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Specification :(In Japanese)記憶障害改善作用を有する組成物

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4139677
Publication number P2004-175695A
Date of registration Jun 13, 2008
Date of issue Aug 27, 2008
Date of publication of application Jun 24, 2004
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)記憶障害改善作用を有する組成物
IPC (International Patent Classification) A61K  31/105       (2006.01)
A61K  36/896       (2006.01)
A61P  25/28        (2006.01)
FI (File Index) A61K 31/105
A61K 35/78 V
A61P 25/28
Number of claims or invention 4
Total pages 9
Application Number P2002-341746
Date of filing Nov 26, 2002
Date of request for substantive examination Jul 15, 2004
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000125369
【氏名又は名称】学校法人東海大学
【識別番号】399118999
【氏名又は名称】株式会社 北海道バイオインダストリ-
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】西村 弘行
【氏名】友部 浩二
【氏名】野村 靖幸
【氏名】大熊 康修
Representative (In Japanese)【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
Examiner (In Japanese)【審査官】天野 貴子
Document or reference (In Japanese)特開平04-054117(JP,A)
特開昭64-055158(JP,A)
特開2005-261353(JP,A)
西村弘行他, ネギ属含硫化合物のHuman LDL酸化抑制効果について, 日本農芸化会北海道支部平成13年度春期合同学術講演会講演要旨, 2001.7.24,講演番号15
西村弘行,ギョウジャニンニクと食品加工(その2)薬効成分の変化,農芸低温科学研究情報,1997.11,Vo.4, No.3, p.44-45
丸井和美 et al,"もの忘れ外来"の役割 "もの忘れ外来"のための予備知識 痴呆と栄養 ,精神科治療学,2002年,Vol.17, No.3,p.311-313
植木彰,高齢者の痴呆と栄養,日本老年医学会雑誌,2000年,Vol.37, No.12,p.939-948
家森幸男,長寿と栄養 4・完 WHO国際共同研究の成果から,月刊歯界展望,2000年,Vol.96, No.4,p.875-878
Field of search A61K
BIOSIS(STN)
CA(STN)
EMBASE(STN)
MEDLINE(STN)
JSTPlus(JDreamII)
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
ジプロピルトリスルフィドを有効成分として含有する記憶障害改善
【請求項2】
ジプロピルトリスルフィドが、ネギ属植物由来のものである請求項1記載の記憶障害改善
【請求項3】
ネギ属植物が、タマネギである請求項2記載の記憶障害改善
【請求項4】
ジプロピルトリスルフィドを、乾燥重量を基準として0.015~0.060重量%含有する請求項1記載の記憶障害改善
