Top > Search of Japanese Patents > METHOD OF SUPPRESSING DIFFUSION OF TRANSPORTED RED CLAY TO SEA AREA > Specification

Specification :(In Japanese)流出赤土の海域への拡散抑制工法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4696234
Publication number P2006-097337A
Date of registration Mar 11, 2011
Date of issue Jun 8, 2011
Date of publication of application Apr 13, 2006
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)流出赤土の海域への拡散抑制工法
IPC (International Patent Classification) E02B  15/00        (2006.01)
FI (File Index) E02B 15/00 Z
Number of claims or invention 4
Total pages 7
Application Number P2004-284854
Date of filing Sep 29, 2004
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 平成16年4月1日 財団法人塩事業センター日本海水学会発行の「日本海水学会誌 第58巻 第2号(通巻330号)平成16年4月」に発表
Date of request for substantive examination Feb 22, 2007
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504145308
【氏名又は名称】国立大学法人 琉球大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】佐藤 一紘
Representative (In Japanese)【識別番号】100074918、【弁理士】、【氏名又は名称】瀬川 幹夫
Examiner (In Japanese)【審査官】西田 秀彦
Document or reference (In Japanese)特開2004-116141(JP,A)
特開平7-251171(JP,A)
特開平6-128927(JP,A)
米国特許第01718181(US,A)
Field of search E02B 15/00、8/08
B01D 21/01
C02F 1/52
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
河川の河口部から海域に向けて天端が水平な河口水路を延ばし、この水平な河口水路の外周に第1のマングローブ植栽域(土盛りされた植栽基盤の上に植栽によってマングローブを造成したもの)を配し、さらに第1のマングローブ植栽域の外周に1又はそれ以上のマングローブ植栽域を順次外側に広がるように配し、上記各マングローブ植栽域を擁壁により区画し、上記水路の天端から溢れた河川の水が内側の第1のマングローブ植栽域から最外側のマングローブ植栽域を通って流れた後に海域に流出するようにしたことを特徴とする流出赤土の海域への拡散抑制工法。
【請求項2】
前記各マングローブ植栽域の植栽基盤の上面の植栽面は外周側よりも内周側の方が低くなるように傾斜している、請求項1に記載の流出赤土の海域への拡散抑制工法。
【請求項3】
前記各擁壁の外側には、該擁壁の外周側のマングローブ植栽域の植栽基盤の植栽面上に沈殿して内周側に移動した赤土を受けて排出するための赤土排出路が形成されている、請求項2に記載の流出赤土の海域への拡散抑制工法。
【請求項4】
前記マングローブ植栽域の高さは、外側のマングローブ植栽域よりも内側のマングローブ植栽域の方を高くした、請求項1,2又は3に記載の流出赤土の海域への拡散抑制工法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、陸域で止められずに河口から流出する赤土が海域で拡散するのを抑制する流出赤土の海域への拡散抑制工法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖縄はサンゴ礁に恵まれ、世界でも最も美しい海の1つとして有名であるが、陸地を乱開発した結果、降雨のたびに赤土が流出して河川に流れ込むようになった。流れ込んだ赤土は水の流れとともにさらに河口に運ばれ、河口からサンゴ礁海域に流出して拡散する。このため、海水が汚濁し、サンゴの成育状態に影響するという問題が生じた。このような赤土の流出による海水の汚濁は深刻であり、専門家によっていろいろな手段が講じられ、多大な費用が費やされたが、これまで赤土の海域への流入を防止する真に効果的な対策は確立されていないのが実情である。
【0003】
