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Specification :(In Japanese)光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P3772219
Publication number P2004-292422A
Date of registration Feb 24, 2006
Date of issue May 10, 2006
Date of publication of application Oct 21, 2004
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物の製造方法
IPC (International Patent Classification) C07C 303/36        (2006.01)
C07C 311/16        (2006.01)
C07D 203/02        (2006.01)
C07D 203/24        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI (File Index) C07C 303/36
C07C 311/16
C07D 203/02
C07D 203/24
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
Number of claims or invention 8
Total pages 18
Application Number P2003-204553
Date of filing Jul 31, 2003
Application number of the priority 2003033351
Priority date Feb 12, 2003
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jul 31, 2003
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】391012501
【氏名又は名称】九州大学長
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】香月 勗
【氏名】小村 和史
【氏名】村上 正和
【氏名】内田 竜也
【氏名】入江 亮
Representative (In Japanese)【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
Examiner (In Japanese)【審査官】柿澤 恵子
Document or reference (In Japanese)特開平10-330390(JP,A)
特開2000-072743(JP,A)
特開2002-284758(JP,A)
特開2002-80403(JP,A)
Field of search C07C303/36
C07C311/16-311/20
C07D203/02-203/24
C07B 53/00
C07B 61/00
C07F 15/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
下記式(I)又は下記式(II)で表される光学活性なRu(サレン)(CO)錯体を触媒として使用し、下記式(III)で表されるオレフィンを下記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物を用いて不斉アジリジン化反応することを特徴とする下記式(V)で表される光学活性なアジリジン化合物の製造方法。
【化1】
JP0003772219B2_000026t.gif
【化2】
JP0003772219B2_000027t.gif
(式(I)及び式(II)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数10~16のアリール基を示す。)
【化3】
JP0003772219B2_000028t.gif
(式中、R1は炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、又は炭素数6~20のアリール基で、該アルケニル基、アルキニル基及びアリール基中の水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されていてもよい。)
【化4】
JP0003772219B2_000029t.gif
(式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルキル基又は炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルコキシ基を示す。)
【化5】
JP0003772219B2_000030t.gif
(式中、R1及びR2は、上記と同義である。)
【請求項2】
前記Ru(サレン)(CO)錯体が、下記式(VI)又は下記式(VII)で表されることを特徴とする請求項1記載の光学活性なアジリジン化合物の製造方法。
【化6】
JP0003772219B2_000031t.gif
【化7】
JP0003772219B2_000032t.gif

【請求項3】
前記式(III)で表されるオレフィンにおいて、R1が、フェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、フェニルエチニル基、2-ナフチル基、1-フェニルビニル基、及びp-(1-シクロヘキセニル)-フェニル基の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なアジリジン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物が、p-トルエンスルフォニルアジド(p-CH3C6H4SO2N3)であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なアジリジン化合物の製造方法。
【請求項5】
下記式(I)又は下記式(II)で表される光学活性なRu(サレン)(CO)錯体を触媒として使用し、下記式(VIII)で表されるオレフィンを下記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物を用いて不斉アミノ化反応することを特徴とする下記式(IX)で表される光学活性なアミン化合物の製造方法。
【化8】
JP0003772219B2_000033t.gif
【化9】
JP0003772219B2_000034t.gif
(式(I)及び式(II)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数10~16のアリール基を示す。)
