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Specification :(In Japanese)溶液中粒子成分の連続回収方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5733691
Publication number P2010-082530A
Date of registration Apr 24, 2015
Date of issue Jun 10, 2015
Date of publication of application Apr 15, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)溶液中粒子成分の連続回収方法
IPC (International Patent Classification) B01D  43/00        (2006.01)
B01D  11/04        (2006.01)
FI (File Index) B01D 43/00 Z
B01D 11/04 A
Number of claims or invention 2
Total pages 10
Application Number P2008-253778
Date of filing Sep 30, 2008
Date of request for substantive examination Jun 16, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】長縄 弘親
【氏名】柳瀬 信之
【氏名】永野 哲志
Representative (In Japanese)【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
Examiner (In Japanese)【審査官】大島 彰公
Document or reference (In Japanese)特開昭53-144467(JP,A)
米国特許第06500232(US,B1)
特許第178651(JP,C2)
特開平01-123604(JP,A)
米国特許第03856668(US,A)
Field of search B01D 11/00-12/00、35/06、43/00、
57/00-57/02、
B03C 1/025- 1/034
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
エマルションフローが発生するカラム部と、前記カラム部の上方及び下方に設置した相分離部を備えたエマルションフロー装置を用いて、溶液中粒子成分を連続回収する方法であって、
粒子成分を含む水溶液である水相を、前記カラム部内に噴出させ、前記水相の噴出と同時に、水と混じり合わない溶媒相を微細化した液滴を、前記水相の噴出と向い合うように前記カラム部内に噴出させることによって、前記カラム部内に前記水相と前記溶媒相の混合相から成るエマルションフローを発生させる段階、
前記エマルションフローが前記カラム部から前記相分離部に到達した際に前記エマルションフローの状態を解き、前記水相と前記溶媒相を相分離させる段階、及び
前記2つの段階を経ることで、前記水相と前記溶媒相の成す液液界面に凝集した前記水溶液中の粒子成分を、回収する段階から成ることを特徴とする溶液中粒子成分の連続回収方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、相分離した前記溶媒相を循環させながら、前記水相の噴出と向い合うように前記カラム内に噴出させることによって、前記水溶液中の粒子成分を回収することを特徴とする溶液中粒子成分の連続回収方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、目的物質である粒子成分が存在する水溶液(水相)と水と混じり合わない溶媒(溶媒相)とが成す液液界面に、水溶液中の粒子成分が凝集する現象を利用して、フィルタや遠心分離機を用いることなく、溶液中の粒子成分を連続して回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶液中の粒子成分の捕集には、通常、フィルタろ過法が用いられる。フィルタろ過法は簡単な操作で簡便に行うことができるというメリットはあるが、フィルタが目詰まりを起こすため、連続的に溶液を処理するには不向きである。また、フィルタは、通常、消耗品であることから、コスト面や廃棄物の発生という問題点もある。さらには、溶存成分の一部がフィルタに吸着されてしまう場合もあるため、粒子成分のみを分別的に回収したいというニーズにこたえられないことがある。
