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Specification :(In Japanese)気体センシングシステムとこれに用いる温度センサ

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4172697
Publication number P2004-286492A
Date of registration Aug 22, 2008
Date of issue Oct 29, 2008
Date of publication of application Oct 14, 2004
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)気体センシングシステムとこれに用いる温度センサ
IPC (International Patent Classification) G01N  25/18        (2006.01)
G01F   1/68        (2006.01)
G01K   7/01        (2006.01)
G01K  13/02        (2006.01)
G01N  25/30        (2006.01)
G01N  27/18        (2006.01)
FI (File Index) G01N 25/18 K
G01F 1/68 Z
G01K 7/00 391S
G01K 13/02
G01N 25/30
G01N 27/18
Number of claims or invention 11
Total pages 16
Application Number P2003-076619
Date of filing Mar 19, 2003
Date of request for substantive examination Nov 22, 2004
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】木村 光照
Representative (In Japanese)【識別番号】100107009、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 隆生
Examiner (In Japanese)【審査官】▲高▼見 重雄
Document or reference (In Japanese)特開平08-174576(JP,A)
特開平08-184575(JP,A)
特開平07-113777(JP,A)
特開2001-099798(JP,A)
特開平04-005572(JP,A)
特開2001-295032(JP,A)
藤原茂美, 菊池和也, 木村光照,ダイオードサーミスタ付マイクロヒータの絶対湿度センサへの応用,電気学会フィジカルセンサ研究会資料,日本,2002年11月27日,Vol.PHS-02, No.16-30,Page.55-58
古谷充宏, 藤原茂美, 木村光照,SOI基板上マイクロヒータを用いた超小型熱分析センサ,電気学会論文誌,日本,2002年 4月 1日,Vol.122-E, No.4,Page.207-211
Field of search G01N 25/18
G01F 1/68
G01K 7/01
G01K 13/02
G01N 25/30
G01N 27/18
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
基板(1)から熱分離した一続きの薄膜(4)に、少なくとも1個のヒータ(6)と該ヒータ(6)の場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaと、熱抵抗を有するようにヒータ(6)から距離を隔てた場所Bに配置されてあり、その場所Bの温度Tbを検出する温度センサTSbとを備え、場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが一定値になるようにヒータ(6)の温度を制御してあり、薄膜(4)に接する周囲気体への熱伝導の変化により、場所Aと場所Bに温度差が生じるように構成し、温度センサTSaと温度センサTSbとの出力と、該出力による場所Aと場所Bの温度差情報と、周囲気体の温度Tcを検出する温度センサTScからの出力とを利用して周囲気体の物理量を計測するものであって、周囲気体の温度が、温度Tc以上の所定の温度Tlと、この温度Tlを越えた所定の温度Thとになった時、周囲気体の熱伝導率の差が、周囲気体中の被検出気体の含有量に直線関係であることを利用するものであり、場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが、上記所定の温度Tlと温度Thとの一定値になるようにヒータ(6)の温度を制御してあり、この温度Tlと温度Thにおける周囲気体の熱伝導率の差を求めるようにして、物理量としての被検出気体の含有量を計測するようにしたことを特徴とする気体センシングシステム。
【請求項2】
湿潤空気を周囲気体、被検出気体を水蒸気とした請求項1に記載の気体センシングシステム。
【請求項3】
一個のヒータ(6)に一定時間内に異なる2つのパルス電圧を印加することにより、場所Aもしくは場所Bのうち、一定値になるように制御した一方の場所の温度が周囲気体の温度Tcを越える所定の温度Tlと、この温度Tlを越えた所定の温度Thとになるように切り替えて制御し、温度Tlと温度Th、温度Taと温度Tbに設定した時のそれぞれの場所Aの温度Taと場所Bの温度Tb、および周囲気体の温度Tcを利用して、被検出気体の含有量を算出できるようにした請求項1もしくは請求項2に記載の気体センシングシステム。
