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Specification :(In Japanese)DNA増幅法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5652843
Publication number P2010-094091A
Date of registration Nov 28, 2014
Date of issue Jan 14, 2015
Date of publication of application Apr 30, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)DNA増幅法
IPC (International Patent Classification) C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI (File Index) C12N 15/00 A
C12Q 1/68 A
Number of claims or invention 16
Total pages 23
Application Number P2008-268841
Date of filing Oct 17, 2008
Date of request for substantive examination Jun 29, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】高橋 宏和
【氏名】杉山 滋
Representative (In Japanese)【識別番号】100102842、【弁理士】、【氏名又は名称】葛和 清司
Examiner (In Japanese)【審査官】小暮 道明
Document or reference (In Japanese)特表2006-519621(JP,A)
国際公開第2003/016569(WO,A1)
特開2003-052380(JP,A)
国際公開第02/016639(WO,A1)
特開2006-141357(JP,A)
特表2004-526432(JP,A)
Eur. J. Biochem., 109(1980) p.67-73
J. Biol. Chem., 268(1993) p.24106-24113
Genome Res., 11(2001) p.1095-1099
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99(2002) p.5261-5266
Field of search C12N15/
C12Q1/
CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
一価および/または二価の陽イオンと陰イオンとを提供する電解質が溶解されてなる反応液組成物中での、phi29 DNAポリメラーゼを用いる鎖置換型DNA合成反応によるDNA増幅方法であって、
前記陰イオンが、グルタミン酸イオン、アスパラギン酸イオンおよび酢酸イオンから選択される1または2以上の陰イオンであって、前記鎖置換型DNA合成反応に阻害作用を及ぼさない濃度で提供され、
前記鎖置換型DNA合成反応に配列の全てまたは一部にRNAを含むプライマーを用い、
前記RNAプライマーと新規に合成されたDNAとの間にRNase Hによりニックを形成する反応を含む、前記DNA増幅方法。
【請求項2】
DNA増幅方法が、マルチプリープライムローリングサークル増幅法(MPRCA)、またはマルチプルディスプレースメント増幅法(MDA)である、請求項1に記載のDNA増幅方法。
【請求項3】
鋳型DNAが直鎖状である、請求項1または2に記載のDNA増幅方法。
【請求項4】
DNA合成反応とニック形成反応とを同時に行う、請求項1~3のいずれか一項に記載のDNA増幅方法。
【請求項5】
一価および/または二価の陽イオンと陰イオンとを提供する電解質が溶解されてなる、請求項1~4のいずれか一項に記載のDNA増幅方法に用いるための反応液組成物であって、
前記陰イオンが、グルタミン酸イオン、アスパラギン酸イオンおよび酢酸イオンから選択される1または2以上の陰イオンである、前記反応液組成物。
【請求項6】
一価および/または二価の陽イオンの濃度が5 mM以上である、請求項5に記載の反応液組成物。
【請求項7】
一価および二価の陽イオンを含み、該一価および二価の陽イオンがそれぞれ異なる陰イオンと対形成している、請求項5または6に記載の反応液組成物。
【請求項8】
陽イオンが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、およびマンガンイオンからなる群より選択される1または2以上を含む、請求項57のいずれか一項に記載の反応液組成物。
【請求項9】
鎖置換型DNA合成酵素およびRNase Hの双方の活性を促進する、請求項58のいずれか一項に記載の反応液組成物。
【請求項10】
pH調製剤をさらに含み、該pH調製剤が塩化物イオンを含まない、請求項59のいずれか一項に記載の反応液組成物。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載のDNA増幅方法に用いるRNAプライマーであって、塩基の全てまたは一部がチオリン酸エステル結合により結合されている、前記プライマー。
【請求項12】
5’末端から少なくとも1塩基がRNAである、請求項11に記載のプライマー。
【請求項13】
3’末端から少なくとも3塩基が非修飾RNA塩基である、請求項11または12に記載のプライマー。
【請求項14】
5’末端から少なくとも1塩基が非修飾RNAまたは修飾RNA塩基である、請求項13に記載のプライマー。
【請求項15】
ランダムプライマーである、請求項1114のいずれか一項に記載のプライマー。
【請求項16】
請求項1~4のいずれか一項に記載のDNA増幅方法のためのキットであって、
請求項510のいずれか一項に記載の組成物、および/または
請求項1115のいずれか一項に記載のプライマー
を含む、前記キット。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学の分野に属する。本発明は、鋳型核酸からのDNA複製およびさらなるDNA増幅に有用な新規の組成物および方法に関する。本発明は、具体的には、鎖置換型DNA合成酵素を利用するDNA増幅方法、例えばマルチプルディスプレースメント増幅法(multiple displacement amplification:MDA)およびマルチプリープライムローリングサークル増幅法(mulitiply-primed rolling circle amplification:MPRCA)に有用な新規の反応液組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子解析は、病態の解明や新規有用遺伝子の探索などに有用な大量の生物学的情報を入手し得る方法であり、現在の医学および生物学にとって最も重要な手法となっている。しかし、医療、犯罪捜査、研究、産業などの分野においては、臨床における生体採取材料、法医学材料、絶滅危惧種、または培養方法が確定していない微生物など、得られるDNA量が限られている場合が頻繁にある。そして、多くの場合、遺伝子解析に必要とされるDNA量は、得られるDNA量に比べてかなり多い。そのため、得られたDNA全体をまんべんなく増幅(全ゲノム増幅)することが、これまでに数多く試みられてきた。
【0003】
