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Specification :(In Japanese)レブリン酸の製造装置、レブリン酸の分離装置及びレブリン酸から炭化水素を製造する装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5504493
Publication number P2010-202548A
Date of registration Mar 28, 2014
Date of issue May 28, 2014
Date of publication of application Sep 16, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)レブリン酸の製造装置、レブリン酸の分離装置及びレブリン酸から炭化水素を製造する装置
IPC (International Patent Classification) C07C  51/00        (2006.01)
C07C  59/185       (2006.01)
B01J  27/02        (2006.01)
B01J  27/10        (2006.01)
B01J  29/40        (2006.01)
B01J  29/46        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI (File Index) C07C 51/00
C07C 59/185
B01J 27/02 Z
B01J 27/10 Z
B01J 29/40 Z
B01J 29/46 Z
B09B 3/00 A
C07B 61/00 300
Number of claims or invention 6
Total pages 17
Application Number P2009-048421
Date of filing Mar 2, 2009
Date of request for substantive examination Mar 9, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】筒 井 俊 雄
Representative (In Japanese)【識別番号】100075812、【弁理士】、【氏名又は名称】吉武 賢次
【識別番号】100091487、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 行孝
【識別番号】100094640、【弁理士】、【氏名又は名称】紺野 昭男
【識別番号】100107342、【弁理士】、【氏名又は名称】横田 修孝
【識別番号】100109841、【弁理士】、【氏名又は名称】堅田 健史
Examiner (In Japanese)【審査官】小久保 敦規
Document or reference (In Japanese)中国特許出願公開第1680257(CN,A)
国際公開第98/019986(WO,A1)
Field of search C07C 51/00
C07C 59/185
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
バイオマスからレブリン酸を生成する製造装置であって、
前記バイオマスと、酸触媒と、水を150℃以上240℃以下で水熱反応させる反応器と、
30℃以上320℃以下の温度で、前記水熱反応で得られたレブリン酸を含んでなる組成物と、吸着剤とを接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させ、かつ、分離させる吸着器とを備えてなり、
前記バイオマスが、サトウキビの搾りかすであるバガス;イネ、麦の籾殻及び藁並びにこれらの、加水分解又は酵素分解による処理物;食用穀物の調理物及び廃棄物並びにこれらの処理物;木材の製材廃棄物、木材のアルカリ蒸解による処理物である、製造装置。
【請求項2】
前記吸着器で分離された残液を前記反応器に戻す手段を更に備えてなる、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
バイオマスからレブリン酸を生成する製造方法であって、
前記バイオマスと、酸触媒と、水を150℃以上240℃以下で水熱反応させ、レブリン酸を含んでなる組成物を得てなり、
30℃以上320℃以下の温度で、前記組成物と、吸着剤とを接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させ、かつ、分離させることを含んでなり、
前記バイオマスが、サトウキビの搾りかすであるバガス;イネ、麦の籾殻及び藁並びにこれらの、加水分解又は酵素分解による処理物;食用穀物の調理物及び廃棄物並びにこれらの処理物;木材の製材廃棄物、木材のアルカリ蒸解による処理物である、製造方法。
【請求項4】
前記吸着剤から分離された残液を戻して前記水熱反応をさらに行うことを含んでなる、
請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
バイオマスからレブリン酸を生成し、前記レブリン酸から炭化水素を生成する製造装置であって、
前記バイオマスと、酸触媒と、水を150℃以上240℃以下で水熱反応させる第1反応器と、
30℃以上320℃以下の温度で、前記水熱反応で得られたレブリン酸を含んでなる組成物と、吸着剤とを接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させ、かつ、分離させる吸着器と
前記吸着剤から脱離させた前記レブリン酸を、ゼオライト触媒と300℃以上550℃以下で反応させ、副生成物である水と、生成物である前記炭化水素とが2相に分離させてなる第2反応器とを備えてなり、
前記バイオマスが、サトウキビの搾りかすであるバガス;イネ、麦の籾殻及び藁並びにこれらの、加水分解又は酵素分解による処理物;食用穀物の調理物及び廃棄物並びにこれらの処理物;木材の製材廃棄物、木材のアルカリ蒸解による処理物である、製造装置。
