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Specification :(In Japanese)含ケイ素クロスカップリング反応剤およびこれを用いる有機化合物の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4934823
Date of registration Mar 2, 2012
Date of issue May 23, 2012
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)含ケイ素クロスカップリング反応剤およびこれを用いる有機化合物の製造方法
IPC (International Patent Classification) C07B  61/00        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
FI (File Index) C07B 61/00 B
C07F 7/08 F
C07F 7/08 B
Number of claims or invention 6
Total pages 49
Application Number P2007-521073
Date of filing Nov 21, 2005
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 第4回京都大学COE「元素科学」国際シンポジウム予稿集P41、平成17年1月6日
特許法第30条第1項適用 日本化学会第85春季年会講演予稿集I第909頁、平成17年3月11日
International application number PCT/JP2005/021382
International publication number WO2006/112073
Date of international publication Oct 26, 2006
Application number of the priority 2005117452
Priority date Apr 14, 2005
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Oct 31, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】中尾 佳亮
【氏名】檜山 爲次郎
Representative (In Japanese)【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
Examiner (In Japanese)【審査官】前田 憲彦
Document or reference (In Japanese)特開2005-232036(JP,A)
特開平08-310972(JP,A)
特開平06-239766(JP,A)
特開平05-247111(JP,A)
Field of search C07B 61/00
C07F 7/00
CA/REGISTRY(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
パラジウム触媒および塩基の存在下で、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基を有する有機化合物と、有機ケイ素化合物である含ケイ素クロスカップリング反応剤とをクロスカップリング反応させて、前記脱離基と結合する炭素原子と前記有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合する炭素原子との炭素-炭素結合を形成するために用いる含ケイ素クロスカップリング反応剤であって、
以下の一般式(1)
【化1】
JP0004934823B2_000025t.gif
(一般式(1)中、R1、いずれも少なくとも1つの2重結合を有し、ケイ素原子に結合する原子がsp2炭素である、置換基を有するか有しない直鎖状または枝分かれ状のアルケニル基、置換基を有するか有しないアリール基、またはチエニル基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立してアルキル基を示し、R4、R5、R61、R62、R63およびR64は水素原子を示す。)
で表される構造を有することを特徴とする含ケイ素クロスカップリング反応剤。
【請求項2】
以下の一般式(2)
【化2】
JP0004934823B2_000026t.gif
(一般式(2)中、R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1ないし6の直鎖状または枝分かれ状アルキル基を示し、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、水素原子、置換基としてシアノ基を有するか有しない炭素数1ないし10の鎖状または枝分かれ状のアルキル基、またはフェニル基を示す。)
で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の含ケイ素クロスカップリング反応剤。
【請求項3】
上記R1は置換基としてハロゲンを有するか有しないフェニル基、または、チエニル基であることを特徴とする請求項1に記載の含ケイ素クロスカップリング反応剤。
【請求項4】
以下の化学式1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、2a、2b、2c、2dまたは2e
【化3】
JP0004934823B2_000027t.gif
で表される構造を有することを特徴とする化合物
【請求項5】
請求項1に記載の含ケイ素クロスカップリング反応剤と、
式 X-R10
(式中、Xはハロゲン、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を示し、R10は置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基を示す。)で表される有機化合物とを、
パラジウム触媒および塩基の存在下でクロスカップリング反応させるクロスカップリング工程を含むことを特徴とする有機化合物の製造方法
【請求項6】
さらに、含ケイ素クロスカップリング反応剤を回収する回収工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の有機化合物の製造方法
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、含ケイ素クロスカップリング反応剤およびこれを用いる有機化合物の製造方法に関するものであり、特に、安定性に優れ、且つ、穏和な反応条件下でのクロスカップリング反応を可能とするとともに回収・再利用が可能な含ケイ素クロスカップリング反応剤およびこれを用いる有機化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロスカップリング反応はsp2炭素同士等の結合を直接形成できる有機合成化学上極めて重要な合成反応である。クロスカップリング反応では、芳香族やオレフィンなどのsp2炭素にハロゲン原子が結合したハロゲン化アリールやハロゲン化アルケニルと、有機金属化合物やアセチレンとを、ニッケルやパラジウム等の遷移金属触媒存在下反応させる。これにより、芳香族またはオレフィン等のsp2炭素に結合したハロゲンが有機金属化合物やアセチレンで置換されて、ハロゲンと結合する炭素原子と有機金属化合物やアセチレンの炭素原子とを直接結合させ、sp2-sp2炭素間やsp2炭素-sp炭素間に結合を形成することができる。それゆえ、クロスカップリング反応は、医薬中間体や分子エレクトロニクス素子の鍵化合物であるパイ共役電子系の構築にはなくてはならない方法となっている。
【0003】
かかるクロスカップリング反応に用いられる有機金属化合物としては、sp2炭素にマグネシウム、亜鉛、ホウ素、ケイ素、スズ等が結合した種々の有機金属化合物が用いられている。中でも、ホウ素がsp2炭素に結合した含ホウ素クロスカップリング反応剤は、安定性およびクロスカップリング反応の選択性に優れるため現在最もよく用いられている。かかる含ホウ素クロスカップリング反応剤は、東京化成等の試薬メーカーから、数十種類以上が販売されている。
【0004】
また、ケイ素がsp2炭素に結合した含ケイ素クロスカップリング反応剤も、クロスカップリング反応の選択性、毒性の低さ、安定性、入手の容易さなどから大きな期待が寄せられている(例えば、非特許文献1:Armin de Meijere,Francois Diederich,Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions,2nd Edition,2004 WILEY-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim,p163-216等参照。)。
【0005】
含ケイ素クロスカップリング反応剤のうち、ケイ素原子に結合する基が全て有機基である含ケイ素クロスカップリング反応剤は極めて安定であるが、かかる含ケイ素クロスカップリング反応剤をクロスカップリング反応に利用するには、高価なフッ化物イオンを活性化剤として用いる必要がある。フッ化物イオンを用いない方法についての報告(例えば、非特許文献2:Org.Lett.2002,4,3635-3638、非特許文献3:J.Org.Chem.2004,69,8971-8974等参照)もあるが、かかる場合にも化学量論的な遷移金属プロモーターや強塩基を用いる必要がある。
【0006】
これに対して、含ケイ素クロスカップリング反応剤として、ケイ素原子に結合する有機基が部分的に塩素原子やフッ素原子のようなハロゲンで置換されたもの(例えば、特許文献1:特開平8-310972号公報(平成8年(1996)11月26日公開)、特許文献2:特開平4-283521号公報(平成4年(1992)10月8日公開)、非特許文献4:Tetrahedron Lett.1997,38,439-442等参照。)、ケイ素原子に結合する有機基が部分的にアルコキシル基で置換されたもの(例えば、特許文献2、非特許文献5:Org.Lett.2004,6,1147-1150等参照。)、シラノール(例えば、非特許文献6:J.Org.Chem.2000,65,5342-5349等参照。)等を用いることによって、フッ化物イオンを用いずにクロスカップリング反応を可能とすることについての報告がなされている。
【0007】
一方、含ケイ素クロスカップリング反応剤の分子内活性化を利用するクロスカップリング反応に関する報告もなされている(例えば、非特許文献7:J.Org.Chem.2002,67,8450-8456、非特許文献8:SYNLETT 2005,N0.1,pp0176-0178、非特許文献9:Chem.Pharm.Bull.,36(11)4622-4625(1988)、非特許文献10:Organic Letters,2004,Vol.6,No.23,4379-4381等参照。)。非特許文献7では、(Z)-γ-トリメチルシリルアリルアルコールを銅(I)t-ブトキシドと反応させて得られる分子内活性化された中間体をパラジウム触媒の存在下でハロゲン化アリールとクロスカップリングさせる方法が開示されている。非特許文献8では、(Z)-β-位のカルボキシル基のケイ素原子への5配位により分子内活性化されたトリアルキルビニルシランの、フッ化物イオンを用いない、パラジウム触媒存在下でのクロスカップリング反応が報告されている。非特許文献9は、ケイ素原子が5配位であるトリエチルアンモニウム,ビス(カテコラト)アルケニルシリコネートが、パラジウム触媒存在下でヨウ化アリールと反応してクロスカップリング生成物を生じることが報告されている。非特許文献10では、5配位のアリールビス(カテコール)ケイ酸塩とシュウ化アリールとのクロスカップリング反応をマイクロ波を用いることにより可能とできることについて報告されている。
【0008】
また、クロスカップリング反応に関するものではないが、o-シリルベンジルアルコールの分子内反応で生じるアルコキシドが、穏やかな条件下で分解し、シリル基がカルボニル化合物への付加反応に用いられることが報告されている(例えば、非特許文献11:Can.J.Chem.78:1421-1427(2000)等参照。)。
【0009】
含ケイ素クロスカップリング反応剤は、上述したようにクロスカップリング反応の選択性に優れ、また、含ホウ素クロスカップリング反応剤では合成することができない化合物の合成ができるという点で含ホウ素クロスカップリング反応剤と相互に補完できる立場にあることから、期待が寄せられているが、安定性に優れ、且つ、穏和な反応条件下でクロスカップリング反応を行い得る含ケイ素クロスカップリング反応剤は未だ存在しない。
【0010】
すなわち、ケイ素原子に結合する基が全て有機基である極めて安定な含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いることができ、且つ、フッ化物イオンを用いないでクロスカップリング反応が可能な上記非特許文献2、3の構成では、フッ化物イオンは用いないが、化学量論的な遷移金属プロモーターや強塩基を用いる必要がある。また、ケイ素原子にハロゲンや酸素原子等の電子求引性のヘテロ原子が結合した上記特許文献1、2、上記非特許文献4、5、6の構成では、フッ化物イオンを用いずにクロスカップリング反応を行なうことは可能であるが、水分、酸またはアルカリに対する安定性が低い。
【0011】
また、分子内活性化を利用する上記非特許文献7、8の構成では、クロスカップリング反応に供されるケイ素原子に結合する有機基中に、ヒドロキシル基やカルボニル基がケイ素原子と配位できる位置で含まれていることが必要であるため、クロスカップリング反応で結合させる有機基がかかる構造を有するものに限られてしまう。また、非特許文献9で、開示されている5配位のケイ素原子を含む含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いたクロスカップリング反応は長時間を要する上に収率も十分ではない。非特許文献10では、マイクロ波を照射する必要があるため装置が必要な上、操作が煩雑となる。
【0012】
また、上記非特許文献11では、分子内活性化されたアルコキシドは、カルボニル化合物への付加反応に用い得ることが示されているにすぎない。
【0013】
さらに、クロスカップリング反応剤として現在主に用いられている含ホウ素クロスカップリング反応剤は、回収、再利用ができないが、資源の有効利用、環境への負荷軽減等の観点から、回収・再利用が可能であるような、クロスカップリング反応剤の開発が望まれる。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安定性に優れ、且つ、フッ化物イオンを用いずに穏和な反応条件下でのクロスカップリング反応を可能とする、含ケイ素クロスカップリング反応剤およびこれを用いる有機化合物の製造方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0015】
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤は、上記課題を解決するために、パラジウム触媒および塩基の存在下で、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基を有する有機化合物と、有機ケイ素化合物である含ケイ素クロスカップリング反応剤とをクロスカップリング反応させて、前記脱離基と結合する炭素原子と前記有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合する炭素原子との炭素-炭素結合を形成するために用いる含ケイ素クロスカップリング反応剤であって、
以下の一般式(1)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)または(19)
【化1】
JP0004934823B2_000002t.gif
(一般式(1)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)および(19)中、R1は置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立してアルキル基を示し、R4、R5、R14、R15、R61、R62、R63およびR64はそれぞれ独立して水素原子または置換基を示す。)
で表される構造を有することを特徴としている。
【0016】
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤では、上記R1は少なくとも1つの2重結合を有し、R1のケイ素原子に結合する原子は、sp2炭素であることが好ましい。
【0017】
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤は、以下の一般式(2)
