、エーテル類、アルデヒド類、エステル類、カルボン酸類等が挙げられる。これらの化合物を特徴づける官能基は、各分子に1つまたは複数個/種存在している。例えば、アルコールであれば、1価アルコールでも、多価アルコールでも構わない。また、これらは脂肪族であっても芳香族であっても構わない。また、炭素や酸素、水素以外の原子を含んでいても構わない。
これらのなかでは、特に糖類またはその誘導体を用いるのが好ましい。糖類としては、グルコースのような単糖類、スクロースのような二糖類、でんぷんやセルロース、デキストリンのような多糖類が挙げられる。また糖類の誘導体としては、糖類の水酸基を他の官能基、例えばエステルやエーテルに置換したものが挙げられる。これらの中では、価格が安いことから、特にグルコースのような単糖類、スクロースのような二糖類が好ましい。
2)炭素含有化合物と金属含有化合物の混合物の定義とその理由。
これらの原料は、適当な溶媒に溶解、または分散させた状態で、または溶融状態で、後述の金属含有化合物とともに、熱分解反応室に導入される。この際、溶媒としては水、メタノール、エタノールのような極性溶媒、トルエン、ヘキサンのような非極性溶媒が挙げられる。好ましくは極性溶媒、特に水を用いるのが、安全性やコストの点で有利である。尚、アルコール類等酸素を含む溶媒を用いた場合は、そのまま炭素含有化合物と兼ねることも可能である。
これら原料を反応室に導入するには、熱分解反応を急速に行うために、液滴状態で導入する。好ましくは、水溶液の状態でスプレーまたは超音波等を用い、液滴を微噴霧状態として導入する。
金属含有化合物を同時に用いる。金属としては、好ましくは遷移金属およびその化合物を用いる。遷移金属としては、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、白金、等が例示される。これら金属は所望の目的によって適宜選択されるが、得られた複合体を、特にナノカーボン類の前駆体として用いる場合は、特にニッケル、コバルト、鉄、並びにその化合物が好ましく用いられる。ここでいう「金属含有化合物」は、元素も含み、金属を元素の状態で用いることも出来るが、通常は化合物として用いる。化合物としては、例えば酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸塩、ギ酸塩、酢酸塩のような有機酸塩、各種アミン類との錯体、さらにはアセチルアセトネートやEDTAの錯体のようなキレート化合物等が挙げられる。これらの中では、後述する理由から、特に硝酸塩や酢酸塩、硫酸塩のような水に可溶なものが好ましい。これらの金属またはその化合物は、単独で用いても良く、また2種以上を併用しても良い。また必要に応じて、遷移金属以外の金属、すなわちアルカリ金属やアルカリ土類金属、希土類、または非金属の元素ならびにそれらの化合物を併用しても良い。
これらの金属またはその化合物は、原料と別個に反応室に導入してもよいが、上記の原料、好ましくは原料に同時に溶液または分散体または溶融状態、好ましくは溶液状態で共存させて、原料と同時に導入するのが、金属ナノ粒子生成効率の点から好ましい。
3)炭素含有化合物と金属含有化合物の混合物の溶液の定義とその理由。
これら金属の使用量は、原料の炭素ベース重量と金属量ベース重量の比率(原料炭素/金属重量比)が、0.01~10000、好ましくは0.1~1000、さらに好ましくは1~500である。上記の金属含有化合物については、適宜その使用量や種類等を選択することにより、複合体の金属ナノ粒子のサイズをコントロールすることが可能である。
4)炭素含有化合物と金属含有化合物の分散体との定義とその理由。
得られた複合体は、前述の如く、金属の粒子が炭素内に包接されたものであって、XRD法によって測定される金属の粒子径が200nm以下、好ましくは0.5nm~50nmであり、金属ナノ粒子と、実質的にアモルファスカーボンからなる炭素との複合体である。
当該複合体は、金属粒子がナノオーダーで炭素に分散されていることと、原料として用いる金属含有化合物を適宜選択することによって任意の金属ナノ粒子を分散させた複合体を製造できることから、触媒、例えば燃料電池用途等に使用することも可能であるが、特にナノカーボン類の製造の前駆体として好適に用いられる。ここで、「前駆体」とは、この複合体に含有される炭素そのものからナノカーボン類を生ずる、またはこの複合体に含有される金属ナノ粒子が触媒の活性点として作用し、炭素含有化合物を分解してナノカーボン類を生ずるもの、を意味する。この際、前駆体には、成長がある程度進行したナノカーボン類が含まれていてもよい。
