Top > Search of Japanese Patents > (In Japanese)免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物 > Specification

Specification :(In Japanese)免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4493336
Date of registration Apr 16, 2010
Date of issue Jun 30, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物
IPC (International Patent Classification) A01K  67/027       (2006.01)
A61K  31/437       (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
A61P  31/12        (2006.01)
A61P  37/04        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
C07D 471/04        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI (File Index) A01K 67/027
A61K 31/437
A61K 45/00
A61P 31/12
A61P 37/04
C12Q 1/02
G01N 33/15 Z
G01N 33/50 Z
C07D 471/04 107E
C12N 15/00 ZNAA
Number of claims or invention 5
Total pages 23
Application Number P2003-545269
Date of filing Nov 22, 2002
International application number PCT/JP2002/012234
International publication number WO2003/043588
Date of international publication May 30, 2003
Application number of the priority 2001358295
Priority date Nov 22, 2001
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Appeal or trial number (In Japanese)不服 2006-021743(P2006-021743/J1)
Date of request for substantive examination Jun 16, 2004
Date of appeal or demand for trial Sep 28, 2006
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】501454566
【氏名又は名称】審良 静男
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】大日本住友製薬株式会社
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】審良 静男
【氏名】富澤 秀行
【氏名】山岡 隆
Representative (In Japanese)【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
Document or reference (In Japanese)EUR.CYTOKINE NETW.,2000,VOL.11,NO.3,P.372-381
J.IMMUNOL.,2000,VOL.164,P.554-557
J.IMMUNOL.,2000,VOL.165,P.5552-5557
PROC.NATL.ACAD.SCI.USA,2003,VOL.100,NO.11,P.6646-6651
特願2003-545253号(国際公開第03/043572号)
平成11年度戦略的基礎研究推進事業研究年報,2000,P.143-146
Field of search A01K67/027
C12N15/00-15/90
PUBMED
BIOSIS/CAPLUS/EMBASE/MEDLINE/WPIDS(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
以下の(1)及び(2)の特徴を有するTLR7をコードする遺伝子の機能が染色体上で欠損したマウスを、イミダゾキノリン系化合物による免疫賦活化作用に対して不応答性のモデル動物として使用する方法。
(1)TLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントが、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換されている;
(2)上記(1)の置換のホモ接合型である;
【請求項2】
マウスが、マウス遺伝子ライブラリーからマウスESTクローン由来のプローブを用いてスクリーニングすることにより得られたTLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントを、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換してターゲッティングベクターを構築し、該ターゲッティングベクターを線状化した後胚幹細胞に導入し、TLR7遺伝子機能を欠損した標的胚幹細胞を、マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションしキメラマウスを作製し、このキメラマウスと野生型マウスとを交配させてヘテロ接合体マウスを作製し、かかるヘテロ接合体マウスをインタークロスすることによって得られるTLR7ノックアウトマウスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
以下の(1)及び(2)の特徴を有するTLR7をコードする遺伝子の機能が染色体上で欠損したマウス由来の細胞を、イミダゾキノリン系化合物による免疫賦活化作用に対して不応答性のモデル細胞として使用する方法。
(1)TLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントが、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換されている;
(2)上記(1)の置換のホモ接合型である;
【請求項4】
マウスが、マウス遺伝子ライブラリーからマウスESTクローン由来のプローブを用いてスクリーニングすることにより得られたTLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントを、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換してターゲッティングベクターを構築し、該ターゲッティングベクターを線状化した後胚幹細胞に導入し、TLR7遺伝子機能を欠損した標的胚幹細胞を、マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションしキメラマウスを作製し、このキメラマウスと野生型マウスとを交配させてヘテロ接合体マウスを作製し、かかるヘテロ接合体マウスをインタークロスすることによって得られるTLR7ノックアウトマウスであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
細胞が免疫細胞であることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
本発明は、イミダゾキノリン系化合物R-848等の合成化合物を特異的に認識するTLR7をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した、イミダゾキノリン系化合物R-848等の合成化合物不応答性モデル非ヒト動物や、またこれらモデル非ヒト動物を用いたイミダゾキノリン系化合物R-848等の合成化合物に対する応答の抑制物質又は促進物質のスクリーニング方法や、免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニング方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