【化2】
JP0004934823B2_000003t.gif
(一般式(2)中、R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1ないし6の直鎖状または枝分かれ状アルキル基を示し、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有するか有しない炭素数1ないし10の鎖状または枝分かれ状のアルキル基または炭素数6ないし10のアリール基を示す。)
で表される構造を有するものであってもよい。
【0018】
また、本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤では、上記R1は置換基を有するか有しない炭素数6ないし10のアリール基、または、置換基を有するか有しない複素環式基であってもよい。
【0019】
また、本発明にかかる化合物は、以下の化学式1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、2a、2b、2c、2dまたは2e
【化3】
JP0004934823B2_000004t.gif
で表される構造を有することを特徴としている。
【0020】
また、本発明にかかる有機化合物の製造方法は、上記本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤と、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基を有する有機化合物とを、パラジウム触媒および塩基の存在下でクロスカップリング反応させるクロスカップリング工程を含むことを特徴としている。
【0021】
また、本発明にかかる有機化合物の製造方法は、さらに、含ケイ素クロスカップリング反応剤を回収する回収工程を含んでいてもよい。
【0022】
本発明にかかる化合物は、以下の化学式p8、p9、p14、p19、p21またはp22
【化4】
JP0004934823B2_000005t.gif
で表される構造を有するものであってもよい。
【0023】
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤は、以上のように、以下の一般式(1)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)または(19)
【化5】
JP0004934823B2_000006t.gif
(一般式(1)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)および(19)中、R1は置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立してアルキル基を示し、R4、R5、R14、R15、R61、R62、R63およびR64はそれぞれ独立して水素原子または置換基を示す。)で表される構造を有し、ケイ素原子に結合する基がすべて有機基であるので、安定性に優れるという効果を奏する。また、例えば、一般式(1)におけるo-ヒドロキシルメチルフェニル基のように、ケイ素原子に配位して分子内活性化された5配位構造を形成することができる酸素原子を含む基を有するため、穏和な条件下でのクロスカップリング反応が可能となるという効果を奏する。さらに回収、再利用が可能であるため、資源の有効利用、環境への負荷軽減が可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、分子内活性化に供することができる酸基原子を有する基をケイ素原子に対してo-位に有するフェニル基がケイ素原子に結合した含ケイ素クロスカップリング反応剤をクロスカップリング反応剤として用いることにより、ケイ素原子に結合する基が全て有機基または水素原子である含ケイ素クロスカップリング反応剤でも、穏和な条件下でクロスカップリング反応を行なうことができることを初めて見出した。以下、(I)本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤、(II)本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いる有機化合物の製造方法の順に説明する。
【0025】
(I)本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤
(I-1)含ケイ素クロスカップリング反応剤
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤は、以下の、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)または(19)
【化6】
JP0004934823B2_000007t.gif
で表される構造を有している。一般式(1)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)および(19)中、R1は置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基であり、R2およびR3はそれぞれ独立してアルキル基であり、R4、R5、R14、R15、R61、R62、R63およびR64はそれぞれ独立して水素原子または置換基である。
【0026】
このように、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤はケイ素原子に結合する基がすべて有機基であるので、安定性に優れる。また、分子内活性化に供することができる酸基原子を有する基をケイ素原子に対してo-位に有するフェニル基を有するため、穏和な条件下でのクロスカップリング反応が可能となる。この理由については明らかではないが、例えば、一般式(1)で表される含ケイ素クロスカップリング反応剤を例に挙げると、o-ヒドロキシルメチルフェニル基の水酸基が、ケイ素原子に配位し、5配位となることによって分子内活性化された中間体が形成されるためであると考えられる。
【0027】
ここで、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤は、パラジウム触媒および塩基の存在下で、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基を有する有機化合物と、有機ケイ素化合物である含ケイ素クロスカップリング反応剤とをクロスカップリング反応させて、前記脱離基と結合する炭素原子と前記有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合する炭素原子との炭素-炭素結合を形成するために用いる含ケイ素クロスカップリング反応剤である。すなわち、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基Xを有する有機化合物X-R10とクロスカップリング反応させることにより、クロスカップリング生成物である有機化合物R1-R10を製造することができる。したがって、R1とR10とを適宜選択することによって所望の有機化合物R1-R10を製造することが可能となる。なお、ここでR10は、有機基であれば特に限定されるものではなくどのような有機基であってもよい。また、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基Xに結合する炭素原子は、sp2炭素であってもよいし、sp炭素であってもよいし、sp3炭素であってもよい。これにより、R1のケイ素原子に結合する炭素原子がsp2炭素である場合にはsp2炭素-sp炭素結合、sp2炭素-sp2炭素結合、またはsp2炭素-sp3炭素結合を、R1のケイ素原子に結合する炭素原子がsp炭素である場合にはsp炭素-sp炭素結合、sp炭素-sp2炭素結合、sp炭素-sp3炭素結合を、R1のケイ素原子に結合する炭素原子がsp3炭素である場合にはsp3炭素-sp炭素結合、sp3炭素-sp2炭素結合、sp3炭素-sp3炭素結合を形成することができる。また、好ましいハロゲンには塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。また、ハロゲン様の脱離基としては、例えば、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
【0028】
本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤は、分子内活性化に供することができる酸基原子を有する基をケイ素原子に対してo-位に有するフェニル基(例えば、o-ヒドロキシルメチルフェニル基)と、それぞれ独立してアルキル基であるR2およびR3と、クロスカップリング反応させたい有機基であるR1とがケイ素原子に結合している構成であればよい。
【0029】
ここで、上記R2およびR3は、それぞれ独立してアルキル基であれば特に限定されるものではないが、それぞれ独立して、炭素数1ないし6の直鎖状または枝分かれ状アルキル基であることがより好ましい。かかるアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。
【0030】
また、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤では、上記R4、R5、R14、R15、R61、R62、R63およびR64はそれぞれ独立して、水素原子または置換基である。すなわち、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤は、ケイ素原子に分子内活性化に供することができる酸基原子を有する基をケイ素原子に対してo-位に有するフェニル基が結合し分子内活性化が可能な構造であればよいので、かかる分子内活性化に供することができる酸基原子を有する基をケイ素原子に対してo-位に有するフェニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。また、置換基としても、分子内活性化およびクロスカップリング反応に好ましくない影響を与えないかぎりどのような置換基であってもよい。また、上記o-ヒドロキシルメチルフェニル基中のフェニレン基が有する置換基の数も特に限定されるものではない。かかる置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アリール基、アルケニル基、アルキル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基、アルカジイニル基、アルカトリイニル基等の炭化水素基;複素環式基;シアノ基;ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基;リン酸基;スルホ基;ヒドロキシ基;スルホニル基;ハロゲン;アルカノイル基、アルケノイル基、アルキノイル基等のアシル基;アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、イミノ基、トリアルキルシロキシ基、ヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。
【0031】
上記R1は、クロスカップリング反応に供される有機基であり、種々の有機基の中から所望の有機基を選ぶことができる。R1は特に限定されるものではなく、置換基を有するか有しない炭化水素基であればよい。また、炭化水素基の一部の炭素原子が、O、N、P、S、Si等で置換されているものであってもよい。中でも、R1は、置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基であることがより好ましい。
【0032】
上記直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよく、含まれる二重結合や三重結合の数や位置も特に限定されるものではない。また、その炭素数も特に限定されるものではないが、1ないし100であることが、より好ましく、1ないし10であることがさらに好ましい。かかる炭化水素基としては、例えば、アリール基、アルケニル基、アルキル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基、アルカジイニル基、アルカトリイニル基等を挙げることができる。
【0033】
上記アリール基としては、芳香族炭化水素基であれば単環であっても多環であっても縮環であってもよい。かかるアリール基としては、特に限定されるものではないが、炭素数6ないし50のアリール基であることがより好ましく、炭素数6ないし10のアリール基であることがさらに好ましい。かかるアリール基としては、具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等を挙げることができる。
【0034】
また、上記アルケニル基としては、直鎖状であっても、枝分かれ状であっても、環状であってもよく、特に限定されるものではない。かかるアルケニル基としては、炭素数2ないし100のアルケニル基であることがより好ましく、炭素数2ないし10のアルケニル基であることがさらに好ましい。かかるアルケニル基としては、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、イソヘキセニル基、ヘプテニル基、イソヘプテニル基、オクテニル基、イソオクテニル基、ノネニル基、イソノネニル基、デセニル基、イソデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペプテニル基、シクロオクテニル基等を挙げることができる。
【0035】
また、上記アルキル基も、直鎖状であっても、枝分かれ状であっても、環状であってもよく、特に限定されるものではない。かかるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1ないし100のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1ないし10のアルキル基であることがさらに好ましい。かかるアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0036】
上記アルキニル基も、直鎖状であっても、枝分かれ状であっても、環状であってもよく、特に限定されるものではない。かかるアルキニル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数2ないし100のアルキニル基であることがより好ましく、炭素数2ないし10のアルキニル基であることがさらに好ましい。かかるアルキニル基としては、具体的には、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、シクロヘキシニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクチニル基、アリールエチニル基等を挙げることができる。
【0037】
また、上記アルカジエニル基としては、直鎖状であっても、枝分かれ状であっても、環状であってもよく、特に限定されるものではない。かかるアルカジエニル基としては、炭素数4ないし100のアルカジエニル基であることがより好ましく、炭素数4ないし10のアルカジエニル基であることがさらに好ましい。かかるアルカジエニル基としては、具体的には、例えば、ブタンジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、ヘプタジエニル基、オクタジエニル基、ノナジエニル基、デカンジエニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペプタジエニル基、シクロオクタジエニル基等を挙げることができる。
【0038】
また、上記アルカジイニル基としても、直鎖状であっても、枝分かれ状であっても、環状であってもよく、特に限定されるものではない。かかるアルカジイニル基としては、炭素数4ないし100のアルカジイニル基であることがより好ましく、炭素数4ないし10のアルカジイニル基であることがさらに好ましい。かかるアルカジイニル基としては、具体的には、例えば、ブタンジイニル基、ペンタジイニル基、ヘキサジイニル基、ヘプタジイニル基、オクタジイニル基、ノナジイニル基、デカンジイニル基、アリールジイニル基等を挙げることができる。
【0039】
上記複素環式基としては、飽和であっても、不飽和であってもよいし、単環であっても多環であっても縮環であってもよい。ヘテロ原子の種類や数も特に限定されるものではなく、イオウ原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子等を挙げることができ、例えば、5ないし6員環の単環複素環式基を挙げることができる。かかる複素環式基としては、具体的には、例えば、フリル基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、ピペリジル基、イソキノリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキザゾリル基、チアゾリル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、インドリル基等を挙げることができる。