DNAの増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)法が有名であり、このPCR法を基盤とした様々な全ゲノム増幅方法が考え出され、広く使用されてきた。しかし、PCRを基盤とした従来の方法には、(1)増幅されるDNAの長さが比較的短い(平均1kbp程度)、(2)DNAの網羅率に偏りが出る、(3)繰り返し配列が増幅され易い、(4)鋳型となったDNA以外の非特異産物が増幅されるなど、増幅以降の解析方法や使用方法に制限や解析結果の偏りがもたらされることがわかってきた。
【0004】
近年、鎖置換型DNA合成酵素とランダムプライマーとを用いたDNA増幅方法であるマルチプルディスプレースメント増幅(MDA)法(図1)が開発された(非特許文献1)。この方法によれば、PCRをベースとして開発された増幅法の諸問題のうち、(1)増幅されるDNAの長さが比較的短いこと、(2)DNAの網羅率に偏りが出ること、および(3)繰り返し配列が増幅され易いことが改善されており、現在では全ゲノム増幅方法の主流となっている。
【0005】
また、特に鋳型DNAが少量の場合、上記問題点(4)の克服は依然として困難であったが、RNAプライマーを利用することにより、鋳型が環状DNAであれば、疑似増幅産物を抑制することが可能となった(特許文献1)。しかしながら、この環状DNA増幅の反応条件では、直鎖状DNAの増幅効率および増幅配列の忠実度が低下するという問題があった。
【0006】
またMDA法では、一般に鋳型DNAが微量の場合、プライマーダイマー由来と思われる非特異的DNA増幅が過剰に起こり、その結果、目的のDNAが合成されず、増幅後のDNAの組成がオリジナル(鋳型DNAのソース)のDNAとは異なるものとなり、増幅後の解析、例えば配列決定時に、誤った結果を生じるという問題点があった。従って、MDA法は、現時点では、再入手が困難な生体サンプルおよびフィールドサンプルなど希少なDNAの増幅には用いることができなかった。
【0007】
MDA法の増幅効率の改善は、これまでに主に反応時間の増加により行われていたが、原理的に限界点が存在する。MDA法の効率は鋳型の長さにある程度依存するが、1~10分子(コピー)のDNAから増幅することは不可能である。これは、環状DNAを鋳型として繰り返し使用するマルチプリープライムローリングサークル増幅(MPRCA)法(非特許文献2)とは異なり、MDA法において直鎖状DNAを鋳型として用いる場合は初期鋳型を再利用できないためである。
【0008】
図1は、MDA法におけるDNA増幅の模式図である。(1)変性した一本鎖DNAにランダムにプライマーがアニールする。(2)アニールしたプライマーからDNA合成が開始され、合成方向に存在する他のプライマーによって先に合成されている相補鎖DNAを鋳型DNA鎖からはがしながら、DNA合成が続く。また、剥がされたDNA鎖にも新たにプライマーがアニールする。(3)剥がされたDNA鎖にアニールしたプライマーからもDNA合成が行われ、これら一連の反応が連鎖的に起きる。初期鋳型は最も3’末端からの合成が終了した後、二度と使用されることはない。これは剥がされたDNA鎖でも同様である。
【0009】
DNA合成における増幅効率は、反応初期に使用されるプライマーの数に大きく依存するため、アニール効率の低い短いプライマーの場合には、より多量のプライマーを利用する必要がある。反応初期において十分な量のプライマーがアニールするためには、初期鋳型の長さが少なくとも50 kbp以上であることが要求され、さらに鋳型が長ければ長いほど増幅効率は上昇する。しかしながら、物理的に扱えるDNAの長さはほぼ500 kbp~1 Mbp程度であり、それ以上の長さではピペットで扱う際に物理的に非常に切断されやすく、実際に鋳型に用いることは不可能であった。

【特許文献1】特開2006-141357号公報
【非特許文献1】Proc. Natl. Acad. Sci. USA、2002年、第99巻、p5261-5266
【非特許文献2】Genome Research、2001年、第11巻、p.1095-1099
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、上記の問題点に鑑み、DNAを効率良く増幅できる方法、特に、MDA法において、直鎖状DNAを鋳型とする場合や、鋳型DNAが微量である場合であっても、特異的に効率よく増幅することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、環状DNA増幅の反応条件では、直鎖状DNAを鋳型としたMDA法においては、鋳型DNAのコピー数が、DNAプライマーを用いる場合103コピー未満、RNAプライマーを用いる場合106コピー未満で、増幅効率が低下し、また増幅の忠実度も低下するという問題があることを新たに見出した。本発明者らは、この問題を解決するためにさらに研究を進め、反応液中の塩化物イオン(Cl-)が、鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応において、特に酵素の活性部位の構造特性に阻害作用を及ぼしているという知見を得た。このことは、従来、DNA増幅のための反応液組成物中に添加される電解質塩については、陽イオンにのみ焦点が当てられ、対イオンとなる陰イオンについては検討された例が無いことからみても意外なことであった。本発明者らは、さらに研究を進めた結果、塩化物イオン(Cl-)を反応組成液から可能な限り排除し、反応液組成を細胞内条件に模倣することにより、DNA合成反応が阻害されず、さらに、従来の反応組成液に比べて高濃度の一価の陽イオンおよび二価の陽イオンを提供することが可能になり、DNA増幅効率を飛躍的に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、一価および/または二価の陽イオンと陰イオンとを提供する電解質が溶解されてなる反応液組成物中での鎖置換型DNA合成反応によるDNA増幅方法であって、前記陰イオンが、塩化物イオン以外の陰イオンであって、前記鎖置換型DNA合成反応に阻害作用を及ぼさない濃度で提供される、前記方法に関する。
【0013】
本発明はまた、DNA増幅方法が、マルチプリープライムローリングサークル増幅法(MPRCA)、またはマルチプルディスプレースメント増幅法(MDA)である、前記のDNA増幅方法に関する。
また、本発明は、鋳型DNAが直鎖状である、前記のDNA増幅方法に関する。
【0014】
本発明はまた、DNA合成反応に配列の全てまたは一部にRNAを含むプライマーを用いる、前記のDNA増幅方法に関する。
また、本発明は、RNAプライマーと新規に合成されたDNAとの間にRNase Hによりニックを形成する反応をさらに含む、前記のDNA増幅方法に関する。
さらに、本発明は、DNA合成反応とニック形成反応とを同時に行う、前記のDNA増幅方法に関する。
【0015】
また、本発明は、一価および/または二価の陽イオンと陰イオンとを提供する電解質が溶解されてなる鎖置換型DNA合成反応に用いる反応液組成物であって、前記陰イオンが、塩化物イオンより、前記鎖置換型DNA合成反応に阻害作用を及ぼさない陰イオンである、前記組成物に関する。
【0016】
本発明はさらに、一価および/または二価の陽イオンの濃度が5 mM以上である、前記組成物に関する。
本発明はまた、一価および二価の陽イオンを含み、該一価および二価の陽イオンがそれぞれ異なる陰イオンと対形成している、前記組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、陰イオンが、グルタミン酸イオン、アスパラギン酸イオンおよび酢酸イオンから選択される1または2以上を含む、前記組成物に関する。
