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Specification :(In Japanese)可視光応答型光触媒複合体

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5605601
Publication number P2010-119996A
Date of registration Sep 5, 2014
Date of issue Oct 15, 2014
Date of publication of application Jun 3, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)可視光応答型光触媒複合体
IPC (International Patent Classification) B01J  35/02        (2006.01)
C02F   1/72        (2006.01)
C02F   1/30        (2006.01)
FI (File Index) B01J 35/02 J
C02F 1/72 101
C02F 1/30
Number of claims or invention 7
Total pages 17
Application Number P2008-298437
Date of filing Nov 21, 2008
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 ▲1▼掲載年月日 平成20年7月18日 掲載アドレス (1)http://www.electrochem.org/meetings/biannual/214/214.htm (2)http://ecsmeet2.peerx-press.org/jsp/mas/reportTechProg.jsp?MEETING_ID=101&SYM_ID=158
特許法第30条第1項適用 ▲2▼発行者名 社団法人高分子学会 刊行物名 高分子学会予稿集 57巻2号 発行年月日 平成20年9月9日
特許法第30条第1項適用 ▲3▼発行者名 水野一彦 刊行物名 2008年光化学討論会 講演要旨集 発行年月日 平成20年9月11日
特許法第30条第1項適用 ▲4▼発行者名 水野一彦 刊行物名 2008年光化学討論会 講演要旨集 発行年月日 平成20年9月11日
特許法第30条第1項適用 ▲5▼発行者名 東南大学、東京大学、大連水産大学 刊行物名 The 15th China-Japan Bilateral Symposium on Intelligent Electrophotonic Materials & Molecular Electronics(第15回日中インテリジェント電子光子材料及び分子電子工学会議のプログラム) 発行年月日 平成20年9月18日
特許法第30条第1項適用 ▲6▼発行者名 東南大学、東京大学、大連水産大学 刊行物名 The 15th China-Japan Bilateral Symposium on Intelligent Electrophotonic Materials & Molecular Electronics(第15回日中インテリジェント電子光子材料及び分子電子工学会議のプログラム) 発行年月日 平成20年9月18日
特許法第30条第1項適用 ▲7▼発行者名 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 刊行物名 JSPS-CAS Core-University Program Japan-China Bilateral Workshop on Target Materials & Laser Plasma 2008(JSPS-CAS 拠点大学プログラム ターゲット物質・レーザープラズマに関する日中セミナー2008) 発行年月日 平成20年11月16日
Date of request for substantive examination Nov 18, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】長井 圭治
【氏名】保田 ゆづり
【氏名】阿部 敏之
Representative (In Japanese)【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
Examiner (In Japanese)【審査官】大城 公孝
Document or reference (In Japanese)特開平11-290840(JP,A)
特開2004-136260(JP,A)
特開2001-259668(JP,A)
特開平10-230168(JP,A)
特開2003-053195(JP,A)
特開2002-167694(JP,A)
国際公開第2006/115271(WO,A1)
長井圭治,有機半導体を利用した可視光全領域応答型光触媒,資源環境対策,2008年 5月15日,Vol.44, No.5,p.93-96,ISSN:0916-9172
Field of search B01J 21/00-38/74
JSTPlus(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
吸着材層上に、p型有機半導体及びn型有機半導体層この順に積層された可視光応答型光触媒を10~50枚積み重ねて構成される可視光応答型光触媒複合体であって、前記p型有機半導体層の材料がフタロシアニン誘導体でその厚みが5~20nmであり、前記n型有機半導体層の材料がペリレン誘導体でその厚みが5~20nmである、可視光応答型光触媒複合体
【請求項2】
前記可視光応答型光触媒が50~200μmの間隔で積み重ねられている請求項1に記載の可視光応答型光触媒複合体。
【請求項3】