【請求項4】
基板(1)から熱分離し独立した2個の一続きの薄膜(4)のそれぞれに、1個のヒータ(6)と、該ヒータ(6)のそれぞれの場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaと、熱抵抗を有するようにヒータ(6)から距離を隔てた場所Bに配置されてあり、その場所Bの温度Tbを検出する温度センサTSbとを備え、一方の薄膜(4)の場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが、所定の温度Tl、他方の薄膜(4)の場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが所定の温度Thの一定値になるようにヒータ(6)の温度を制御した請求項1もしくは請求項2に記載の気体センシングシステム。
【請求項5】
温度センサTScを基板に形成した請求項1から請求項4のいずれかに記載の気体センシングシステム。
【請求項6】
物理量として気体の流量もしくは流速とした請求項1もしくは請求項5に記載の気体センシングシステム。
【請求項7】
物理量として真空度とした請求項1もしくは請求項5に記載の気体センシングシステム。
【請求項8】
場所Aと場所Bとの間の薄膜(4)にスリット(45)を設けて熱抵抗を大きくさせた請求項1から請求項7のいずれかに記載の気体センシングシステム。
【請求項9】
所定の基準状態での温度センサTSaもしくは温度センサTSbの出力を調節して、その基準状態で温度センサTSaの出力と温度センサTSbの出力の差動増幅出力値がゼロになるように構成し、このゼロ出力を基準にして周囲気体の物理量、成分もしくは気体の濃度を計測するようにした請求項1から請求項8のいずれかに記載の気体センシングシステム。
【請求項10】
基板(1)から熱分離した一続きの薄膜(4)に、少なくとも1個のヒータ(6)と該ヒータ(6)の場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaと、熱抵抗を有するようにヒータ(6)から距離を隔てた場所Bに配置されてあり、その場所Bの温度Tbを検出する温度センサTSbとを備えた構造を有する気体センシングシステムの温度センサにおいて、温度センサTSaおよび温度センサTSbをバイポーラトランジスタもしくは半導体ダイオードとしたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の気体センシングシステムに用いる温度センサ。
【請求項11】
場所Aと場所Bとの間の薄膜(4)にスリット(45)を設けて、場所Aと場所B間の熱抵抗を大きくさせた構造体に形成した請求項10に記載の気体センシングシステムに用いる温度センサ。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板から熱分離した薄膜に形成したヒータと温度センサとを備えた気体センシングシステム及びそのための高感度でIC化可能な温度センサに関するもので、気体中の湿度も含むガス成分の検出および分析、気体のフローセンサや真空センサなどに利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、本願発明者は、極めてコンパクトで、消費電力が小さく、高速応答の熱伝導式の絶対湿度センサを開発し報告してきた(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照。)。しかし、従来の熱伝導式の絶対湿度センサは、薄膜ヒータの抵抗体として白金薄膜を利用し、かつ、温度センサとしても、この白金薄膜の抵抗の抵抗温度係数を利用しており、ヒータと温度センサとを兼用していた。そこでは、周囲温度の影響を除いて、絶対湿度を計測するために、パルス電圧を薄膜ヒータに印加して、周囲温度よりも高い異なる2つの温度(温度Taと温度Tb)になるように制御し、水蒸気の量により湿潤空気の熱伝導率が左右されない温度Taとして120から150℃を選び、実際の水蒸気の量による湿潤空気の熱伝導率の変化を検出する温度Tbとして、300℃以上の温度を選んでいた。
【0003】
また、本願発明者は、特定ガスを水蒸気とした「ガス濃度測定装置」を発明してきた(例えば、特許文献3参照。)。そこでは、ヒータと温度センサとを分離し、ヒータは金属よりも抵抗が大きく、製作が簡便なシリコンの拡散抵抗を利用し、温度センサとして高感度な半導体ダイオードを用いるもので、どちらもIC化に適するものであった。
【0004】
また、従来、フローセンサとして、基板から熱分離した薄膜上に、白金ヒータとその白金ヒータを挟み上流側と下流側にやはり白金細線による電気抵抗変化を利用する温度センサを配置し、上流側と下流側の流れによる温度差を検出して気流を計測するフローセンサが「流速センサ」として報告されていた(例えば、特許文献3参照。)。そこでは、基板から熱分離した薄膜上に、異方性エッチングで空洞3部を製作しやすくするために、多数のスリットが設けられていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平8-184575号公報
【特許文献2】
特開平8-184576号公報
【特許文献3】
特願2001-295032
【特許文献4】
特開平4-5572号公報
【非特許文献1】
「Sensors and Actuators」M.Kimura、eTal.;“Application of the air-bridge microheater to gas detection”,B24-25(1995)、pp857-860