トール(Toll)遺伝子は、ショウジョウバエの胚発生中の背腹軸の決定(Cell52,269-279,1988、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.12,393-416,1996)、また成体における抗真菌性免疫応答に必要であることが知られている(Cell86,973-983,1996)。かかるTollは、細胞外領域にロイシンリッチリピート(LRR)を有するI型膜貫通受容体であり、この細胞質内領域は、哺乳類インターロイキン-1受容体(IL-1R)の細胞質内領域と相同性が高いことが明らかとなっている(Nature351,355-356,1991、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.12,393-416,1996、J.Leukoc.Biol.63,650-657,1998)。
【0003】
近年、Toll様受容体(Toll-like receptor;TLR)と呼ばれるTollの哺乳類のホモログが同定され、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10など現在までに10個のファミリーが報告されている(Nature388,394-397,1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA95,588-593,1998、Blood91,4020-4027,1998、Gene231,59-65,1999)。このTLRファミリーは、上記IL-1Rと同様にアダプタータンパク質であるMyD88を介し、IL-1R結合キナーゼ(IRAK)をリクルートし、続いて下流のマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ及び核因子であるNF-κBを活性化することが知られている(J.Exp.Med.187,2097-2101,1998、Mol.Cell2,253-258,1998、Immunity11,115-122,1999)。また、哺乳類におけるTLRファミリーの役割は、細菌の共通構造を認識するパターン認識受容体(PRR:pattern recognition receptor)として、先天的な免疫認識に関わっているとも考えられている(Cell91,295-298,1997)。
【0004】
上記PRRにより認識される病原体会合分子パターン(PAMP:pathogen-associated molecular pattern)の一つは、グラム陰性菌の外膜の主成分であるリポ多糖(LPS)であって(Cell91,295-298,1997)、かかるLPSが宿主細胞を刺激して宿主細胞にTNF-α、IL-1及びIL-6等の各種炎症性サイトカインを産生させること(Adv.Immunol.28,293-450,1979、Annu.Rev.Immunol,13,437-457,1995)や、LPS結合タンパク質(LBP:LPS-binding protein)により捕獲されたLPSが細胞表面上のCD14に引き渡されることが知られている(Science249,1431-1433,1990、Annu.Rev.Immunol.13,437-457,1995)。本発明者らは、TLR4のノックアウトマウスを作製し、TLR4ノックアウトウスが上記グラム陰性菌の外膜の主成分であるLPSに不応答性であること(J.Immunol.162,3749-3752,1999)や、TLR2ノックアウトマウスを作製し、TLR2ノックアウトマウスのマクロファージがグラム陽性菌細胞壁やその構成成分であるペプチドグリカンに対する反応性が低下すること(Immunity,11,443-451,1999)や、TLR2及びMyD88シグナル伝達経路を介して生体反応を引き起こしていること(J.Immunol.164,554-557,2000)を報告している。
【0005】
また、本発明者らは、TLR6ノックアウトマウスと野生型マウスとTLR2ノックアウトマウスとを比較・解析することにより、TLR6がマイコプラズマ由来リポタンパク/リポペプチドを特異的に認識する受容体タンパク質であることや、TLR9について完全長cDNAを見い出し(GenBank登録番号AF245704)、TLR9が非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質であることを明らかにしている。その他、TLR7及びTLR8の新たな2つのメンバーがGenBankに登録されている(登録番号AF240467及びAF246971)。
【0006】
他方、イミキモド(imiquimod)は、抗ヘルペスウィルス活性をスクリーニングする際に見い出された免疫応答修飾剤であり、モデル動物における抗ウィルス活性及び抗腫瘍活性を示す。種々の細胞タイプにおけるIFN-γの二次誘導によるのと同様に、この薬剤は、IFN-α、IL-6、及びIL-12のようなサイトカインを誘導することにより抗ウィルス活性、抗増殖活性を示すこと(J.Leukoc.Biol.58,365-372,1995、J.Interferon Res,1989,S2115、Antimicrob.Agents Chemother.38,2059-2064,1994、Am.J.Clin.Pathol.102,768-774,1994)や、イミキモドがNF-κB及びMAPキナーゼを刺激することも明らかにされている(J.Immunol.165,5552-5557,2000、Mol.Cell.Biol.15,2207-2218,1995)。また、イミキモド及びその関連化合物は、タイプ2ヘルペスシンプレックスウィルス及びサイトメガロウィルスの複製を阻害することが知られている(J.Infect.Dis.183,844-849,2001、Antimicrob.Agents Chemother.32,678-83,1988)。そして、実際の治療において、イミキモドがヒトパピローマウィルスにより生じた外陰部疣贅(尖圭コンジローマ)の治療に対して有効であるとの報告(Sex.Transm.Infec.76,162-8,2000)や、イミキモドの誘導体であるR-848と略称されるレジキモド(resiquimod))が生殖器ヘルペスの治療にも有効であるとの報告(JAMA285,2182-2183,2001)がなされている。これらイミダゾキノリン(imidazoquinoline)系化合物であるイミキモドとR-848の構造式を以下に示す。
【0007】
【化1】
JP0004493336B2_000002t.gif
【0008】
TLRファミリーは、病原体の構成成分の認識に関わる受容体として知られており、上記のように、種々の細菌、真菌由来の構成成分がTLRファミリーによって認識されることが本発明者らにより明らかにされている。すなわち、本発明者らは既に、TLR2,TLR4,TLR6及びTLR9欠損マウスを作製し、TLR4はリポ多糖(LPS)に対して応答し、TLR2はグラム陽性菌由来のペプチドグリカン及びリポタンパク質に応答し、TLR2と同様に、TLR6はマイコプラズマのポリペプチドに応答し、TLR9は非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに応答する受容体であることを明らかにした。しかしながら、TLR3、TLR7、TLR8、TLR10等のその他のTLRファミリーメンバーが、いかなる物質を認識するかは未だ知られていない。加えて、免疫賦活化作用を有する合成化合物を認識しうるタンパク質は知られていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、インビボにおける免疫賦活化作用を有する合成化合物刺激によるシグナル伝達に対するTLRファミリー各メンバーの関係、特にTLR7のインビボにおける役割を明らかにする上で有用な、免疫賦活化作用を有する合成化合物を認識するTLR7をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した、合成化合物不応答性モデル非ヒト動物、特にTLR7遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物や、これらを用いた免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答の抑制物質又は促進物質のスクリーニング方法や、免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニング方法などを提供することにある。
【0010】
