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Specification :(In Japanese)干渉計測装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4164261
Date of registration Aug 1, 2008
Date of issue Oct 15, 2008
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)干渉計測装置
IPC (International Patent Classification) G01B   9/02        (2006.01)
G01B  11/24        (2006.01)
H01J  37/295       (2006.01)
FI (File Index) G01B 9/02
G01B 11/24 D
H01J 37/295
Number of claims or invention 14
Total pages 21
Application Number P2001-572826
Date of filing Mar 28, 2001
International application number PCT/JP2001/002534
International publication number WO2001/075394
Date of international publication Oct 11, 2001
Application number of the priority 2000097877
2000244031
Priority date Mar 30, 2000
Aug 7, 2000
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
日本国(JP)
Date of request for substantive examination Dec 21, 2004
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】遠藤 潤二
【氏名】陳 軍
Representative (In Japanese)【識別番号】110000350、【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
【識別番号】100068504、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 勝男
【識別番号】100086656、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 恭助
【識別番号】110000350、【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
【識別番号】100068504、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 勝男
Examiner (In Japanese)【審査官】後藤 昌夫
Document or reference (In Japanese)特公平07-026826(JP,B2)
特開平10-199464(JP,A)
特開平03-115809(JP,A)
特開平09-033228(JP,A)
Field of search G01B 9/02
G01B 11/00 - 11/30
H01J 37/26 - 37/295
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
可干渉ビーム発生源と、被計測試料と、被計測試料像を観察面上に形成するレンズ系と、可干渉ビームを2系統に分割し観察面もしくはそれと等価な面上に干渉画像を形成する波面分割素子と、観察面上の干渉画像を撮像する撮像素子と、該撮像素子により電気信号に変換された干渉画像を取り込み記憶しかつその干渉画像から被計測試料によって変化した位相分布を計算によって求める機能を有する計算装置と、前記可干渉ビーム発生源と前記干渉素子の間の観察面と等価な面上もしくはその近傍に前記干渉素子の波面分割境界を照射するビームを遮蔽するごときビーム遮蔽板を有することを特徴とする干渉計測装置。
【請求項2】
可干渉ビーム発生源と、被計測試料と、被計測試料像を観察面上に形成するレンズ系と、可干渉ビームを2系統に分割し観察面もしくはそれと等価な面上に物体波と参照波による干渉画像を形成する干渉素子と、観察面上の干渉画像を撮像する撮像素子と、該撮像素子により電気信号に変換された干渉画像を取り込み記憶しかつその干渉画像から被計測試料によって変化した位相分布を計算によって求める機能を有する計算装置と、前記観察面において試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらす機構を有し、
前記計算装置は、第1の干渉画像と、該第1の干渉画像とは試料像と干渉縞の相対的な位置関係のずれた第2の干渉画像とを記憶し、かつ、前記第1の干渉画像から求められた第1の位相分布と前記第2の干渉画像から求められた第2の位相分布の差を計算して位相分布の微分画像に変換し、さらにそれを前記試料像と干渉像の位置関係のずれの方向について積分することにより前記干渉素子に起因する位相分布もしくは前記被計測試料に起因する位相分布もしくはその両者を求める機能を有することを特徴とする干渉計測装置。
【請求項3】
可干渉ビーム発生源と、被計測試料と、被計測試料像を観察面上に形成するレンズ系と、可干渉ビームを2系統に分割し観察面もしくはそれと等価な面上に物体波と参照波による干渉画像を形成する干渉素子と、観察面上の干渉画像を撮像する撮像素子と、該撮像素子により電気信号に変換された干渉画像を取り込み記憶しかつその干渉画像から被計測試料によって変化した位相分布を計算によって求める機能を有する計算装置と、前記観察面において試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらす機構を有し、
前記計算装置は第1の干渉画像群と、該第1の干渉画像群の最初の干渉画像とは試料像と干渉縞の相対的な位置関係のずれた干渉画像から始まる第2の干渉画像群とを記憶し、かつ、前記第1の干渉画像群から求められた第1の位相分布と前記第2の干渉画像群から求められた第2の位相分布の差を計算して位相分布の微分画像に変換し、さらにそれを前記試料像と干渉像の位置関係のずれの方向について積分することにより前記干渉素子に起因する位相分布もしくは前記被計測試料に起因する位相分布もしくはその両者を求める機能を有することを特徴とする干渉計測装置。
【請求項4】
前記試料像と干渉像の相対的な位置関係のずれを生じせしめる機構が、前記干渉素子を移動するものである請求項2記載の干渉計測装置。
【請求項5】
前記試料像と干渉像の相対的な位置関係のずれを生じせしめる機構が、前記試料を照射する可干渉ビームの傾きを変えるものである請求項2記載の干渉計測装置。
【請求項6】
前記試料像と干渉像の相対的な位置関係のずれを生じせしめる機構が、前記試料を光軸と直交する面内で移動するものであり、前記計算機のメモリ内において、前記第1の位相分布もしくは前記第2の位相分布のいずれかの位置のデータを、前記第1の干渉画像と前記第2の干渉画像との間の相対的な位置関係のずれの方向へ該ずれ量だけシフトさせることを特徴とする請求項2記載の干渉計測装置。
【請求項7】
前記試料像と干渉像の相対的な位置関係のずれを生じせしめる機構が、前記試料を光軸と直交する面内で移動するものであり、前記計算機のメモリ内において、前記第1の干渉画像群の各干渉画像における試料位置を該群の第1番目の干渉画像に揃えた後計算された第1の位相分布と、前記第2の干渉画像群の各干渉画像における試料位置を該群の第1番目の干渉画像に揃えた後計算された第2の位相分布のいずれかの位置のデータを、前記第1の干渉画像群の第1番目の干渉画像と前記第2の干渉画像群の第1番目の干渉画像との間の相対的な位置関係のずれの方向へ該ずれ量だけシフトさせることを特徴とする請求項3記載の干渉計測装置。