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、織物工場などでは200℃程度の高温の周囲温度の中の絶対湿度を計測したい要望があり、従来の水蒸気の量により湿潤空気の熱伝導率が左右されない温度Taとして120から150℃を選んでいたのでは、周囲温度より低いために冷却する必要があり、実用上困難であった。
【0007】
また、従来の熱伝導式の絶対湿度センサでは、1つの温度センサでヒータの温度を検出すると共に、このヒータの温度を一定に保つように制御しており、絶対湿度の計測は、湿度変化に基づくヒータの温度を一定に保つに必要なヒータ印加電圧の変化から求められていた。しかし、ヒータでのジュール熱はこの印加電圧の二乗に比例するので、印加電圧の小さな変化で大きなジュール熱が得られるので、ヒータの温度を一定に保つに必要なヒータ印加電圧の変化から求めている現状では、絶対湿度の感度が小さいという問題があった。
【0008】
また、ヒータを挟み、上流側と下流側に設けられた温度センサの出力からこれらの温度差を利用する従来の気体のフローセンサでは、低流速の時には感度が高いが、高流速になると上流側と下流側に温度差がつき難く、感度が極めて小さくなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、200℃以上の周囲温度でも絶対湿度が簡便に計測できる消費電力が小さく、高速応答で、高感度の絶対湿度センサとしての気体センシングシステムを提供すること、更に、気体成分としての水蒸気ばかりでなく、他の多くの気体の成分検出まで拡張した気体センシングシステムを提供すること、触媒反応熱を利用したガスセンサとしての気体センシングシステムを提供すること、周囲気体への熱放散を利用する本熱伝導式センサの性質を利用してフローセンサや真空センサへの応用を含めた気体センシングシステムを提供すること、さらに、これらのセンサに適する構造の温度センサを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従来、本願発明者による上記特許文献1、2の「湿度センサ」においては、ヒータ6に2つのパルス電圧の大きさを変えて、湿潤空気の温度Tcから、Tl=120℃から150℃程度とTh=450℃程度に昇温させて、Tl=120℃から150℃程度付近では、湿潤空気の熱伝導率λが、湿潤空気の絶対湿度依存性が極めて小さいことを利用して、このTl=120℃から150℃程度の所定の設定温度を基準にしておき、Th=450℃程度の温度における湿潤空気の熱伝導率λの変化から、湿潤空気の絶対湿度を算出するものであった。
【0012】
しかし、このTl=120℃から150℃付近の所定の設定温度を基準にしているため、例えば、湿潤空気の温度Tc=200℃の高温における絶対湿度を計測するには、冷却するなどの必要があり、従来のままの理論では、計測できない問題が発生していた。
【0013】
詳細に湿潤空気の熱伝導率のシミュレーションを行い検討した結果、図3に示すように比較的低い絶対湿度では120℃から150℃程度において絶対湿度によらず空気の熱伝導率とほとんど変わらないが、絶対湿度が大きい方では270℃程度まで空気の熱伝導率とほとんど変わらないとしても誤差が小さいことが判明した。
【0014】
このことを利用すると従来の絶対湿度センサでの異なる2つの温度である所定の温度Tlと温度Thとして、例えば、温度Tlとして200℃を越えて設定しても良く、周囲温度が200℃程度の高温でも簡単に絶対湿度を計測できる。なお、周囲温度が高温になるほど飽和絶対湿度が急激に大きくなることから絶対湿度が大きくとも相対湿度は非常に小さくなる。もちろん、周囲温度を計測しておくことにより絶対湿度を基に相対湿度が算出できる。
【0015】
そこで上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる気体センシングシステムは、基板1から熱分離した一続きの薄膜4に、少なくとも1個のヒータ6と該ヒータ6の場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaと、熱抵抗を有するようにヒータ6から距離を隔てた場所Bに配置されてあり、その場所Bの温度Tbを検出する温度センサTSbとを備え、場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが一定値になるようにヒータ6の温度を制御してあり、薄膜4に接する周囲気体への熱伝導の変化により、場所Aと場所Bに温度差が生じるように構成し、温度センサTSaと温度センサTSbとの出力と、該出力による場所Aと場所Bの温度差情報と、周囲気体の温度Tcを検出する温度センサTScからの出力とを利用して周囲気体の絶対湿度、混合気体の特定ガスの濃度、流速、真空度などの物理量を計測するものであって、周囲気体の温度が、温度Tc以上の所定の温度Tlと、この温度Tlを越えた所定の温度Thとになった時、周囲気体の熱伝導率の差が、周囲気体中の被検出気体の含有量に直線関係であることを利用するものであり、場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが、上記所定の温度Tlと温度Thとの一定値になるようにヒータ6の温度を制御してあり、この温度Tlと温度Thにおける周囲気体の熱伝導率の差を求めるようにして、物理量としての被検出気体の含有量を計測できるようにしたものである。
【0016】
