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Specification :(In Japanese)モルタルのコンシステンシー評価方法及びコンシステンシー評価装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5458254
Publication number P2011-158321A
Date of registration Jan 24, 2014
Date of issue Apr 2, 2014
Date of publication of application Aug 18, 2011
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)モルタルのコンシステンシー評価方法及びコンシステンシー評価装置
IPC (International Patent Classification) G01N  11/00        (2006.01)
G01N  11/14        (2006.01)
G01N  33/38        (2006.01)
FI (File Index) G01N 11/00 E
G01N 11/14 E
G01N 33/38
Number of claims or invention 8
Total pages 20
Application Number P2010-019069
Date of filing Jan 29, 2010
Date of request for substantive examination Nov 1, 2012
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】510027652
【氏名又は名称】東亜コンサルタント株式会社
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】一宮 一夫
【氏名】財津 公明
【氏名】竹内 一博
【氏名】佐藤 智和
【氏名】衛藤 誠
Representative (In Japanese)【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
Examiner (In Japanese)【審査官】▲高▼見 重雄
Document or reference (In Japanese)特開2006-329726(JP,A)
特開2008-261724(JP,A)
一宮一夫、他,ポリマーセメントモルタルのコンシステンシー評価に関する基礎的実験,土木学会第59回年次学術講演会講演概要集,2004年 9月,第115-116頁
衛藤 誠、他,ポリマーセメントモルタルの現場におけるコンシステンシー評価手法,平成16年度 土木学会西部支部研究発表会 講演概要集 第5部門,2005年 3月,第835-836頁
藤川隆太、他,ポリマーセメントモルタルの最適吹付け方法に関する一考察,平成16年度 土木学会西部支部研究発表会 講演概要集 第5部門,2005年 3月,第833-834頁
蒲生和久、他,ポリマーセメントモルタルの現場における品質管理手法,平成16年度 土木学会西部支部研究発表会 講演概要集 第5部門,2005年 3月,第837-838頁
Field of search G01N 11/00-11/16
G01N 33/38
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
少なくともセメント及び水を含むモルタルの変形抵抗性をコンシステンシーとして評価するコンシステンシー評価方法において、
セメントを主成分とする粉末材料及び水を主成分とする液体材料を所定の割合で練り合わせたモルタルを収納容器に投入し、当該収納容器内で回転翼を所定の回転速度により攪拌し、当該攪拌開始からせん断応力が増大して最大値へと過渡的に変化する過渡期間及び当該過渡期間経過後にせん断応力が一定値に収束する安定期間の各々においてモルタルに発生するせん断応力を測定するせん断応力測定工程と、
前記過渡期間及び安定期間における各種モルタルのせん断応力に関連する評価基準値を、各種モルタルごとに保持する情報保持工程と、
前記せん断応力測定工程により測定された前記過渡期間及び安定期間の各々のせん断応力を前記評価基準値と比較し、モルタル評価を行うモルタル評価工程とを含むことを特徴とする
コンシステンシー評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコンシステンシー評価方法において、
前記過渡期間が、当該回転翼に配設された各羽根の回転角度の総和が攪拌開始時から180°回転した近傍の期間であり、
前記安定期間が、前記回転翼に配設された各羽根の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間である
コンシステンシー評価方法。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコンシステンシー評価方法において、
前記せん断応力測定工程により順次測定されたせん断応力の経時変化を測定変化特性として検出する経時変化検出工程を備え、
前記せん断応力測定工程が、前記過渡期間及び安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、
前記情報保持工程が、各種モルタルにおける材料特性及び前記せん断応力の経時変化の傾向を示す経時変化特性を、前記評価基準値として、前記回転翼の種類ごとに保持し、
前記モルタル評価工程が、経時変化特性と測定変化特性との比較に基づいて、前記測定変化特性からモルタルの材料特性を検出してモルタル評価を行う
コンシステンシー評価方法。

【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のコンシステンシー評価方法において、
前記せん断応力測定工程が、前記過渡期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、
前記情報保持工程が、各種モルタルにおけるせん断速度に応じたモルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つを材料特性として、各種モルタルごとに保持し、
前記モルタル評価工程が、前記せん断応力測定工程により測定されたせん断応力を前記材料特性と比較し、モルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つをモルタル特性として演算してモルタル評価を行う
コンシステンシー評価方法。

【請求項5】
少なくともセメント及び水を含むモルタルの変形抵抗性をコンシステンシーとして評価するコンシステンシー評価装置において、
セメントを主成分とする粉末材料及び水を主成分とする液体材料を所定の割合で練り合わせたモルタルを収納容器に投入し、当該攪拌開始からせん断応力が増大して最大値へと過渡的に変化する過渡期間及び当該過渡期間経過後にせん断応力が一定値に収束する安定期間の各々においてモルタルに発生するせん断応力を測定するせん断応力測定手段と、
前記過渡期間及び安定期間における各種モルタルのせん断応力に関連する評価基準値を、各種モルタルごとに保持する情報保持手段と、
前記せん断応力測定手段により測定された前記過渡期間及び安定期間の各々のせん断応力を前記評価基準値と比較し、モルタル評価を行うモルタル評価手段とを備えることを特徴とする
コンシステンシー評価装置。

【請求項6】
請求項5に記載のコンシステンシー評価装置において、
前記過渡期間が、当該回転翼に配設された各羽根の回転角度の総和が攪拌開始時から180°回転した近傍の期間であり、
前記安定期間が、前記回転翼に配設された各羽根の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間である
コンシステンシー評価装置。

【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のコンシステンシー評価装置において、
前記せん断応力測定手段により順次測定されたせん断応力の経時変化を測定変化特性として検出する経時変化検出手段を備え、
前記せん断応力測定手段が、前記過渡期間及び安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、
前記情報保持手段が、各種モルタルにおける材料特性及び前記せん断応力の経時変化の傾向を示す経時変化特性を、前記評価基準値として、前記回転翼の種類ごとに保持し、
前記モルタル評価手段が、経時変化特性と測定変化特性との比較に基づいて、前記測定変化特性からモルタルの材料特性を検出してモルタル評価を行う
コンシステンシー評価装置。