【0040】
また、上記炭化水素基、または複素環式基は置換されていなくてもよいが、置換されていてもよい。かかる置換基としても、特に限定されるものではないが、例えば、アリール基、アルケニル基、アルキル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基、アルカジイニル基、アルカトリイニル基等の炭化水素基;複素環式基;シアノ基;ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基;リン酸基;スルホ基;ヒドロキシ基;スルホニル基;ハロゲン;アルカノイル基、アルケノイル基、アルキノイル基等のアシル基;アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、イミノ基、トリアルキルシロキシ基、ヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。
【0041】
また、R1は少なくとも1つの二重結合を有し、R1のケイ素原子に結合する原子は、sp2炭素であることがより好ましい。これにより、sp2-sp2炭素間に結合を形成することができる。それゆえ、クロスカップリング反応により、医薬中間体や分子エレクトロニクス素子の鍵化合物であるパイ共役電子系の構築が可能となる。
【0042】
R1が少なくとも1つの二重結合を有し、R1のケイ素原子に結合する原子が、sp2炭素であるような含ケイ素クロスカップリング反応剤としては、例えば、上述した、置換基を有するか有しないアリール基を挙げることができる。かかるアリール基では、置換基の位置や数は特に限定されるものではない。
【0043】
R1が少なくとも1つの二重結合を有し、R1のケイ素原子に結合する原子が、sp2炭素であるような含ケイ素クロスカップリング反応剤の他の例としては、例えば、以下の式(2)
【化7】
JP0004934823B2_000008t.gif
で表される含ケイ素クロスカップリング反応剤を挙げることができる。ここで、一般式(2)において、R2およびR3は、それぞれ独立して炭素数1ないし6の直鎖状または枝分かれ状アルキル基を示す。炭素数1ないし6の直鎖状または枝分かれ状アルキル基については一般式(1)等の場合と同様である。また、式(2)中、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有するか有しないアリール基、置換基を有するか有しないアルケニル基、置換基を有するか有しないアルキニル基、置換基を有するか有しないアルキル基、または置換基を有するか有しない複素環式基であればよく、特に限定されるものではないが、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有するか有しない炭素数1ないし10の鎖状または枝分かれ状のアルキル基または置換基を有するか有しない炭素数6ないし10のアリール基であることがより好ましい。ここで、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルキル基、複素環式基、炭素数1ないし10の鎖状または枝分かれ状のアルキル基、炭素数6ないし10のアリール基については、一般式(1)等で説明したものと同様である。また、置換基としては、例えば、アリール基、アルケニル基、アルキル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基、アルカジイニル基、アルカトリイニル基等の炭化水素基;複素環式基;シアノ基;ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基;リン酸基;スルホ基;ヒドロキシ基;スルホニル基;ハロゲン;アルカノイル基、アルケノイル基、アルキノイル基等のアシル基;アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、イミノ基、トリアルキルシロキシ基、ヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。
【0044】
また、本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤にはクロスカップリング反応剤として新規であるのみならず、化合物としても新規なものが含まれる。したがって、かかる新規な化合物も本発明に含まれる。本発明にかかる化合物としては、例えば以下の化学式1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、2a、2b、2c、2dまたは2e
【化8】
JP0004934823B2_000009t.gif
で表される構造を有する化合物を挙げることができる。
【0045】
かかる化合物は、クロスカップリング反応剤として利用することができる。また、特に、安定性に優れ、且つ、穏和な反応条件下でのクロスカップリング反応を可能とするとともに回収・再利用が可能なクロスカップリング反応剤として非常に有用である。
【0046】
(I-2)含ケイ素クロスカップリング反応剤の製造方法
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜用いることにより製造することができる。
【0047】
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤の製造方法は、特に限定されものではないが、例えば、一般式(1)で表される含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造するためには、2-ブロモフェニルメタノール(3)を出発物質として、以下の反応式(i)
【化9】
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で示す方法により製造することができる。反応式(i)に示すように、まず、2-ブロモフェニルメタノール(3)を例えば塩酸等の酸の存在下、3,4-ジヒドロ-2H-ピランと反応させて、2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)ブロモベンゼン(4)を得る。得られた2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)ブロモベンゼン(4)を有機リチウムの存在下、例えばクロロジアルキルシランと反応させて、ジアルキル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニル]シラン(5)を得る。
【0048】
このジアルキル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニル]シラン(5)を、白金触媒存在下で、例えば、反応式(i)に示すように、少なくとも1つの3重結合を有する有機基と反応させることにより本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造することができる。ここで、例えば、3重結合を形成する2個の炭素原子にそれぞれR11とR12とが結合している場合には、一般式(6)で示されるような含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造することができる。なお、反応させる上記有機基を適宜選択することにより、クロスカップリング反応させたい所望の有機基を有する含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造することができる。
【0049】
また、ジアルキル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニル]シラン(5)を、例えば、p-トルエンスルホン酸一水和物と反応させて得られたオキサシラシクロペンタン(7)を用いて含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造してもよい。かかる方法では、オキサシラシクロペンタン(7)を、例えば、クロスカップリング反応させたい所望の有機基R13を有するグリニャール反応剤R13m-MnXn-mと反応させることによって、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を得ることができる。なお、ここでMは、金属原子であれば特に限定されるものではないが、例えば、Mg、Al、As、Ge、Hg、Pb、Sn、Sb、Te、Zn等を挙げることができる。この中でも、MはMg、Alであることがより好ましい。また、Xは、Cl、Br、I等のハロゲン原子であることが好ましい。
【0050】
さらに、オキサシラシクロペンタン(7)を、例えば、水素化アルミニウムリチウム等の還元剤の存在下、塩化アセチル等のアセチル化剤と反応させて得られるジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)を用いて含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造してもよい。かかる方法では、このジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)を、白金触媒存在下で、例えば、反応式(i)に示すように、少なくとも1つの3重結合を有する有機基と反応させることにより本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造することができる。
【0051】
(II)本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いる有機化合物の製造方法
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤は、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基を有する有機化合物と、パラジウム触媒および塩基の存在下でクロスカップリング反応させることにより、前記脱離基と結合する炭素原子と含ケイ素クロスカップリング反応剤のケイ素原子に結合する炭素原子との炭素-炭素結合を形成することができる。したがって、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いて、かかる炭素-炭素結合が形成されて得られる有機化合物を製造する方法も、本発明に含まれる。
【0052】
かかる有機化合物の製造方法は、本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤と、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基を有する有機化合物とを、パラジウム触媒および塩基の存在下でクロスカップリング反応させるクロスカップリング工程を少なくとも含んでいればよい。また、本発明の有機化合物の製造方法は、さらに、含ケイ素クロスカップリング反応剤を回収する回収工程を含んでいてもよい。以下、(II-1)クロスカップリング工程、(II-2)回収工程の順に説明する。
【0053】
(II-1)クロスカップリング工程
クロスカップリング工程では、以下の反応式(ii)
【化10】
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に示すように、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤と、ハロゲンまたはハロゲン様の脱離基Xを有する有機化合物(9)とを、パラジウム触媒および塩基の存在下でクロスカップリング反応させる。なお、反応式(ii)には、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤(1)を用いる場合の反応式を例示するが、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤(14)、(15)、(16)、(17)、(18)および(19)を用いる場合も同様である。
【0054】
これにより、前記脱離基と結合する炭素原子と含ケイ素クロスカップリング反応剤のケイ素原子に結合する炭素原子との炭素-炭素結合が形成され、有機化合物R1-R10を製造することができる。また、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いることにより、用いる含ケイ素クロスカップリング反応剤は安定性に優れ、且つ、穏和な条件下でクロスカップリング反応を行なうことができる。
【0055】
本発明で用いられるハロゲンまたはハロゲン様の脱離基Xを有する有機化合物(9)(以下、本明細書において「有機ハロゲン化物様化合物」と略称する。)における、脱離基Xとしては、例えば、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン;アルキルスルホニルオキシ基(-O-S(O)2-R14)(ここでR14はアルキル基を示す。)、アリールスルホニルオキシ基(-O-S(O)2-R14)(ここでR14はアリール基を示す。)等を挙げることができる。
【0056】
また、上記有機ハロゲン化物様化合物(9)における、R10は、有機基であれば特に限定されるものではなくどのような有機基であってもよい。また、脱離基Xに結合する炭素原子は、sp2炭素であってもよいし、sp炭素であってもよいし、sp3炭素であってもよい。
【0057】
かかるR10は特に限定されるものではなく、置換基を有するか有しない炭化水素基であればよい。また、炭化水素基の一部の炭素原子が、O、N、P、S、Si等で置換されているものであってもよい。中でも、R1は、置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基であることがより好ましい。ここで、置換基を有するか有しない直鎖状、枝分かれ状または環状の炭化水素基、または置換基を有するか有しない複素環式基については、上記(I-1)で説明した炭化水素基、複素環式基と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
また、用いる有機ハロゲン化物様化合物(9)の量も特に限定されるものではないが、含ケイ素クロスカップリング反応剤1molに対して、0.05mol以上20mol以下、より好ましくは含ケイ素クロスカップリング反応剤1molに対して、0.5mol以上3mol以下用いることが好ましい。用いる有機ハロゲン化物様化合物(9)の量をかかる範囲内とすることにより、含ケイ素クロスカップリング反応剤やハロゲン化物様化合物の無駄を少なくすることができる。
【0059】
また、本工程はパラジウム触媒および塩基の存在下で行う。パラジウム触媒としては、例えば、PdCl2、PdCl2(CH3CN)2、Pd2(dpa)3、(Pd(PPh34、Pd(Ph2PCH34、PdCl2(PPh32、(PdCl2[P(o-トリル)32、PdCl2(P(シクロヘキシル)32、PdCl2(PEt32等を用いることができる。また、PdCl2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3等と、適当なリガンドとを、反応系中で混合することによって、反応系中で実際にクロスカップリング反応に関与する触媒を調整してもよい。かかるリガンドとしては、P(o-トリル)3、P(i-Pr)3、PPh3、Ph2PCH3、P(2-フリル)3、N-(2-ジフェニルホスフィノベンジリデン)シクロヘキシルアミン等のN-(2-ジフェニルホスフィノベンジリデン)アルキルアミン、N-(2-ジフェニルホスフィノベンジリデン)アリールアミン、P(シクロヘキシル)3、P(o-MeOPh)3、P(p-MeOPh)3、P(OEt)3、P(O-p-トリル)3、P(O-o-トリル)3、P(O-i-Pr)3、ピリジン、2,2‘-ビピリジル、アルキル置換ピリジン、アリール置換ピリジン、トリアリールアルシン、トリアリールアンチモン、トリアリールビスマス等を挙げることができる。
【0060】
また、パラジウム触媒は、固体担体上に担持されたものであってもよい。かかるパラジウム触媒としては、例えば、パラジウム炭、パラジウム黒、パラジウムクラスター等を挙げることができる。
【0061】