【0003】
フィルタろ過法に代わる粒子成分の捕集法として、最近では、フィルタレスの手法である連続遠心分離法がよく利用されている(例えば、特許文献1を参照)。連続遠心分離法では、水溶液を連続的に処理して粒子成分を捕集することができる。ただし、連続遠心分離法を利用した装置は安価ではなく、処理時間が長くランニングコストも大きい、コンパクト・軽量ではない、処理能力が大きくないなどの欠点がある。

【特許文献1】特開平09-085120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遠心分離によるフィルタレス粒子成分回収法(連続遠心分離法)を利用した装置は、連続的な粒子成分の回収を可能にするものの、単位時間当りの処理量(処理能力)が大きくないうえに、長時間の遠心力を必要とすることからランニングコストが大きく、装置そのものがコンパクト・軽量ではない。すなわち、費用対効果やサイズ・重さの面から、その利用が限定されてしまう。また、粒子成分は回収できても、溶存成分を回収することはできない。しかし、溶液中の粒子成分とともに溶存成分をも同時に回収・除去したいという高いニーズが存在する。例えば、粒子成分、溶存成分を区別することなく、すべての有害成分を同時除去したい場合である。一方、溶存成分と粒子成分とを分別的に同時回収したいというニーズも存在する。例えば、精製を目的とした成分分離の観点からである。2種以上の手法を組み合わせることなく、ただ1つの手法で溶存成分と粒子成分とを分別的に同時回収する方法は、まだ知られていない。
【0005】
溶液中の粒子成分を回収する技術は、様々な産業において高いニーズを持つ。1つには、有害物質としての粒子成分を除去したいというニーズである。粒子成分には人体、生物に有害なものがあり、そのような粒子成分は効率的に回収・除去する必要がある。また、粒子成分そのものが無害であっても、有害物質を吸着することで有害化するケースもある。一方、生成物としての粒子成分を回収したいというニーズもある。金属やプラスチックなどの微粒子は、各種デバイスの材料として重要であるが、溶液中での反応を利用して製造されることが多いため、生成した微粒子を溶液中から効率的に回収する技術が必要となる。さらには、溶液中の微量成分の分析法の1つである共沈法への適用が考えられる。共沈法とは、溶液中に含まれる微量な目的成分を沈澱物として分離・回収する方法だが、沈殿物の十分な沈降には長い時間(例えば、数日)を要する。そこで、沈降を待つことなく沈殿物である粒子成分を迅速に回収したいというニーズがある。
【0006】
本発明の目的は、液液界面への粒子成分の凝集現象を利用することで、フィルタや遠心分離機を用いることなく、溶液中の粒子成分を連続して迅速に回収する方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、水溶液中に浮遊する粒子成分を回収すると同時に、水溶液中に溶存している成分(例えば、金属イオン)を溶媒抽出(液液抽出)し、回収する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点に係る溶液中粒子成分の連続回収方法は、目的とする粒子成分が浮遊する水溶液(水相)と水と混じり合わない溶媒(溶媒相)の成す液液界面に、水溶液中の粒子成分が凝集する現象を利用して、水溶液中の粒子成分をフィルタレスで連続して回収することを特徴とする。この場合、液液界面への粒子成分の凝集を促進させるため、水相と溶媒相を混合して乳濁させた状態(エマルション)とすることが好ましい。
【0009】