5)炭素含有化合物と金属含有化合物の混合物を極性溶媒の溶液とするとは
溶媒としては水、メタノール、エタノールのような極性溶媒、トルエン、ヘキサンのような非極性溶媒が挙げられる。好ましくは極性溶媒、特に水を用いるのが、安全性やコストの点で有利である。尚、アルコール類等酸素を含む溶媒を用いた場合は、そのまま炭素含有化合物と兼ねることも可能である。
6)気相反応雰囲気のゲージ圧力を-100~200kPaとする理由。
反応圧力は、常圧付近で行われるが、ゲージ圧で-100~200kPa、好ましくは-70~100kPa、圧力がこの範囲から外れると、反応系が極端な加圧系または減圧系となるので反応室の仕様をそれに適合したものとする必要がある。
7)気相反応雰囲気の温度を300℃~2000℃好ましくは500℃~1800℃にする理由。
反応の温度としては、温度は300~2000℃、好ましくは450~1800℃、さらに好ましくは500~1600℃である。温度がこの範囲より低いと熱分解反応が進行せず、効率的に反応を行わせることが困難となり、逆に温度が高いと、その温度を得るのにプロセスが煩雑となると同時に、消費したエネルギーに対する効率は低くなり、好ましくない。
8)炭素含有化合物と金属含有化合物と同時に不活性ガス又は酸素を気相反応雰囲気に導入する理由。
反応雰囲気は非酸化性雰囲気とするのが好ましい。特に、反応雰囲気を窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気とするのが好ましい。ここで「不活性ガス雰囲気」とは、原料の分解反応において悪影響を及ぼさない雰囲気のことをいう。そこで、反応を阻害しない範囲であれば、上記のような窒素やアルゴンのようなガスで100%置換されている必要はなく、要は酸素のような酸化性活性ガスが反応を阻害しないレベルまで減少されていれば良い。上記の目的のためには、不活性ガスを反応室に導入しながら反応させるのが好ましいが、例えば前述の原料導入におけるスプレーのアトマイズガスとして不活性ガスを用いれば、別個にガス導入口を設ける必要がなく好都合である。尚、上記にかかわらず、必要に応じて、別個にガス導入口を設けることも可能である。
9)炭素含有化合物と金属含有化合物が溶液状態の場合はスプレーまたは微粒子化噴霧にて上記気相反応雰囲気に導入する理由。
本発明では、上記の目的を達成するためには、反応装置の形態は特に問わないが、原料導入装置、反応室、生成物捕集設備からなるプロセスによって行われるのが好ましい。原料導入装置としては、液滴を効率的に滴下できるようになっていれば特に形式は問わないが、先述のようなスプレーや超音波等による微噴霧化装置を用いるのが好ましい。反応室については、先述のような反応雰囲気となるようなものであれば、その形式については特に問わない。具体的には、塔型反応器、槽型反応器等が挙げられる。生成物捕集設備としては、反応器から発生した反応ガスから、生成物である複合体を捕集できれば特に問わないが、例えばサイクロン、バッグフィルタ等のような公知のものが使用できる。又、その他の方法としては、例えば、反応室からの生成物を含むガスを、水を入れた適当な容器にバブリングさせて、沈降した生成物を回収することも可能である。
これらの設備に加えて、必要に応じて原料およびガスのフィード量や温度・圧力等を調整するための各種付帯設備等が装備される。かかる設備を用いることによって、反応をバッチ式または連続式、いずれかの方法にて行うことが可能であるが、効率的な生産のためには、連続式で行うのが好ましい。
【0012】
3.金属及び又は金属酸化物-炭素複合体によるナノカーボン類の製造法の定義と技術的意義
大きさがX線回折(CuKα、波長1.5418Å)によって測定される0.5nm~200nmである微細な金属及び又は金属酸化物が炭素質内に実質的に均一に分散された炭素質微細構造体を、ナノカーボン生長反応ガスの雰囲気にて400℃~2000℃の範囲内で加熱反応させることを特徴とするナノカーボン類の製造方法。
次に上記各技術条件の定義とその理由(技術的意義)を詳述する。
