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Specification :(In Japanese)土壌管理方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4929464
Publication number P2008-211984A
Date of registration Feb 24, 2012
Date of issue May 9, 2012
Date of publication of application Sep 18, 2008
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)土壌管理方法
IPC (International Patent Classification) A01C  21/00        (2006.01)
A01G   7/00        (2006.01)
B09C   1/02        (2006.01)
B09C   1/08        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
FI (File Index) A01C 21/00 Z
A01G 7/00 602Z
B09B 3/00 304K
B09B 3/00 ZAB
Number of claims or invention 4
Total pages 8
Application Number P2007-049627
Date of filing Feb 28, 2007
Date of request for substantive examination Nov 9, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】森 也寸志
Representative (In Japanese)【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
Examiner (In Japanese)【審査官】槙 俊秋
Document or reference (In Japanese)特許第4644806(JP,B2)
特開2002-315432(JP,A)
特開2003-329625(JP,A)
特開2002-315456(JP,A)
国際公開第01/028312(WO,A1)
特開2003-169545(JP,A)
特公昭58-035234(JP,B1)
特開2005-046095(JP,A)
特開平10-98948(JP,A)
特開2003-166860(JP,A)
特開2003-145185(JP,A)
特開2003-240701(JP,A)
特開2000-229279(JP,A)
特開平10-34124(JP,A)
特開2007-166967(JP,A)
特許第4739702(JP,B2)
特許第4479890(JP,B2)
特許第3836088(JP,B2)
森也寸志,石井将幸,熱パルスセンサーによる土壌水流動の直接測定,島根大学生物資源科学部研究報告,島根大学,2004年 8月31日,第9号
Field of search A01C 21/00
A01G 1/00-1/02
A01G 1/06-1/12
A01G 5/00-7/06
A01G 16/00-17/02
A01G 17/18
B09B 1/00-5/00
B09C 1/02
B09C 1/08
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
土壌中の液体の移動を制御する土壌管理方法であって、
予め測定しておいた対象土壌の飽和透水係数の1/10以下の値の供給速度となるように液体を地表から滴下ないし散布することを特徴とする土壌管理方法。
【請求項2】
前記供給速度を、不飽和透水係数曲線において吸引圧(suction)が-10kPaに対応した不飽和透水係数の値以上となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の土壌管理方法。
【請求項3】
前記溶液が油その他の土壌汚染物質を洗浄ないし無毒化する薬剤を含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の土壌管理方法。
【請求項4】
前記溶液が肥料を含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の土壌管理方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌中の水分等の移流速度(または浸透速度)および移流範囲(または浸透範囲)を制御する土壌管理方法に関し、特に、植物に対する施肥や汚染土壌の浄化を効率化する土壌管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、工場跡地の土壌に染み込んだ油を洗浄する際には、土壌に鉛直に深い穴(規模にもよるが例えば、50cmφ)を多数あけ、浄化液(中和剤を溶かした水など)をここに注入し、暗渠から浄化液が出てくるようになってからもしばらく散布を続け、土壌表面が浄化液でひたひたになる飽和状態を維持するような方法がとられていた。そして、暗渠からの廃液を適宜サンプリングして油濃度の推移を測定し、設定値以下になることを確認して洗浄を終了していた。
【0003】

【非特許文献1】Mori,Y et al., Soft X-ray radiography of drainage patterns ofstructured soils, Soil Sci.Soc.Am.J63(4):733-740.1999