【請求項8】
請求項5又は請求項6に記載のコンシステンシー評価装置において、
前記せん断応力測定手段が、前記過渡期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、
前記情報保持手段が、各種モルタルにおけるせん断速度に応じたモルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つを材料特性として、各種モルタルごとに保持し、
前記モルタル評価手段が、前記せん断応力測定手段により測定されたせん断応力を前記材料特性と比較し、モルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つをモルタル特性として演算してモルタル評価を行う
コンシステンシー評価装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタルを評価するコンシステンシー評価方法及びその装置に関し、特に評価の精度を向上させたコンシステンシー評価方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタルは、補修・補強対象のコンクリートに施工を行う用途で主に使用され、例えば、道路橋のコンクリートに対して、塩分などの有害物質や繰返し荷重から生じる劣化断面の修復や、道路橋床板の強度増強を目的として下面増厚による補強を行う材料として広く利用されている。例えば、そのモルタルを吹付けする場合には、モルタルを圧搾空気によりスプレー状に噴霧することで実施され、一般的に吹付けモルタル工法と呼ばれている。吹付けモルタル工法は、型枠が不要であり、シンプルな作業手順で取扱いやすく、比較的低コストな工法として広く利用されている。
【0003】
しかし、現状では、吹付けモルタル工法で使用するモルタルの調製品質を敏感に反映する測定装置がなく、吹付け方法に応じたモルタルの調製法の標準化もなされていない。モルタルの調製品質は直接的に作業品質にも影響を与えてしまう重要なパラメータである。たとえば、モルタルの品質が低い場合には、リバウンド(撥ね返り)やダレとも称される吹付け後のモルタルの撥ね返りにより、材料ロスが生じるとともに作業環境を悪化させる要因となる。このような状況のなか、品質の高い吹付け作業を実現するために、材料品質の高いモルタルを選定・調製可能なモルタルの評価方法が望まれている。またコテ塗り等を行うモルタルについても同様の評価方法が望まれている。
【0004】
モルタルの材料品質は、モルタルの変形抵抗性特性(コンシステンシー)を測定することにより評価(コンシステンシー評価)されている。コンシステンシー評価方法としては、練り混ぜ直後のモルタル供試体を乗せたフローテーブルに上下振動を与えて供試体の底面広がりをフロー値としてモルタルやコンクリートの軟度を測定するフロー法(JIS R 5201)が挙げられる。
【0005】
さらに、従来のコンシステンシー評価方法としては、槽内に投入されたセメント系材料を攪拌羽根の上端によって形成される仮想面の少なくとも一部が覆われることがないよう当該攪拌羽根を制御・回転させ、当該攪拌羽根の回転に要する駆動力を検出し、当該検出した情報をセメント系材料の流動性データに換算するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、従来のコンシステンシー評価方法としては、振動式コンシステンシー試験またはモルタル上昇試験により得られる特性値を用いてコンシステンシー評価を行うものがある(例えば、特許文献2参照)。また、従来のコンシステンシー評価方法としては、施工現場において、混練したフレッシュモルタル等の中にベーンブレードを挿入すると共に、同ベーンブレードを回転させた際に、同ベーンブレードがフレッシュモルタル等から受ける最大回転モーメントを測定して、当該最大回転モーメントの測定値よりフレッシュモルタル等の最大せん断応力を算出する一方、あらかじめ設定したフロー値から、所望の最大せん断応力を選定し、この選定した最大せん断応力と、上記算出した最大せん断応力とを比較して、フレッシュモルタル等の強度を推定可能とするものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平9-96599号公報
【特許文献2】特開2004-224652号公報
【特許文献3】特開2006-329726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のコンシステンシー評価方法は、フロー値もしくは最大せん断応力を算出するなどによりフロー値に準ずる値が提案され、フロー法よりも測定の容易性を向上させたものもあるが、あくまでフロー法の枠組みの中での評価方法であるために、フロー法の精度範囲内での評価方法に留まっている。フロー値は、振動を加えることにより生ずる崩れの結果をマクロに評価するもので、モルタルの相対的な固さを表す工学量であるため、加圧輸送時の流動性、施工速度や施工後の付着性、表面仕上げに影響する要素までは評価できないという課題を有する。また、モルタルは、練り混ぜから凝固まで材料特性が経時的に変化する材料であるが、フロー値では、当該経時的な材料特性を反映できないために測定タイミングによっては測定結果にバラツキを生じる虞があるという課題を有する。
【0008】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、モルタルの経時的な変化を考慮したコンシステンシー評価を行うことにより、評価精度を向上させた新規のコンシステンシー評価方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、モルタルを評価する際に、新たに時間の概念を取り入れることで、上記課題を解決できることを見出した。
かくして、本願に開示するコンシステンシー評価方法は、セメントを主成分とする粉末材料及び水を主成分とする液体材料を所定の割合で練り合わせたモルタルを収納容器に投入し、当該収納容器内で回転翼を所定の回転速度により攪拌し、当該攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間及び/又は当該過渡期間経過後の安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定するせん断応力測定工程と、前記過渡期間及び/又は安定期間における各種モルタルのせん断応力に関連する評価基準値を、各種モルタルごとに保持する情報保持工程と、前記せん断応力測定工程により測定されたせん断応力を前記評価基準値と比較し、モルタル評価を行うモルタル評価工程とを備えるものである。
【0010】
このように、本願に開示するコンシステンシー評価方法は、せん断応力測定工程が前記練り合わせたモルタルを収納容器に投入し、当該収納容器内で回転翼を所定の回転速度により攪拌し、前記過渡期間及び/又は安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、情報保持工程が前記安定期間におけるせん断応力を各種モルタルごとに評価基準値として保持し、比較工程が前記測定されたせん断応力を前記評価基準値と比較してモルタル評価を行うことから、練り混ぜから凝固まで材料特性が経時的に変化するモルタルに対して、前記過渡期間及び/又は安定期間におけるせん断応力を測定することにより、せん断応力を安定的に測定できることとなり、モルタル評価の評価精度を向上させることができ、効率的なモルタル吹付け及び/又はコテ塗りなどのモルタル施工を材料選定・調製の段階で支援することができる。
【0011】
また、本願に開示するコンシステンシー評価方法は必要に応じて、前記せん断応力測定工程により順次測定されたせん断応力の経時変化を測定変化特性として検出する経時変化検出工程を備え、前記せん断応力測定工程が、前記過渡期間及び安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、前記情報保持工程が、各種モルタルにおける材料特性及び前記せん断応力の経時変化の傾向を示す経時変化特性を、前記評価基準値として、前記回転翼の種類ごとに保持し、前記モルタル評価工程が、経時変化特性と測定変化特性との比較に基づいて、前記測定変化特性からモルタルの材料特性を検出してモルタル評価を行うものである。
【0012】
このように、本願に開示するコンシステンシー評価方法は、経時変化検出工程が、前記せん断応力測定工程により順次測定されたせん断応力の経時変化を測定変化特性として検出し、前記せん断応力測定工程が、前記過渡期間及び安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、前記情報保持工程が、各種モルタルにおける材料特性及び前記せん断応力の経時変化の傾向を示す経時変化特性を、前記評価基準値として、前記回転翼の種類ごとに保持し、前記モルタル評価工程が、経時変化特性と測定変化特性との比較に基づいて、前記測定変化特性からモルタルの材料特性を検出してモルタル評価を行うことから、練り混ぜから凝固まで経時的に変化するモルタルの材料特性を利用して、せん断応力を経時的に測定することでモルタルの材料特性を細分化して評価できることとなり、多種多様なモルタルの材料特性を高精度に検出することができ、吹付け作業及び/又はコテ塗り作業に適するモルタルの選定・調製を支援することができる。
【0013】
また、本願に開示するコンシステンシー評価方法は必要に応じて、前記せん断応力測定工程が、前記過渡期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、前記情報保持工程が、各種モルタルにおけるせん断速度に応じたモルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つを材料特性として、各種モルタルごとに保持し、前記モルタル評価工程が、前記せん断応力測定工程により測定されたせん断応力を前記材料特性と比較し、モルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つをモルタル特性として演算してモルタル評価を行うものである。
【0014】
このように、本願に開示するコンシステンシー評価方法は、前記せん断応力測定工程が、前記過渡期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定し、前記情報保持工程が、各種モルタルにおけるせん断速度に応じたモルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つを材料特性として、各種モルタルごとに保持し、前記モルタル評価工程が、前記せん断応力測定工程により測定されたせん断応力を前記材料特性と比較し、モルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれか1つをモルタル特性として演算してモルタル評価を行うことから、多種多様なモルタルの材料特性に関して、フロー値のようにモルタルの相対的な固さを評価するのではなく、モルタル吹付けにおける施工速度や施工後の表面仕上げに影響を与える降伏値、塑性粘度及び付着力の物理量を評価できることとなり、吹付け作業に適するモルタルの選定をさらに精度良く支援することができる。
【0015】
また、前記過渡期間は、好ましくは、各羽根の回転角度の総和が攪拌開始時から180°回転した近傍の期間としてもよい。また、前記安定期間は、好ましくは、各羽根の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコンシステンシー評価方法は、モルタルの材料特性を高精度に評価できることから、モルタル吹付けに適するモルタルの材料選定を精度良く支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の回転翼粘度計の概略図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の正面図
【図4】本発明に係るコンシステンシー評価装置のせん断応力及びフロー値に関する実験結果
【図5】本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の安定期間におけるせん断応力を用いた材料評価結果
【図6】本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の詳細設計図
【図7】本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のブロック図
【図8】本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の過渡期間及び安定期間におけるせん断応力を用いた材料評価結果
【図9】本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の回転速度およびモルタル練り後の経過時間に応じた材料評価結果
【図10】本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置の品質評価の一例を示す説明図
【図11】本発明の第3の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のブロック図
【図12】本発明の第3の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のレオロジー変換を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。従って、本実施形態の記載内容のみで本発明を解釈すべきではない。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。