【化10】
JP0003772219B2_000035t.gif
(式中、R3、R4、R5及びR6は、水素又は炭素数1~20の直鎖若しくは分岐のアルキル基で、R3とR4とは、並びにR5とR6とは互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。)
【化11】
JP0003772219B2_000036t.gif
(式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルキル基又は炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルコキシ基を示す。)
【化12】
JP0003772219B2_000037t.gif
(式中、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記と同義である。)
【請求項6】
前記Ru(サレン)(CO)錯体が、下記式(VI)又は下記式(VII)で表されることを特徴とする請求項5に記載の光学活性なアミン化合物の製造方法。
【化13】
JP0003772219B2_000038t.gif
【化14】
JP0003772219B2_000039t.gif

【請求項7】
前記式(VIII)で表されるオレフィンが、下記式(X)及び下記式(XI)の何れかで表されることを特徴とする請求項5に記載の光学活性なアミン化合物の製造方法。
【化15】
JP0003772219B2_000040t.gif
【化16】
JP0003772219B2_000041t.gif

【請求項8】
前記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物が、p-トルエンスルフォニルアジド(p-CH3C6H4SO2N3)であることを特徴とする請求項5に記載の光学活性なアミン化合物の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物の製造方法に関する。このような光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物は、医農薬品の合成に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
ナイトレンの転移は、基本的なC-N結合生成反応である。これまでに、メタルナイトレノイド中間体を経由したナイトレン転移反応の触媒として、多くの金属錯体が機能することが知られており、不斉ナイトレン転移反応、特にアジリジン化反応及びアミノ化反応が活発に研究されている。かかる不斉ナイトレン転移反応用の触媒として、メタルポルフィリン類、メタロサレン類、Cu-ビス(オキサゾリン)、Cu-ビス(シッフ塩基)、Cu-ジアミン錯体等の種々のキラルな金属錯体が検討され、高いエナンチオ選択性を示すことが報告されている。
【0003】
しかしながら、これらの報告におけるナイトレン先駆体は、アリールスルフォニルイミノフェニルアイオディナン(PhI=NSO2Ar)等の原子効率の低い試薬を用いており、製造プロセスの経済性に問題があった。
【0004】
これに対し、N-アリールスルフォニルアジド及びN-カルバモイルアジドは、非常に経済的なナイトレン先駆体として知られており、Jacobsenらは、N-アリールスルフォニルアジドが、銅イオンの存在のもと、光照射下での不斉アジリジン化反応のナイトレン先駆体として機能することを報告した。また、Backらは、N-t-ブトキシカルボニルアジドを用いたスルフィミド化反応を報告している。更に、本発明者らは、Ru(サレン)(CO)錯体の存在下、光照射なしで、N-アリールスルフォニルアジドをナイトレン先駆体としてアルキルアリールスルフィドを不斉スルフィミド化できることを報告した(非特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、経済的なナイトレン先駆体を用いて、不斉アジリジン化反応及びアミノ化反応を高いエナンチオ選択性で実施した例は、未だ報告されていない。
【0006】
【非特許文献1】
村上、内田、香月、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron letters)、42巻、7071頁、2001年
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、入手が容易で経済的なナイトレン先駆体を用いて、高いエナンチオ選択性で光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のRu(サレン)(CO)錯体を触媒とし、特定のオレフィンをアリールスルフォニルアジド化合物を用いて不斉アジリジン化又はアミノ化反応することにより、光学純度の高いアジリジン化合物又はアミン化合物を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のアジリジン化合物の製造方法は、下記式(I)又は下記式(II)で表される光学活性なRu(サレン)(CO)錯体を触媒として使用し、下記式(III)で表されるオレフィンを下記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物を用いて不斉アジリジン化反応することを特徴とし、下記式(V)で表される光学活性なアジリジン化合物を製造することができる。
【化17】
JP0003772219B2_000002t.gif【化18】
JP0003772219B2_000003t.gif(式(I)及び式(II)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数10~16のアリール基を示す。)
【化19】
JP0003772219B2_000004t.gif(式中、R1は炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、又は炭素数6~20のアリール基で、該アルケニル基、アルキニル基及びアリール基中の水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されていてもよい。)
【化20】
JP0003772219B2_000005t.gif(式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルキル基又は炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルコキシ基を示す。)
【化21】
JP0003772219B2_000006t.gif(式中、R1及びR2は、上記と同義である。)
【0010】