このままサンゴ礁海域の汚濁が続くと、サンゴ礁に及ぼす被害は深刻なものとなる可能性が高く、一刻も早く有効な対策が施される必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点を改善するため、懸濁している赤土の微細な粒子が海水に触れると、その中の種々のイオンと反応して凝集する傾向がある点に着目し、河口から流出する赤土のサンゴ礁海域での拡散を有効に抑制することができる、流出赤土の海域への拡散抑制工法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る流出赤土の海域への拡散抑制工法は、河川の河口部から海域に向けて天端が水平な河口水路を延ばし、この水平な河口水路の外周に第1のマングローブ植栽域(土盛りされた植栽基盤の上に植栽によってマングローブを造成したもの)を配し、さらに第1のマングローブ植栽域の外周に1又はそれ以上のマングローブ植栽域を順次外側に広がるように配し、上記各マングローブ植栽域を擁壁により区画し、上記水路の天端から溢れた河川の水が内側の第1のマングローブ植栽域から最外側のマングローブ植栽域を通って流れた後に海域に流出するようにしたことを特徴とする。
【0006】
なお、前記各マングローブ植栽域の植栽基盤の上面の植栽面は外周側よりも内周側の方が低くなるように傾斜しているのが好ましい。
【0007】
また、前記各擁壁の外側には、該擁壁の外周側のマングローブ植栽域の植栽基盤の植栽面上に沈殿して内周側に移動した赤土を受けて排出するための赤土排出路が形成されているのがよい。
【0008】
さらに、前記マングローブ植栽域の高さは、外側のマングローブ植栽域よりも内側のマングローブ植栽域の方を高くするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明に係る流出赤土の海域への拡散抑制工法を示した斜視図、図2は上記工法を簡略に示した平面図、図3は図2のX-X線上の断面図であり、図4は図2のY-Y線上の断面図である。これらの図において符号1は河川を示す。この河川1の河口部から海域内に向けて(天端の水平な)水路2が延設されている。
【0010】
河口水路2はコンクリートなどにより人工的に構築すればよい。河口水路2の外周壁の天端部2aの高さは、大潮の平均満潮位HWL程度とする。また、側壁の天端部2aは水平に形成する。
【0011】
また、河口水路2を設計するにあたっては、対象とする河川の計画洪水量を設計流量とする。
【0012】
さらに、河川1から流れ込んだ水は河口水路2の天端部2aを越流するので、越流水深は小さくなるように設計する。越流水深を決める場合、河口での計画洪水量をQとし、河口水路2の流入部水深をh、流速をs、水路の幅をw、長さをL、越流水深をdとすると、次の式が成り立つ。
Q=h・w・s
d=Q/(w+2L)
【0013】
したがって、上記式から河口水路2の幅wと長さLとをできるだけ大きくしてやると、河口水路2の天端を越流する水深dを小さくすることができる。越流水深を小さくすることにより、干潮時には水が静かに溢れ出ることになり、運搬エネルギーも小さくすることができる。
【0014】
なお、河口水路2は図のようなI字形に限定されない。例えば、T字形、L字形、U字形等であってもよく、あるいは円形、扇形などの池のような形状であってもよい。
【0015】
次に、河口水路2の外周には複数(ここでは3つ)のマングローブ植栽域を段状に配設する。第1のマングローブ植栽域3は上記河口水路2の側壁に沿ってU字状に形成する。内周は上記河口水路2の側壁によって区画する。第1のマングローブ植栽域3の内周に設けられた上記河口水路2の側壁には赤土排出用の赤土排出路9を形成する。赤土排出路9の植栽域側縁辺部9aの天端も水平とし、その底面は一方に傾斜させる。また、第1のマングローブ植栽域3は外周側よりも内周側の方が低くなるように傾斜させる。
【0016】
植栽域全面で沈殿した粒子は、傾斜に沿って内周側に緩慢に滑るように移動して排出路に落ち、排出路の底の傾斜に沿って滑るように移動する事を期待している。この排出路の終端には深い沈殿溜を設け、静穏時にここから沈殿を吸い上げる。これが逆になると、外周側に排出路を配置する事になり、沈殿は海側に移動する。下げ潮・上げ潮時に水面が外周縁部と同じ高さになるが、波立っている場合は波を受ける部分に排出路が位置し、沈殿が舞い上がり、再懸濁する。
【0017】
次に、第1のマングローブ植栽域3の外周には第2のマングローブ植栽域4を配する。第2のマングローブ植栽域4も、第1のマングローブ植栽域3とほぼ同じ構成であるが、第1のマングローブ植栽域3の高さよりもやや低く形成する。また、第1のマングローブ植栽域3と第2のマングローブ植栽域4との間の擁壁7の外側(第2のマングローブ植栽域4の内側)には、赤土排出路10を形成する。赤土排出路10の植栽域側縁辺部10aも水平とし、その底面は一方に傾斜させる。そして、第2のマングローブ植栽域4は外周側よりも内周側の方が低くなるように傾斜させる。
【0018】
なお、植栽面に沈殿したものは地辷り的に内周側に移動することが期待される。移動の末端で沈殿は排出路に落ちる。排出路が傾斜しているので、排出路内でも一方に地辷り的に移動する事を期待し、終端には深い沈殿溜を設け、静穏時にここから沈殿を吸い出す。
【0019】
