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Specification :(In Japanese)配位性側鎖を有する光学活性らせんポリマー

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5433850
Date of registration Dec 20, 2013
Date of issue Mar 5, 2014
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)配位性側鎖を有する光学活性らせんポリマー
IPC (International Patent Classification) C08G  61/12        (2006.01)
C08G  73/06        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
FI (File Index) C08G 61/12
C08G 73/06
B01J 31/22
Number of claims or invention 4
Total pages 36
Application Number P2008-500523
Date of filing Feb 14, 2007
International application number PCT/JP2007/052620
International publication number WO2007/094362
Date of international publication Aug 23, 2007
Application number of the priority 2006038355
Priority date Feb 15, 2006
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jan 14, 2010
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】杉野目 道紀
【氏名】山本 武司
Representative (In Japanese)【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
Examiner (In Japanese)【審査官】高原 慎太郎
Document or reference (In Japanese)国際公開第2006/095810(WO,A1)
Field of search C08G 61/00 - 61/12
C08G 73/00 - 73/26
CAplus/REGISTRY(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
下記式(1):
【化1】
JP0005433850B2_000046t.gif

(式中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、環状アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基およびペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれた基であり、少なくとも1つが金属と配位結合可能な部位を有する基である。また、R1~R4は同じかまたは異なり、R1とR3、R3とR4またはR4とR2がそれぞれ環を形成していてもよい。)
で表わされるユニットを繰り返し単位として含み、前記金属と配位結合可能な部位を有する基が、式(3):
【化2】
JP0005433850B2_000047t.gif

(式中、結合の位置は、オルト、メタおよびパラのいずれの位置であってもよい。)
で表わされる基、式(4):
【化3】
JP0005433850B2_000048t.gif

(式中、結合の位置は、オルト、メタおよびパラのいずれの位置であってもよい。)
で表わされる基、式(5):
【化4】
JP0005433850B2_000049t.gif

(式中、R9およびR10は同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換を有していてもよい、アリール基、炭素数1~8の直鎖もしくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、複素芳香環基、脂肪複素環基、アルコキシ基、アミノ基およびヒドロキシル基からなる群より選ばれた基であり、Aは直接結合であるか、または置換を有していてもよい、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐アルキル基、アリール基、複素芳香環基、脂肪複素環基、含酸素アルキル基および含窒素アルキル基からなる群より選ばれた基である。)
で表わされる基、または式(6):
【化5】
JP0005433850B2_000050t.gif

(式中、R9、R10およびAは前記と同じ。Yは酸素原子または硫黄原子である。)
で表わされる基である光学活性らせんポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載の光学活性らせんポリマーに、さらに下記式(2)で表わされるユニットを繰り返し単位として含む光学活性らせんポリマー。
【化6】
JP0005433850B2_000051t.gif

(式中、R5~R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、環状アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基およびペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれた基である。また、R5~R8は同じかまたは異なっていてもよく、R5とR7、R7とR8またはR8とR6がそれぞれ環を形成していてもよい。ただし、R5~R8は、いずれも、金属と配位結合可能な部位を有していない基である。)
【請求項3】
配位結合可能な部位の少なくとも1つに金属が配位し、当該金属が第4~6周期の4~16族の元素およびランタニド元素からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載の光学活性らせんポリマー。
【請求項4】
不斉化反応に用いるためのキラル高分子触媒であって、請求項3に記載の光学活性らせんポリマーが用いられたキラル高分子触媒。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、配位性側鎖を有する光学活性らせんポリマーおよび配位性側鎖と金属が配位結合したキラル高分子触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の身の回りにある合成高分子は、一般的にランダムな構造を取るのに対し、DNAやタンパク質に代表される生体高分子には、左右一方向のらせん状のものが数多く存在する。そこで、生体高分子だけでなく、左右一方向のらせん状のポリマーを人工的に合成することが近年検討されている。
【0003】
たとえば、Y. Ito et al., J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 11880 およびM. Suginome et al., Org. Lett., 2002, 4, 351 には、不斉リビング重合による完全ならせん方向の制御を伴った光学活性らせんポリマーが開示されている。しかし、これらの文献には、側鎖に機能性を有する置換基を導入することが開示されておらず、らせんポリマーにさらなる機能性を付与させ、具体的に活用することも開示されていない。
【0004】
ところで、医薬産業や材料科学における光学活性化合物への需要の増大に伴い、不斉有機合成は、急速な発展を遂げてきた。なかでも、光学活性分子触媒を用いた触媒的不斉合成法は、少量の光学活性源から多量の光学活性生成物が得られる(不斉分子数増幅)ため、重点的に研究が進められている。この分野のさらなる発展に向け、従来のデザインとはまったく異なるキラル触媒の開発が強く求められている。キラル高分子配位子は、低分子配位子では構築し得ないキラル反応場を提供し得る点、および回収・再利用の容易さにおいて、次世代の実用キラル配位子として注目され始めている。
【0005】
しかしながら、配位子を有するキラル高分子のほとんどは、単に優れたキラル低分子配位子を高分子に担持させただけのものであり、光学活性を有する低分子化合物をベースとするキラル触媒は、光学活性体を合成するのに多大な労力を費やすことが多く、また、ベースとなった低分子配位子を用いた場合の選択性を凌駕することがないなどの問題がある。
【0006】
また、M. Reggelin et al., Proceeding of the National Academy of Sciences of the USA, 2004, 101, 5461 には、配位子にパラジウムが配位結合した側鎖を有する、ポリメタクリル酸メチルを用いた不斉合成が開示されている。該ポリマーの配位子は、嵩高い構造であり、主鎖がらせん構造を有するので、光学活性を持っている。しかしながら、主鎖であるポリメタクリル酸メチルは柔軟であるため、らせん構造が不安定であり、該ポリマーを用いた不斉合成は、高温を避けて行なわなければならず、また、該ポリマーの利用、回収および精製の各過程でラセミ化が起こりやすいなどの問題がある。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、金属と配位結合可能な部位を有する、新規な光学活性らせんポリマーを提供することを目的とする。さらに、本発明は、不斉反応場の構築にキラルな高分子構造そのものを活かした高選択的不斉触媒系として、配位性側鎖を有する光学活性らせんポリマーおよびキラル高分子触媒を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、下記式(1)で表わされるユニットを含む光学活性らせんポリマーに関する。
【0009】
【化1】
JP0005433850B2_000002t.gif

【0010】
(式中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、環状アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基およびペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれた基であり、少なくとも1つが金属と配位結合可能な部位を有する基である。また、R1~R4は同じかまたは異なり、R1とR3、R3とR4またはR4とR2がそれぞれ環を形成していてもよい。)
【0011】
本発明の光学活性らせんポリマーは、さらに、下記式(2)で表わされるユニットを含むことが好ましい。
【0012】
【化2】
JP0005433850B2_000003t.gif

【0013】
(式中、R5~R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、環状アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基およびペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれた基である。また、R5~R8は同じかまたは異なっていてもよく、R5とR7、R7とR8またはR8とR6がそれぞれ環を形成していてもよい。)
【0014】
本発明の光学活性らせんポリマーは、共重合体であることが好ましい。
【0015】
本発明の光学活性らせんポリマーにおいて、金属と配位結合可能な部位を有する基は、リン原子、窒素原子または硫黄原子を有する基であることが好ましい。また、前記配位結合可能な部位は、金属と配位結合したものであることが好ましい。前記金属は、第4~6周期の4~16族の元素およびランタニド元素からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
本発明は、また、前記光学活性らせんポリマーが用いられたキラル高分子触媒にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、下記式(1)で表わされるユニットを含む光学活性らせんポリマーに関する。
【0018】
【化3】
JP0005433850B2_000004t.gif