得られたナノカーボン類は、従来の担持型触媒によるCVDプロセスと比較して、担体由来の無機化合物が、生成したナノカーボン類に混入することなく、また当該複合体に存在するアモルファスカーボン類は、成長反応プロセスで大部分が除去されるため、純度が極めて高く、しかも糖類を原料としているので、安価かつ安全にナノカーボン類を大量に製造することが可能である。また、金属ナノ粒子は、従来知られているような、炭素の表面に付着しているのではなく、分散された状態にあるため、金属ナノ粒子が使用中に剥がれ落ちて凝集し、触媒能が低下することもない。
かくして得られたナノカーボン類、特にカーボンナノチューブは、回収後そのまま用いても良く、また必要に応じてさらなる処理、例えば酸/アルカリ等による精製、熱処理(黒鉛化処理)、水蒸気賦活処理、酸化処理、その他の化学処理等、公知の各種後処理を施して、各種用途、例えば樹脂や塗料等に混練・分散させて機能性フィラーとして用い、導電性・電磁波シールド用の機能性樹脂コンパウンドあるいは塗料として、あるいは電極材等の各種電池材料、水素の吸蔵材料、その他電気・電子デバイス等に用いられる。
前記カーボンナノプレートの大きさは、直径が0.8nm~100nmであることによりその利用分野が有利に拡張される。
また前記カーボンナノボールの大きさも、直径が0.8nm~10μmであることによりその利用分野が有利に拡張される。
【実施例】
【0013】
以下に本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
各実施例の反応の条件ならびに結果の生成物を表1と表2に示す。
【0014】
【表1】
JP0004590643B2_000002t.gif

【0015】
【表2】
JP0004590643B2_000003t.gif
<実施例1~17について>
表1に示すような条件ならびに炭素含有化合物および金属含有化合物を用い、図1に示す反応装置を用いて反応を行った。生成した炭素の回収には、生成物を含む反応ガスを、水を入れておいた容器にバブリングさせることによって行った(生成炭素捕集装置)。その結果、生成炭素捕集装置に、生成した複合体が沈降しているのが確認された。さらに、生成した炭素質微細構造体をSEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)にて観察した。その結果、図2及び図3に示す金属ナノ粒子が炭素内に分散された複合体が得られた。
<実施例18について>
上記で得られた生成物(複合体)を、さらにガラス管に入れ、表3に示す条件にて成長反応を行った。その結果、カーボンナノチューブが得られた。
<比較例1について>
比較例1は、実施例6における複合体の代りに、シリカ担持ニッケル触媒を用いて他は実施例6同様に行った。その結果、カーボンナノチューブは得られたが、チューブ径は太く、ヘリングボーン型のナノファイバーであった。また生成物には触媒由来のシリカが残存していた。
【0016】
【表3】
JP0004590643B2_000004t.gif

【産業上の利用可能性】
【0017】
上述の如く、本発明の方法によれば、金属ナノ粒子が炭素材料に分散された複合体が得られ、これを前駆体として用いることによって、従来知られていたナノカーボン類の製造法と比較して、安価に効率的に大量生産することが可能となり、各種用途、例えば樹脂や塗料の機能性フィラー、電極材等の各種電池材料、水素吸蔵材料、その他電気・電子デバイス等への応用が考えられる。さらに、従来は大量生産が困難であった、チューブ径の小さいカーボンナノチューブをも製造することが可能となるため、その産業界における貢献度は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に用いた反応処理フロー例(反応装置を含む)の概要を示す説明図である。
【図2】実施例7で得られた複合体の顕微鏡写真である。
【図3】比較例1で得られた複合体の顕微鏡写真である。
【図4】実施例18で得られたカーボンナノチューブの全体と局部拡大の顕微鏡写真である。(複合体を用いたメタンからのCNT合成生成物のSEM写真)
【符号の説明】
【0019】
1 糖類溶液
2 触媒溶液
3 不活性ガス
4 噴霧装置
5 反応管
6 温度調節系
7 電気炉
8 生成炭素捕集装置
9 生成炭素複合体
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
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