用いる上記触媒の量は、反応させる含ケイ素クロスカップリング反応剤や、上記有機ハロゲン化物様化合物(9)の種類によっても異なるが、用いる含ケイ素クロスカップリング反応剤1molに対して、パラジウム原子の量として、0.0001mol以上0.2mol以下、より好ましくは0.005mol以上0.05mol以下、さらに好ましくは0.01mol以上0.03mol以下、用いることが好ましい。用いる触媒の量がかかる範囲より少ないと、クロスカップリング反応の反応速度が低く、十分な収率を達成することができない。また、用いる触媒の量がかかる範囲より多いと、これ以上触媒量を増加しても触媒量の向上による効果が得られなくなる。
【0062】
また、本工程で用いる塩基としても、クロスカップリング反応を促進、補助できる塩基性化合物であればよく、特に限定されるものではない。かかる塩基としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化バリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸カリウム、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、アルキルリチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等を用いることができる。用いる塩基の量は、特に限定されるものではないが、用いる含ケイ素クロスカップリング反応剤1molに対して、1mol以上10mol以下、より好ましくは1mol以上3mol以下用いることが好ましい。
【0063】
また、本工程では、必要に応じて、1価のCu化合物を加えてもよい。かかるCu化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、CuI、CuBr、Cu(OH)、CuCl等を好適に用いることができる。これにより、収率、反応速度を向上させることができる。
【0064】
本工程において、用いることができる溶媒も、特に限定されるものではないが有機溶媒であることがより好ましい。水を溶媒として用いる場合には基質や触媒の溶解が困難な場合があるため、有機溶媒を使用することがより好ましい。なお、有機溶媒に水が含まれていてもよい。本工程において使用できる有機溶媒としては、具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO);N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)等のアミド;アセトニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール等のアルコール;アセトン、2-ブタノン、3-ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、メチルn-プロピルケトン、3-ヘキサノン、メチルn-ブチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の低級飽和炭化水素;酢酸エチルエステル等のエステル等を挙げることができる。また、上記溶媒は、上述した1種以上の溶媒の混合物であってもよい。これらの中でも、本工程において用いられる溶媒としては、極性溶媒であることがより好ましい。極性溶媒を用いることにより、より良好にクロスカップリング反応を行なうことができる。かかる極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン等のエーテル等を挙げることができる。
【0065】
また、用いる溶媒の量も特に限定されるものではないが、含ケイ素クロスカップリング反応剤の濃度が0.01M以上、10M以下、より好ましくは0.05M以上、5M以下、さらに好ましくは0.1M以上、3M以下となるような範囲で用いることが好ましい。溶媒の濃度が0.01Mより低いと、クロスカップリング反応の反応速度が遅くなり、10Mより高いと反応溶液が不均一になるからである。
【0066】
クロスカップリング反応の反応温度も特に限定されるものではないが、0℃~120℃であることが好ましく、10℃から100℃で行うことがより好ましい。また、反応時間も、特に限定されるものではないが1時間以上、24時間以下の範囲で行うことが好ましい。
【0067】
また、クロスカップリング反応においては、含ケイ素クロスカップリング反応剤、上記有機ハロゲン化物様化合物(9)、触媒、リガンドおよび塩基を加える順序は特に限定されるものではなく、どのような順序で加えてもよく、例えば、溶媒に、触媒、リガンドおよび塩基を加えて攪拌した後、含ケイ素クロスカップリング反応剤と上記有機ハロゲン化物様化合物(9)とを加える方法、溶媒に、触媒、リガンド、塩基、含ケイ素クロスカップリング反応剤および上記有機ハロゲン化物様化合物(9)を同時に加えて攪拌する方法等を用いることができる。溶媒に、触媒、リガンドおよび塩基を加えて攪拌した後、含ケイ素クロスカップリング反応剤と上記有機ハロゲン化物様化合物(9)とを加える方法では、含ケイ素クロスカップリング反応剤と上記有機ハロゲン化物様化合物(9)とは、順序はどちらが先であってもよいが連続的に加えることが好ましい。
【0068】
本工程においては、上記有機ハロゲン化物様化合物(9)の脱離基と結合する炭素原子と含ケイ素クロスカップリング反応剤のケイ素原子に結合する炭素原子との炭素-炭素結合が形成され、有機化合物R1-R10が生成する。したがって、所望のR1とR10とをそれぞれ有する含ケイ素クロスカップリング反応剤と上記有機ハロゲン化物様化合物(9)とを反応させることによって、種々の所望の有機化合物のみを効率的に製造することが可能となる。
【0069】
また、本工程によって製造できる有機物には新規なものが含まれる。したがって、かかる新規な化合物も本発明に含まれる。本発明にかかる化合物としては、例えば以下の化学式p8、p9、p14、p19、p21またはp22
【化11】
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で表される構造を有する化合物を挙げることができる。
【0070】
(II-2)回収工程
本発明にかかる有機化合物の製造方法において用いられる本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤は、クロスカップリング反応後、回収して再利用することが可能である。したがって、本発明にかかる有機化合物の製造方法は、含ケイ素クロスカップリング反応剤を回収する回収工程をさらに含んでいてもよい。
【0071】
回収工程では、上記クロスカップリング工程で副生成物として生成するオキサシラシクロペンタン(11)から、再び含ケイ素クロスカップリング反応剤を合成する工程であれば特に限定されるものではないが、例えば、以下の反応式(iii)
【化12】
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で示されるような方法を用いることができる。なお、反応式(iii)には、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤(1)を用いる場合の反応式を例示するが、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤(14)、(15)、(16)、(17)、(18)および(19)を用いる場合も同様である。かかる方法では、オキサシラシクロペンタン(11)を、例えば、水素化アルミニウムリチウム等の還元剤の存在下、塩化アセチル等のアセチル化剤と反応させて、ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12)を得る。なお、ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12)のアセトキシメチルフェニル基は反応式(iii)に示すように、R4、R5、R14、R15、R61、R62、R63およびR64等の置換基を有するものであってもよい。このジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12)を、例えば、白金触媒存在下で、種々の置換基を有するか有しないアルキンと反応させることにより本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤(13)を再生することができる。
【0072】
また、オキサシラシクロペンタン(11)を、例えば、クロスカップリング反応させたい所望の有機基R1を有するグリニャール反応剤R1m-MnXn-mと反応させることによって、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤(13)を再生させてもよい。なお、ここでMは、金属原子であれば特に限定されるものではないが、例えば、Mg、Al、As、Ge、Hg、Pb、Sn、Sb、Te、Zn等を挙げることができる。この中でも、MはMg、Alであることがより好ましい。また、Xは、Cl、Br、I等のハロゲン原子であることが好ましい。
【0073】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0074】
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0075】
なお、以下の実施例において、フラッシュカラムクロマトグラフィーはMerckシリカゲル60(230-400メッシュ)または酸化アルミニウム90中性(70-230メッシュ)を用いて行った。また、分析用薄層クロマトグラフィーはMerckキーゼルゲル60F254(0.25mm)プレートを用いて行った。検出は、UV光(254nm)および/またはKMnO4アルカリ水溶液処理によった。
【0076】
また、以下のプロトンおよび炭素の核磁気共鳴スペクトル(1H NMRおよび13C NMR)測定では、溶媒の共鳴を内部スタンダード(1H NMR、CHCl37.26ppmまたはC6H67.15ppm;13C NMR、CDCl3ppmまたはC6H67.15ppm)とし、Varian Mercury 400(1H NMR、400MHz;13C NMR、101MHz)またはVarian Mercury 200(1H、200MHz;13C、50.3MHz)スペクトロメーター(バリアン社製)を用いた。融点はYANAKO MP-500D(柳本製作所製)を用いて測定した。高分解能マススペクトルはJEOL JMS-700(日本電子社製、EIおよびCI)またはJEOL JMS-HX110A(日本電子社製、FAB)を用いて測定した。
【0077】
また、特記しない限り用いた市販の試薬は精製することなく用いた。ジエチルエーテル、THFおよびヘキサンはナトリウム/ベンゾフェノンケチルで乾燥し蒸留した。DMSOは、Aldrich社のものをさらに精製することなく用いた。N-(2-ジフェニルホスフィノベンジリデン)シクロヘキシルアミンはYoshida,H.,Shirakawa,E.,Kurahashi,T.,Nakao,Y.,Hiyama,T.,Organometallics 2000,19,5671-5678に記載の方法で調製した。
【0078】
〔実施例1:含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造するための化合物の製造〕
本実施例では、2-ブロモフェニルメタノールを出発物質として、反応式(i)に示す方法で、含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造するための化合物である、ジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニルシラン(5)、オキサシラシクロペンタン(7)、ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)を製造した。
【0079】
<ジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニル]シラン(5)(R2及びR3:メチル基)の製造>
2-ブロモフェニルメタノール(34g、0.18mol)および3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(18g、0.22mol)の混合物に濃塩酸を10滴滴下し室温で一晩攪拌した。得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液で中和し、無水MgSO4上で乾燥し、減圧下で乾燥して2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)ブロモベンゼンを得た。得られた2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)ブロモベンゼンをTHF(450mL)に溶解し、1.6M n-BuLiヘキサン溶液(124mL、0.20mol)を、-78℃で40分かけて加え、得られた溶液を-78℃で50分間攪拌し、クロロジメチルシラン(20g、0.22mol)を加えた。得られた混合物を一晩かけてゆっくり室温に戻し、水で急冷した。THFを留去後、残渣をジエチルエーテルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗い、無水MgSO4上で乾燥した。これを減圧下で蒸留することにより、ジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニル]シラン(5)(38g、収率83%)を無色油状物として得た。bp:135℃(1.0mmHg)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.54(d,J=7.2Hz,1H),7.44(d,J=7.2Hz,1H),7.40-7.36,(m,1H),7.31-7.27(m,1H),4.87(d,J=12.0Hz,1H),4.74(s,1H),4.60(d,J=12.0Hz,1H),4.58-4.50(m,1H),4.00-3.95(m,1H),3.62-3.54(m,1H),1.94-1.50(m,6H),0.36(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 143.6,136.5,134.7,129.4,128.3,127.0,98.1,69.1,62.1,30.6,25.5,19.3,-3.0,-3.1。元素分析:計算値(C14H22O2Si):C,67.15;H,8.86。測定値:C,67.44;H,8.91。
【0080】
<ジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニル]シラン(5)からのオキサシラシクロペンタン(7)の製造>
ジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニルシラン(5)(75g、0.3mol)を、MeOH(500mL)中、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.1g、6.0mmol)と室温で16時間反応させた。MeOHを留去後、残渣を蒸留してオキサシラシクロペンタン(7)(41g、収率83%)を無色油状物として得た。bp45℃(2.0mmHg).1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.59(dd,J=7.1,0.4Hz,1H),7.42-7.37(m,1H),7.33-7.28,(m,1H),7.23(dd,J=7.5,0.7Hz,1H),5.16(s,2H),0.40(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 149.7,135.0,131.0,129.5,126.8,121.6,71.5,0.6。元素分析:計算値(C9H12OSi)C,65.80;H,7.36。測定値C,65.60;H,7.34:。
【0081】
<ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)(R2及びR3:メチル基)の製造>
ジエチルエーテル(30mL)中にLiAlH4(0.38g、10mmol)を懸濁させた液に、オキサシラシクロペンタン(7)(1.64g、10mmol)を0℃で加え、得られた混合物を室温で100分間攪拌し、再び0℃として塩化アセチル(7.1mL、100mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩乾燥し、フロリジル、続いてシリカゲルパッドを用いて濾過した。残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)(1.4g、収率67%)を無色油状物として得た。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.57(d,J=7.0Hz,1H),7.42-7.32(m,3H),5.20(s,2H),4.54(m,1H),2.10(s,3H),0.37(d,J=3.8Hz,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 170.8,140.9,137.2,135.0,129.6,129.1,127.8,66.6,21.1,-3.1。元素分析:計算値(C11H16O2Si):C,63.42;H,7.74。測定値:C,63.48;H,7.74。