【0019】
式中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、環状アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基およびペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれた基であり、少なくとも1つが金属と配位結合可能な部位を有する基である。また、R1~R4は同じかまたは異なり、R1とR3、R3とR4またはR4とR2がそれぞれ環を形成していてもよい。
【0020】
直鎖または分岐アルキル基の炭素数は、1~18であることが好ましい。直鎖または分岐アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
【0021】
不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~18であることが好ましい。不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基の具体例としては、たとえば、ビニル基、アリル基などの炭素数2~18のアルキレン基、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
【0022】
環状アルキル基の炭素数は、3~10であることが好ましい。環状アルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などが挙げられる。
【0023】
アリール基の炭素数は、6~14であることが好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、ベンジル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アズレニル基などが挙げられる。
【0024】
芳香族複素環基としては、たとえば、1~3個の窒素原子、1個の酸素原子および1個の硫黄原子からなる群より選ばれた少なくとも1種と炭素原子とからなる5~14員環の単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、インドリル基、ピロリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾフラニル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、トリアジニル基、キノキサリニル基、イミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基などが挙げられる。
【0025】
脂肪族複素環基としては、たとえば、1~3個の窒素原子、1個の酸素原子および1個の硫黄原子からなる群より選ばれた少なくとも1種と炭素原子とからなる5~7員環の単環式脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、ピペリジノ基、ピロリジノ基、テトラヒドロフラニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、チオモルホリニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基などが挙げられる。
【0026】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
【0027】
アミノ基としては、たとえば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、無置換のアミノ基などが挙げられる。
【0028】
アルコキシル基としては、たとえば、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、フェノキシル基、ナフトキシ基などが挙げられる。
【0029】
カルバモイル基としては、たとえば、ナフチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。
【0030】
アルコキシカルボニル基としては、たとえば、炭素数が2~10のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0031】
ペルフルオロアルキル基としては、たとえば、炭素数が1~6のペルフルオロアルキル基が挙げられる。
【0032】
前記置換基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基などの不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、アリール基、複素芳香環基、脂肪複素環基、ハロゲン原子、アミノ基、アルコキシ基、カルバモイル基などが挙げられる。
【0033】
また、式(1)で表わされるユニットにおいて、R1とR2とが同一であるか、またはR3とR4とが同一であるか、あるいはR1とR2とが同一であるとともにR3とR4とが同一であることが、得られるらせんポリマーの構造安定性および制御性の観点から好ましい。
【0034】
金属と配位結合可能な部位を有する基としては、たとえば、リン原子、窒素原子または硫黄原子を有する基が好ましい。金属と配位結合可能な部位を有する基の具体例としては、ピリジン環、キノリン環、オキサゾリン環またはチオフェン環を有する基、ビピリジル基などが挙げられる。好適な金属と配位結合可能な部位を有する基の例としては、下記式(3)~(6)で表わされる基などが挙げられる。
【0035】
【化4】
JP0005433850B2_000005t.gif

【0036】
(式中、結合の位置は、オルト、メタおよびパラのいずれの位置であってもよい。)
【0037】
【化5】
JP0005433850B2_000006t.gif

【0038】
(式中、結合の位置は、オルト、メタおよびパラのいずれの位置であってもよい。)
【0039】
【化6】
JP0005433850B2_000007t.gif

【0040】
【化7】
JP0005433850B2_000008t.gif

【0041】
式(5)および式(6)において、R9およびR10は、同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換を有していてもよい、アリール基、炭素数1~8の直鎖または分岐アルキル基、シクロアルキル基、、複素芳香環基、脂肪複素環基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基などである。Aは、直接結合、置換を有していてもよい、炭素数1~6の直鎖または分岐アルキル基、アリール基、複素芳香環基、脂肪複素環基、含酸素アルキル基、含窒素アルキル基などである。Yは、酸素原子または硫黄原子である。
【0042】
前記置換基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基などの不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、アリール基、複素芳香環基、脂肪複素環基、ハロゲン原子、アミノ基、アルコキシ基、カルバモイル基などが挙げられる。
【0043】
式(1)で表わされるユニットの具体例としては、以下の式(7)~(15)で表わされる基などが挙げられる。これらの中では、式(7)で表わされる基および式(12)で表わされる基は、コンフォメーションが固定されやすい点で好ましい。なお、式中、Phはフェニル基、Meはメチル基を示す。
【0044】
【化8】
JP0005433850B2_000009t.gif

【0045】
【化9】
JP0005433850B2_000010t.gif

【0046】
【化10】
JP0005433850B2_000011t.gif

【0047】
【化11】
JP0005433850B2_000012t.gif

【0048】
【化12】
JP0005433850B2_000013t.gif

【0049】
【化13】
JP0005433850B2_000014t.gif

【0050】
【化14】
JP0005433850B2_000015t.gif

【0051】
【化15】
JP0005433850B2_000016t.gif

【0052】
【化16】
JP0005433850B2_000017t.gif

【0053】
金属との配位様式としては、単座配位、2座配位などが挙げられる。2座配位する配位子では、反応効率が低く、単座配位する配位子によって初めて効率的な反応が実現されるような系が少なくない。そのような場合には、単座型配位子を用いることが好ましい。
【0054】
本発明の光学活性らせんポリマーとしては、式(1)で表わされるユニットを含むホモポリマーおよびコポリマーが挙げられるが、コポリマーが好ましい。
【0055】
コポリマー成分のコモノマー由来のユニットとしては、以下の式(2)で表わされるユニットが好ましい。
【0056】
【化17】
JP0005433850B2_000018t.gif

【0057】
式中、R5~R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、環状アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基およびペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれた基である。また、R5~R8は同じかまたは異なっていてもよく、R5とR7、R7とR8またはR8とR6がそれぞれ環を形成していてもよい。
【0058】
R5~R8は、前述のとおりであって、R5とR1、R6とR2、R7とR3およびR8とR4が、それぞれ、同一ではない。したがって、コポリマーを構成している式(1)で表わされるユニットと式(2)で表わされるユニットとは、同一ではない。
【0059】
式(2)で表わされるユニットの具体例としては、ポリマーの溶解性およびらせんの巻き方向の制御に優れる点で、下記式(16)で表わされるユニットおよび(17)で表わされるユニットが好ましい。また、合成、単離および同定が容易である点で、下記式(18)で表わされるユニットが好ましい。
【0060】
式(2)で表わされるユニットにおいて、R5~R8のいずれかの基が、スルホン酸ナトリウムが置換されたアルキル基であることが、水溶性を付与することができる点で好ましい。その代表例としては、下記式(19)で表わされるユニットが挙げられる。
【0061】
式(2)で表わされるユニットにおいて、R5~R8のいずれかがアルコキシル基を有することが、両親媒性を付与することができる点で好ましい。その代表例としては、下記式(20)で表わされるユニットなどが挙げられる。
【0062】
式(2)で表わされるユニットのなかでは、含フッ素溶媒に特異的に溶解するペルフルオロ基を側鎖に有するユニットは、回収および再利用の点で好ましい。
【0063】
【化18】
JP0005433850B2_000019t.gif