本発明の他の観点に係る溶液中粒子成分の連続回収方法は、水相中の粒子成分が液液界面に凝集する凝集現象並びに水相中の溶存成分が液液界面を通じて溶媒相に抽出される液液抽出現象を利用して、水相中の粒子成分と溶存成分の両方を同時回収することを特徴とする。なお、液液抽出と併用することで溶存金属イオンなどを同時回収する場合には、抽出剤と呼ばれる有機配位子を溶媒に添加することがある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る方法を用いた装置は、従来の連続遠心分離法による装置と比べて、格段に処理能力が大きく、ランニングコスト、イニシャルコスト、メンテナンスコストは逆に大幅に小さく、尚且つコンパクトである。よって、様々なプラントでの利用が期待できる。また、本発明の方法は、粒子成分のみならず、液液抽出の手法を併用することで、必要に応じて、溶存成分をも同時に回収できるという従来方法に見られない顕著な効果を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る溶液中粒子成分の連続回収方法について、以下図面を参照して詳細に説明する。初めに、図1及び図2を参照する。図1は、本発明の原理であるところの、液液界面への粒子成分の凝集現象の一例を示している。また、図2は、本発明の溶液中粒子成分の連続回収方法を実施するための具体的装置の一例を示している。
【0012】
図1を参照する。試験管に粒子成分であるところの酸化鉄Fe2O3を多量に含む懸濁水溶液を用意し(図1(a)参照)、そこにイソオクタンを静かに添加し(図1(b)参照)、10秒間手で振とうした後、1分間静置した(図1(c)参照)。この一連の操作によって、液液界面に酸化鉄Fe2O3が凝集し、懸濁していた水溶液が浄化された。このとき、水相と溶媒相を混合して乳濁させた状態(エマルション)にすることにより、液液界面への粒子成分の凝集を促進させることができる。
【0013】
次に、図2に基づいて、本発明に係る溶液中粒子成分の連続回収方法について具体的に説明する。図2に示されたエマルションフロー装置10は、水相を噴出させる第1ヘッド部11、溶媒相を噴出させる第2ヘッド部12、エマルションフローが発生するカラム部13、カラム部の上方及び下方に設置した相分離部(上方相分離部14及び下方相分離部15)から成る装置本体と送液ポンプ16(2連式1台もしくは単式2台)によって構成される。なお、ヘッド部(11,12)は、必ずしも液相(水相、溶媒相、あるいは乳濁混合相)と接触している必要はない。このエマルションフロー装置10には、リザーバー20の水試料が導管21を介して送られてくるようになっている。この第1ヘッド部11は、両端が開いた筒、又はその一端を1μmから5mmのメッシュあるいは孔を有するシートで覆った筒、又は一端の閉じた筒の回りあるいはその閉じた部分あるいは回りと閉じた部分の両方に直径1μm から5mmの適当数の孔をあけた構造あるいはその孔をあけた筒のまわりをさらに1μmから1mmのメッシュあるいは孔を有するシートで覆った構造、もしくは、10μmから1mmの孔径を持つ多孔体(例えば、焼結ガラス)を筒に接着した構造を持つ。また、第2ヘッド部12は、第1ヘッド部11の構造と同様な構造を持つが、第2ヘッド部12の持つ孔あるいはメッシュの大きさは、第1ヘッド部11の持つ孔あるいはメッシュの大きさと異なっていても良い。上方相分離部14および下方相分離部15では、エマルションフローが通過する部分の急激な体積増加を利用して相分離を行うが、必ずしもカラム13よりも径の大きい容器である必要はなく、カラム部13に挿入された、カラム部13よりも体積の小さな、口の窄まった容器であっても良い。
【0014】
次に、図2の装置の動作について説明する。粒子成分を含む水試料のリザーバー20とエマルションフロー装置10とを結合する導管21に設けられた送液ポンプ16により、リザーバー20からの水試料を、エマルションフロー装置10の第1ヘッド部11である筒を通して溶媒相中に向かって噴出させる。それと同時に、エマルションフロー装置10の第2ヘッド部12である筒を通して水相の流れに向い合うように、溶媒相を微細化した液滴を噴出させる。これにより、エマルションフロー装置10のカラム部13には、水相と溶媒相との混合相(乳濁混合相)からなる流れ(エマルションフローと称する)が発生する。その乳濁混合相がエマルションフロー装置10の相分離部(14,15)に到達すると、エマルションフローの状態が解かれて水相と溶媒相に相分離する。上方相分離部14には溶媒相が集合し、下方相分離部15には水相が集合する。上方相分離部14での清浄な溶媒相は、第2ヘッド部12を通じて循環される。また、下方相分離部15での清浄な水相は、処理後の排水として取り出される。なお、ヘッド部(11,12)の筒は必ずしも円筒ではなく、たとえば四角い筒であっても良い。また、カラム部13、相分離部14、15の形状についても円柱状である必要はなく、たとえば四角柱状であっても良い。