本発明者らはMyD88欠損マウスを作製し、MyD88欠損マウスに由来するマクロファージがサイトカインを産出する際に、全てのTLRリガンドに応答しないことを既に報告している。MyD88欠損マウスでは細胞における応答を確認することができないので、TLRを介して細胞を活性化していると思われる各種化合物について調べてみた。数多くの化合物についてスクリーニングを行い、単核白血球細胞又はマクロファージからサイトカインを誘導する過程を経て、体液性免疫及び細胞性免疫を誘導すると思われるイミダゾキノリン系化合物、すなわち種々の細胞に作用しIFN-α、IL-6、IL-12などの炎症性サイトカインの産生を誘導する免疫賦活剤として知られているイミキモドやR-848等のイミダゾキノリン系化合物を標的化合物とすることとした。一方、TLR7はタンパク質の一次構造が、微生物DNAを認識するTLR9に極めて類似している。しかし、TLR7欠損マウスは、TLR9欠損マウスのように微生物DNAに対する反応性の欠如は認められない。そこで、TLRファミリーのTLR7欠損マウスを作製し、TLR7を標的としてそれが認識する物質についてもスクリーニングを重ねていた。
【0011】
そして、偶々TLR7欠損マウスをR-848で刺激したところ、マクロファージからの炎症性サイトカインの産生誘導や、B細胞の増殖誘導や、樹状細胞の成熟誘導が全く認められないことを見い出した。また、TLR7欠損マウス由来のマクロファージでは、R-848刺激によるNF-κB、JNK、IRAKなどの細胞内シグナルの活性化が全く認められなかった。このことは、TLR7が病原体構成成分だけでなく、合成化合物の認識にも関与していることを示している。TLRファミリーシグナル伝達経路に必須の役割を果たすアダプター分子MyD88の欠損マウスでも、R-848に対する反応性は完全に欠如していたことを加味すると、TLR7がイミダゾキノリン系化合物R-848の認識に必須の受容体であることや、イミダゾキノリン系化合物R-848がTLR7-MyD88を介したシグナル伝達経路により、免疫賦活化作用を発揮していると考えられた。イミダゾキノリン系化合物R-848は、強力な抗ウイルス作用や免疫細胞の賦活化作用を有しており、実際パピローマウイルスによるヒトの外陰部疣贅の治療に使用されていることから、TLR7欠損マウスが、イミダゾキノリン系化合物の作用機序の解明に非常に有用なモデルマウスとなるばかりでなく、TLR7を標的としてウイルス感染症の治療薬等の合成化合薬剤の臨床応用に向けての非常に有用なモデルマウスとなると考えられた。本発明は、上記の知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち本発明は、[1]以下の(1)及び(2)の特徴を有するTLR7をコードする遺伝子の機能が染色体上で欠損したマウスを、イミダゾキノリン系化合物による免疫賦活化作用に対して不応答性のモデル動物として使用する方法。(1)TLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントが、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換されている;(2)上記(1)の置換のホモ接合型である;に関する。
【0013】
また本発明は、[2]マウスが、マウス遺伝子ライブラリーからマウスESTクローン由来のプローブを用いてスクリーニングすることにより得られたTLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントを、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換してターゲッティングベクターを構築し、該ターゲッティングベクターを線状化した後胚幹細胞に導入し、TLR7遺伝子機能を欠損した標的胚幹細胞を、マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションしキメラマウスを作製し、このキメラマウスと野生型マウスとを交配させてヘテロ接合体マウスを作製し、かかるヘテロ接合体マウスをインタークロスすることによって得られるTLR7ノックアウトマウスであることを特徴とする上記[1]記載の方法に関する。
【0014】
さらに本発明は、[3]以下の(1)及び(2)の特徴を有するTLR7をコードする遺伝子の機能が染色体上で欠損したマウス由来の細胞を、イミダゾキノリン系化合物による免疫賦活化作用に対して不応答性のモデル細胞として使用する方法。(1)TLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントが、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換されている;(2)上記(1)の置換のホモ接合型である;に関する。
【0015】
また本発明は、[4]マウスが、マウス遺伝子ライブラリーからマウスESTクローン由来のプローブを用いてスクリーニングすることにより得られたTLR7遺伝子のロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbの遺伝子フラグメントを、ポリAシグナルとネオマイシン耐性遺伝子をもつプラスミドに置換してターゲッティングベクターを構築し、該ターゲッティングベクターを線状化した後胚幹細胞に導入し、TLR7遺伝子機能を欠損した標的胚幹細胞を、マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションしキメラマウスを作製し、このキメラマウスと野生型マウスとを交配させてヘテロ接合体マウスを作製し、かかるヘテロ接合体マウスをインタークロスすることによって得られるTLR7ノックアウトマウスであることを特徴とする上記[3]記載の方法や、[5]細胞が免疫細胞であることを特徴とする上記[4]~[6]のいずれか記載の方法に関する。
【0016】
本発明のTLR7ノックアウトマウス等の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物は、免疫賦活化作用を有する合成化合物に対して不応答性であるため、イミダゾキノリン系化合物の作用機序の解明に非常に有用なモデルマウスとなるばかりでなく、TLR7を標的としてウイルス感染症の治療薬等の合成化合薬剤の臨床応用に向けての非常に有用なモデルマウスとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物としては、免疫賦活化作用を有する合成化合物を認識するTLR7をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物であれば特に制限されるものではなく、また、免疫賦活化作用を有する合成化合物としては、TLR7が認識することができる免疫賦活化作用を有する合成化合物であればどのような合成化合物でもよく、例えばイミダゾキノリン系化合物、より具体的には前述のイミキモドとR-848等を挙げることができる。
【0018】
したがって、本発明における合成化合物不応答性モデル非ヒト動物とは、野生型非ヒト動物に比べて免疫賦活化作用を有する合成化合物による刺激に対する生体又は生体を構成する細胞、組織若しくは器官の反応性が特異的に低下しているか、あるいは失われている非ヒト動物、例えば、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによる刺激に対しては、正常に生体又は生体を構成する細胞、組織若しくは器官において反応性を有するが、イミダゾキノリン系化合物等の免疫賦活化作用を有する合成化合物に対しては、生体又は生体を構成する細胞、組織若しくは器官の反応性が低下しているか、あるいは失われているマウス、ラット、ウサギ等のヒト以外の動物をいい、具体的には、TLR7ノックアウトマウス等のTLR7遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物を具体的に挙げることができる。また、上記免疫賦活化作用を有する合成化合物による刺激としては、免疫賦活化作用を有する合成化合物を生体に投与するインビボでの刺激や、生体から分離された細胞に免疫賦活化作用を有する合成化合物を接触させるインビトロでの刺激等を挙げることができる。
【0019】
次に、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物の作製方法を、TLR7ノックアウトマウスを例にとって説明する。マウス遺伝子ライブラリーからPCR等の方法により得られた遺伝子断片を用いて、TLR7をコードする遺伝子をスクリーニングし、スクリーニングされたTLR7をコードする遺伝子を、ウイルスベクター等を用いてサブクローンし、DNAシーケンシングにより特定する。このTLR7をコードする遺伝子の全部又は一部をpMC1ネオ遺伝子カセット等に置換し、3′末端側にジフテリアトキシンAフラグメント(DT-A)遺伝子や単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子等の遺伝子を導入することによって、ターゲットベクターを作製する。