【請求項8】
観察面上における干渉縞をその間隔の正数M(>=3)分の1ずつ移動させて(M+1)枚の干渉画像群を記録し、第1の干渉画像群を前記(M+1)枚の干渉画像群の1枚目からM枚目、第2の干渉画像群を前記(M+1)枚の干渉画像群の2枚目から(M+1)枚目とする請求項3記載の干渉計測装置。
【請求項9】
Kを2以上の正数、kを1からKまで変化する変数、Mを3以上の正数、mを1からMまで変化する変数とし、干渉縞と試料の位置関係を1/(K×M)ずつすらした(K×M)枚の干渉画像を順次番号が解るように計算機に取り込み、kが1からKまでのそれぞれについてその番号が{(m-1)K+k}の関係式で表されるmが1からMまでの干渉画像をグループ化することによってK系列の干渉画像群に分類し、該K系列の干渉画像群の任意の2系列を前記第1の干渉画像群および第2の干渉画像群とした請求項3記載の干渉計測装置。
【請求項10】
可干渉ビームがレーザ光であり、干渉計が三角形の断面形状もしくは波面分割境界を境界として三角形を組み合わせた断面形状を有する柱状プリズムであり、レンズ系が光学レンズ系である請求項1記載の干渉計測装置。
【請求項11】
可干渉ビームが電子線であり、干渉計が電子線複プリズムであり、レンズ系が電子レンズ系である請求項1記載の干渉計測装置。
【請求項12】
可干渉ビーム発生源と、被計測試料と、被計測試料像を観察面上に形成するレンズ系と、可干渉ビームを2系統に分割し観察面もしくはそれと等価な面上に物体波と参照波による干渉画像を形成する干渉素子と、観察面上の干渉画像を撮像する撮像素子と、該撮像素子により電気信号に変換された干渉画像を取り込み記憶しかつその干渉画像から被計測試料によって変化した位相分布を計算によって求める機能を有する計算装置と、前記観察面において前記物体波と前記参照波の相対的な位置関係をずらす機構を有し、
前記計算装置は、前記物体波と前記参照波の位相関係を1波長のM(M:3以上の正数)分の1ずつ変化させながら取り込んだM枚以上の干渉画像から、位相関係が2πn/M(n:1以上の正数)ずつずれた3枚以上の干渉画像からなる第1の干渉画像群と、該第1の干渉画像群の1枚目とは初期位相状態の異なる干渉画像を初めの1枚とし以後それとは位相関係が2πn/M(n:1以上の正数)ずつずれた3枚以上の干渉画像からなる第2の干渉画像群とを選び、それぞれの干渉画像群から第1および第2の位相分布を求め、前記両干渉画像群それぞれの第1枚目の初期位相の差を補正した後前記第1および第2の位相分布の差である位相分布の微分画像を求め、該位相分布の微分画像を積分することによって前記干渉素子に起因する位相分布もしくは前記被計測試料に起因する位相分布もしくはその両者を求める機能を有することを特徴とする干渉計測装置。
【請求項13】
前記試料像と干渉像の相対的な位置関係のずれを生じせしめる機構が、前記試料を照射する可干渉ビームの傾きを変えるものである請求項12記載の干渉計測装置。
【請求項14】
前記試料像と干渉像の相対的な位置関係のずれを生じせしめる機構が、前記試料を照射する可干渉ビームの傾きを変えるものである請求項12記載の干渉計測装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)技術分野
本発明は干渉計測装置の内の主として波面分割型に属する干渉計測装置に関する。
背景技術
レーザを用いた干渉計測でよく用いられる干渉計には、トワイマン・グリーン干渉計(例えば、参考文献1:サブフリンジ干渉計測基礎論、光学13(1984)55-65ページ、あるいは参考文献2:Quantitative phase analysis in electron holographic Interferometry,Appl.Opt.26(1987)377-382)、マハ・ツェンダ干渉計(参考文献3:Interference Electron Microscopy by Means of Holography.Japan.J.Appl.Phys.18(1979)2291-2294)、さらには、フィゾー干渉計(参考文献4:High Resolution Phase Measuring Laser Interferometric Microscope for Engineering Surface Metrology,SPIE 1009(1988)35-44)などがある。いずれの干渉計も一本のビームを半透鏡を透過したビームと反射したビームの2本に分割する振幅分割型である。
一方、電子線の分野でも、電子波の位相情報を利用して、物体の形状のみならず試料近傍の電磁界の分布を計測する研究が進められている。電子線の干渉計は、実用上電子線複プリズム(例えば、参考文献5:電子干渉計測の新たな展開、電子頭徹鏡30(1995)113-120)、参考文献6:特開平10-199464、参考文献7:特開平11-40097)のみで、ビームを空間的に、例えば右半分と左半分2本に分割する波面分割型である。波面分割型は、光学干渉計測に用いられた例はあまりない。
干渉計測では、被計測試料によって位相に変化が加えられたビームと参照ビームとを干渉させて干渉画像を形成し、この干渉画像から被計測試料による位相変化の分布を調べる。位相変化の分布から得られる情報は干渉系の構成によって異なるが、レーザ光学分野では被計測試料の表面の面精度や形状、厚さの不均一等の計測に応用される例が最も一般的である。電子干渉の分野では、被計測試料の形状の他に、電磁場の分布も重要な応用となっている。
干渉画像から位相変化の分布を計算する方法としては、例えば次の方法があげられる。撮像素子および画像取込ボードを介して1枚の干渉画像を計算装置に入力し、記憶させる。これを数学的にフーリエ変換すると、フーリエスペクトル図の中心を点対称中心として、干渉する2光束のなす角度と方向によって決まる基本干渉縞に対応した±1次のスペクトルが現れる。試料に起因する位相変化成分は+1次および-1次スペクトルの周りに分布しているが、どちらも等価であるので一方のスペクトルを適当な大きさの窓で選んでフーリエ逆変換すると、位相の分布が再現される。
この位相分布には、干渉させた2光束のなす角に起因する傾斜分が含まれているので、選んだスペクトルをフーリエ逆変換する前に原点に移動するか、フーリエ逆変換してから傾斜成分を補正すれば、試料によって変化した位相の分布が求められる。
高精度な干渉計測に最も良く用いられる方法として、縞走査法(フリンジ走査法、位相シフト法とも呼ばれる、文献1の58ページ3.2節)がある。この方法の計測原理の詳細は、文献1の58ページから59ページに記載されているので、詳細な説明は省略するが、簡単には以下の通りである。
この方法では、一般的には干渉縞が形成される条件のみを変化させ、観察面における物体波と参照波の相対的な位相差を1/M波長(Mは3以上の正数)ずつずらしながら記録する。記録したM枚の干渉画像群データから、試料によって変化した位相の分布φ(x,y)は(1)式で表される。
JP0004164261B2_000002t.gifここで、I(x,y;m)はm番目に取り込んだ干渉画像の強度分布である。物体波と参照波の相対的な位相差の変化は、通常反射鏡あるいは半透鏡をピエゾ駆動ステージ等で微動させ、参照ビームの光路長を変化させる方法によって行われている。この方法は電子干渉でも用いられており、この場合、物体波と参照波の相対的な位相差の変化は、電子線複プリズムの移動や被計測試料を照射するビームの傾きを変える方法が用いられている。
レーザ光学分野では、高精度干渉計測装置のほとんどは等倍程度の反射型で、反射型の顕微鏡の例は少ない(上記参考文献4)。透過型の顕微鏡の例はさらに少なく、コスタープリズムを用いたマハ・ツェンダ干渉計の例(参考文献8:Quantitative measurement of a phase object by frinqe scanning interference microscopy,Appl.Opt.28(1989)1615-1617)が見られる程度である。これらの例はいずれもビームの分割を振幅分割型で行っている。電子線の分野では、干渉計の制約から波面分割型で、かつ透過型の顕微鏡の例がほとんどである。