前記可視光応答型光触媒の膜の間に、スペーサーが配置されている請求項2に記載の可視光応答型光触媒複合体。
【請求項4】
前記吸着材が、イオン交換樹脂、セルロースゲル、活性炭及びフェノール系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体と光源とを備え、前記可視光応答型光触媒複合体に前記光源で光を膜厚方向から照射しながら、被処理水を膜に平行な方向に流す水処理装置。
【請求項6】
前記光源が自然光である請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体に、光源で光を膜厚方向から照射しながら、積み重なっている各可視光応答型光触媒の間に被処理水を膜に平行な方向に流して被処理水に含まれる有機物又は無機物を分解する水処理方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光触媒と吸着材とを含む可視光応答型光触媒を積み重ねた可視光応答型光触媒複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光触媒を環境浄化に応用する試みが進められている。このような光触媒として、主に酸化チタンが利用されている。しかしながら、酸化チタンは、紫外領域の光により光触媒活性が発現されるものであるため、太陽光のうちエネルギー密度3%相当の紫外光が利用されているにすぎない。
【0003】
このため、光触媒反応の効率化、太陽光のうちの可視光を利用することができる光触媒の開発等が盛んに行われている。
【0004】
有機化合物からなる光触媒については、ポリパラフェニレン及びその誘導体等が報告されている(非特許文献1を参照)。これらは、酸化条件で不安定な材料であり、酸素存在下や気(湿潤空気)相や水を含む液相での利用が困難である等の問題点を有している。
【0005】
また、フタロシアニン等のp型有機半導体と、ペリレン誘導体等のn型有機半導体からなる二層膜が、可視光応答型光触媒として働くことが報告されている(特許文献1)。しかしながら、これを水処理に用いる場合、実用的な条件ではその被処理水量に対する水処理能力は必ずしも高くないため、該可視光応答型光触媒を用いて水処理を行う場合にはさらなる改善の余地があった。

【特許文献1】国際公開第2006/115271号パンフレット
【非特許文献1】J. Chem. Soc. Faraday Trans., 93, 221 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可視光応答型光触媒複合体、この可視光応答型光触媒複合体を用いた水処理装置及び水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、特許文献1に記載されるp型有機半導体とn型有機半導体とを含む有機光触媒に、所定の吸着材を組み合わせたものを複数枚積み重ねれば、少ない光照射面積で被処理水量に対する水処理能力が飛躍的に向上することを見いだした。本発明者らは、かかる知見に基づき更に研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の可視光応答型光触媒複合体、水処理装置及び水処理方法を提供する。
【0009】
項1.吸着材層上に、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む層が形成された可視光応答型光触媒を複数枚積み重ねて構成される可視光応答型光触媒複合体。
【0010】
項2.前記可視光応答型光触媒が、吸着材層上に、p型有機半導体層及びn型有機半導体層がこの順に積層されたものである項1に記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0011】
項3.前記可視光応答型光触媒のp型有機半導体層の厚みが5~20nmであり、n型有機半導体層の厚みが5~20nmである項2に記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0012】
項4.前記可視光応答型光触媒が10~50枚積み重ねられている項1~3のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0013】
項5.前記可視光応答型光触媒が50~200μmの間隔で積み重ねられている請求項1~4のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0014】
項6.前記可視光応答型光触媒の膜の間に、スペーサーが配置されている項5に記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0015】
項7.p型有機半導体の材料が、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、及びポルフィリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である項1~6のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0016】
項8.n型有機半導体の材料が、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、ペリレン誘導体、及びナフタレン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である項1~7のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0017】
項9.前記吸着材が、イオン交換樹脂、セルロースゲル、活性炭及びフェノール系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~8のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体。
