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明細書 :高密度磁気固定メモリの書き込み方法及び高密度磁気固定メモリ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3312174号 (P3312174)
公開番号 特開2001-093273 (P2001-093273A)
登録日 平成14年5月31日(2002.5.31)
発行日 平成14年8月5日(2002.8.5)
公開日 平成13年4月6日(2001.4.6)
発明の名称または考案の名称 高密度磁気固定メモリの書き込み方法及び高密度磁気固定メモリ
国際特許分類 G11C 11/14      
G11C 11/15      
FI G11C 11/14 A
G11C 11/15
請求項の数または発明の数 6
全頁数 4
出願番号 特願平11-269885 (P1999-269885)
出願日 平成11年9月24日(1999.9.24)
審査請求日 平成11年9月24日(1999.9.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012394
【氏名又は名称】東北大学長
発明者または考案者 【氏名】島田 寛
【氏名】ノボサッド バレンティン
【氏名】大谷 義近
【氏名】深道 和明
【氏名】北上 修
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
審査官 【審査官】須原 宏光
参考文献・文献 特開2001-28466(JP,A)
特開2001-84756(JP,A)
調査した分野 G11C 11/14 - 11/51
H01L 27/10
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に電歪効果を有する強誘電体材料からなる格子状の下地層を形成するとともに、この格子状の下地層の交差部上に磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜をそれぞれ形成し、前記格子状の下地層の所定の行及び列に電圧を印加することにより、前記所定の行及び列の交差部上に形成された前記磁性薄膜の磁化を反転させて、書き込みを行うことを特徴とする、高密度磁気固定メモリの書き込み方法。

【請求項2】
前記下地層は、10—4以上の電歪定数を有する強誘電体材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の高密度磁気固定メモリの書き込み方法。

【請求項3】
前記下地層は、チタン酸鉛、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、及びジルコン酸鉛-チタン酸鉛固溶体から選ばれる少なくとも1種の強誘電体材料からなることを特徴とする、請求項2に記載の高密度磁気固定メモリの書き込み方法。

【請求項4】
前記磁性薄膜は、10—5以上の磁歪定数を有する磁性材料からなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一に記載の高密度磁気固定メモリの書き込み方法。

【請求項5】
前記磁性薄膜はアモルファス薄膜であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一に記載の高密度磁気固定メモリの書き込み方法。

【請求項6】
基板と、電歪効果を有する強誘電体材料からなる下地層と、磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜とを具え、前記下地層は前記基板上において格子状に形成されてなり、前記磁性薄膜は格子状に形成された前記下地層の交差部にそれぞれ形成されたことを特徴とする、高密度磁気固定メモリ。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度磁気固定メモリの書き込み方法及び高密度磁気固定メモリに関し、さらに詳しくは、大容量かつ過酷な条件下、例えば、宇宙空間での使用に耐え得るような高集積素子として好適に使用することが可能な、高密度磁気固定メモリの書き込み方法及び高密度磁気固定メモリに関する。

【0002】
【従来の技術】従来、半導体RAMの高密度化が高速に進められている一方で、磁性薄膜の磁化状態をメモリとするRAM(磁気固定メモリ:MRAM)は、古くから提案されながら半導体技術の発展に追いつかない状態であった。しかしながら、最近は磁性薄膜の技術が向上するとともに、磁気固定メモリが本来持っている安定性(耐放射線、耐熱擾乱など)が注目されるに至って、主に米国を中心として磁気固定メモリの開発が進められようになってきた。

【0003】
図1は、従来の磁気固定メモリにおける書き込み方法の一例を説明するための模式図である。従来の磁気固定メモリは、例えば、図1に示すように格子状に縦列の外部配線Lx1~Lx5及び横列の外部配線Ly1~Ly5が配置されてなる電極を具えている。そして、外部配線Lx1~Lx5並びにLy1~Ly5がそれぞれ交差する部分において、磁性薄膜a1~e5が形成されたような構成を採っている。

【0004】
そして、例えば、磁性薄膜c3の磁化を反転させて磁気固定メモリに書き込みを行うに際しては、外部配線Lx3とLy3とに外部から所定のパルス電流を印加し、これによって発生する高い磁場を利用して行う。そして、かかる書き込み情報を読み出すにあたっては、磁性薄膜c3の近傍に設置させた磁気センサーによって磁性薄膜c3の磁化方向を検出することによって行っている。

【0005】
このような磁気固定メモリは、原理的に半導体RAMよりも高速の書き込みが可能である。さらに、磁性薄膜を始め、使用材料の大部分が金属材料であるために微細加工が容易であるという利点もある。また、磁化状態を担う電子の密度が半導体キャリアに比べて数桁高いために、将来の高密度化には極めて高い可能性を秘めている。