【0020】
この作製されたターゲティングベクターを線状化し、エレクトロポレーション(電気穿孔)法等によってES細胞に導入し、相同的組換えを行い、その相同的組換え体の中から、G418やガンシクロビア(GANC)等の抗生物質により相同的組換えを起こしたES細胞を選択する。また、この選択されたES細胞が目的とする組換え体かどうかをサザンブロット法等により確認することが好ましい。その確認されたES細胞のクローンをマウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションし、かかる胚盤胞を仮親のマウスに戻し、キメラマウスを作製する。このキメラマウスを野生型マウスとインタークロスさせると、ヘテロ接合体マウス(F1マウス:+/-)を得ることができ、また、このヘテロ接合体マウスをインタークロスさせることによって、本発明のTLR7ノックアウトマウスを作製することができる。また、TLR7ノックアウトマウスにおいてTLR7が生起しているかどうかを確認する方法としては、例えば、上記の方法により得られたマウスからRNAを単離してノーザンブロット法等により調べたり、またこのマウスにおけるTLR7の発現をウエスタンブロット法等により調べる方法がある。
【0021】
また、作出されたTLR7ノックアウトマウスが免疫賦活化作用を有する合成化合物に対して不応答性であることは、例えば、免疫賦活化作用を有する合成化合物をTLR7ノックアウトマウスのマクロファージ、単核細胞、樹状細胞などの免疫細胞にインビトロ又はインビボで接触せしめ、かかる細胞におけるTNF-α、IL-6、IL-12、IFN-γ等の産生量や、脾臓B細胞の増殖応答や、脾臓B細胞表面でのCD40、CD80、CD86、MHCクラスII等の抗原の発現量や、NF-κB、JNK、IRAK等のTLR7のシグナル伝達経路における分子の活性化を測定することにより確認することができる。そして、本発明のTLR7ノックアウトマウスは、免疫賦活化作用を有する合成化合物の作用機序の解明や、ウイルス感染に対する治療戦略を考案する上で有用なモデルとすることができる。
【0022】
ところで、メンデルの法則に従い出生してくるホモ接合体非ヒト動物には、免疫賦活化作用を有する合成化合物を認識するTLR7欠損型とその同腹の野生型とが含まれ、これらホモ接合体非ヒト動物における欠損型とその同腹の野生型を同時に用いることによって個体レベルで正確な比較実験をすることができることから、野生型の非ヒト動物、好ましくは免疫賦活化作用を有する合成化合物を認識するTLR7をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物と同種の野生型非ヒト動物、さらには同腹の動物を、例えば以下に記載する本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答の抑制物質又は促進物質のスクリーニングに際して併用することが好ましい。
【0023】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物や該モデル非ヒト動物由来のマクロファージ、脾臓細胞、樹状細胞等の免疫細胞は、免疫賦活化作用を有する合成化合物の作用機序の解明の他、ヘルペスウィルス、サイトメガロウィルス、ヒトパピローマウィルス等の各種ウイルスの感染による各種ウイルス感染症に対する抑制物質若しくは促進物質又はTLR7に対するアゴニスト若しくはアンタゴニストなどの免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答の抑制物質若しくは促進物質のスクリーニング等に用いることができる。外陰部疣贅等のウイルス感染症に対する抑制物質若しくは促進物質又はTLR7に対するアゴニスト若しくはアンタゴニストなどの免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答の抑制物質若しくは促進物質のスクリーニング方法を、以下に例を挙げて説明する。
【0024】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答の抑制物質又は促進物質のスクリーニング方法としては、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物に由来するマクロファージ、脾臓細胞、樹状細胞等の免疫細胞と、被検物質と、免疫賦活化作用を有する合成化合物とを用いて、かかる免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法や、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物と、被検物質と、免疫賦活化作用を有する合成化合物とを用いて、かかるモデル非ヒト動物における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法等を挙げることができる。
【0025】
上記免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞を用いたスクリーニング方法としては、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物から得られる免疫細胞と被検物質とをあらかじめインビトロで接触せしめた後、かかる免疫細胞を免疫賦活化作用を有する合成化合物の存在下で培養し、該免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法や、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物から得られる免疫細胞と免疫賦活化作用を有する合成化合物とをあらかじめインビトロで接触せしめた後、該免疫細胞を被検物質の存在下で培養し、該免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法を挙げることができる。
【0026】
また、免疫賦活化作用方法を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物にあらかじめ被検物質を投与した後、該非ヒト動物から得られる免疫細胞を免疫賦活化作用を有する合成化合物の存在下で培養し、該免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法や、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物にあらかじめ被検物質を投与した後、該非ヒト動物に免疫賦活化作用を有する合成化合物を投与し、該非ヒト動物から得られる免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物にあらかじめ免疫賦活化作用を有する合成化合物を投与した後、該非ヒト動物から得られる免疫細胞を被検物質の存在下で培養し、該免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法や、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物にあらかじめ免疫賦活化作用を有する合成化合物を投与した後、該非ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒト動物から得られる免疫細胞における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法を挙げることができる。
【0028】
他方、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物と、被検物質と、免疫賦活化作用を有する合成化合物とを用いて、かかるモデル非ヒト動物における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法としては、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物にあらかじめ被検物質を投与した後、該モデル非ヒト動物に免疫賦活化作用を有する合成化合物を投与し、該モデル非ヒト動物における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法や、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物をあらかじめ免疫賦活化作用を有する合成化合物により感染させた後、該モデル非ヒト動物に被検物質を投与し、該モデル非ヒト動物における免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価する方法を挙げることができる。