【請求項6】
バイオマスからレブリン酸を生成し、前記レブリン酸から炭化水素を生成する製造方法であって、
前記バイオマスと、酸触媒と、水を150℃以上240℃以下で水熱反応させ、レブリン酸を含んでなる組成物を得てなり、
30℃以上320℃以下の温度で、前記組成物と、吸着剤とを接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させ、及び、
前記吸着剤から脱離させた前記レブリン酸を、ゼオライト触媒と300℃以上550℃以下で反応させ、副生成物である水と、生成物である前記炭化水素とが2相に分離して、前記炭化水素を得ることを含んでなり、
前記バイオマスが、サトウキビの搾りかすであるバガス;イネ、麦の籾殻及び藁並びにこれらの、加水分解又は酵素分解による処理物;食用穀物の調理物及び廃棄物並びにこれらの処理物;木材の製材廃棄物、木材のアルカリ蒸解による処理物である、製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスからレブリン酸を製造する装置(方法)、レブリン酸の吸着分離装置(方法)、及びレブリン酸から炭化水素を製造する装置(方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会は、エネルギー資源や化学物質資源として石油に大きく依存してきた。しかし、CO2による地球温暖化問題及び原油価格の高騰を背景に、再生可能資源の利用によって石油への依存度を低減し、持続可能な社会を構築する必要が高まっている。種々の再生可能資源の中でもバイオマスは、自然界の炭素サイクルを利用する為、大気中のCO2濃度を増大させることがなく(カーボンニュートラルという)、また物質資源としても利用可能であるため、その有効な活用が望まれている。
【0003】
石油に代わる資源としてバイオマスを利用するためには、人類社会で必要な基幹化学物質をバイオマスから低コストで高収率に製造する必要がある。また、バイオマスから化学物質への転化過程において、多量の石油エネルギーを消費しては石油の代替とならず、またCO2の削減を達成することはできない。従って、過度のエネルギー消費を抑制した、バイオマスの利用を実現することが必要である。
【0004】
バイオマスの転化技術として、これまで例えば超臨界水による分解(特許文献1:特許公開2008-249207)、並びに、エタノール発酵(特許文献2:特許公開2008-182925)などが知られている。しかしながら、超臨界水による分解では、5-ヒドロキシメチルフルフラール及び含酸素タールなどさまざまな分解物が生成するが、これらの生成物は必ずしも基幹化学物質とはいえず、その利用価値は少ない。また超臨界水で過度に反応させると多量のCO2を生成し、CO2の削減を達成し得ない。また、エタノール発酵はガソリンの代替として期待されているが、コストに対する付加価値が低く、また、エタノールと水の分離に多大なエネルギーの投入が必要となる等の問題がある。
従って、過度のエネルギー消費を抑制し、CO2の排出を極めて抑制した、バイオマスからの基幹化学物質の製造方法の実現が必要とされている。
【0005】
糖の転化については酸で処理することによりレブリン酸が得られることが知られている。しかし、その場合に炭素質物質が副生しやすく、高収率かつ選択的にレブリン酸を生成させる方法については明確にされていない。
また、レブリン酸の用途は農薬のアミノレブリン酸の原料となる他は知られていないのが現状であり、レブリン酸を転換して産業原料としての炭化水素を効率的に得ることができれば画期的な技術ということができる。
【発明の開示】
【0006】
本発明の第一の態様
本発明者は、本発明時において、バイオマスに酸触媒を用いて反応(好ましくは水熱反応)を行うことにより、低エネルギーの下、基幹化学物質の一つであるレブリン酸が高収率かつ選択的に得られるとの知見を得た。本発明の第一の態様はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0007】
よって、本発明の第一の態様はバイオマスからレブリン酸を生成する製造装置を提案するものであり、該装置は、
バイオマスと、酸触媒と、水とを反応器に供給する供給器と、
前記バイオマスと、前記酸触媒と、前記水を反応させる反応器とを備えてなるものである。
【0008】
また、本発明の第一の態様においては、バイオマスからレブリン酸を生成する方法を提案するものであり、該方法は、
バイオマスと、酸触媒と、水とを用意し、
前記バイオマスと、前記酸触媒と、前記水とを反応させることを含んでなるものである。
【0009】
本発明の第一の態様は、バイオマスを用いて、人類社会で必要な基幹化学物質であり、付加価値の高い化学原料を高収率に製造するとともに、製造過程でエネルギー消費の少ない製造装置(方法)を提供するものである。
【0010】
本発明の第二の態様
本発明者は、本発明時において、レブリン酸を有意量含んでなる組成物と、吸着剤を加熱下で接触させることにより、低エネルギーの下、基幹化学物質の一つであるレブリン酸をこの組成物から吸着剤に吸着させて効率よく分離することができるとの知見を得た。本発明の第二の態様はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0011】
よって、本発明の第二の態様はレブリン酸を含んでなる組成物からレブリン酸を分離する装置であって、該装置を提案するものであり、該装置は、
レブリン酸を含んでなる組成物と、吸着剤とを吸着器に供給する供給器と、
前記組成物と、前記吸着剤とを接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させる吸着器とを備えてなるものである。
【0012】
また、本発明の第二の態様においては、レブリン酸を含んでなる組成物からレブリン酸を分離する方法を提案するものであり、該方法は、
