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明細書 :炭化物成型体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3436747号 (P3436747)
公開番号 特開2002-265248 (P2002-265248A)
登録日 平成15年6月6日(2003.6.6)
発行日 平成15年8月18日(2003.8.18)
公開日 平成14年9月18日(2002.9.18)
発明の名称または考案の名称 炭化物成型体及びその製造方法
国際特許分類 C04B 26/28      
C04B 18/10      
C04B 18/24      
C04B 24/38      
E04B  1/64      
FI C04B 26/28
C04B 18/10
C04B 18/24
C04B 24/38
E04B 1/64
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2001-061261 (P2001-061261)
出願日 平成13年3月6日(2001.3.6)
審査請求日 平成13年3月8日(2001.3.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592088622
【氏名又は名称】マチダコーポレーション株式会社
【識別番号】391012615
【氏名又は名称】群馬工業高等専門学校長
発明者または考案者 【氏名】小島 昭
【氏名】藤井 秋男
【氏名】本田 隆
【氏名】萩原 秀彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100092808、【弁理士】、【氏名又は名称】羽鳥 亘
審査官 【審査官】平塚 政宏
参考文献・文献 特開 平9-302803(JP,A)
特開 平9-41298(JP,A)
国際公開98/056731(WO,A1)
調査した分野 C04B 26/28
C04B 18/10
C04B 18/24
C04B 16/02
E04B 1/64
特許請求の範囲 【請求項1】
木材チップなどの植物系原料を炭化処理することにより得られる粒状の植物系炭化物を主成分とする炭化物成型体であり、前記植物系炭化物に対し、古紙を解繊するなどして得られる1~20重量%のセルロース系繊維と、5~20重量%のカルボキシメチルセルロース類とを含んで成る炭化物成型体。

【請求項2】
着色剤、抗菌剤、又は耐火物により表面が被覆されて成る請求項1記載の炭化物成型体。

【請求項3】
建築材料などとして用いられる炭化物成型体を製造する方法であって、木材チップなどの植物系原料を炭化処理することにより得られる粒状の植物系炭化物に対し、古紙を解繊するなどして得られるセルロース系繊維を1~20重量%、カルボキシメチルセルロース類を5~20重量%、水を50~100重量%それぞれ加えて混合し、その混合物を所定の型枠に入れて加圧成型した後、その成型物を乾燥機にて強制乾燥するか、又は常温下で自然乾燥することを特徴とする炭化物成型体の製造方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築材料などとして用いられる炭化物成型体に係わり、特に吸着性や調湿性などに優れた高強度の炭化物成型体とその製造方法に関する。

【0002】
【従来の技術】近年、高気密化が進んでいる住宅にあって、頭痛やめまいなどの症状を訴える人が増えている。このような居住環境が原因で発症する健康障害は『シックハウス症候群』というが、特に新築の家で上記のような身体の不調を訴える人が多いことから別名『新築病』とも呼ばれ、これは合板製の床や家具、断熱材・塗料・壁紙の接着剤、又は防虫加工された畳などから揮発するホルムアルデヒドなどをはじめとする有機リン系、有機塩素系の化学合成物質が原因とされている。尚、その種の化学合成物質による健康障害を防止するには換気が有効な手段であるとされているが、近年では木炭の利用が注目されている。

【0003】
特に、木炭をはじめとする植物系炭化物は、多孔質で顕著な物理的吸着機能を有し、生体に対して有害な化学合成物質を吸着できるほか、優れた脱臭性、調湿性、断熱性、並びに電磁波遮蔽性を有することでも良く知られている。そこで、木炭を調湿用として床下に敷き詰めたり、揮発成分の吸着用として袋詰めしたものを室内に配置するなどの事が一般に広く行われているほか、これを板状に成型して床や壁の下地材などとして利用しようとする提案もされている。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、その種の板材は例えば特開平9-302803号公報のように、天然繊維解繊物(セルロース系繊維)をバインダとして、木炭を接合しようとするものであるから、床材や壁材などの建築材料として十分な強度が得られないという問題があった。そこで、合成樹脂系接着剤をバインダとして用い、木炭をホットプレスするという例もあるが、これにより得られる成型体は木炭の空隙が閉塞されてその特有な機能が失われてしまうばかりでなく、接着剤に含まれる合成高分子の影響により寧ろ建築材料として居住環境を害することが懸念され、しかもその種のバインダは自然環境下で分解されないので廃棄処理が難しいなどの欠点がある。