【0064】
式中、Yは、酸素原子または硫黄原子を示す。R11およびR12は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましい。また、mは、1~12の整数であることが好ましい。nは、0または1~11の整数であることが好ましい。また、mとnとの和は、1~12の整数であることが好ましい。
【0065】
【化19】
JP0005433850B2_000020t.gif

【0066】
式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましい。lは、1~11の整数であることが好ましい。mは1~12の整数であることが好ましい。nは、0または1~11の整数であることが好ましい。また、mとnとの和は、2~18の整数であることが好ましい。
【0067】
【化20】
JP0005433850B2_000021t.gif

【0068】
式中、Meは、メチル基を表わす。
【0069】
【化21】
JP0005433850B2_000022t.gif

【0070】
式中、R11およびR12は、前記と同じである。
【0071】
【化22】
JP0005433850B2_000023t.gif

【0072】
式中、R11、R12およびnは、前記と同じである。
【0073】
式(2)で表わされるユニットを含むコポリマーとしては、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーが挙げられる。これらの中では、ブロックコポリマーが好ましい。
【0074】
ポリマーの末端においては、らせん構造の均一性がやや崩れている可能性がある。したがって、ホモポリマーやジブロックポリマーにおいては、そのような構造の乱れた部分で起こる反応が触媒反応の選択性を下げる可能性がある。これに対して、トリブロックコポリマーは、触媒部位がポリマーの内部側に集まっており、不斉反応場におけるらせん構造の均一性を保つことができるので好ましい。トリブロックコポリマーとしては、金属と配位結合可能な部位を有する式(1)で表わされるユニットの光学活性らせんポリマーの両末端を、式(2)で表わされるユニットを有する光学活性らせんポリマーで挟む構造を有するトリブロックコポリマーが好ましい。
【0075】
また、式(19)で表わされる親水性のユニットと式(18)で表わされる疎水性のユニットを組み合わせた構造を有するトリブロックコポリマー、例えば、前記親水性のユニットからなるブロックと前記疎水性のユニットからなるブロックと前記親水性のユニットからなるブロックとがこの順で結合したトリブックコポリマー、前記疎水性のユニットからなるブロックと前記親水性のユニットからなるブロックと前記疎水性のユニットからなるブロックとがこの順で結合したトリブックコポリマーなどは、両親媒性を付与する点で好ましい。
【0076】
式(2)で表わされるユニットを含む光学活性らせんポリマーがコポリマーである場合、金属と配位結合可能な部位を有する式(1)で表わされるユニット1モルあたりの式(2)で表わされるユニットの量は、1~40モルであることが好ましく、2~20モルがより好ましい。式(1)で表わされるユニット1モルあたりの式(2)で表わされるユニット量は、ポリマー重量あたりの配位性部分の含有率向上させ、経済性や反応効率を高める観点から、40モル以下であることが好ましく、ポリマー鎖に配位する金属が多くなりすぎるのを防止し、反応点同士の干渉により反応の立体選択性が低下することを抑制し、ポリマーの溶解度を高める観点から、1モル以上であることが好ましい。
【0077】
光学活性らせんポリマーの数平均分子量(以下、Mnという)は、3,000~3,000,000が好ましい。なお、光学活性らせんポリマーの分子量分布(以下、Mw/Mnという)は、光学収率などにさほど大きな影響はないため、任意である。
【0078】
本発明の光学活性らせんポリマーは、モノマー自体は光学活性を示さないが、らせんポリマーを形成すると光学活性を示す。
【0079】
本発明の光学活性らせんポリマーにおけるらせん構造は、非常に安定しているが、その安定性を左右する要因が3つ、すなわち、(i)式(1)で表わされるユニットの5、8位の置換基の嵩高さ、(ii)重合度(鎖長が伸びるほど安定)、および(iii)末端置換基の嵩高さがある。
【0080】
末端置換基の効果は、驚くほど大きく、両末端がメチル基である場合には、室温でラセミ化してしまう場合でも、片方の末端だけを、たとえば、1,1’-ビナフチル-2-ジイル基などの嵩高いアリール基に代えることにより、100℃程度の温度に加熱した場合であっても、まったくラセミ化しないポリマーとなる。また、ポリマーのらせん構造が安定であるほど、いったん形成された後には、らせんの巻き戻しが起こりがたくなる。
【0081】
本発明の光学活性らせんポリマーは、たとえば、重合開始剤を用いてモノマーとして下記式(21)で表わされる1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体を重合させることによって得られる。
【0082】
【化23】
JP0005433850B2_000024t.gif

【0083】
式中、R1~R4は前記と同じである。
【0084】
また、本発明の光学活性らせんポリマーをコポリマーとする場合、前記1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体に下記式(22)で表わされるモノマーを加えることにより、光学活性らせんコポリマーを調製することができる。
【0085】
【化24】
JP0005433850B2_000025t.gif

【0086】
式中、R5~R8は、前記と同じである。ただし、R5~R8は、前記R1~R4とそれぞれ同じであるが、R5とR1、R6とR2、R7とR3およびR8とR4がすべて同じ置換基となることはない。
【0087】
式(22)で表わされるモノマーのなかでは、下記式(23)で表わされるモノマーが好ましく、下記式(24)で表わされる1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体がより好ましい。
【0088】
【化25】
JP0005433850B2_000026t.gif