本発明はまた、陽イオンが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、およびマンガンイオンからなる群より選択される1または2以上を含む、前記組成物に関する。
【0018】
本発明はまた、鎖置換型DNA合成酵素およびRNase Hの双方の活性を促進する、前記組成物に関する。
本発明はまた、pH調製剤をさらに含み、該pH調製剤が塩化物イオンを含まない、前記組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、鎖置換型DNA合成反応によるDNA増幅方法に用いるプライマーであって、該プライマーに含まれる塩基の全てまたは一部がRNAであり、塩基の全てまたは一部がチオリン酸エステル結合により結合されている、前記プライマーに関する。
さらに、本発明は、5’末端から少なくとも1塩基がRNAである、前記プライマーに関する。
【0020】
本発明はまた、3’末端から少なくとも3塩基が非修飾RNA塩基である、前記プライマーに関する。
本発明はまた、5’末端から少なくとも1塩基が非修飾RNAまたは修飾RNA塩基である、前記プライマーに関する。
また、本発明は、ランダムプライマーである、前記プライマーに関する。
【0021】
また、本発明は、前記のプライマーのいずれかの、前記のDNA増幅方法のいずれかへの使用に関する。
【0022】
また、本発明は、前記のDNA増幅方法のためのキットであって、前記の組成物のいずれか、および/または前記のプライマーのいずれかを含む、キットに関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、第一に、従来では不可能と考えられていた、1~数分子のDNAの検出や増幅が可能になる。さらに、本発明にしたがってRNAを含むプライマーを用いることにより、目的DNAからのみDNA伸長反応を起こすことが可能になり、かつ目的外のDNAの増幅を抑制することができる。
【0024】
また、本発明により、直鎖状DNAの増幅効率を著しく改善することができ、従来では不可能とされてきた、染色体DNAを染色体毎に個別に増幅して染色体特異的ゲノムライブラリーを作成することが可能となり、ゲノム配列決定において、ショットガン配列決定法の欠点であるDNA配列の再構築の複雑性を大幅に回避することができる。
【0025】
また、本発明の方法により、従来では不可能とされてきた、培養不可能な微生物の微量なゲノムDNAを個別に増幅して解析することも可能となり、培養に必要な情報(代謝関連遺伝子群)を直接ゲノムから得て必須栄養素等を推測することによりこれら微生物の培養方法の開発が可能となるだけでなく、これまで困難であった遺伝子情報からの新規有用遺伝子の直接探索を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明によるDNA増幅方法およびDNA増幅方法のための反応液組成物について、詳細に説明する。
【0027】
本発明は、一態様において、一価および/または二価の陽イオンと陰イオンとを提供する電解質が溶解されてなる反応液組成物中での鎖置換型DNA合成反応によるDNA増幅方法であって、前記陰イオンが、塩化物イオン以外の陰イオンであって、前記鎖置換型DNA合成反応に阻害作用を及ぼさない濃度で提供されることを特徴とする。
【0028】
一般に、DNA合成反応に用いる反応液組成物中には、一価の陽イオン、二価の陽イオン、pH調製剤などが塩の形態で添加される。一価の陽イオン、例えばナトリウムイオン(Na+)またはカリウムイオン(K+)は、核酸に作用して核酸の融解温度(Tm)を規定するため、高濃度であればあるほどTmが上昇し、したがって、低温における核酸のアニール率が高くなる。また、二価の陽イオン、例えばマグネシウムイオン(Mg2+)またはマンガンイオン(Mn2+)は、MPRCA法およびMDA法を含むほぼすべてのDNA合成酵素の活性に必須であるのみならず、核酸の二本鎖形成の安定にも関与するので、酵素に混入している大腸菌由来のDNAの二本鎖状態を安定させ、目的のDNA以外のDNAからの増幅を抑制する。
【0029】
これら陽イオンは陰イオンと対形成した塩として反応液中に添加され、例えば、一般にMDAに使用される反応組成液は、pH調製剤としてのトリス塩酸、核酸に作用する一価の陽イオンとしての塩化カリウム(KCl)、ポリメラーゼ酵素活性に必須な二価の陽イオンとしての塩化マグネシウム(MgCl2)、酵素が2本鎖の核酸に結合するための補要素としての硫酸アンモニウムで構成されている。
【0030】
しかしながら、本発明者らは、上記のような陽イオンの塩を過剰に添加することが、むしろ増幅効率に阻害作用を奏し、特にMDA増幅反応においては、塩化カリウムの濃度は60 mMが上限であり、塩化カリウムを60 mM添加した場合、塩化マグネシウムの濃度は15 mMが上限であることを見出した。従来、これらの一価の陽イオンおよび/または二価の陽イオンの対イオンとなる陰イオンについて検討された例はなかった。これらの陽イオンは、通常、試薬入手の容易さと価格の点で研究室に常備される塩化物イオン(Cl-)との無機塩として反応液に使用されてきたが、本発明者らは、通常用いられる塩化物イオンの塩により提供される塩化物イオンが、鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応において、特に酵素の活性部位の構造特性を阻害することに起因することを見出した。本発明においては、本来は細胞内に殆ど存在しない塩化物イオンを反応液の組成から排除し、反応液の組成を細胞内条件に模倣することにより、塩化物イオンによりDNA合成反応が阻害されることがなくなり、さらに、従来の反応組成液に比べて高濃度の一価の陽イオンおよび/または二価の陽イオンを提供することが可能になるので、DNA増幅効率を飛躍的に向上できる。
【0031】
また、MDA法において直鎖状DNAを鋳型として用いる場合、増幅効率および増幅配列の忠実度が低下する問題点があったが、環状DNA増幅に用いられていた反応条件では、Tmに影響を与える塩化カリウム及び塩化マグネシウムは、既に、ほぼ上限の濃度で使用しているため、これらの電解質の添加量をさらに増加することはできず、Tm値の改変による増幅効率の改善は困難であった。しかし、本発明によって、塩化物イオンを反応液の組成から排除し、反応液の組成を細胞内条件に模倣することにより、プライマーのTm値および直鎖状DNAを鋳型として用いるMDA法においても、DNA合成酵素が阻害されず、陽イオン濃度の増大により、Tm値を高め、酵素に混入する成分に由来する非特異的反応を抑制することができるため、増幅効率を高めることが可能となる。
【0032】
また、RNAプライマーを用いる場合はさらに、一価の陽イオンおよび/または二価の陽イオン濃度の増加により、RNAプライマーのTm値を改善し、RNAプライマーに対するDNA合成酵素の活性を高めることができるため、増幅効率を高めることが可能となる。本発明により、RNAプライマーを用いて直鎖状DNAを増幅することが、実質的に初めて可能となる。
【0033】