【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在試作が進んでいる磁気固定メモリは、上述したように外部配線にパルス電流を印加し、高い磁場を発生させることによって行っている。このため、外部配線の抵抗熱が大きくなってしまい、磁気固定メモリを構成する素子自体の温度が極めて高くなってしまう。したがって、外部配線の密度を増加させて、磁気固定メモリの記録密度を向上させようとすると、前記抵抗熱が大きくなって配線の破損、並びに磁化状態の不安定化という問題を生じさせる場合がある。その結果、記録密度の向上にはある程度の限界があった。また、パルス電流によって発生する磁場、いわゆるパルス磁場の局所化は極めて困難であり、かかる観点からも磁気固定メモリの固定化の記録密度の向上を困難ならしめている。

【0007】
本発明は、上記のような問題を生じさせることのない、新規な磁気固定メモリの書き込み方法及び磁気固定メモリを提供することを目的とする。

【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決すべく、基板上に電歪効果を有する強誘電体材料からなる格子状の下地層を形成するとともに、この格子状の下地層の交差部上に磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜をそれぞれ形成し、前記格子状の下地層の所定の行及び列に電圧を印加することにより、前記所定の行及び列の交差部上に形成された前記磁性薄膜の磁化を反転させて、書き込みを行うことを特徴とする、高密度磁気固定メモリの書き込み方法に関する。

【0009】
また、本発明は、基板と、電歪効果を有する強誘電体材料からなる下地層と、磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜とを具え、前記下地層は前記基板上において格子状に形成されてなり、前記磁性薄膜は格子状に形成された前記下地層の交差部にそれぞれ形成されたことを特徴とする、高密度磁気固定メモリに関する。

【0010】
本発明者らは、新規な磁気固定メモリの書き込み方法、並びにこれを実現するための新規な磁気固定メモリを開発すべく鋭意検討を続けた。その結果、基板上に電歪効果を有する強誘電体材料からなる下地層を格子状に設置し、この格子状の下地層の各行及び各列が交差する部分に磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜を形成することにより、前記格子状の下地層が従来の磁気固定メモリにおける外部配線の作用を果たすことを見出した。以下、本発明の磁気固定メモリの書き込み方法を模式図によって説明する。

【0011】
図2は、本発明の高密度磁気固定メモリの書き込み方法を説明するための模式図である。図2示す磁気固定メモリは、図示しない基板上に電歪効果を有する強誘電体材料からなる格子状の下地層Pを有している。そして、下地層Pの各列X1~X5及び各行Y1~Y5が交差する部分において、磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜A1~E5が形成されている。

【0012】
そして、例えば、磁性薄膜C3の磁化を反転させて書き込みを行う場合は、下地層Pの列X3と行Y3とに所定の電圧を印加する。すると、列X3と行Y3とが交差する部分において、下地層Pを構成する強誘電体材料の電歪効果に起因した比較的大きな歪が生じる。すると、この歪はかかる箇所に形成された磁性薄膜C3に伝達され、磁性薄膜C3自体も歪む。

【0013】
磁気固定メモリを構成する磁性薄膜は磁歪効果を有する磁性材料によって構成されているため、磁性薄膜C3の歪は磁気的な歪エネルギーに変換される。そして、この歪エネルギーに基づく磁気弾性効果によって磁性薄膜C3の磁化が反転するものである。なお、上記において列X3と行Y3とが交差する部分以外においては、電歪効果による歪は十分大きくないために、上記のような磁性薄膜の磁化の反転は生じない。

【0014】
本発明の高密度磁気固定メモリの書き込み方法及び高密度磁気固定メモリは、上記のように電歪効果を有する強誘電体材料からなる下地層の電歪効果、並びに磁歪効果を有する磁性材料からなる磁性薄膜の磁歪効果を利用して書き込みを行うものである。この下地層には所定の電圧が印加されるが、下地層は絶縁性の強誘電体材料からなるため、実際に電流が流れることはない。したがって、従来のように外部配線を用いることに起因した抵抗熱の発生を防止することができるので、下地層の格子間隔を小さくして磁気固定メモリの高密度化を図った場合においても、従来のような配線の破損並びに磁化状態の不安定化という問題を生じることがない。このため、極めて簡易に高密度の磁気固定メモリを得ることができる。

【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。本発明の高密度磁気固定メモリの書き込み方法及び高密度磁気固定メモリにおいては、前記下地層が電歪効果を有する強誘電体材料からなることが必要である。電歪効果を有し、上記「課題を解決するための手段」において述べたようにして磁気固定メモリに書き込みを行うことができれば、その種類については特に限定されない。