【0089】
式中、R11、R12、Y、mおよびnは、前記と同じである。
【0090】
【化26】
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【0091】
式中、Meはメチル基を示す。
【0092】
前記モノマーを重合させる際に用いられる重合開始剤は、芳香族化合物または芳香族複素環化合物と、ニッケルまたはパラジウム化合物とを配位子の存在下で反応させることによって得られる。
【0093】
前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物の母核は、特に限定されない。その例としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレンなどの炭化水素化合物、ピリジン、ピロール、インドール、チオフェン、フラン、ピラゾール、ピリミジン、キノリン、キノキサリンなどの複素環式化合物などが挙げられる。これらのなかでは、原料入手の容易さ、および合成の容易さの観点から、ベンゼンおよびナフタレンが好ましく、重合中間体との構造の類似性、開始剤の単離が容易であること、取り扱い易いことなどの点からキノキサリンが好ましい。
【0094】
前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物の置換基には、特に限定がない。前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物の置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基〔RSO3-(Rはアルキル基を示す)、たとえば、TsO(TsOはトシラートを示す)、TfO(TfOはトリフラ-トを示す)など〕、アシロキシ基〔RCO2-(Rはアルキル基を示す)、たとえば、AcO(Acはアセチル基を示す)、BzO(Bzはベンゾイルを示す)など〕、またはO=P(OR)2Oなどの擬ハロゲン、ハロゲン化マグネシウムなどの含金属置換基などが挙げられる。これらのなかでは、入手の容易さおよびニッケルやパラジウム化合物の調製の容易さの観点から、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が好ましい。
【0095】
前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物は、特に限定されない。前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物の例として、不斉炭素、軸不斉または面不斉を有するビナフチル誘導体、ビフェニル誘導体、フェロセン誘導体などが挙げられる。前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物の好適な例としては、キラル芳香族化合物が挙げられ、なかでも下記式(25)で表わされる化合物および下記(26)で表わされる化合物が好ましく、下記式(27)で表わされる化合物および下記(28)で表わされる化合物がより好ましい。
【0096】
【化27】
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【0097】
【化28】
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【0098】
式中、Xはハロゲン基、R*は光学活性な置換基、Acはアセチル基、Phはフェニル基、tolはトリル基、Arはアリール基、RおよびR1~R7は、それぞれ水素原子、置換を有していてもよい、直鎖または分岐アルキル基、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基、アリール基、芳香族複素環基、脂肪複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基およびカルバモイル基からなる群より選ばれた基であり、R1~R4とR5~R7とはそれぞれ異なる。
【0099】
重合開始剤として用いられるニッケルまたはパラジウム化合物は、特に限定されない。重合開始剤の例としては、Ni(cod)2(codは、1,5-シクロオクタジエンを示す。以下同じ)などのニッケル0価錯体、NiCl2、NiBr2、Ni(acac)2(acacはアセチルアセトンを示す。以下同じ)などのニッケル2価化合物、Pd(OAc)2(Acはアセチル基を示す。以下同じ)、Pd(acac)2、PdCl2、PdCl2(NCCH32、PdCl2(NCPh)2、Cp(π-allyl)Pd(Cpはシクロペンタジエニル、allylはアリル基を示す。以下同じ)、Pd(dba)2(dbaはジベンザルアセトンを示す。以下同じ)、Pd2(dba)3、Pd(PPh34などのパラジウム化合物などが挙げられる。これらのなかでは、Ni(cod)2、Cp(π-allyl)Pd、Pd(dba)2およびPd2(dba)3が好ましい。
【0100】
配位子は、ニッケルまたはパラジウムに配位可能なものであれば特に限定されない。配位子としては、たとえば、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、トリアリールホスフィン、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。これらのなかでは、トリメチルホスフィンが好ましい。
【0101】
光学活性な配位子としては、たとえば、光学活性3級ホスフィン、光学活性ジホスフィン、光学活性カルベン、光学活性3級アミン、光学活性スルフィド、脱プロトン化可能な活性水素を有する光学活性1級または2級アミン、光学活性カルボン酸、光学活性アルコール、光学活性チオールとそれらの脱プロトン化されたアニオン体などが挙げられる。
【0102】
なお、本発明においては、前記芳香族化合物、前記芳香族複素環化合物および前記配位子の少なくとも1つが光学活性であればよい。
【0103】
重合開始剤の合成は、塩基性条件下で行なってもよい。その場合、用いられる塩基としては、たとえば、ピリジン、トリアルキルアミン、イミダゾール、t-ブトキシカリウム、t-ブトキシナトリウムなどが挙げられる。
【0104】
前記モノマーである1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体の不斉重合を行なう際の溶媒としては、たとえば、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジエチルエーテル、ヘキサン、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、クロロホルムなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒のなかでは、THFが好ましい。
【0105】
前記重合開始剤は、配位子の存在下で、芳香族化合物または芳香族複素環化合物とニッケルまたはパラジウム化合物と、式(21)で表わされる1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体とを反応させることによって得られる。なお、前記芳香族化合物、芳香族複素環化合物および前記配位子のうちの少なくともいずれか一方が光学活性部位を有する。
【0106】
金属と配位結合可能な部位を有するユニットを含む光学活性らせんポリマーを合成するときに、金属と配位結合可能な部位を有するユニットを有するモノマーが嵩高く、重合が進まない場合には、配位結合可能な部位の前駆体を有するモノマーを重合させた後、高分子化反応によって配位結合可能な部位を付与することもできる。
【0107】
重合反応の終了後、反応系内に重合停止剤を加えてもよい。重合停止剤としては、たとえば、アルキルリチウム、アリールリチウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、金属亜鉛、金属アルミニウム、リチウムアルミニウムヒドリド、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。
【0108】
光学活性らせんポリマーを製造する際の反応温度は、-20~60℃であることが好ましい。反応温度は、反応速度を高め、充分な分子量のらせんポリマーを得る観点から、-20℃以上であることが好ましく、分子量分布を狭め、らせん方向過剰率を向上させる観点から、60℃以下であることが好ましい。
【0109】
前記光学活性らせんポリマーの製造方法としては、芳香族化合物または芳香族複素環化合物、ニッケルまたはパラジウム化合物および配位子を反応させた後、反応生成物である重合開始剤を精製し、その後に1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体を重合させてもよく、芳香族化合物または芳香族複素環化合物とニッケルまたはパラジウム化合物とを配位子を反応させた後に、精製しないまま1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体を重合反応させ、その後に生成物を精製してもよく、あるいは芳香族化合物または芳香族複素環化合物、ニッケルまたはパラジウム化合物、配位子および1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体を一括して混合し、重合反応を行なってもよい。