レーザ光学分野においても、透過型の顕微干渉系を波面分割方式で構成すると、大きなメリットが得られる。透過型顕微干渉系では、試料を透過したビームをレンズ系を用いて拡大するが、同時に参照ビームも拡大する必要がある。振幅分割方式の透過型顕微干渉系では、分割した2光束が大きく異なる経路を通るため、振動に影響されやすく、また極めて大きい拡大レンズ系もしくは上記参考文献8のようにそれぞれの光路に同じ拡大系を挿入することが必要である。これに対して波面分割方式では、2光束がほとんど同じ経路を通るので、振動に影響されにくく、拡大レンズ系も1系統でよい。
波面分割型の干渉系で縞走査法を実施するには、観察面で試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらすことが必要で、それには
1.波面分割素子を波面分割境界と直交する方向に動かす。
2.照射ビームの傾きを波面分割境界と直交する方向に変化させる。
3.波面分割素子の屈折率を変化させる。
4.物体波あるいは参照波の少なくとも一方に位相変調素子(例えば液晶板)をいれて、位相を変化させる。
5.計算装置内で位置合わせを行う場合には、干渉条件はそのままで試料を移動させる。
等の方法が考えられる。第1、第2および第5の方法は、レーザ干渉系、電子線干渉系いずれにも容易に応用できるが、レーザ干渉系では第3の方法、電子線干渉系では第4の方法は実用上困難である。
図1に波面分割型縞走査レーザ干渉計測装置の構成例を示す。この例では、波面分割素子である複プリズム5を移動して、試料像と干渉縞の相対的な位置関係を変化させる方法を示した。可干渉ビーム源(この場合はレーザ)1から出たビームをコリメータレンズ2、3によって平行光とし、試料10を照射する。試料10が小さい場合は、コリメータレンズは必ずしも必要ではない。試料10の透過像を対物レンズ4を用いて観察面21上に結像する。この例では、撮像素子20の撮像面に直接結像している。試料10を透過したビーム(図でドットを付した領域の部分)11は、照射ビームに対する屈折率の試料内における分布に応じて位相が変化している。対物レンズ4と観察面21との間の適当な位置に三角柱状の波面分割素子(ここでは複プリズム、バイプリズムとも呼ばれる)5を置くと、試料10を通ったビーム(右下がりハッチング:一般に物体波と呼ばれる)12は対物レンズ4の焦点を通った後、複プリズム5の上側を通って光軸13に近づく方向に偏向され、試料の無い側を通ったビーム(右上がりハッチング部:一般に参照波と呼ばれる)14は逆向きに偏向されて、両者が重なった部分(クロスのハッチング部)15に干渉縞が形成される。観察面21上で、試料がない部分は直線状の干渉縞となり、試料がある部分では透過ビームの位相分布に比例して直線からずれた干渉縞が観察される。
30は画像観察用のモニタであり、撮像素子20からの信号を画像化して表示する。50は計算装置で、計算装置用モニタ60を結んでレーザ干渉システムの運用と管理を行う。51は画像取り込みボードであり、画像観察用のモニタ30からの信号を計算装置50に取り込むためのインタフェイスである。なお、画像観察用モニタ30と計算装置用モニタ60は兼用することも可能である。画像観察用モニタ30上では、観察面20上と同様、試料が無い部分は直線状の干渉縞となり、試料がある部分では透過ビームの位相分布に応じてシフトした干渉縞が観察される。
縞走査干渉法を行うために、ここでは観察者の計算機50を介しての指示により、微動制御装置40に信号を送り、ピエゾ素子による微動制御機構41を用いて微動することによって、複プリズム5を光軸13と複プリズム5の波面分割境界の両者に直交する方向、図においては上または下方向に移動させる。例えば上方向に微動すると、物体波12は複プリズム5のガラスのより厚い部分を通るので位相が遅れ、参照波14は、より薄い部分を通るので位相が進む。このときの物体波と参照波の干渉する様子を図2に示す。
矢印Aで示すレーザ光が試料10を透過した物体波12であり、試料10内の屈折率分布に従って波面121、122、・・・・が凹凸の形状を有するものとなっている。一方矢印Bで示すレーザ光は参照平面波で、図では波面を直線群131、132、・・・・で示した。光軸13から左右にそれぞれθ傾いたレーザ光Aとレーザ光Bが干渉すると、左右の波面の交わったところは強め合って強度が高くなり、左右の波面が半間隔ずれて重なるところでは弱め合って強度が低くなるため、実線の曲線22で示したような強度分布の干渉縞となる。
図2の左右両端部のように、試料10の無い部分では、干渉縞の間隔dとレーザ光の波長λと傾きθの間には(2)式に示す関係があり、通常θは非常に小さいので、(3)式に示すように表される。
2dsinθ=λ (2)
JP0004164261B2_000003t.gifこの干渉縞は干渉系によって決まるので、基本干渉縞あるいはキャリア干渉縞などと呼ばれる。一方試料を透過した部分の干渉縞は直線ではなく、位相変化に対応して局所的に間隔と方向が基本干渉縞からずれたものとなる。
ここで、参照波13のレーザ光Bの位相がわずかに進んだ場合を考える。波面は破線で示す131’、132’、・・・・の位置に移動し、物体波12の凹凸の異なる部分を切るため、破線の曲線22’で示したように干渉縞がずれる。この干渉縞の移動は、物体波12と参照波13との相対的な位相関係で決まり、物体波12あるいは物体波12と参照波13の両方の位相が進みあるいは遅れても構わない。物体波12の位相が進みあるいは遅れた場合でも、複プリズム5によるビームの傾きは一定であるので、試料の像は動かない。
このようにして、基本干渉縞がその間隔dの1/M(M:3以上の正数)ずつずれた干渉画像を作成する毎に、干渉画像を撮像素子20、画像取り込みボード51を介して計算装置50に取り込む。こうして取り込んだM枚の干渉画像群を順番に並べると、画像内のある一点のレーザ光の強度は正弦曲線に従って変化している。図3は、M=3の場合、すなわちM1、M2およびM3の三枚の干渉画像について、この様子を模式的に示したものである。横軸に位相の変化量を、縦軸にレーザ光の輝度を取って各干渉画像との関係を示す。Mが3枚以上という制約は、一点に関する正弦曲線を決定するのに、最低3点のデータが必要だからである。第1番目の干渉画像内の一点の明るさは、場所によって山からであったり谷の途中からであったりするが、その点について決定された正弦曲線の原点から計った位相値が、その点を透過したレーザ光の位相値に対応する。従って、干渉画像各点についてこの値を求めれば、試料に起因する位相分布が求められる。
この位相分布の求め方を数学的に表すと、基本干渉縞があるため上述の(1)式とは記述がやや異なり、(4)式の通りに表される。
JP0004164261B2_000004t.gifここで、dは基本干渉縞の間隔で、その方向をy軸の方向に合わせている。左辺の第1項は、2本のビームが傾いて干渉した結果で直線的な傾きであるので、すでに解っている量であり、計算で除去することは容易である。なお、縞走査法を用いない計測も可能で、その場合は干渉画像を1枚、撮像素子20、画像取り込みボード51を介して計算装置50に取り込み、上述したフーリエ変換法で計算すればよい。
透過型顕微鏡で求められた試料に起因する位相分布とは、レーザ干渉系の場合は屈折率分布、電子線干渉系のばあいは試料の厚さ分布、内部ポテンシャルの分布(屈折率分布に相当)、試料内外の電磁場の分布である。
図4は縞走査電子線干渉装置を示したもので、簡単のため照射光学系と被計測試料と電子線複プリズムのみ示し、これらを内蔵する真空容器系、拡大レンズ系、電源系などは図示されていない。また撮像素子、計算装置など計測に必要な装置も、レーザ干渉計測装置と同様であるので省略されている。