レブリン酸を含んでなる組成物と、吸着剤とを加温下で接触させ、前記組成物からレブリン酸を前記吸着剤に吸着させることを含んでなるものである。
【0013】
本発明の第二の態様は、吸着剤に吸着するものであり、水などの溶媒を蒸発させず、また、同伴される水の吸着量も極めて少ないことから、吸着分離に要するエネルギー消費は極めて少ないものとなり、生産コスト減と生産効率の両方の点で良好である。特に、レブリン酸の濃縮分離に使用される蒸留法は多量の水を蒸発させるため極めて多量のエネルギーを必要とする。従って、本発明の第二の態様は、蒸留法と比較して、極めて有効な生産技術といえる。
【0014】
本発明の第三の態様
本発明者は、本発明時において、レブリン酸と、ゼオライト触媒を、又は、レブリン酸を吸着した吸着剤を加熱反応させることにより、低エネルギーの下、産業原料である炭化水素に効率よく(転換)製造することができるとの知見を得た。本発明の第三の態様はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0015】
よって、本発明の第三の態様は、レブリン酸から炭化水素を得る装置を提案するものであり、該装置は、
レブリン酸と、ゼオライト触媒とを反応器に供給する供給器と、
前記レブリン酸と、前記ゼオライト触媒とを反応させる反応器とを備えてなるものである。
【0016】
また、本発明の第二の態様においては、レブリン酸から炭化水素を製造する方法を提案するものであり、該方法は、
レブリン酸と、ゼオライト触媒とを用意し、
前期レブリン酸と、前記ゼオライト触媒とを反応させることを含んでなるものである。
【0017】
本発明の好ましい態様
本発明の好ましい態様によれば、本発明の第一の態様と本発明の第二の態様との組み合わせ、本発明の第二の態様と本発明の第三の態様の組み合わせ、そして、本発明の第一の態様乃至本発明の第三の態様の組み合わせ(本発明の第四の態様)、による製造装置又は製造方法が提案される。
【0018】
本発明による態様を組み合わせることにより、水熱反応を十分活用することができるので、原料であるバイオマスから生成される炭化水素までの各工程を低エネルギ(又はエネルギを使用せず)で行うことができ、生産コストの著し低減と、優れた生産容易性及び生産効率(収率向上)を達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第一の態様
本発明に第一の態様によれば、バイオマスからレブリン酸を生成する装置及び方法が提案される。
【0020】
原料
原料はレブリン酸を生成しうるバイオマスであればいずれのものであってもよい。本発明の好ましい態様によれば、バイオマスはレブリン酸を有意量生成しうる糖質バイオマスの利用が好ましい。糖質バイオマスの具体例としては、単糖類(グルコース、フルクトース等)、二糖類(スクロース、マルトース、セルビオース等)、10個以下の単糖が縮合したオリゴ糖及び配糖体、でんぷん及びアルギン酸等の炭水化物、これらの一つ以上を含むバイオマス及びその処理物が挙げられる。
【0021】
「バイオマス」は、例えば、樹木類、草類、穀類、果実類、海藻類等の全ての植物性バイオマスであり、その根、茎、球根、葉なども包含するものである。また、「バイオマスの処理物」とは、バイオマスの一部または全部を、加熱、加圧、爆砕、溶解、抽出、磨砕、機械的分離等の物理的処理;発酵、酵素処理等の生物的処理;加水分解、熱分解、溶媒分解、水熱処理、蒸解、アルカリ処理、酸処理、触媒処理等の化学的処理の一つ以上を施したものが例示される。その具体例としては、サトウキビの搾りかすであるバガス;イネや麦の籾殻およびそれらの酸、加水分解、酵素分解等による処理物;食用穀物などの調理物や廃棄物およびそれらの処理物;木材の製材廃棄物やアルカリ蒸解や濃硫酸などの酸処理物などが挙げられる。
【0022】
酸触媒
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などの無機および有機の液体酸;並びに、ZSM-5、フォージャサイト、ベータ等のゼオライト、及びシリカアルミナ等の非晶質複合酸化物等の固体酸(好ましい)が例示され、本発明にあっては、塩酸、硫酸、ZSM-5ゼオライトが好ましくは利用される。
【0023】
(水熱)反応器
反応器は、回分又は連続操作のいずれの方法をも使用することができ、400℃程度の加温、加圧状態であっても十分耐性を有するものを使用する。例えば、150℃以上320℃以下で反応させる場合、反応容器内の圧力は、0.49~11.5MPa程度となることから、このような反応環境に耐えうるものであることが好ましい。また、「水熱反応」とは、加圧下で液体に保持した高温の水中での反応であり、例えば2MPaでは200℃の水を液体に保つことができ、そのような水の中では100℃以下の水や超臨界条件での水に比べ高いイオン積を得ることができるとされている。
【0024】
製造装置(製造方法)
水と酸触媒を供給器から密閉水熱反応器に導入し、糖質バイオマスもまた供給器から導入する。
【0025】
酸触媒を含む水中で、糖質バイオマスを反応させる。反応は加温下において、好ましくは150℃以上320℃以下の温度で、温度に応じた時間に合致させて反応させる。320℃以下の温度で反応させることより、反応器内が水の臨界温度近傍に近づくことを有効に抑制し、反応器の材料腐食を有効に防止することが可能となる。また、320℃程度以下の温度で反応させることより、また反応圧力が高圧になることを有効に抑制し、高価な耐腐食性材料を多量に使用することなく装置全体のコストを低減することができ、かつ、水のイオン積の減少を有効に抑制し、反応性の向上を図ることができるので好ましい。さらに、150℃程度以上で反応させることにより、反応性の向上を図ることができ、生成物たるレブリン酸の収率を向上させることができ、かつ、反応時間を短縮することが可能となる。
【0026】