【0110】
ニッケルまたはパラジウムに結合する光学活性アリール基には、前記芳香族化合物または芳香族複素環化合物におけるハロゲン基以外のアリール部位をそのまま適用することができるが、なかでも下記式(29)で表わされる基および式(30)で表わされる基が好ましく、下記式(31)で表わされる基および式(32)で表わされる基がより好ましい。
【0111】
【化29】
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【0112】
式中、R*は光学活性な置換基、Acはアセチル基、Phはフェニル基、tolはトリル基を示す。
【0113】
なお、ニッケルまたはパラジウムに結合する光学活性基としては、前記光学活性アリール基に限られず、前記配位子のうち光学活性なものであってもよい。
【0114】
また、ニッケルまたはパラジウムには、さらにハロゲン基または擬ハロゲン基が結合していることが好ましい。ハロゲン基または擬ハロゲン基としては、前記ハロゲンまたは擬ハロゲンが挙げられる。
【0115】
前記光学活性らせんポリマーは、有機ニッケル錯体または有機パラジウム錯体を開始剤とする1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体の芳香化不斉リビング重合によって合成される。
【0116】
この不斉リビング重合は、C-M結合へのイソシアノ基の連続挿入反応によって進行する。開始剤が有する光学活性アリール基(Ar*)は、重合の進行につれて成長末端から遠ざかることとなる。それでも、らせんの制御が完全に行なわれるのは、前記らせんポリマーのらせん構造が極めて剛直なためである。らせん構造は、3量体程度の初期段階で形成されるが、この時点ではまだ左右らせんは巻き戻し可能で、Ar*の立体効果により、熱力学的に安定ならせんが形成される。重合度が増すにつれ巻き戻しが起きにくくなり、らせん構造は、すでに形成されているらせんの向きに沿って速度論的に形成される。
【0117】
光学活性らせんポリマーにおける配位結合可能な部位と配位結合する金属としては、たとえば、第4~6周期の4~16族の元素およびランタニド元素(fブロック元素)が挙げられる。これらの中では、パラジウム、ニッケル、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、銅、鉄およびコバルトが好ましい。
【0118】
前記光学活性らせんポリマーと金属を配位結合させる際の金属化合物には、Cp、cod、acac、π-allyl、(p-C3H5)、NCCH3、NCPh、dba、PPh3、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子などの配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。前記金属化合物の具体例としては、Ni(cod)2、NiCl2、NiBr2、Ni(acac)2、Cp(π-allyl)Pd(II)、[PdCl(p-allyl)]2、Pd(OAc)2、Pd(acac)2、PdCl2、PdCl2(NCCH32、PdCl2(NCPh)2、Pd(dba)2、Pd2(dba)3、Pd(PPh34、Pt(cod)2、Pt(PPh34、Pt(CH2=CH2)(PPh32、[Rh(cod)Cl]2、[Rh(nbd)Cl]2(nbdはノルボルナジエンを意味する)、RhCl(PPh33、Rh(acac)(CO)2、Rh(acac)(CH2=CH22、RuCl3、Ru(acac)3、[RuCl2(CO)32、Ru3(CO)12、RuH2(PPh34、Co(acac)2、Co2(CO)8、[Au(CN-C6H112]BF4、Cu(OTf)2、(CuOTf)2、AgOTf、[IrCl(cod)]2、Cu(CH3CN)4PF6、Fe(acac)3、FeCl3、RuCl2(cod)、RuCl2(nbd)、[RuCl2(ethylene)22などが挙げられる。これらのなかでは、Cp(π-allyl)Pd(II)が、錯体形成の効率が高い点で、好ましい。
【0119】
本発明の光学活性らせんポリマーは、キラルカラムやキラル分離膜などの光学異性体分離材料、非線形光学材料などの光学材料、キラル高分子材料、キラル高分子触媒、らせん高分子のもつ剛直性に由来した、皮膚などの生命体の力学的強度の保持成分、剛直なロッド形状およびらせん構造による物理的特性を利用した分野や製品への適用が可能である。
【0120】
本発明の光学活性らせんポリマーを用いたキラル高分子触媒は、前記光学活性らせんポリマーにおける配位結合可能な部位と金属が配位結合することによって得られる。配位結合する金属としては、前記配位結合可能な部位と配位結合する金属と同じものを用いることができる。
【0121】
本発明のキラル高分子触媒を用いた反応としては、たとえば、ヒドロシリル化反応、シリルホウ素化反応、アリル位求核置換反応などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明のキラル高分子触媒を用いた反応としては、より具体的には、式(33)、(34)および(35)に示されるように、アルケン、アレンおよび1,3-ジエンへの付加反応が挙げられる。なお、式(33)、(34)および(35)中のPoly-cat*は、本発明の光学活性らせんポリマーを用いたキラル高分子触媒であり、かっこ内のPt、PdおよびNiは、配位結合可能な部位に配位結合した金属である。
【0122】
【化30】
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【0123】
本発明の触媒を用いた不斉合成における反応温度は、反応条件にもよるが、-80~150℃が好ましく、-60~80℃がより好ましく、-40~50℃がさらに好ましく、-20~35℃が特に好ましい。反応温度は、ポリマーのラセミ化によって光学収率を高める観点から、150℃以下であることが好ましく、ポリマーを溶解させ、反応の進行が早める観点から、-80℃以上であることが好ましい。
【0124】
また、前記機能とは別の新たな機能を発現させるために、側鎖部分に他の機能性を有する置換基を導入することにより、置換基の分子構造に起因する機能性らせんポリマーを創製することができる。このようにして創製された機能性らせんポリマーを介して生命機能発現の原理の解明や、導電性、発光性、液晶性、光応答性、強誘電性などを有する機能性材料を構築することができる。そのような置換基としては、たとえば、アゾベンゼン、1,2-ジアリールエテン、ポリチオフェン、ポルフィリンなどが挙げられる。
【0125】
さらに、立体的な規則性を有する高分子から、望みの向きのらせん構造を構築し、らせん軸に沿って任意の化合物群からなる置換基、有機化合物、無機化合物、フラーレン、酵素などを自由自在に配列した機能性らせんポリマーの創製を期待することもできる。
【0126】
さらに、単一のらせんポリマーのみならず、らせんポリマーの集合体によって、精密な配列制御が可能になれば、「分子認識能」、「触媒作用」、「情報機能(自己複製や自己増殖)」などを発現するキラル識別材料、センサー、膜、液晶材料への利用など新規なキラル材料としての応用が期待される。
【0127】
したがって、本発明によれば、既存の高分子の性能をしのぐ革新的な機能性材料の創製につながるだけでなく、医療や医薬品開発などで重要なキラルテクノロジーの分野の進歩にも大いに貢献することが期待される。
【実施例】
【0128】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0129】
実施例1(光学活性らせんポリマーの製造)
1.重合
【0130】
【化31】
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【0131】
【化32】
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【0132】
乾燥したシュレンク反応管に重合開始剤(a)102mg(100μmol)と10当量のモノマー(b)301mg(1.0mmol)を入れ、反応容器を窒素置換した後、氷浴につけTHF50mlを加えて撹拌した。そのまま放置し、反応温度を室温までゆっくりと上昇させた。13時間後、モノマーが完全に消費されたことを分析GPCにより確認した後、グローブボックス内で溶媒量を約半分にまで濃縮し、1当量のリン側鎖含有モノマー(c)42mg(99μmol)をTHF2.5mlに溶解した溶液を加えた。5時間後にモノマー(c)が完全に消費されたことを確認し、モノマー(b)300mg(1.0mmol)を加えた。17時間後にモノマー(b)が完全に消費されたことを確認し、NaBH438mg(1.0mmol)を加え、そのまま攪拌を続けた。1時間後に水を加え、CHCl3で抽出した。有機相を水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過後、エバポレーターで溶媒を留去し、真空乾燥することにより、キノキサリンコポリマー(d)を得た。分取GPCでポリマー部分を分離精製した。得られたポリマーの収量は679.1mg、収率は98%であった。