【0019】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置を、図1から図6に基づいて説明する。この図1は本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のブロック図、図2はこの図1に記載されたコンシステンシー評価装置の回転翼粘度計の概略図、図3はこの図1に記載されたコンシステンシー評価装置の正面図、図4はこの図1に記載されたコンシステンシー評価装置のせん断応力及びフロー値に関する実験結果、図5はこの図1に記載されたコンシステンシー評価装置の安定期間におけるせん断応力を用いた材料評価結果、図6はこの図1に記載されたコンシステンシー評価装置の詳細設計図を示す。

【0020】
(構成)
本発明の第1の実施形態に係るコンシステンシー評価装置は、図1(a)に示すように、セメントを主成分とする粉末材料(C(kg))及び水を主成分とする液体材料(W(kg))を所定の割合(W/C)で練り合わせたモルタルを収納容器に投入し、収納容器内で回転翼を所定の回転速度により攪拌し、この攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間の経過後の安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定するせん断応力測定手段1と、この安定期間におけるせん断応力を各種モルタルごとに評価基準値として基準値情報2aに保持する情報保持手段2と、この情報保持手段2に評価基準値を入力する入力手段3と、このせん断応力測定手段により測定されたせん断応力をこの評価基準値と比較し、モルタル評価を行うモルタル評価手段4と、このモルタル評価手段4の結果を出力する出力手段5とを備える構成である。

【0021】
また、この基準値情報2aは、同図(b)に示すように、この入力された評価基準値と、この評価基準値に該当する材料情報とを紐付けて記憶する。
また、セメントを主成分とする粉末材料(C(kg))としては、セメント、砂、混和材料、樹脂粉末などの粉末材料を含むことができる。また、水を主成分とする液体材料(W(kg))としては、水、懸濁液(薬液)などの液体材料を含むことができる。このため、本発明のモルタルとしては、セメント及び水のみから形成される単純なモルタルのみならず、無収縮モルタル、ポリマーセメントモルタルなどの多種のモルタルを対象とすることができる。