【0029】
本発明において免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答の測定・評価とは、免疫賦活化作用を有する合成化合物と特異的に反応し、細胞内にシグナルを伝達する機能の測定・評価をいい、かかるシグナル伝達機能としては、TNF-α、IL-6、IL-12、IFN-γ等のサイトカインを産生する機能や、亜硝酸イオンを産生する機能や、細胞を増殖する機能や、細胞表面においてCD40、CD80、CD86、MHCクラスII等の抗原を発現する機能や、NF-κB、JNK、IRAK等のTLR7のシグナル伝達経路における分子を活性化させる機能などを具体的に例示することができるが、これらに限定されるものではない。また前記したように、免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する応答を測定・評価するに際し、対照として野生型非ヒト動物、特に同腹の野生型非ヒト動物の測定値と比較・評価することが個体差によるバラツキをなくすることができるので好ましい。
【0030】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物や該モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞を用いると、免疫賦活化作用を有する合成化合物をスクリーニングすることができる。すなわち、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニング方法としては、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞と被検合成化合物とを用いて、前記モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞における免疫賦活化作用を測定・評価する方法や、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物と被検合成化合物とを用いて、前記モデル非ヒト動物における免疫賦活化作用を測定・評価する方法であれば特に制限されるものではない。
【0031】
上記モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞を用いたスクリーニング方法としては、モデル非ヒト動物から得られるマクロファージ、脾臓細胞、樹状細胞等の免疫細胞と、被検合成化合物とをインビトロで接触せしめた後、かかる免疫細胞における免疫賦活化作用を測定・評価する方法や、モデル非ヒト動物に被検合成化合物を投与した後、モデル非ヒト動物から得られる免疫細胞における免疫賦活化作用を測定・評価する方法を挙げることができる。
【0032】
上記モデル非ヒト動物を用いたスクリーニング方法としては、モデル非ヒト動物に被検合成化合物を投与した後、これらモデル非ヒト動物における免疫賦活化作用を測定・評価する方法を挙げることができる。
【0033】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニング方法における免疫賦活化作用の測定・評価とは、例えば、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞における、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-12、IFN-γ等のサイトカインを産生する機能や、亜硝酸イオンを産生する機能や、細胞を増殖する機能や、細胞表面においてCD40、CD80、CD86、MHCクラスII等の抗原を発現する機能や、NF-κB、JNK、IRAK等のTLR7のシグナル伝達経路における分子を活性化させる機能などの程度を測定・評価することをいい、例えば、イミキモドやR-848をリード化合物とし、コンビナトリアルケミストリー等の手法を用いて、上記免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニングを行い、モデル非ヒト動物や該モデル非ヒト動物由来の免疫細胞における挙動が、リード化合物を用いたときの挙動と類似する場合、かかる被検合成化合物は、免疫賦活化作用を有する合成化合物の候補物質となる可能性が大きい。そして、イミキモドやR-848をリード化合物とするスクリーニング方法により得られる免疫賦活化作用を有する合成化合物も本発明に含まれる。
【0034】
また、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物や該モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞と、対照としての野生型非ヒト動物や野生型非ヒト動物に由来する免疫細胞を用いると、免疫賦活化作用を有する合成化合物をスクリーニングすることができる。すなわち、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニング方法としては、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞と、対照としての野生型非ヒト動物に由来する免疫細胞と、被検合成化合物とを用いて、前記モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞と野生型非ヒト動物に由来する免疫細胞における免疫賦活化作用を測定・比較評価する方法や、本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物と、対照としての野生型非ヒト動物と、被検合成化合物とを用いて、前記モデル非ヒト動物と野生型非ヒト動物における免疫賦活化作用を測定・比較評価する方法であれば特に制限されるものではない。
【0035】
上記モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞と対照としての野生型非ヒト動物に由来する免疫細胞とを用いたスクリーニング方法としては、モデル非ヒト動物や野生型非ヒト動物から得られるマクロファージ、脾臓細胞、樹状細胞等の免疫細胞と、被検合成化合物とをインビトロでそれぞれ接触せしめた後、かかる免疫細胞における免疫賦活化作用を測定・比較評価する方法や、モデル非ヒト動物や野生型非ヒト動物に被検合成化合物を投与した後、モデル非ヒト動物や野生型非ヒト動物からそれぞれ得られる免疫細胞における免疫賦活化作用を測定・比較評価する方法を挙げることができる。
【0036】
上記モデル非ヒト動物と対照としての野生型非ヒト動物とを用いたスクリーニング方法としては、モデル非ヒト動物や野生型非ヒト動物に被検合成化合物をそれぞれ投与した後、これらモデル非ヒト動物や野生型非ヒト動物における免疫賦活化作用を測定・比較評価する方法を挙げることができる。
【0037】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニング方法における免疫賦活化作用の測定・比較評価とは、例えば、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-12、IFN-γ等のサイトカインを産生する機能や、亜硝酸イオンを産生する機能や、細胞を増殖する機能や、細胞表面においてCD40、CD80、CD86、MHCクラスII等の抗原を発現する機能や、NF-κB、JNK、IRAK等のTLR7のシグナル伝達経路における分子を活性化させる機能などの程度を、免疫賦活化作用を有する合成化合物不応答性モデル非ヒト動物や該モデル非ヒト動物に由来する免疫細胞と、対照としての野生型非ヒト動物や野生型非ヒト動物に由来する免疫細胞とでそれぞれ測定し、その機能の程度を比較・評価することをいい、例えば、野生型非ヒト動物においてはサイトカイン産生を誘導するが、モデル非ヒト動物においてはサイトカイン産生を誘導しない被検合成化合物は、免疫賦活化作用を有する合成化合物の候補物質となる可能性が大きい。また、イミキモドやR-848をリード化合物とし、コンビナトリアルケミストリー等の手法を用いて、上記免疫賦活化作用を有する合成化合物のスクリーニングを行い、モデル非ヒト動物や該モデル非ヒト動物由来の免疫細胞における挙動が、対照としての野生型非ヒト動物や野生型非ヒト動物に由来する免疫細胞における挙動と類似する場合、かかる被検合成化合物は、免疫賦活化作用を有する合成化合物の候補物質となる可能性が大きい。そして、イミキモドやR-848をリード化合物とするスクリーニング方法により得られる免疫賦活化作用を有する合成化合物も本発明に含まれる。