【0015】
カラム部13におけるエマルションフローの発生にともなって、水試料中の粒子成分31がカラム部13の内壁に付着するようになる。エマルション化によって面積が著しく増大した液液界面に凝集した粒子成分は、水相にも溶媒相にも移行することなく、乳濁混合相であるエマルションフローの内部に留まるため、エマルションフロー内での循環を重ねた後、器壁に付着するからである。カラム部内壁に付着した粒子成分31は、例えば、図2に示すようなピストン30を用いて回収することができる。
【0016】
以下に、具体的な実施例を示す。図3および図4に示すそれぞれ小型および中型(共に高さは70cm)のエマルションフロー装置を製作し、粒子成分のみを回収する実験、及び粒子成分と溶存成分を同時回収する実験を行い、装置の性能評価を行うとともに、従来法(連続遠心分離法)による結果と比較した。粒子成分としては、粒子直径を20μmから25μmの範囲内に分級した酸化アルミニウムAl2O3粒子を用い、溶存成分としては、イッテルビウムYb(3価イオン)を用いた。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0017】
以下に示す実施例では、分級によりサイズをそろえた酸化アルミニウムAl2O3粒子を使用し、処理後の水相中に残存した粒子をろ過法により回収・重量測定することにより、回収できた粒子の比率(回収率)を求めた。以下に、粒子の分級法と回収率の求め方を示す。
<酸化アルミニウムAl2O3粒子の分級法>
【0018】
以下の要領で、市販の酸化アルミニウムAl2O3を分級した。
1)酸化アルミニウムAl2O3を五酸化リン入りデシケータで一晩、乾燥した。
2)2種類のステンレスふるい(20μmと25μm)を用いて分級した。
・まず、25μmのふるいを用いて、25μm以上のサイズの粒子を除去した(ふるいを通過した粒子を採取)。
・さらに、20μmのふるいを用いて、20μm以下のサイズの粒子を除去した(ふるいの上に残った粒子を採取)。よって、酸化アルミニウムAl2O3粒子は、20μm以上25μm以下のサイズのみに分級された。
<酸化アルミニウムAl2O3粒子の回収率の求め方>
【0019】
装置により回収されず、水相中の残存している酸化アルミニウムAl2O3粒子をろ過法により測定した。フィルタには、水接触による重量変化のないポリカーボネート製フィルタ(0.2μm)を使用した。
1)フィルタの空重量を測定した。
2)水相2~3Lに含まれる酸化アルミニウムAl2O3粒子をフィルタで分離した。
3)フィルタをシリカゲルの入ったデシケータ内で1日程度、乾燥した。
4)フィルタ重量を測定し、空重量との差を残存する酸化アルミニウムAl2O3粒子の重量とした。処理前の原液中のAl2O3濃度(添加量から計算)をa(mg/L)、残存Al2O3濃度をb(mg/L)とすると、回収率 =(a-b)/a×100(%)。
【実施例1】
【0020】
小型装置による水溶液中粒子成分の回収実験
【0021】
図3を参照する。小型のエマルションフロー装置10a(装置体積 = 3 L、装置重量 = 2 kg)を用いて、酸化アルミニウムAl2O3粒子を回収する実験を行った。具体的には、0.02 Mの酸化アルミニウムAl2O3粒子(粒径20μmから25μm)が混入する20 Lの硝酸水溶液(pH 2)を用意し、1 Lのイソオクタンを配置した小型エマルションフローを用いて、粒子成分の回収実験を行った。図3(a)は、このとき用いた小型エマルションフロー装置の写真である。この装置の第1ヘッド部11は一端の閉じたポリプロピレン製の筒の周囲に直径1 mmの孔を10個あけた構造であり、第2ヘッド部12は40μmの孔径を持つ焼結ガラス板を筒に接着した構造のものである。また、エマルションを避けて清浄な溶媒相を確実に送液できるように、上方相分離部14としては、口の窄まった容器をカラム部13の上方に挿入して用いた(図3(b)を参照)。下方相分離部15としては、カラム部13よりも径の大きい容器をカラム部13の下方に結合して用いた。