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリスルフィドを含有する記憶障害改善作用を有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶障害は、シナプシス機能低下や海馬の酸化等が原因と考えられており、痴呆症の治療には、これまで投薬ドネペジルが使用されている。また、老化促進モデルマウス(SAMP8)において、記憶障害改善効果がガーリック抽出液(非特許文献1、同2、同3)、赤ピーマン(非特許文献4)で見られ、大豆レシチン(非特許文献5)は老齢ラットで、サフラン(非特許文献6)はエタノール誘発による学習障害モデルラットで、イチョウ葉エキス(非特許文献7、同8、同9)は虚血マウスおよびアルツハイマー患者でそれぞれ改善効果が見られた。
ネギ属(Allium属)植物(タマネギ、ギョウジャニンニク、長ネギ等)について、近年生活習慣病の予防効果に関する多数の研究がなされている。その結果、脳梗塞・心筋梗塞などの動脈硬化症の予防(メチル アリル トリスルフィド、ビニルジチイン類、セペンなど)、発ガン予防(硫化アルキル類)、抗糖尿病や脂質代謝改善(含硫アミノ酸、硫化アルキル類)などに有効であることが明らかにされつつある。これら生理作用を有する揮発性含硫化合物は、本来的にネギ属植物に存在している訳ではなく、当該植物に内在する酵素C-Sリアーゼの作用によって二次的に生成するため、その生成量は調理、加工の仕方などにより大きな差を生じる。
【0003】
【非特許文献1】
Biol. Pharm. Bull., 17(12), 1589-1594, 1994
【非特許文献2】
Biol. Pharm. Bull., 19(3), 305-307, 1996
【非特許文献3】
Exp. Gerontol., 32(1-2), 149-160, 1997
【非特許文献4】
J. Nutr. Sci. Vitaminol., 45, 143-149, 1999
【非特許文献5】
J. Nutr., 131(11), 2951-2956, 2001
【非特許文献6】
Phytother. Res., 14, 149-152, 2000
【非特許文献7】
Psychol. Rep., 84(2), 481-484, 1999
【非特許文献8】
J. Chin. Med., 26(2), 127-132, 1998
【非特許文献9】
Neuropsychobiology, 45(1), 19-26, 2002
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
いわゆる先進国においては、寿命の伸びに伴って人口比率における高齢者の割合が高くなると共に、老人性痴呆症の患者が増加する傾向にある。そのため、より安全性の高い痴呆症予防薬あるいは当該予防作用のある食品が望まれている。 しかしながら、科学的裏づけを持った安全性の高い予防薬あるいは予防食品がこれまでなかった。
したがって、本発明の目的は、かかる課題を解決して安全性が高く、日常的に摂取することができる、記憶障害改善作用を有する物質を天然物の中から求めて提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ネギ属植物に由来する生理活性物質について探索する研究を続けており、その過程で当該ネギ属植物を処理することによって生じるトリスルフィドが抗酸化作用を有することを見出している。さらに検討を重ねた結果、当該物質が記憶障害改善効果を持つことを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、請求項1記載の本発明は、ジプロピルトリスルフィドを有効成分として含有する記憶障害改善である。
請求項2記載の本発明は、ジプロピルトリスルフィドが、ネギ属植物由来のものである請求項1記載の記憶障害改善である。
【0007】
請求項3記載の本発明は、ネギ属植物が、タマネギである請求項2記載の記憶障害改善である。
請求項4記載の本発明は、ジプロピルトリスルフィドを、乾燥重量を基準として0.015~0.060重量%含有する請求項1記載の記憶障害改善である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、「トリスルフィド」とは、結合:-S-S-S-を有する化合物である限り、特に限定されない。また、トリスルフィドは1種のみでも2種以上から構成されていても良い。トリスルフィドのうち、ネギ属に由来するものとしては、例えば、記の式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0009】
【化1】
R1 -S-S-S-R2 (1)
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、飽和又は不飽和であり、直鎖又は分岐鎖状の、炭素数1~3の一価炭化水素基である。)