【0082】
〔実施例2:含ケイ素クロスカップリング反応剤の製造〕
実施例1で得られた化合物を用いて種々の含ケイ素クロスカップリング反応剤を製造した。
【0083】
<(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-オクテニル)シラン:1aの製造>
プラチナを触媒とするヒドロシリル化により(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-オクテニル)シラン:1aを製造した。ジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニルシラン((5)中R2及びR3:メチル基)(10g、40mmol)および1-オクチン(4.4g、40mmol)のヘキサン(4mL)溶液に、t-Bu3P(80mg、40μmol)の10%ヘキサン溶液およびプラチナ(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(4.0mL、40μmol)の0.01Mヘキサン溶液を0℃で加えた。得られた混合物を室温で2時間攪拌し、セライトパッドを用いて濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をMeOH(140mL)に溶解し、p-トルエスルホン酸一水和物(152mg、0.80mmol)と室温で4時間反応させた。減圧下で、溶媒を除去した後、残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-オクテニル)シラン:1a(9.0g、収率81%)を無色油状物として得た。Rf:0.25(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.55(dd,J=7.3,1.3Hz,1H),7.46(dd,J=7.5,0.7Hz,1H),7.40(td,J=7.5,1.5Hz,1H),7.28(td,J=7.3,1.3Hz,1H),6.15(dt,J=18.7,6.4Hz,1H),5.83(dt,J=18.7,1.5Hz,1H),4.74(s,2H),2.17-2.12(m,2H),1.42-1.25(m,8H),0.90-0.83(m,3H),0.39(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 149.7,146.4,137.1,135.1,130.0,128.2,128.0,127.0,65.4,36.8,31.7,28.9,28.5,22.6,14.1,-1.2。元素分析:計算値(C17H28OSi):C,73.85;H,10.21。測定値:C,73.86;H,10.42。
【0084】
<(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(5-シアノ-1-ペンテニル)シラン:1bの製造>
1.3g、5.0mmolのジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニルシラン((5)中R2及びR3:メチル基)および1-オクチンの代わりに5-ヘキシンニトリル(0.46g、5.0mmol)を用いた以外は上記1aの製造方法と同様にして(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(5-シアノ-1-ペンテニル)シラン:1b(1.1g、収率84%)を無色油状物として得た。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=4:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.53(d,J=7.2Hz,1H),7.46(d,J=7.2Hz,1H),7.40(td,J=7.4,1.2Hz,1H),7.29(td,J=7.4,1.2Hz,1H),6.06(dt,J=18.5,6.0Hz,1H),5.95(d,J=18.4Hz,1H),4.73(s,2H),2.36-2.29(m,4H),1.82-1.75(m,2H),0.40(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.4,145.6,136.2,135.0,131.2,129.7,127.7,126.9,119.5,65.1,35.2,24.0,16.4,-1.3。元素分析:計算値(C15H21NOSi):C,69.45;H,8.16。測定値:C,69.68;H,8.15。
【0085】
<(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-フェニルエテニル)シラン:1cの製造>
0.55g、2.2mmolのジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニルシラン((5)中R2及びR3:メチル基)および1-オクチンの代わりにフェニルアセチレン(0.20g、2.0mmol)を用いた以外は1aの製造方法と同様にして(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-フェニルエテニル)シラン(0.45g、収率84%)を無色油状物として得た。Rf:0.20(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.62(dd,J=7.4,1.3Hz,1H),7.51-7.41(m,4H),7.37-7.27(m,4H),6.97(d,J=19.2Hz,1H),6.67(d,J=19.2Hz,1H),4.79(s,2H),0.52(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.5,145.2,138.0,136.4,135.3,130.0,128.6,128.3,127.9,127.8,127.1,126.5,65.4,-1.2。元素分析:計算値(C17H20OSi):C,76.07;H,7.51。測定値:C,75.73;H,7.55。
【0086】
<(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(4-オクテン-4-イル)シラン:1fの製造
0.55g、2.2mmolのジメチル[2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)フェニルシラン((5)中R2及びR3:メチル基)および1-オクチンの代わりに4-オクチン(0.22g、2.0mmol)を用いた以外は1aの製造方法と同様にして(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(4-オクテン-4-イル)シラン(0.45g、収率81%)を無色油状物として得た。Rf:0.25(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.54(dd,J=7.2,1.2Hz,1H),7.47(dd,J=7.2,1.2Hz,1H),7.40(td,J=7.3,1.4Hz,1H),7.29(m,1H),5.80(t,J=7.2Hz,1H),4.70(s,2H),2.12-2.06(m,4H),1.38(m,2H),1.28-1.18(m,2H),0.90(t,J=7.4Hz,3H),0.83(t,J=7.2Hz,3H),0.40(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.6,142.8,140.2,136.7,135.3,129.6,128.0,126.9,65.2,32.1,30.8,23.4,22.6,14.5,14.0,-1.2。元素分析:計算値(C17H28OSi):C,73.85;H,10.21。測定値:C,73.67;H,10.06。
【0087】
<(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-オクテニル)シラン:1aのジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)を用いることによる製造>
1-オクチンの1.0Mヘキサン溶液(0.50mL、0.50mmol)を、ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12’)(104mg、0.50mmol)、t-Bu3P(10%ヘキサン溶液、10mg、5.0μmol)およびプラチナ(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(0.01Mヘキサン溶液、0.50mL、5.0μmol)の混合物に0℃で滴下した。得られた混合物を室温で4時間攪拌し、フロリジルパッドを用いて濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をMeOH(2.5mL)および水(2.5mL)に溶解し、K2CO3(1.4g、10mmol)と50℃で24時間反応させた。得られた混合物は、ジエチルエーテルで抽出し、有機相は水および飽和食塩水で洗い、無水MgSO4上で乾燥した。残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(E)-(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-オクテニル)シラン(113mg、収率82%)を無色油状物として得た。
【0088】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-プロペニル)シラン:1dの製造>
オキサシラシクロペンタン(7)(7.5g、46mmol)をTHF(50mL)に溶解した溶液に、0.5Mの臭化2-プロペニルマグネシウムのTHF溶液(100mL、50mmol)を0℃で加え、得られた混合物を室温で9時間攪拌した。混合物をジエチルエーテルで希釈し、NH4Clの飽和水溶液、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、残渣を減圧下で蒸留し、(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-プロペニル)シラン:1d(8.4g、89%)を無色油状物として得た。bp75℃(0.4mmHg)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.55(d,J=7.3,1.2Hz,1H),7.48(d,J=7.7Hz,1H),7.42(dd,J=7.7,7.3Hz,1H),7.30(t,J=7.3Hz,1H),5.71(dq,J=3.1,1.6Hz,1H),5.37(dq,J=3.1,1.3Hz,1H),4.72(s,2H),1.92(br s,1H),1.82(dd,J=1.6,1.3Hz,3H),0.44(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 147.3,146.6,135.4,135.3,129.7,126.9,126.6,65.1,22.5,-2.1。元素分析:計算値(C12H18OSi):C,69.84;H,8.79。測定値:C,69.82;H,8.56。
【0089】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-フェニルエテニル)シラン:1eの製造>
臭化1-フェニルエテニルマグネシウムのTHF溶液16mL(α-ブロモスチレン(3.7g、20mmol)およびMg(0.50g、21mmol)からHopkins,M.H.;Overman,L.E.;Rishton,G.M.J.Am.Chem.Soc.1991,113,5354-5365に従って調製した。)に、オキサシラシクロペンタン(7)(3.0g、19mmol)のTHF溶液(9mL)を室温にて加え、得られた混合物を室温で2時間攪拌した後、さらに50℃で2時間攪拌した。得られた混合物を、ジエチルエーテルで希釈し、濾過して未反応のマグネシウムを除去した。濾液をNH4Clの飽和水溶液、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(1-フェニルエテニル)シラン:1e(1.5g、収率30%)を無色油状物として得た。Rf:0.28(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.61(d,J=7.3Hz,1H),7.48(d,J=7.5Hz,1H),7.43(dd,J=7.5,7.3Hz,1H),7.31(t,J=7.3Hz,1H),7.25-7.15(m,3H),7.13-7.08(m,2H),6.04(d,J=1.4Hz,1H),5.71(d,J=1.4Hz,1H),4.73(s,2H),1.55(br s,1H),0.48(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 152.0,146.5,143.6,135.8,135.3,129.9,128.8,128.2,128.1,127.1,126.72,126.65,65.2,-0.8。元素分析:計算値(C17H20OSi):C,76.07;H,7.51。測定値:C,76.31;H,7.48。
【0090】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-メチル-1-プロペニル)シラン:1gの製造>
臭化2-メチル-1-プロペニルマグネシウムの0.5MTHF溶液(100mL、50mmol)を、オキサシラシクロペンタン(7)(7.5g、46mmol)のTHF溶液(50mL)に0℃で加え、得られた混合物を室温で一晩攪拌し、ジエチルエーテルで希釈した。得られた混合物をNH4Clの飽和水溶液、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、中性の酸化アルミニウム(活性度III)上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-メチル-1-プロペニル)シラン:1g(7.1g、収率71%)を無色油状物として得た。Rf:0.26(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,C6D6)δ 7.57(d,J=7.3Hz,1H),7.45(d,J=7.7Hz,1H),7.22(dd,J=7.4,7.3Hz,1H),7.13(dd,J=7.7,7.4Hz,1H),5.41(s,1H),4.63(d,J=5.9Hz,2H),1.78(t,J=5.9Hz,1H),1.66(s,3H),1.46(s,3H),0.37(s,6H);13C NMR(101MHz,C6D6)δ 153.4,147.3,137.5,134.9,129.7,128.0,127.0,123.8,65.3,29.3,23.2,0.0。元素分析:計算値(C13H20OSi):C,70.85;H,9.15。測定値:C,70.83;H,9.23。
【0091】
<[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]ジメチル(ビニル)シラン:1hの製造>
n-ブチルリチウム(30mL、48mmol)の1.6Mヘキサン溶液を、2-ブロモベンジルアルコール(3.7g、20mmol)のTHF溶液に、-78℃で加え、得られた混合物を-78℃で1.5時間攪拌した。この反応混合物に、クロロ(ジメチル)ビニルシラン(7.2g、60mmol)を-78℃で加え、得られた混合物を2時間攪拌した。得られた混合液をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗い、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]ジメチル(ビニル)シラン:1h(3.1g、収率80%)を無色油状物として得た。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=7:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.56(dd,J=7.3,1.3Hz,1H),7.46(dd,J=7.1,0.7Hz,1H),7.41(td,J=7.4,1.5Hz,1H),7.30(td,J=7.3,1.5Hz,1H),6.39(dd,J=20.3,14.6Hz,1H),6.08(dd,J=14.6,3.7Hz,1H),5.79(dd,J=20.3,3.7Hz,1H),4.74(s,2H),1.71(br s,1H),0.43(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.4,139.0,136.2,135.2,132.8,129.8,128.0,127.0,65.3,-1.6。元素分析:計算値(C11H16OSi):C,68.69;H,8.39。測定値:C,68.43;H,8.36。
