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Specification :(In Japanese)極細繊維の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4876252
Publication number P2007-262644A
Date of registration Dec 9, 2011
Date of issue Feb 15, 2012
Date of publication of application Oct 11, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)極細繊維の製造方法
IPC (International Patent Classification) D01D   5/08        (2006.01)
D01F   1/00        (2006.01)
D01F   6/62        (2006.01)
D04H   1/728       (2012.01)
FI (File Index) D01D 5/08 ZBPD
D01F 1/00 ZAB
D01F 6/62 303J
D04H 1/72 C
Number of claims or invention 11
Total pages 11
Application Number P2006-248272
Date of filing Sep 13, 2006
Application number of the priority 2006052741
Priority date Feb 28, 2006
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Aug 19, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大越 豊
【氏名】高崎 緑
【氏名】木村 睦
【氏名】平井 利博
Representative (In Japanese)【識別番号】100088306、【弁理士】、【氏名又は名称】小宮 良雄
【識別番号】100126343、【弁理士】、【氏名又は名称】大西 浩之
Examiner (In Japanese)【審査官】加賀 直人
Document or reference (In Japanese)特開2005-154927(JP,A)
国際公開第2006/017360(WO,A1)
特開2005-264401(JP,A)
Field of search D01D1/00-13/02
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
ノズルから吐き出された熱可塑性高分子融液に、赤外線を照射して該熱可塑性高分子融液の温度を該熱可塑性高分子の結晶融解温度もしくは軟化温度よりも50~500K高い温度まで昇温させて充分に低粘度化した熱可塑性高分子融液とターゲットとの間に高電圧を印加するとともに、空気流を付与することで該低粘度化した熱可塑性高分子融液を加速させ、該高電圧の電場の引力により該熱可塑性高分子融液を該ターゲットに曳いて5μm以下に細化することを特徴とする極細繊維を製造する方法。
【請求項2】
該熱可塑性高分子融液の温度を該熱可塑性高分子の結晶融解温度もしくは軟化温度よりも100~300K高い温度まで昇温させることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項3】
ノズルがエクストルーダのノズルであること特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項4】
ノズルと該ターゲットとの距離が2~300mmであることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項5】
該赤外線がレーザービームであることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項6】
該レーザービームが炭酸ガスレーザーであることを特徴とする請求項5に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項7】
該ノズルの先端部が挿入された筒状空間部に、その一端と他端近傍とに空気流入口を設けるとともに、該ノズルの下方にレーザビームの照射口と電極とを順次設けたメルトブローダイを用い、該ノズルから吐き出された熱可塑性高分子融液に、該照射口からレーザビームを照射し、該空気流入口から空気流を流入しつつ、該電極と該ノズルとの間に直流電流を印加して電場を形成することを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項8】