また、本発明の好ましい態様によれば、低温度領域である150℃以上240℃以下の温度で反応を行うことができる。後に述べる高温度領域における反応と比較して、反応時間が若干長くなるが、炭素質物質の副生をきわめて少量に抑制することが可能となり、レブリン酸の収率を向上させることが可能となる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、高温度領域である240℃以上320℃以下の温度で反応を行うことができる。先に述べた低温度領域における反応と比較して、副反応により炭素質物質が若干生成することがあるが、反応速度が高く短時間で反応させることが可能となり、レブリン酸を効率的かつ高収率に製造することが可能となる。従って、本発明においては、低温度領域及び高温度領域における反応のいずれも好適に行うことが可能である。
【0027】
反応は、反応器内において、混合液を攪拌して行うことが好ましい。
反応工程では、回分操作あるいは連続操作のいずれかの方法で行なうことができる。回分操作では、例えば、原料の糖質バイオマスを水熱反応器に一時に導入し、所定時間反応させることにより行うことができる。反応時間は反応温度に応じて適宜定めることが可能である。また、連続操作では、例えば、反応温度に保たれた水と酸触媒を保有する水熱反応器に原料の糖質バイオマスを連続的に供給し、反応液を連続的あるいは断続的に反応させてもよい。また、また、この両方を組み合わせた半回分操作を用いてもよい。本発明にあっては、必要なエネルギーは補給する水と酸触媒および原料のバイオマスを反応温度まで加熱するエネルギーのみで足りるとの利点を有する。また、必要に応じて水熱反応器の水と酸触媒を適宜再生してもよい。
【0028】
本発明の第二の態様
本発明の第二の態様によれば、レブリン酸を(有意量)含んでなる組成物からレブリン酸を分離する製造装置及び方法が提案される。
【0029】
原料
原料はレブリン酸を含んでなる組成物(好ましくは液体組成物)である。本発明の好ましい態様によれば、本発明の第一の態様で得られた有意量のレブリン酸を含んでなる生成液を好ましくは利用することができる。
【0030】
吸着剤
吸着剤は、先の組成物からレブリン酸を吸着しうるものであればいずれのものであってもよく、例えば、ZSM-5、フォージャサイト、ベータ等のゼオライト、活性炭などが挙げられ、好ましくは、ZSM-5などのゼオライトである。
【0031】
吸着器
吸着器は、回分又は連続操作のいずれの方法をも使用することができ、300℃程度の加温、加圧状態であっても十分耐性を有するものを使用する。
【0032】
製造装置(製造方法)
本発明における分離は、レブリン酸を含んでなる組成物と、吸着剤とを反応させることにより行われる。この吸着操作は常温から水熱反応温度(本発明の第一の態様)までのいずれかの温度で行うことができ、好ましくは30℃以上320℃以下、さらに好ましくは下限値が80℃以上であり上限値が240℃以下で行うことができる。
【0033】
この工程は、レブリン酸を含んでなる組成物からレブリン酸を低コストで分離するために重要である。レブリン酸は、たとえば本発明の第一の態様のように水溶液の形態で得られるが、レブリン酸を通常の方法、たとえば蒸留によって分離回収する場合には、レブリン酸よりも低沸点の水を多量に蒸発させなければならない。水は蒸発潜熱が大きいため蒸発には多量の熱を投入する必要があり、レブリン酸の蒸留分離には多大のコストがかかる問題がある。本発明によるレブリン酸の分離では、水を実質的に蒸発させない条件で吸着分離を行う。すなわち、100℃未満であれば常圧で、また、100℃以上であれば加圧下で、好ましくは水の飽和蒸気圧以上の圧力下で操作する。このことにより、蒸留法に比べ投入エネルギーを大幅に低減することができる。また、吸着後の高温の残液を水熱反応の媒体として使用できるため、水熱反応工程において加熱に要するエネルギーを低減ないし削減することができる。
【0034】
レブリン酸を含んでなる組成物から吸着剤に吸着させてレブリン酸を分離することが可能であるが、吸着剤からレブリン酸を脱着することにより、レブリン酸を単品として使用することが可能となる。吸着剤からのレブリン酸の脱着は、さまざまな方法で行なうことができる。例えば、吸着剤の温度を高温(例えば240℃以上)にして脱離させる方法、減圧にして脱離させる方法、水、スチーム、キャリアーガス、あるいは溶媒またはその蒸気を通じて脱離させる方法が挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい態様
本発明の好ましい態様によれば、本発明の第一の態様と本発明の第二の態様とを組み合わせた装置(又は組み合わせた方法)が提案される。
従って、本発明の第一の態様(生成)は、回分操作あるいは連続操作のいずれかの方法で行なうことができる。回分操作では、例えば、原料のバイオマスを水熱反応器に一時に導入し、所定時間反応させた後、本発明の第二の態様(分離)を行なうことを繰り返す。この場合、本発明の第一の態様の反応器を本発明の第二の態様の吸着器としても使用する。また、連続操作では、例えば、反応温度に保たれた水と酸触媒を保有する水熱反応器に原料のバイオマスを連続的に供給し、反応液を連続的あるいは断続的に、本発明の第二の操作に送って分離を行なう。また、この両方を組み合わせた半回分操作を用いてもよい。
【0036】
上記の回分操作あるいは連続操作において、水熱反応と吸着を同じ温度で行う場合は吸着後の残液を水熱反応器に戻すことが好ましい。また、吸着温度が水熱反応温度より低い場合には、吸着後の残液と水熱反応の生成液とを熱交換して、吸着後の残液を水熱反応温度に近い温度にして水熱反応器に戻すことができる。このような操作(工程)により、先の残液に水熱反応原料を供給して再度反応を繰り返すことができる。すなわち、水熱反応で使用する酸触媒は吸着操作で吸着されず多くが残液とともに戻るため、水熱反応を繰り返す際に追加する酸触媒を少なくすることができる。また、高温の液を水熱反応器にもどすため、水熱反応器の投入する加熱エネルギーは極めて少量となる。このように本発明の好ましい態様によれば、水熱反応と分離との組み合わせによるレブリン酸の製造に必要なエネルギーコストや酸触媒コストを大幅に低減することができる。