71は電子線源であり、72はこれから放出された電子線である。電子線源71から出た電子線72は照射レンズ(照射レンズ系)73によって平行に近いビームとなり、試料74を照射する。電子線72の波面を実線で表している。電子波72の波面は、試料74を透過するとき試料74の厚さ分布や試料内外の電磁場の分布によって位相が変化し、凹凸の波面となる。電子干渉の場合の波面分割素子は、一般に電子線複プリズムだけである。電子線複プリズムは、両側電極75および76とこれらの中心の細線電極77とよりなり、細線状電極77に+100V程度の電圧を印加することにより、両側を通る電子線を引き寄せて下方で重ねる働きをする。従って、電子線通路の片側に試料を置けば、観察面78に試料透過波と参照波の干渉画像が形成される。電子線複プリズムを、矢印に示すように、わずかに右方向に移動すると、物体波と参照波の波面に、図に破線で示すように、進み遅れの差が生じて、干渉画像の縞が移動する。しかし電子線複プリズムが移動しても、傾き角は一定であるので、試料の像は移動しない。従って、電子干渉計測も、レーザ干渉の場合と同様に計測することができる。縞走査法あるいは電子線複プリズムを移動しない場合にはフーリエ変換法を用いて、試料によって変化した位相分布を計測することができる。ちなみに、電子線複プリズムの移動には、レーザ干渉計測装置と同様、ピエゾ素子やステッピングモータなどを用いるが、図示はされていない。
発明の開示
上述したいずれの干渉計測法でも、干渉計自身に起因する誤差が計測結果に重畳する。これらの干渉法では、被計測試料を透過あるいは反射したビームの位相と、参照ビームの位相とのずれを計測するが、レーザ干渉系における要因としてレーザ光源の揺らぎ、半透鏡の厚さ分布の不均一、反射鏡面や半透膜面の凹凸などに起因するレーザ波面のゆがみ、空気の揺らぎ、複プリズムの厚さ分布の不正確さ、レーザ干渉系と電子線干渉系に共通する要因としてレンズの製作上のゆがみそして複プリズムの波面分割境界から発生するフレネル回折波による位相変化などが、本来計測しようとしている試料による位相変化に重畳している。これらの中でも、フレネル回折波の影響が最も大きい。
レーザ干渉計測分野では、等倍程度の反射型干渉系が最も多い。透過型の等倍程度の干渉系や反射型の顕微鏡は少ない。また、等価型の顕微鏡は極めてまれである。これらはいずれも振幅分割型で、波面分割型の干渉系は文献には見あたらない。振幅分割型の干渉系では、波面分割境界のようにフレネル回折波を発生させる部品はなく、また反射鏡や半透鏡の面精度を数10分の1波長にすることが可能であるため、そもそも干渉系固有の計測誤差は小さい。したがって、面精度あるいは厚さ精度の極力高い光学部品を用い、透過型干渉系では試料のない場合の位相分布、反射型干渉計では基準となる極めて高精度の基準面を用いて、干渉系固有の計測誤差を補正している。
透過型顕微鏡の干渉系を構成する場合、2本に分割した光束それぞれに拡大レンズ系を備えるか、同じ拡大レンズ系に納めることが必要である。このため、振幅分割型では光学系が大型化しかつ複雑になってしまう。これに対して波面分割型の場合には、2光束間の距離が近いため同一の拡大レンズ系に納めることが容易である。従って、設置スペースや拡大レンズ系の面で、波面分割方式が圧倒的に有利である。とくに電子干渉では実用上干渉素子は波面分割型の電子線複プリズムのみである。
ところが、波面分割型の干渉素子では、波面分割境界からのフレネル回折波が極めて大きな悪影響を及ぼす。波面分割型干渉系では、波面分割素子をビームが照射する。波面分割境界は、レーザ干渉系の場合は屈折方向が急激に変化する部分であり、電子線干渉系の場合には電子線に対して不透明な(あるいは真空部とは透過率が大きく異なる)物質であるので、この部分からフレネル回折波が発生し、観察面において計測領域に重畳する。
図5は、図1の波面分割型縞走査レーザ干渉計測装置の複プリズム5を例として、波面分割境界から発生するフレネル回折波による位相変化の発生の例を模式的に示したものである。簡単のため、物体波12の波面を破線、物体波側のフレネル回折波の波面16を実線で示し、物体による位相の変化は表現されていない。試料10を照射するレーザ光は一般に平面波であるので、物体波12と同様に、平面群で表される。試料透過部分のみが凹凸の変化を受け、この凹凸の変化を受けた平面群は、対物レンズ4を通ることによって対物レンズ焦点に収斂し、さらにそこから発散する球面波となり、波面分割素子である複プリズム5を通って傾く。このとき、複プリズム5の光軸上の稜51によってフレネル回折が起こり、ここを基点とする円筒面状の波が観察面に到達する。参照波についても同じことが起こるため、観察面上では物体波、参照波およびフレネル回折波の3つの波が干渉することになる。波面分割素子5の形状や構成によっては、フレネル回折波は物体波側フレネル回折波と参照波側フレネル回折波に分かれ、4波の干渉となる。従って、試料に起因するものでない位相変化が計測した結果に加わり、試料による位相変化と区別することができない。
とくに、より高精度な計測が可能なはずの縞走査法を波面分割型干渉系に適用すると、干渉縞とフレネル回折波は一体不可分なため、試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらすことは、フレネル回折波を動かすことでもあり、原理ほどには計測精度が向上しない問題が生じる。図5に示すように、複プリズム5の中央の稜51から発生したフレネル回折波は、複プリズム5の移動と共に移動するので、試料像の任意の点Pにおける明るさの変化は、試料に起因する位相変化とフレネル回折波による位相変化の両方の影響を受ける。この現象は、上記の試料像と干渉縞の相対的な位置関係を変化させる方法によらず必ず発生する。すなわち、正弦曲線を決定する際に光学系に起因する位相変化が関与してしまい、それが計測精度を制約する要因となる。
この問題点は、電子線を用いた干渉計測においても同様である。図4を参照して説明した電子線複プリズムの細線状電極77は、電子線に対して不透明な(あるいは真空部とは透過率が大きく異なる)物質であるので、ここからフレネル回折波が生じる。これが計測結果に及ぼす影響は、レーザ干渉の部分で述べたと同様である。
この方式でも、試料の有無による位相分布の差を正確に求めることで、フレネル回折波の影響を軽減することはある程度可能である。ところが、試料内部や位相変化の大きいところでは、フレネル回折波そのものも位相変化を受けるため、試料の有無による位相分布の差では補正することができない。また実際には、ごくわずかな光軸、レンズ軸あるいは波面分割素子の位置関係のずれで、観察面上におけるフレネル回折波に起因する位相分布がずれるため、試料有無の計測データを極めて短い時間内に全く同一条件で得ることは容易ではなく、十分な補正の効果が得られないことも多い。
さらに電子干渉においては、試料が電界あるいは磁界を有するものであったり、試料に極微少量の電荷が蓄積されているケースが多い。この場合には、試料の有無で電子線の軌道が変化して干渉系固有の誤差も変化するため、補正はむしろ逆効果となる。
振幅分割型の干渉系では、光軸、レンズ軸あるいは干渉系の位置関係のわずかなずれは、レンズや干渉計の使用する領域のずれであり、通常この差は十分小さい。さらにレーザ干渉系の場合、測定される量はレーザ光に対する屈折率の分布で、試料の周辺に電界、磁界が分布しているケースでも計測結果に何ら影響を及ぼさない。こうした理由から、波面分割型干渉系とは異なり、試料の無いときの計測結果で干渉系固有の計測誤差を補正して高い計測精度を達成することが比較的容易で、大きな不都合はなかった。しかし、本来顕微鏡には極めて有利な干渉素子である波面分割素子では、原理的にフレネル回折波を避けることはできない。
上述した問題点は、特に透過型顕微鏡に有利な波面分割型干渉系を構成した場合に大きな障害となるものであるが、波面分割素子を用いた干渉計も透過型の干渉計測装置も例が極めて少ないため、ほとんど認識されていなかった。また、電子線を用いた干渉計測は、ごく一部で行われてきたのみで、電子線複プリズムに起因するフレネル回折波が計測に悪影響を及ぼすことは広く認識されていたものではなく、これまで無試料時の計測結果で補正する方法しか知られていなかった。