【0092】
<[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]ジメチル(プロペン-1-イル)シラン:1i、(Z):(E)=94:6の製造>
(Z)-臭化プロペン-1-イルマグネシウムのTHF溶液(70mL)((Z)-1-ブロモ-1-プロペン(6.0g、50mmol)およびMg(1.71g、50mmol)からKant,J.,J.Org.Chem.1993,58,2296-2301の方法により製造した。)を、オキサシラシクロペンタン(7)(5.8g、35mmol)のTHF溶液(20mL)に0℃にて加え、得られた混合物を室温で一晩攪拌した。得られた混合物を、ジエチルエーテルで希釈し、濾過して未反応のマグネシウムを除去した。濾液をNH4Clの飽和水溶液、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]ジメチル(プロペン-1-イル)シラン:1i(6.8g、収率94%、GC分析により推定された(Z):(E)=94:6)を無色油状物として得た。Rf:0.26(ヘキサン-酢酸エチル=7:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.59(dd,J=7.3,1.5Hz,1H),7.47(d,J=7.6Hz,1H),7.41(td,J=7.5,1.5Hz,1H),7.29(td,J=7.3,1.3Hz,1H),6.52(dq,J=13.9,7.0Hz,1H),5.76(dq,J=13.9,1.5Hz,1H),4.72(s,2H),1.64(dd,J=6.8,1.6Hz,3H),0.45(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.3,145.1,137.5,134.7,129.7,129.3,128.2,127.0,65.4,19.1,-0.2。IR(neat)3319,3055,2961,2910,1609,1435,1248,1200,1124,1078,1034,826,777,746,696,658cm-1。MS(EI,70eV)m/z(%)206(M,0.1),191(12),173(29),166(10),165(62),164(37),163(18),150(15),149(100),148(11),147(39),145(48),135(16),131(14),105(11),91(11),75(43),61(19)。元素分析:計算値(C12H18OSi):C,69.84;H,8.79。測定値:C,69.82;H,8.81。
【0093】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(フェニル)シラン:2aの製造>
臭化フェニルマグネシウムの1.0MTHF溶液(65mL、65mmol)を、15分かけて、オキサシラシクロペンタン(7)(9.9g、60mmol)のジエチルエーテル溶液(250mL)に-78℃で加え、得られた混合物を-78℃で2時間攪拌後、室温で一晩攪拌した。得られた反応混合物を0℃のNH4Clの飽和水溶液(40mL)で急冷した水相はジエチルエーテルで抽出し(2×60mL)、有機相を合わせて水(2×75mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で濃縮した後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、無色固体の(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(フェニル)シラン:2a(13.8g、収率95%)を得た。mp:53-54℃。Rf:0.39(ヘキサン-酢酸エチル=4:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.59(d,J=7.6Hz,1H),7.54-7.41(m,4H),7.41-7.29(m,4H),4.54(s,2H),1.38-1.22(br s,1H),0.62(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.5,139.0,135.8,135.5,133.8,130.0,129.2,128.1,128.0,127.0,65.3,-1.1。元素分析:計算値(C15H18OSi):C,74.33;H,7.49。測定値:C,74.18;H,7.52。
【0094】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(4-フルオロフェニル)シラン:2bの製造>
臭化4-フルオロフェニルマグネシウムの2.0MEt2O溶液(17mL、33mmol)およびオキサシラシクロペンタン(7)(4.9g、30mmol)を用い、上記2aの製造と同様の方法で、(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(4-フルオロフェニル)シラン:2b(6.8g、収率86%)を無色油状物として得た。Rf:0.17(ヘキサン-酢酸エチル=4:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.57(d,J=7.7Hz,1H),7.51-7.41(m,4H),7.32(td,J=7.0,1.8Hz,1H),7.08-7.01(m,2H),4.54(s,2H),1.44(br s,1H),0.61(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 163.7(d,J=248.4Hz),146.5,135.8(d,J=7.6Hz),135.5,134.4(d,J=3.8Hz),130.1,128.0,127.1,115.2(d,J=19.9Hz),65.2,-0.9。元素分析:計算値(C15H17FOSi):C,69.19;H,6.58。測定値:C,69.19;H,6.58。
【0095】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-メチルフェニル)シラン:2cの製造>
臭化2-メチルフェニルマグネシウムの2.0MTHF溶液(17mL、33mmol)およびオキサシラシクロペンタン(7)(4.9g、30mmol)を用い、上記2aの製造と同様の方法で、(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-メチルフェニル)シラン:2c(7.6g、収率99%)を無色油状物として得た。Rf:0.36(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.64-7.55(m,2H),7.45-7.39(m,2H),7.35-7.30(m,2H),7.23(t,J=7.4Hz,1H),7.13(d,J=7.5Hz,1H),4.46(s,2H),2.17(s,3H),1.34(br s,1H),0.64(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.3,143.8,137.0,136.7,135.0,134.6,130.1,129.8,128.3,127.2,125.5,65.2,22.8,-0.6。元素分析:計算値(C16H20OSi):C,74.95;H,7.86。測定値:C,75.24;H,7.94。
【0096】
<(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-チエニル)シラン:2dの製造>
臭化2-チエニルマグネシウムのTHF溶液23mL(2-ブロモチオフェン(5.4g、33mmol)およびMg(0.82g、34mmol)からFrisell,C.;Lawesson,S.-O.Org.Synth.Coll.Vol.1972,5,642-644に従って調製した。)に、オキサシラシクロペンタン(7)(4.9g、30mmol)のTHF溶液(10mL)を0℃で加え、得られた混合物を室温で22時間攪拌した。得られた混合物を、ジエチルエーテルで希釈し、濾過して未反応のマグネシウムを除去した。濾液をNH4Clの飽和水溶液、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ジメチル(2-チエニル)シラン:2d(5.9g、収率79%)を無色油状物として得た。Rf:0.21(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.64(d,J=4.6Hz,1H),7.57(d,J=7.4Hz,1H),7.48(d,J=7.6Hz,1H),7.44(t,J=7.4Hz,1H),7.34-7.28(m,2H),7.20(dd,J=4.6,3.4Hz,1H),4.64(s,2H),1.47(s,1H),0.68(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.5,138.5,135.6,135.3,131.3,130.2,128.4,128.2,127.1,65.3,0.2。元素分析:計算値(C13H16OSSi):C,62.85;H,6.49。測定値:C,62.96;H,6.49。
【0097】
<[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]ジイソプロピルフェニルシラン:2eの製造>
2-(2-テトラヒドロ-2H-ピラノキシメチル)ブロモベンゼン(32g、118mmol)をTHF(118ml)に溶解し、1.6M n-BuLiヘキサン溶液(81ml、130mmol)を-78℃でゆっくり加え、得られた溶液を-78℃で4時間攪拌し、クロロ(ジイソプロピル)シラン(21g、142mmol)を加えた。室温で15時間攪拌した後、反応液を飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。無水MgSO4で乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。残さをMeOH(178ml)に溶解し、TsOH・H2O(1.1g、6.0mmol)を加え、18時間室温で攪拌した。濃縮後、減圧蒸留によって、オキサシラシクロペンタン(24.3g、93%)を無色透明液体として得た。
【0098】
得られたオキサシラシクロペンタン(11.0g、50.0mmol)をTHF(125ml)に溶解し、0℃で臭化フェニルマグネシウムの1.07MTHF溶液(51ml、55mmol)をゆっくり加えた。滴下終了後、室温で16時間攪拌した。反応液をジエチルエーテルで希釈し、飽和NH4Cl水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥した。溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]ジイソプロピルフェニルシラン(13.5g、90%)を無色結晶として得た。
【0099】
〔実施例3:本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤1aないし1iを用いた有機化合物の製造〕
本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤1aないし1iを用いて、有機ハロゲン化物I-R10とクロスカップリング反応を起こさせ種々の有機化合物を製造した。用いた含ケイ素クロスカップリング反応剤のR1、有機ハロゲン化物のR10、反応時間および収率を表1に示す。なお、表1中の生成物の番号は以下に示す物質の番号と対応する。
【0100】
【表1】
JP0004934823B2_000014t.gif
DMSO(2.5mL)中の、K2CO3(304mg、2.2mmol)、トリ-2-フリルホスフィン(4.6mg、20μmol)およびPdCl2(1.8mg、10μmol)の混合物に、含ケイ素クロスカップリング反応剤1aないし1iのいずれか(1.1mmol)および有機ハロゲン化物(1.0mmol)を連続的に加え、得られた混合物を35℃で攪拌した。表1に示すそれぞれの時間後、得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で濃縮後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し表1にそれぞれ示す収率で対応するクロスカップリング生成物である有機化合物p1ないしp24を得た。以下に、得られた有機化合物p1ないしp22およびp24の化学式および分析データを示す。
【0101】
【化13】
JP0004934823B2_000015t.gif

【0102】
【化14】
JP0004934823B2_000016t.gif
<(E)-1-(4-シアノフェニル)-1-オクテン:p1>
無色油状。Rf:0.31(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.55(d,J=8.4Hz,2H),7.39(d,J=8.4Hz,2H),6.38-6.35(m,2H),2.24-2.20(m,2H),1.50-1.42(m,2H),1.40-1.25(m,6H),0.92-0.86(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 142.4,135.5,132.2,128.3,126.3,119.1,109.8,33.1,31.6,28.9,28.8,22.5,14.0。元素分析:計算値(C15H19N):C,84.46;H,8.98。測定値:84.37;H,8.96。
【0103】
<(E)-4-(1-オクテニル)安息香酸エチル:p2>
無色油状。Rf:0.40(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.96(d,J=7.0Hz,2H),7.38(d,J=7.0Hz,2H),6.45-6.32(m,2H),4.37(q,J=7.2Hz,2H),2.23(q,J=7.2Hz,2H),1.53-1.28(m,11H),0.94-0.86(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.5,142.4,134.2,129.8,129.0,128.5,125.7,60.8,33.2,31.7,29.1,28.9,22.6,14.3,14.1。元素分析:計算値(C17H24O2):C,78.42;H,9.29。測定値:C,78.45;H,9.41。
【0104】
<(E)-1-(4-アセチルフェニル)-1-オクテン:p3>
無色油状。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.88(d,J=8.4Hz,2H),7.39(d,J=8.4Hz,2H),6.43-6.33(m,2H),2.57(s,3H),2.23(q,J=6.4Hz,2H),1.52-1.42(m,2H),1.40-1.25(m,6H),0.92-0.86(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 197.5,142.6,135.3,134.5,128.8,128.7,125.8,33.1,31.7,29.1,28.9,26.5,22.6,14.0。元素分析:計算値(C16H22O):C,83.43;H,9.63。測定値:C,83.72;H,9.74。
【0105】
<(E)-1-(4-ホルミルフェニル)-1-オクテン:p4>
無色油状。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=30:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 9.96(s,1H),7.80(d,J=8.4Hz,2H),7.48(d,J=8.4Hz,2H),6.64-6.42(m,2H),2.28-2.22(m,2H),1.53-1.44(m,2H),1.40-1.25(m,6H),0.92-0.86(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 191.7,144.1,135.4,134.8,130.1,128.9,126.3,33.2,31.7,29.0,28.9,22.6,14.1。元素分析:計算値(C15H20O):C,83.28;H,9.32。測定値:C,83.40;H,9.37。