【0037】
いずれの操作においても、本発明の第二の態様(分離)に付随して出て行く水と酸触媒はわずかであり、このわずかな量の水と酸触媒のみを補給することで反応を維持することが可能となる。従って、本発明の好ましい態様にあっては、必要なエネルギーは補給する水と酸触媒および原料の糖質バイオマスを反応温度まで加熱するエネルギーのみであり、きわめて少量のエネルギー消費に抑えることができるとの効果を有する。また、必要に応じて水熱反応器の水と酸触媒を適宜再生してもよい。再生の目的は、本発明の第一の態様(生成)で生成し、本発明の第一の態様(分離)において吸着剤に吸着されずに残留する物質を分離除去することであり、抜き出す液と再生液の熱交換を行なうことで、エネルギーの損失はきわめて少量とすることができるので好ましい。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の第二の態様(分離)における吸着剤によるレブリン酸の吸着は、本発明の第一の態様(生成)の水熱反応器の生成液中に吸着剤を導入し、レブリン酸を吸着した吸着剤を生成液と分離する方法、或いは、本発明の第一の態様(生成)における水熱反応が終了した後または反応中にレブリン酸を含む生成液を、吸着剤を充填した吸着槽に送り、吸着後の残液を反応器にもどす方法のいずれであってもよい。前者の方法は、本発明の第一の態様(生成)を回分操作で行なう場合に適しており、また後者の方法は本発明の第一の態様(生成)を回分操作あるいは連続操作で行なう場合に適している。
【0039】
よって、本発明の別の好ましい態様としては、バイオマスからレブリン酸を生成分離する製造装置を提案することができ、該装置は、
バイオマスと、酸触媒と、水と、吸着剤を反応器に供給する供給器と、
前記バイオマスと、前記酸触媒と、水とを加温下で反応させ、かつ、反応後に、レブリン酸を含んでなる組成物と、前記吸着剤とを加温下で接触させる吸着器とを備えてなるものである。この態様は、回分操作方法に好適である。
【0040】
さらに、本発明の別の態様としては、バイオマスからレブリン酸を生成分離する方法を提案することができ、該方法は、
バイオマスと、酸触媒と、水と、吸着剤を用意し、
前記バイオマスと、前記酸触媒と、前記水と、前記吸着剤を供給し、
前記吸着剤の存在下で、前記バイオマスと、前記酸触媒と、前記水とを反応させ、
生成されたレブリン酸を含んでなる組成物と、前記吸着剤とを接触させ、
前記組成物から前記レブリン酸を吸着し分離することを含んでなるものである。
【0041】
また、本発明の別の好ましい態様としては、バイオマスからレブリン酸を生成分離する製造装置を提案することができ、該装置は、
バイオマスと、酸触媒と、水とを反応器に供給する第1供給器と、
前記バイオマスと、前記酸触媒と、水とを反応させる反応器とを備えてなり、
反応器で生成されたレブリン酸を含んでなる組成物を、吸着剤と共に吸着器に供給する第2供給器と、
前記組成物と、前記吸着剤とを接触させてなる吸着器とを備えてなるものである(回分操作方法/連続操作方法に好適である)。
【0042】
さらに、本発明の別の態様としては、バイオマスからレブリン酸を生成分離する方法を提案することができ、該方法は、
バイオマスと、酸触媒と、水と、吸着剤を用意し、
前記バイオマスと、酸触媒と、水とを反応させ、
生成されたレブリン酸を含んでなる組成物と、前記吸着剤とを接触させ、
前記組成物から前記レブリン酸を吸着し分離することを含んでなるものである。
【0043】
本発明の第三の態様
本発明に第三の態様によれば、レブリン酸から炭化水素を得る製造装置及び方法が提案される。
【0044】
生成物(炭化水素)
本発明による製造方法(装置)によれば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;プロピレン、ブテン、イソブテン、エチレン等の低級オレフィン炭化水素;プロパン、ブタン、イソブタン、エタン等の低級パラフィン炭化水素;エチルメチルケトン、アセトン、ビニルメチルケトン、酢酸等の含酸素炭化水素等を生成物として得ることが可能である。
【0045】
原料
原料はレブリン酸であり、その物自体であっても(吸着剤から脱離させたレブリン酸を含む)、吸着剤に吸着させたレブリン酸、予めゼオライト触媒に接触させたものであってもよい。例えば、本発明の第二の態様により得られたもの、又は本発明の第一の態様と本発明の第二の態様を組み合わせた装置又は方法により得られたものを好ましくは用いることができる。
【0046】
ゼオライト触媒
ゼオライト触媒は、結晶性のアルミノシリケート、シリケート、メタロシリケートなどのゼオライト類が使用される。結晶性アルミノシリケートは、例えば、ZSM-5、ZSM-11、ベータ、モルデナイト、X型およびY型のフォージャサイト、MCM-22、MCM-68等が挙げられる。結晶性シリケートはシリカライト等が挙げられる。結晶性メタロシリケートは、Si以外の金属元素がFe、Ga、B、Tiなどのメタロシリケートが挙げられる。好ましいゼオライト触媒としては、ZSM-5、ZSM-11、シリカライト、メタロシリケートなどの酸素10員環の細孔を有するゼオライト類が挙げられる。
ゼオライト触媒はカチオンとして、プロトン、アンモニウムイオン、Ca、Ba、Mgなどのアルカリ土類、並びにLa、Ceなどの希土類金属のカチオンの一つ以上を含んでいてもよい。
ゼオライト触媒は、Ni、Fe、W、Pt、Rh、Re、Pd、などの遷移金属、Moなどの水素化活性のある金属を、元素あるいは化合物(例えば、酸化物の形態)で担持しているものがより好ましくは用いられる。そのような好ましい具体例としては、上記金属を担持しているZSM-5、ZSM-11、シリカライト、メタロシリケートが挙げられ、特に、NiまたはPtを担持したZSM-5、ZSM-11、シリカライト、メタロシリケートが好ましくは例示される。
【0047】
反応器