【0018】
項10.項1~9のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体と光源とを備えた水処理装置。
【0019】
項11.前記光源が自然光である請求項10に記載の水処理装置。
【0020】
項12.項1~9のいずれかに記載の可視光応答型光触媒複合体に、光源で光を照射しながら、積み重なっている各可視光応答型光触媒の間に被処理水を流して被処理水に含まれる有機物又は無機物を分解する水処理方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の可視光応答型光触媒複合体は、吸着材層にp型有機半導体及びn型有機半導体を積層させた可視光応答型光触媒を複数枚積み重ねているので、光照射面積を一定にしつつ被処理水の光触媒面への接触面積を広くとることができる。これにより、少ない光照射面積で、大量の被処理水を光触媒的に処理することができる。
【0022】
また、本発明の可視光応答型光触媒複合体と光源とを備えた水処理装置を用いれば、可視光応答型光触媒複合体に光を照射しながら、積み重なっている各可視光応答型光触媒膜の間に被処理水を流すことにより、被処理水に含まれる被処理物を効率よく分解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明の可視光応答型光触媒複合体は、可視光応答型光触媒を複数枚積み重ねて構成されている。そして、可視光応答型光触媒は、吸着材層上に、p型有機半導体及びn型有機半導体を積層させたものである。
【0025】
可視光応答型光触媒は、具体的には、層状の吸着材と、その上に積層されたp型有機半導体からなる部分(バルク層)とn型有機半導体からなる部分(バルク層)とが接し合う構造を有する有機光触媒とで構成されており、吸着材と有機光触媒とが結合乃至接触した構造を有している。
【0026】
有機光触媒では、光照射によりp型有機半導体材料とn型有機半導体材料が接する界面で電子キャリアと正孔キャリアが生じ、単方向性の光誘起電子移動が起こる。この光照射下で生じたキャリアが被処理物(例えば、有機物、窒素、硫黄又はリンを含む無機物等)の分解に用いられる。しかも、吸着材により触媒反応面の被処理物濃度を高めることができるため、該有機光触媒上での反応効率が飛躍的に高められる。
【0027】
酸化作用を有するp型有機半導体としては、大環状の配位子化合物又はその金属錯体が挙げられる。大環状の配位子化合物とは、不対電子を有する原子を環上に含み、金属原子に対する配位子となり得る環状化合物の意であり、また、その金属錯体とは、該大環状配位子と金属原子からなる金属錯体の意味である。不対電子を有する原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子が挙げられ、窒素原子が好ましい。金属原子としては、周期律表1~15族の各金属元素が挙げられ、好ましくは4~14族の金属元素である。また、金属錯体は、通常、該金属原子と大環状の配位子化合物とが1:1(モル比)からなり、平面4配位の錯体を形成するものであればよい。
【0028】
大環状の配位子化合物又はその金属錯体の具体例としては、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等が挙げられる。
【0029】
フタロシアニン誘導体とは、フタロシアニンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(1A)又は(1B):
【0030】
【化1】
JP0005605601B2_000002t.gif

【0031】
(式中、M1は、周期律表4~14族からなる群から選ばれる金属原子又はその金属原子を含む原子団を示し、点線は配位結合を示す)
で表されるフタロシアニン誘導体が挙げられる。
【0032】
M1で示される周期律表4~14族の金属原子のうち好ましくは、7族(特に、Mn)、8族(Fe,Ru,Os)、9族(Co,Rh,Ir)、10族(Ni,Pd,Pt)、11族(特に、Cu)、12族(特に、Zn)が挙げられる。
【0033】
上記のうち、式(1A)で表されるフタロシアニン、又は式(1B)においてM1がCo,Pt,Os,Mn,Ir,Fe,Rh,Cu,Zn,Ni,Pd又はRuであるフタロシアニン誘導体が好ましく、特に被処理物の分解における活性の点から無金属フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン又は銅フタロシアニンが好ましい。これらの化合物は、いずれも市販されているか又は当業者が容易に製造することができる。
【0034】
ナフタロシアニン誘導体とは、ナフタロシアニンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(2A)又は(2B):
【0035】
【化2】
JP0005605601B2_000003t.gif

【0036】
(式中、M2は、周期律表4~14族からなる群から選ばれる金属原子又はその金属原子を含む原子団を示し、点線は配位結合を示す)
で表されるナフタロシアニン誘導体が挙げられる。
【0037】
M2で示される周期律表4~14族の金属原子のうち好ましくは、7族(特に、Mn)、8族(Fe,Ru,Os)、9族(Co,Rh,Ir)、10族(Ni,Pd,Pt)、11族(特に、Cu)、12族(特に、Zn)が挙げられる。
【0038】
上記のうち、式(2A)表されるナフタロシアニン、又は式(2B)においてM2がCo,Pt,Os,Mn,Ir,Fe,Rh,Cu,Zn,Ni,Pd又はRuであるナフタロシアニン誘導体が好ましく、特に被処理物の分解における活性の点から無金属ナフタロシアニン、亜鉛ナフタロシアニン又は銅ナフタロシアニンが好ましい。これらの化合物は、いずれも市販されているか又は当業者が容易に製造することができる。