【0022】
また、このせん断応力測定手段1として、回転翼粘度計を使用する。このせん断応力測定手段1としての回転翼粘度計は、図2に示すように、練り上げたモルタルを収納する収納容器101と、この収納容器101を戴置する底板102と、この底板102に連結され、この底板102を回転させるモーターを備える駆動部103と、モルタルを収納する収納容器101に挿入され、複数の羽根141を備える回転翼部104と、この回転翼部104に連結され、羽根141の回転運動におけるトルク値を計測するトルク計105と、このトルク計105の高さを調節するトルク高さ調節部106とを備えて構成される。

【0023】
この回転翼粘度計は、セメントを主成分とする粉末材料(C(kg))及び水を主成分とする液体材料(W(kg))を一定の割合(W/C)で練り合わせたモルタルを収納容器101に投入し、この収納容器101内でこの回転翼部104を所定の回転速度により攪拌し、モルタルに発生するせん断応力を攪拌開始から少なくともせん断応力が過渡的に変化する過渡期間及び/又はこの過渡期間の経過後の安定期間において測定する。

【0024】
この収納容器101は、鉄製のものであり、好ましくは、高い防錆製及び磁性を有する400系ステンレスが望ましい。また、この収納容器101の内径は、回転翼部104の全幅の5倍以上の長さとする。また、この底板102は、鉄製のものを使用し、さらにその表面に電磁石をコーティングするか、又は電磁石を埋め込んでもよい。この底板102は、この磁石コーティングにより、磁力を用いることで確実にこの収納容器101を固定することができる。

【0025】
また、この駆動部103は、モーターの回転速度を調節できる回転速度調整ダイヤル131を備えてもよい。この回転速度調整ダイヤル131は、モーターの回転速度を、例えば、モーターの回転速度の大きさに応じて「低」、「高」の2段階に設定できるようにしてもよいし、モーターの回転速度の大きさに応じて「低」、「中」、「高」の3段階に設定できるようにしてもよい。また、このモーターの回転速度の大きさは、約60°/分の回転速度が設定できることが好ましい。これは、モルタルの安定期間が、モーターの回転速度に対して指数関数的に変動する傾向を有するため、約60°/分より速い場合には、より短時間での測定を可能とする利点があるが、コンシステンシーを測定する観点からは、モルタルの流動緩和をより速く測定していることとなり、正確性に欠くという問題がある。このため、測定時間および変形抵抗性を正確に捉えるという観点から、60°/分程度が望ましい。

【0026】
また、この回転翼部104は、複数の鉄製の羽根141を備える。この回転翼部104は、形状及び枚数に関して様々な羽根141を備えることができる。この羽根141の形状としては、例えば、空洞を有する形状、空洞が無い形状、長方形、正方形、半楕円、半円などの形状を選択することができる。また、この羽根141の枚数は、例えば、2枚、3枚又は4枚などの複数枚のうちから選択することができる。

【0027】
また、このトルク計105は、計測したトルクを表示する表示板51を備えて構成される。この表示板51は、アナログ方式でトルク表示を行うこともでき、デジタル方式でトルク表示を行うこともできる。

【0028】
また、このトルク高さ調節部106は、ダイヤル方式の高さ調整ダイヤル161を備える。この高さ調整ダイヤル161を備えることにより、回転翼部104を収納容器101に挿入する際に、回転翼部104の位置を手動で容易に設定することができる。

【0029】
また、トルク計105は、換算式τ=M/π(D2H/2+D3/6)を用いて、トルク値M(N・m)からせん断応力τ(Pa)に変換する。(D(m)およびH(m)は、図2に示すように、それぞれ、回転翼部104の幅および高さを表す)
また、この情報保持手段2と、この基準値情報2aと、この入力手段3と、このモルタル評価手段4と、この出力手段5とは、このトルク計105に接続される演算処理装置10として機能する。また、この演算処理装置10は、図1に示すような回転翼粘度計の外部に設置される外部装置として設置してもよく、また、回転翼粘度計の内部に集積回路として組み込まれてもよい。
このように、コンシステンシー評価装置として回転翼粘度計を使用することにより、以下のような利点が挙げられる。

【0030】
まず、回転翼粘度計が既存の装置である土の現位置試験を応用したものであることから、既存の装置を流用することにより、本コンシステンシー評価装置の設計から実用化までの工期の短縮化を図ることができる。

【0031】
また、モルタルはペンキ等の他の吹付け材料と比較して流動性が低いという特徴を有することから、従来の装置では測定が不能であったが、本発明では回転翼粘度計を使用することにより、流動性が低いモルタルに対しても回転翼で練り混ぜることにより、コンシステンシー評価として容易にそのせん断応力を測定できることとなる。

【0032】
この従来の装置としては、例えば、レオメータ、ロート式もしくは傾斜管式粘度計を挙げることができる。レオメータを使用した場合には、レオメータのローターの上面にモルタルが回り込めないためにモルタルの測定が不能であり、また、既存のロート式もしくは傾斜管式粘度計を使用した場合には、モルタル自体が測定装置内を流動できないという課題があった。

【0033】
さらに、レオメータを使用する場合には、モルタルはペンキ等の他の吹付け材料と比較して粘着力(固体への付着力)が小さいという特徴も有することから、レオメータのローターの回転速度を速くした場合には、ローターの回転に試料(モルタル)が追従できないことから正しい結果が得られないこととなり、測定時間の短縮化を図る場合において不利であった。

【0034】
また、本回転翼粘度計は一般的な回転式粘度計と比較して、精密部が少ないことから、施工現場で予想される湿度及び粉塵への耐久性が高い。また、回転翼粘度計は、フロー法で規定されている重さ約150kgの土台に固定する必要がなく、さらに必要に応じた軽量化を図ることにより可搬性を高めることができる。このため、本回転翼粘度計は、現場での使用、特に、施工箇所ごとに装置を移動させる必要がある補修・補強作業に適するという利点も有する。

【0035】
本発明のコンシステンシー評価装置としての回転翼粘度計は、図6に示す詳細設計図に基づいて作製することができる。同図(a)は、本回転翼粘度計の側面図であり、同図(b)は、本回転翼粘度計の正面図である。

【0036】
(評価手順)
コンシステンシー評価を行うモルタルの前処理としての混練作業は、例えば、容量が100リットル程度のモルタル練りミキサーを使用し、低速度で空練りを10秒間行い、さらに、モルタルの練り混ぜ及び掻き落としを交互に行うことで本練りを5分間行い、モルタルを練り上げる。