該高電圧が1~40kVであり、かつ該高電圧の平均電場が0.05~1.0kV/mmであることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項9】
該ターゲットが捕集板であり、その捕集板の上に、前記により細化した該極細繊維が無秩序に捕捉されることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項10】
該ターゲットがボビンであり、そのボビンに、前記により細化した該極細繊維が巻き取られることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
【請求項11】
該空気流の速度が0.1~500m/secであり、該空気流の温度が0~600℃であることを特徴とする請求項1に記載の極細繊維を製造する方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒を使用することなく、極めて細径でありながら径の均一性が高く、また物性的にも優れた極細繊維、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性の原料樹脂を溶融紡糸により繊維化し、その繊維を高速の気体によって吹き飛ばして捕集板上でシート状に捕集して不織布を一貫連続して製造する方法は、メルトブローン法といわれて、例えば特許文献1に開示されている。また、例えば特許文献2に示されているエレクトロスピニング法は、溶液紡糸法を採用して繊維化し、不織布を連続して製造する方法である。
【0003】

【特許文献1】特開昭49-10258号公報
【特許文献2】特開2005-330624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メルトブローン法等の直接紡糸法では直径3μm程度以下の繊維を量産することは困難とされている。また、溶融した原料樹脂を細いノズルから押し出すため、原料樹脂の分子量に限界があって物性の向上も望めない。直径ムラも大きくなりやすい。エレクトロスピニング法等の溶液紡糸法は、溶媒を回収するためのコストがかかり、また溶媒を完全に回収することは極めて困難であることから、地球環境への負荷という面から好ましいものではない。
【0005】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、溶媒を用いることなく、極めて細径でありながら径の均一性が高く、また物性的にも優れた極細繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するためになされた、請求項1に係る発明の極細繊維製造方法は、ノズルから吐き出された熱可塑性高分子融液に、赤外線を照射して該熱可塑性高分子融液の温度を該熱可塑性高分子の結晶融解温度もしくは軟化温度よりも50~500K高い温度まで昇温させて充分に低粘度化し熱可塑性高分子融液とターゲットとの間に高電圧を印加するとともに、空気流を付与することで該低粘度化した熱可塑性高分子融液を加速させ、該高電圧の電場の引力により該熱可塑性高分子融液を該ターゲットに曳いて5μm以下に細化することを特徴とする。
【0007】
同じく請求項2に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該熱可塑性高分子融液の温度を該熱可塑性高分子の結晶融解温度もしくは軟化温度よりも100~300K高い温度まで昇温させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該ノズルがエクストルーダのノズルであること特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該ノズルと該ターゲットとの距離が2~300mmであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該赤外線がレーザービームであることを特徴とする
【0011】
請求項6に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項5の極細繊維を製造する方法であって、該レーザービームが炭酸ガスレーザーであることを特徴とする
【0012】