【0133】
1H-NMR (CDCl3) δ 0.89 (br s 6nH), 1.59 (br s 4nH), 2.34 (br s 6nH), 3.46 (br s 6nH), 4.58 (br s), 6.4-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ 29.53 (br s)
【0134】
2.ホスフィンオキシドの還元
【0135】
【化33】
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【0136】
乾燥したヤングコックつき反応管にポリマー(d)を入れ、チッ素置換した後、THF7.5mlおよびトルエン7.5mlを加え、P(OEt)3343μl(2.00mmol)とトリクロロシラン1ml(10mmol)を加え、密閉した後、80℃に加熱した。24時間後にオイルバスから出し室温まで放冷した後、CHCl3を加えて薄め、5NのNaOH水溶液に氷を入れたものに注いだ。CHCl3で3回抽出した後、有機相を飽和NaHCO3水溶液で洗った。得られた茶色の懸濁液をNo.500のセライトで濾過した。濾液をさらに水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。No.500のセライトで濾過し、エバポレーターで溶媒を留去した後、真空乾燥した。GPCによりポリマー(e)を得た。得られたポリマーの収量は409.3mg、収率は59%であった。Mnは3500、Mw/Mnは1.63であった。
【0137】
1H-NMR (CDCl3) δ 0.89 (br s 6nH), 1.58 (br s 4nH), 2.33 (br s 6nH), 3.45 (br s 6nH), 4.57 (br s), 6.3-8.2 (br m) ; 31P-NMR (CDCl3) δ -15.39 (br s)
【0138】
実施例2(キラル高分子触媒の製造)
1.触媒の調製
【0139】
【化34】
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【0140】
グローブボックス内でヤングコックつき反応管に5.4×10-2Mの[PdCl(π-allyl)]2溶液18.5μl(1.0μmol)とポリマー(e)28.3mg(ホスフィン含量4μmol)を入れ、真空下溶媒を留去した。
【0141】
2.スチレンの不斉ヒドロシリル化-酸化による光学活性1-フェニルエタノールの合成
【0142】
【化35】
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【0143】
2-1.1-トリクロロシリル-1-フェニルエタンの合成
前記操作によって調製した触媒に対し、窒素雰囲気下でスチレン210mg(2.0mmol)を加えた。氷浴にてよく冷却した後、トリクロロシラン0.3ml(3mmol)を加えた。氷浴中で14時間撹拌し、GCによりスチレンの消費が確認された後、ダイアフラムポンプで過剰量のトリクロロシランを除去し、クーゲル蒸留することで無色透明の1-トリクロロシリル-1-フェニルエタンを得た。収量は457.2mgであり、収率は95%であった。
【0144】
2-2.酸化による光学活性1-フェニルエタノールの合成
200mlナスフラスコにKF639.6mg(11.9mmol)、KHCO31.6561g(16.5mmol)およびMeOH20mlを入れ、THF20mlに溶解した1-トリクロロシリル-1-フェニルエタン452.5mg(1.9mmol)を加えた。この混合物に30重量%過酸化水素水1.3mlを加え、室温で15時間撹拌した。氷浴にて飽和Na2S2O3水溶液を加え、1時間撹拌した後、エーテルで3回抽出し、有機相をMgSO4で乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去し、クーゲル蒸留で精製することにより、1-フェニルエタノールを得た。この生成物の光学純度は69%eeであった。なお、光学純度はキラルカラムクロマトグラフィー(DAICEL OD-H ヘキサン:イソプロピルアルコール=9:1)により決定した。
【0145】
実施例2(種々の置換スチレンの不斉ヒドロシリル化)
【0146】
【化36】
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【0147】
窒素雰囲気下、ヤングコックつき反応管に5.4×10-2Mの[PdCl(π-allyl)]2溶液18.5μl(1.0μmol)とポリマー(e)28.3mg(ホスフィン含量4μmol)を入れ、真空下溶媒を留去した。このように調製した触媒に対し、窒素雰囲気下で表1に示したスチレン誘導体2.0mmolを加えた。氷浴にてよく冷却した後、トリクロロシラン0.3ml(3mmol)を加えた。氷浴中で表1に記載した時間撹拌し、GC(ガスクロマトグラフィー)によりスチレンの消費が確認された後、過剰量のトリクロロシランを減圧除去し、減圧蒸留することにより、表1に記載のヒドロシリル化生成物を得た。
【0148】
得られた不斉ヒドロシリル化置換スチレンの収率、光学純度および酸化収率(%)を表1に併記する。
【0149】
【表1】
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【0150】
実施例3(アレンのシリルホウ素化)
【0151】
【化37】
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【0152】
窒素雰囲気下、バイアルにポリマー(e)22.4mgを入れ、1-シクロヘキシル-1,2-プロパジエン29.7mg(0.24mmol)および2-(ジメチルフェニルシリル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン52.4mg(0.20mmol)を加えた後、Cp(π-allyl)Pdのトルエン溶液171μl(1.2×10-2M、2.0μmol)を加えた。室温で36時間撹拌した後、蒸留により3-シクロヘキシル-3-(ジメチルフェニルシリル)-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-プロペン76.4mgを得た。この生成物の光学純度は、キラルカラムクロマトグラフィー(DAICEL OD-H ヘキサン100%)による分析により、46%eeと決定された。
【0153】
実施例4(ノルボルネンのヒドロシリル化)
【化38】
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【0154】
窒素雰囲気下、ヤングコック付き反応管に[PdCl(π-allyl)]2のトルエン溶液50.3μl(9.9×10-3M、0.5μmol)およびポリマー(e)18.9mgを入れ、真空下で溶媒を留去した。このようにして調製した触媒に対し、グローブボックス内でノルボルネン94.7mg(1.0mmol)を加えた後、氷浴に浸してよく冷却してからトリクロロシラン0.15ml(1.5mmol)を加えた。0℃で64時間撹拌した後、過剰量のトリクロロシランを減圧除去した。減圧蒸留により、2-トリクロロシリル[2.2.1]ヘプタンを得た。収量は199.0mg、収率は86%であった。
【0155】
生成物の光学純度を決定するために、以下の変換反応を行った。ナスフラスコにKF288.8mg(5.0mmol)およびKHCO3739.0mg(7.4mmol)を入れ、2-トリクロロシリル[2.2.1]ヘプタン188.7mg(0.82mmol)をMeOH(メタノール)THF(1:1)溶液8mlに溶かして加えた。ここに30重量%過酸化水素水1.1mlを加え、室温で90時間撹拌した。氷浴に浸してから飽和Na2S2O3水溶液を加えて30分間撹拌した後、エーテルで4回抽出し、有機相をMgSO4で乾燥させた。エバポレーターで溶媒を留去し、クーゲル蒸留することでエキソ-ノルボルネオールを得た。
【0156】
さらに、得られたエキソ-ノルボルネオール9.0mg(80μmol)をバイアル中に入れ、グローブボックス内で3,5-ジニトロフェニルイソシアネート25.2mg(0.12mmol)、トルエン0.9mlおよびピリジン0.45mlを加えて60℃に加熱した。2時間撹拌した後、セライト(No.535)で濾過し、エバポレーターで溶媒を留去した。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)によって3,5-ジニトロフェニルカルバミン酸エキソ-2-ビシクロ[2.2.1]ヘプチルを得た。
【0157】
得られた3,5-ジニトロフェニルカルバミン酸エキソ-2-ビシクロ[2.2.1]ヘプチルの生成物の光学純度は38%eeであった。光学純度の決定には、キラルカラムクロマトグラフィー(Sumichiral OA-4500 ヘキサン:1,2-ジクロロエタン:エタノール=50:10:1)を用いた。
【0158】
実施例5(アリルエステルの不斉アルキル化反応)
【化39】
JP0005433850B2_000041t.gif