【0037】
次に、この練り上げたモルタルを収納容器101に投入する。さらに、この収納容器101の内部に収容されたモルタルに、回転翼部104を埋め込み挿入する。この回転翼部104を挿入した後、高さ調整ダイヤル161を用いてこの回転翼部104を上下方向に調整して所定の挿入深さNで固定する。この挿入深さNは、図1に示すように、好ましくは、回転翼部104の高さHと同程度の深さとする。

【0038】
また、図3に示すように、高さ調整ダイヤル161の固定位置とトルク計105との間隔Lは、約5cm~15cm、好ましくは、10cm程度となるように設定する。また、駆動部103とトルク計105との間隔Mは、約25cm~35cm、好ましくは、30cm程度となるように設定する。

【0039】
次に、回転速度調整ダイヤル131を設定し、駆動部103のモーターを駆動させる。このモーター駆動により、底板102が回転動作を開始する。この底板102の回転動作により、回転翼部104の羽根141がモルタルを練り上げる。このように、収納容器101ではなく底板102を回転させることにより、駆動機構の重心が下がることとなり、本回転翼粘度計の設置における安定性を高めることができる。また、収納容器101を回転させる場合に必要な収納容器101の動作を制御するための装置が不要となることとなり、測定機構を簡素化することができ、装置の省スペース化を図ることができる。

【0040】
この羽根141に発生したトルクは、モルタルに発生したせん断力としてトルク計105により計測される。また、トルク計105にトルク値を表示する表示機能を一体化させることにより、装置のコンパクト化及び耐久化を図ることもできる。

【0041】
このトルク計105による計測では、攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間の経過後の安定期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定する。この安定期間は、好ましくは、回転翼部104に配設された各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間としてもよい。この安定期間の判断方法は、本発明者の鋭意研究の結果、各羽根141の回転角度とモルタル状態の相関関係により見出されたものである。

【0042】
このトルク計105を用いて、羽根141の形状、モルタルの材料の種類及び水とセメントの混合比率(W/C)の各種諸条件を確定後、せん断応力の経時変化を測定する。モルタル評価手段4は、安定期間において測定された計測データを、基準値情報2aに基づいて、入力手段3で入力された評価基準値と比較し、モルタル評価を行う。

【0043】
この安定期間ではせん断応力が各種のモルタル材料に応じた一定値に収束することから、この安定期間を考慮してせん断応力を測定することにより、せん断応力を安定的に測定できることとなり、モルタル評価の評価精度を向上させることができ、的確なモルタル選定を行うことができる。

【0044】
このように、測定対象のモルタルから得られたせん断応力と評価基準値とを比較することにより、測定されたモルタルと評価基準値(基準せん断応力)との差が分かることから、目的とする十分な品質にモルタル材料が達しているか否かに関する品質管理を的確に行うことができる。また、この評価基準値は、最適なせん断応力としての許容幅を設けることもでき、この場合には、せん断応力値測定時に発生しうる誤差を考慮できることとなり、より正確にモルタルの評価を行うことができる。

【0045】
(せん断応力とフロー値との相関関係)
本発明者は、図4に示すように、モルタルの安定期間のせん断応力τsat(Pa)とフロー値(mm)との相関関係を確認した。同図は、モルタルの銘柄を区別せずにプロットした結果である。同図(a)は、縦軸(せん断応力)を線形で表示し,同図(b)は、縦軸(せん断応力)を対数で表示した。同図(a)及び(b)の測定結果から、安定期間のせん断応力τsatとフロー値は銘柄に関わらず,強い相関関係にあることが確認された。

【0046】
また、フロー値は、通常、100~300mmの範囲で定義され,モルタルでは170mmを目安に品質管理がされることが多いが、同図から、本発明のコンシステンシー評価は、フロー値170mm近傍の変曲点を評価できることが判明した。

【0047】
このため、従来のコンシステンシー評価の指標値として実績のあるフロー値とモルタルに発生するせん断応力とは相関関係があることから、本発明におけるモルタルに発生するせん断応力を用いたコンシステンシー評価は、十分な信頼性を有するものと理解される。

【0048】
本発明の特徴を更に具体的に示すため、以下に実験を行った結果を記すが、本発明はこれらの実験によって制限されるものではない。実施例で用いた材料を、以下に詳述する。
モルタルは、市販されているモルタルA、モルタルB及びモルタルCの3種類を使用した。これらは、高機能性能特殊粉末樹脂及び特殊短繊維をプレミックスした特殊無機系パウダーからなるポリマーセメントモルタル(PCM)である。また、回転翼部104は、4枚の長方形形状の羽根141が90°間隔となるように構成した。

【0049】
(安定期間のせん断応力による材料評価)
上記の各モルタルに対してせん断応力を測定した結果を、図5に示す。
羽根141が4枚の場合で実験を行ったため、前記安定期間は、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した時間である開始時刻から120秒経過後(安定期間A)とすることができる。
このモルタル評価により、例えば、せん断応力が、評価基準値aである場合には、図1(b)に示すように、モルタル材料がA、すなわち、モルタルAであることが判断できる。

【0050】
測定されたモルタルは、同図に示すように、開始時刻から120秒経過後である安定期間Aにおけるせん断応力から、モルタルA、モルタルB、モルタルCのうちいずれかであるかを容易に判断することができる。また、各モルタルにおいて品質を十分に満たす指標値に到達しているか否かも容易に判断することができる。

【0051】
さらに、安定期間Aにおけるせん断応力のみで、上述したW/C値の1%の違いを明確に区別されている。従来のフロー法では、W/C値の1%の違いは誤差範囲に丸め込まれるために、その違いを評価することができなかったが、このように、本コンシステンシー評価方法では、このW/C値の1%の違いを明確に区別することができたため、従来よりも精度が高く、物性の変化を鋭敏に測定できる評価方法といえる。