【0039】
ポルフィリン誘導体とは、ポルフィリンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(3A)又は(3B):
【0040】
【化3】
JP0005605601B2_000004t.gif

【0041】
(式中、R3は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基、M3は、周期律表4~14族からなる群から選ばれる金属原子又はその金属原子を含む原子団を示し、点線は配位結合を示す)
で表されるポルフィリン誘導体が挙げられる。
【0042】
ここで、上記のR3で示されるアルキル基としては、C1-20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはC1-10のアルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。
【0043】
また、上記のR3で示されるアリール基としては、単環又は2環のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0044】
また、上記のR3で示されるヘテロアリール基としては、ピリジル、ピラジニル等が挙げられる。
【0045】
M3で示される周期律表4~14族の金属原子のうち好ましくは、7族(特に、Mn)、8族(Fe,Ru,Os)、9族(Co,Rh,Ir)、10族(Ni,Pd,Pt)、11族(特に、Cu)、12族(特に、Zn)が挙げられる。
【0046】
上記のうち、式(3A)で表されるポルフィリン、又は式(3B)においてM3がCo,Pt,Os,Mn,Ir,Fe,Rh,Cu,Zn,Ni,Pd又はRu、R3がフェニル又は水素原子であるポルフィリン誘導体が好ましく、特に被処理物の分解における活性の点から無金属ポルフィリン、亜鉛ポルフィリン又は銅ポルフィリンが好ましい。これらの化合物は、いずれも市販されているか又は当業者が容易に製造することができる。
【0047】
p型有機半導体としては、上述した大環状の配位子化合物又はその金属錯体が挙げられ、好ましくは、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体が挙げられる。より好ましくは、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)で表される化合物が挙げられる。特に、有機物等の分解活性の点から、式(1A)で示される無金属フタロシアニン、及び式(1B)においてM1がZn、Cuでそれぞれ示されるフタロシアニンの金属錯体(亜鉛フタロシアニン及び銅フタロシアニン)が好ましい。上記のp型有機半導体は、市販品として入手可能か、或いは当業者が容易に製造できるものである。
【0048】
n型有機半導体としては、多環式芳香族化合物(一部が飽和していても良い)が挙げられる。多環式芳香族化合物とは、少なくとも2個以上の芳香環が縮環した構造を有する化合物、或いは複数の芳香環が不飽和結合(二重結合、三重結合等)を介して結合した構造を有する化合物等を意味する。芳香環としては、ベンゼン環等のほかに、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、キノキサリン環等の複素芳香環も含まれる(いずれの環も一部が飽和していても良い)。
【0049】
多環式芳香族化合物には、本発明に悪影響を与えない範囲で、種々の置換基を有していても良い。置換基としては、電子吸引基が挙げられ、具体的にはカルボニル基、スルホン基、スルホキシド基等が挙げられる。
【0050】
多環式芳香族化合物の具体例としては、C60、C70、C76、C82、C84等のフラーレン類;カーボンナノチューブ類;ペリレン誘導体;ナフタレン誘導体等が挙げられる。中でも、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、フラーレン類(C60等)等が好ましく採用され、特にペリレン誘導体やフラーレン類(C60等)が好ましい。
【0051】
ペリレン誘導体とは、ペリレンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(4A)~(4C):
【0052】
【化4】
JP0005605601B2_000005t.gif

【0053】
(式中、R1は、同一又は異なって、アルキル基又はアリール基を示す)
で表されるペリレン誘導体が挙げられる。
【0054】
ナフタレン誘導体とは、ナフタレンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(5A):
【0055】
【化5】
JP0005605601B2_000006t.gif

【0056】
(式中、R2は、同一又は異なって、アルキル基又はアリール基を示す)
で表されるナフタレン誘導体が挙げられる。
【0057】
ここで、上記のR1又はR2で示されるアルキル基としては、C1-20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはC1-10のアルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等が挙げられる。
【0058】
また、上記のR1又はR2で示されるアリール基としては、単環又は2環のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0059】