請求項7に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該ノズルの先端部が挿入された筒状空間部に、その一端と他端近傍とに空気流入口を設けるとともに、該ノズルの下方にレーザビームの照射口と電極とを順次設けたメルトブローダイを用い、該ノズルから吐き出された熱可塑性高分子融液に、該照射口からレーザビームを照射し、該空気流入口から空気流を流入しつつ、該電極と該ノズルとの間に直流電流を印加して電場を形成することを特徴とする。
【0013】
レーザーの照射による温度上昇は、該熱可塑性高分子の結晶融解温度もしくは軟化温度よりも50~500K高い温度までとすることが好ましく、該熱可塑性高分子の結晶融解温度もしくは軟化温度よりも100~300K高い温度がより好ましい。この程度の温度にすることにより、熱可塑性高分子の十分な低粘度化が得られ、電場の引力により引き伸ばし細化できる。これより低い温度では、該熱可塑性高分子を電場によって引き伸ばすことができるほどには充分に低粘度化することができず、この方法によって極細繊維をえることができない。またこの温度よりも高い場合には、繊維が電場によって引き伸ばされて冷却固化する以前に分解が進んでしまうため、良好な極細繊維が製造できない。
【0014】
従って、良好な極細繊維を作成するためには、適度の温度まで昇温することが必要になる。このためには、レーザー照射後に該熱可塑性高分子が到達する最高温度を実測して制御するのが好ましいが、実際には瞬間的に昇温して電場により引き伸ばされ、冷却・固化するため、直接高精度に測定・制御することは一般に難しい。ただし、電場を加えない状態でなら最高温度を実測できることも多いため、この場合は実測することが好ましい。一方で、試料の分解が進む場合や試料のサイズが小さい場合には、直接測定では温度精度が確保できない。この場合には、計算によって求めた温度精度の方が高いので、こちらを採用する方が合理的である。
【0015】
レーザー照射後に該熱可塑性高分子が到達する最高温度は、レーザー照射前の該熱可塑性高分子の温度、レーザー光源の出力、レーザービームの照射効率、照射時間、およびレーザービームが照射される該熱可塑性高分子の体積、および該熱可塑性高分子の密度と比熱より、次式によって推定できる。
【0016】
最高温度=照射前温度+レーザー出力×照射効率×照射時間/(比熱×密度×体積)
例えば結晶融解温度約250℃、密度約1.3g/cm3、比熱2.3kJ/kg/K のPETを20℃の室温から結晶融解温度よりも120K高い370℃まで昇温させる場合を考えると、該熱可塑性高分子1mm3あたり約1.0Jのエネルギーを照射すれば良いことになる。従って、出力10Wのレーザーを照射効率0.5で1mm3のPETに照射する場合を考えると、レーザーを照射する時間は約0.2秒になる。PETを連続的に供給する場合、0.2秒間に1mm3のPETを供給すればよいので、試料流量は5mm3/秒、すなわち質量流量約0.4g/minでPETを供給すれば求める温度まで昇温することができる。同様に、280℃のPET溶融体を結晶融解温度よりも200K高い450℃まで昇温するには、レーザー照射時間は約0.1秒で良く、PETを連続的に供給する場合の試料流量は10mm3/秒、すなわち質量流量約0.8g/minと算出できる。
【0017】
ここで照射効率とは、レーザー光の照射エネルギーのうち繊維原料となる該熱可塑性高分子に吸収されるエネルギーの割合を表す0から1の範囲の数値であり、照射される熱可塑性高分子の形態やレーザービームの形状、および照射のための光学系等によって決まる。サイズや性質が既知の試料に弱めのレーザービームを照射し、最高温度を実測することにより照射効率を算出し、製造時の温度推定に用いる。
【0018】
請求項8に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該高電圧が1~40kVであり、かつ該高電圧の平均電場が0.05~1.0kV/mmであることを特徴とする。電場がこれ以上の場合には電極間でスパークが生じ易くなるため電場が安定しない。一方電場がこれ以下の場合には、充分低粘度化した該熱可塑性高分子を電場によって効率的に引き伸ばすことができない。
【0019】
請求項9に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該ターゲットが捕集板であり、その捕集板の上に、前記により細化した該極細繊維が無秩序に捕捉されることを特徴とする。
【0020】
請求項10に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項1の極細繊維を製造する方法であって、該ターゲットがボビンであり、そのボビンに、前記により細化した該極細繊維が巻き取られることを特徴とする。