【0052】
このため、各モルタルに対してより最適なW/C値を検出できることから、本コンシステンシー評価方法では、モルタルを練り上げる場合に、従来のように作業者の経験や直感に基づいてW/C値が設定されるよりも高精度にW/C値を設定できることとなり、吹付けに適するモルタルを高い精度で選定することができ、モルタル吹付け作業を効率化することができる。また、本コンシステンシー評価方法は、粉末材料が吸湿している場合(吸湿量をα(kg)とする)、配合量比のW/C値ではなく、吸湿分を含めた(W+α)/(C-α)値がデータに現れることから、調製されたモルタルの性質をより実質的に表す数値が得られることとなり、品質管理上の利点となる。

【0053】
また、上記では羽根141の枚数が4枚としたため、安定期間を開始時刻から120秒経過後としたが、例えば、羽根141の枚数が2枚の場合には、この安定期間を開始時刻から240秒経過後とすることができ、また、羽根141の枚数が6枚の場合には、この安定期間を開始時刻から80秒経過後とすることができる。

【0054】
また、上記の実施形態において、安定期間は、回転翼部104に配設された各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間としたが、この期間に限定されるものではなく、本実施形態では所定時点でのせん断応力が、安定的に測定できれば十分であるので、例えば、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から540°、600°または720°となる時点などでもよい。

【0055】
また、本実施形態では、過渡期間経過後の安定期間のせん断応力を測定したが、この形態に限定されず、過渡期間のせん断応力、または、安定期間及び過渡期間のせん断応力を測定してモルタル評価を行ってもよい。

【0056】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価方法及びコンシステンシー評価装置は、測定点を複数時点に設定することにより、さらに経時的要素を高めてモルタルのせん断応力を測定し、モルタルのコンシステンシー評価を行うものである。
上述した本発明の第1の実施形態との変更点に関して、以下に説明する。

【0057】
以下、本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置を、図7から図10に基づいて説明する。この図7は本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のブロック図、図8はこの図7に記載されたコンシステンシー評価装置の過渡期間及び安定期間におけるせん断応力を用いた材料評価結果、図9はこの図7に記載されたコンシステンシー評価装置の回転速度およびモルタル練り後の経過時間に応じた材料評価結果、図10はこの図7に記載されたコンシステンシー評価装置の品質評価の一例を示す説明図を示す。

【0058】
(構成)
本発明の第2の実施形態に係るコンシステンシー評価装置は、図7(a)に示すように、本発明の第1の実施形態で説明した前記せん断応力測定手段1が、前記過渡期間の経過後の安定期間に加えてさらに、攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定する。また、前記情報保持手段2は、各種モルタルにおける材料特性及びこのせん断応力の経時変化の傾向を示す経時変化特性について、回転翼の種類ごとに保持する。また、前記入力手段3は、この情報保持手段2にこの経時変化特性を入力する。また、前記モルタル評価手段4の代わりに、前記せん断応力測定工程により順次測定されたせん断応力の経時変化を測定変化特性として検出する経時変化検出手段6と、この経時変化特性と測定変化特性との比較に基づいて、この測定変化特性からモルタルの材料特性を検出する材料特性検出手段7とを備える。また、前記出力手段5は、この検出されたモルタルの材料特性を出力する。
また、この材料特性情報2bは、同図(b)に示すように、この入力された経時変化特性と、この経時変化特性に該当するモルタルの材料特性とを紐付けて記憶する。

【0059】
本実施形態のコンシステンシー評価装置は、セメントを主成分とする粉末材料(C(kg))及び水を主成分とする液体材料(W(kg))を所定の割合(W/C)で練り合わせたモルタルを収納容器101に投入し、この収納容器101内で回転翼部104を一定の回転速度により攪拌し、モルタルに発生するせん断応力を攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間及びこの過渡期間の経過後の安定期間において測定する。

【0060】
この過渡期間は、好ましくは、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から180°近傍の期間としてもよい。また、この安定期間は、好ましくは、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間としてもよい。この安定期間及び過渡期間の判断方法は、本発明者の鋭意研究の結果、各羽根141の回転角度とモルタル状態との相関関係により見出されたものである。

【0061】
このように、安定期間を考慮してせん断応力を測定することにより、この安定期間ではせん断応力が各々のモルタル材料に応じた一定値に収束することから、せん断応力が安定的に測定されることとなり、モルタル評価の評価精度を向上させることができ、的確なモルタル選定を行えることができる。

【0062】
本発明の特徴を更に具体的に示すため、以下に実験を行った結果を記すが、本発明はこれらの実験によって制限されるものではない。
モルタルは、上述した本発明の第1の実施形態と同様に、市販されているモルタルA、モルタルB及びモルタルCの3種類を使用した。また、回転翼部104は、4枚の長方形形状の羽根141が90°間隔となるように構成した。

【0063】
(過渡期間及び安定期間のせん断応力による材料評価)
上記の各モルタルに対して、本発明のコンシステンシー評価装置の過渡期間及び安定期間におけるせん断応力を用いた材料評価結果を、図8に示す。測定されたモルタルは、同図に示すように、モルタルの前処理である混練作業後の経過時間が20分となったモルタルであって、W/C値が各々異なるモルタルである。

【0064】
また、羽根141が4枚としたため、この安定期間は、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した時間として、開始時刻から120秒経過後とした。また、この過渡期間は、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から180°回転した近傍の期間として、開始時刻から45秒経過時点近傍とした。

【0065】
このように、測定されたモルタルは、同図に示すように、安定期間A及び過渡期間Bにおけるせん断応力から、モルタルA、モルタルB、モルタルCのうちいずれかであるかをさらに高精度に判断することができる。

【0066】
例えば、測定されたモルタルが、安定期間A及び過渡期間Bにおけるせん断応力からなる経時変化特性が「aabb」を有する場合には、図7(b)に示すように、モルタル材料がA、すなわち、モルタルAであると判断される。また、このモルタルAとの経時変化特性との差も分かることから、作成したモルタルに対して、品質が十分であるかを判断することもできる。

【0067】
このように、経時変化特性を参照することから、測定されたあるモルタルが、基準となるモルタルに対して、安定期間Aにおいて基準せん断応力が同じ場合でも、過渡期間Bにおいて基準せん断応力が異なる場合には、基準となるモルタルとは区別されることとなり、評価精度を高めることができる。