【0038】
本発明の免疫賦活化作用を有する合成化合物に対する反応性を特異的に欠如したモデル非ヒト動物により、TLR7が免疫賦活化作用を有する合成化合物の認識に関与していることが明らかとなったことから、これらのモデル非ヒト動物は、免疫賦活化作用を有する合成化合物の作用機序の解明の他、ヘルペスウィルス、サイトメガロウィルス、ヒトパピローマウィルス等の各種ウイルスの感染による各種ウイルス感染症に対する治療戦略を考案する上で、非常に有用なモデル動物となることが考えられる。またTLR7のアゴニストやアンタゴニストは、上記各種ウイルス感染症に対する抑制物質又は促進物質や、TLR7活性の欠失又は異常に起因する疾病等の診断・治療に有用な物質となる可能性がある。
【0039】
以下に、実施例・参考例を挙げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれら実施例等により限定されるものではない。また、実施例における試薬等は以下のものを用いた。
【0040】
大腸菌(Escherichia coli)由来のDNA及びミクロコッカス・ディクティカス(Micrococcus deikticus)由来のDNAをSigma社から購入し、更にフェノール/クロロホルム抽出物を用いて精製した。サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota Re-595)由来のLPSをSigma社から購入した。マイコプラズマリポペプチドMALP-2は、Peter F.Muhlradt博士(Institute of Immunology,Philipps University,Germanny)に供与されたものを用いた。使用するODN(oligodeoxynucleotide)は、全て北海道システム・サイエンスから購入した。また、CpG DNAの配列及びバックボーンは、以下の通りである。
【0041】
JP0004493336B2_000003t.gif
【0042】
下線部は、典型的なCpGモチーフを示す。大文字及び小文字は、それぞれホスホジエステルバックボーン(天然バックボーン)及びホスホロチオエート修飾を示す。
【0043】
参考例1(MyD88ノックアウトマウスの作製)
MyD88遺伝子を129/SvJマウス遺伝子ライブラリー(Stratagene社製)からスクリーニングし、pBluescriptベクター(Stratagene社製)中でサブクローンし、制限酵素マッピング及びDNAシーケンシングにより特定した。標的ベクターは、pMC1-neo(Stratagene社製)からのネオマイシン抵抗遺伝子で、1.0kb遺伝子断片を置換することにより構築された。置換された遺伝子断片は、IL-1RacP(受容体補助タンパク)の細胞質ドメインに似ているドメインをコードする2つのエクソンを含んでいた。ネオマイシン抵抗遺伝子は、1.1kbの5′遺伝子断片と5.2kbの3′遺伝子断片をフランキング配列として有していた。次いで、HSV-tkカセットを遺伝子断片の3′端に導入した。線状化された標識ベクターでES細胞E14.1にトランスフェクションし、G418及びガンシクロヴィアで選択した。突然変異MyD88対立遺伝子を含有していた標的ESクローンを、C57BL/6マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションした。得られたキメラマウスを、ヘテロ接合体マウスを作製するために、C57BL/6雌マウスと交尾させた。ヘテロ接合体マウスは、ホモ接合体マウスを得るためインタークロスし、MyD88欠損マウスを作製した。MyD88ノックアウトマウスは健康に育ち、20週の年齢まで異常を示さなかった。
【0044】
参考例2(TLR9ノックアウトマウスの作製)
129/SvJマウス遺伝子ライブラリー(ストラタジーン社製)からマウスTLR9遺伝子(登録番号AF245704)由来のプローブを用いて、TLR9ゲノムDNAを単離し、pBluescript II SK(+)ベクター(ストラタジーン社製)中でサブクローンし、制限酵素マッピング及びDNA配列決定により特定した。ターゲッティングベクターは、LRR(ロイシンリッチリピート)領域の一部分をコードする1.0kbのフラグメントを、ネオマイシン耐性遺伝子カセット(pMC1-neo;ストラタジーン社製)に置換し、負の選択マーカーとして単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)を挿入することにより構築した。このターゲッティングベクターを線状化し、胚幹細胞(ES細胞)にエレクトポレーションし、G418及びガンシクロビアに抵抗性を示すクローンを選択した。突然変異TLR9対立遺伝子を含有していた標的ESクローンを、C57BL/6マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションしキメラマウスを作製した。この雄のキメラマウスをC57BL/6雌マウスと交配させ、ヘテロ接合体F1マウスを作製し、かかるヘテロ接合体F1マウスをインタークロスすることによってホモ接合体マウス(TLR9ノックアウトマウス:TLR9-/-)を得た。TLR9ノックアウトマウスは健康に育ち、20週の年齢まで異常を示さなかった。
【0045】
実施例1(TLR7ノックアウトマウスの作製)
129/SvJマウス遺伝子ライブラリー(ストラタジーン社製)から、ヒトTLR7遺伝子を含むヒトゲノムDNA配列(登録番号AC003046)由来のプローブ(配列番号5)を用いて、TLR7のゲノムDNAをスクリーニングし、pBluescript II SK(+)ベクター(ストラタジーン社製)中でサブクローンし、制限酵素マッピング及びDNA配列決定により特定した。ターゲッティングベクターは、ロイシンリッチリピートの一部をコードしている1.8kbのTLR7遺伝子フラグメントを、ネオマイシン耐性遺伝子カセット(pMC1-neo;ストラタジーン社製)に置換し、負の選択マーカーとして単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)を挿入することにより構築した。マウスTLR7遺伝子座、ターゲッティングベクター及び変異導入による変異アレルを図1に示す。図1中の"■"は、コーディングエクソンを示す。使用した制限酵素は、ScaI(Sc)及びBamHI(B)である。このターゲッティングベクターを線状化し、胎生14.1日目の胚幹細胞(ES細胞)にエレクトポレーションし、G418及びガンシクロビアに抵抗性を示す340個のクローンを選択し、PCR法及びサザンブロット法により6個のクローンをスクリーニングした。
【0046】
突然変異TLR7対立遺伝子を含有していた3個の標的ESクローンを、C57BL/6マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションし、変異対立遺伝子が生殖細胞系列を通じて伝達されたキメラマウスを作製した。この雄のキメラマウスをC57BL/6雌マウスと交配させて雌マウスが得られたが、得られた雌マウスは全てヘテロ接合マウスであった。これはTLR7がX染色体にマップされ、全ての生殖細胞系列が伝達されていたためである。TLR7ノックアウトマウスを作製するために、得られたヘテロ接合雌マウスをヘテロ接合体(F1)とインタークロスすることによってホモ接合体マウス(TLR7ノックアウトマウス:TLR7-/-)を得た。なお、ホモ接合体マウスの確認は、マウスの尾から抽出した各ゲノムDNAをScaIでダイジェストし、図1に示すプローブを用いるサザンブロット法により行った。図2に示される結果から、野生型雄マウス(+/Y)では6kbのシングルバンド、ヘミ接合の雄マウス(-/Y)では5kbのバンド、ヘミ接合の雌マウス(+/-)では両方のバンドを示した。本発明のTLR7ノックアウトマウス(TLR7-/-)はメンデルの法則に従い作製することができ、25週目までは顕著な異常を示さなかった。
【0047】
実施例2(腹腔マクロファージの調製)