【0021】
請求項11に係る発明の極細繊維製造方法は、請求項2の極細繊維を製造する方法であって、空気流の速度が0.1~500m/secであり、空気流の温度が0~600℃であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の極細繊維製造方法によれば、原料の熱可塑性高分子に高エネルギーの熱線である赤外線を照射し、急速にきわめて粘度の低い融液とすることによって、電場の引力により曳いて紡糸することができるようになるから、極めて細い繊維を造ることができる。この方法により、従来のメルトブローン法等の直接紡糸法では不可能とされていた直径3μm程度以下の極細繊維を、溶媒を用いずに量産することが可能となった。紡糸時に高分子を十分粘度の低い溶融状態にできるため、高分子の分子量が大きくても糸切れなく紡糸ができる。また赤外線照射により急速昇温して十分粘度の低い融液にした直後に電場の引力により引き伸ばされて急速に冷却され固化するため、高温かつ低粘度の状態にある時間はきわめて短く、熱分解による物性低下も避けられる。そのため糸強力等の物性面でも優れた繊維が得られる。直径ムラも少なくなる。この製造方法で、電場形成のための電極形状や電極間の電位分布を制御することにより、得られる繊維集合体中での繊維配向を制御することも可能である。
【0031】
また溶媒を使用しないため、溶媒回収コストの不要だけではなく、資源の節約、溶媒の飛散がない等の環境維持の面から好ましい。
さらに、本発明の極細繊維製造方法によれば、連続的に極細繊維を製造でき、さらにはその極細繊維で連続的に不織布を製造できる。そのため、高い生産性の製造方法であり、安価に極細繊維およびその不織布を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するため好ましい形態は、以下のとおりである。
図1は本発明を適用する極細繊維製造方法を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。原料として繊維状の熱可塑性高分子を使用する例である。図に示すとおり、原料繊維1が、レーザービーム11を照射されて溶融し、高電圧の電場引力で曳かれ、極細繊維10となってターゲットである捕集板9に到達して捕捉される。
【符号の説明】
【0033】
原料繊維1は、例えばポリエステルであるポリエチレンテレフタレートであり、軟化点~溶融点は240~250℃のものである。目的とする極細繊維10の直径0.01~5μmの10~1000倍程度の太さである10~1000μmのポリエステル原料繊維1がリール8に巻かれている。原料繊維1は、偏向ローラ3により進行方向を決められ、夫々モータ(不図示)に駆動されるニップロール6aと6bおよびニップロール4aと4bに銜えられて引かれ、オリフィス(ニードル)5を通ってから出る。
【0034】
オリフィス5の出口では、赤外線源である炭酸ガスレーザー7が目標を定めて原料繊維1にレーザービーム11を照射する。レーザービーム11の照射時間は0.1ミリ秒以上1秒以下であり、この照射により原料高分子の温度を原料高分子の融点もしくはガラス転移温度のどちらか高い方の温度よりも充分高い温度まで加熱する。これにより原料繊維1のポリエステルは軟化溶融する。一方、オリフィス5と捕集板9との間には、電源12から直流高電圧が印加されている。溶融している原料繊維1は、その電場引力に曳かれて細化し、目的とする直径の極細繊維10となり、そして捕集板9の上に無秩序に捕捉された繊維集合体となる。
【0035】
この状態からさらに極細繊維の捕捉量を増やし、接着処理や加熱融着処理をすれば、不織布とすることができる。繊維集合体または不織布は、フィルター、電池セパレータ、医療用途、衣料品などへの利用ができる。
【0036】
図2は同じく本発明を適用する極細繊維製造方法を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。原料の熱可塑性高分子がエクストルーダー22のノズル20から吐き出された溶融樹脂28である例を示している。図に示すとおり、溶融樹脂28が、赤外線を照射されて加熱され、十分低粘度となった融液で、高電圧の電場引力で曳かれ、極細繊維10となってボビン29に捕集される。この際、ボビンの回転速度が電場によってもたらされる糸速度よりも充分に大きければ単独の繊維として巻き取られる。ボビンの回転速度が電場によってもたらされる糸速度よりも小さければ極細繊維からなるウェッブ状態となって捕集される。得られた繊維もしくはウェッブは、ボビン29以降で延伸することにより、分子鎖や繊維を配列させ、物性を制御することができる。