n型有機半導体としては、上記のp型有機半導体との間において良好なp-n接合の関係を有しているものが用いられる。このn型有機半導体としては、上述した多環式芳香族化合物(一部が飽和していても良い)が挙げられ、好ましくは、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体又はフラーレン類が挙げられる。より好ましくは、式(4A)、(4B)、(4C)、(5A)で表される化合物が挙げられる。特に、効率的なキャリア生成の点から、式(4A)で示されるペリレン誘導体(3,4,9,10-ペリレンテトラカルボキシル-ビスベンズイミダゾール)又はフラーレン類(C60等)が好適に用いられる。上記のn型有機半導体は、市販品として入手可能か、或いは当業者が容易に製造できるものである。
【0060】
可視光応答型光触媒で用いる吸着材には、吸着能の高い材料が使用される。このような材料として、イオン交換樹脂、セルロースゲル、活性炭、フェノール系樹脂等が挙げられる。本発明においては可視光応答型光触媒を複数枚積み重ねて使用するため、吸着材は光を透過する材料であることが好ましい。例えば、全光線透過率が90%/100μm程度のものが、吸着材として好ましく用いられる。このような材料として、例えば、炭化水素、炭化フッ素、シリカ、アルミナ等を基材とするイオン交換樹脂等が挙げられる。このうち、被処理物がアミン類やカルボン酸類である場合の吸着材には、特にイオン交換樹脂が好適である。被処理物がアミン類の場合には陽イオン交換樹脂が好ましく、具体的には、パーフルオロスルホン酸又はその塩/PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の共重合体(例えばナフィオン(登録商標))や、パーフルオロカルボン酸又はその塩/PTFEの共重合体(例えばフレミオン(登録商標))等が挙げられる。被処理物がカルボン酸類の場合には陰イオン交換樹脂が好ましい。
【0061】
可視光応答型光触媒は、吸着材層上に、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む層が形成されたものである。
【0062】
可視光応答型光触媒の具体的な態様としては、薄膜状の吸着材上に、p型有機半導体とn型有機半導体とが積層した積層(膜)構造、薄膜状の吸着材上に、p型有機半導体及びn型有機半導体の混合物からなる層(膜)が形成された構造等が挙げられる。積層構造としては、例えば、薄膜化した吸着材上に、p型有機半導体とn型有機半導体とがこの順に積層した三層構造が好ましい。これは、吸着材中の被処理物の酸化反応(分解反応)がp型有機半導体の正孔によって引き起こされるためである。なお、p型有機半導体及びn型有機半導体として、前記したものを用いることができる。
【0063】
可視光応答型光触媒が、吸着材上にp型有機半導体とn型有機半導体とを積層した積層構造である場合、可視光応答型光触媒の吸着材層、p型有機半導体層及びn型有機半導体層の膜厚は、適宜設定することができる。
【0064】
吸着材の厚みは特に限定はないが、例えば、1~200μm程度、好ましくは10~100μm程度である。また、p型有機半導体層の厚みは特に限定はないが、例えば、5~20nm程度、好ましくは8~15nm程度、より好ましくは10nm程度である。n型有機半導体層の厚みは特に限定はないが、例えば、5~20nm程度、好ましくは8~15nm程度、より好ましくは10nm程度である。
【0065】
p型有機半導体層及びn型有機半導体層の膜厚を上記の範囲に設定する根拠は以下のとおりである。
【0066】
例えば、複数枚の可視光応答型光触媒を重ねた可視光応答型光触媒複合体の外側から光を照射する場合、内側(内部)に位置する可視光応答型光触媒に対しても十分な光が入射される必要がある。
【0067】
可視光応答型光触媒を1枚だけ使用する場合、例えば、p型有機半導体がフタロシアニン、n型有機半導体がペリレン誘導体である場合、吸着材、フタロシアニン及びペリレン誘導体の好適な厚みはそれぞれ、50μm程度、50nm程度、200nm程度であり、この可視光応答型光触媒の光(100μW/cm2)の吸収効率は99%(600nm)以上に達する。よって、該厚みを有する可視光応答型光触媒を積み重ねた場合には、外側から光照射しても、内部へは光がほとんど到達せず、内部では光触媒反応が起こらないことになる。例えば、Nafion膜で3ppmのトリメチルアミン(TMA)を含む水を0.2ml/min吸着処理する場合、Nafion膜24枚(5mm×7mm×5cm)を100μm間隔で積み重ねる(並列配置する)必要があるが、外側から10枚目までに光を100μW/cm2到達させようとした場合、1枚あたりの吸光度を0.2とする必要がある。この0.2という吸光度は、フタロシアニンの厚み10nm及びペリレン誘導体の厚み10nmに相当する(600nm)。したがって、この程度の膜厚まで薄くする必要がある。なお、この程度の厚みにすると、光触媒効率は、フタロシアニンの膜厚が50nmであってペリレン誘導体の膜厚が200nmである可視光応答型光触媒の場合よりも悪くなるが、低濃度の水処理においては、分解反応よりも吸着が律速であるので実際の(光触媒処理量/光触媒面積)は小さいため、フタロシアニン及びペリレン誘導体の膜厚を上述した程度まで薄くしても実際に水処理可能である。
【0068】
なお、通常の有機半導体の吸光度は0.1/10nm又はそれ以上であるので、フタロシアニン及びペリレン誘導体以外の有機半導体を用いる場合でも、同様の計算で求められる。これより吸光度の高い有機半導体を用いる場合には、積み重ねる枚数を減らす必要があり、もちろんこの場合には、水処理能力(リットル/分)は小さくなる。
【0069】
なお、膜厚は、ランベルト・ベールの法則に従い、吸収度に比例することから吸光光度法により求めることが可能である。この比例定数は、エリプソメトリーや干渉顕微鏡を用いて求めた膜厚と吸光度の関係から決定することができる。
【0070】
本発明の可視光応答型光触媒の製造方法を以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0071】