特に、初期段階におけるプライマーのアニール数が増幅効率に影響を与えるMPRCA法およびMDA法においては、高濃度の一価の陽イオンの存在は、増幅効率を上昇させるために有効であると考えられる。本発明のDNA増幅方法は、好ましくは、マルチプリープライムローリングサークル増幅法(mulitiply-primed rolling circle amplification:MPRCA)、およびマルチプルディスプレースメント増幅法(multiple displacement amplification:MDA)に基づくDNA増幅方法である。
【0034】
また、本発明の方法によるDNA増幅反応の効率の改善は、特に、鋳型がゲノムDNAなどの直鎖状DNAである場合や、鋳型DNAが微量しか存在しない場合に、極めて高い効果を発揮する。
【0035】
また、本発明の方法によるDNA増幅反応は、DNA合成において、配列の全てまたは一部にチオリン酸エステル結合を有するRNAプライマーとRNase Hとを用いて鋳型DNAを再利用する場合に、極めて有用である。この反応においては、具体的には、チオリン酸エステル結合RNAプライマーとプライマーから伸長したDNAとの間のリン酸エステル結合部位にRNase Hによりニックを形成し、鎖置換型DNA合成酵素により、プライマーのニック部位から、既に合成されている相補鎖DNAを鋳型DNAから解離させつつ新たなDNA合成を行うことにより、鋳型に結合したRNAプライマーおよび初期鋳型DNAを再利用することで、目的DNAの増幅効率を向上させる。本発明の方法においては、陰イオンが、塩化物イオン以外の陰イオンであって、前記鎖置換型DNA合成反応に阻害作用を及ぼさない濃度で提供され、一価および/または二価の陽イオンが高濃度において提供されることにより、RNAプライマーのTm値およびDNA合成酵素活性の問題を克服し、同時にDNA合成酵素およびRNase Hの両方の活性を促進するので、1回の増幅反応でその後の解析に十分なDNAを提供することを可能とする。
【0036】
また、本発明は、別の態様において、一価および/または二価の陽イオンと陰イオンとを提供する電解質が溶解されてなる鎖置換型DNA合成反応に用いる反応液組成物に関する。本発明の組成物は、DNAを合成する酵素反応においてDNA合成に対する阻害効果を有する陰イオン物質を除外することを特徴とし、より具体的には、前記電解質により提供される陰イオンが、前記鎖置換型DNA合成反応に阻害作用を及ぼさない、塩化物イオン(Cl-)以外のイオンであることを特徴とする。
【0037】
本発明の反応液組成物は、一価の陽イオン、例えばカリウムイオンを、塩化物イオン以外の陰イオンと対形成した電解質として用いることにより、DNA増幅反応を阻害することなく、高濃度、例えば50 mM以上、好ましくは70 mM以上、より好ましくは100 mM以上、さらに好ましくは150 mM以上の終濃度で提供することができる。これによって、プライマーのTmを上昇させてアニール効率を改善することが可能となり、非特異的なDNA合成を抑え、且つ目的DNAのみを効率良く増幅することが可能となる。
【0038】
DNA増幅反応における一価の陽イオンの至適濃度は、使用するDNA合成酵素、鋳型、増幅する配列およびプライマーの種類や長さなどに依存して変化するが、例えば、RNAを含むプライマーを用いる鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応においては、一価の陽イオンは、好ましくは約100~150 mM、より好ましくは約125 mMで使用する。
【0039】
また、本発明の反応液組成物は、二価の陽イオン、例えばマグネシウムイオンを、塩化物イオン以外の陰イオンと対形成した電解質として用いることにより、DNA増幅反応を阻害することなく、高濃度、例えば5 mM以上、好ましくは10 mM以上、より好ましくは15 mM以上、さらに好ましくは20 mM以上の終濃度で使用できる。これによって、反応系に含まれる酵素の活性を増大させることが可能となり、DNA合成酵素の活性が低い条件でのDNA増幅、例えばRNAを含むプライマーを用いる場合であっても、充分な増幅が得られる。また、高濃度のマグネシウムイオンにより、酵素に混入している大腸菌由来のDNAの二本鎖状態を安定させ、目的のDNA以外のDNAの合成を抑制することができる。
【0040】
DNA増幅反応における二価の陽イオンの至適濃度は、使用するDNA合成酵素、鋳型、増幅する配列およびプライマーの種類や長さなどに依存して変化するが、例えば、RNAを含むプライマーを用いる鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応においては、二価の陽イオンは、好ましくは約20~35mM、より好ましくは約27mMで使用する。
【0041】
一価の陽イオンおよび二価の陽イオンの両方が塩化物イオンを含まない電解質により提供されることが好ましいが、一価の陽イオンまたは二価の陽イオンいずれか一方のみが塩化物イオンを含まない電解質により提供されてもよい。具体的には、例えば一価イオンが塩化物イオンを含まない電解質により提供される場合、二価イオンが塩化物イオンを含む電解質により提供されても、本発明の組成物はなお効果を発揮する。
【0042】
また、1種類の陰イオンで反応液を構成するより、複数の陰イオンを用いた方が、より良好な結果を得ることができる。例えば、一価の陽イオンと二価の陽イオンとを、それぞれ異なる陰イオンと対形成した形で使用することが好ましい。また、1種類の陽イオンを、複数の異なる陰イオンとの塩の混合物の形で使用してもよい。
【0043】
本発明の反応液組成物に用いられる塩化物イオン(Cl-)以外の陰イオンとして、生体内に存在する陰イオンで優位を占める陰イオンが好ましく、例えば、ハロゲンイオン以外の陰イオン、好ましくはカルボン酸のイオン、より好ましくは酢酸イオンおよび/または酸性アミノ酸イオンが用いられ、最も好ましくはグルタミン酸イオン、アスパラギン酸イオンまたは酢酸イオンが用いられる。好ましいイオンの組合せの例としては、例えば、陽イオンがカリウムまたはナトリウムイオンである場合、陰イオンがグルタミン酸またはアスパラギン酸イオンであり、陽イオンがマグネシウムイオンである場合、陰イオンが酢酸イオンである。
【0044】
本発明の反応液組成物に用いられる陽イオンは、核酸のTmを改善するか、DNA合成酵素およびRNase Hなどの他の酵素の活性を増大させる陽イオンであれば特に限定されないが、一般に、一価および/または二価の陽イオン、例えば、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、マグネシウムイオン(Mg2+)およびマンガンイオン(Mn2+)などが用いられる。
【0045】
本発明の反応液組成物は、DNA合成酵素を用いるDNA増幅反応初期におけるプライマーのアニール効率を改善し、それにより非特異的反応を抑制するので、鋳型となるDNAが微量である場合や、直鎖DNAを鋳型とする場合において特に有用である。
【0046】
直鎖DNAを鋳型として増幅を行う場合、鋳型が微量である場合は特に、DNA増幅効率はプライマーの初期アニール効率に依存する。本発明の組成物を用いることにより、プライマーのTm値が上昇し、DNA増幅効率を改善することができるので、直鎖DNAを鋳型にした場合においても非特異的なDNA合成を抑え、かつ、極微量の鋳型DNAからの目的DNAの増幅が可能となる。特に、配列の全てまたは一部にRNAを含むプライマーを使用する場合には、本発明の組成物を用いることにより、RNAプライマーのTm値およびDNA合成酵素活性に起因する増幅効率の問題を解決することができる。
【0047】