【0037】
原料の熱可塑性高分子は、例えばポリアミド樹脂であるナイロン(登録商標)のペレットである。ナイロンのペレットはエクストルーダー22により溶融して押し出される。エクストルーダー22は、ヒーター付きシリンダ27に、スクリュー24が挿通され、ホッパー23が付されている。スクリュー24はモータ25にベルトで連結されている。ナイロンのペレットがホッパー23から投入されると、シリンダ27で加熱されながらスクリュー24の回転で練られ軟化溶融しつつ進行し、融液状態28となってノズル20から吐き出される。
【0038】
ノズル20では、赤外線発光ダイオード26が目標を定めて融液状態の樹脂28に赤外線を照射する。この照射により、溶融樹脂28のナイロンは温度が上昇して粘度が充分低下する。一方、ノズル20とボビン29との間(距離D=2~300mm)には、電源12から直流高電圧が印加されている。溶融樹脂28は、その電場引力に曳かれて細化し、目的とする直径の極細繊維10となる。この極細繊維10はモータ(不図示)に連結したボビン29に巻かれ、無限長の単繊維もしくは繊維ウェッブとして様々な用途に利用される。
【0039】
図3は同じく本発明を適用する極細繊維製造方法を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。この装置はエクストルーダー22とメルトブローンダイ30とが一体化している。図中、メルトブローンダイ30は一部、断面構造を表している。エクストルーダー22は、ヒーター付きシリンダ27に、スクリュー24が挿通され、ノズル20及びホッパー23が付されている。スクリュー24はモータ25にベルトで連結されている。エクストルーダー22のノズル20の一部は、メルトブローンダイ30に挿入されている。メルトブローンダイ30は空洞状になっており、空間部Sと筒状空間部Tとを有している。筒状空間部Tの一端は空気流入口13aを備えている。また、メルトブローンダイ30は筒状空間部Tの他端付近に空気流入口13b及び13cを備えている。空気流入部13a、13b及び13cは、それぞれ独立して外部コンプレッサー(不図示)と接続される。
【0040】
メルトブローンダイ30は、ノズル20の先端より下方の筒状空間部Tと外部との間であって、ノズル20の挿入方向に対して垂直な空間部の外部側に、外部電源と接続された炭酸ガスレーザー7を備えており、空間部の筒状空間部T側に、レーザー透過材32を備えている。また、電極14は、レーザー透過材32の設置部より下方に埋め込まれ、その一部が筒状空間部Tに露出している。この電極14は、外部電源と接続されている。メルトブローンダイ30はコンベア19,サクション17及びボビン29と係合している。コンベア19は、メルトブローンダイ30の空間部Sの左右両端に上下に並んだニップロール18a及び18bとニップロール18c及び18dにそれぞれ銜えられ、メルトブローンダイ30の外部で四つの偏向ローラ3に支承されている。各ニップロール及び各偏向ローラ3はモータ(不図示)と連結している。ボビン29は、コンベア19の上部の延長線上に、その一端が位置するように、外部に備えられ、モータ(不図示)と連結している。また、サクション17は通気管16を介してメルトブローンダイ30の空間部Sと通気している。
【0041】
図3の装置による極細繊維10は以下のように製造される。エクストルーダー22から溶融樹脂28がメルトブローンダイ30内へ吐き出され、メルトブローンダイ30内の筒状空間部T及び空間部Sを介して、極細繊維10となり、コンベア19に誘導されて外部のボビン29に巻き取られる。詳しく説明すると、原料の熱可塑性高分子であるナイロンのペレットは、ホッパー23から投入されると、シリンダ27で加熱されながらスクリュー24の回転で練られ軟化溶融しつつ進行し、融液樹脂28となってノズル20からメルトブローンダイ30内へ吐き出される。このとき、炭酸ガスレーザー7からレーザービーム11が、レーザー透過材32を介して照射口31へ照射される。吐き出された溶融樹脂28は、筒状空間部Tにおいて、照射口31からのレーザービーム11に照射され、粘度が充分低下する。電極14とノズル20との間に、図1及び図2と同様に外部電源より直流高電圧が印加され、コンベア19の方向に電場引力が発生している。このとき、ノズル20は電極として作用している。溶融樹脂28は、電場引力によりコンベア19方向に曳かれるとともに、外部コンプレッサーにより空気が空気流入口13a~13cから流入することで加速され、極細繊維10となってターゲットであるコンベア19上に到達する。