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Specification :(In Japanese)α-イミノ酸類の不斉アリル化反応方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4714730
Date of registration Apr 1, 2011
Date of issue Jun 29, 2011
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)α-イミノ酸類の不斉アリル化反応方法
IPC (International Patent Classification) C07C 269/06        (2006.01)
C07C 271/22        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI (File Index) C07C 269/06
C07C 271/22
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
Number of claims or invention 5
Total pages 12
Application Number P2007-500666
Date of filing Jan 31, 2006
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/jissue/112455885において、Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,1615-1617(2006年1月30日)として発表
International application number PCT/JP2006/301920
International publication number WO2006/080576
Date of international publication Aug 3, 2006
Application number of the priority 2005024587
Priority date Jan 31, 2005
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Nov 6, 2007
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】小林 修
Representative (In Japanese)【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
Examiner (In Japanese)【審査官】安田 周史
Document or reference (In Japanese)特開2003-260363(JP,A)
特開2004-099443(JP,A)
J. Org. Chem.,1999年,64(13),p.4844-4849
J. Am. Chem. Soc.,2002年,124(1),p.67-77
Field of search C07C 269/06
C07C 271/22
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
キラル銅触媒の存在下に、イミノ基の窒素原子にオキシカルボニル基が結合したα-イミノ酸類にアリルシラン化合物を反応させて光学活性なアリルグリシン類縁体を合成することを特徴とするα-イミノ酸類の不斉アリル化反応方法。
【請求項2】
キラル銅触媒は、有機酸または無機酸の塩もしくはこの塩の錯体または複合体である銅化合物とキラルジアミン配位子とにより構成されていることを特徴とする請求項1の不斉アリル化反応方法。
【請求項3】
キラルジアミン配位子は、エチレンジアミン分子構造をその一部に有することを特徴とする請求項2の不斉アリル化反応方法。
【請求項4】
次式(1)
【化1】
JP0004714730B2_000011t.gif
(式中のR1は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R2は、-OR,-SRまたは-NRaRbであって、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を、RaおよびRbは、各々、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるα-イミノ酸類に、次式(2)
【化2】
JP0004714730B2_000012t.gif
(式中のR3,R4,R5およびR6は、各々、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す)
で表わされるアリルシラン化合物を反応させて、次式(3A)(3B)
【化3】
JP0004714730B2_000013t.gif
(式中のR1,R2,R3,R4,R5およびR6は前記のものを示す)
のいずれかで表わされる光学活性なアリルグリシン類縁体を合成することを特徴とする請求項1から3のいずれかの不斉アリル化反応方法。
【請求項5】
請求項4の不斉アリル化反応方法において、式(1)(3A)(3B)中のR1は、ベンジル基、トリフルオロメチル基、第3ブチル基およびp-メトキシベンジル基からなる群より選択される置換基であることを特徴とする不斉アリル化反応方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、農薬、香料、触媒等の原料もしくは合成中間体等として有用な光学活性アリルグリシン類縁体のエナンチオ選択的なアリル化反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学活性α-アミノ酸は天然物合成や医薬品などのファンケミカル等の原料あるいは合成中間体として貴重な位置を占めている。そして、特に天然からは入手が困難な光学活性α-アミノ酸類に関しては、これまでにも様々な合成法が検討されてきている。このような光学活性な非天然α-アミノ酸の合成法として古くから、そして現在でも多用されているのは、天然に豊富に存在する光学活性化合物からの誘導化、酵素による光学分割、光学活性な酸性化合物との塩に誘導後に再結晶法を用いる光学分割などによる方法であるが、これらは入手できるアミノ酸の構造に制約が多い場合や、必要な立体とは異なる立体の化合物が同量副生するなどの問題があった。近年、不斉合成反応の進歩にともない、高い不斉収率で光学活性α-アミノ酸を得る手法も報告されている(非特許文献1、2)。それらの中でも触媒的不斉合成方法は、金属触媒や不斉配位子が少量ですむことからコスト的に有利であり、近年の大きな課題となっている産業廃棄物の削減の観点からも期待され活発に研究されている。
【0003】
また、非天然α-アミノ酸の一種であるアリルグリシンは、アリル基の2重結合の化学変換により様々な誘導体化が可能な有用な合成中間体であることから、その不斉合成方法は古くから検討されてきた。特に、α-イミノエステルやN,O-アセタールの不斉アリル化反応は光学活性アリルグリシン類縁体の合成法として近年とくに注目されている(非特許文献2~4)。
【0004】
しかしながら、上記のように、これまで多くの光学活性なα-アミノ酸やその一種としてのアリルグリシン類縁体の触媒的不斉合成方法が提案されてきたが、これまでに実用化されたものは少ない。その理由としては、収率や立体選択性が不十分であることや、触媒が高価(貴金属触媒を使用)であり、触媒の回転(再利用化率)が低い(触媒量の低減化が困難)こと、反応条件が過酷(反応温度が-78℃など)、基質の一般性が低いなど様々な問題点がある。さらに、イミノエステルの不斉アリル化反応によるアリルグリシン合成の場合には、生成したアリルグリシン誘導体のα-アミノ基上の置換基の除去が一般に困難であるという問題があった。すなわち、原料イミノエステルの窒素原子の置換基としてトシル基やアシル基が用いられることが多く、これらの除去条件が過酷なためアミノ基が無保護のアリルグリシンに変換する際の障害になっていた。
【0005】
一方、本発明者らは、これまでに多くの不斉反応触媒及び不斉反応方法を開発してきた。それらの中でもルイス酸金属とキラルなジアミン配位子から調整される不斉触媒は、アルデヒドやイミンへの不斉求核付加反応を効果的に触媒し、高収率・高立体選択的に光学活性な化合物の合成を可能にした(特許文献1)(非特許文献5~9).