【非特許文献2】Mori,Y et al., Soft X-ray radiography of structure-induced macroporeflow in clayey soils. Clay Science for Engineering, Balkema,Rotterdam:297-302.2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような方法は、実験室系では極めて効果的に土壌洗浄ができることが確認されているにもかかわらず、実際の現場では、浄化液がそのまま暗渠から出てくるようになっても、依然として土砂間の油が取り除けていないといった現象が生じている。より具体的には、実際の現場では暗渠からの廃液の油濃度(中和物質濃度)が設定値以下になっても、土壌をサンプリングしてみると、油が中和されずそのままの状態で、かつ、設定値以上の濃度で検出される現象が生じる。
【0005】
また、これは油に限らず、重金属やその他の土壌汚染物質に関しても、実験室と現場においては、同様に結果に隔たりが生じていた。
【0006】
すなわち、従来では、土壌への液体拡散ないし液体浸透にムラが生じてしまう、という問題点があった。換言すれば、液体の土壌へ対する拡散ないし浸透を効率的におこなえないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、現実の土壌に対しても液体の拡散ないし浸透を効率的におこなうことを目的とし、これを応用して、土壌浄化または施肥を効率的におこなうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の土壌管理方法は、土壌中の液体の移動を制御する土壌管理方法であって、予め測定しておいた対象土壌の飽和透水係数の1/10以下の値の供給速度となるように液体を地表から滴下ないし散布することを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1にかかる発明は、植物の根の跡や昆虫その他の地中生物の生活跡などのマクロポア(粗大間隙:~ミリオーダー、場合によってはサブミリオーダー)が存在するような現実の土壌であっても、マクロポアへの選択的液体移動を回避し、毛管力により保持されているような土砂間、すなわちミクロポア(微細間隙:土壌組成物自体の間隙)への液体拡散ないし液体浸透を実現する。これにより、空間的にムラのない液体浸透が実現される。
【0010】
また、請求項2に記載の土壌管理方法は、請求項1に記載の土壌管理方法において、前記供給速度を、不飽和透水係数曲線において吸引圧(suction)が-10kPaに対応した不飽和透水係数の値以上となるようにしたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項2にかかる発明は、液体の下方移動(重力移動)が円滑である液体供給量を保ち、水平方向へも鉛直方向へもムラのない効率的な液体供給を実現する。なお、土壌の水分率も高くしつつ、土壌を不飽和状態(空気も含む状態)とできるので、微生物活性を利用した土壌管理に資することも可能となる。
【0012】
また、請求項3に記載の土壌管理方法は、請求項1または2に記載の土壌管理方法において、前記溶液が油その他の土壌汚染物質を洗浄ないし無毒化する薬剤を含むものであることを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項3にかかる発明は、少ない中和剤で効率的な土壌浄化が可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の土壌管理方法は、請求項1または2に記載の土壌管理方法において、前記溶液が肥料を含むものであることを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項4にかかる発明は、肥料を根群域に効率的に供給可能となる。換言すれば、例えば液肥をマクロポア経由で無駄に下流散逸させることなく、根群域の土壌に少ない量で効率的に行き渡らせることが可能となる。一方において、地下水汚染を低減させることも可能となる。なお、肥料は固形肥料であって、水分供給量を制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マクロポアとミクロポアが混在する現実の土壌に対しても、不飽和状態を維持するような液体供給により、液体をムラなく土壌全体に行き渡らせることが可能となる。土壌浄化の場合には、従来のように穴を多数設けなくても、地表から散布するだけで効率的な浄化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、本願発明者が土壌の飽和状態、すなわち、対象土壌において、供給過多になる直前の染み込んでいくだけ給水していく状態(ひたひたに供給する状態)と、不飽和状態(飽和状態でない状態)と、の間に透水係数(時間当たりの水の浸透距離)に不連続性があり、マクロポアが主位的に選択されて重力にしたがって水が一気に排水されてしまい、結果としてミクロポアに水が浸透していかない状態と、マクロポアが主位的に選択されず、ミクロポアに水が浸透していく状態との間に、suctionと透水係数・不飽和透水係数に関して、土質によらない一定の関係があることを突き止めてなした発明である。
【0018】
すなわち、suctionが-1kPa~-3kPaに対応する不飽和透水係数の値が飽和透水係数の略1/10となり、suctionがこの程度以下(に対応する透水係数に相応する液体供給速度)となると、マクロポアへ水が選択的に流れていくようなことにならず、水が拡散ないし浸透していくことを突き止め、本発明をなしたのである。換言すると、マクロポアに依存しない水伝搬の相転移点が、suctionが-1kPaから-3kPaの間にあることを突き止めて本発明に到ったのである。
【0019】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、稲を育てた田んぼ土壌を用いて、地表から水を供給し、下流への排水過程をX線により可視化した図である。図中、θは体積水分率である。図1(a)から明らかなように、水分が多い場合には、水が重力にしたがって根の跡であるマクロポアを選択的に移動していき、土壌(砂、シルト、粘土)全体に浸みていかない。一方(b)に示したように、水分が少ない場合、水は土壌全体に浸みていることが分かる。
【0020】
水分率は水分供給量と相関があると考えられるため、本願発明者は客観的な評価を可能とすべく、人工的にマクロポアの有無と、飽和/不飽和の状態で、水分の拡散・浸透状況を調べた。具体的には、直径5cm、高さ10cmのカラムに、