【0022】
上記の小型エマルションフロー装置を用いて、酸化アルミニウムAl2O3を粒子成分として含む20 Lの硝酸水溶液を処理するため、送液する水相の流量を毎時20 L、循環させる溶媒相の流量を毎時20 Lに設定したところ、処理時間に60分を要し(毎時20 Lの処理能力)、ほぼ100%(99.5%以上:測定誤算の点から小数点以下は正確ではない)の酸化アルミニウムAl2O3粒子を回収できた。
【実施例2】
【0023】
中型装置による水溶液中粒子成分の回収実験
【0024】
図4を参照する。図4は中型エマルションフロー装置10bを示す。ここで言う中型装置とは、(実施例1)に示した装置と比較し、装置体積にして約3倍の装置を意味する。この実験には、図4(a)に示した中型のエマルションフロー装置(装置体積 = 9 L、装置重量 = 4 kg)を用いた。この装置の第1ヘッド部11は一端の閉じたポリプロピレン製の筒の周囲に直径4.8 mmの孔を6個あけた構造であり、第2ヘッド部12は40μmの孔径を持つ焼結ガラス板を筒に接着した構造のものである。また、エマルションを避けて清浄な溶媒相を確実に送液できるように、上方相分離部14としては、口の窄まった容器をカラム部13の上方に挿入して用いた(図4(b)を参照)。下方相分離部15としては、カラム部13よりも径の大きい容器をカラム部13の下方に結合して用いた。なお、この装置は(実施例1)で用いたものと比べて、およそ10倍の処理能力を有することがわかった。

【0025】
0.02 Mの酸化アルミニウムAl2O3粒子(粒径20μmから25μm)が混入する200 Lの硝酸水溶液(pH 2)を用意し、2 Lのイソオクタンを配置した中型のエマルションフロー装置を用いて、粒子成分の回収実験を行った。送液する水相の流量を毎時228 L、循環させる溶媒相の流量を毎時30 Lに設定し、200 Lの水溶液の処理を53分で終えた(毎時228 Lの処理能力)。その結果、(実施例1)と同様に、ほぼ100%の酸化アルミニウムAl2O3粒子を回収できた。すなわち、溶液の処理能力を毎時20 L(実施例1)から毎時228 L(実施例2)に大幅に増大させても、酸化アルミニウムAl2O3の回収率には、ほとんど変化がなかった。以上から、エマルションフロー装置は、その性能を維持したままで、容易に大型化できることがわかった。
【0026】
また、水相を噴出させるヘッド部(第1ヘッド部11)にあけた孔の大きさは、あまり重要ではないことも判明した。すなわち、サイズの大きな粒子成分を含む溶液についても、第1ヘッド部11の孔を大きくすれば、目詰まりを起こさせることなく、処理できることがわかった。なお、水相中の粒子成分は溶媒相にはまったく分配されないため、第2ヘッド部12は目詰まりの心配がないこともわかった。
(比較例1)連続遠心分離法との比較
【0027】
市販の装置((株)コクサン製H-660型連続遠心分離機)を用いて、上記実施例で用いた分級した酸化アルミニウムAl2O3粒子を水溶液中から回収する実験を行った。このときのローター回転数は15,000 rpmであり、毎時23 Lで懸濁水溶液を処理したところ、酸化アルミニウムAl2O3粒子をほぼ100%(99.5%以上:測定誤算の点から小数点以下は正確ではない)回収できた。20 Lの懸濁水溶液を処理するのに、52分を要した(毎時23 Lの処理能力)。なお、H-660型連続遠心分離機のサイズは、650(幅)×650(奥行き)×870(高さ)mmであり、装置体積は368 L、重量は160 kgである。
【実施例3】
【0028】
水溶液中の粒子成分と溶存成分の同時回収実験
【0029】