本発明の光学活性なアジリジン化合物の製造方法の好適例においては、前記Ru(サレン)(CO)錯体が、下記式(VI)又は下記式(VII)で表される。
【化22】
JP0003772219B2_000007t.gif【化23】
JP0003772219B2_000008t.gif
【0011】
本発明の光学活性なアジリジン化合物の製造方法の他の好適例においては、前記式(III)で表されるオレフィンにおいて、R1が、フェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、フェニルエチニル基、2-ナフチル基、1-フェニルビニル基、及びp-(1-シクロヘキセニル)-フェニル基の何れかである。
【0012】
また、本発明の光学活性なアジリジン化合物の製造方法の他の好適例においては、前記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物が、p-トルエンスルフォニルアジド(p-CH3C6H4SO2N3)である。
【0013】
一方、本発明のアミン化合物の製造方法は、下記式(I)又は下記式(II)で表される光学活性なRu(サレン)(CO)錯体を触媒として使用し、下記式(VIII)で表されるオレフィンを下記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物を用いて不斉アミノ化反応することを特徴とし、下記式(IX)で表される光学活性なアミン化合物を製造することができる。
【化24】
JP0003772219B2_000009t.gif【化25】
JP0003772219B2_000010t.gif(式(I)及び式(II)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数10~16のアリール基を示す。)
【化26】
JP0003772219B2_000011t.gif(式中、R3、R4、R5及びR6は、水素又は炭素数1~20の直鎖若しくは分岐のアルキル基で、R3とR4とは、並びにR5とR6とは互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。)
【化27】
JP0003772219B2_000012t.gif(式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルキル基又は炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルコキシ基を示す。)
【化28】
JP0003772219B2_000013t.gif(式中、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記と同義である。)
【0014】
本発明の光学活性なアミン化合物の製造方法の好適例においては、前記Ru(サレン)(CO)錯体が、下記式(VI)又は下記式(VII)で表される。
【化29】
JP0003772219B2_000014t.gif【化30】
JP0003772219B2_000015t.gif
【0015】
本発明の光学活性なアミン化合物の製造方法の他の好適例においては、前記式(VIII)で表されるオレフィンが、下記式(X)及び下記式(XI)の何れかで表される。
【化31】
JP0003772219B2_000016t.gif【化32】
JP0003772219B2_000017t.gif
【0016】
また、本発明の光学活性なアミン化合物の製造方法の他の好適例においては、前記式(IV)で表されるアリールスルフォニルアジド化合物が、p-トルエンスルフォニルアジド(p-CH3C6H4SO2N3)である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物の製造方法について詳細に説明する。本発明で触媒として使用する光学活性なRu(サレン)(CO)錯体は、前記式(I)又は式(II)で表される。ここで、式(II)の錯体は、式(I)の錯体の鏡像異性体である。式(I)及び式(II)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数10~16のアリール基を示し、該アリール基としては、例えば1-ナフチル基、2-ビフェニル基、2-フェニル-1-ナフチル基、2-メチル-1-ナフチル基、2-[3,5-ジメチルフェニル]-1-ナフチル基、2-[4-メチルフェニル]-1-ナフチル基、2-{4-[t-ブチルジフェニルシリル]フェニル}-1-ナフチル基、2-メトキシ-1-ナフチル基等が例示できる。これらの中でも、2-フェニル-1-ナフチル基が特に好ましく、この場合、前記Ru(サレン)(CO)錯体は、前記式(VI)又は式(VII)で表される。なお、これらのRu(サレン)(CO)錯体はアピカル位にCO配位子を有する。触媒としてのRu(サレン)(CO)錯体の使用量は、基質のオレフィンのモル量に対し、0.1~100mol%、好ましくは1~4mol%の範囲である。
【0018】
本発明でナイトレン先駆体として使用するアリールスルフォニルアジド化合物は、前記式(IV)で表される。式中、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルキル基又は炭素数1~4の置換若しくは非置換のアルコキシ基を示す。炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、 イソプロピル基、ブチル基、 イソブチル基、t- ブチル基等が例示でき、炭素数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が例示できる。これらのアルキル基及びアルコキシ基は、ハロゲン等で置換されていてもよい。これらアリールスルフォニルアジド化合物の中でも、p-トルエンスルフォニルアジド(p-CH3C6H4SO2N3)、p-メトキシベンゼンスルフォニルアジド(p-CH3OC6H4SO2N3)及びp-ブロモベンゼンスルフォニルアジド(p-BrC6H4SO2N3)が好ましく、p-トルエンスルフォニルアジド(p-CH3C6H4SO2N3)が特に好ましい。これらのアリールスルフォニルアジド化合物は、商業的に利用可能なアリールスルフォニルクロライドから1段階で容易に調製できる(例えば、有機合成実験法ハンドブックP.505(丸善)に記載されている)。アリールスルフォニルアジド化合物の使用量は、後述する基質のオレフィン1molに対し1mol~3mol、好ましくは1mol~1.5molの範囲である。収率を上げる観点からは、オレフィンのモル数に比べて、アリールスルフォニルアジド化合物のモル数を幾分過剰にするのが好ましい。
【0019】
従来のナイトレン転移反応ではアリールスルフォニルイミノフェニルアイオディナン(ArSO2N=IPh)等の合成が複雑なナイトレン先駆体を用いていたが、本発明では、容易に合成できるアリールスルフォニルアジド(ArSO2N3)をナイトレン先駆体に使用する点で、製造プロセスの簡略化及び低コスト化が図れるといった利点がある。