例えば、可視光応答型光触媒が、薄膜化した吸着材上にp型有機半導体とn型有機半導体とが積層した三層フィルムである場合、吸着材膜上にp型有機半導体とn型有機半導体を順次積層させることにより製造できる。この場合、吸着材の材質として、上記したパーフルオロスルホン酸又はその塩/PTFEの共重合体、特にナフィオン(登録商標)膜が好適である。得られた三層フィルムは、そのまま光触媒として用いることができる。
【0072】
n型有機半導体及びp型有機半導体を吸着材上に積層する方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電気化学的被覆(電析)、塗布等の方法が挙げられる。ペリレン誘導体/フタロシアニン誘導体系を、均一に被覆するためには、真空蒸着法が好ましい。
【0073】
あるいは、吸着材上にp型有機半導体とn型有機半導体とを共蒸着して、共蒸着層を形成しても良い。共蒸着は公知の方法を用いて実施できる。
【0074】
例えば、可視光応答型光触媒が、吸着材上に、p型有機半導体及びn型有機半導体の混合物からなる層(膜)が形成された構造である場合、スピンコート法により、n型有機半導体及びp型有機半導体を含む溶液に吸着材上に滴下し、乾燥させて成膜することにより製造することができる。
【0075】
p型有機半導体として典型的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体が挙げられる。より好ましくは、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)で表される化合物が挙げられる。さらに、式(1A)の無金属フタロシアニン又は亜鉛フタロシアニン又は銅フタロシアニンが好ましい。
【0076】
n型有機半導体は、上記のp型有機半導体との間において良好なp-n接合の関係を有しているものが用いられる。n型有機半導体としては典型的には、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体又はフラーレン類が挙げられる。より好ましくは、式(4A)、(4B)、(4C)、(5A)で表される化合物が挙げられる。特に、効率的なキャリア生成の点から、式(4A)で示されるペリレン誘導体(3,4,9,10-ペリレンテトラカルボキシル-ビスベンズイミダゾール)又はフラーレン類(C60等)が好適に用いられる。
【0077】
最も好適な可視光応答型光触媒としては、ナフィオン膜、即ちパーフルオロスルホン酸又はその塩/PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の共重合体(1~150μm程度)に、無金属フタロシアニン(5~20nm程度)及びペリレン(5~20nm程度)がこの順で積層されたものが挙げられる。
【0078】
なお、可視光応答型光触媒には、光触媒の活性を上げるために、上記のn型有機半導体及びp型有機半導体以外に、必要に応じて銀、銅等を添加しても良い。
【0079】
図1(a)は、本発明の可視光応答型光触媒複合体の第1の実施形態を示す模式図である。図1(a)に示すように、本発明の可視光応答型光触媒複合体1は、上述した可視光応答型光触媒2を複数枚積み重ねたものである。
【0080】
可視光応答型光触媒2を積み重ねる枚数は、積層されるp型有機半導体及びn型有機半導体の厚み、使用される光強度等に応じて、その内部まで光が到達する枚数とすることが好ましい。例えば、p型有機半導体及びn型有機半導体の厚みがそれぞれ10nm程度の場合には、10~50枚程度であり、好ましくは20~30枚程度である。
【0081】
各可視光応答型光触媒2の間隔dは、50~200μm程度に設定することが好ましい。膜と膜との間隔dをこの範囲に設定することにより、膜と膜との間の空間を水が通って被処理水中の分解対象物を吸着材に吸着し易くするとともに、水の抵抗を低くして送水装置へかかる負荷を小さくすることができる。より好ましい間隔dは、100μm程度である。
【0082】
各可視光応答型光触媒2の間隔dを上記範囲にするため、可視光応答型光触媒複合体1は、図1(b)に示すように、可視光応答型光触媒2の膜間に、スペーサー3を配置させることができる。可視光応答型光触媒2の膜間にスペーサー3を入れることにより、各可視光応答型光触媒2の間隔dの制御を簡単に行うことができる。スペーサー3の材料としては、光を透過させるものが好ましく、例えば、プラスチック、ガラス、無機材料等が挙げられる。スペーサー3は、可視光応答型光触媒2の膜間に50~200μm程度の間隔dを作り、流路を確保することができればどのような形状であってもよく、図1(b)のように可視光応答型光触媒2の膜の両端に四角柱状のスペーサー3を配置する場合に限られず、例えば、可視光応答型光触媒2より小さいサイズの板状のスペーサーを膜間に配置することもできる。また、スペーサー3として、例えば、球状、円柱状、棒状、網目状等の形状のものを使用してもよい。
【0083】
なお、ここではスペーサーを3を用いて可視光応答型光触媒2の間隔dを50~200μm程度に設定したが、各可視光応答型光触媒2の間隔dをこの範囲にすることが可能であれば、いかなる方法を用いてもかまわない。例えば、二次元的に可視光応答型光触媒2の膜を交差させて、例えば、図2(a)及び(b)に示すようなハニカム構造にしてもよい。
【0084】
可視光応答型光触媒は、光照射下、水相中に含まれる有機物或いは窒素、硫黄又はリンを含む無機物等の分解対象物と接触してこれらを分解することができるとともに、水に対しても安定であるため、上記分解対象物を含む水の処理を効率的に実施することができる。このことから、本発明の可視光応答型光触媒複合体を用いて、水を処理する水処理装置に適用することができる。
【0085】
本発明の水処理装置は、上述した可視光応答型光触媒複合体と光源とを備えている。
【0086】