本発明の反応液組成物は、鎖置換型DNA合成酵素を利用するDNA増幅反応において、配列の全てまたは一部にRNAを有するプライマーを用いる場合に、特に有用である。本発明の反応液組成物は、RNAプライマーのTm値の低さの問題およびRNAプライマーを用いた場合のDNA合成酵素活性の低さの問題の両方を克服するので、RNAプライマーを用いての鎖置換型DNA酵素によるDNA増幅効率を著しく改善する。
【0048】
また、本発明の反応液組成物は、鎖置換型DNA合成酵素を利用するDNA増幅反応において、配列の全てまたは一部にチオリン酸エステル結合を有するRNAプライマーとRNase Hとを用いて鋳型DNAを再利用する場合に、極めて有用である。この反応においては、具体的には、チオリン酸エステル結合RNAプライマーとプライマーから伸長したDNAとの間のリン酸エステル結合部位にRNase Hによりニックを形成し、鎖置換型DNA合成酵素により、プライマーのニック部位から、既に合成されている相補鎖DNAを鋳型DNAから解離させつつ新たなDNA合成を行うことにより、鋳型に結合したRNAプライマーおよび初期鋳型DNAを再利用することで、目的DNAの増幅効率を向上させる。本発明の組成物は、RNAプライマーのTm値およびDNA合成酵素活性の問題を克服し、同時にDNA合成酵素およびRNase Hの両方の活性を促進するので、1回の増幅反応でその後の解析に十分なDNAを提供することを可能とする。本発明のこの態様については、本明細書において後述のプライマーの項でより詳細に説明する。
【0049】
本発明の反応液組成物は、この態様において、鎖置換型DNA合成酵素およびRNase Hの双方の活性を促進するものであることが好ましい。
【0050】
本発明の方法において使用する反応液組成物は、pH調製剤をさらに含むことが好ましく、pH調製剤としては、塩化物イオン(Cl-)を含まず、生体分子に対する影響の小さいグッドバッファーが好ましい。かかるpH調製剤の例として、ADA、PIPES、POPSO、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、BicineおよびTAPSが挙げられ、RNAを含むプライマーを用いる鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応ににおいては、例えば、至適pHで使用できるヘペス(HEPES)が好ましい。HEPESの濃度は、好ましくは約20~50 mM、より好ましくは約35 mMである。本発明の方法において使用する反応液組成物のpHを調製する場合、塩化物イオンを含む塩を用いないことが好ましく、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いることが好ましい。
【0051】
本発明の至適組成物の例としては、35 mM HEPES、125 mMグルタミン酸カリウム、27 mM酢酸マグネシウムで構成された反応液組成物が、RNAを含むプライマーを用いる鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応に良好な結果を与える。
【0052】
DNA伸長反応の副産物として生成されるピロリン酸は反応液中のマグネシウムイオンと反応し、好ましいマグネシウムイオン濃度を維持できなくなるため、反応液中にピロホスファターゼ(Pyrophosphatase)を加えることは必須である。具体的には、ピロホスファターゼは約0.02 U/反応、添加することが好ましい。また、鎖置換型DNA酵素が二本鎖の核酸に結合するために一定量のアンモニウム塩の添加が必須である場合がある。しかし、前記のピロホスファターゼは3.2Mという高濃度の硫酸アンモニウム液の懸濁液中で提供されることが多いため、その場合、反応液組成に新たにアンモニウム塩を追加する必要はない。
【0053】
ジチオスレイトール(DTT)もまた、用いられるDNA合成酵素によってはその活性に必須である。その場合、好ましくは約0.5~8mM、より好ましくは約5mM程度添加する。
【0054】
DNA伸長反応の基質となるdNTP混合物(dATP、dTTP、dGTP、dCTP)の濃度は、好ましくは約0.5~5 mM、より好ましくは約1 mMである。この他、反応液中には伸長反応の安定化を目的とした添加物を添加してもよい。例えば、BSA(好ましくは約0~0.02%、より好ましくは約0.01%)、Tween 20(好ましくは約0~2%、より好ましくは約0.1%)、Triton X100(好ましくは約0~0.2%、より好ましくは約0.1%)等が挙げられる。
【0055】
dNTP混合物中に、その誘導体である、α-チオ-dNTP類、ビオチン-dUTP、シゴキシゲニン-dUTP、または蛍光物質で標識されたdNTP等を加えることにより、増幅DNAを標識することも可能である。ただし、α-チオ-dNTP類はRNAプライマーとDNA鎖との間にチオリン酸エステル結合を生じるので、合成効率が低下する場合がある。
【0056】
本発明は、一態様において、上記のDNA増幅反応に用いるプライマーである。本発明の方法に使用されるプライマーは、DNAプライマー、RNAプライマー、DNA/RNAキメラプライマー、RNA/DNAキメラプライマーのいずれであってもよいが、本発明の方法は、RNAを塩基配列中に含むプライマーを用いる場合に特に効果的であり、塩基配列中にRNAを含むプライマーを用いて鎖置換型DNA合成酵素を介したDNA増幅反応を行う場合に極めて有用である。RNA(リボヌクレオチド)とは、糖部分がD-リボースで構成されたヌクレオチドのことをいい、塩基部分にアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、ウラシル(U)を有するものが挙げられる。
【0057】
塩基の全てまたは一部がRNAであるプライマーは、少なくとも5’末端から1塩基、好ましくは3塩基以上のRNAを含有するプライマーであることが、プライマー同士のセルフアニールによる目的外DNAの増幅を低減させるため、陰性対照(ネガティブコントロール)の設定の簡便さなどの観点から好ましい。好ましくは、プライマーの塩基配列中のすべての塩基がRNAである。
【0058】
本発明の一態様において、鎖置換型DNA酵素を用いるDNA増幅方法、特にMDA法において、RNAプライマーを利用し、さらにRNase Hを反応液中に加えることにより、RNAプライマーとプライマーから伸長して新規に合成されたDNAとの間のリン酸エステル結合部位にニックを形成させ、初期鋳型を再利用することが、初めて可能となる。
【0059】
図6に、本発明による、RNase Hを用いての鋳型DNAの再利用法の模式図を示す。(a)変性した一本鎖DNAにRNAプライマーがアニールし、(b)アニールしたプライマーからDNA合成が開始され、(c)チオリン酸エステル結合RNAプライマーとプライマーから伸長したDNAとの間のリン酸エステル結合部位にRNase Hによりニックを形成し、(d)および(e)プライマーのニック部位から、鎖置換型DNA合成酵素により、既に合成されている相補鎖DNAを鋳型DNAから解離させつつ新たなDNA合成を行う。(b)~(e)の反応を反応液中で繰り返すことにより、初期鋳型DNAおよび初期鋳型に結合したRNAプライマーを繰り返し再利用し、目的DNAの増幅効率を向上させる。
【0060】