【0010】
上記式(1)においてR1 及びR2 は、同一でも異なっていてもよい。飽和又は不飽和であり、直鎖状又は分岐鎖状の、炭素数1~3の一価炭化水素基R1 とR2 としては、例えば-CH3 、-CH2 CH2 CH3 、-CH2 CH=CH2 、-CH=CHCH3 が挙げられる。なお、記憶障害改善作用の点からは、トリスルフィド中に、活性の高いジプロピル トリスルフィドが含まれることが好適である。
【0011】
記憶障害については、例えば老化促進モデルマウス(SAMP8)における学習記憶障害は、空間認知学習におけるモリス水迷路学習試験(Journal of Neuroscience Method, 11, 47-60(1984) 、長期記憶を反映し、脳の海馬が関与しているとされる。)の他、受動的回避反応試験、多重T字型水迷路において記憶学習の障害が認められ、加齢依存性の学習障害を示している。 SAMP8マウスにおける学習記憶障害の原因について、脳組織の異常として、海馬における過酸化及び錘体細胞樹状突起スパイン数減少、脳幹部の海綿状変性、海馬、脳幹部などでのアストログリアの増加、アミロイド蛋白免疫反応微細顆粒の海馬、白質、小脳への出現が認められる。
神経化学的異常として、特に海馬でのグルタミン酸、アセチルコリンなどの神経伝達物質の受容体量減少や遊離量の減少、さらに炎症性サイトカインの発現増加、過酸化脂質量の増加などが認められる。これらの異常が SAMP8マウスにおける学習記憶障害の原因と考えられている。また、 SAMP8は過酸化物の生成増加やフリーラジカル消去機能低下が認められ、強い酸化ストレス下にあり、DNAを含む生体成分の酸化の過程がより強く進行している。
本明細書における「記憶障害改善作用」とは、上記の、特に空間認知学習によるモリス水迷路学習試験における記憶障害を軽減させる作用を指す。
【0012】
「ネギ属植物」とは、Allium属に属する植物を指し、例えばタマネギ、長ネギ、ギョウジャニンニク、ニラ、ノビル、アサツキ、ラッキョウ、ニンニク等が挙げられる。これらの中でジプロピル トリスルフィドを比較的多く含むタマネギが好適であるが、それ以外のネギ属植物にも弱いながらも記憶障害改善作用が認められる。
【0013】
トリスルフィドは、前記したように、その由来は限定されないが、ネギ属植物に由来するものが好ましく、とりわけ当該ネギ属植物を適当な手段で処理することによって生成するトリスルフィドが好適である。
ネギ属植物由来のトリスルフィドは、例えば温度、pH、時間等の条件を適宜設定してネギ属植物を処理することによって、内在する酵素をコントロールして発生させることができる。すなわち、ネギ属植物には、元来、トリスルフィドは含まれていないが、含硫アミノ酸と酵素C-Sリアーゼが存在し、これらが反応し、その後、得られた反応生成物が熱化学反応によってトリスルフィドに変わることにより生成する。
なお、ネギ属植物に含まれる含硫アミノ酸は、下記の式(2)で表される。
【0014】
【化2】
JP0004139677B2_000002t.gif
【0015】
上記の含硫アミノ酸において、硫黄に結合する炭化水素基Rが、-CH3 のものは、タマネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、ノビル、ギョウジャニンニクやアサツキに含まれ、
—CH2 CH2 CH3 のものは、タマネギ、長ネギ、アサツキやラッキョウに含まれ、
—CH2 CH=CH2 のものは、ニンニク、ギョウジャニンニクやニラに含まれており、
—CH=CHCH3 のものは、タマネギ、長ネギ、アサツキやノビルに含まれている。
これらの含硫アミノ酸の酵素(C-Sリアーゼ)反応と熱化学反応で得られるトリスルフィドが記憶障害改善作用を有する。
【0016】
よって、記憶障害改善作用の点からは、ネギ属植物のすべてが有効であるが、中でも好適なトリスルフィドであるジプロピル トリスルフィドを多く含有するネギ属植物を有効成分とする組成物が好ましいものである。
【0017】
したがって、トリスルフィドを多く発生させ、かつC-Sリアーゼを活性化するための条件を選定する必要がある。通常は、ネギ属植物をみじん切り、短冊切り等の調理分野において採用されている方法で適当な大きさにカットしたり、叩いたり、潰すという方法で細砕したものを、例えば15~100℃、好ましくは25~80℃にて適当な時間、例えば2~150分間程加温処理する。加温手段としては、通風乾燥機、湯浴、油浴、フライパン等で炒める方法などがあるが、カットしたりしたネギ属植物を常温(20~25℃)に適当な時間(15分間以上)放置することでもよい。