図3は、本発明の水処理装置の1つの実施形態を示す模式図である。図3に示すように、水処理装置4は、被処理水を貯留している被処理水貯留槽5と、被処理水が流れる流水管路6と、処理された水が導入される処理水槽7とを備えており、流水管路6の途中に上述した可視光応答型光触媒複合体1が充填されている。また、被処理水貯留槽5内の被処理水を流水管路6の可視光応答型光触媒複合体1に送る送水装置8も備えており、可視光応答型光触媒複合体1の近くには光源9が設けられている。なお、この装置では可視光応答型光触媒複合体1を1つだけ用いているが、2つ以上用いることも可能である。
【0087】
被処理水としては、例えば、工業用循環水、工業用排水、産業用排水、上水、下水、土壌及び地下水、生活排水、農薬残存廃液、風呂、貯水タンク、湖、池、ダム又はプールの水等が挙げられる。これらの被処理水は、pH、硬度等は特に限定はなく、効率的に処理することが可能である。特に、pH7~11程度とするのが好ましい。
【0088】
被処理水に含まれる分解対象物としては、有機物又は無機物が挙げられる。具体的には、悪臭原因物質(トリメチルアミン等)、粉塵、微生物、ウイルス、シックハウス症候群の原因物質(ホルムアルデヒド等)、臭い成分(たばこ臭、ペット臭等)、有害物質(ダイオキシン、PCB、フェノール等)、農薬、エチレンガス、窒素化合物(アンモニア、尿素等)、硫黄化合物(チオフェノール等のメルカプタン;スルフィド等)や、リン化合物(有機リン等)が挙げられる。
【0089】
本発明では、広範な波長を有する光(波長220~1200nm程度)を用いることができるので、その光源9としては、例えば、自然光(太陽光)、蛍光灯、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ブラックライト、エキシマレーザ、重水素ランプ、キセノンランプ、Hg-Zn-Pbランプ等から選ばれる1種類の光源又は波長域の異なる2種類の光源を用いることができる。とりわけ、本発明の水処理装置4は、自然光(波長300~800nm)、特に可視光(波長が400nm以上、特に400~750nm程度)を利用できる点で極めて実用的である。従来の水処理装置に使用されている酸化チタンでは、屋内では紫外光源が必要であったことを考慮すると、極めて有意義である。
【0090】
本発明の水処理装置4では、送水装置8によって被処理水貯留槽5内の被処理水を流水管路6に供給し、光源9により可視光応答型光触媒複合体1に光を照射しながら(図1(a)の矢印a参照)、一方の端面側から被処理水を注入すれば(図1(a)の矢印b参照)、可視光応答型光触媒の膜間を被処理水が通過する間に、被処理水中に含まれる分解対象物が吸着材に吸着され、光照射によって光触媒が活性化されて発生したキャリアによって分解されることにより、他方の端面側から浄化された水を取り出すことができる。
【0091】
そして、このような水処理装置4を用いれば、可視光応答型光触媒複合体1に、光源9で光を照射しながら、該可視光応答型光触媒複合体1の可視光応答型光触媒の間に被処理水を流し、該被処理水に含まれる有機物又は無機物の分解対象物を分解することができる。流す水量は、流通管路6の内径、可視光応答型光触媒の吸着材、p型有機半導体及びn型有機半導体の厚み、可視光応答型光触媒を積み重ねる枚数、被処理水に含まれる分解対象物の量等によって異なるが、通常、0.2~2ml/分・cm2程度である。このとき、被処理水に空気や酸素含有気体を供給(バブリング等)すると、より効率的に分解反応が進行するので好ましい。
【0092】
図4(a)に、本発明の水処理装置の別の実施形態を示す模式図を示す。この水処理装置4には、膜厚50μmの吸着材(ナフィオン膜)上にp型有機半導体(無金属フタロシアニン)(膜厚10nm)及びn型有機半導体(ペリレン誘導体)(膜厚10nm)を積層した可視光応答型光触媒を100μm間隔で24枚積み重ねた可視光応答型光触媒複合体を4つ並べた1ユニット(1cm×1m×5cm)(図4(b)の側面図及び図4(c)の断面図参照)を4ユニット(合計16個の可視光応答型光触媒複合体)組み込んでいる。図4(a)の水処理装置4によれば、1日に1時間程度自然光を10mW/cm2程度照射するだけで、10ppmのトリメチルアミンを約1/100まで除去することができる。この水処理装置4を用いれば、一日1トンの被処理水を処理することが可能である。
【0093】
これより、可視光応答型光触媒複合体に、光源で光を照射しながら、積み重なっている各可視光応答型光触媒の間に被処理水を流して被処理水に含まれる有機物又は無機物を分解する水処理方法が提供される。
【実施例】
【0094】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0095】
実施例1
(1)光触媒材料として、n型半導体である3,4,9,10-ペリレンテトラカルボキシル-ビスベンズイミダゾール(以下「PTCBI」と表記する)及びp型半導体である無金属フタロシアニン(以下「H2Pc」と表記する)を用いた。本実施例においては、それぞれ昇華精製したものを用いた。
【0096】
(2)光触媒として用いる三重層フィルムの作製は、市販のNafion膜(Dupont社製、Nafion 117,50μm厚)に二種類の有機半導体を真空蒸着することにより行った。まず、Nafion膜上に、H2Pcを約10nmの厚さで積層して二層フィルムを形成し、次いで、H2Pc層上に厚さ約10nmのPTCBI層を有する三層からなる光触媒複合体を得た。この光触媒複合体を6mm×50mmに切断し、これを24枚積み重ね、それぞれの膜の間にスペーサーとして4mm×20mmのプラスチック板(厚さ100μm)を挿入して光触媒複合体を得た。そして、この光触媒複合体を熱収縮チューブ(三菱樹脂株式会社製のヒシチューブ(UGEB3050))に入れて熱収縮させたものを以下の水処理装置中に導入した。
なお、上記の膜厚は、吸収スペクトル法及び光干渉法により測定した。
【0097】