コンベア19上に到達した極細繊維10は、モータ(不図示)に駆動される偏向ローラにより誘導され、コンベア19とともに別なモータ(不図示)に駆動されるニップロール18aと18bに銜えられて引かれる。さらに別なモータ(不図示)に連結したボビン29に巻き取られる。この際、ボビンの回転速度が電場及び空気流によってもたらされる糸速度よりも充分に大きければ単独の繊維として巻き取られる。ボビンの回転速度が電場及び空気流によってもたらされる糸速度よりも小さければ極細繊維からなるウェッブ状態となって捕集される。得られた繊維もしくはウェッブは、ボビン29以降で延伸することにより、分子鎖や繊維を配列させ、物性を制御することができる。また、空気流入口13a~13cより流入した空気は、空間部Sを介してサクション17により吸引され、装置外へ排気される。
【0042】
空気流入口13a、13b及び13cの中でも、空気流入口13aからの外部コンプレッサーによる空気の流入は、均一な極細繊維製造のために特に好適である。また、空気流入口13b及び13cからの空気の流入量を制御することによって、極細繊維10の走行を安定させることができる。
また、空気流入口13a、13b及び13cに、外部コンプレッサーを接続せず、外気と通気していてもよい。
電極14は複数設置していてもよい。この場合、ノズル20と各電極14との間に印加される電圧を変えることで、筒状空間部T内の電位分布及び電場引力の分布を制御することができる。
レーザー透過材として、例えば、カルコゲナイトガラス、ジンクセレン、珪素、ゲルマニウムが挙げられる。
【0043】
上記図1の実施形態では、原料が繊維状の熱可塑性高分子、赤外線がレーザービーム、ターゲットが捕集板という組み合わせ、図2の実施形態では原料が溶融樹脂、赤外線が発光ダイオードの光線、ターゲットがボビンという組み合わせとなっている。また、図3の実施形態では原料が溶融樹脂、赤外線がレーザービーム、ターゲットがコンベアという組み合わせとなっている。しかし、これらの要素は適宜組み合わせを変えて実施できる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を適用した実施例の実験を説明するが、本発明の範囲はこれらの実験例に限定されるものではない。図1の装置を使い、本発明の実験1,2及び3を行った。また、図3の装置を使い、本発明の実験4を行った。尚、比較のため、メルトブローによる比較実験を行った。ここで試料の最高温度は、レーザー照射前の試料温度、レーザー光源の出力およびレーザービーム内の出力分布、試料の断面積および走行速度、照射時間、および試料高分子の密度と比熱より算出した推定値である。推定には、レーザー照射による繊維温度上昇が、レーザー出力と照射時間に比例し、繊維の走行速度には反比例することを利用した。具体的には、まず実施例の実験条件からレーザー出力と照射時間、もしくは繊維の走行速度を変えることによって繊維が溶融しないようにする。そしてこの状態で赤外温度計によって繊維の最高温度を実測する。得られた温度と、実験条件、すなわちレーザー出力、照射時間、および繊維走行速度の比より、実施例における最高温度を推定した。
【0045】
(実験1)
直径231.3±4.2μmの繊維状ポリエチレンテレフタレートを一定速度で送り出しながら、レーザー光照射により加熱し、印加電圧によって引き伸ばして極細繊維を製造した。照射したレーザービームは、円筒状であり、ビーム直径3mmである。走行速度0.1m/sec、オリフィス-捕集板間距離50mm、印加電圧20kV、電場0.40kV/mm、レーザー出力7.0W、ファイバー直径1.6μm、試料の最高温度440℃、照射時間0.29Secである。推定された最高繊維温度は440℃であり、ポリエチレンテレフタレートの結晶融解温度250℃よりも190K高い。レーザー出力をこれ以上に高めると、分解が進み、均一な繊維を得られなかった。一方レーザー出力がこれ以下だと、直径5ミクロン以下の繊維が得られなかった。
【0046】
(実験2)
直径231.3±4.2μm、長さ3mmの繊維状ポリエチレンテレフタレートにレーザー光を照射して加熱し、印加電圧によって引き伸ばして極細繊維を製造した。照射したレーザービームは、円筒状であり、ビーム直径3mmである。試料長3mm、オリフィス-捕集板間距離65mm、印加電圧9.8kV、電場0.15kV/mm、レーザー出力11.0W、ファイバー直径2μm、試料の最高温度480℃、照射時間0.20Secである。推定された最高繊維温度は480℃であり、ポリエチレンテレフタレートの結晶融解温度250℃よりも230K高い。