例えば、ヒータ6の場所Aの温度Taを一定に保持するように、温度センサTSaを利用したフィードバック系によりヒータ6の温度を制御する場合を考えると、周囲気体の物理量としての絶対湿度が増加すると、ヒータ6の場所Aの温度Taおよびに場所Bの温度Tbにおける周囲気体の熱伝導率が増加して放熱が増大し、場所Aおよびに場所Bの冷却効果が増大するので、場所Aの温度Taを温度Tlまたは温度Thなる一定値に保持するためには、ヒータ6の電力を増大させなければならない。したがって、ヒータ6の場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差が大きくなる。これらの温度差情報と、場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbの情報と、周囲温度の情報から絶対湿度が算出できる。
【0017】
場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差を計測し、これを利用して絶対湿度を算出するので、従来の絶対湿度計測におけるヒータ6を一定温度に保持するための印加電圧を計測して絶対湿度算出に利用する場合とは異なり、絶対湿度に対する大きな感度を示すことになる。
【0018】
上述の議論は、気体として水蒸気である絶対湿度のセンシングばかりでなく、組成がわかっている気体に関しては、特定の気体の含有量をセンシングするセンサシステムとして利用することができる。
【0020】
本発明の請求項2に係わる気体センシングシステムは、請求項1において、湿潤空気を周囲気体とし、被検出気体を水蒸気とした、即ち、物理量とした場合で、絶対湿度を計測するようにしたものである。
【0021】
また、本発明の請求項3に係わる気体センシングシステムは、請求項1もしくは請求項2において、一個のヒータ6に一定時間内に異なる2つのパルス電圧を印加することにより、場所Aもしくは場所Bのうち、一定値になるように制御した一方の場所の温度が周囲気体の温度Tcを越える所定の温度Tlと、この温度Tlを越えた所定の温度Thとになるように切り替えて制御し、温度Tlと温度Th、温度Taと温度Tbに設定したときのそれぞれの場所Aの温度Taと場所Bの温度Tb、および周囲気体の温度Tcを利用して、絶対湿度などの被検出気体の含有量を算出できるようにしたものである。
【0022】
ここでは、基板1から熱分離した一個の一続きの薄膜4に一個のヒータ6の場所Aと場所Bにそれぞれ温度センサを配置して、例えば、場所Aの温度Taをパルス電圧を印加して一瞬、所定の温度Tl=200℃に維持させ、次に、高いパルス電圧に切り替えて印加して一瞬、所定の温度Th=400℃に維持して、これらの時の場所Bのそれぞれの温度Tbを計測し、更に、周囲気体である加熱されない周囲温度Tcを基板1に形成してある温度センサTScにより計測して、後述の数1、数2、数3の式を用いて、絶対湿度などを算出するようにした場合である。
【0023】
また、本発明の請求項4に係わる気体センシングシステムは、請求項1もしくは請求項2において、基板1から熱分離し独立した2個の一続きの薄膜4のそれぞれに、1個のヒータ6と、該ヒータ6のそれぞれの場所Aの温度Taを検出する温度センサTSaと、熱抵抗を有するようにヒータ6から距離を隔てた場所Bに配置されてあり、その場所Bの温度Tbを検出する温度センサTSbとを備え、一方の薄膜4の場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが、所定の温度Tl、他方の薄膜4の場所Aの温度Taもしくは場所Bの温度Tbが所定の温度Thの一定値になるようにヒータ6の温度を制御した請求項3記載の気体センシングシステムで、上述の請求項4の場合とは異なり、基板1から熱分離し独立した2個の一続きの薄膜4を用意し、それぞれを温度Thに専用加熱、温度Tlに専用加熱と言うように、2個のヒータ6に分離した場合である。
【0024】
このように2つのヒータ6に分離することにより、2つの温度Thと温度Tlになったときの温度出力を、リアルタイムに差動増幅することができて、S/Nを上げやすい。
【0025】
また、本発明の請求項5に係わる気体センシングシステムは、請求項1から請求項4のいずれかにおいて、周囲温度を計測する温度センサTScを半導体などの基板1に形成した場合でシステムを集積化するときに好適である。
【0026】
また、本発明の請求項6に係わる気体センシングシステムは、請求項1もしくは請求項5において、物理量として気体の流量もしくは流速とした場合のものである。
【0027】
また、本発明の請求項7に係わる気体センシングシステムは、請求項1もしくは請求項4において、物理量として気体の圧力である真空度を計測するようにとした場合である。ピラニー真空計のように真空度が良くなると、ヒータ6を持つ基板1から熱分離した一続きの薄膜4に衝突する気体ガス分子数が少なくなるので、熱が逃げ難くなり、ヒータ6の消費電力が少なくとも設定温度に達すると共に、場所Aと場所Bに温度差が生じ難くなる。
【0033】
また、本発明の請求項8に係わる気体センシングシステムは、請求項1から請求項7のいずれかにおいて、場所Aと場所Bとの間の薄膜4にスリット45を設けて熱抵抗を大きくさせた場合で、周囲気体の組成変化などに基づく熱伝導率の変化で場所Aと場所Bの温度差が大きくなりやすいようにしたものである。
【0034】
また、本発明の請求項9に係わる気体センシングシステムは、請求項1から請求項8のいずれかにおいて、例えば、周囲気体中の特定のガスである被検出気体の濃度などを検出するセンサにおいては、被検出気体が存在しない場合や存在していても既知の含有量のとき、また、フローセンサにおいては、気流が無いとき、また、真空センサにおいては、高真空か特定の真空度のとき、を所定の基準状態として取り扱い、この基準状態での温度センサTSaもしくは温度センサTSbの出力を増幅などして調節して、その基準状態で温度センサTSaの出力と温度センサTSbの出力の差動増幅出力値がゼロになるように回路的に構成しおき、このゼロ出力を更に基準にして周囲気体の物理量、成分もしくは気体の濃度を計測するようにした場合で、ゼロ出力を基準にすることにより、高感度で高精度に計測することができる。