(3)水処理装置の模式図を図5に示す。この水処理装置では、ポンプに2本の市販のタイゴンチューブ(サンゴバン株式会社製、TYGON(登録商標) FLEXIBLE PLASTIC TUBING(R-3603))が連結されている(各チューブの長さ1m)。一方のチューブの先端に(2)で得られた熱収縮チューブを取り付け、他方のチューブをトリメチルアミン(以下、TMAという)が入ったタンク(以下、TMAタンクという)に挿入する。このTMAタンクは、TMAの濃度が変化しないように、ガラス管を通したゴム栓で密閉されているとともに、アルゴンガスで満たしたテドラーバック(ジーエルサイエンス株式会社製、ミニバルブ付きテドラーバック(CEK-1))が取り付けられており、送水装置への負荷及びTMAの揮発による減少を防ぐとともに、供給水であるTMAタンク中の圧力を大気圧に保っている。なお、このテドラーバックは、データの正確性を保証することを目的として用いたのであって、実用上の水処理システムでは必ずしも必要条件ではない。ポンプによりTMAタンクから1分間に0.2mlずつ被処理水を引き上げて光触媒複合体の膜の間を流す(TMA濃度:3.08ppm)。そして、光触媒複合体の膜の間を通過した水を、シリンジを用いて1μl採取し、ガスクロマトグラフィー(GC-2014)によりTMA濃度を求めた。実験は100時間行い、前半の50時間は、光を照射せず、後半の50時間はハロゲンランプで可視光を照射(強度:100mW/cm2)した。その結果を図6に示す。
【0098】
また、比較例として、Nafion膜を6mm×50mmに切断し、これを24枚積み重ね、それぞれの膜の間にスペーサーとして実施例1(2)と同じ4mm×20mmのプラスチック板を挿入し、実施例1(3)と同様の条件でTMA濃度を測定した。その結果も図6に示す。
【0099】
図6の結果から、光を照射しなくても光触媒複合体のNafion膜の吸着能により初めはTMAが吸着されるが、24時間の間にNafion膜の吸着能が落ちてきてTMA濃度が十分低くならないこと、及び、その後に光を照射することにより、TMAが除去されることがわかった。
【0100】
また、比較例であるNafion膜のみ(□)の結果をみると、Nafion膜により初めはTMAが吸着されるが、光を照射した後も吸着能は回復せず、TMA濃度が十分低くならないことがわかる。これより、Nafion膜だけでは、短期間に吸着能が劣化してしまうことがわかる。
【0101】
これらの結果から、光触媒複合体では、Nafion膜に吸着されたTMAが、光照射により活性化された有機光触媒によって分解されることにより、Nafion膜の吸着能が再生していることが示される。
【0102】
なお、Nafion膜上にPTCBI層を積層し、PTCBI層上にH2Pc層を形成したこと以外は実施例1(1)及び(2)と同様にして作成した光触媒複合体を用いて、実施例1(3)と同様の条件でTMA濃度を測定したところ、Nafion膜上にH2Pc層及びPTCBI層の順に積層した光触媒複合体よりも光照射後のTMA除去率が悪いという結果であった(図示せず)。
【0103】
実施例2
実施例1(1)及び(2)と同様にして作成した光触媒複合体を入れた熱収縮チューブを図3の水処理装置に導入した。TMAタンク中のTMA濃度を3ppmとし、被処理水を実施例1(3)と同じく流速0.2ml/分で光触媒の膜の間を通過させた。実験は47日間行い、その間、1日に1回ハロゲンランプで可視光を1時間照射(強度10mW/cm2)した。実験を開始してから3週間(21日目)までは1週間毎に、それ以降は1週間に2~3回、光を照射しない状態で光触媒複合体の膜の間を通過した水と、光照射から1時間後に光触媒複合体の膜の間を通過した水とをそれぞれシリンジで1μl採取し、ガスクロマトグラフィー(GC-2014)によりTMA濃度を求めた。その結果を図7に示す。
【0104】
図7の結果をみると、どの場合も初日(0日目)はTMAがほとんど除去され、0.0ppmのTMAが検出された。Nafion膜のみ(H2PC/PTCBI無)の場合は18日目からTMA濃度の上昇がみられ、36日目には2.1ppmのTMAが検出された。光触媒複合体を用いた場合、27日目からTMA濃度の上昇がみられたが、1時間の可視光照射直後にはTMAの検出量は少なくなり、40日目でも0.1ppmのTMAしか検出されなかった。その後は、日数が増すにつれてTMA濃度が上昇した。但し、1時間の可視光照射によるTMAの除去能の部分的回復は、実験開始から47日でも観測された。TMAの完全除去能をTMA濃度0.2ppm以下と定義すれば、吸着材に光触媒を積層することにより、TMAの完全除去能の寿命が20日から40日に延びたといえる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】(a)は本発明の可視光応答型光触媒複合体の1つの実施形態を示す模式図であり、(b)は本発明の可視光応答型光触媒複合体の別の実施形態を示す模式図(斜視図)である。
【図2】(a)及び(b)は、可視光応答型光触媒膜の交差状態の例を示す模式図(断面図)である。
【図3】本発明の水処理装置の1つの実施形態を示す模式図である。
【図4】(a)は本発明の水処理装置の別の実施形態を示す模式図であり、(b)及び(c)は、(a)の水処理装置に使用される可視光応答型光触媒複合体の、それぞれ側面図及び断面図である。
【図5】実施例1で用いた水処理装置の模式図である。
【図6】光触媒複合体通過後のトリエチルアミン濃度の経時変化(100時間)を示すグラフである。
【図7】光触媒複合体通過後のトリエチルアミン濃度の経時変化(47日間)を示すグラフである。
【符号の説明】
【0106】
1 可視光応答型光触媒複合体
2 可視光応答型光触媒
3 スペーサー
4 水処理装置
5 被処理水貯留槽
6 流水管路
7 処理水槽
8 送水装置
9 光源
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6