【0047】
(実験3)
平均直径242μmの繊維状ポリエチレンテレフタレートを一定速度で送り出しながら、レーザー光照射により加熱し、印加電圧によって引き伸ばして極細繊維を製造した。照射したレーザービームは扁平筒状であり、繊維の走行方向に対し、平行方向の幅が1.9mm、垂直方向の幅が9.1mmである。吐出速度0.0004m/sec、オリフィス-捕集板間距離50mm、印加電圧15kV、電場0.30kV/mm、レーザー出力8.5W、ファイバー直径1.8μm、試料の最高温度490℃である。推定された最高繊維温度は490℃であり、ポリエチレンテレフタレートの結晶融解温度250℃よりも240K高い。レーザー出力を9.1W以上に高めると、分解が進み、均一な繊維が得られなかった。
【0048】
(実験4)
平均直径242μmの繊維状ポリエチレンテレフタレートを一定速度で送り出しながら、レーザー光照射により加熱後、空気流による加速と印加電圧によって引き伸ばして極細繊維を製造した。照射したレーザーは扁平筒状であり、繊維の走行方向に対し、平行方向の幅が1.9mm、垂直方向の幅が9.1mmである。吐出速度0.0004m/sec、オリフィス-捕集板間距離50mm、空気流の流速5m/sec、印加電圧15kV、電場0.30kV/mm、レーザー出力9.1W、ファイバー直径1.1μm、試料の最高温度525℃である。空気流による加速前の推定最高繊維温度は525℃であり、ポリエチレンテレフタレートの結晶融解温度250℃よりも275K高い。
【0049】
(実験5)
平均直径242μm、長さ3mmの繊維状ポリ乳酸系樹脂にレーザー光を照射して加熱し、印加電圧によって引き伸ばして極細繊維を製造した。照射したレーザーは扁平筒状であり、繊維の走行方向に対し、平行方向の幅が2.3mm、垂直方向の幅が6.6mmである。オリフィス-捕集板間距離50mm、印加電圧15kV、電場0.30kV/mm、レーザー出力8.1W、ファイバー直径0.7μm、試料の最高温度300℃、照射時間0.18secである。推定した最高繊維温度は300℃であり、ポリエチレンテレフタレートの結晶融解温度170℃よりも130K高い。
【0050】
(比較実験1)
直径231.3±4.2μm、長さ3mmの繊維状ポリエチレンテレフタレートにレーザー光を照射して加熱し、エアスプレー Hyper Clean 490(エツミ社製)による空気流の吹き付けによって繊維を引き伸ばして極細繊維の製造を試みた。照射したレーザーは、円筒状であり、ビーム直径3mmである。試料長3mm、オリフィス-捕集板間距離70mm、電圧印加なし、レーザー出力3.5W、ファイバー直径6.6μm、試料の最高温度454℃、照射時間0.60Secである。実験条件より算出された繊維温度は454℃であり、ポリエチレンテレフタレートの結晶融解温度250℃よりも204K高い。得られた繊維の直径は最小でも6.6μmに留まり、これより細い極細繊維は作成できなかった。レーザー出力をこれ以上に高めると、分解が進み、均一な繊維を得られなかった。一方レーザー出力がこれ以下だと、さらに太い繊維しか得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を適用する極細繊維製造方法を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。

【0052】
【図2】同じく本発明を適用する極細繊維製造方法を実施するための装置の別な例の概略構成を示す図である。

【0053】
【図3】同じく本発明を適用する極細繊維製造方法を実施するための装置の別な例の概略構成を示す図である。
【0054】
1は原料繊維、3は偏向ローラ、4a,4bはニップロール、5はオリフィス、6a,6bはニップロール、7は炭酸ガスレーザー、8はリール、9は捕集板、10は極細繊維、11はレーザービーム、12は電源、13a,13b,13cは空気流入口、14は電極、16は通気管、17はサクション、18a,18b,18c,18dはニップロール、19はコンベア、20はノズル、22はエクストルーダー、23はホッパー、24はスクリュー、25はモータ、26は赤外線発光ダイオード、27はヒーター付きシリンダ、28は溶融樹脂、29はボビン、30はメルトブローンダイ、31は照射口、32はレーザー透過材、Sは空間部、Tは筒状空間部である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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