本発明のこの態様に使用されるRNAプライマーは、その3’末端から少なくとも1塩基、好ましくは3’末端から少なくとも3塩基においてRNAを含有するプライマーである。また、この方法においては、RNAプライマー自体がRNase Hにより分解されないよう、プライマーの少なくとも一部が、化学修飾などによりRNase Hから保護されていることが重要である。具体的には、例えば、本発明のDNA増幅方法に、RNAを含む塩基間のすべてまたは一部がチオリン酸エステル結合により結合されているチオリン酸エステル結合RNAプライマーが好ましい。このようなチオリン酸化エステル結合は、プライマーの配列内でRNase Hによりニックが入ることを防止し、RNAプライマー自体の分解を防ぎつつ、RNAプライマーと、該プライマーから連続して合成されたDNA相補鎖との間のリン酸エステル結合のみにニックを形成することを可能とする。
【0061】
本発明のこの態様に使用されるプライマーは、プライマーの3’末端から少なくとも3塩基が非修飾RNA塩基であることが好ましいが、該プライマーの3’末端から1塩基、好ましくは3’末端から3塩基以外のRNAは、他の修飾によりRNase Hから保護されていてもよく、例えば、2-O-メチルRNAなどの修飾RNA塩基などを使用することもできる。このように修飾RNAを用いることにより、RNAプライマー自体がRNaseによって分解されることを防ぐことが可能となる。したがって、本発明の方法に使用されるプライマーは、5’末端から少なくとも1塩基が非修飾RNAまたは修飾RNA塩基であってもよい。
【0062】
RNAプライマーのアニール効率およびRNAプライマーを用いる場合のDNA合成酵素の活性は、陰イオンが塩化物イオン以外のイオンである電解質が溶解してなる本発明の反応液組成物を用いて高濃度の一価および/または二価の陽イオンを反応液中に提供することによって、改善することができる。
【0063】
この態様においては、一つの反応系中で、鎖置換型DNA合成酵素によるDNA合成反応とRNase Hによるニック形成反応とが同時に行なわれることが好ましく、反応液中に提供される一価および/または二価の陽イオンは、鎖置換型DNA合成酵素およびRNase Hの双方の活性を促進するものであることが好ましい。
【0064】
本発明のプライマーには、好ましくは5’及び3’末端以外の部分において、LNA(BNAとも呼ばれる)などの特殊DNAを使用することもできる。このような特殊DNAを用いることにより、プライマーの配列特異性を高めることができる。
【0065】
また、本発明のプライマーは、適宜、プライマーの配列の塩基間のすべてまたは一部がチオリン酸エステル結合により結合されていてもよい。チオリン酸化エステル結合は、プライマーの安定化に寄与するため、さらに好ましい。
【0066】
本発明のプライマーの長さは、6ヌクレオチド~9ヌクレオチドの長さ、好ましくは、6ヌクレオチドの長さである。また、ランダムプライマーを用いることが好ましい。
【0067】
反応系に添加するプライマーの量(濃度)は、鋳型量、鋳型の鎖長に応じて適宜調節するが、例えば、好ましくは約5~100μM、より好ましくは約50μMである。
【0068】
本発明は、さらなる態様において、本明細書において記載するプライマーの1または2以上の、本明細書において記載するDNA増幅方法の1または2以上への使用である。
【0069】
本発明のプライマーを本発明のDNA増幅方法に用いることにより、鎖置換型DNA合成酵素を用いるDNA増幅、特にMDA反応において、鋳型DNAが直鎖状であり、かつ極めて微量であっても、疑似DNA合成や非特異的DNAの増幅をRNAプライマーを用いることにより完全に抑えることができ、かつ、チオリン酸エステル結合RNAプライマーとプライマーから伸長したDNAとの間のリン酸エステル結合部位にRNase Hによりニックを形成することによってRNAプライマーのニック部位から再びDNA合成を開始させ、初期鋳型を繰り返し再利用することができ、および/または、陰イオンが塩化物イオン以外の陰イオンである電解質が溶解されてなる反応液組成物中で反応を行うことによりプライマーのアニール効率および酵素活性を改善し、これらの効果により、目的DNAの増幅効率を向上させ、1回の増幅反応でその後の解析に十分なDNAを提供することが可能になる。
【0070】
本発明のDNA増幅方法、反応液組成物およびプライマーの効果は、鋳型となる核酸の形状には依存しないが、鋳型となる核酸がDNAであることが好ましい。鋳型DNAは、直鎖DNA及び環状DNAのいずれであってもよいが、特に、直鎖状二本鎖DNAを鋳型として増幅反応を行う場合には、本明細書において記載する方法、反応液組成物および/またはプライマーを用いることにより、増幅効率を飛躍的に高めることができる。従来のMDA法においては、直鎖状DNAを鋳型として用いる場合、増幅効率が低く、また、増幅された配列の忠実度が低いという問題があったが、本発明の方法を用いることにより、鋳型DNAの分子数が非常に少ない場合、例えば、100コピーのDNA、好ましくは10コピーのDNA、さらに好ましくは1コピーのDNAからであっても、充分に検出および/または配列決定が可能な増幅産物を得ることができる。
【0071】
直鎖状DNAは、長鎖であることが好ましく、このような長鎖DNAの例として、ゲノムDNA(ゲノム全体もしくは一部(染色体1本、あるいはさらにその一部)等)が挙げられる。長鎖DNAの長さとしては、直鎖上のDNAの場合、増幅効率の観点から、10kb以上であることが好ましいが、本願発明の方法においては、特に、RNAプライマーとRNase Hとを用いる場合、鋳型を繰り返し使用することができるため、長さに対する依存性は、従来のMDAに比べて低い。環状DNAとしては、微生物ゲノム、葉緑体DNA、ミトコンドリアDNA、BACクローン、YACクローンなどが挙げられる。環状DNAの場合、長さには依存しない。
【0072】
また、鋳型DNAとして、一本鎖および二本鎖DNAのいずれも好適に使用することができる。二本鎖DNAを鋳型とする場合は、二本鎖DNAを一本鎖に変性する前処理工程の後に本発明を実施すればよい。二本鎖DNAを変性させるには、例えば、約95℃で保持する方法(熱変性)やアルカリ処理による方法等、当業者に公知の方法を用いることができる。熱変性により二本鎖を一本鎖にする場合には、pH調製剤としてHEPES 30 mM、一価の陽イオン供給物としてグルタミン酸カリウム50 mM、および二価の陽イオン供給物として酢酸マグネシウム10 mMを含む溶液中で変性を行うことが好ましい。この反応液で変性を行った場合、反応液がその後のDNA合成反応にも持ち込まれるので、DNA合成反応時の反応液の組成が至適になるように考慮する必要がある。
【0073】
本発明の方法において鋳型となるDNAは、DNAを含むあらゆる試料から調製または単離したものを用いることができる。DNAを含む試料には特に制限はなく、ウイルス、原核生物、真核生物の個体そのものまたはその一部が使用できる。例えば、脊椎動物(ヒトを含む)では、糞便、尿、もしくは汗のような排泄物、血液、精液、唾液、胃液、もしくは胆汁のような体液、または、外科的にもしくは生検により生体から単離された組織または細胞、または、皮膚片もしくは体毛のように生体から脱落した組織であってもよい。またこれら以外にも、ウイルス、細菌、真菌、酵母、植物、昆虫などがDNA含有試料として挙げられる。また、前記のような試料をさらに分画してその一部を取り出したものから調製したDNA含有調製物を用いてもよい。
【0074】
本発明の方法においては、好ましくは、使用されるDNA合成酵素は、DNAの鎖置換(strand displacement)活性を有する鎖置換型DNA合成酵素である。「鎖置換活性」とはDNAを複製していく過程で伸長方向に既に二本鎖のDNAが形成されている場合、相補鎖を5’側から引き剥がして鋳型を一本鎖にしながら、一本鎖となった鋳型に対して新たな相補鎖を合成してゆく活性を意味する。