可干渉ビーム(レーザ光、電子線など)を用いた干渉計測において、正確な計測結果を得るためには、干渉系に起因する計測誤差を取り除く必要がある。特に波面分割型干渉系では、上述したように波面分割素子の波面分割境界からフレネル回折波が発生し、これが計測精度に大きな悪影響を及ぼす。
本発明は、このフレネル回折波による影響を除去するためになされた。特に、波面分割型干渉顕微鏡、電子干渉顕微鏡に大きな効果を発揮するものであるが、下記する第2の手段は一般の振幅分割型や反射型の干渉計測装置にも応用が可能である。
この問題を回避するための手段の第1は、波面分割境界からフレネル縞を発生させないことである。波面分割境界は必ず必要であり、境界が有れば必ずフレネル回折が起きる。従って、この境界にビームを当てないことが本質的な解決法である。なにか物体が有れば、あるいは、波が急激な変化を受ければ必ずフレネル回折が起こるが、その発生場所あるいはそれと光学的に等価な場所ではフレネル回折波は1点に収斂している。波面分割素子は原理的に試料面とも観察面ともまたそれらと等価な面とも異なる位置に設置する必要があるため、このままでは観察面には必ずフレネル回折波が重なる。
そこで、レーザ光源と複プリズムの間に形成される観察面と等価な面上に遮蔽板をおき、波面分割素子の波面分割境界がその影の中に入るようにすれば、遮蔽板によるフレネル回折波を回避できかつ波面分割素子ではフレネル回折が起こらない状況を実現することができる。
一般に、計測は試料に焦点のあった状態で行われる。従って、この場合には遮蔽板は、試料面上か可干渉ビーム源と波面分割素子の間に形成される試料面と等価な面上におかれることになる。このとき遮蔽板は厳密に観察面あるいは試料面と等価な面上である必要はない。フレネル回折波は、発生源で1点に収斂しているので、そのごく近傍ではフレネル回折波の広がりもごくわずかである。従って、観察面上で試料によって位相変化した被計測部分に影響しない程度であれば、遮蔽板の端部に起因するフレネル回折波は許容されるからである。
干渉系に起因する位相変化を除去する第2の手段は、試料のある場合の2つの計測結果を試料像と干渉縞の位置関係をずらして取得し、その2つの結果の差をずれの方向に積分することによって、干渉系に固有の誤差を取り除いた計測結果を得る方法である。特に縞走査法と呼ばれる、試料像と干渉縞の相対的な位置関係を少しずつずらした複数枚の干渉画像から試料による位相変化分布を高精度に計測する方法と組み合わせると、一連の干渉画像群から上記の2種類の計測結果が得られるため、容易に精度の高い補正効果が得られる。
発明を実施するための最良の形態
(実施例1)
本発明の第1の実施例を図6に示す複プリズム移動による縞走査レーザ干渉計測装置を用いて説明する。本実施例では、干渉素子に波面分割素子である複プリズム5を用い、干渉素子に起因する位相変化分布を除去する手段として試料面上に複プリズムの波面分割境界を照射するビームを遮蔽するごときビーム遮蔽板100を設置した。試料像あるいは試料透過ビームの位相分布は、一般に正焦点で観察される。従って、ここでは遮蔽板100を観察面と等価である試料面上に置き、試料の正焦点像を撮像素子20の撮像面に直接結像した。ここでは試料10と波面分割素子5の間にレンズを1個用いた1段の拡大系であるが、2段以上の拡大系でも、また干渉画像をさらに拡大する光学系でも良い。波面分割素子の手前が2段以上の拡大系である場合は、中間拡大像の位置が観察面と等価な面になるので、そこに遮蔽板100を置いても良い。このようにするときは、遮蔽板100を大きくすることができ、遮蔽板に対する位置精度の要求も緩やかになるため、顕微鏡には望ましい方法である。また顕微鏡に応用するには不利な方法であるが、レーザ光源1とコリメータレンズ3の間に形成される観察面21と等価な面上に置いても良い。
図6に、遮蔽板100の後ろ側の部分を白抜きで示すように、本実施例によれば、フレネル回折波の発生原因となっている波面分割素子5の波面分割境界51が遮蔽板100の影の中に入る。したがって、波面分割境界51によるフレネル回折を回避できる。このとき、遮蔽板の端面位置によりフレネル回折波が発生するが、これは、先に説明したように、観察面上で試料によって位相変化した部分に影響しない。波面分割境界から発生するフレネル縞の影響は、高い精度で計測する場合により重大な問題となるため、本実施例では縞走査法を用いた計測システムを示した。しかし、物体波と参照波の相対位相差を制御しない通常の干渉計測装置であっても、ビーム遮蔽板の計測精度向上に及ぼす効果は大きいことは言うまでもない。
(実施例2)
図7に本発明の第2の実施例を示す。これは図に示される構成要素の上では図1に示した縞走査レーザ干渉計測装置の拡大レンズ系を、対物レンズ4および拡大レンズ6の2段にしたものである。ここで、25は中間拡大像を示し、26が中間拡大像の形成される位置である。干渉素子には波面分割素子である複プリズム5を用いた。干渉素子に起因する位相変化分布を除去する手段として観察面において試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらすための複プリズム微動機構41を設け、かつ計算装置50は第1の干渉画像と、第1の干渉画像とは試料像と干渉縞の相対的な位置関係のずれた第2の干渉画像とを記憶し、第1の干渉画像から計算された第1の位相分布と第2の干渉画像から計算された第2の位相分布との画像間の演算により被計測試料に起因する位相分布を求める機能を有するものとした。また、本発明による装置構成で、縞走査法を用いた場合の干渉計に起因する位相変化分を補正することもできる。
まず、縞走査法を用いない最も基本的な操作は次のようになる。試料10を設置した状態で、第1の干渉画像を形成し、撮像素子20を介して1枚、計算装置50に入力し、記憶させる。上述したように、これを数学的にフーリエ変換し、+1次もしくは-1次スペクトルどちらかを適当な窓で選んでフーリエ逆変換し、傾斜分を補正して第1の位相分布を求める。試料に起因する位相変化の分布をφ(x,y)とし、簡単のため最も大きいフレネル回折波に起因する位相分布のみを考えてその分布を
JP0004164261B2_000005t.gif式で示される。
JP0004164261B2_000006t.gif但し、この時点では従来の装置、方法と同じで、両者を区別することはできない。
次に、微動制御装置40から微動制御機構41を通して、複プリズム5を複プリズムの光軸上の稜と光軸の両者に直交する方向すなわち図上では上または下方向に、干渉縞が観察面21上でΔx動くように移動して、第2の干渉画像を1枚、計算装置50に取り込む。この例では、微動制御装置40は計算機50から制御されるように構成されているが、手動で微動制御装置40を制御しても良い。複プリズム5を移動した結果、試料と干渉縞の相対的な位置関係のずれが達成される。第2の干渉画像に記録された位相分布は、第1の干渉画像に施したと同様の操作で計算される。ここに再現されている位相分布は、試料に起因する位相変化成分については第1の位相変化分布と同じであるが、フレネル回折波(および複プリズム5)に起因する位相変化成分については複プリズム5の動きに追随して観察面上でΔx動くため、計算で求められた位相分布は(6)式のようになる。
JP0004164261B2_000007t.gifしたがって、第2の干渉画像から計算された位相分布と第1の干渉画像から計算された位相分布の差を求め、それを移動量Δxで規格化した量を(7)式で表すと、これはフレネル回折波に起因する位相分布をx方向に微分したものである。
JP0004164261B2_000008t.gif従って、これをΔxの方向に積分すれば、(8)式に示すように、フレネル回折波に起因する位相分布を求めることができる。
JP0004164261B2_000009t.gif従って、(5)式に示す第1の位相分布と(8)式に示す位相分布との差を取ることによって、干渉系の誤差を補正することができ、試料に起因する位相変化分布φ(x,y)だけを抽出することができる。