【非特許文献1】Bloch.R.,Chem.Rev.98巻、1407頁、1998年
【非特許文献2】Ferraris,D.;Dudding,T.;Young,B;Druty III,W.J.;Lectka,T.、J.Org.Chem.64巻、2168頁、1999年
【非特許文献3】Ferraris,D.;Young,B;Cox,C.;Dudding,T.;Druty III,W.J.;Ryzhkov.L.;Taggi,A.E.;Lecktka.、T.J.Am.Chem.Soc.124巻、67頁、2002年
【非特許文献4】Fang,X.;Johannsen,M.;Yao,S.;Gathergood,N.;Hazell,R.G.;Jorgensen,K.A.、J.Org.Chem.64巻、4844頁、1999年
【非特許文献5】Kobayashi,S.;Matsubara,R.;Nakamura,Y.;Kitagawa,H.;Sugiura,M.、J.Am.Chem.Soc.125巻、2507頁、2003年
【非特許文献6】Hamada,T.;Manabe,K.;Kobayashi,S.、Angew.Chem.,Int.Ed,42巻、3927頁、2003年
【非特許文献7】Nakamura,Y.;Matsubara,R.;Kiyohara,H.;Kobayashi,S,;、Org.Lett.5巻、2481頁、2003年
【非特許文献8】Matsubara,R.;Nakamura,Y.;Kobayashi,S.;、Angew.Chem.,Int.Ed.43巻、1679頁、2004年
【非特許文献9】Matsubara,R.;Paulo,V.;Nakamura,Y.;Kiyohara,H.;Kobayashi,S.、Tetrahedron 60巻、9769頁、2004年
【特許文献1】特開2003-260363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記のとおりの背景から、本発明者らの上記のとおりのこれまでの不斉反応触媒、不斉反応方法についての開発実績とそこでの知見をも踏まえて、安価な原料を用い、温和な反応条件下で、高い反応収率と立体選択性が得られる、実用的な、光学活性アリルグリシン類縁体の合成方法としての触媒的不斉アリル化反応方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものとして以下のことを特徴としている。
【0008】
第1:キラル銅触媒の存在下に、イミノ基の窒素原子にオキシカルボニル基が結合したα-イミノ酸類にアリルシラン化合物を反応させて光学活性なアリルグリシン類縁体を合成するα-イミノ酸類の不斉アリル化反応方法。
【0009】
第2:キラル銅触媒は、有機酸または無機酸の塩もしくはこの塩の錯体または複合体である銅化合物とキラルジアミン配位子とにより構成されている不斉アリル化反応方法。
【0010】
第3:キラルジアミン配位子は、エチレンジアミン分子構造をその一部に有するアリル化反応方法。
【0011】
第4:次式(1)
【化4】
JP0004714730B2_000002t.gif
(式中のR1は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R2は、-OR,-SRまたは-NRaRbであって、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を、RaおよびRbは、各々、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるα-イミノ酸類に、次式(2)
【0012】
【化5】
JP0004714730B2_000003t.gif
(式中のR3,R4,R5およびR6は、各々、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す)
で表わされるアリルシラン化合物を反応させて、次式(3A)(3B)
【0013】
【化6】
JP0004714730B2_000004t.gif
(式中のR1,R2,R3,R4,R5およびR6は前記のものを示す)
のいずれかで表わされる光学活性なアリルグリシン類縁体を合成する不斉アリル化反応方法。
【0014】
第5:上記の不斉アリル化反応方法において、式(1)(3A)(3B)中のR1は、ベンジル基、トリフルオロメチル基、第3ブチル基およびp-メトキシベンジル基からなる群より選択される置換基である不斉アリル化反応方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
本発明の要件として特徴的なことは、以下のことにある。
<A>キラル銅触媒を反応に用いる。
【0016】
<B>イミノ基の窒素原子にオキシカルボニル基が結合したα-イミノ酸類を反応基質として用いる。
<C>アリルシラン化合物を反応させる。