【0159】
窒素雰囲気下、バイアルにポリマー(e)45.1mg(ホスフィン含量4.8μmol)および[PdCl(π-allyl)]2の塩化メチレン溶液100μl(2.0×10-2M、2.0μmol)をとり、塩化メチレン1.1mlを加えて室温で1時間撹拌した。この溶液を(±)-(E)-1,3-ジフェニル-2-プロペニル酢酸エステル50.5mg(0.20mmol)をとった別のバイアルに移して5分間撹拌した後、マロン酸ジメチル83.1μl(0.60mmol)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド146.8μl(0.60mmol)および酢酸カリウム1mg(0.01mmol)を加えた。室温で45時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応液を振とうした。クロロホルムで抽出し、有機相をMgSO4で乾燥させた。セライト(No.500)で濾過した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製することにより、(E)-(1,3-ジフェニルアリル)マロン酸ジメチルをマロン酸ジメチルとの混合物として収率98%で得た。
【0160】
この生成物の光学純度は0.8%eeであった。なお、この光学純度はキラルカラムクロマトグラフィー(DAICEL OB-H ヘキサン:イソプロピルアルコール=98:2)により決定した。
【0161】
実施例6(シクロペンタジエンのヒドロシリル化)
【化40】
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【0162】
窒素雰囲気下、ヤングコック付き反応管にポリマー(e)18.8mg(ホスフィン含量2μmol)および[PdCl(π-allyl)]2のトルエン溶液50.3μl(9.9×10-3M、0.5μmol)を入れ、真空下溶媒を留去した。このようにして調製した触媒に対し、グローブボックス内でシクロペンタジエン63.7mg(0.96mmol)を加えた後、トリクロロシラン1.2ml(1.2mmol)を加えた。室温で39時間撹拌した後、過剰量のトリクロロシランを減圧除去し、蒸留により、3-トリクロロシリルシクロペンテンを得た。収量は104.2mg、収率は54%であった。
【0163】
窒素雰囲気下、ベンズアルデヒド42.0mg(0.40mmol)をとり、先に得た3-トリクロロシリルシクロペンテン95.9mg(0.48mmol)をDMF2mlに溶解して加えた。氷冷下で2時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液を加えてクエンチした。エーテルで抽出し、水および飽和食塩水で洗浄してから有機相をNa2SO4で乾燥させた。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)によりα-2-シクロペンテン-1-イルベンゼンメタノールを得た。この生成物の光学純度は0.8%eeであった。
【0164】
実施例7(アレンのジボリル化)
【化41】
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【0165】
窒素雰囲気下、バイアルにPd(dba)25.8mg(10μmol)を入れ、ポリマー(e)84.7mg(ホスフィン含量12μmol)をトルエン0.5mlに溶かして加えた後、室温で1時間撹拌した。ここにシクロヘキシル-1,2-プロパジエンおよび4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ-1,3,2-ジオキサボロランを順次トルエン(全量1ml)に溶解させて加えた。室温で12時間撹拌した後、エバポレーターで溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)によって精製し、2-(1-シクロヘキシル-1-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-プロペン-2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを得た。収量は42.1mg、収率は61%であった。
【0166】
得られた生成物42.1mg(0.11mmol)をシュレンク管に入れ、ベンズアルデヒド12.4mg(0.12mmol)をトルエン0.3mlに溶解させたものを窒素雰囲気下で加えた。室温で24時間撹拌した後、テトラヒドロフランと3N NaOH水溶液をそれぞれ0.3mlずつ加え、氷浴に浸して冷却してから30重量%過酸化水素水0.3mlを滴下した。室温で5時間撹拌後、飽和Na2S2O3水溶液と1N NaOH水溶液をそれぞれ0.3mlずつ加え、さらに30分間撹拌した。酢酸エチル3mlで2回抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥させた。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、1-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-4-フェニル-2-ブタノンを得た。この生成物の光学純度は8%eeであった。光学純度の決定にはキラルカラムクロマトグラフィー(DAICEL OD-H ヘキサン:イソプロピルアルコール=95:5)を用いた。
【0167】
実施例8(様々な重合度を有するブロックポリマーの合成)
乾燥したシュレンク反応管に重合開始剤(a)102mg(0.1mmol)とモノマー(b)301mg(1.0 mmol)から903mg(3.0mmol)を入れ、反応容器を窒素置換した後、氷浴につけTHFを加えて撹拌した。
【0168】
加えるTHFの量は、モノマー(b)が0.2mol/Lとなるように調整した。そのまま放置し、反応温度を室温までゆっくりと上昇させた。13時間後、モノマーが完全に消費されたことを分析GPCにより確認した。その後、溶媒量を約半分にまで減圧濃縮し、リン側鎖含有モノマー(c)42mg(0.1mmol、リン部位を含むモノマーユニットを1つ含むブロックポリマー合成)または84mg(0.2mmol、リン部位を含むモノマーユニットを2つ含むブロックポリマー合成)をTHF2.5mlに溶解した溶液を加えた。
【0169】
5時間後にモノマー(c)が完全に消費されたことを確認し、モノマー(b)301mg(1.0 mmol)から903mg(3.0mmol)を加えた。17時間後にモノマー(b)が完全に消費されたことを確認し、NaBH438mg(1.0mmol)を加え、そのまま攪拌を続けた。1時間後に水を加え、CHCl3で抽出した。有機相を水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥した。
【0170】
ろ過後、エバポレーターで溶媒を留去し、真空乾燥することにより、キノキサリンコポリマー(d)を得た。分取GPCでポリマー部分を分離精製した。得られたキノキサリンコポリマー(d)は、前記「2.ホスフィンオキシドの還元」と同様の方法で還元し、ポリマー(e)とした。
【0171】
下記モノマー(f)および(g)を上記モノマー(c)の代わりに用い、リン含有部位がポリマー(e) とは異なるブロックポリマーQ10TP1Q10、Q10TP2Q10およびQ10FP1Q10を合成した。なお、略号中のTPは、モノマー(f)由来のモノマーユニットを、FPは、(g)由来のモノマーユニットを示す。
【0172】
【化42】
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【0173】
実施例9(非配位部位と配位部位の繰り返し構造を有するブロックポリマーの合成)
乾燥したヤングコックつき反応管に重合開始剤(a)20.5mg(20μmol)とTHF5mlを入れ、グローブボックスから出した。
【0174】
氷浴に浸した後、THF2mlに溶かした10当量のモノマー(b)60.1mg(0.2mmol)を加えた。そのまま放置し、反応温度を室温までゆっくりと上昇させた。モノマー(b)が完全に消費されたことをTLCにより確認し、室温で1当量の含リンモノマー(c)をTHF2mlに溶かして加えた。室温で撹拌し、分析GPCで含リンモノマーが完全に消費されたことを確認した後、減圧下で反応溶液を約5mlになるまで濃縮した。
【0175】
氷浴に浸した後、THF2mlに溶かした10当量のモノマー(b)60.1mg(0.2mmol)を加えた。上記と同様にモノマー(b)とモノマー(c)を加える操作をさらに2回繰り返した後、過剰量(40当量)のNaBH4を加えた。室温で1時間撹拌した後、水を加え、CHCl3で抽出した。有機相を飽飽和食塩水と水で1回ずつ洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過後、エバポレーターで溶媒を留去し、真空乾燥することでキノキサリンポリマーを得た。分取GPCでポリマー部分を分離精製した。得られたキノキサリンコポリマーは、前記「2.ホスフィンオキシドの還元」と同様の方法で還元した。
【0176】
実施例10(ランダムポリマー合成)
乾燥したヤングコックつき反応管に重合開始剤(a)10.4mg(10.2μmol)とTHF3mlを入れ、THF3mlに溶かした10当量のモノマー(b)30.2mg(101μmol)を加えた。グローブボックスから出して室温で撹拌した。
【0177】
26時間後にモノマーが完全に消費されたことをTLCにより確認した後、氷浴に浸して5当量の含リンモノマー(c)24.5mg(50μmol)と95当量のモノマー(b)286mg(0.95mmol)をTHF10mlに溶かして加えた。0℃で83時間撹拌した後、TLCによりモノマーが完全に消費されたことを確認し、NaBH438.2mg(1.0mmol)を加えた。
【0178】
室温で1時間撹拌した後、水を加えCHCl3で抽出した。有機相を飽飽和食塩水と水で1回ずつ洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過後、エバポレーターで溶媒を留去し、真空乾燥することでキノキサリンポリマーを得た。分取GPCでポリマー部分を分離精製した。
【0179】
得られたキノキサリンコポリマーは、前記「2.ホスフィンオキシドの還元」と同様の方法で還元した。
【0180】
実施例8~10の結果を以下にまとめる。
【0181】
【化43】
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【0182】
Q10mP1Q10
収率85%. Mn = 3447, Mw/Mn = 1.27. 1H-NMR (CDCl3) δ0.89 (br s 6nH), 1.59 (br s 4nH), 2.33 (br s 6nH), 3.46 (br s 6nH), 4.57 (br s), 6.4-8.1 (br m) ; 31P-NMR (CDCl3) δ29.29 (br s)
【0183】
Q10mP1Q10
収率74%. Mn = 3783, Mw/Mn = 1.21. 1H-NMR (CDCl3) δ0.94 (br s 6nH), 1.64 (br s 4nH), 2.39 (br s 6nH), 3.51 (br s 6nH), 4.62 (br s), 6.4-8.2 (br m) ; 31P-NMR (CDCl3) δ-15.77 (br s)