さらに、第2のマングローブ植栽域4の外周には第3のマングローブ植栽域5を配する。第3のマングローブ植栽域5も第1及び第2のマングローブ植栽域4とほぼ同じ構成であるが、第2のマングローブ植栽域4の高さよりもやや低く形成する。この場合も、第2のマングローブ植栽域4と第3のマングローブ植栽域5との間の擁壁8の外側(第3のマングローブ植栽域5の内側)には赤土排出路11を形成する。赤土排出路11の植栽域側縁辺部11aも水平で、その底面は一方に傾斜させる。そして、第3のマングローブ植栽域5は外周側よりも内周側の方が低くなるように傾斜させる。
【0020】
なお、最外周の擁壁12の外側にも排水路13を形成する。この排水路13は干潟とほぼ同じ高さとし、天端部12a、13aは水平で、その底面は一方に傾斜させる。
【0021】
このようにして河口水路2の周囲に複数のマングローブ植栽域を順次外側に広がるように、また外側のマングローブ植栽域の方が内側のマングローブ植栽域よりも段階的に低くなるように配置する。
【0022】
なお、上記各マングローブ植栽域3、4、5は、植栽によって植栽基盤14の上にマングローブ15を造成したもので、植栽基盤14は基盤堆積物の上に土盛りして造成すればよい。
【0023】
マングローブ植栽域3、4、5の植栽基盤14の植栽面は、河口水路2の天端部2aと小潮の平均干潮位LWLとの間に設ける。干潮位LWLより植栽面を低くすると、植栽面が効果的でないほか、地下部の水没時間が長くなるからである。
【0024】
河口水路2の天端部2aの高さは、大潮の平均満潮位HWL程度とする。天端部高と現潮位との差の間でマングローブ植栽面等が機能するので、その時間を長くするためである。
【0025】
なお、マングローブ植栽域の数と幅は、現地の状況と設計の考え方に基づいて決めればよい。
【0026】
上記構成において、上記河川1から赤土を含む濁水が河口水路2に流れ込むと、河口水路2は常に水が満ちているので、図2に矢印で示すように、上記河口水路2の天端部2aから溢れ出て河口水路2の周囲のマングローブ植栽域群のうち最内側の第1のマングローブ植栽域3に流れ込み、さらに第1のマングローブ植栽域3の擁壁7の天端部7aから溢れてそれよりも低い第2のマングローブ植栽域4、続いて第3のマングローブ植栽域5へと順次に流れ込み、最後に第3のマングローブ植栽域5の表面を越えて流れた後に最外周の擁壁12の外側の排水路13に流れ込む。このように、河口水路2から放射状に流れ出た河川1の濁水は最後に上記排水路13を越えて海域16に流出していく。
【0027】
ところで、上記河口水路2内の濁水が天端部2aから溢れ出るとき、上記天端部2aは水平に形成されているから、天端部全体から均一に溢流させることができるほか、広範囲のマングローブ植栽域3、4、5の周囲から流れ出る。濁水は定着したマングローブの錯綜する根系や幹が邪魔して複雑な流れとなるので、そのまま海域16に流出する場合より流速を減衰させることができ、河川1の水が河口水路2から海域に流れ出るまでの時間を長くすることができる。また、水路の周囲に配する数段のマングローブ植栽面に、静かで浅い流れとして溢れ出した濁水中の赤土粒子に沈降し易い条件を与えられる。外側のマングローブ植栽域ほど周囲長が大きくなるので、溢れ出る水深は更に小さくなり、外側のマングローブ植栽域ほど流速はさらに小さくなり、沈降の条件は良くなる。
【0028】
しかも、各マングローブ植栽面は河口水路2に向かって傾斜しているから、各マングローブ植栽域3、4、5に堆積した赤土の層は赤土排出路9、10、11側へ匍匐的に移動して流れ込み、赤土は最終的には赤土排出路9、10、11、13の終端の深い沈殿溜に溜まる。静穏時にここから沈殿を吸い上げ、排出する。
【0029】
河川1で運ばれた濁水に懸濁している赤土の微細な粒子は、海水に触れるとその中の種々のイオンと反応し、凝集する傾向がある。したがって、赤土を淡水条件で沈澱させるよりも容易に沈澱させやすく、赤土の捕捉効率がよい。
【0030】
なお、満潮時に植栽域や河口水路は水没するが、高い満潮位(大潮時)と低い満潮位(小潮時)との間で、水没の程度は異なる。
【0031】
なお、満潮の時にマングローブ植栽域は水没するが、葉や枝が茂った樹冠層を通じて河川水は拡散するので、この施設がない場合より赤土の拡散は抑制される
次に、赤土を排出するときは、好天が続き、河川流量が少ない時期を選び、干潮時に最上部の河口水路2の底の沈殿物を静かに吸い出す。そして、河口水路2及び各段の赤土排出路9、10、11、13の終端の深い沈殿溜から沈殿物を静かに吸い出し、一方の上澄みを抜いた後、沈殿、堆積している赤土を排出すればよい。赤土排出路の底面は一方に傾斜しているから、該赤土排出路9、10、11、13に溜まった赤土は傾斜に従って移動し、排出されやすい。排出後、再び別経路の河川1流水を上記河口水路2に切り替えて沈澱貯溜容量は回復する。このようにして、河口から流出する赤土のサンゴ礁海域での拡散を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る流出赤土の海域への拡散抑制工法を施した状態の斜視図
【図2】上記工法を簡略に示す平面図
【図3】図2のX-X線上の断面図
【図4】図2のY-Y線上の断面図
【符号の説明】
【0033】
1 河川
2 河口水路
3 第1のマングローブ植栽域
4 第2のマングローブ植栽域
5 第3のマングローブ植栽域
9、10、11、13 赤土排出路
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3