【0020】
本発明の光学活性なアジリジン化合物の製造方法とアミン化合物の製造方法とは、出発物質のオレフィンを異にする。即ち、光学活性なアジリジン化合物の製造方法では、式(III)で表される共役末端オレフィンを用い、光学活性なアミン化合物の製造方法では、式(VIII)で表されるアリル水素を有する共役オレフィンを用いる。
【0021】
光学活性なアジリジン化合物の製造方法にかかわる式(III)で表されるオレフィンにおいて、R1は炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、又は炭素数6~20のアリール基である。ここで、炭素数2~20のアルケニル基としては、1-フェニルビニル基、2-フェニルビニル基、イソプロペニル基等が挙げられ、炭素数2~20のアルキニル基としては、フェニルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基、シクロヘキシルエチニル基等が挙げられ、炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、2-ナフチル基、p-(1-シクロヘキセニル)-フェニル基、p-ビフェニル基等が挙げられる。上記アルケニル基、アルキニル基及びアリール基中の水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されていてもよい。
【0022】
一方、光学活性なアミン化合物の製造方法にかかわる式(VIII)で表されるオレフィンにおいて、R3、R4、R5及びR6は、水素又は炭素数1~20の直鎖若しくは分岐のアルキル基である。ここで、炭素数1~20の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。但し、前記R3とR4とは、並びにR5とR6とは互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく、この場合、式(VIII)のオレフィンは、下記式(XII)、(XIII)、(XIV)又は(XV)で表される。ただし、式(VIII)において、R3とR4CH2とが水素原子の場合、アジリジン化が高エナンチオ選択的に進行する。
【0023】
【化33】
JP0003772219B2_000018t.gif【化34】
JP0003772219B2_000019t.gif【化35】
JP0003772219B2_000020t.gif【化36】
JP0003772219B2_000021t.gif
【0024】
上記式(VIII)で表されるオレフィンとして、具体的には、上記式(X)で表されるオレフィン、上記式(XI)で表されるオレフィンが挙げられる。
【0025】
本発明の光学活性なアジリジン化合物の製造方法では、前記式(III)で表されるオレフィンを用いて式(V)で表されるアジリジン化合物を製造し、一方、光学活性なアミン化合物の製造方法では、前記式(VIII)で表されるオレフィンを用いて式(IX)で表されるアミン化合物を製造する。本発明の光学活性なアジリジン化合物の製造方法の最終生成物である光学活性なアジリジン化合物は、前記式(V)で表され、式中、R1及びR2は、上記と同義である。なお、式(I)のRu(サレン)(CO)錯体と式(II)のRu(サレン)(CO)錯体との使い分けによって、光学活性なアジリジン化合物の両鏡像異性体が得られる。一方、本発明の光学活性なアミン化合物の製造方法の最終生成物である光学活性なアミン化合物は、前記式(IX)で表され、式中、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記と同義である。ここで、式(I)のRu(サレン)(CO)錯体と式(II)のRu(サレン)(CO)錯体との使い分けによって、光学活性なアミン化合物の両鏡像異性体が得られる。これらの光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物は医農薬品の合成に使用できる。
【0026】
本発明では、ゼオライトの存在下で不斉アジリジン化反応及びアミノ化反応を行うのが好ましい。ゼオライトが存在しない場合でも、不斉アジリジン化反応及びアミノ化反応は良好なエナンチオ選択性で進行するが、ゼオライトの存在下で行うことにより、収率を大きく向上させることができる。本発明で使用するゼオライトとしては、MS-3A、MS-4A、MS-5A等が例示でき、この中でも、MS-4Aが好ましい。ゼオライトの使用量としては、基質のオレフィン1mmolに対し、50~500mg、好ましくは100~300mgの範囲である。
【0027】
上記不斉アジリジン化反応及びアミノ化反応は、溶媒中で行う。溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロエタン、トルエン、ジクロロメタン等が例示でき、ジクロロメタンが好ましい。溶媒の使用量は、基質のオレフィン1mmolに対し、2~50mL、好ましくは4~10mLの範囲である。
【0028】
本発明の光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物の製造方法は、10~40℃の範囲で実施でき、室温で好適に実施できる。本発明の製造方法は、室温で実施できるため、温度調節にかかるエネルギーコストを抑制することができる。また、本発明では、オレフィン、アリールスルフォニルアジド化合物、溶媒及び触媒の混合溶液を、撹拌することにより光学活性なアジリジン化合物又はアミン化合物を製造することができる。反応時間は特に限定されず、反応温度に応じて適宜選択される。反応温度が高い場合は反応時間を短く、反応温度が低い場合は反応時間を長くすることが好ましい。但し、0℃まで下げると反応の進行が著しく遅くなる。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
(錯体合成例1)
(1R,2R)-1,2-ジアミノシクロヘキサン[Aldrich Chem. Co.](27.5mg, 0.24mmol)をエタノール(5mL)に溶解させる。次に、(aR)-3-ホルミル-2-ヒドロキシ-2'-フェニル-1,1'-ビナフチル[H. Sasaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, and T.Katsuki, Tetrahedron, 50(41), 11827-11838(1994)等に記載の方法にて合成](179.7mg, 0.48mmol)を加え、この溶液を24時間室温で撹拌する。反応終了後、生じた沈殿物をろ取し、1時間50℃で減圧乾燥させる。乾燥した残渣に、窒素雰囲気下トリルテニウムドデカカルボニル[Aldrich Chem. Co.](152.1mg, 0.24mmol)と脱水エタノール(10mL)を加え、生じた懸濁液を5日間加熱還流する。その後室温に戻し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、溶媒を取り除く。得られた残渣をジクロロメタン/エタノール(=20/1)を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製分離し、前記式(VI)で表されるRu(サレン)(CO)錯体(80.5mg, 収率36%)を得た。