反応器は、固定層、流動層、移動層等、固体触媒反応に適したものとすることでき、600℃程度の加温、加圧状態であっても十分耐性を有するものを使用する。反応器は、原料を供給する第1段と、ゼオライト触媒が存在してなる第2段とを直列に配列した多段階の反応器であってもよい。また、反応器は加温装置を備えてなり、反応が加温下で行われる。具体的には、300℃以上550℃以下の温度で加熱される。さらに、反応器はキャリアーガスを供給する部位、他の成分を供給する部位を備えてなるものが好ましくは用いることができる。これらの存在により、反応器にはキャリアーガスとして窒素、スチーム、水素、及びこれらを含有するガス、好ましくは、水素又は水素含有ガスが目的生成物に合わせて導入することが可能となる。また、反応器には、反応器内で水素を発生することのできる化合物、例えば、ギ酸を供給することができる。そして、これらの機器を備えてなることにより、反応器は、必要により多段として、段毎に上記温度範囲内において、異なった温度に設定すること、また、段毎に異なるキャリアーガスを導入すること、これらの組み合わせた反応を実現することができる。そして、反応条件及び供給キャリアーガス、水素供給源等により生成する化学原料を有利に選択することが可能となる。
【0048】
製造装置(方法)
本願発明による製造装置(製造方法)は、原料として、吸着剤から脱離させたレブリン酸、レブリン酸を吸着した吸着剤、あるいはレブリン酸を吸着したゼオライト触媒を(触媒)反応器に供給して、300℃以上550℃以下、好ましくは下限値が350℃以上であり上限値が500℃以下の温度で、ゼオライト触媒(本反応で使用するもの)に反応させる。本発明にあっては、生成物が炭化水素類であり、非水溶性の炭化水素類の場合、同伴または反応で副生する水と生成物はほとんど混じりあわない二相に分離されるため、蒸留などのエネルギー消費の大きい分離は基本的に不要であり、その結果として、経済的で効率の高い製造方法ということができる。
【0049】
本発明の好ましい態様
本発明の好ましい態様によれば、本発明の第二の態様と本発明の第三の態様とを組み合わせた装置(又は組み合わせた方法)が提案される。具体的には、本発明の第二の態様(吸着)において、レブリン酸が吸着した吸着剤を本発明の第三の態様(脱着・転換)に導入し、反応器内において、脱着と反応を同時に行なう方法が提案される。特に、本発明の第三の態様で用いるゼオライト触媒を本発明の第二の態様で用いられる吸着剤としても使用し兼務させることにより、レブリン酸を吸着したゼオライト触媒を本発明の第三の態様に導入し、脱着と反応を同時に行なうことができる。この結果、生産工程が省かれ、レブリン酸の吸着分離及びレブリン酸の脱着・転換により、有益な炭化水素を得ることができるので効果的である。
【0050】
本発明の第二の態様と本発明の第三の態様とを組み合わせた製造装置(製造方法)にあっては、レブリン酸を吸着した吸着剤又はレブリン酸を吸着したゼオライト触媒を反応器に供給する場合、好ましくは、反応器を2段直列として1段目にこの吸着剤を導入し、反応後に吸着剤を回収する方法、吸着剤あるいは吸着に用いられたゼオライト触媒を別のゼオライト触媒(本反応で使用するもの)と容易に分離できるようにして反応後に回収することができる装置(方法)を採用することができる。その場合、例えば吸着剤と別のゼオライト触媒(本反応で使用するもの)と異なる粒径として分離し易くしておくことが好ましい。
【0051】
よって、本発明の別の好ましい態様としては、レブリン酸を含んでなる組成物から炭化水素を得る製造装置を提案することができ、該装置は、
レブリン酸を含んでなる組成物と、前記吸着剤と、ゼオライト触媒を反応器に供給する供給器と、
前記組成物と、前記吸着剤とを反応させ、かつ、前記吸着剤に吸着されたレブリン酸と、前記ゼオライト触媒とを加温下で反応させる反応器を備えてなるものである。
【0052】
また、本発明の別の好ましい態様としては、レブリン酸を含んでなる組成物から炭化水素を得る製造方法を提案することができ、該方法は、
レブリン酸を含んでなる組成物と、ゼオライト触媒を用意し、
前記組成物と、吸着剤としての前記ゼオライト触媒とを接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させ、
前記吸着剤(前記ゼオライト触媒)に吸着されたレブリン酸を加温下で反応させることを含んでなるものである。
【0053】
本発明の第三の態様によれば、例えば、ゼオライト触媒として、ZSM-5単独を用いた場合、アセトン、酢酸、ヒドロキシエチルメチルケトンが得られた。レブリン酸からの転化率は80%以上であり、アセトン、酢酸、ヒドロキシエチルメチルケトンの選択率はそれぞれ15~20%程度であった。さらに、ZSM-5で継続反応させたところ、ヒドロキシエチルメチルケトンはビニルメチルケトンに転化したが、水素雰囲気でNi/ZSM-5で反応させると、エチルメチルケトンのほか、ベンゼン、トルエン、キシレン、プロピレンなどに転化した。そして、酢酸及びアセトンはベンゼン、トルエン、キシレン、プロピレンなどに転化した。酢酸などから芳香族などへの転化は驚くべき技術的成果であったことが云いうる。
【0054】
本発明の第四の態様
本発明の第四の態様は、本発明の第一の態様から第三の態様における製造装置(製造方法)を全て組み合わせたものが提案され、バイオマスから産業上有益な炭化水素を製造する装置及び方法が提案される。
よって、本発明の第四の態様は、バイオマスから炭化水素を製造する装置であって、
バイオマスと、酸触媒と、水と、吸着剤と、必要に応じてゼオライト触媒を反応器に供給する供給器と、
前記バイオマスと、酸触媒と水を反応させ、レブリン酸を含んでなる組成物と、前記吸着剤とを接触させ、そして、前記吸着剤に吸着されたレブリン酸と、必要に応じて前記ゼオライト触媒とを反応させる反応器を備えてなるものである。
【0055】
また、本発明の別の態様では、バイオマスから炭化水素を製造する装置であって、
原料としてのバイオマスと、酸触媒と、水とを反応器に供給する第1供給器と、