【0018】
上記の処理を行ったネギ属植物に含まれるトリスルフィドは、そのままの形態で、あるいは公知の方法によって処理物から抽出して、本発明に係る組成物の成分とすることができる。
【0019】
さらに、例えば以下の方法で合成して得られるトリスルフィドも、本発明に使用することができる。
【数1】
2R1 (R2)X+Na2 S3 → R1 -S-S-S-R2 +2NaX
【0020】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して飽和又は不飽和であり、直鎖状又は分岐鎖状の、炭素数1~3の一価炭化水素基である。Xは、臭素又は沃素である。)
【0021】
本発明の記憶障害改善作用を有する組成物には、通常は乾燥重量を基準として0.015~0.060重量%のトリスルフィドが含まれている。
この組成物を摂取して目的とする効果を奏するためには、タマネギ由来の場合は、1日あたりその乾燥重量で25~200g/体重、好ましくは50~100g/体重のトリスルフィドを摂取することが好ましい。この組成物は1回で摂取しても良く、あるいは1日に数回に分けて摂取しても良い。
【0022】
本発明の組成物には、有効成分であるトリスルフィドもしくは当該トリスルフィド含有物質の他に、賦形剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、着色料、着香料、甘味料、緩衝化剤、コーティング剤などの常用の成分を適宜添加することができる。
また、組成物の形状は特に限定されず、例えば錠剤、丸剤、粉末剤、コーティング錠、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、クリーム剤、注射用液剤などの剤型とすることができる。さらには、飲食品中に配合することもできる。
本発明の組成物は、経口的に摂取する他、局所又は経皮的に投与すること等も可能である。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細、かつ具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ネギ属植物からトリスルフィドもしくは当該トリスルフィド含有物質を取得するための具体的な手法については、特願2002-12071号明細書に記載の方法に準じて行うことができる。例えば、タマネギ等のネギ属植物をみじん切りした後、25~100℃で30~150分間加温する方法である。
【0024】
実施例1 マウスにおける記憶障害改善作用について
加齢に伴って若齢期より学習記憶障害を発症するマウスSAMP8(以下、P8と略記する)及びその対照動物である正常マウスSAMR1(以下、R1と略記する)に対してトリスルフィド投与試験を行った。
P8及びR1マウスの飼育は、温度(23℃±1℃)と湿度(55%±5%)を一定に保ち、照明を12時間毎に点灯と消灯を繰り返す環境下で行った。P8及びR1は30日齢で離乳した。離乳時に、雄のみを、ある特定の親から生まれた仔が特定のケージに偏らないように考慮して、1ケージに6匹ずつ入れて飼育し、試験終了時までは通常の固形飼料(CE-2、日本クレア社製)と水を自由摂取させた。
【0025】
被検物質であるトリスルフィドは、化学合成したジプロピルトリスルフィド(以下、DPTSと略記する)及びジアリルトリスルフィド(以下、DATSと略記する)を、1%カルボキシメチルセルロース(以下、CMC と略記する)溶液が5ml/kgの容量に懸濁したものを用いた。
【0026】
P8は平均体重になるべく差が出ないように3群に分け、各群10匹とした。一つの群には対照として被検物質の溶媒である1% CMC溶液を投与し、他の二つの群には被検物質DPTS又はDATSを投与した。R1は対照群(10匹)として1% CMC溶液を投与した。
投与は、4ヶ月齢から開始し、P8の被検物質投与群にはDPTS又はDATSを体重当たり25mg/kgの用量で1日1回、P8及びR1の対照群には同量の1% CMC溶液を同じく1日1回、8週間連続強制経口投与を行った。
8週間投与後にモリス水迷路試験(前出)を行い、DPTS及びDATSの学習記憶障害に対する有効性を確認した。試験にはニューロサイエンス社製の装置(AXIS 90 system)を用いた。この装置は直径120cm、高さ18cmのプラスチック製の円形のプールで、マウスの遊泳軌跡をコンピュータが自動的に追跡し、遊泳時間及び遊泳距離を計測した。
【0027】