【0031】
上記の方法で得られた錯体の元素分析の結果は、H 4.32%、C 65.12%、N 2.35%であり、C61H44N2O3Ru・2H2O・2CH2Cl2の理論値(H 4.52%、C 65.23%、N 2.42%)と非常に良く一致していた。また、上記方法で得られた錯体のIR測定の結果、1323.1, 1423.4, 1490.9, 1541.0, 1577.7, 1612.4, 1934.5, 2019.3cm-1に上記錯体に特徴的なシグナルが観測された。
【0032】
(実施例1)
前記式(VI)で表されるRu(サレン)(CO)錯体(1.9mg, 2.0μmol)のトルエン溶液を、2度真空下で共沸させて濃縮した。濃縮した残渣にMS-4A(20mg)とスチレン(10.4mg, 0.1mmol)とを加え、更にジクロロメタン(0.5mL)を加えた。得られた懸濁液を室温で0.5時間撹拌した後、p-トルエンスルフォニルアジド(15.5μL, 0.1mmol)を加え、更に24時間撹拌した。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/0-19/1-8/2)を用いてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、対応するアジリジン化合物(19.4mg, 収率71%)を得た。このアジリジン化合物の鏡像体過剰率をダイセル・キラルセルOJ-H(DAICEL CHIRALCEL OJ-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=1/1)溶離液を用い高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、鏡像体過剰率は87%eeであった。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例2~6)
スチレンに代えて表1に示すオレフィンを用いる以外は、実施例1と同様の方法でアジリジン化反応を行った。なお、実施例2では、ダイセル・キラルパックAS-H(DAICEL CHIRALPAK AS-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=2/1)溶離液を用い、実施例3では、ダイセル・キラルパックAD-H(DAICEL CHIRALPAK AD-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=2/1)溶離液を用い、実施例4では、ダイセル・キラルパックAS-H(DAICEL CHIRALPAK AS-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=7/3)溶離液を用い、実施例5では、ダイセル・キラルセルOF(DAICEL CHIRALCEL OF)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=2/1)溶離液を用い、実施例6では、ダイセル・キラルセルOD-H(DAICEL CHIRALCEL OD-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=1/1)溶離液を用い、高速液体クロマトグラフィーで鏡像体過剰率を分析した。反応式を以下に示し、結果を表1に示す。
【0034】
【化37】
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【0035】
【表1】
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【0036】
実施例1~6より、共役末端オレフィンを、Ru(サレン)(CO)錯体の存在下、アリールスルフォニルアジド化合物でアジリジン化することにより、非常に高いエナンチオ選択性でアジリジン化合物を製造できることがわかる。
【0037】
(実施例7及び8)
スチレンに代えて表2に示すオレフィンを用いる以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。なお、実施例7では、ダイセル・キラルセルOD-H(DAICEL CHIRALCEL OD-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=2/1)溶離液を用い、実施例8では、ダイセル・キラルセルOD-H(DAICEL CHIRALCEL OD-H)カラム及びヘキサン/イソプロパノール(=1/1)溶離液を用い、高速液体クロマトグラフィーで鏡像体過剰率を分析した。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
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【0039】
実施例7~8より、アリル水素を有する共役オレフィンを、Ru(サレン)(CO)錯体の存在下、アリールスルフォニルアジド化合物でアミノ化することにより、光学活性なアミン化合物が得られることがわかる。
【0040】
(実施例9)
スチレンに代えて表3に示すオレフィンを用いる以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
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【0042】
実施例9から、ナイトレン転移反応が、トリ置換の二重結合よりも、モノ置換の二重結合で優先的に起こることが分かる。
【0043】
【発明の効果】
上記に示したように、本発明の製造方法では、経済的なアリールスルフォニルアジドをナイトレン先駆体として使用でき、製造プロセスの経済化が図れる。また、高いエナンチオ選択性でオレフィンから光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物を製造することができ、触媒の選択により両鏡像異性体を製造することができる。これにより、医農薬品の合成に有用な光学活性なアジリジン化合物及びアミン化合物を光学純度の高い状態で提供することができる。