【0184】
Q30mPO1Q10
収率87%. Mn = 9874, Mw/Mn =1.46. 1H-NMR (CDCl3) δ0.94 (br s 6nH), 1.63 (br s 4nH), 2.38 (br s 6nH), 3.49 (br s 6nH), 4.61 (br s), 6.2-8.3 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ29.34 (br s)
【0185】
Q30mP1Q10
収率60%. Mn = 6660, Mw/Mn = 1.79. 1H-NMR (CDCl3) δ0.92 (br s 6nH), 1.62 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.49 (br s 6nH), 4.62 (br s), 6.4-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-14.78 (br s)
【0186】
Q10mPO1Q30
収率69%. Mn = 8879, Mw/Mn = 1.51. 1H-NMR (CDCl3) δ0.92 (br s 6nH), 1.61 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.62 (br s), 6.2-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ29.24 (br s)
【0187】
Q10mP1Q30
収率52%. Mn= 8774,Mw/Mn=1.58. 1H-NMR (CDCl3) δ0.92(br s 6nH), 1.61 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.4-8.1 (br m); 31P-NMR (CDCl3) δ-15.58 (br s)
【0188】
Q10mPO0.9Q10
収率79%. Mn = 3487, Mw/Mn=1.44.1H-NMR (CDCl3) δ0.91 (br s 6nH), 1.61 (br s 4nH), 2.36 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.3-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ29.77 (br s), 28.90 (br s)
【0189】
Q10mP0.9Q10
収率58%. Mn = 3901, Mw/Mn = 1.54. 1H-NMR (CDCl3) δ0.89 (br s 6nH), 1.60 (br s 4nH), 2.35 (br s 6nH), 3.46 (br s 6nH), 4.59 (br s), 6.4-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-15.23 (br s)
【0190】
Q10mPO0.5Q10
収率83%. Mn = 3456, Mw/Mn = 1.54. 1H-NMR (CDCl3) δ0.93 (br s 6nH), 1.63 (br s 4nH), 2.38 (br s 6nH), 3.50 (br s 6nH), 4.62 (br s), 6.4-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ29.72 (br s)
【0191】
Q10mP0.5Q10
収率64%. Mn = 4899, Mw/Mn = 1.31. 1H-NMR (CDCl3) δ0.91 (br s 6nH), 1.61 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.4-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-15.17 (br s)
【0192】
Q10mPO2Q10
収率86%. Mn = 3852, Mw/Mn = 1.31. 1H-NMR (CDCl3) δ0.92 (br s 6nH), 1.62 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.49 (br s 6nH), 4.62 (br s), 6.3-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ29.76 (br s)
【0193】
Q10mP2Q10
収率60%. Mn = 4986, Mw/Mn = 1.34. 1H-NMR (CDCl3) δ0.90 (br s 6nH), 1.60 (br s 4nH), 2.36 (br s 6nH), 3.47 (br s 6nH), 4.59 (br s), 6.3-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-15.53 (br s)
【0194】
Q10(mPO1Q10)3 ブロック
収率76%. Mn = 9012, Mw/Mn = 1.52. 1H-NMR (CDCl3) δ0.93 (br s 6nH), 1.62 (br s 4nH), 2.38 (br s 6nH), 3.49 (br s 6nH), 4.61 (br s), 6.2-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ29.75 (br s)
【0195】
Q10(mP1Q10)3 ブロック
収率57%. Mn = 8191, Mw/Mn = 1.66. 1H-NMR (CDCl3) δ0.93 (br s 6nH), 1.62 (br s 4nH), 2.38 (br s 6nH), 3.49 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.4-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-15.17(br s)
【0196】
Q10[mPO5Q95] ランダム
収率79%. Mn = 24449, Mw/Mn = 1.76. 1H-NMR (CDCl3) δ0.92 (br s 6nH), 1.62 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.61 (br s), 6.1-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ28.74(br s)
【0197】
Q10[mP5Q95] ランダム
収率46%. Mn = 12556, Mw/Mn = 2.91. 1H-NMR (CDCl3) δ0.91 (br s 6nH), 1.61 (br s 4nH), 2.36 (br s 6nH), 3.47 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.3-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-15.16(br s)
【0198】
Q10TPO1Q10
収率83%. Mn = 3448, Mw/Mn =1.53. 1H-NMR (CDCl3) δ0.91 (br s 6nH), 1.62 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.49 (br s 6nH), 4.61 (br s), 6.3-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ28-30 (br m)
【0199】
Q10TP1Q10(602)
収率51%. Mn = 3798, Mw/Mn = 1.41.1H-NMR (CDCl3) δ0.90 (br s 6nH), 1.61 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.3-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ16.2 ~ 14.4 (br m)
【0200】
Q10TPO2Q10
収率76%. Mn = 3391, Mw/Mn =2.44. 1H-NMR (CDCl3) δ0.91 (br s 6nH), 1.60 (br s 4nH), 2.37 (br s 6nH), 3.48 (br s 6nH), 4.60 (br s), 6.3-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ27-30 (br m)
【0201】
Q10TP2Q10
収率39%. Mn = 3897, Mw/Mn = 1.55. 1H-NMR (CDCl3) δ0.89 (br s 6nH), 1.59 (br s 4nH), 2.34 (br s 6nH), 3.46 (br s 6nH), 4.59 (br s), 6.0-8.2 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ16.0 ~14.4(br m)
【0202】
Q10FPO1Q10
収率89%. Mn = 3455, Mw/Mn = 2.22. 1H-NMR (CDCl3) δ0.95 (br s 6nH), 1.65(br s 4nH), 2.40 (br s 6nH), 3.51 (br s 6nH), 4.63 (br s), 6.3-8.4 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ22.17 (br s), 24.42 (br s)
【0203】
Q10FP1Q10
収率41%. Mn = 3962, Mw/Mn = 1.44. 1H-NMR (CDCl3) δ0.89 (br s 6nH), 1.60 (br s 4nH), 2.36 (br s 6nH), 3.47 (br s 6nH), 4.59 (br s), 6.5-8.1 (br m) ;31P-NMR (CDCl3) δ-14.11 (br s)
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明の光学活性らせんポリマーは、欠陥のないらせん構造を有し、らせんの巻き方向(右巻き、左巻き)が完全に制御され、側鎖修飾、分子量制御および共重合体合成などを容易に行なうことができるとともに、側鎖に金属と配位結合可能な部位を有する基を有するので、種々の光学的機能を付与することができる。
【0205】
また、本発明は、すべての配位子部位が一様な不斉反応場を有すること、アキラルなモノマーの不斉重合による合成により、触媒量の光学活性源から多数の不斉反応場が生み出されること、および各々の不斉反応場でエナンチオ選択性が高く、かつターンオーバー数の大きい触媒反応を行なうことができる。
【0206】
さらに、本発明のキラル高分子触媒を用いることにより、反応終了後の触媒の分離・回収が格段に容易になるという高分子触媒の特色に加え、不斉重合によって形成されるらせん不斉をキラル反応場として利用するため、光学活性体の合成を容易かつ確実に行なうことができる。