・土壌を均一に充填し(すなわちマクロポアがない状態)、水で飽和させた場合、
・土壌を均一に充填した後、直径1mm深さ95mmで鉛直方向に7箇所均等に孔をあけ、マクロポアを人工的に作った系に、水の供給量を変えた場合、
で溶質の移動実験をおこなった(図2)。
【0021】
定流量ポンプを使用してカラム上部から溶液(0.005mol/L CaCl2水溶液)を滴下して、破過曲線(ブレークスルーカーブ)を記録した。このとき、定流量ポンプの溶液供給量(供給速度)と土壌下端にかけるsuctionを制御して、飽和状態と不飽和状態を作り出した。なお、飽和・不飽和の制御にはテンシオメーターを用いた。なおsuctionは、土壌下端からチューブを下垂させ、そのチューブに水を充満させることによって制御できる。
【0022】
図3は、実験結果である。このうち、図3(a)は、人口充填飽和状態を、図3(b)は、マクロポア存在飽和状態を、図3(c)は、マクロポア存在不飽和状態の結果をそれぞれ示した図である。なお、図で横軸Pore
volumeとは供給量を土壌の中の間隙量で割ったものであり、間隙をどれくらい入れ替える溶液が供給されているかを示す指標であり、縦軸C/Coとは、検出される溶液濃度を、供給している溶液濃度で割ったものであり、溶液が土壌内にどれくらい浸透しているかを表す指標である。また、Effluentとは土壌下端(排水端)で、3cm、6cm、9cmとは、土壌下端(0cm)からの高さを示す。
【0023】
図3(a)では、全ての位置でブレークスルーカーブがほぼ正規曲線にのっており、水が全域に分散していることが確認できる。即ち、水が隅々まで浸透していくことが確認できる。一方、図3(b)に示したように、マクロポアが存在すると、水が一気に下端に流れ落ちてしまうことが確認できる。即ち、マクロポアが選択される排水であるほど、最高濃度に上がった後の排水端データが急激に落ち込むようになる。一方、不飽和状態、すなわち、水の供給量を少なく絞ってやると、図3(c)に示したように、図3(a)と同様、系の全域に分散することが確認できる。よって、マクロポアが存在していても、不飽和状態となるように水を供給してやるとよいことが分かった。
【0024】
続いて、どの程度の不飽和とすればよいのかを調べるべく、飽和透水係数と、不飽和透水係数曲線との関係を求めることとした。図4は、畑地土壌と水田土壌の場合のそれぞれについて飽和透水係数と不飽和透水係数曲線との関係を表した図である。図では白抜きの四角形および実線曲線が、畑地土壌の飽和透水係数と不飽和透水曲線を表し、白抜きの菱形および点線曲線が水田土壌の飽和透水係数と不飽和透水曲線を表す。図示したように、土質に関係なく飽和透水係数の1/10程度の不飽和透水係数に対応したsuctionが-1kPa~-3kPaの範囲内にあることが分かった(図中の楕円部分)。実際、図2と同様の測定装置で、suctionを-2kPaと-3kPaとして、実験を試みた。結果を図5に示す。
【0025】
図5に示したように、飽和状態(図5(a))では、排水端に一気に水が流れてしまい、不飽和度が大きくなると正規分布に近い、すなわち、マクロポアが存在していてもミクロポアを介して水が土壌全体に浸透ないし拡散していくことが確認できた(図5(c))。そして、水の供給速度としては、飽和透水係数の1/10以下とすることで、水を土壌全体に浸透ないし拡散させることができることが分かった。なお、この系では、-2kPaでは(図5(b))は、排水端データから明らかなように、最高濃度に上がった後の排水端データの落ち込みが図5(a)ほどではないものの依然として大きく、飽和と不飽和の中間の状態であることが分かる。
【0026】
図6は、マクロポアが存在する実際の土壌における水の流れの様子をX線撮影した図である。黒い部分が造影剤が溶けた水が通っている部分である。図6(a)は飽和状態であり、マクロポアを選択的に水が流れている様子が示されている。一方図6(b)は、(a)と同一箇所の土壌に対して飽和透水係数の1/10の速度で水を供給したときの初期の図である。ミクロポアに水が浸透し始めている様子が確認できる。なお、時間が経つと土壌全般に造影剤が拡散して真っ黒な画像となったため、初期の図のみを示すこととした。
【0027】
なお、本願発明者は、土壌中に切削油を添加した系で、マクロポアの存在する場合、飽和透水係数の1/10程度で浄化剤(栄養塩)を供給したところ、飽和状態で浄化剤を供給したときよりも2割程度高い浄化効率を得ることを確認した。ここで、供給量が1/10であることを鑑みると、本発明は、極めて少ない供給量で高い浄化効率を実現することが可能な技術といえる。
【0028】
なお、水の供給速度の下限としては、土壌水分率が60%~80%であると微生物の活性度が大きいこと、また、蒸発・蒸散速度が供給速度を上回ってしまうと供給効率が低減してしまうこと、重力による下方拡散が利用できる範囲であること、などを考慮すると、suctionが-10kPaに対応した不飽和透水係数の値以上であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
植物や果樹に対する肥料は、根群域(地表から、植物や果樹の根が張る深さまでの土壌領域)にとどまれば施肥となるが、根群域の下では土壌汚染の原因となってしまう。したがって、植物の肥料消耗速度と肥料の供給速度とを調整することにより、効率的な施肥が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】稲を育てた田んぼ土壌を用いて、地表から水を供給し、下流への排水過程をX線により可視化した図である。
【図2】実験設備の模式図である。
【図3】実験結果を示した図である。
【図4】砂地、畑地、粘土質など各種の地質における関係をプロットした飽和透水係数と不飽和透水係数曲線との関係式である。
【図5】実験結果を示した図である。
【図6】マクロポアが存在する実際の土壌における水の流れの様子をX線撮影した図である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5