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明細書 :家畜用親子分離扉

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3072369号 (P3072369)
公開番号 特開平11-243800 (P1999-243800A)
登録日 平成12年6月2日(2000.6.2)
発行日 平成12年7月31日(2000.7.31)
公開日 平成11年9月14日(1999.9.14)
発明の名称または考案の名称 家畜用親子分離扉
国際特許分類 A01K  1/035     
A01K 15/04      
FI A01K 1/035 A
A01K 15/04
請求項の数または発明の数 1
全頁数 5
出願番号 特願平10-056591 (P1998-056591)
出願日 平成10年3月9日(1998.3.9)
審査請求日 平成10年3月9日(1998.3.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591075364
【氏名又は名称】農林水産省北海道農業試験場長
【識別番号】598031327
【氏名又は名称】池田 哲也
【識別番号】598031338
【氏名又は名称】本間 毅郎
【識別番号】598031349
【氏名又は名称】工藤 康夫
【識別番号】598031350
【氏名又は名称】落合 一彦
【識別番号】598031361
【氏名又は名称】須藤 賢司
発明者または考案者 【氏名】池田 哲也
【氏名】本間 毅郎
【氏名】工藤 康夫
【氏名】落合 一彦
【氏名】須藤 賢司
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
審査官 【審査官】長井 啓子
参考文献・文献 特開 平8-80136(JP,A)
調査した分野 A01K 1/00 - 1/035
A01K 15/00 - 15/04
特許請求の範囲 【請求項1】
垂直方向に立設される左右一対の外枠の内側に、それぞれ前後双方向に開閉可能の扉板を取付けた家畜用開閉扉において、
上記扉板は、外枠に対して扉板を閉位置に復帰する習性を有するバネ付きヒンジを介して取付けられ、左右の扉板の自由端側が相互の内面を対接させて所定幅重合されており、左右の扉板の前後一方から親家畜が自力で押して扉板を開けて扉の他方側へ通過するようにし、親家畜の通過後は左右の扉板が直ちに閉状態に復帰して左右の扉板の重合部分が衝突音を発すると共に、子家畜の力では扉板を開くことができないようにヒンジのバネ圧を設定したことを特徴とする家畜用親子分離扉。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親牛は通過できるが、親牛の側方についてきた子牛は通過することができないようにした家畜用親子分離扉に関する。

【0002】
【従来の技術】親子放牧で育った子牛は、親牛について行動するためのエネルギ一消費量が多いため、増体が遅いという欠点を有していた。そこで、授乳の時だけ親子を一緒にし、その他の時は親子を別々に管理する方法が考えられてきた。このような管理方法では、親子の分離をできるだけ省力的に行うため、家畜が自発的に出入りできるようにする必要があった。このため、従来、親子を分離する技術として、高さや幅を制限して子牛だけが通過可能な出入口(扉なし)、出入口部分に高低差を設け、親牛だけが通過可能な出入口(扉なし)などがあった。しかし、上記子牛だけが通過可能な出入口では、子牛の放牧を制限することはできず、また、上記親牛だけが通過可能な出入口では、子牛の出入りを制限する要因が高低差だけなので分離後の脱出率が高く、分離成功率は低かった。このため、分離成功率を高める方法が求められていた。

【0003】
一方、出入口に扉を設けることは、家畜の出入りを阻止する方法として最も確実な方法である。このため、出入口に扉を設けて親子分離の状態を維持することは必要である。しかし、従来の放牧地や畜舎内に設けられる扉は、家畜の出入りを防止するためのもので、家畜が自力で扉を開閉できるものはなかった。また、親牛だけが通過可能で、子牛は通過できない、という扉はなかった。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、子牛に余分な運動をさせないで飼育することを省力的に行うため、親牛だけが自発的に畜舎外あるいは放牧地に出て、授乳時のみ子牛の飼育場所に戻ってこれるようにすることを目的とし、親牛は通過できるが、親牛についてきた子牛は通過することができないような構造の家畜用親子分離扉を提供しようするものである。