【0068】
また、本コンシステンシー評価方法では、各モルタルに対して最適なW/C値を検出できることから、作業者の経験や直感に基づいたW/C値の設定よりも高精度なW/C値の設定を行えることとなり、吹付けに適するモルタルを選定できることからモルタル吹付け作業を効率化することができる。

【0069】
このように、安定期間A及び過渡期間Bにおけるモルタルのせん断応力の大きさを用いることで新規のコンシステンシー評価とすることができ、従来のコンシステンシー評価よりも信頼性の高い評価を行う指標を提供することができる。

【0070】
また、上記の実施形態において、安定期間及び過渡期間は、上記のように各々が回転翼部104に配設された各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から480°以上回転した期間としたが、この期間に限定されるものではなく、所定時点でのせん断応力が、基準せん断応力と比較できれば十分であるので、例えば、各羽根141の回転角度の総和が攪拌開始時から600°、660°または720°となる時点などでもよい。

【0071】
また、上記の実施形態において、過渡期間及び安定期間におけるせん断応力を組み合せて、モルタルのコンステンシー評価を行ったが、過渡期間のみ、または安定期間のみにおけるせん断応力に基づいて、モルタルのコンステンシー評価を行うことも、所定時点のせん断応力を基準せん断応力と比較するという観点から十分に実施可能である。

【0072】
また、本実施形態では、各種モルタルに発生する経時的なせん断応力を1又は複数時点で測定することから、せん断応力と練り混ぜからの時間との関係に基づいて、現場での練り混ぜから吹付け実施までの時間に応じて(用途に応じて)最適なモルタル材料の選定を支援することができる。

【0073】
なお、上記の各実施形態においては、回転速度が60°/分の場合のみを測定したが、本発明は、この回転速度に限定されるものではない。例えば、前記回転翼部104に、4枚の長方形形状の羽根141が90°間隔となるように構成した場合に、図9(a)に示すように、回転速度を変化させた場合でも、上記と同様に、安定期間A及び過渡期間Bを判断することができる。また、回転速度が6°/分及び240°/分の場合には、安定期間A及び過渡期間Bの精度が落ちることから、回転速度は、6°/分より速く、且つ240°/分より遅いことが好ましい。また、上述したように、回転速度が60°/分近傍であることがさらに好ましい。

【0074】
また、同図(b)に示すように、モルタルを練ってからの時間に応じてモルタルのコンシステンシーを測定することで、状況に応じた適切な特性を有するモルタルを選定することができる。例えば、期待するモルタルの特性を得るためには、モルタルを練ってから何分経過すればよいかを判断することができる。

【0075】
(品質指標)
本発明者は、鋭意研究の結果、図10(a)に示すように、回転速度 6°/分、60°/分、240°/分の各グラフにおける過渡期の終了時点の回転角(c=110°, b=130°, a=180°)を結んだ直線yが、この回転速度の比率に対してべき関数の関係を有することを見出した。 すなわち、サンプル中最小の回転速度である回転速度6°/分の場合の角度110°に対する各回転速度の比xは、1((6°/分)÷(6°/分))、10((60°/分)÷(6°/分))、40((240°/分)÷(6°/分))となる。上記の直線yをべき関数としてy=1.015^xと定義した場合には、x=1、10、40の各々に対して、y=1、1.18、1.64となり、各回転速度のグラフとの交点に一致する。

【0076】
このようなべき関数を使用することにより、回転速度に応じたモルタル品質を予測できることから、期待するモルタル品質に対する回転速度を算出できることとなり、期待する品質のモルタルを容易に得ることができる。

【0077】
さらに、本発明者は、過渡期間の変形抵抗性(τtrans)と安定期間の変形抵抗性(τstable)から、比(τtrans/τstable)とτstableとをパラメータとして、品質指標を抽出できることを見出した。図10(b)~(d)に示すように、比(τtrans/τstable)とτstableの二次元プロットを用いてモルタルの評価を行った。

【0078】
(モルタルの水分比(W/C)依存性)
図10(b)に示すように、モルタル素材ごとの水分比の最適化という視点から、モルタルに流動性、付着性を持たせるために、τstableの値としては700程度が必要とされることから、モルタルの最適な水分比は、モルタルAでは18%、モルタルB及びCでは14%であることがわかる。このグラフから、W/C比のわずかな違いがτstableの違いとして示されることから、モルタル素材の水分比によりτstableを調製できることとなり、現場での調製精度を確保することができる。

【0079】
(調製後の経過時間依存性)
図10(c)に示すように、調製後の経過時間とともに、τstableが増加していることから、モルタルは、硬くなっていることがわかる。モルタル素材によって過渡期間の変形抵抗性(τtrans)が異なることから、パラメータ(τt/τs) を、品質管理の指標とすることができる。すなわち、比(τt/τs)は、τstableに対して、モルタルAでは変化なく1近傍であるが、モルタルBでは大きく増加する(流動初期の変形抵抗性が大きくなる)。このことから、例えば、モルタルBは、このパラメータ(τt/τs)の変動を参照することで、調製後に細かい時間管理を行うことが必要なモルタル素材であると判断することができる。

【0080】
(回転速度の影響)
回転速度の影響については、モルタル素材に応じて異なる。例えば、モルタルA及びモルタルBは、回転速度が増加するとともにτstableが増加し、モルタルCは、回転速度が増加するとともにτstableが減少している。このように、期待するモルタル特性に対して、各素材の特性に応じた最適な回転速度を選定することができる。

【0081】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るコンシステンシー評価方法及びコンシステンシー評価装置は、上記の第1の実施形態と同様に回転翼粘度計により測定されたせん断応力から、レオロジー定数を推測するものである。上述した本発明の第1の実施形態との変更点に関して、以下に説明する。

【0082】
(構成)
本実施形態のコンシステンシー評価方法及びコンシステンシー評価装置について、以下、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、本発明の第3の実施形態に係るコンシステンシー評価装置のブロック図、図12はこの図11に記載されたコンシステンシー評価装置のレオロジー変換を示す説明図である。