【0075】
本発明において鎖置換型DNA合成酵素を使用する場合、鎖置換型DNA合成酵素には特に制限はなく、例えば、Phi29 DNA polymerase(各社、例えばQIAGEN)、Exonuclease Free Klenow fragment(各社、例えばAmbion)、Bst DNA polymerase(ニューイングランドバイオラブス)、BcaBEST DNA polymerase(タカラバイオ)、Sequenase(登録商標)Version 2(USB)等が挙げられる。さらに、本発明においては、3’-5’エクソヌクレアーゼ活性を有する鎖置換型DNA合成酵素が好ましく、そのような酵素の例として、Phi29 DNA polymeraseが挙げられる。
【0076】
本発明のDNA増幅方法において、DNA伸長のために使用される鎖置換型DNA合成酵素の量(濃度)は、使用する酵素の種類によって至適化することが好ましく、これは、当業者が通常行い得る。例えば、Phi29 DNA polymeraseの場合、好ましくは終濃度約1~50 ng/μl、より好ましくは終濃度約5~10 ng/μlで使用する。
【0077】
本発明に使用されるRNase H(各社、例えばEpicenture)には特に制限がなく、使用する酵素および反応スケールに応じて至適濃度を適宜決定する。一般に、DNAの伸長反応において使用されるRNase Hの量(濃度)は、好ましくは終濃度約1~60 units/反応、より好ましくは終濃度約1~30 units/反応で使用する。
または、本発明の方法において、RNase Hは、好ましくは0.1~10 units/μl、より好ましくは0.5~1.5 units/μlの範囲において好適に用いられる。
【0078】
本発明の方法によるDNAの伸長反応は、好ましくは、サーマルサイクラーを用いる必要はなく、一定の低温において実施される。反応温度は、酵素の至適温度とプライマー鎖長に基づく変性温度(プライマーが鋳型DNAに結合(アニール)/解離する温度帯)に基づいて通常の手順により適宜設定される。例えば、鎖置換型DNA合成酵素としてPhi29 DNA polymeraseを使用する場合は、好ましくは25℃~42℃、より好ましくは約30℃で反応する。
【0079】
本発明の方法により増幅されたDNAは、電気泳動などの公知の手法により検出することができ、または、塩基配列を決定することができる。また、増幅したDNA領域の配列が既知の配列である場合、定量PCR等を用いて、増幅産物が目的の配列であるか否かを確認し、さらに増幅効率を求めることができる。DNA合成においてdNTPの誘導体を含む標識dNTPを使用していた場合、標識物を利用する検出法も使用することができる。
【0080】
本発明は、さらなる態様において、本明細書において記載するDNA増幅反応のための反応液組成物を含む、DNA増幅方法のためのキットとすることができる。本発明のキットは、好ましくは、少なくとも、本明細書において記載するDNA増幅反応のための反応液組成物および/またはプライマーを含み、必要に応じて、DNA合成酵素、dNTP混合物および/またはRNase Hなどを加えることができる。
【実施例】
【0081】
以下に具体的な例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例になんら限定されるものではない。
【0082】
比較例
塩化物イオン(Cl-)を含む従来の反応液組成物を用いたMDA反応
MDA法において従来一般に用いられている反応液組成物を用い、直鎖状DNAを鋳型としてDNA増幅を行った。
【0083】
方法:
鋳型としたDNAは、濃度が既知のラムダファージDNA(和光純薬、Klenow treated lambda DNA)から段階希釈により107~1コピーまでの濃度系列を作成したものを用い、プライマーは、6塩基のランダムRNAプライマー(つくばオリゴサービス)を使用した。UltraPURE(登録商標)(Invitrogen製)蒸留水に、鋳型DNA(各希釈濃度)、ランダムRNAプライマー1 nmol、Tris-Cl(pH 7.5)30 mM、塩化カリウム50 mMになるように加え、最終容積10 ulとし、95℃で3分間、二本鎖DNAを熱変性し室温(25℃)まで徐々に低下させることによりRNAプライマーを鋳型にアニールさせた。これに等量のDNA合成液を加え、各成分の最終濃度を、Tris-Cl(pH 7.5)35 mM、塩化カリウム50 mM、塩化マグネシウム10 mM、硫酸アンモニウム16 mM、phi29 DNAポリメラーゼ40 ng、ピロフォスファターゼ0.002ユニット/反応、dNTP 1mMとし、30℃で16時間反応させ、65℃で10分間処理することにより反応を停止した。反応産物は、10倍に滅菌蒸留水で希釈後、制限酵素BamHI、EcoRIを用いた二重切断を行い、アガロース電気泳動で制限酵素断片を確認した。結果を図2に示す。各レーンの上部に記載した数字は鋳型として使用したラムダDNAのコピー数を示し、LCは制限酵素断片のコントロールとしてラムダDNAをBamHI/EcoRIで二重切断したものを、MはDNAサイズマーカーを示している。
【0084】
結果:
MDA法による増幅産物は、鋳型に使用したDNAとほぼ同一の配列順序を示し、元の鋳型と同様にさらなる増幅において利用することが可能であるため、制限酵素断片長解析では元の鋳型と同一のバンドパターンを示すことを確認した(図2(1))。しかしながら、DNAプライマーを用いた場合、鋳型DNAのコピー数が103コピー未満となると、非特異的反応により増幅効率が低下し、また増幅の忠実度も低下することが明らかとなった(図2(2))。一方、RNAプライマーを用いる場合、鋳型DNAのコピー数が106コピー未満(図2(3))となると、増幅の忠実度が低下し、104コピー未満となると増幅が行われなくなることが明らかとなった。
【0085】
実施例1
一価および二価の陽イオンの対イオンの効果の分析
(a)一価の陽イオンの対イオンの効果
MDA反応において、一価の陽イオンの対イオンの効果を試験した。ラムダファージDNAサンプル(和光純薬、Klenow treated lambda DNA、106コピー、10μl)、200pmolの6R5Sプライマー、30mMのHEPES-Na(pH 7.5)、8mMのMgCl2および50mMの塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸カリウム(KGlu)または酢酸カリウム(KAc)を含む反応液を、95℃で3分間熱変性し、25℃まで30分間かけてゆっくり冷却した。2×のamplification premix(10μl)を添加し、最終濃度が、Tris-HCl(pH7.5) 35mM、MgCl2 14mM、(NH4)2SO4 26mM、dNTPs 1mM、DTT 5mM、phi29 DNAポリメラーゼ40ng、およびピロホスファターゼ0.002 U、ならびにKCl、KGluまたはKAcを、各々3aに示す濃度(50~300 mM)となるようにした。30℃で16時間反応を行い、その後、65℃で10分間酵素を不活化した。アガロース電気泳動による結果を、図3aに示す。
【0086】