【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、垂直方向に立設される左右一対の外枠の内側に、それぞれ前後双方向に開閉可能の扉板を取付けた家畜用開閉扉において、上記扉板は、外枠に対して扉板を閉位置に復帰する習性を有するバネ付きヒンジを介して取付けられ、左右の扉板の自由端側が相互の内面を対接させて所定幅重合されており、左右の扉板の前後一方から親家畜が自力で押して扉板を開けて扉の他方側へ通過するようにし、親家畜の通過後は左右の扉板が直ちに閉状態に復帰して左右の扉板の重合部分が衝突音を発すると共に、子家畜の力では扉板を開くことができないようにヒンジのバネ圧を設定したことを特徴としている。

【0006】
【作用】上記の構成により本発明の家畜用親子分離扉は、親牛は扉板を自力で押して開けて扉の他方側へ通過するが、親牛の側方についてきた子牛は、親牛が扉板を開けてから締まるときの重合部分から発生する摩擦音、衝撃音により扉に近づくことができず、また、自力によって扉板を押しても、ヒンジのバネ力や扉板の重合部分による摩擦抵抗により扉板を開けることができず、扉を通過することができない。

【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。

【0008】
図1及び図2において、符号1は本発明に係る家畜用親子分離扉であり、この家畜用親子分離扉1は、垂直方向に立設される左右一対の左外枠2L及び右外枠2Rの内側に、それぞれ前後双方向に開閉可能の左扉板3L及び右扉板3Rを、バネ付きヒンジ4,4…を介して取付けている。バネ付きヒンジ4は、左扉板3L及び右扉板3Rを閉位置に復帰する習性を有しており、そのバネの強さは、親牛Cは自力で扉板3L,3Rを押して開けられるが、子牛cは自力で押して開けることができない強さである(図3参照)。

【0009】
上記左右一対の外枠2L,2Rは角パイプからなり、その下部が地面Gに打ち込まれるか、あるいは、埋設されるかして、ほぼ垂直に立設されている。また、外枠2L,2Rの間隔は、図3に示すように、通過する親牛Cの幅とほぼ等しくしなるようにして立設されており、この外枠2L,2Rの上部は、左右の外枠2L,2Rの間隔を通過する親牛Cの幅に合わせて左右に移動調節したときに、自動的に摺動するように嵌合された摺動嵌合部5を形成している。このため、この実施例では右外枠2Rの方が左外枠2Lより僅かに太くなっていて、右外枠2Rの自由端から左外枠2Lの自由端を摺動自在に嵌挿させている。

【0010】
上記左右の扉板3L,3Rは、それぞの自由端側が相互の内面を対接させて所定幅重合させた扉板の重合部分6を形成しており、外枠2L,2Rの間隔を親牛Cの幅に合わせて調節したときは、その重なり代は自動的に変更される。この重合部分6は、親牛Cが自力で左右の扉板3L,3Rの前後一方から押して開くとき、その摩擦抵抗により負荷量が増大し、また、扉板3L,3Rがバネ付きヒンジ4のバネ圧により閉じるときに重合部分6が衝突して衝撃音を発生させる。そして、親牛Cは扉板3L,3Rをヒンジ4のバネ圧に抗して押し開けて扉の他方側へ通過し、親牛Cの通過後は左右の扉板3L,3Rがヒンジ4のバネ圧により直ちに閉状態に復帰し、親牛Cの側方についてきた子牛cは、左右の扉板3L,3Rが閉じる時に扉板の重合部分6から発生する衝撃音により扉板3L,3Rに近づかなくなる。その後、扉板3L,3Rを押し開いて通過しようとしても、ヒンジ4のバネ圧や重合部分6の摩擦抵抗により通過できなくしてある。