【0016】
しかしながら、前記下地層は、10—4以上の電歪定数を有する強誘電体材料から形成されていることが好ましく、さらには10—3以上の電歪定数を有していることが好ましい。これによって、下地層の厚さや下地層の格子間隔、並びに下地層上に形成された磁歪効果を有する磁性薄膜の厚さや材料の種類によらず、下地層の有する電歪効果によって磁性薄膜内の磁化を容易に反転させることができる。

【0017】
このような強誘電体材料としては、チタン酸鉛、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、及びジルコン酸鉛-チタン酸鉛固溶体(PZT)を挙げることができる。そして、これら材料の少なくとも1種から前記下地層を構成することが好ましい。

【0018】
また、本発明の磁性薄膜についても、磁歪効果を有し、上記「課題を解決するための手段」で述べたように、下地層からの歪を感受して磁性的な歪エネルギーに変換し、これによる磁化弾性効果によって磁化反転できるものであれば、その具体的な構成については、特に限定されるものではない。

【0019】
しかしながら、前記磁性薄膜は10-5以上、さらには10-4以上の磁歪定数を有するように形成することが好ましい。これによって、磁性薄膜自体の厚さ、並びに下地層を構成する強誘電体材料の種類、さらには下地層の格子間隔などに依存することなく、容易に磁化反転を行うことができる。

【0020】
また、上記磁性薄膜は、ニッケル、鉄コバルト、鉄ニッケル、コバルトパラジウム、鉄アルミニウムなどの遷移金属合金、遷移金属と周期律表第IIIA族、IVA族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、及び第VIB族の金属元素とからなる合金、及び希土類-遷移金属合金から選ばれる少なくとも1種の磁性材料から構成することが好ましい。そして、これらの磁性材料がアモルファスに結合してなる、いわゆるアモルファス薄膜であることが好ましい。これによって、前述したように磁性薄膜自体の厚さや下地層を構成する強誘電体材料などによらず容易に磁化反転ができるとともに、磁歪定数の値を任意に調節することができ、上記10—5以上の磁歪定数を有する磁性薄膜を簡易に得ることができる。

【0021】
また、前記基板は、熱酸化シリコンや、ガラスなど公知一般の材料から構成することができる。さらに、強誘電体材料からなる下地層の結晶性を良好にするという観点から、基板と下地層との間にチタンなどからなるバッファ層を設けることもできる。

【0022】
なお、磁気固定メモリの書き込まれた情報の読み取りは、例えば、非磁性膜を介して交換結合した磁性膜よりなる人工格子膜を磁化検出センサーとして用いる。そして、前記人工格子膜上に読み出し用の配線を形成し、前記人工格子膜で検出した磁化の大きさを電気信号として読み出す。

【0023】
前記下地層を格子状に形成するには、基板上に前記強誘電体材料からなる薄膜を均一に形成した後、この薄膜上にポジ型フォトレジストを格子状に形成し、前記薄膜を露光現像することによって行う。そして、格子状の下地層の各行及び各列が交差する部分に磁性薄膜を形成する場合においても、前記同様に前記格子状の下地層上に上記磁性材料からなる均一な磁性薄膜を形成した後、フォトレジストを用いた露光現像処理によって行う。

【0024】
【実施例】基板として、表面酸化シリコン基板を用い、この基板上に上記のような露光現像処理を行うことによって、縦横の格子間隔が1μmのPZTからなる格子状の下地層を厚さ250nmに形成した。そして、この下地層の各行及び各列の交差部においてニッケルからなる磁性薄膜を上記のような露光現像処理によって、厚さ20nmに形成した。その後、この下地層の格子間隔に一致するようにしてFeNi/Co/Cu/Coからなる人工格子膜を形成した後、この人工格子膜上に読み出し用の配線を形成した。そして、下地層の各行及び各列に、それぞれ5~6Vの電圧を印加したところ、各交差部における磁性薄膜の磁化の反転が観察された。すなわち、本発明によって磁気固定メモリへの書き込みが実際に可能であることを確認した。

【0025】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。

【0026】
【発明の効果】本発明によれば、磁気固定メモリへの書き込みに際し、従来のように外部配線を用いる必要がない。したがって、この外部配線に流す電流によって発生する抵抗熱を防止することができ、従来のように抵抗熱に起因した高密度記録の達成が阻害されない。このため、磁気固定メモリに対して極めて高い密度での記録を簡易に行うことができる。
図面
【図1】
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【図2】
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