【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的とする処は木炭などの植物系炭化物を主体とする成型体にして、植物系炭化物の有効な機能を損なわずに成型体の強度を高め、しかも廃棄するに際して環境に悪影響を及ぼす事なくその処理を容易に行えるようにすることにある。

【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、木材チップなどの植物系原料を炭化処理することにより得られる粒状の植物系炭化物を主成分とする炭化物成型体であり、前記植物系炭化物に対し、古紙を解繊するなどして得られる1~20重量%のセルロース系繊維と、5~20重量%のカルボキシメチルセルロース類とを含んで成る炭化物成型体を提供する。尚、好ましくは、その表面を着色剤、抗菌剤、又は耐火物により被覆する事が望ましい。

【0007】
又、本発明は建築材料などとして用いられる炭化物成型体を製造する方法であって、木材チップなどの植物系原料を炭化処理することにより得られる粒状の植物系炭化物に対し、古紙を解繊するなどして得られるセルロース系繊維を1~20重量%、カルボキシメチルセルロース類を5~20重量%、水を50~100重量%それぞれ加えて混合し、その混合物を所定の型枠に入れて加圧成型した後、その成型物を乾燥機にて強制乾燥するか、又は常温下で自然乾燥することを特徴とする。

【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る炭化物成型体の好適な態様を示した斜視概略図であり、図2には同成型体の部分拡大断面を示す。図1において、1は板状に成型したベースであり、このベース1は粒状の植物系炭化物を主成分として、これがセルロース系のバインダにより接合されて成る。2はベース1の表面に施した被膜層であり、これは着色剤、抗菌剤、又は耐火物から形成される。尚、着色剤としては酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黄鉛、群青、クロムグリーンなど各種の無機顔料があり、抗菌剤としては鉄、銅、亜鉛などの金属塩(金属フタロシアニン)などがあり、又耐火物としてはゼオライトやケイ藻土などの天然鉱物質が挙げられる。このうち、上記のような抗菌剤や耐火物は着色剤としての機能も有する。特に、それらはベース1に装飾性、防火性、抗菌性を付与するほか、植物系炭化物の表面が剥落するのを防止する働きもする。尚、被膜層2をベース1の表面のみならず内部に含ませたり、又はこれを省略するようにしても良い。

【0009】
ここで、植物系炭化物3は木材、それも木材のチップを炭化装置により乾留することにより得られる粒状体であり、その粒径は10μm~5mmとされる。特に、この植物系炭化物3は、ナラやマツなどの軟木を500℃程度で炭化した後、800℃程度で精練して自然消火することにより得られる黒炭(軟炭)とされるが、カシなどの堅木を300℃程度で炭化した後、1000℃以上で精練して強制消火することにより得られる白炭(堅炭)としても良い。又、その原料として間伐材や建築廃材を用いることが好ましいが、そのほか、おが屑、籾殻、ヤシ殻、コーヒー殻、竹、おから、ビール滓などを用いて、それぞれおが屑炭、籾殻炭、ヤシ殻炭、コーヒー殻炭、竹炭、おから炭、ビール滓炭などとしたり、それらを活性化剤や水蒸気により処理して吸着力を高めた活性炭としてもよい。その他、植物系炭化物として、植物が自然界の作用により炭化処理された褐炭、泥炭、石炭、並びにその加工物で成るコークスなどを利用することもできる。