【0011】
次に、上記のような構成の家畜用親子分離扉1の動作について説明する。まず、図3(a)に示すように、親牛Cは自力で、左右の扉板3L,3Rを頭部で押してバネ付きヒンジ4のバネ圧及び重合部分6の摩擦抵抗に抗して開け、次いで、図3(b)に示すように、扉板3L,3R間を他方側へ通過する。親牛Cが扉板3L,3R間を通過すると、扉板3L,3Rはヒンジ4のバネ圧により直ちに閉状態に復帰する。その際、扉板3L,3Rの重合部分6では衝撃音が発生し、子牛cは親牛Cから離れて扉板3L,3Rに近づかなくなる。従って、親牛Cは扉板3L,3R間を通過するが、子牛cは親牛Cの後を追って通過することはできない。

【0012】
また、親牛Cが扉板3L,3R間を通過するとき以外の時に、子牛cが自力で扉板3L,3Rを押し開けて通過しようとしても、ヒンジ4のバネ圧に加え、扉板3L,3Rの重合部分6を開くための摩擦抵抗により負荷量が増加し、ヒンジ4のバネ圧以上に扉板3L,3Rは開き難くくなって、子牛cは扉板3L,3Rを通過することができない。さらに、図4(a)に示すように、子牛cが扉板3L,3Rを押して所定角度まで開けたとしても、扉板3L,3Rを完全に開くまでには重合部分6の重なりが続き、図示のように両扉3L,3Rの先端が接した状態にまで開いても、子牛cは頭を扉板3L,3Rの向こう側に出すことができず、向こう側の様子が分からないので、子牛cはそれ以上扉板3L,3Rを押そうとしなくなる。このようなことから、子牛cは次第に扉板3L,3Rから出ようとしなくなる。

【0013】
これが、図4(b)に示すように、左右の扉板3l,3rに重合部分のない開閉扉Iaの場合に、子牛cが通過しようとして扉板3l,3rを図4(a)と同じ角度まで押し開くと、頭部が扉板3l,3rを通過して向こう側が見え、子牛cはさらに扉板3l,3rを押し開いて扉板3l,3r間を通過することができる。しかも、重合部分がないから、扉板3l,3rを開ける際に摩擦抵抗がかからず、また、扉板3l,3rを閉じる際に衝撃音が発生することがない。

【0014】
一方、家畜用親子分離扉1の外枠2L,2Rは、角パイプ等からなり、その下部は地面Gに打ち込まれるか、埋設されるかして、ほぼ垂直に立設される。外枠2L,2Rの間隔は、図1に示すように、外枠2L,2Rの上部で自在に調節が可能なため、図3に示すように、通過する親牛Cの幅とほぼ等しくなるように調節することができる。そして、親牛Cの側方についてきた子牛cは、親牛Cの側方を通過することができなくなる。なお、親牛Cが左右の扉板3L,3Rを押して通過できることを覚えさせる訓練は、短時間でできる。

【0015】
本発明の家畜用親子分離扉は、上記の実施例の構成に限らず、他の構成にしてもよいものである。

【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明の家畜用親子分離扉によれば、次のような作用効果を奏することができる。

【0017】
扉板は、外枠に対して扉板を閉位置に復帰する習性を有するバネ付きヒンジを介して取付けられ、左右の扉板の自由端側が相互の内面を対接させて所定幅重合されており、左右の扉板の前後一方から親家畜が自力で押して扉板を開けて扉の他方側へ通過するようにし、親家畜の通過後は左右の扉板が直ちに閉状態に復帰して左右の扉板の重合部分が衝突音を発すると共に、子家畜の力では扉板を開くことができないようにヒンジのバネ圧を設定したので、親牛は扉板を自力で押して開けて扉の他方側へ通過するが、親牛の側方についてきた子牛は、親牛が扉板を開けてから締まるときの重合部分から発生する摩擦音、衝撃音により扉に近づくことができず、また、自力によって扉板を押しても、ヒンジのバネ力や扉板の重合部分による摩擦抵抗により扉板を開けることができずに扉を通過することができない。従って、親牛と子牛を、人手をかけずに、無理なく、確実に分離することができる。
図面
【図2】
0
【図1】
1
【図3】
2
【図4】
3