【0035】
また、本発明の請求項10に係わる気体センシングシステムは、請求項1から請求項9までのいずれかの気体センシングシステムの構造において、そこに用いる温度センサとして高感度、高精度であり、かつ単純で集積化可能な温度センサとして、バイポーラトランジスタもしくは半導体ダイオードとした場合である。
【0036】
また、本発明の請求項11に係わる気体センシングシステムは、請求項10において、場所Aと場所Bとの間の薄膜4にスリット45を設けて熱抵抗を大きくさせた構造をもつ場合で、場所Aと場所Bとの距離をそれほど大きくしなくともスリット45形成により容易に熱抵抗が大きくできるので、ヒータ6が存在する場所Aと場所Bとの間の温度差が周囲気体の湿度やガスの濃度変化、流速など物理量変化などにより大きくなりやすく、温度差出力が大きくなるから高感度で高精度の気体センシングシステムが達成される。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明は本発明者の次の知見に基づくものである。図1には、本願発明者が計算した湿潤空気の熱伝導率のシミュレーション結果であり、窒素ガスと酸素ガスとが80:20とした乾燥空気として近似し、これにモル比率Xの水蒸気が含有する場合で、周囲温度Taが変化した時のこの湿潤空気の熱伝導率λを計算したものを示している。
【0038】
図1のシミュレーション結果から、0℃という低い温度での湿潤空気の熱伝導率λは、水分量(水蒸気の含有量)Xの割合が大きくなるにつれて単調に減少していることがわかる。100℃程度では、水分量Xの割合が0.3モル比率程度まで、湿潤空気の熱伝導率λは、変化せずその後は低下する。200℃以上では、水分量Xの割合が0.3モル比率程度の低い水分含有量では、わずかに水分量Xと共に、増加傾向にあるが極めて緩やかで、ほぼ一定とみなすことができる。
【0039】
300℃を越えるあたりから湿潤空気の熱伝導率λは、水分量Xの割合と共に大きくなり、これは温度が高いほど急激な勾配で増加することもわかる。しかし、水分量Xと共に湿潤空気の熱伝導率λは飽和の傾向があり、高温といえども温度一定の下での水蒸気量の熱伝導率λの増加に伴うヒータ6からの熱放散から絶対湿度を計測することには、高濃度水蒸気になると精度が悪くなることがわかる。
【0040】
しかし、実測データを用いたシミュレーションによると、少なくとも100℃以上の異なる温度Thと温度Tl(例えば、温度Th=400℃、温度Tl=200℃一定)における湿潤空気の熱伝導率λの差Δλは、図2に示すように水蒸気量のモル比率Xのほぼ一次関数(直線)で近似できることが本発明者は見出した。
【0041】
このことから、異なる温度Thと温度Tlにおける湿潤空気の熱伝導率λの差Δλを計測するか、算出するかして、Δλを求めるようにすれば、水分量Xの割合と共に、ほぼ直線的に増大するので、高い水蒸気の量(水分量)まで、高精度で水蒸気濃度を計測することができることがわかる。
【0042】
したがって、例えば、ヒータ6の場所Aの温度Taを所定の温度Tl(例えば、200℃)と温度Th(例えば、400℃)のそれぞれ一定値になるようにヒータ6への印加電圧を制御して、それぞれの温度Tl,Thにおける湿潤空気の熱伝導率λl、λhを熱伝達方程式から近似的に求めると、数1と数2に示すような関係式となり、更に、これらの差Δλは、シミュレーション結果から数3に示されるようにXの一次関数として近似できることになる。
【0043】
【数1】
λl=k(Tl-Tb)/(Tl-Tc)
ここで、kは比例定数、Tlは場所Aの温度、Tcは周囲気体の温度(周囲温度)、Tbは場所Bの温度
【0044】
【数2】
λh=k(Th-Tb)/(Th-Tc)
ここで、Thは場所Aの温度
【0045】
【数3】
Δλ=λh-λl=aX+b
【0046】
これらの差Δλが絶対湿度のモル比率Xに直線的関係にあるとして、その係数aとbとを実験から事前に求めておき、校正曲線を求めておくことにより、周囲気体中の絶対湿度を算出することができる。もちろん、この算出した絶対湿度から相対湿度も周囲気体の温度Tcを利用して求めることができる。
【0047】
上述では、周囲気体中の被検出気体である水蒸気、即ち、絶対湿度を例にしたが、被検出気体として水蒸気以外の特定の気体についても同様なことがいえるので、特定の被検出気体として一般化できる。
【0048】
以下、本発明の気体センシングシステムとこれに用いる温度センサの実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
【実施例1】
図4は、気体センシングシステムの気体センシング部であるセンサチップの概略図を示したもので、同図(A)には、その平面図を、同図(B)には、同図(A)におけるX-Xから見た断面形状図を示す。
【0050】
このセンサチップは、シリコンのSOI基板である基板1を用いた場合の実施例で、下地基板2には空洞3が形成してあり、空洞3の上部には、溝40を設けたために残された6箇所にある薄膜4の梁5で支えられた形の薄膜4が形成されてあり、この薄膜4とこれらの梁5はSOI基板のBOX層10と単結晶シリコン薄膜20とを主構成材料としている。このため、薄膜4は、宙に浮いた構造で、基板1から熱分離された形になっている。
【0051】