まず、キラル銅触媒<A>については、銅原子をその構成に欠かせないものとして、かつキラルな有機分子の構造を付加している各種のものが考慮される。一般的には、銅化合物とキラル有機化合物とにより構成されるものとするが、より実際的に、反応収率やエナンチオ選択性の観点からは、銅化合物とキラルジアミン配位子化合物とにより構成されたものとすることが好適に考慮される。
【0017】
銅化合物としては、1価または2価の銅の化合物として塩、錯塩、有機金属化合物等の各種のものから選択されてよいが、なかでも、有機酸または無機酸との塩、もしくはこの塩との錯体や有機複合体が好適なものとして挙げられる。なかでも、強酸との塩、たとえば、(パー)フルオロアルキルスルホン酸や過塩素酸、硫酸等の塩、それらの錯体や有機複合体が好ましいものとして例示される。たとえばCu(OTf)2、CuClO4、CuClO4・4CH3CN、Cu(BF42・XH2O等であなかでもCu(OTf)2が好適である。
【0018】
一方のキラルジアミン配位子化合物としては、分子構造中にエチレンジアミン構造をその一部として有するものが好適に用いられる。この場合のアミノ基はイミン結合を有していてもよい。たとえば代表的なものとして、次式の各種のものが例示される。
【0019】
【化7】
JP0004714730B2_000005t.gif
ここで、式中のRは、置換を有していてもよい炭化水素基を示し、この炭化水素基は、鎖状、環状のうちの各種のものでよく、置換基としても、ハロゲン原子をはじめ、アルキル基等の炭化水素基やアルコキシ基等を有していてもよい。また、上記式中のPh(フェニル基)においても置換基を有していてもよい。
【0020】
この出願の発明における以上のようなキラル触媒については、あらかじめ銅化合物とキラル有機分子とから錯体を調製して触媒として用いてもよいし、あるいは反応系において銅化合物とキラル有機分子とを混合して使用するようにしてもよい。触媒としての使用割合については、銅化合物もしくは銅化合物とキラル有機分子との錯体として、α-イミノ酸類に対し、通常、0.5~30モル%程度の割合とすることが考慮される。
【0021】
本発明の特徴的な反応基質としてのイミノ基の窒素原子にオキシカルボニル基が結合したα-イミノ酸<B>については、その種類は各種であってよく、たとえば一般的には前記の式(1)で表われるものが示される。この式(1)において符号R1は置換基を有していてもよい炭化水素基である。たとえば、鎖状または脂環状の炭化水素基、芳香族の炭化水素基、そしてこれらの組合わせとしての各種の炭化水素基であってよい。置換基としても、求核付加反応を阻害しない限り、アルキル基等の炭化水素基やアルコキシ基、スルフィド基、シアノ基、ニトロ基、エステル基等の各種のものを適宜に有していてもよい。
【0022】
R1の具体例としては、ベンジル基、フェニル基、エチル基、第3ブチル基、Me(メチル)基、p-メトキシベンジル基、CF3基などが挙げられる。たとえばR1がベンジル基の場合には、水素化分解やHBr/酢酸を用いることでα-アミノ基からベンジルオキシカルボニル基を除去することができる。第3ブチルやp-メトキシベンジルの場合には、TFAなどの酸により第3ブトキシカルボニル基或いはp-メトキシベンジルオキシカルボニル基を除去することができる。符号R2は、前記のとおりの-OR,-SR,-NRaRbのいずれかであり、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を、RaおよびRbは、各々、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。このうち、R,Ra,Rbにおける置換基を有していてもよい炭化水素については、鎖状または脂環状の炭化水素基、芳香族の炭化水素基、そしてこれらの組合わせとしての各種の炭化水素基であってよい。置換基としても、本発明の反応を阻害しない限り、アルキル基等の炭化水素基やアルコキシ基、スルフィド基、シアノ基、ニトロ基、エステル基等の各種のものを適宜に有していてもよい。
【0023】
以上のようなα-イミノ酸類を用いることで不斉アリル化反応が実現されるとともに、不斉アリル化反応による生成物である光学活性なアリルグリシン類縁体において、アミノ基の窒素原子に結合するこのオキシカルボニル基を簡便に脱離させることが可能になる。
【0024】
アリルシラン化合物<C>も各種であってよく、たとえば前記の式(2)で示されるものである。この式(2)におけるR3,R4,R5およびR6は水素原子または上記のR1と同様の置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、Xは、ハロゲン原子、アルキル基、もしくはアルコキシ基であって、なかでもアルキル基、特に炭素数1~6程度の低級アルキル基が好適なものとして考慮される。
【0025】