厳密には、第2の位相分布は、干渉画像を形成したときの初期位相の差の分だけ位相値の大きさが第1の位相分布からシフトしているが、これは位相分布の形状をそのまま位相軸方向にシフトしたものである。従って、これを位相軸方向に平行移動して第1および第2の位相分布のレベルを合わせても、結果には何ら影響しない。またこの量は、2π×(干渉縞のずれ量Δx)/(干渉縞間隔d)であるため、レベルを補正することも容易である。
レーザ干渉系では、様々なプリズムの形状の可能性がある。図8に、上述の実施例以外にも本発明が適用できるいくつかのプリズム形状とそれによる波面を示した。波面分割境界はいずれも一点鎖線で示す光軸上にある。(a)は通常の三角柱状プリズム、(b)は集光レンズとともに三角柱状プリズムを使用して、ビームが発散する方向に使用した例であり、(c)、(d)は波面分割境界を境に三角断面形状プリズムを組み合わせたものである。(d)は(b)と同様の使い方をするので、素子形状のみ示した。
図7に示した実施例で、縞走査法を適用する場合は以下のようになる。
観察面21上で試料像に対する干渉縞の移動量が干渉縞間隔の1/M(Mは3より大きい正数)となるように複プリズム5を動かしながら、M枚からなる第1の干渉画像群を計算装置50に入力する。次に、第1の干渉画像群の1枚目の干渉画像とは干渉縞が観察面上でΔxずれた状態から、干渉縞の移動量が干渉縞間隔の1/N(Nは3より大きい正数)となるように上記と同様に複プリズム5を動かしながら、N枚からなる第2の干渉画像群を計算装置50に入力する。このとき、MとNは同じである必要はない。第1の位相分布は、各点(x,y)について(9)式から計算することができる。
JP0004164261B2_000010t.gifここで、左辺第1項は、2本のビームが傾いて干渉したことによる位相で、dは干渉縞の間隔である。右辺I(x,y;m)は、M枚中m番目の干渉画像における(x,y)点の明るさを表している。
傾きの位相分布を補正した位相分布φ(x,y)は、上述した方法で求めた(5)式の位相分布と同じで、(10)式のように表される。
JP0004164261B2_000011t.gifまた、第2の干渉画像群から同様にして求められた第2の位相分布は(9)式でMをNに、mをnに置き換えた(11)式から計算することができる。
JP0004164261B2_000012t.gif第1の干渉画像群に対する傾きの位相分布の補正と同様に、第2の干渉画像群に対する傾きの位相分布を補正した位相分布φ’(x+Δx,y)は(12)式のように表される。
JP0004164261B2_000013t.gifこの(12)式に示される第2の位相分布から、(10)式に示される第1の位相分布を引き、Δxで除すれば、(7)式と同様、(13)式のように、干渉系に起因する位相変化分布の微分を得ることができる。
JP0004164261B2_000014t.gifしたがって、前記(8)式と同様に、x方向に積分すれば干渉系によ
JP0004164261B2_000015t.gif起因する位相変化分布が求められる。これを(10)式の値から減じれば、試料による位相変化分布が求められる。本例ではレーザ干渉系であるが、図4に示した電子線干渉系でも、装置構成は全く同じで、計算処理のみでこの補正法が実現できる。
(実施例3)
一方、(6)式の第2の位相分布を計算装置内で-Δxシフトして(5)式の第1の位相分布から減じて、Δxで規格化すれば、(14)式に示すように試料に起因する位相変化分布の微分したものを直接得ることもできる。
JP0004164261B2_000016t.gifこれは、第2の干渉画像を作成するときに、実施例2の複プリズム5を+Δx動かす代わりに試料10を-Δx動かしたものと画像のx方向両端部を除いて基本的に等価であるので、試料10を動かしても良い。図9は、試料10を微動して縞走査干渉法を実現する実施例である。図9の構成は、図6のそれと対照して容易に理解できるように、微動制御機構41が複プリズム5に代えて試料10を光軸13に対して上下動させるものとされている点において図6の構成と異なるのみである。観察者の、計算装置50を介しての指示により、微動制御装置40に信号を送り、試料10を光軸13に対して上下動させることができる。本実施例においても、縞走査法に代えて、フーリエ変換を用いる演算処理による方法でも、装置の構成と干渉系誤差の補正計算は同様に実施できる。
まず干渉画像を形成して、観察面21上で試料の移動量が干渉縞間隔の1/M(M:3より大きい正数)となるように試料10を動かしながら、M枚からなる第1の干渉画像群を計算装置50に入力する。つぎに、第1の干渉面像群の1枚目の干渉画像とは試料位置が観察面上でΔxずれた状態から、試料10の移動量が干渉縞間隔の1/N(N:3より大きい正数)となるように動かしながらN枚からなる第2の干渉画像群を計算装置に入力する。第1の位相分布は、計算機内で第1の干渉画像群の各干渉画像における試料のずれ量を逆方向に補正して試料の位置をこの群の最初の干渉画像に揃えた干渉画像群に変換し、(9)式に基づいて計算する。第2の位相分布についても同様に第2の干渉画像群内の試料の位置をこの群の最初の干渉画像と同じになるように補正し、(11)式に基づいて計算すると、両者はそれぞれ(15)式および(16)式の通りとなる。
JP0004164261B2_000017t.gifしたがって、第2の位相分布から第1の位相分布を引きΔxで規格化すれば、(17)式に示すように、試料10による位相分布の微分を直接求めることができ、従って(8)式と同様に積分すれば、(17)式に示すように、試料による位相分布を求めることができる。
JP0004164261B2_000018t.gif(実施例4)
この方法をさらに発展させると、より系統的な計測が実現する。その方法には以下に示すようにいくつかのやり方が有る。
第1の方法は、観察面21における試料像と干渉縞の相対的な位置関係をその間隔のM(M≧3の整数)分の1ずつずらしながら記録したM+1枚の干渉画像群を計算機50に取り込む方法である。計算で求められる位相分布は、それぞれのシリーズの最初の干渉画像について、各点が正弦曲線の原点に対してどの位置にあるか、という値として求められる。したがって、この干渉画像の1枚目からM枚目までを用いて計算した第1の位相分布と、2枚目からM+1枚目を用いて計算した第2の位相分布とでは、基本干渉縞間隔の1/Mだけ複プリズムに起因する位相変化分布が複プリズムの光軸上の稜と直交する方向にずれ、位相値の絶対値は2π/Mシフトしている。従って、第1と第2の位相分布から上述したと同じ方法で試料に起因する位相変化分布を直接又は干渉系固有の誤差を取り除いて求めることができる。
第2の方法は、観察面21における試料像と干渉縞の相対的な位置関係をその間隔のM(Mは6以上の偶数)分の1ずつずらしながら記録したM枚の干渉画像群を計算機50に取り込み、奇数番の干渉画像群から計算した第1の位相分布と、偶数番の干渉画像群から計算した第2の位相分布を用いる方法である。このそれぞれから計算された位相分布は、複プリズムによる位相変化分布が1/M間隔ずれているので、やはり同様に試料に起因する位相変化分布のみを取り出すことができる。
第3の方法は、第2の方法を一般の場合に拡張したものである。まず、例として、観察面における干渉縞をその間隔の12分の1ずつずらしながら記録した12枚の干渉画像群を取り込み、{Image(1)、Image(4)、Image(7)、Image(10)}、{Image(2)、Image(5)、mage(8)、Image(11)}および{Image(3)、Image(6)、Image(9)、Image(12)}の4枚シリーズの3系列に分類する。ここで、Image(m)はm枚目の干渉画像をあらわしている。それぞれの系列の中では、干渉縞がその間隔の3/12(=1/4)ずつずれた4枚の干渉画像群であるため、それぞれのシリーズ内で位相シフト法で位相分布を計算することができる。系列間では、初期位相が1/12間隔ずつずれているので、3系列のうちの任意の2系列から求めた2つの位相分布の差を取れば、上述したのと同様に試料に起因する位相変化分布のみを取り出すことができる。