【0106】
<(E)-1-(4-ニトロフェニル)-1-オクテン:p5>
無色油状。Rf:0.17(ヘキサン-酢酸エチル=30:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.14(d,J=8.8Hz,2H),7.44(d,J=8.8Hz,2H),6.46-6.42(m,2H),2.30-2.20(m,2H),1.54-1.42(m,2H),1.40-1.24(m,6H),0.93-0.87(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 146.3,144.4,136.7,128.0,126.3,123.9,33.2,31.6,28.91,28.87,22.6,14.0。HRMS(FAB+):計算値(C14H20NO2):[M+H]+,234.1494。測定値:m/z234.1497。
【0107】
<(E)-1-(4-クロロフェニル)-1-オクテン:p6>
無色油状。Rf:0.60(ヘキサン)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.26(s,4H),6.33(dt,J=15.5,1.2Hz,1H),6.21(dt,J=15.5,6.8Hz,1H),2.20(q,J=6.8Hz,2H),1.52-1.42(m,2H),1.40-1.23(m,6H),0.94-0.88(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 136.4,132.2,132.0,128.54,128.49,127.1,33.0,31.7,29.2,28.9,22.6,14.1。HRMS(EI):計算値(C14H19Cl):M+,222.1175。測定値:m/z222.1172。
【0108】
<(E)-1-(4-メトキシフェニル)-1-オクテン:p7>
無色油状。Rf:0.36(ヘキサン-酢酸エチル=50:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.28(d,J=8.7Hz,2H),6.84(d,J=8.7Hz,2H),6.33(d,J=15.7Hz,1H),6.09(dt,J=15.7,7.0Hz,1H),3.81(s,3H),2.19(q,J=7.5Hz,2H),1.50-1.42(m,2H),1.40-1.26(m,6H),0.93-0.88(m,3H);13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 158.6,130.8,129.1,129.0,126.9,113.9,55.2,33.0,31.8,29.5,28.9,22.6,14.1。元素分析:計算値(C15H22O):C,82.52;H,10.16。測定値:C,82.52;H,9.98。
【0109】
<(E)-1-(3-(tert-ブチルジメチルシロキシメチル)フェニル)-1-オクテン:p8>
無色油状。Rf:0.35(ヘキサン-酢酸エチル=50:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.30(s,1H),7.25-7.13(m,3H),6.37(d,J=15.7Hz,1H),6.22(dt,J=15.7,6.9Hz,1H),4.72(s,2H),2.20(q,J=7.7Hz,2H),1.50-1.42(m,2H),1.38-1.26(m,6H),0.95(s,9H),0.39(t,J=6.9Hz,3H),0.10(s,6H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 141.5,137.8,131.2,129.7,128.3,124.49,124.47,123.5,64.9,33.0,31.7,29.3,28.9,26.0,22.6,18.4,14.1,-5.2。元素分析:計算値(C21H36OSi):C,75.84;H,10.91。測定値:C,75.97;H,11.13。
【0110】
<(E)-1-(3-(ヒドロキシメチル)フェニル)-1-オクテン:p9>
無色油状。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.36(s,1H),7.32-7.27(m,2H),7.21-7.18(m,1H),6.38(d,J=15.6Hz,1H),6.26(dt,J=16.0,6.8Hz,1H),4.68(s,2H),2.21(q,J=7.2Hz,2H),1.51-1.42(m,2H),1.40-1.26(m,6H),0.93-0.87(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 141.0,138.3,131.7,129.4,128.7,125.35,125.32,124.4,65.4,33.0,31.7,29.3,28.9,22.6,14.1。元素分析:計算値(C15H22O):C,82.52;H,10.16。測定値:C,82.63;H,10.40。
【0111】
<(E)-1-(2-メチルフェニル)-1-オクテン:p10>
無色油状。Rf:0.71(ヘキサン)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.41(d,J=7.2Hz,1H),7.19-7.10(m,3H),6.57(d,J=15.6Hz,1H),6.10(dt,J=15.6,6.8Hz,1H),2.34(s,3H),2.23(q,J=7.2Hz,2H),1.54-1.42(m,2H),1.40-1.26(m,6H),0.92-0.88(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 137.1,134.8,132.6,130.1,127.5,126.7,126.0,125.4,33.3,31.7,29.4,28.9,22.6,19.8,14.1。元素分析:計算値(C15H22):C,89.04;H,10.96。測定値:C,88.97;H,11.18。
【0112】
<(E)-1-(3-(ヒドロキシメチル)フェニル)-1-オクテン:p11>
無色油状。Rf:0.50(ヘキサン)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.13(d,J=7.6Hz,1H),7.84(d,J=7.2Hz,1H),7.74(d,J=8.0Hz,1H),7.58-7.40(m,4H),7.11(d,J=15.2Hz,1H),6.24(dt,J=16.0,7.2Hz,1H),2.33(q,J=7.6Hz,2H),1.60-1.52(m,2H),1.46-1.32(m,6H),0.94-0.88(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 135.8,134.6,133.6,131.1,128.4,127.1,126.8,125.74,125.65,125.58,124.0,123.5,33.5,31.8,29.4,29.0,22.7,14.1。元素分析:計算値(C18H22):C,90.70;H,9.30。測定値:C,90.61;H,9.32。
【0113】
<(E)-1-(3-ピリジル)-1-オクテン:p12>
無色油状。Rf:0.35(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.56(s,1H),8.42(d,J=3.7Hz,1H),7.65(d,J=7.9Hz,1H),7.22(dd,J=7.8,4.8Hz,1H),6.38-6.26(m,2H),2.26-2.20(m,2H),1.52-1.43(m,2H),1.40-1.26(m,6H),0.92-0.86(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 147.8,147.7,133.8,133.5,132.5,126.1,123.4,33.1,31.7,29.1,28.9,22.6,14.1。元素分析:計算値(C13H19N):C,82.48;H,10.12。測定値:C,82.20;H,10.06。
【0114】
<(E)-1-(2-チエニル)-1-オクテン:p13>
無色油状。Rf:0.70(ヘキサン)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.08(d,J=5.2Hz,1H),6.95-6.91(m,1H),6.86(d,J=3.2Hz,1H),6.50(d,J=15.6Hz,1H),6.07(dt,J=15.6,6.8Hz,1H),2.17(q,J=7.2Hz,2H),1.52-1.41(m,2H),1.40-1.24(m,6H),0.94-0.86(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 131.3,127.2,124.1,123.0,122.9,108.2,32.9,31.7,29.2,28.9,22.6,14.1。HRMS(EI):計算値(C12H18S):M,194.1129。測定値:m/z194.1126。
【0115】
<(E)-4-(5-シアノ-1-ペンテニル)安息香酸エチル:p14>
無色油状。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.98(d,J=6.4Hz,2H),7.39(d,J=6.8Hz,2H),6.50(d,J=16.0Hz,1H),6.31-6.22(m,1H),4.36(q,J=7.2Hz,2H),2.44-2.38(m,4H),1.86(m,4H),1.39(t,J=7.2Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.4,141.4,131.2,130.4,129.9,129.1,125.9,119.4,60.9,31.7,24.8,16.5,14.3。HRMS(EI):計算値(C15H17NO2):M,243.1259。測定値:m/z243.1259。
【0116】
<(E)-4-(2-フェニルエテニル)安息香酸エチル:p15>
無色固体。mp106.0-106.5℃。Rf:0.30(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.03(d,J=8.4Hz,2H),7.58-7.52(m,4H),7.41-7.36(m,2H),7.32-7.27(m,1H),7.22(d,J=16.4Hz,1H),7.13(d,J=16.4Hz,1H),4.39(q,J=7.1Hz,2H),1.41(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.4,141.7,136.7,131.1,130.0,129.2,128.8,128.2,127.6,126.8,126.3,60.9,14.4。元素分析:計算値(C17H16O2):C,80.93;H,6.39。測定値:C,81.18;H,6.27。
【0117】
<4-(プロペン-2-イル)安息香酸エチル:p16>
無色油状。Rf:0.40(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.00(dd,J=8.0Hz,2H),7.52(d,J=8.2Hz,2H),5.47(dq,J=1.3,0.7Hz,1H),5.19(qd,J=1.5,1.3Hz,1H),4.38(q,J=7.1Hz,2H),2.17(dd,J=1.5,0.7Hz,3H),1.40(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.7,145.8,142.7,129.8,129.5,125.6,114.7,61.1,21.9,14.6。HRMS(FAB+):計算値(C12H14O2):M+,190.0994。測定値:m/z190.0993。
【0118】
<4-(1-フェニルエテニル)安息香酸エチル:p17>
無色固体。mp46.7-47.3℃。Rf:0.33(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.02(d,J=8.6Hz,2H),7.41(d,J=8.6Hz,2H),7.36-7.30(m,5H),5.55(d,J=1.1Hz,1H),5.54(d,J=1.1Hz,1H),4.39(q,J=7.1Hz,2H),1.41(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 164.4,149.3,145.9,140.8,129.7,129.5,128.3,128.2,128.0,115.8,60.9,14.3。元素分析:計算値(C17H16O2):C,80.93;H,6.39。測定値:C,81.01;H,6.47。
【0119】
<1-(4-メトキシフェニル)-1-フェニルエテン:p18>
無色固体。mp75.3-76.8℃。Rf:0.39(ヘキサン-酢酸エチル=15:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.38-7.31(m,5H),7.28(d,J=8.8Hz,2H),6.87(d,J=8.8Hz,2H),5.41(d,J=1.4Hz,1H),5.36(d,J=1.4Hz,1H),3.83(s,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 159.6,149.7,142.0,134.2,129.6,128.6,128.4,127.9,113.7,113.2,55.5。元素分析:計算値(C15H14O):C,85.68;H,6.71。測定値:C,85.67;H,6.73。
【0120】
<(E)-4-(4-オクテン-4-イル)安息香酸エチル:p19>
無色油状。Rf:0.40(ヘキサン-酢酸エチル=30:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.97(d,J=8.6Hz,2H),7.39(d,J=8.8Hz,2H),5.76(t,J=7.3Hz,1H),4.37(q,J=7.1Hz,2H),2.49(t,J=7.5Hz,2H),2.19(q,J=7.3Hz,2H),1.53-1.42(m,2H),1.41-1.32(m,5H),0.97(t,J=7.3Hz,3H),0.88(t,J=7.3Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.6,148.0,139.4,131.1,129.5,128.4,126.2,60.8,31.4,30.7,22.9,21.8,14.4,14.0,13.9。元素分析:計算値(C17H24O2):C,78.42;H,9.29。測定値:C,78.28;H,9.14。
【0121】
<4-(2-メチルプロペニル)安息香酸エチル:p20>
無色油状。Rf:0.38(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.98(d,J=8.3Hz,2H),7.28(d,J=8.3Hz,2H),6.29(s,1H),4.37(q,J=7.1Hz,2H),1.93(s,3H),1.88(s,3H),1.39(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.6,143.3,137.9,129.3,128.5,127.7,124.6,60.8,27.1,19.6,14.3。元素分析:計算値(C13H16O2):C,76.44;H,7.90。測定値:C,76.24;H,7.99。
【0122】
<(5E,7E)-テトラデカ-5,7-ジエンニトリル:p21>
無色油状。Rf:0.42(ヘキサン-酢酸エチル=5:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 6.11-5.94(m,2H),5.63(dt,J=14.6,7.0Hz,1H),5.46(dt,J=14.8,7.0Hz,1H),2.34(t,J=7.1Hz,2H),2.22(q,J=7.1Hz,2H),2.06(dt,J=7.1,7.0Hz,2H),1.80-1.71(m,2H),1.45-1.20(m,8H),0.88(t,J=7.0Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 134.1,132.6,129.6,128.5,119.6,32.6,31.7,31.2,29.2,28.9,25.0,22.6,16.3,14.1。元素分析:計算値(C14H23N):C,81.89;H,11.29。測定値:C,82.18;H,11.56。
【0123】