野生型マウス(wild-type)、TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)、MyD88ノックアウトマウス(MyD88KO)及びTLR9ノックアウトマウス(TLR9KO)のそれぞれの腹腔内に4%のチオグリコール酸培地(DIFCO社製)を2mlずつ注入し、3日後に各マウスの腹腔内から腹腔滲出細胞を単離し、これらの細胞を10%のウシ胎仔血清(GIBCO社製)を添加したRPMI1640培地(GIBCO社製)中で37℃にて2時間培養し、氷温のハンクス緩衝液(Hank's buffered salt solution:HBSS;GIBCO社製)で洗浄することにより非付着細胞を取り除き、付着細胞を腹腔マクロファージとして以下の実験に使用した。野生型マウス(+/Y)とTLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)に由来するマクロファージから得られた全RNA(10μg)を電気泳動し、ナイロン膜に移し、TLR7cDNAの一部とハイブリダイズさせ、この膜をβアクチンプローブでもって再びハイブリダイズさせた。かかるノーザンブロット法で調べた。図3に示す結果から、TLR7ノックアウトマウスではTLR7mRNAの発現は見い出せなかった。
【0048】
また、腹腔マクロファージから産出されたサイトカインの測定は、2×105/ウェル又は5×104/ウェルの腹腔マクロファージを、それぞれ96ウェルプレート内で培養し、前述の試薬を用いて24時間刺激した後、マニュアルに従い、ELISA法を用いてTNF-α、IL-12p40、IL-6及び/又はIFN-αの濃度を測定した。
【0049】
実施例3(イミダゾキノリン系化合物による免疫細胞の活性化)
イミダゾキノリン系化合物であるイミキモド及びR-848に対するTLR7ノックアウトマウスの応答性を調べる前に、まず、所定濃度のイミキモド及びR-848をそれぞれBALB/cマウス(野生型)に経口投与し、2時間経過した時点での血清中におけるIFN-α、TNF-α及びIL-12の濃度を測定した。結果を図4に示す。その結果、血清中のIFN-α、TNF-α及びIL-12の濃度は、投与量依存的に上昇した。データは平均値+/-統計誤差S.D.(N=3)である。同様に、イミキモド及びR-848をそれぞれ用いて、これら化合物がTLRを介して免疫細胞を活性化する能力を調べた。実施例2により調製した野生型マウス及びMyD88ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージ(5×104cells)を、30U/mlのIFN-γの存在下又は非存在下に、イミキモド又はR-848で刺激し、腹腔マクロファージから産出されるTNF-α及びIL-12の濃度をELISA法により測定した。結果を図5に示す。その結果、野生型マウス由来のマクロファージは、TNF-α及びIL-12等のサイトカインを多量に産出したが、MyD88ノックアウトマウス由来のマクロファージはサイトカンをほとんど産出しなかった。このことから、イミダゾキノリン系化合物に応答する腹腔マクロファージから産出されるサイトカインが、MyD88に完全に依存することがわかった。また、これらの結果から、イミキモド及びR-848はTLRを介して免疫細胞を活性化することがわかった。データは平均値+/-統計誤差S.D.(N=3)で示されている。
【0050】
実施例4(TLR7KOマウス由来マクロファージにおけるODN刺激)
次に、TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)、TLR9ノックアウトマウス(TLR9KO)及び野生型マウス由来の腹腔マクロファージ(5×104cells)を、30U/mlのIFN-γの存在下(+)又は非存在下(-)に、所定濃度のCpG DNA1668(ホスホロチオエート1688)、D19、AAC30、天然1668(ホスホジエステル1688)、大腸菌由来のゲノムDNA又はミクロコッカス・ディクティカス由来のゲノムDNAで刺激し、24時間培養後の培養上清中に含まれる腹腔マクロファージ産出のIL-12p40濃度をELISA法により測定した。結果を図6に示す(図中*印は検出限界以下を示す。)。図6からわかるように、TLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージは、各種ODN刺激によりIL-12p40の産生が野生型マウスと同様に認められたのに対して、TLR9ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージではIL-12p40の産生誘導は認められなかった。データは平均値+/-統計誤差(S.D.)である。独立して行なわれた3回の実験でも、類似の結果が得られた。
【0051】
実施例5(TLR7KOマウス由来マクロファージにおけるイミダゾキノリン系化合物刺激)
続いて、TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)及び野生型マウス由来の腹腔マクロファージ(5×104cells)を、30U/mlのIFN-γの存在下(+)又は非存在下(-)に、所定濃度のイミダゾキノリン系化合物R-848、LPS、ODN1688(ホスホロチオエート1688)で刺激し、24時間培養後の培養上清中に含まれる腹腔マクロファージ産出のTNF-α濃度をELISA法により測定した。結果を図7に示す(図中*印は検出限界以下を示す。)。図7からわかるように、TLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージは、LPSやODN1688刺激によりTNF-αの産生が正常マウスと同様に認められたのに対して、イミダゾキノリン系化合物R-848によるTNF-αの産生誘導は認められなかった。同様にして、24時間培養後の培養上清中に含まれる腹腔マクロファージ産出のIL-12p40濃度をELISA法により測定した。結果を図8に示す(図中*印は検出限界以下を示す。)。図8からわかるように、TLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージは、LPSやODN1688刺激によりIL-12p40の産生が正常マウスと同様に認められたのに対して、イミダゾキノリン系化合物R-848によるIL-12p40の産生誘導は認められなかった。
【0052】
実施例6(TLR7KOマウス由来マクロファージにおけるイミダゾキノリン系化合物刺激)
本発明者らが既に作製している、TLR2ノックアウトマウス、TLR4ノックアウトマウス、TLR6ノックアウトマウス又はTLR9ノックアウトマウスは、イミダゾキノリン系化合物に対して応答性を示したことから、イミダゾキノリン系化合物を認識するのは、TLR2、TLR4、TLR6及びTLR9以外のTLRメンバーが関与していると考えられた。そこで、TLR7がイミダゾキノリン系化合物R-848を特異的に認識するかどうかについて、TLR7ノックアウトマウスのR-848に対する応答性について調べてみた。TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)及び野生型マウス由来の腹腔マクロファージ(5×104cells)を、30U/mlのIFN-γの存在下(+)又は非存在下(-)に、所定濃度のR-848とLPSで刺激し、24時間培養後の培養上清中に含まれる腹腔マクロファージが産出するTNF-α、IL-6及びIL-12p40濃度をELISA法により測定した。結果を図9に示す(図中*印は検出限界以下を示す。)。図9からわかるように、TLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージは、LPS刺激によりTNF-α、IL-6及びIL-12p40の産生が野生型マウスと同様に認められたのに対して、R-848刺激ではTNF-α、IL-6及びIL-12p40の産生誘導は認められなかった。
【0053】
実施例7(TLR7KOマウス由来脾細胞におけるイミダゾキノリン系化合物刺激)
イミダゾキノリン系化合物でBリンパ球を刺激することにより、活性化したフェノタイプが増殖して発現することから、脾細胞の増殖性を調べた(Cell.Immunol.203,55-62,2000、J.Immunol.165,5552-5557,2000)。TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)及び野生型マウス由来の脾細胞(5×104cells)を、所定濃度のR-848とCpG DNAで刺激し、48時間(最後の8時間は[3H]チミジンを加えて培養)培養し、βシンチレーションカウンターを用いて、[3H]チミジンの取込量を調べた。結果を図10に示す。実験は3回行なったが、その中で代表的な実験で得られた平均値+/-測定誤差(+/-S.D.)を示す。図10からわかるように、野生型マウス由来の脾細胞は、R-848刺激及びCpG DNA刺激により、濃度依存的に増殖を示したが、TLR7ノックアウトマウス由来の脾細胞は、CpG DNA刺激に対しては濃度依存的に増殖したが、R-848刺激に対しては増殖を示さなかった。
【0054】
実施例8(TLR7KOマウス由来樹状細胞におけるイミダゾキノリン系化合物刺激)
TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)及び野生型マウス由来の骨髄由来の樹状細胞(BMDC)におけるR-848に対する応答性を調べてみた。10%のウシ胎仔血清及び10ng/mlのGM-CSF(マウス顆粒白血球/マクロファージコロニー刺激因子)を補ったRPMI-1640培地中で、TLR7ノックアウトマウス及び野生型マウスから得た骨髄細胞を6日間培養した。得られたマウス未分化樹状細胞を、R-848又はCpG DNAを用いて24時間刺激して、CD40、CD80、及びCD86に対するビオチン化抗体を用いて細胞を染色し、フィコエリトリン(PE)結合ストレプトアビジンを検出し、自動細胞解析装置(ファクスキャリバー)で分析した。かかるフローサイトメトリー法によるCD40,CD80及びCD86分子が細胞表面に発現するようすを調べた結果を図11に示す。CpG DNAを用いた場合と同様に、R-848を用いて野生型マウス由来のBMDCを刺激した場合には、CD40,CD80及びCD86発現のアップレギュレーションが誘導された。こに対して、TLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)由来のBMDCを、R-848を用いて刺激した場合には、これら細胞表面分子の発現が増強されなかった。
【0055】
実施例9(イミダゾキノリン系化合物刺激によるNF-κB複合体の誘導)
次に、抗ウィルス免疫応答修飾剤に対する細胞内シグナルカスケードの活性化について調べた。チオグリコールで刺激したTLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)及び野生型マウス由来の腹腔マクロファージ(各2×106cells)を、所定の時間100nMのR-848又は1.0μMのCpG DNA1668(CpG)で刺激し、核タンパク質抽出し、NF-κB結合部位を含む特異的プローブと共に得られた抽出物をインキュベートし、電気泳動を行い、オートラジオグラフィーにより視覚化し、NF-κB活性をDNA結合タンパク質として電気泳動移動度シフト分析(EMSA)でもって調べた。結果を図12に示す。図12中、矢印は誘導されたNF-κB複合体を示しており、矢頭はフリープローブを示している。図12からわかるように、野生型マウス由来のマクロファージの場合、イミダゾキノリン系化合物R-848又はCpG DNAを用いて刺激すると、増強されたNF-κB転写のDNA結合活性、c-Jun N末端キナーゼ(JNK)の活性化、及びIRAKのリン酸化が誘導された。これに対して、MyD88ノックアウトマウス由来のマクロファージと同様に、TLR7ノックアウトマウス由来のマクロファージにおいても、これらすべてのシグナルイベントは完全に破壊されていた。
【0056】
実施例10(イミダゾキノリン系化合物刺激によるNF-κBレポーター遺伝子のトランス活性化)
R-848が誘導するNF-κBレポーター遺伝子のトランス活性化におけるTLR7の機能的役割を調べた。HEK293細胞をヒト由来のTLR7発現プラスミドとトランジェントにコトランスフェクションし、R-848で刺激する前後でルシフェラーゼ活性を測定した。チオグリコールで刺激したTLR7ノックアウトマウス(TLR7KO)及び野生型マウス由来の腹腔マクロファージを、100nMのR-848又は1.0μMのホスホロチオエート修飾CpG DNA1668(CpG)で刺激し、全細胞溶解物を調製し、抗JNK抗体で免疫沈降させ、GST-c-Jun融合タンパク質を基質として使用したインビトロキナーゼアッセイ法により、JNK活性を調べた。結果を図13(上段)に示す。抗JNK抗体を用いて同じ溶解物をブロットした。また、抗IRAKを用いて溶解物を免疫沈降させ、インビトロキナーゼアッセイ法でIRAKのキナーゼ活性を調べた。結果を図13(下段)に示す。抗IRAK抗体を用いて、同じ溶解物をブロットした。図13からわかるように、TLR7を用いてトランスフェクションしたことにより、R-848に対するNF-κB依存プロモーター活性が増進した。TLR7-MyD88依存シグナル経路を活性化することは、インビトロでのイミダゾキノリンの効果に対して重要である。
【0057】
実施例11(インビボにおけるTLR7の関与)
R-848に対する応答にTLR7が関与しているかどうかをインビボで調べてみた。野生型マウス、MyD88ノックアウトマウス又はTLR7ノックアウトマウスの腹腔内に50nmolのR-848を注入し、所定時間後に血清を採取し、ELISA法によって血清中のIFN-α、TNF-α及びIL12p40の濃度を調べた。結果を図14に示す。野生型マウスの腹腔中にR-848を注入すると、血清中のIFN-α、TNF-α及びIL-12の濃度が著しく上昇した。他方、TLR7ノックアウトマウスにおいては、これらサイトカインの増加は見られなかった。同様にMyD88ノックアウトマウスは、R-848に対して全く応答性を示さなかった。
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、マウスTLR7遺伝子座、ターゲッティングベクター及び変異導入による変異アレルの遺伝子地図を示す図である。
【図2】第2図は、本発明のTLR7ノックアウトマウスのサザンブロット分析の結果を示す写真である。
【図3】第3図は、本発明のTLR7ノックアウトマウスにおけるノーザンブロット分析の結果を示す写真である。
【図4】第4図は、BALB/cマウス(野生型)におけるイミキモド及びR-848経口投与によるIFN-α、TNF-α及びIL-12産生の結果を示す図である。
【図5】第5図は、野生型マウス及びMyD88ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージにおけるIFN-γの存在下又は非存在下でのイミキモド又はR-848刺激によるTNF-α及びIL-12産生の結果を示す図である。
【図6】第6図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス及びTLR9ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージにおける各種ODN刺激によるIL-12p40産生の結果を示す図である。
【図7】第7図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージにおけるIFN-γの存在下又は非存在下での化学合成物R-848、LPS、ODN1688刺激によるTNF-α産生の結果を示す図である。
【図8】第8図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージにおけるIFN-γの存在下又は非存在下での化学合成物R-848、LPS、ODN1688刺激によるIL-12p40産生の結果を示す図である。
【図9】第9図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来の腹腔マクロファージにおけるIFN-γの存在下又は非存在下でのR-848、LPS刺激によるTNF-α、IL-6及びIL-12p40産生の結果を示す図である。
【図10】第10図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来の骨髄由来の樹状細胞におけるR-848、CpG DNA刺激による[3H]チミジンの取込量の結果を示す図である。
【図11】第11図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来の樹状細胞におけるR-848、CpG DNA刺激によるCD40,CD80及びCD86分子の細胞表面での発現の結果を示す図である。
【図12】第12図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来のマクロファージにおけるR-848、CpG DNA刺激によるNF-κBの活性化の結果を示す写真である。
【図13】第13図は、本発明のTLR7ノックアウトマウス由来のマクロファージにおけるR-848が誘導するNF-κBレポーター遺伝子のトランス活性化の結果を示す写真である。
【図14】第14図は、本発明のTLR7ノックアウトマウスにおけるR-848に対するインビボでの応答結果を示す図である。
【配列表】
JP0004493336B2_000004t.gifJP0004493336B2_000005t.gifJP0004493336B2_000006t.gif
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11
(In Japanese)【図13】
12
(In Japanese)【図14】
13