前記バイオマスと、酸触媒とを加温下で反応させる反応器とを備えてなり、
前記反応器で生成されたレブリン酸を含んでなる組成物を、吸着剤と、必要に応じてゼオライト触媒と共に吸着器に供給する第2供給器と、
前記組成物と、前記吸着剤と、必要に応じて前記ゼオライト触媒を反応させて炭化水素を得る吸着器とを備えてなるものである。
【0056】
さらに、本発明の好ましい別の態様は、バイオマスから炭化水素を製造する方法であって、
原料としてのバイオマスと、酸触媒と、水と、吸着剤と、必要に応じてゼオライト触媒を用意し、
前記バイオマスと、酸触媒と水を反応させ、レブリン酸を含んでなる組成物を得てなり、
前記組成物を前記吸着剤に接触させ、前記吸着剤にレブリン酸を吸着させ、
レブリン酸が吸着された前記吸着剤を、必要に応じて前記ゼオライト触媒と共に加温下で反応させて炭化水素を得ることを含んでなるものである。
【実施例】
【0057】
本発明の第一の態様
内径7.5mm、長さ20mm、内容積8.8mLのSUS316製の水熱反応管を用意した。この反応管に原料の水溶液7mLと酸触媒を入れ、反応管のキャップを取り付け密閉した。所定温度に加熱したサンドバスにこの反応器を浸すことにより反応を行った。反応管を浸してから50秒後に反応管内の原料液の温度がサンドバスの温度に達するので、この時刻を反応開始時刻とした。所定の反応時間経過後、反応管をサンドバスから取り出して急冷し、生成物をろ過して生成液と炭素質物質を分離した。生成液中の成分の分析は高速液体クロマトグラフで行った。また、有機炭素分析計を用いて生成液と原料液の有機炭素量を測定し、その差を副生炭素質物質量とした。生成物の収率は炭素量基準で表す。
【0058】
実施例H-1乃至比較例H-4-R(酸触媒の効果および反応温度の影響)
酸触媒として塩酸を用いて様々な温度で反応を行った。酸触媒の効果を調べるため、酸触媒を加えない場合の実験も行った。その結果は下記表1に記載した通りであった。
酸触媒を用いた場合、250℃や300℃の高温では数分から10分程度の短時間で、また180℃の低温では30min以上の反応時間で高い転化率と、高いレブリン酸収率が得られた。一方、酸触媒を加えなかった場合には300℃の高温でも転化率は低く、また、レブリン酸はほとんど生成しなかった。
これらの結果から、酸触媒として塩酸の効果が著しいことがわかる。また、高温では炭素質物質が20%程度副生するが、低温では炭素質物質の生成が抑制されることがわかった。
【表1】
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【0059】
実施例H-6乃至H-10(酸濃度および酸の種類の効果)
酸触媒の濃度と酸触媒の種類を変えて反応を行った。その結果は、下記表2に記載した通りであった。塩酸や硫酸などの液体酸を0.01mol/L以上の濃度で用いたとき、高い転化率と高いレブリン酸収率が得られた。とくに約0.05から約3mol/Lの濃度がきわめて高いレブリン酸収率を得るのに有効であった。
また、酸触媒としてゼオライト触媒たとえばZSM-5も液体酸と同様、レブリン酸の収率を高める効果がある。一般にレブリン酸とギ酸は5:1のC収率で得られるが、ゼオライト触媒を用いた場合は生成液中のレブリン酸はギ酸の5倍より少なく、その多くがゼオライト触媒内に保持されていると考えられる。したがって実際に生成したレブリン酸は表中の値より大きいものと推定される。
【表2】
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【0060】
実施例H-11及びH-12(原料濃度)
本発明の方法を高い原料濃度で行った。その結果は下記表3の通りであった。ただし、表中の原料濃度は水に対する原料の質量%である。この結果、40%近いきわめて高い原料濃度でも高いレブリン酸収率が得られることがわかった。
【表3】
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【0061】
実施例H-13乃至比較例H-15-R及びH-19R(原料の種類)
原料としてグルコース以外に単糖類のフルクトース、2糖類のスクロース、2糖およびオリゴ糖を含む廃糖蜜を用い、反応を行った。その結果は下記表4の通りであった。廃糖蜜はサトウキビの糖蜜からスクロースを結晶化分離した後の残渣であり、分析の結果、糖類を40wt%含んでいた。
【表4】
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括弧内は、収率として、廃糖蜜に含まれる糖類に対する値を示す。
【0062】
本発明の第二の態様
実施例A-1~A-3
内径7.5mm、長さ20mm、内容積8.8mLのSUS316製の吸着管を用意した。この吸着管にレブリン酸を0.05mol/Lの濃度で含有する水溶液7mLと、吸着剤としてZSM-5(Si/Al=27)のペレット1gを導入し、吸着管のキャップを取り付け密閉した。
所定温度に加熱したサンドバスにこの吸着管を浸し、所定時間吸着させた後に吸着管を取り出し、液を回収した。この液中のレブリン酸の濃度を高速液体クロマトグラフおよび有機炭素分析計で測定し、レブリン酸の吸着率を求めた。その結果は下記表5に記載した通りであった。
実施例A-1~A-3に、様々な吸着温度での結果を示す。実施例A-1では常温で吸着を行い、高い吸着率でレブリン酸を吸着分離することができた。また、実施例A-2およびA-3で示されるように、加温した状態で吸着を行うと、常温に比べ短い吸着時間で吸着を行うことができた。180℃の場合、吸着器内の圧力は約1MPaとなった。
【表5】
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【0063】
実施例A-4
実施例A-1と同じ吸着器を用い、サンドバスを2つ用意して、第1ステップは180℃、第2ステップは30℃で吸着を行った。吸着剤としてZSM-5(Si/Al=27)のペレットを0.1~2mmのサイズに破砕して用いた。その結果は下記表6に記載した通りであった。その結果、短時間できわめて高い吸着率でレブリン酸を吸着分離することができた。