モリス水迷路試験は、マウスが水を嫌い、水から逃れようとする習性を利用した空間認知能力を見る試験である。プールには水を13cmの深さに張り、水温を23℃に保ち、図1a(側面図)のように、水面下約1cmに円形(直径12cm)の透明なアクリル製プラットフォームをマウスから見えないように設置した。
試験は、図1b(平面図)のような3ヶ所(A、B、C)のスタート位置のうち1ヶ所から、マウスにプラットフォームの位置が見えないように、マウスをプールの壁に向けそっと水に入れて実施した。なお、試験前日に、マウスを水に馴らすために、プールからプラットフォームをはずした状態でマウスを120秒間泳がせた。
【0028】
試験開始のスタート位置はランダムな組み合わせで、前日の最終スタート位置と次の日の最初のスタート位置が同じにならないようにして、1日に3ヶ所からマウスを水中に入れ、プラットフォームに到着するまでの時間を最大120秒、連続5日間計測した。
マウスが120秒以内に水から逃れてプラットフォーム上に20秒間留まっていた場合、自動的に計測がストップし、マウスがプラットフォームに到着した時間をそのマウスの遊泳時間とした。120秒以内にプラットフォームに到着しなかった場合は、実験者がマウスをプラットフォームに30秒間乗せて終了し、120秒をそのマウスの遊泳時間とした。
【0029】
投与試験期間における各群の体重の平均値の変化を、標準誤差とともに図2に示す。P8マウスの対照群とDPTS群及びDATS群では、体重の変化に違いは見られなかった。
上記水迷路試験で測定された各群の遊泳時間(秒)及び遊泳距離(cm)の測定結果(平均値及び標準誤差)を、それぞれ図3及び図4に示す。
これらの図から明らかなように、P8マウスのDPTS投与群において、P8マウスの対照群に比較し、第1日目より逃避遊泳時間の減少が見られた。特に、4日目、5日目には逃避遊泳時間の有意な減少を示し、正常マウスのR1対照群とほぼ同程度まで改善した。遊泳距離においても、P8マウスのDPTS投与群はR1マウスと同程度の短縮が見られ、5日目にはP8マウスの対照群に比べて有意な短縮を示した。しかしながら、P8マウスのDATS投与群は、改善作用が弱く、逃避遊泳時間、遊泳距離ともにP8マウスの対照群と有意な違いが見られなかった。
この結果は、DPTSはP8マウスにおける学習記憶障害に対する改善作用を有していることを示している。
【0030】
実施例2
記憶障害の原因の一つが脳海馬の過酸化の過程を経ていることから、海馬における過酸化リン脂質(PCOOH)をバイオマーカーに、正常マウス(R1) と記憶障害を持つ老化促進モデルマウス(P8)のそれぞれの海馬におけるPCOOH を化学発光(CL)-HPLCで定量を行った。すなわち、それぞれのマウス5匹から海馬を摘出し、全脂質をクロロホルムで抽出した後、定量を行った。その結果を図5に示す。図5から明らかなように、P8の方がR1よりも PCOOHの含量が高い。
さらに、P8を用い、試験物質の溶媒である1%CMCを投与したコントロール群6匹と試験物質DPTS 50mg/匹を9日間毎日経口投与した試験群7匹から、海馬をそれぞれ摘出し、上記と同様の方法により PCOOHの含量を測定した。結果を図6に示す。図6から明らかなように、DPTS投与群の方がコントロール群に比べて PCOOH量が減少し、DPTSが海馬において抗酸化活性を有していることが分かる。
これらの結果から、記憶障害改善効果に関連する海馬における生体内抗酸化性にDPTSが寄与していることが明らかとなった。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係るトリスルフィドを含有する組成物は、記憶障害改善作用を有している。しかも、この組成物の有効成分であるトリスルフィドは、天然物に由来するので、安全性が高く、日常的に摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水迷路試験に用いた装置を示し、aは側面図をbは平面図を示す。
【図2】 試験期間中の各マウス群の平均体重の変化を示す。
【図3】 水迷路試験における逃避遊泳時間の結果を示す。
【図4】 水迷路試験における遊泳距離の結果を示す。
【図5】 R1及びP8それぞれの海馬における過酸化リン脂質量の測定結果を示す。
【図6】 P8にDPTSを経口投与した試験群と1%CMCのみを与えたコントロール群のそれぞれの海馬における過酸化リン脂質量の測定結果を示す。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5