<(5E,7Z)-テトラデカ-5,7-ジエンニトリル:p22>
無色油状。Rf:0.36(ヘキサン-酢酸エチル=7:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 6.37(dd,J=15.1,10.9Hz,1H),5.94(t,J=10.9Hz,1H),5.55(dt,J=15.0,7.6Hz,1H),5.37(dt,J=10.9,7.6Hz,1H),2.35(t,J=7.1Hz,2H),2.27(m,2H),2.16(m,2H),1.77(m,2H),1.41-1.21(m,8H),0.88(t,J=6.9Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 131.7,130.8,127.84,127.81,119.6,31.7,31.5,29.6,28.9,27.7,25.0,22.6,16.4,14.1。元素分析:計算値(C14H23N):C,81.89;H,11.29。測定値:C,82.19;H,11.18。
【0124】
<4-(プロペン-1-イル)安息香酸エチル[(Z):(E)=94:6]:p24>
無色油状。Rf:0.33(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.01(dd,J=8.4Hz,2H),7.35(d,J=8.2Hz,2H),6.46(dd,J=11.8,1.8Hz,1H),5.90(dq,J=11.8,7.2Hz,1H),4.38(q,J=7.2Hz,2H),1.91(dd,J=7.2,1.8Hz,3H),1.40(t,J=7.2Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.5,142.2,129.4,129.1,129.0,128.7,128.3,60.8,14.8,14.3。IR(neat)2980,1715,1609,1367,1310,1277,1178,1105,1020,866,773,733,721,700cm-1。MS(EI,70eV)m/z(%)190(M,50),162(12),146(13),145(100),117(20),115(25),91(10)。元素分析:計算値(C12H14O2):C,75.76;H,7.42。測定値:C,75.90;H,7.44。
【0125】
〔実施例4:グラムスケールのクロスカップリング反応〕
DMSO(75mL)中の、K2CO3(9.1g、66mmol)、トリ-2-フリルホスフィン(138mg、0.60mmol)およびPdCl2(54mg、0.30mmol)の混合物に、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤1a(9.1g、33mmol)、次いで、4-ヨード安息香酸エチル(8.3g、30mmol)を加え、得られた混合物を35℃で21時間攪拌した。得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で濃縮後、減圧下(1.0mmHg)で蒸留し環状のシリルエーテル(上記一般式(11)に相当)(3.1g、62%)を得た。残渣をさらに、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(E)-1-(4-エトキシカルボニルフェニル)-1-オクテン(7.6g、97%)を得た。
【0126】
副生成物として得られた環状のシリルエーテル(11)を、水素化アルミニウムリチウム等の還元剤の存在下、塩化アセチルと反応させて、ジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12)を得た(収率67%)。得られたジメチル(2-(アセトキシメチル)フェニル)シラン(12)を、白金触媒存在下で、1-オクチンと反応させることにより、含ケイ素クロスカップリング反応剤1aを再生することができた(収率85%)。
【0127】
〔実施例5:本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2aないし2dを用いた有機化合物の製造方法〕
本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2aないし2dを用いて、有機ハロゲン化物I-R10とクロスカップリング反応を起こさせ種々の有機化合物を製造した。用いた含ケイ素クロスカップリング反応剤のR1、有機ハロゲン化物I-R10のR10、反応時間および収率を表2に示す。なお、表2中の生成物の番号は以下に示す物質の番号と対応する。
【0128】
【表2】
JP0004934823B2_000017t.gif
DMSO(4.0mL)中の、アリールシラン(0.81mmol)、K2CO3(194mg、1.4mmol)、N-(2-ジフェニルホスフィノベンジリデン)シクロヘキシルアミン(10.4mg、28μmol)およびPdCl2(3.7mg、21μmol)の混合物に、有機ハロゲン化物(0.7mmol)および水(25mg、1.4mmol)を連続的に加え、得られた混合物を50℃で攪拌した。表2に示すそれぞれの時間後、得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。減圧下で濃縮後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し表2にそれぞれ示す収率で対応するクロスカップリング生成物である有機化合物p31ないしp50を得た。以下に、得られたそれぞれの有機化合物p36、p37およびp38の化学式および分析データを示す。
【0129】
【化15】
JP0004934823B2_000018t.gif
<4’-フルオロビフェニル-4-カルボン酸エチル:p36>
無色固体。mp64.6-65.4℃。Rf:0.33(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.11(d,J=8.5Hz,2H),7.64-7.55(m,4H),7.16(t,J=8.8Hz,2H),4.40(q,J=7.1Hz,2H),1.42(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.4,162.9(d,J=247.7Hz),144.5,136.2,130.1,129.2,128.9(d,J=8.4Hz),126.8,115.8(d,J=22.2Hz),61.0,14.3。元素分析:計算値(C15H13FO2):C,73.76;H,5.36。測定値:C,73.49;H,5.34。
【0130】
<4-エトキシカルボニル-2’-メチルビフェニル:p37>
無色油状。Rf:0.19(ヘキサン-酢酸エチル=20:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.10(d,J=8.3Hz,2H),7.40(d,J=8.3Hz,2H),7.31-7.21(m,4H),4.41(q,J=7.1Hz,2H),2.27(s,3H),1.42(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.6,146.6,140.9,135.2,130.5,129.5,129.4,129.2,128.9,127.8,125.9,61.0,20.4,14.4。元素分析:計算値(C16H16O2):C,79.97;H,6.71。測定値:C,79.83;H,6.76。
【0131】
<2-(4-エトキシカルボニルフェニル)チオフェン:p38>
無色固体。mp66.3-67.3℃。Rf:0.36(ヘキサン-酢酸エチル=10:1)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.05(d,J=8.6Hz,2H),7.67(d,J=8.6Hz,2H),7.42(d,J=3.7Hz,1H),7.36(d,J=5.1Hz,1H),7.12(dd,J=5.1,3.7Hz,1H),4.39(q,J=7.1Hz,2H),1.41(t,J=7.1Hz,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 166.3,143.1,138.5,130.2,129.1,128.3,126.2,125.5,124.4,61.0,14.3。元素分析:計算値(C13H12O2S):C,67.21;H,5.21。測定値:C,67.01;H,5.25。
【0132】
〔実施例6:本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2aを用いた有機化合物の製造方法〕
以下の反応式(iv)に示すように、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2aを用い、2aと有機ハロゲン化物Br-R10とのクロスカップリング反応を起こさせ種々の有機化合物を製造した。有機ハロゲン化物Br-R10、用いた2aの量(mmol)、反応時間(h)、得られたR1-R10の収率、副生成物として生じるオキサシラシクロペンタン(反応式(iv)中(11’))の収率を表3および表4に示す。
【0133】
【化16】
JP0004934823B2_000019t.gif
【表3】
JP0004934823B2_000020t.gif
【表4】
JP0004934823B2_000021t.gif
本実施例においては、DMF(0.8mL)とTHF(2.2mL)との混合物を溶媒として用いた。この溶媒中の、含ケイ素クロスカップリング反応剤2a、K2CO3(2.5mmol)、[(η3-C3H5)PdCl]2(有機ハロゲン化物に対して0.5mol%)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,6’-イソプロポキシビフェニル(リガンドL、有機ハロゲン化物に対して2.1mol%)、CuI(有機ハロゲン化物に対して3mol%)の混合物に、有機ハロゲン化物Br-R10(1.0mmol)を連続的に加え、得られた混合物を75℃で攪拌した。表3および表4に示すそれぞれの時間後、得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。エバポレータで濃縮後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し表3および表4にそれぞれ示す収率で対応するクロスカップリング生成物である有機化合物p51ないしp70を得た。
【0134】
〔実施例7:本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2aを用いた有機化合物の製造方法〕
本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2aを用いて、以下の反応式(v)に示すように、有機ハロゲン化物4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ブロモベンゼン(v1)とクロスカップリング反応を起こさせ有機化合物p71を製造した。
【0135】
【化17】
JP0004934823B2_000022t.gif
本実施例においては、まず、THF(1.1mL)中の含ケイ素クロスカップリング反応剤2a(1.5mmol)に、-78℃で、BuLi(2a 1molに対して1.1molの割合)を加えて攪拌した後、反応液を室温まで上昇させた。これにより、2aをリチウム塩とした。
【0136】
次に、この反応溶液にDMF(0.4mL)を加えて、DMFとTHFとの混合物を溶媒として用いた。この溶媒中の、含ケイ素クロスカップリング反応剤2aのリチウム塩、[(η3-アリル)PdCl]2(有機ハロゲン化物に対して1.5mol%)、実施例6と同様のリガンド(有機ハロゲン化物に対して6.3mol%)、CuI(有機ハロゲン化物に対して3.0mol%)の混合物に、有機ハロゲン化物4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ブロモベンゼン(v1)(1.0mmol)を連続的に加え、得られた混合物を75℃で攪拌した。11時間後、得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。エバポレータで濃縮後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し有機化合物p71を得た(収率81%)。
【0137】
〔実施例8:グラムスケールのクロスカップリング反応〕
本実施例においては、DMFとTHFとの混合物(DMF:THF(容積比)=1:2)を溶媒として用いた。THFとDMFとの混合物(30mL)中に、K2CO3(50mmol)、[(η3-アリル)PdCl]2(3-ブロモトルエンに対して0.5mol%)、実施例6と同様のリガンド(3-ブロモトルエンに対して2.0mol%)、およびCuI(3-ブロモトルエンに対して3.0mol%)を加えた反応混合液に、本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2a(26mmol)、次いで、3-ブロモトルエン(20mmol)を加え、得られた混合物を75℃で14時間攪拌した。得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。エバポレータで濃縮後、減圧下(1.0mmHg)で蒸留し、純度約90%の環状シリルエーテル(上記一般式(11)に相当)(収率91%)を得た。残渣をさらに、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、3-メチルビフェニル(収率87%)を得た。
【0138】
副生成物として得られた環状のシリルエーテル(上記一般式(11)に相当)を、THF-エタノール混合溶媒中、臭化フェニルマグネシウムと-78℃で反応させたのち室温まで上昇させ、含ケイ素クロスカップリング反応剤1aを再生することができた(収率95%)。
【0139】
〔実施例9:本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2eを用いた有機化合物の製造方法〕
本発明の含ケイ素クロスカップリング反応剤2eを用いて、有機ハロゲン化物X-R10とクロスカップリング反応を起こさせ種々の有機化合物を製造した。反応式を以下に示す。また、有機ハロゲン化物X-R10、用いた2eの量(mmol)、反応時間(h)、得られたR1-R10の収率、副生成物として生じるオキサシラシクロペンタン(反応式(iv)中(11’’))の収率を表5に示す。
【0140】
【化18】
JP0004934823B2_000023t.gif

【0141】
【表5】
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本実施例においては、DMF(0.8mL)とTHF(2.2mL)との混合物を溶媒として用いた。この溶媒中の、含ケイ素クロスカップリング反応剤2e、K2CO3(2.5mmol)、[(η3-C3H5)PdCl]2(有機ハロゲン化物に対して0.5mol%)、実施例6と同様のリガンド(有機ハロゲン化物に対して2.1mol%)、CuI(有機ハロゲン化物に対して3mol%)の混合物に、有機ハロゲン化物X-R10(1.0mmol)を連続的に加え、得られた混合物を75℃で攪拌した。表5に示すそれぞれの時間後、得られた混合物をジエチルエーテルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。エバポレータで濃縮後、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し表5にそれぞれ示す収率で対応するクロスカップリング生成物である有機化合物p81ないしp87を得た。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明にかかる含ケイ素クロスカップリング反応剤を用いることにより、所望の有機基間にsp2-sp2炭素結合やsp2炭素-sp炭素結合を形成することができるクロスカップリング反応を、穏和な条件下で行うことができ、且つ、含ケイ素クロスカップリング反応剤が非常に安定性に優れる。それゆえ、クロスカップリング反応を非常に効率的に行うことができ、高い収率でクロスカップリング生成物である有機化合物を得ることができ、非常に有用である。また、ボロン系の含ケイ素クロスカップリング反応剤と比べても、再利用可能な点で優れており、コスト面でも優位である。
【0143】
このため、非常に広範な有機化合物、とりわけ、医薬中間体や液晶材料や分子エレクトロニクス素子の鍵化合物であるパイ共役電子系の構築等への応用が期待できる。それゆえ、本発明は、医薬品製造業、工業薬品製造業、工業用材料製造業等の各種化学工業、さらには医療産業、エレクトロニクス産業等に利用可能であり、しかも非常に有用である。