これを一般化すれば、以下のように表現できる。3以上の正数をM、1からMまで変化する変数(自然数)をm、2以上の正数をK、1からKまで変化する変数(自然数)をkとし、干渉縞をその間隔の1/(K×M)ずつずらした(K×M)枚の干渉画像を計算機に取り込み、((m-1)K+k)番目の干渉画像をImage{(m-1)K+k}と表すと、(18)式と表現できるM枚からなる干渉画像群がK系列できる。
JP0004164261B2_000019t.gifこのK系列の任意の2系列からそれぞれ計算した第1および第2の位相分布から、前述した方法のいずれかにより、試料による位相分布を求めることができる。たとえば、(4)式のΔxは数学的には小さい方が望ましいが、実際のデータではノイズ等の影響からある程度大きい方が望ましく、最適な大きさは実験の条件に依存する。しかし、K系列の任意の2系列から位相分布を求めることとした場合には、k=1とk=2の系列では、上述のΔxは干渉縞間隔の1/(K×M)とでき、k=1とk=3の系列では、干渉縞間隔の2/(K×M)とできるから、Δxの選択の自由度が増すことになる。また、振動や電源変動などの要困でデータとして使用するには不適当な干渉画像が少数含まれていたとしても、その系列を除く2系列を計算に使用すれば、実質的な影響は回避できる。しかも、このデータ取得は、一連の干渉画像の取得として行なうことができるから、このために手数が増えるということは無い。
なお、ここで述べた3つの方法で、試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらす方式として複プリズムを移動する方式、試料を移動する方式および以下の実施例5に示す試料を照射するビームを傾ける方式いずれも用いることができるのは言うまでもない。
(実施例5)
第5の実施例を図10に示す。図には、図4で説明した電子干渉計測装置の構成要素と同等のものには同じ参照符号を付した。電子線傾斜による縞走査法を電子干渉計測装置に応用したもので、電子線軸に沿った断面が示されている。簡単のため、電子線源から中間拡大面までの概略のみを示し、原理の説明に不要な電子光学系、電子線複プリズムの微動機構の詳細、真空容器、中間拡大面以降の拡大レンズ系、加速電圧やレンズおよび偏向系などの電源類等は省略されている。試料と中間拡大面の間には対物レンズがあるが、光学系が煩雑になるため、図では省略する。また、観察および計測に必要な機器は実施例1と同じであるので、これらも省略されている。実施例5では、干渉素子に起因する位相変化分布を除去する手段として、試料74を照射する電子線の傾きを変えて観察面において試料像と干渉縞の相対的な位置関係をずらす機構と、第1の干渉画像と、第1の干渉画像とは試料像と干渉縞の相対的な位置関係のずれた第2の干渉画像とを記憶し、かつ第1の干渉画像から計算された第1の位相分布と第2の干渉画像から計算された第2の位相分布との画像間の演算により被計測試料に起因する位相分布を求める機能を有する計算装置(図示せず)を備えている。
電子線源71から出た電子線72を照射レンズ73を用いて略平行ビームとし、電子線通路の片側に置かれた試料74を照射する。試料74を透過した電子線は図示されていない対物レンズによって中間拡大面78に結像される。対物レンズと中間拡大面78の間には、細線状の中心電極77と一対の平板状接地電極75、76からなる電子線複プリズムが置かれている。+100V程度の電圧を印加された中心電極77の両側を通った電子線は電界によって引き寄せられ、下方で重畳する。従って、試料を通った試料側電子線92(左上がりの面群)と試料の無い側の参照電子線93(右上がりの平面群)とが干渉して、中間拡大面78上に試料像部分のみ変位した直線状の干渉縞からなる干渉画像が形成される。このとき、電子線複プリズムの細線電極77の両側からは、フレネル回折波17が発生し、干渉画像に重畳する。
照射レンズ73と試料74の間には、上下一対の電子線偏向系が置かれている。この偏向系は、参照符号95で示すように、紙面の背面から前面に向かう磁場を作用させて、電子線を紙面上で、矢印97に示すように、右側にある角度偏向させる上側偏向系と、参照符号96で示すように、紙面の前面から背面に向かう磁場を作用させて、電子線を紙面上で、矢印98に示すように、左側に偏向させて、上側偏向系による偏向分を元に戻し、試料面を通る位置が不変にさせる下側偏向系とよりなる。即ち、上下一対の電子線偏向系は試料74の部分を通る電子線を直線で表したとき、電子線が試料面透過位置を回転中心として試料74への入射角を変化させられるように構成されている。ここで、それぞれの偏向された電子線の状態を模式的に見やすくするために、破線の包絡線を付すとともに、電子線の波面のずれを破線で示した。
電子線複プリズムの中心電極77と中間拡大面78上に形成される干渉縞は、図の紙面法線方向である。簡単のため対物レンズによる電子線の電子線軸周りの回転を無視すると、干渉縞を縞の方向と直交する方向に動かすには、図で左右方向に電子線を偏向することが必要である。このためには、偏向磁場は紙面法線方向でなければならない。
通常は磁界型の偏向系が用いられるが、コイルあるいは磁路を図示すると図が煩雑になり不都合なため、電子線偏向系は発生する磁場のみをその向きで示してある。まず上の電子線偏向系で紙面法線上向き95の磁場を発生させ、電子線を破線で示したように右側に偏向する。下側電子線偏向系は、紙面法線下向き96に磁場を発生させ、かつその磁場の強さは電子線の試料を通る位置が偏向前後で同じであるように調節されている。破線で示したごとく、電子線の軌道は偏向前に比べてずれ、対物レンズ81及び電子線複プリズムの異なる位置を通る。しかし、試料の一点から発散した散乱波が像面で一点に収斂することからも判るように、偏向前後で電子線の試料を通る位置が不変であるため、試料の像は移動することはない。一方、電子線複プリズムに対する照射方向が矢印98と同様に傾くため、干渉縞群の中心は電子線軸上から電子線源と中心電極を結んだ延長線上にずれる。従って、干渉縞は試料像に対してこの例の場合左方向にずれ、電子線が中心電極に当たって生じるフレネル回折波も同様に照射方向のずれに対応してずれることになる。
電子線の偏向量を干渉縞が中間拡大面78あるいは図示されていない観察面上でその間隔の1/Mずつずれるように変化させながら、計M枚の干渉画像を図示されていない計算装置に取り込めば、前述したと同じ手順で縞走査法による位相分布計算が可能になる。このとき、従って、すでに説明した1/M間隔ずつ干渉縞の位置のずれた(M+1)枚の干渉画像を取り込む方法、あるいは(K×M)(Kは2、Mは3以上の正数)枚の干渉画像を取り込みそれをM枚×K系列の干渉画像群に分割する方法を用いて、本発明を実施することができる。
本実施例では、試料を照射する角度を変化させることにより試料と干渉縞の相対的な位置関係をずらしているが、先に、図4を参照して説明したように、電子線バイブリズムの電極75、76および77あるいは中心電極77のみの位置を変化させて上述の処理を行うものとしても同様の効果が得られ、本実施例を実施できることは言うまでもない。
本実施例では、偏向量に応じて電子線が対物レンズ、電子線複プリズム75-77および図示されていないその他の試料面と等価な面上以外にある電子光学素子の異なる位置を通るため、それらに起因する位相変化が全て干渉縞の移動につれて移動する。従って、電子線複プリズムのみならず、試料面以降でかつ試料面と等価な面上以外にある電子光学系による位相変化も全て補正することができる。
試料入射点を中心として入射電子線の角度を変化せしめる電子線偏向系の動作方法には2通り有る。まず第1は、上下コイルおよび試料の位置関係に対応して決まる上下コイルの偏向量が同じになるようにそれぞれの巻き数の比を求め、上下コイルの発生する磁場が逆向きになるように直列に結線し、一つの直流電流源から電流を供給する方法である。第2は、上下コイルを別の電流源に接続し、それぞれを適当な電流比をもって動作せしめる方法である。さらにこの両者を併用する場合もある。ここでは、電子線偏向系は1系統であるかのような説明を行ったが、x-y2系統の偏向系でも、干渉縞をその方向と直交する方向に移動することができれば、何ら不都合はない。