【0083】
図11(a)に示すように、本発明の第1の実施形態で説明した前記せん断応力測定手段1が、攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間においてモルタルに発生するせん断応力を測定する。また、前記情報保持手段2は、各種モルタルにおけるせん断速度に応じたモルタルの降伏値及び塑性粘度をレオロジー特性情報2cとして、各種モルタルごとに保持する。また、前記入力手段3は、この情報保持手段2にこのレオロジー特性情報2cを入力する。また、前記モルタル評価手段4は、このせん断応力測定手段1により測定されたせん断応力に基づいて、モルタルの降伏値及び塑性粘度を演算し、モルタルの材料特性を評価する。また、前記出力手段5は、この検出されたモルタルの材料特性を出力する。

【0084】
また、このレオロジー特性情報2cは、同図(b)に示すように、この入力されたレオロジー特性として、モルタルの材料ごとに特有の変換値a及び変換値bを、モルタルの材料特性と紐付けて記憶する。例えば、モルタルAに関しては、変換値a1及び変換値b1が入力され、モルタルBに関しては、変換値a2及び変換値b2が入力される。

【0085】
また、この出力手段5は、このモルタル評価手段4の演算結果を、デジタル方式で表示する外部装置としてのレオロジー定数推定用ユニットを用いて表示することもできる。
また、本実施形態に係るコンシステンシー評価装置は、セメントを主成分とする粉末材料(C(kg))及び水を主成分とする液体材料(W(kg))を一定の割合(W/C)で練り合わせたモルタルを収納容器101に投入し、この収納容器101内で回転翼部104を一定の回転速度により攪拌し、モルタルに発生するせん断応力を少なくとも攪拌開始からせん断応力が過渡的に変化する過渡期間において測定する。

【0086】
このモルタル評価手段4は、以下の式1に基づいて、このせん断応力測定手段1により測定されたせん断応力に基づいて、モルタルの降伏値及び塑性粘度をレオロジー定数として演算する。なお、式中のa及びbは、各々、この変換値a及び変換値bに該当し、ty及びty'は、各々、本コンシステンシー評価装置により測定されたせん断応力、及び従来の粘度計により測定されたせん断応力を示す。

【0087】
【数1】
JP0005458254B2_000002t.gif

【0088】
図12は、上記の式1を用いたモルタルの降伏値及び塑性粘度の推定方法を示している。同図(a)は、本コンシステンシー評価装置により測定されたせん断速度(s-1)に応じたせん断応力(Pa)を示し、同図(b)は、従来の粘度計により測定されたせん断速度に応じたせん断応力(Pa)を示す。上記式は、図(a)に示された実測されたせん断応力ty'(Pa)を、同図(b)ty(Pa)に示されたせん断応力ty(Pa)に変換する。

【0089】
上記の式1を用いることにより、同図(c)に示すように、従来の粘度計により測定された実測領域Xに、本コンシステンシー評価装置により測定された実測値の外挿領域Yが外挿される。このように、本コンシステンシー評価装置により測定された実測値の相関直線を、従来の粘度計の測定値に外挿できることとなり、ty'(Pa)の実測値からty(Pa)を推定すること、すなわち、モルタルの降伏値及び塑性粘度を当該直線の傾き及び切片から得ることができる。

【0090】
このように、自己充填性及び高粘ちゅう性を有する高流動モルタルの粘性を調べる従来のレオメータでは、モルタルのレオロジー特性を測定できないという課題があるが、このレオメータの測定データを利用し、本発明のコンシステンシー評価装置によりモルタルのレオロジー特性を類推することができる。

【0091】
本発明のコンシステンシー評価装置は、この推測されたレオロジー定数から、モルタル材料の材料特性が、物理量の観点からも評価できることとなり、既存のモルタル材料に対してモルタルの粘りまで含めて細分化された評価をおこなえることができ、そのモルタルの銘柄又は配合ごとの最適な施工条件を提示することもできる。さらに、本発明のコンシステンシー評価装置は、新規にモルタル材料を開発する場合にも、モルタルの使用状況に応じた要求性能に対して、モルタルの細分化された材料特性を提示することで的確な指針を示すことができる。

【0092】
例えば、本発明のコンシステンシー評価装置は、降伏値の基準値を設けてモルタル評価手段4により推測された降伏値と比較させることにより、この基準値よりも降伏値が高いと推測されたモルタルは、厚めに吹付け施工及び/又はコテ塗り等を行う際の最適な施工方法を見出すことが可能であると判断することができる。また、吹付け総厚みから発生するモルタルの自重に耐えうるせん断応力をもつように降伏値を設定し、モルタル材料を新規に作成することも、このモルタル評価手段4により推測された降伏値を利用することで容易に可能となる。

【0093】
また、鉛直壁に対する施工を行う場合には、モルタル材料のダレを抑制するために、このモルタル評価手段4が推測した降伏値に基づいて、降伏値が基準値よりも大きいモルタル材料を新規に作成することも容易に可能となる。

【0094】
なお、本実施形態では、レオロジー定数として、モルタルの降伏値及び塑性粘度を演算したが、この形態に限定されることはなく、モルタルの降伏値、塑性粘度及び付着力のうち少なくともいずれかの組み合わせを演算することも可能である。

【0095】
本発明において、モルタルの付着力とは、吹き付け及び/又はコテ塗りしたモルタルが硬化した後の対象コンクリートとの付着力(接着力)を意味する。この付着力は、例えば、モルタルの吹付け対象物に凹凸がある場合には、モルタルの降伏値と相関し、モルタルの降伏値が大きいほど,対象物と接触した場合はいわゆる「引っかかり」がよくなるために施工中の付着力は相乗的に高いと判断することもできる。
【符号の説明】
【0096】
1 せん断応力測定手段
101 収納容器
102 底板
103 駆動部
131 回転速度調整ダイヤル
104 回転翼部
141 羽根
105 トルク計
106 トルク高さ調節部
161 高さ調整ダイヤル
2 情報保持手段
2a 基準値情報
2b 材料特性情報
2c レオロジー特性情報
3 入力手段
4 モルタル評価手段
5 出力手段
6 経時変化検出手段
7 材料特性検出手段
10 演算処理装置
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11