【0010】
一方、バインダとしては、セルロース系繊維4とカルボキシメチルセルロース類(エーテル化度0.5~1.5)との混合物が用いられる。本例において、セルロース系繊維4は、資源の有効利用を目的として新聞、雑誌、コピー紙、又は牛乳パックなどの古紙を機械的、又は化学的処理により粉砕、解繊して、10μm~10mmの繊維長にしたものを用いるが、木材などの植物体から直接取り出した機械パルプや化学パルプを用いても良い。又、カルボキシメチルセルロース類(略称CMC)は、セルロースのOH基にカルボキシメチル基(CHCOOH基)をエーテル結合させた水溶性の白色粉末であり、これは別名セルローズエーテル、セルローズグリコール酸ナトリウム、合成糊料などとも呼ばれ、例えば1%水溶液にして5~1000mPa<HAN>・</HAN>s以上の粘性を示す(B型粘度計による)。

【0011】
そして、本発明によれば、以上のようなバインダで植物系炭化物3を接合することにより、人体に有害な揮発性ガスを発生することがなく、調湿性、吸着性、断熱性、電磁波遮蔽性を有し、しかも建築材などとして高い曲げ強度などをもつ所定形状の炭化物成型体を得ることができる。

【0012】
以下、その製造方法を説明する。先ず、図3に示すように上記のような粒状の植物系炭化物(粉炭)、セルロース系繊維、CMC、並びに水をそれぞれ適量ずつ所定の混合容器などに入れて撹拌、混合する。その配合割合は植物系炭化物に対し、セルロース系繊維を1~20重量%、CMCを5~20重量%、好ましくは15~20重量%、水を50~100重量%とし、撹拌には約10~20分の時間をかけて各部材を均等に混合させる。これにより、CMCが水に溶けて糊状になるが、その量が上記の範囲を超えるとこれが糊化しないばかりでなく、植物系炭化物の機能を損なう事になり、上記範囲以下では最終的に得られる成型体の強度が低くなる。

【0013】
よって、植物系炭化物に対してCMCと水の配合量を上記の範囲に設定し、全体に粘りがでるまで良好に撹拌する。そして、その撹拌混合が完了したら、その混合物を計量して定量ずつ所定の型枠に入れ、プレス機などを用いて10~20Nの圧力をかけ、その圧力を一定時間(10~60秒)保って内容物(混合物)を板状など所定形状に加圧成型する。その後、得られた成型物を型枠から取り出して受け皿上に並べ、これを乾燥機に入れて70~130℃、好ましくは100~110℃の雰囲気の下で10~12時間程度をかけて乾燥させる。尚、本例では乾燥処理に温風式ほか、真空式などの乾燥機を用いた強制乾燥(加熱乾燥)方式を採用するが、これに常温下による自然乾燥方式を採用しても良い。

【0014】
そして、以上のようにして得られる成型体によれば、CMCの固化により植物系炭化物が強固に接合され、しかもセルロース系繊維が絡み合って植物系炭化物の接合力をより強固にするため、床材や壁材などの建築材料として十分な強度を有し、更に植物系炭化物の微細な空隙に浸入した水分の多くが乾燥によって外部に排除されるために、その有効な機能(吸着性、調湿性など)が損なわれない。

【0015】
ここで、乾燥処理後の成型体を所定寸法に切断したり、その面取り、歪み矯正などの仕上加工を施した後、その表面に上記のような着色剤、抗菌剤、又は耐火物による被膜層を形成しても良い。尚、この表面加工は澱粉をバインダに用いるなどして塗装や吹き付けにより実行されるが、撹拌混合工程において着色剤、抗菌剤、又は耐火物を添加するようにしても良い。

【0016】
次に、本発明の炭化物成型体の製造方法に係わる具体例を示す。
(実施例1)
微粒状の植物系炭化物(木炭:杉)を100重量部、セルロース系繊維(牛乳パックを粉状に裁断解繊したもの)を20重量部、CMC(四国化成工業株式会社製カセローズTL:エーテル化度0.57~0.73)を15重量部、及び水を100重量部、それぞれ混合容器に投入して20分間撹拌、混合し、その混合物を型枠に入れてプレス機にて20Nの圧力をかけながら30秒間加圧成型した後、その成型体を乾燥機に入れて110℃下で12時間加熱乾燥することにより、板状(200×200×10mm)の炭化物成型体を得た。そして、その炭化物成型体を用いて施工した室内容積約13m3の建屋(実験室)内の温湿度の変化を調べてみた。その結果を表1に示す。尚、表2には、比較例として通常の石膏ボードによる上記と同型の実験室内における温湿度の変化量を示す(実験場所、日時は同じ)。