【表6】
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【0064】
実施例A-5
本発明の第一の態様における水熱反応管と、吸着剤を充填した吸着管と、水熱反応の生成液を水熱反応管から吸着管へ、また必要に応じて吸着管から水熱反応管へ送ることのできる配管とから成る装置を用いて、本発明の第一の態様における水熱反応に引き続き、吸着操作を行った。連結配管のバルブ操作により、本発明の第一の態様における反応を終了した後に生成液を反応管から吸着管に送り、吸着管で所定時間吸着剤に接触させて吸着させた後、生成液を水熱反応管に戻した。
本発明の第一の態様における反応は、実施例H-7と同じ条件、すなわち、反応液7mL、グルコース濃度1.8wt%、酸触媒の塩酸濃度0.5mol/L、反応温度300℃、反応時間3minで行った。吸着管には吸着剤として実施例A-4と同じZSM-5のペレット2gを充填した。吸着率は、吸着剤に吸着させた後の生成液中のレブリン酸量を測定し、実施例H-7の生成液中のレブリン酸量と比較して算出した。
その結果、吸着温度180℃、吸着時間5分で吸着を行ったときレブリン酸の吸着率は51%であった。また、吸着操作を2つの温度で行い、第1ステップを吸着温度180℃、吸着時間31分、第2ステップを吸着温度90℃、吸着時間30分としたとき、レブリン酸の吸着率は87%であった。このようにして、反応液を蒸留することなく、高温でレブリン酸を吸着分離し、反応液を再度水熱反応に使用することができた。
【0065】
本発明の第三の態様
レブリン酸またはレブリン酸含有液を接触転化させる本発明の反応を以下のように行った。
【0066】
触媒反応装置として、電気炉内に設置した内径6mm、外径10mm、長さ600mmのSUS-306製の反応管から成る固定層反応器を使用し、これに触媒を充填した。固定層反応器の上流には予熱管が接続されており、ここに原料液または原料液を吸着した吸着剤と、キャリアーガスとして水素または窒素を送入し、約300℃に加熱して原料液を気化した。反応器の下流には、生成物回収器が接続されており、氷水で0℃に冷却し、生成物中の液状成分を凝縮させて回収した。生成物回収器の下流にはガスバッグを取り付け、生成ガスを捕集した。
【0067】
液状生成物はFID検出器付きガスクロマトグラフ(キャピラリカラムDB-1を使用)およびガスクロマトグラフ質量分析計(キャピラリカラムDB-1およびDB-FFAPを使用)で分析した。また、生成ガスはTCD検出器付きガスクロマトグラフ(充填カラムのポラパックQおよびモレキュラーシーブ13Xを使用)にて分析した。
【0068】
Ni/ZSM-5を次のようにして調製した。Zeolyst社製のZSM-5ペレット(Si/Al=27のZSM-5を80wt%、バインダーとしてアルミナ20wt%を含む)に硝酸ニッケル(Ni(NO3)2・6H2O水溶液を含浸させ、100℃で2時間乾燥し、マッフル炉で450℃にて3時間焼成した。これを固定層装置に充填し、450℃で1時間水素還元し、Niを5wt%含むNi/ZSM-5とした。
【0069】
実施例C-1
実施例H-12(グルコース濃度36%、塩酸0.1mol/L、反応温度300℃、反応時間3分)の水熱反応で得た生成液を90℃でZSM-5に吸着させ、これを300℃で脱着させてレブリン酸を50%含む水溶液を得た。これをZSM-5ペレットを充填した前期の固定層反応器の予熱管に供給した。キャリアガスには窒素を用い、450℃で反応させた。表に示されているように、この反応により、炭化水素生成物として含酸素炭化水素のヒドロキシエチルメチルケトン、アセトン、酢酸を高収率に得ることができた。
【0070】
実施例C-2~C-6
実施例C-1で得られるヒドロキシエチルメチルケトン、アセトン、酢酸を用い、前期の触媒反応装置を使用して、表に示されたゼオライト触媒、反応条件でさらに反応を行った。その結果は下記表7に記載した通りであった。
【0071】
その結果、ヒドロキシエチルメチルケトンからは、低い水素圧下ではエチルメチルケトン、エチルビニルケトン、アセトン、酢酸などの含酸素炭化水素が高収率に得られ、また比較的高い水素圧下ではベンゼン、トルエン、キシレンなどの単環芳香族炭化水素や、メチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどの2環芳香族炭化水素が高収率に得られた。
【0072】
また、アセトン、酢酸からは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの単環芳香族炭化水素、メチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどの2環芳香族炭化水素、エチレン、プロピレン、ブテンなどの低級オレフィン炭化水素、プロパンなどの低級パラフィン炭化水素が高収率に得られた。本反応をさらに長時間継続すると、低級オレフィン炭化水素/低級パラフィン炭化水素比は増大した。
【0073】
これらの反応で得られた炭化水素化合物は、化学工業で使用する基幹化学物質である。すなわち、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの単環芳香族炭化水素や、エチレン、プロピレン、ブテンなどの低級オレフィン炭化水素は、石油化学工業に必要な出発原料として最も重要な化合物である。メチルナフタレンやジメチルナフタレンなどの2環芳香族化合物は、染料、医薬、機能性ポリマー原料としてきわめて重要な化合物である。また、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸などの含酸素炭化水素は、化学工業における重要な中間体化合物であり、ビニルメチルケトンは殺虫剤や重合剤やステロイド合成中間体として重要な化合物である。
【表7】
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