(b)RNAプライマーを用いたMDA反応において、二価の陽イオンの対イオンの効果を試験した。ラムダファージDNAサンプル(和光純薬、Klenow treated lambda DNA、106コピー、10μl)、200pmolの6R5Sプライマー、30mMのHEPES-Na(pH 7.5)、50mMのグルタミン酸カリウム(KGlu)または酢酸カリウム(KAc)および10mMの酢酸マグネシウム(MgAc)を含む反応液を、95℃で3分間熱変性し、25℃まで30分間かけてゆっくり冷却した。鋳型DNAを含まない反応においては、鋳型DNAの代わりに等量の滅菌蒸留水を用いた。2×のamplification premix(10μl)を添加し、最終濃度が、Tris-HCl(pH7.5) 35mM、KGluまたはKAc 100mM、(NH4)2SO4 16mM、dNTPs 1mM、DTT 4mM、phi29 DNAポリメラーゼ40ng、およびピロホスファターゼ0.002 U、ならびにMgCl2、MgGluまたはMgAcを各々10~40 mMとなるようにした。30℃で16時間反応を行い、その後、65℃で10分間酵素を不活化した。アガロース電気泳動による結果を、図3bに示す。各レーンの上の数値は、それぞれの塩の最終濃度(mM)を示し、Mはサイズマーカーを示す。
【0087】
結果:
一価の陽イオンの対イオンとして塩化物イオンを用いた場合、最終濃度が50 mMを超えるとDNA増幅が行われなくなることが明らかとなった(図3a、KCl)。一方、一価の陽イオンを供給する塩としてグルタミン酸カリウム(KGlu)または酢酸カリウム(KAc)を用いた場合、各々200mM、250mMの高濃度において、DNA増幅が行われることが明らかとなった(図3a、KGluおよびKAc)。
また、二価の陽イオンの対イオンとして酢酸を用いた場合、例えば35mMの高濃度においてDNA増幅が行い得、二価の陽イオンの濃度が高くなるにつれて、鋳型に由来しない非特異的な増幅が抑制されることが明らかとなった(図3b)。
【0088】
実施例2
RNAプライマーを用いたMDA反応に対するDNA合成反応液組成の効果
方法:
鋳型としたDNAは、濃度が既知のラムダファージDNA(和光純薬、Klenow treated lambda DNA)から段階希釈により107~1コピーまでの濃度系列を作成したものを用いた。プライマーは、6塩基のランダムRNAプライマー(つくばオリゴサービス)を使用した。UltraPURE(登録商標)(Invitrogen製)蒸留水に、鋳型DNA(上記各希釈濃度)、ランダムRNAプライマー1 nmol、HEPES-Na(pH 7.5)30 mM、グルタミン酸カリウム50mM、酢酸マグネシウム10 mMになるように加え、最終容積10 ulとし、95℃で3分間、二本鎖DNAを熱変性し、室温(25℃)まで徐々に低下させることによりRNAプライマーを鋳型にアニールさせた。これに等量のDNA合成液を加え、各成分の最終濃度を、HEPES-Na(pH 7.5)35 mM、グルタミン酸カリウム125 mM、酢酸マグネシウム27 mM、硫酸アンモニウム16 mM、phi29 DNAポリメラーゼ90 ng、ピロフォスファターゼ0.002ユニット/反応、dNTP 1mMとし、30℃で16時間反応させ、65℃で10分間処理することにより反応を停止した。反応産物は、10倍に滅菌蒸留水で希釈後、制限酵素BamHI、EcoRIを用いた二重切断を行い、アガロース電気泳動で制限酵素断片を確認した。結果を図4に示す。各レーンの上部に記載した数字は鋳型として使用したラムダDNAのコピー数を示し、Lは制限酵素断片のコントロールとしてラムダDNAをBamHI/EcoRIで二重切断したものを、MはDNAサイズマーカー、Nは鋳型非添加を示している。
【0089】
結果:
僅か100コピーのラムダDNA(約5フェムトグラム、4.5Mbp)を鋳型とした反応液から、元のラムダDNAとほぼ同じ制限酵素断片を確認できた。このDNA量はほぼ一般的な微生物のゲノム1個の量に等しい。また、鋳型DNAを含まない反応液からは増幅産物が確認できなかった。以上の結果から、塩化物イオンを排除した反応液組成物を用いることにより、RNAプライマーを用いたMDA反応において、極めて少量の直鎖状の鋳型DNAから十分なDNA増幅効率を得、かつプライマーダイマーに起因する非特異的増幅を完全に抑えることができることが明らかとなった。また、制限酵素断片解析の結果から、元の鋳型DNAとほぼ同一の配列を示すことが明らかとなった。
【0090】
実施例3
MDA反応における、RNase Hの添加の効果
MDA反応において修飾RNAプライマーを使用した場合と、修飾プライマーを用いてさらにRNase Hを添加した場合とにおける増幅効率の違いを、1~105コピーの間で変化させた鋳型λDNAを用いて確認した。
【0091】
方法:
鋳型DNAは、ラムダファージDNA(和光純薬、商品名Lambda DNA (Klenow fragment treated))から段階希釈により1~105コピーまでの濃度系列を作成したものを用いた。修飾RNAプライマーは、6塩基のランダムRNAプライマー(つくばオリゴサービス、6R5S)を用いた。UltraPURE(登録商標)(Invitrogen製)蒸留水に、鋳型DNA(各希釈濃度)、ランダムRNAプライマー1 nmol、HEPES-Na(pH 7.5)30 mM、グルタミン酸カリウム50mM、酢酸マグネシウム10 mMになるように加え、最終容積10 ulとし、95℃で3分間、二本鎖DNAを熱変性し、室温(25℃)まで徐々に低下させることによりRNAプライマーを鋳型にアニールさせた。これに等量のDNA合成液を加え、各成分の最終濃度を、HEPES-Na(pH 7.5)35 mM、グルタミン酸カリウム125 mM、酢酸マグネシウム27 mM、硫酸アンモニウム16 mM、phi29 DNAポリメラーゼ90 ng、ピロフォスファターゼ0.002ユニット/反応、dNTP 1mMとし、さらにRNase H(和光純薬)を30 U加え、30℃で16時間反応させ、65℃で10分間処理することにより反応を停止した。反応産物は、10倍に滅菌蒸留水で希釈後、アガロース電気泳動で制限酵素断片を確認した。結果を図5に示す。各レーンの上部に記載した数字は鋳型として使用したラムダDNAのコピー数を示し、MはDNAサイズマーカー、Nは鋳型非添加を示している。
【0092】
結果
RNase H非添加では1000コピーのλDNA(約50フェムトグラム)から明らかな増幅産物が確認された。RNase Hの添加は増幅効率をさらに改善し、僅か10コピーのλDNA(約500アトグラム)を増幅することを可能にすることが明らかとなった。この量は、現時点で確認されている最小のゲノムを持つ微生物カルソネラ(約160kbp)のゲノム3分子とほぼ等量である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】MDA法におけるDNA増幅の模式図である。
【図2】塩化物イオン含む反応液組成物を用いる鎖置換型DNA合成反応により増幅されたDNA断片のゲル電気泳動の結果を示す。
【図3】陰イオンを塩化物イオン以外のイオンで置換した反応液組成物を用いる鎖置換型DNA合成反応により増幅されたDNA断片のゲル電気泳動の結果を示す。
【図4】グルタミン酸カリウムおよび酢酸マグネシウムを含む反応液組成物を用いる鎖置換型DNA合成反応により増幅されたDNA断片のゲル電気泳動の結果を示す。
【図5】RNAプライマーを用いるMDA反応における、RNaseHの効果を示す。
【図6】RNase Hによる鋳型DNAの再利用法の模式図である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
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