【0017】
【表1】
JP0003436747B2_000002t.gif【表2】
JP0003436747B2_000003t.gif一方、上記2つの実験室にそれぞれホルムアルデヒド、トルエン、キシレンを拡散させて、本願炭化物成型体と石膏ボードによる上記各成分の吸着性能を調べてみた。その結果を表3~表5に示す。尚、表中のガス濃度は試験開始30分後の値を100とした。

【0018】
【表3】
JP0003436747B2_000004t.gif【表4】
JP0003436747B2_000005t.gif【表5】
JP0003436747B2_000006t.gif表3~5から明らかなように、本例の炭化物成型体は通常の石膏ボードに比べ、ホルムアルデヒド、トルエン、及びキシレンを効率よく吸着することが判る。
(実施例2)
微粒状の植物系炭化物(竹炭)を100重量部、CMC(四国化成工業株式会社製カセローズTL)を5重量部、及び水を60重量部、それぞれ混合容器に投入して20分間撹拌、混合し、その混合物を型枠に入れてプレス機にて20Nの圧力をかけながら30秒間加圧成型した後、その成型体を乾燥機に入れて110℃下で12時間加熱乾燥することにより、板状(30×30×10mm)の炭化物成型体を得た。そして、その炭化物成型体の曲げ強度、及びヤング率を調べてみた。その結果を表6に示す。

【0019】
【表6】
JP0003436747B2_000007t.gif(実施例3)
微粒状の植物系炭化物(竹炭)を100重量部、セルロース系繊維(牛乳パックを粉状に裁断解繊したもの)を20重量部、CMC(四国化成工業株式会社製カセローズTL)を15重量部、及び水を100重量部、それぞれ混合容器に投入して20分間撹拌、混合し、その混合物を型枠に入れてプレス機にて20Nの圧力をかけながら30秒間加圧成型した後、その成型体を乾燥機に入れて110℃下で12時間加熱乾燥することにより、板状(30×30×10mm)の炭化物成型体を得た。そして、その炭化物成型体の曲げ強度、及びヤング率を調べてみた。その結果を表7に示す。

【0020】
【表7】
JP0003436747B2_000008t.gif尚、表6及び表7に示されるように、本例に係る炭化物成型体では非常に高い強度を得られるが、特にCMCを増量しつつセルロース系繊維を加えることにより、その強度が一層向上することが判る。

【0021】
以上、本発明の適用例を説明したが、本発明に係る炭化物成型体は板状に限らず、ブロック(レンガ状)その他の塊状にしても良い。又、その用途は様々であり、例えば吸着材や調湿材ほか、断熱材、防音材、電磁波遮蔽材などとしての用途もある。特に、下駄箱やタンス又は食器棚などの構成材として、悪臭の拡散を防止することができる。

【0022】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば木炭などの植物系炭化物をカルボキシメチルセルロース類とセルロース系繊維との混合物で成るバインダにより接合するようにしていることから、建築材料として有用な高強度の成型体を得られ、しかもカルボキシメチルセルロース類は水溶性で植物系炭化物の微細な空隙を閉塞しないので植物系炭化物がもつ特有の機能が失われない。

【0023】
又、本発明に係る炭化物成型体は、使用中に有害な揮発性ガスを放出する事が無く、しかも其の使用済み品を燃料として燃焼させても有害成分を殆ど発生せず、土壌中に廃棄しても全て生分解されるので環境を害さない。このため、廃棄処理が容易でゼロエミッションを達成し得る。

【0024】
更に、着色剤、抗菌剤、又は耐火物により表面を被覆することから、装飾性、抗菌性、又は防火性が得られるほか、それらの被覆層により植物系炭化物が剥落するのを防止することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2