なお、照射レンズ系73はほとんどの場合2段あるいは3段の電子レンズから成るが、本説明では説明のため1段のみ示してある。また、対物レンズと電子線複プリズムの間にさらに1段以上の拡大レンズがあっても、原理的に何ら変わりはないことは言うまでもない。
このビームを傾斜させる方法をレーザ干渉計で実現した場合、ビームを傾斜させる原理と機構は異なるが、ビームが通る位置および干渉縞のずれが生じること、従って本発明が適用できること、試料面以降でかつ試料面と等価な面上以外にある光学部品による位相変化も併せて補正できるメリットなどは同様であることは明らかである。
これまで説明してきた試料像と干渉縞の相対的な位相関係のずれた第1および第2の干渉画像(群)とから計算された第1および第2の位相分布の差から、試料に起因する位相分布と干渉計に起因する位相分布を分離する方法の基本的な要件は、上記相対的な位相関係のずれに対応して試料による位相分布と干渉計による位相分布のどちらかだけがずれる所にある。これは、試料と試料像の結像に直接関与しない光学系構成部の位置関係を横ずらしすることに対応する。従って、参考文献1の56頁の図1に示されるマイケルソン干渉計、参考文献3の図1に示されるマハ・ツェンダ干渉計など一般の干渉系においても、反射鏡、半透鏡などを横ずらしすれば、その部品に起因する位相変化のみが試料像に対して横方向にずれる。また、上記の電子線干渉系で示したように、試料を照射するビームの傾きを変化させれば、試料面あるいはそれと等価な面上にない光学構成部品の異なる位置を通るため、干渉系に起因する位相変化のみが移動する。すなわち、あらゆる干渉計測装置においても、試料と試料像の結像に直接関与しない光学系構成部の位置関係を横ずらしするための機構を備え、該位置関係のずれた第1および第2の干渉画像(群)とから計算された第1および第2の位相分布を上述してきた方法にならって計算処理すれば、試料に起因する位相変化と干渉系に起因する位相変化とを分離・抽出することができる。
(導波路の評価への応用)
以下本発明による干渉計測装置によって光導波路の評価をするために光導波路断面の屈折率分布を計測した応用例について説明する。
図11は、光導波路の作成方法の一例の概略を示す図である。まず、(a)に示すように、石英基板201を用意し、(b)に示すように、この基板201上に光導波路となる所定の厚さの(SiO2+TiO2)層202を形成する。TiO2の量は、基板201と光導波路層202の屈折率の差が0.3%となるように、約1Wt%に選ばれている。(SiO2+TiO2)層202の上にレジスト層でマスクを形成し、フォトリソグラフィで光導波路となる線状部分のみレジスト層を残して、これに反応性イオンエッチング(RIE)を施して、(c)に示すように、光導波路203を形成する。次いで、この上に(d)に示すように、火炎堆積法(Flame Hydrolysis Deposition:FHD)により、リン(P)とホウ素(B)をドーパントとして含むSiO2粒の層204を堆積させる。最後に、全体を1200℃程度で熱処理することにより基板201および堆積層204の全体205を透明化する。
PとBをドープすると軟化温度が低下し、Pは屈折率を上昇させ、Bは屈折率を降下させる働きがある。従って堆積層204に含まれるPとBの量は、透明化のための熱処理時に基板201および光導波路203の軟化を極力防ぎ、かつ堆積層204の屈折率が基板201と同じになるように調節されている。
光導波路の特性としては、導波路部分の境界で屈折率が急激に変化していて、光信号が導波路内に局在することが望ましい。しかし上記の製造過程で堆積層204が軟化する際、Pを多く含む粒子が先に軟化して基板201との界面にPリッチな層が形成される可能性や、添加成分の拡散により屈折率分布がブロードになる可能性が指摘されている。しかしこれまでは、こうした屈折率分布の計測は、送られた光信号が出力側でどれだけ減衰しているかを測定したり、干渉顕微鏡で観察して干渉縞の曲がり具合から判断するなどの方法で行われており、十分な評価方法とはいえなかった。
しかし本発明を応用すれば、屈折率の分布を直接観察・計測することができる。まずこの観察原理を説明するために、屈折率の差によって生じる位相変化を考える。屈折率n2の導波路の光路に沿った厚さをtとすると、この中に存在する波の数Nは(19)式で表される。
JP0004164261B2_000020t.gifここでλ2は導波路内でのレーザ光の波長である。クラッド部分の屈折率をn1、そこでの波長をλ1とすると、波1周期に対する位相のずれは波長単位で(20)式で示される。
JP0004164261B2_000021t.gif物質の屈折率nは真空中の波長λ0に対する物質中の波長λの比(21)式で表されるから、
JP0004164261B2_000022t.gif導波路を通ったときの位相のずれΔφ[rad]は、(22)式で示される。
JP0004164261B2_000023t.gif図12は、光導波路試料をスライスした断面の観察結果である。等高線は1/10波長の位相変化毎に描かれている。図の右下に5μmのスケールを示す。略矩形形状の下辺が石英基板201との界面である。導波路中央部203とクラッド層205の屈折率差は、この試料の場合0.3%である。従って、この位相分布から、5×10-5程度の屈折率の違いを読みとることができ、導波路内や、透明化層内の屈折率の均一性などの詳細計測が可能になる。
図13は、図12に断面の観察結果を示した光導波路を上面から観察した結果を示した図である。濃い帯状の部分が導波路203である。図の下段に示すグラフは、図13の左右に示した矢印の位置の部分の位相プロファイルを示す。このプロファイルから、各部の位相変化量が読みとれ、従ってクラッド部の屈折率が解っていれば(22)式から屈折率の分布が計測できる。
産業上の利用可能性
本発明の第1の方法によれば、波面分割型に属する干渉計測装置における複プリズムの波面分割境界から発生するフレネル回折波あるいは電子線を用いた干渉計測装置におけるフレネル回折波による位相変化を、可干渉ビーム源と複プリズムの間に形成される観察面と等価な面上に、波面分割境界を遮蔽するごとき形状のビーム遮蔽板を設置することにより除去することが可能となる。また本発明の第2あるいは第3の方法によれば、試料と干渉縞の相対的な位置関係がずれた2系列の干渉画像(群)からそれぞれ得られた2つの位相分布データから数学的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は波面分割型の波面分割型縞走査レーザ干渉計測装置の構成例を示す図である。
図2は干渉縞の形成とシフトの様子を模式的に示す図である。
図3はレーザ干渉計測システムにおいて干渉縞だけをずらしたときの干渉画像の任意の点Pの明るさが正弦曲線に従って変化することを模式的に示す図である。
図4は縞走査方式を用いた電子線干渉装置を示す図である。
図5は波面分割型のレーザ干渉システムにおいてフレネル回折波による位相変化が発生することを模式的に説明する図である。
図6は本発明の第1の方法である遮蔽板を用いた実施例を説明するための複プリズム移動による縞走査レーザ干渉計測装置の構成例を示す図である。
図7は本発明の第2の方法である試料と干渉縞の位置関係をシフトする機構と計算処理を用いた実施例を説明するための複プリズム移動による2段拡大型縞走査レーザ干渉計測装置の構成例を示す図である。
図8は本発明に適用できるプリズム形状の例とそれによる波面とを示す図である。
図9は複プリズムの代わりに、試料を微動して縞走査干渉法を実現する実施例の構成例を示す図である。
図10は電子線傾斜による縞走査法を電子干渉計測装置に応用した実施例の構成例を示す図である。
図11(a)-(e)は光導波路の作成方法の一例のステップの概略を示す図である。
図12は光導波路試料をスライスした断面の位相分布の観察結果を示す図である。
図13は、図12に断面の観察結果を示した光導波路を上面から観察した結果を示す図である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11
(In Japanese)【図13】
12