また、この単結晶シリコン薄膜20はp型層210の場合であり、ここにn型の不純物拡散により形成したn型拡散層220を薄膜のヒータ6として利用できるようにしている。このn型層220の薄膜状のヒータ6は、周囲のp型層210に対して異なる導電型なので、これらの間にpn接合が形成されており、このヒータ6を周囲のp型層210から電気的に絶縁分離されている構造である。従って、ヒータ電極140に電流を流した時、ヒータ6だけに電流が流れるようにすることができ、ヒータ6だけをジュール加熱できる。
【0052】
また、薄膜4のうちでその両側には、ここには上述のn型拡散層220である薄膜のヒータ6と同時に形成されたn型層220領域が存在し、pn接合ダイオード7aと7bが形成され、それぞれ場所Aにあるヒータ6の温度Taを計測する温度センサTSaと場所Bの温度TSbを計測する温度センサTSbとして用いている。150℃以上の温度を計測するには、これらのpn接合ダイオード7aと7bに1V程度の逆方向バイアス電圧を印加し、逆方向飽和電流Isの温度依存性から求めると良い。また、150℃以下の温度を計測するには、0.5V程度の順方向バイアスを印加し、その電流変化から求めると良い。なお、順方向バイアスでは、そのバイアス電圧を変化させると、計測する温度の感度を変化させることができる。
【0053】
また、上述では、温度センサTSa、TSbとして、pn接合ダイオードを用いた場合であるが、これをバイポーラトランジスタとし、エミッタとベースとのpn接合を利用するトランジスタサーミスタを用いることもできるし、熱電対やサーモパイルなどを用いても良い。
【0054】
なお、上述した図4に示すセンサチップは、単結晶シリコンの公知のフォトリソグラフィーを利用した半導体微細加工技術、異方性エッチング技術を用いて形成でき、不純物拡散工程、熱酸化工程などを用いること、配線150や各種の電極120、130の形成などもフォトリソグラフィーで容易に形成できる。また、電極などの金属化は、基板1の裏面にある空洞3の形成時に用いる異方性エッチングであるアルカリエッチング溶液への耐性のある金属を用いる方が良い。しかし、アルミニウムなどの耐性の無い金属を使用するときは、アルミニウムとシリコンの合金として、耐性を持たせるか、または、その上に保護膜を形成しておいてから異方性エッチングを行う必要がある。
【0055】
次にヒータ6で熱せられた薄膜4と、pn接合ダイオード7aと7bからなる温度センサTSaとTSbによる薄膜4上のヒータ6の場所Aと場所Aから離れた場所Bのそれぞれの温度TaとTbとの温度計測、および気体センシングシステムについて説明する。
【0056】
基板1であるSOI基板のSOI薄膜(この部分が単結晶シリコン薄膜20である)の厚みを6μm、溝40で囲まれた薄膜4の大きさを700μm × 1500μm、BOX層10の厚みを2μmとし、n型拡散層220の形成のためn型不純物拡散をした場合、不純物拡散温度やその時間にも依るが、薄膜のヒータ6の抵抗はほぼ30Ωであった。ヒータ電極140を通して、電圧5Vの矩形波電圧を印加し、電流を流すと、熱時定数が数百ミリ秒でヒータ6が400℃以上に温度上昇した。ヒータ6は、基板1から熱分離した薄膜4の一方の側に配置され(この場所をAとする)、この場所A点の温度Taと、スリット45を介して少し離れた場所B点の温度Tbとは、周囲の気体への熱伝導による放熱により少し異なり、場所A点が熱源なので、必ず温度Taより温度Tbが小さくなるような温度差が生じる。
【0057】
ヒータ6への電力供給を、温度Taと温度Tbをそれぞれ計測する温度センサTSaと温度センサTSbを用いて、場所A点の温度Taを所定の温度に維持するように制御するか、場所B点の温度Tbを所定の温度に維持するように制御することができる。本実施例では、温度センサTSaを利用したフィードバック系によりヒータの場所A点の温度Taを所定の温度に維持するようにを制御する場合について述べる。
【0058】
また、本実施例では、気体センシングシステムの中の最も特徴的なセンサチップを取り上げ説明しており、このセンサチップのパッケージや気体センシングシステムとしての電源回路、信号処理回路などは省略したが、これらは従来技術が利用できる。
【0059】
周囲気体の物理量としての、例えば、絶対湿度が増加すると、ヒータ6の場所Aの温度Taおよびに場所Bの温度Tbにおける周囲気体の熱伝導率が増加して放熱が増大し、場所Aおよびに場所Bの冷却効果が増大するので、場所Aの温度Taを温度Tl(例えば、200℃)または温度Th(例えば、400℃)なる一定値に保持するためには、ヒータ6の電力を増大させなければならない。
【0060】
ヒータ6の場所Aの温度Taを維持しているので、ヒータ6から主に薄膜4の熱伝導より場所Bが熱せられるが、周囲気体の熱伝導率λが大きいほど、ヒータ6の場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差が大きくなる。これらの温度差情報と、場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbの情報と、周囲温度Tcの情報を利用すると上述の数式、数1、数2および数3を利用した予め校正してある絶対湿度に関する校正データを利用して絶対湿度を算出して求める。
【0061】
ヒータ6のジュール加熱と所定温度Tl、Thの維持は、基板1から熱分離した薄膜4の熱時定数が数十ミリ秒なので、100ミリ秒程度の矩形パルスの印加で十分であり、温度計測も印加矩形パルスの終わりの50ミリ秒程度で計測すると良い。必要以上のヒータ6の長い加熱時間は、基板1の温度も上昇させてしまい、周囲気体の温度Tcの計側を基板1に直接形成したpn接合ダイオード7cである温度センサTScを用いて行っているので、むしろ、誤差を生じる原因となる。
【0062】