(実施例1)及び(実施例2)では、純粋なイソオクタンを溶媒相として用いたが、そこに適切な抽出剤を添加することで、溶存金属イオンを粒子成分とともに分別的に同時回収することができる。(実施例3)では、粒子成分として0.02 Mの酸化アルミニウムAl2O3、溶存成分としてイッテルビウムYb(3価イオン)を6 × 10-6 M含むpH 2の硝酸水溶液200 Lに対して、10 mMのビス(2-エチルヘキシル)リン酸:DEHPA(抽出剤)を含むイソオクタン2 Lを配置した上記の中型エマルションフロー装置を用いて実験を行った。その結果、粒子成分である酸化アルミニウムAl2O3のほぼ100%、溶存成分であるイッテルビウムYbの約98%を、それぞれ分別的に回収することができた。なお、この実験でも、図4(a)に示す中型装置を用い、送液する水相の流量を毎時231 L、循環させる溶媒相の流量を毎時30 Lに設定し、200 Lの水溶液の処理を52分で終えた(毎時231 Lの処理能力)。図5は、本実施例において回収操作を行った後にカラム部に大量に付着した酸化アルミニウムAl2O3粒子の様子を撮影したものである。
【0030】
本発明で使用するエマルションフロー装置の粒子の捕集性能は、連続遠心分離機とほとんど差がない。また、エマルションフロー装置には、多数の重い金属部品を要する動力部が存在しないため、軽量であり、酸を含む溶液が扱えないといった制限がない。さらに、本発明の方法では、溶媒として、アルカン(例えば、灯油)などの水と混じりあわない溶媒を用いるため、液液抽出の手法と組み合わせることで、溶液中に溶解している溶存成分も同時に回収・除去することができるという特徴がある。なお、粒子成分とともに溶存成分を同時回収する場合には溶媒であるアルカンに抽出剤を添加することがあるが、水に対する溶解度が低く環境中で容易に分解する抽出剤を用いることで、環境負荷の小さい方法にできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本願発明による方法を利用した装置は、フィルタレスで連続的に溶液中の粒子成分を迅速且つ効率的に回収・除去することができ、遠心力などの機械的な外力を加える必要がないので、ランニングコストが小さい。また、シンプルな構造なので、扱いやすく、イニシャルコスト、メンテナンスコストが低く、コンパクトでもある。例えば、従来の連続遠心分離法を用いた市販装置(例えば、(株)コクサン製H-660型連続遠心分離機)と比べて、装置の体積、重量ともに1/40程度のエマルションフロー装置で、約10倍の処理能力を持ち、逆に、ランニングコスト、イニシャルコスト、メンテナンスコストは、いずれも1/10以下と推測される(実施例2及び比較例1を参照)。
【0032】
以上のように、本法は、費用対効果、性能と扱いやすさ、コンパクトさ、環境への配慮などのすべての面で優れた方法であるため、様々な産業での活用が期待できる。例えば、工場廃水などに含まれる有害な粒子成分、あるいは有害物質を吸着して有害化した粒子成分の回収・除去技術、さらには、粒子成分とともに有害な溶存成分をも同時に除去する水浄化技術、溶液内反応を利用して製造した微粒子材料の回収技術、微量成分の分析で用いられる共沈法の迅速化など、様々な用途において、今までにない画期的な低コスト技術となり得る。また、環境浄化技術としての利用価値も大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】酸化鉄Fe2O3粒子の液液界面への凝集現象を説明するための写真である。
【図2】本発明の溶液中粒子成分の連続回収方法を実施するための装置の一例を示す概略図である。
【図3】図2に示された装置で使用されるエマルションフロー装置の小型実験用器具を示す全体構成図である。
【図4】図2に示された装置で使用されるエマルションフロー装置の中型実験用器具を示す全体構成図である。
【図5】図2に示された装置で使用されるエマルションフロー装置の実験用器具のカラム部に付着した酸化アルミニウムAl2O3の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10:エマルションフロー装置
11:第1ヘッド部
12:第2ヘッド部
13:カラム部
14:上方相分離部
15:下方相分離部
16:送液ポンプ
20:リザーバー
21:導管
30:懸濁粒子捕集用ピストン
31:付着懸濁粒子
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4