本発明のα-イミノ酸類の不斉アリル化反応によって、たとえば前記式(3A)(3B)のいずれかで表わされる光学活性なアリルグリシン類縁体の合成が可能とされるが、この場合の不斉アリル化反応には、適宜な有機溶媒、たとえばハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エーテル類等を用いてもよく、反応温度は、-40℃~40℃程度の範囲が適宜に採用される。雰囲気は大気中もしくは不活性雰囲気とすることができる。反応基質のα-イミノ酸類とアリルシラン化合物との使用割合については、モル比として0.5~4.0程度の範囲で適宜とすることができる。
【0026】
また反応に際しては、後処理としてTFA等による酸処理を施すことが有効でもある。
これによって、シラン基が付加した副生物からシラン基をより効果的に脱離させることができる。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0027】
<実施例1>
1)N-(ベンジルオキシカルボニル)イミノエステルの合成
まず、次式
【化8】
JP0004714730B2_000006t.gif
の化合物を、Williams,R.M.;Aldous,D.J.;Aldous,S.C.J.Org.Chem.1990,55,4657.に従って合成した。
次いで、次の反応式
【0028】
【化9】
JP0004714730B2_000007t.gif
に従って、アルゴン雰囲気下、上記化合物(0.4mmol)の塩化メチレン(4.0mL)溶液にpiperidinomethyl polystyrene(3.50mmol/g,216mg,0.80mmol)を加えた。この混合液を室温にて10分間攪拌後、攪拌をとめ、数分停止させたところ、高分子が塩化メチレン層の上部に集積した。塩化メチレン層の下部から、ガスタイトシリンジを用いて、透明なN-(ベンジルオキシカルボニル)イミノエステルの塩化メチレン溶液(2.0mL)を吸い取り、そのまま次の反応へ用いた。
【0029】
2)光学活性N-(ベンジルオキシカルボニル)アリルグリシンエチルエステルの合成 次の反応式に従って、不斉アリル化反応を行った。
【化10】
JP0004714730B2_000008t.gif
すなわち、アルゴン下で、ナスフラスコに、二価の銅トリフラート(7.2mg,0.02mmol)、文献記載の方法(非特許文献5)により合成したキラルジアミン(10.8mg,0.022mmol)を量りとり、続いて要時蒸留したテトラドフラン(2.0mL)を加え、数秒間、激しく攪拌した(銅トリフラートが完全に溶解し、溶液は黄緑色になった)。攪拌を停止し、モレキュラーシブス3A(20.0mg)を加えた。攪拌を再開し、懸濁液を0℃に冷却した。マイクロシリンジでアリルトリメチルシラン(0.62mmol)を加え、続いてテトラヒドロフラン(1.0mL)を加えた。次に、前記1)において調製したイミノエステルの塩化メチレン溶液(0.1M、2.0mL,0.2mmol)を4時間かけて添加した。
【0030】
15分間攪拌した後に、飽和重曹水(8.0mL)を加え激しく攪拌した。塩化メチレンで3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
【0031】
ろ過後、溶媒を留去し、得られた残さに塩化メチレン(2.0mL)を加え、溶液を0℃に冷却した。激しく攪拌しながら、ゆっくりとトリフルオロ酢酸(1.0mL)を加えた。
【0032】
2時間後に、飽和重曹水(8.0mL)を加え激しく攪拌した。塩化メチレンで3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的物(67%収率,88%ee)を得た。
<実施例2-4>
実施例1の反応2)において、イミノエステルの添加時間(Y)、そしてキラル銅触媒の使用量を変更して同様の不斉アリル化反応を行い、光学活性なN-(ベンジルオキシカルボニル)アリルグリシンエチルエステルを合成した。その結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
JP0004714730B2_000009t.gif
<実施例5-8>
実施例2と同様の条件下で、前記の式で表わされる種々のイミノエステル(1)とアリル化剤(2)を用いて不斉アリル化反応を実施し、光学活性なアリルグリシン誘導体((3A)または(3B))を得た。その結果を表2に示した。
【表2】
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a)tert-ブトキシカルボニル基 b)トリメチルシリルエトキシカルボニル基
[発明の効果]
【0034】
本発明によれば、医薬品、農薬、香料、触媒等の原料または合成中間体として有用なアリルグリシン類縁体の、安価な金属原料を用い、高い触媒回転を有し、反応条件が温和である触媒的不斉合成を可能にする。そしてまた、本発明によれば、生成物であるN-アルコキシカルボニルアリルグリシンエステルのアルコキシ基としてベンジル基、トリフルオロメチル基、第3ブチル基、p-メトキシベンジル基などを用いることにより、それらは通常のアミノ保護基として温和な条件下でラセミ化等の副反応を伴うことなく除去される。