場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差を計測し、これを利用して絶対湿度を算出するので、従来の絶対湿度計測におけるヒータを一定温度に保持するための印加電圧を計測して絶対湿度算出に利用する場合とは異なり、絶対湿度に対する大きな感度を示すことになる。
【0063】
また、薄膜4の場所Aと場所Bとの間にスリット45を設けているので、場所Aのヒータ6からの熱が熱抵抗のために場所Bの個所に伝わり難く、したがって、場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差が大きくなり易いので、高感度になる。
【0064】
また、所定の基準となる周囲気体の絶対湿度、例えば、乾燥時を基準として、このときの場所Aの温度Taと場所Bの温度Tbとの温度差に対する基準電圧を作成しておき、この基準電圧との差動増幅によりより高感度に絶対湿度の計測ができる。
【0065】
また、周囲気体中に複数の被測定気体が混在した場合でも、温度と熱伝導率の温度依存性から複数の特定の気体の濃度を算出することができる。ヒータ6の温度Taを所定の一定温度とせずに、所定のプログラムに沿って、昇温または降下させて、その次々刻々と変化する温度に対する周囲気体の熱伝導率の温度依存性による場所Bにおける温度Tbの放熱による時間的な変化パターンを利用して、複数の特定気体に関する連立方程式を解くことから特定の周囲気体の成分と濃度を求めることもできる。
【0066】
上述の絶対湿度の計測方法は、周囲気体の物理量、例えば、真空度、気体の流速、気体中に含まれる特定のガスの成分とその濃度の計測などに応用することができる。
【0067】
【実施例2】
勿論、本発明の気体センシングシステムを従来からその原理が知られているように、大気中の水蒸気の濃度、すなわち、絶対湿度の計測である絶対湿度計に応用し、周囲温度Tcを計測せずに、さらに、薄膜4のヒータ6の温度Taを所定の温度TlとThとにパルス電圧駆動により切り替えながら維持し、周囲温度Tcが250℃程度以下なら、これに依存せずに絶対湿度を求めることができる。
【0068】
先ず、図4において、ヒータ6の場所Aの温度センサTSaのみを用いて(この場合は、図4において、温度センサTSbを必ずしも形成する必要はなく、薄膜4には、ヒータ6の場所Aの温度センサTSaのみ形成すればよい)、この点の温度Taを高温側Th=400℃以上、例えば450℃一定と、湿潤空気である周囲気体の温度Tc、例えば、Tc=200℃以上の低温側の温度Tl=230℃一定になるように、時間的に切り替えて、制御する。
【0069】
即ち、高温側Th=450℃一定に維持するには、ヒータ6に矩形パルス電圧を印加し、さらにpn接合ダイオード7aは薄膜4の部分の温度を検出する温度センサTSaであるから、その温度がほぼ一定になった時に逆方向バイアス電圧、例えば、1.0Vを印加した温度センサTSaとしてのpn接合ダイオード7aの逆方向飽和電流Isを出力し、この値(1mA程度)が維持できるようにヒータ6に矩形パルス電圧を調整してここに流す電流を制御する。低温側の温度Tl=230℃一定に維持するのも同様である。
【0070】
シミュレーションによると270℃程度以上になると大気中の水蒸気は、純粋の空気より熱伝導率が大きくなるので、高温450℃の薄膜4に接する水蒸気を含む空気は、ほぼ450℃で、その雰囲気温度での水蒸気の熱伝導率が、純粋の空気の時よりも大きくなるから、純粋の空気の時よりも水蒸気を含む空気の方が高温の薄膜4から熱を奪いやすく、薄膜4を高温450℃に維持するには、それだけ多くの電流を薄膜のヒータ6に流し、消費電力Pによるジュール発熱を大きくしなければならなくなる。また、含有する水蒸気量が少ないと薄膜のヒータ6は少ない消費電力Pで済むので、少ない電流を薄膜のヒータ6に流すだけで済むことになる。
【0071】
このようにpn接合ダイオード7aの逆方向飽和電流Isの出力信号を一定になるように、薄膜のヒータ6の消費電力Pを制御する回路を構成すれば、薄膜4が一定の温度に制御されることになる。このような制御で薄膜のヒータ6の消費電力Pまたは、薄膜のヒータ6に流すヒータ電流を計測し、このヒータ電流と空気中の絶対湿度との関係から、そのときの環境温度における空気中の絶対湿度を算出するか、または、環境温度を考慮して相対湿度に換算する。
【0072】
従来、同様の方法であるが、湿潤空気の温度Tcが150℃以下でなければ、測定できないと考えられていたが、シミュレーション結果から工業的に利用が多いTc=200℃程度でも、水蒸気のモル比率Xが0.4程度以下ならば誤差が少なく計測ができることになった。
【0073】
【実施例3】
本発明の本発明の気体センシングシステムを周囲気体中の被検出気体の触媒反応に基づく反応熱変化により被検出気体の濃度を計測する一実施例のセンシング部を、図5に示す。この実施例では、図4に示したセンサチップの薄膜4において、場所Bに形成した温度センサTSbの上に、絶縁薄膜30を介して被検出気体に対して触媒反応を生ずる薄膜触媒300300の薄膜を形成してある。メタンガスやプロパンガスなどの可燃性ガスに対しては、薄膜触媒300300として、酸化錫や酸化錫と白金微粒子との混合した薄膜が利用できる。
【0074】
ヒータ6の温度Taを450℃一定に維持しておき、場所Bの温度Tbを計測すると、周囲気体中に可燃性ガスが存在すると触媒反応により可燃性ガスが450℃程度でも反応して反応熱が発生して、温度Tbが上昇する。このため一定の温度Ta=450℃とTbとの温度差が縮まり(場合によっては、反応熱によりTbがTaを追い越すこともある)、その度合いが可燃性ガスの濃度に関係するので、校正曲線などのデータに基づいて可燃性ガスの濃度を求める。
【0075】
また、例えば、ヒータ6の温度Taを所定の一定温度とせずに、所定のプログラムに沿って、昇温または降下させて、その次々刻々と変化する温度に対する可燃性ガスの種類により反応が異なることを利用して、その時間的な温度Tbの時間的なパターンに基づく連立方程式を解くことから特定の可燃性ガスの成分と濃度を求めることもできる。
【0076】
なお、本発明の気体センシングシステムの制御回路や信号処理回路、表示回路などの回路構成には、既知の回路が利用できるので、ここでは省略している。
【0077】
上述では、周囲気体の被測定気体として水蒸気の例を示したが、空気中の炭酸ガス、水素、ヘリウム、アルゴンなどを被測定気体として測定することもできることは、測定原理からして言うまでも無い。
【0078】
また、上述の例では、センサチップに必要最小限度の薄膜のヒータ6と温度センサのpn接合ダイオード7のみを集積化したものであったが、上述の各種装置に必要な回路のうち半導体基板に集積化できる回路は、必要に応じて同一基板1に集積化できることは言うまでもない。
【0079】
また、上述した実施例は、一実施例であり、本願発明の主旨、作用、効果が同一の各種の変形がありえることも言うまでもないことである。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、基板1から熱分離した薄膜4に薄膜のヒータ6と温度センサが集積化されているので、熱容量が小さくなり、低消費電力で、かつその温度制御が高速かつ高精度で達成でき、さらに、乾電池駆動ができるので携帯用となりえるという有利な効果が得られる。
【0081】
また、薄膜のヒータ6も単結晶シリコンで形成でき、高温にしても安定なシリコン酸化膜で覆われているので、その経時変化が極めて小さく、かつ単結晶シリコン薄膜のpn接合ダイオードを用いているので、極めて安定な気体センシングシステムが提供できるという有利な効果が得られる。
【0082】
また、本発明の気体センシングシステムを物理量として水蒸気を用いた絶対湿度計として実施したときには、周囲の環境温度が室温であっても、薄膜のヒータ6により急速に熱せられる空気の温度は、設定した薄膜4の高い温度、例えば、450℃程度に瞬間的になるので、周囲温度Tcが室温での絶対湿度が計測できるばかりでなく、周囲温度Tcが200℃程度の高温中の絶対湿度も、極めて安定に、かつ高精度に計測できると共に、携帯用の小型湿度センサが提供できるという利点がある。
【0083】
また、本発明の気体センシングシステムでは、基板1から熱分離した薄膜4にヒータ6の場所Aの温度Taとそこから少し離れた場所Bの温度Tbとの温度差を計測するようにしているので、高感度に周囲気体の湿度、流速、真空度、気体成分とその濃度などの熱を媒介にした物理量を計測できるという利点がある。
【0084】
また、本発明の気体センシングシステムを物理量として水蒸気を用いた絶対湿度計として実施したときには、二つの異なる温度ThとTlにおける湿潤空気の熱伝導率λの差Δλが水蒸気のモル比率の一次関数として表せること、熱伝導率λの差Δλは、周囲温度Tcと二つの異なる温度ThとTl、温度Taと温度Tb、及び温度Taと温度Tbとの温度差から求められることを利用して、周囲温度Tcが非常に高い場合でも絶対湿度が求められるという利点がある。もちろん、周囲温度Tcが分っているので、相対湿度しも容易に換算できる。
【0085】
また、本発明の気体センシングシステムでは、気体センシング部の熱応答が速いので、容易に時間的にプログラムした温度上昇や降下が設定でき、既知の複数の混合特定気体の周囲気体の熱伝導率の変化を利用して、時々刻々の温度に対応する場所Bにおける温度Tbの時間変化のパターンのデータを用いることにより、混合特定気体の成分と濃度をも算出できるという利点がある。
【0086】
また、本発明の気体センシングシステムでは、薄膜触媒300300を薄膜4に形成し、触媒反応熱も利用できるので、可燃性ガスなどの特定気体の濃度を求めることができるばかりでなく、ヒータ6の時間的にプログラムした温度上昇や降下により、上述と同様にその時間的な変化パターンを利用して、可燃性気体などの混合気体の成分と濃度とを算出することもできるという利点がある。
【0087】
また、基板1としてシリコン半導体基板に形成できるので、各種の信号処理回路、メモリ回路、電源回路、表示回路など、気体センシングシステムに必要な回路を集積化できるので、極めて小型で消費電力が小さく、信頼性の高い気体センシングシステムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿潤空気の熱伝導率λと水蒸気量のモル比率Xに対するシミュレーション結果を示す図。
【図2】異なる温度Thと温度Tlにおける湿潤空気の熱伝導率λとそれらの差Δλと水蒸気量のモル比率Xに対するシミュレーション結果を示す図。
【図3】湿潤空気の温度と熱伝導率の関係のシミュレーション結果を示す図。
【図4】本発明の気体センシングシステムの一実施例で、気体センシング部であるセンサチップの概略図。
【図5】本発明の気体センシングシステムにおける他の一実施例で、薄膜触媒300を設けた場合のセンシング部の概略図。
【符号の説明】
1 基板
2 下地基板
3 空洞
4 薄膜
5 梁
6 ヒータ
7、7a、7b、
7c、7d pn接合ダイオード
10 BOX層
20 単結晶シリコン薄膜
30 絶縁薄膜
40 溝
45 スリット
51、52 シリコン酸化膜
100a、100b ヒータ電極
120 pn接合ダイオードのp型電極
130 pn接合ダイオードのn型電極
140 ヒータ電極
150 配線
210 p型層
220 n型拡散層
300 薄膜触媒
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4