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明細書 :X線撮像分析方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3049313号 (P3049313)
公開番号 特開2000-055842 (P2000-055842A)
登録日 平成12年3月31日(2000.3.31)
発行日 平成12年6月5日(2000.6.5)
公開日 平成12年2月25日(2000.2.25)
発明の名称または考案の名称 X線撮像分析方法および装置
国際特許分類 G01N 23/223     
G01T  7/00      
FI G01N 23/223
G01T 7/00
請求項の数または発明の数 12
全頁数 6
出願番号 特願平10-229180 (P1998-229180)
出願日 平成10年8月13日(1998.8.13)
審査請求日 平成10年8月14日(1998.8.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390002901
【氏名又は名称】科学技術庁金属材料技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】桜井 健次
【氏名】江場 宏美
審査官 【審査官】居島 一仁
参考文献・文献 特開 平3-282243(JP,A)
特開 平1-282452(JP,A)
特開 平7-49316(JP,A)
特開 平8-285798(JP,A)
特開 平6-27056(JP,A)
特開 平7-280753(JP,A)
実開 平3-76200(JP,U)
実開 平6-65809(JP,U)
調査した分野 G01N 23/00 - 23/227
G01T 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
物質の元素から放出される蛍光X線を検出器により撮像し、元素の位置的な分布を得るX線撮像分析方法であって、蛍光X線の角度発散を、前記の物質と検出器との間においた角度発散制限手段を用いて制限し、且つ前記の検出器および角度発散制限手段を物質にできる限り近接させることを特徴とするX線撮像分析方法。

【請求項2】
X線を全反射臨界角近傍の浅い角度で物質表面に入射させた場合に物質の元素から放出される蛍光X線を撮像する請求項1のX線撮像分析方法。

【請求項3】
粒子線を浅い角度で物質表面に入射させた場合に物質の元素から放出される蛍光X線を撮像する請求項1のX線撮像分析方法。

【請求項4】
ラジオアイソトープを物質表面に吸着もしくはラベルさせた場合に該ラジオアイソトープから放出される蛍光X線を撮像し、ラジオアイソトープの位置的な分布を得る請求項1のX線撮像分析方法。

【請求項5】
角度発散制限手段として微細管集合体を用いる請求項1ないし4のいずれかのX線撮像分析方法。

【請求項6】
検出器として一次元検出器または二次元検出器を用いる請求項1ないし5のいずれかのX線撮像分析方法。

【請求項7】
物質の元素から放出される蛍光X線を検出器により撮像し、元素の位置的な分布を得るX線撮像分析装置あって、前記の物質と検出器との間に角度発散制限手段が備えられることにより蛍光X線の角度発散が制限され、且つ前記の検出器および角度発散制限手段が物質にできる限り近接して配置されていることを特徴とするX線撮像分析装置。

【請求項8】
X線が全反射臨界角近傍の浅い角度で物質表面に入射された場合に物質から放出される蛍光X線を撮像する請求項7のX線撮像分析装置。

【請求項9】
粒子線が浅い角度で物質表面に入射された場合に物質から放出される蛍光X線を撮像する請求項7のX線撮像分析装置。

【請求項10】
ラジオアイソトープが物質表面に吸着もしくはラベルされた場合に該ラジオアイソトープから放出される蛍光X線を撮像し、ラジオアイソトープの位置的な分布を得る請求項7のX線撮像分析装置。

【請求項11】
角度発散制限手段として微細管集合体が備えられている請求項7ないし10のいずれかのX線撮像分析装置。

【請求項12】
検出器として一次元検出器または二次元検出器が備えられている請求項7ないし11のいずれかのX線撮像分析装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、X線撮像分析方法および装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、物質の表面や薄膜の界面などに存在するさまざまな元素の位置的分布を高精度、且つ短時間で撮像することのできる、新しいX線撮像分析方法および装置に関するものである。

【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、X線を用いて物質表面の分析を行なう方法としては、たとえば全反射蛍光X線分析法が知られている。この全反射蛍光X線分析法は、X線の物質への侵入を極度に抑制し、その物質の表面近傍に存在する元素からの蛍光X線を半導体検出器により測定して、物質表面の分析を行なう方法である。高感度な表面分析法として知られ、半導体ウェハの汚染評価に用いられているほか、各種工業材料や環境、生物試料など、様々な対象に適用されている。

【0003】
しかしながら、このような全反射蛍光X線分析法では、X線を1~10mradの浅い角度で物質に入射させるため、物質上の照射面積、特にX線光軸方向については、照射面積が広くなってしまうといった問題があった。すなわち、たとえば、入射X線を物質の直前において40μm幅のスリットにより制限して、2mradで入射させたとき、物質表面上では20mm幅にも広がってしまう。通常、全反射実験で扱われる試料の大きさは10~30mm程度であり、この場合では、少なくとも光軸方向については物質表面上の広い面積にX線が照射されるため、その蛍光X線の測定結果は物質表面の平均情報を与えるだけとなる。もとより蛍光X線は全方向に放射される発散光であるため、このように照射面積が広いと、物質表面の元素の位置的な分布を分析することが困難であった。

【0004】
そこで、蛍光X線の検出により物質表面上の元素の位置的な分布を得るためには、試料上の限られた場所だけを照射し、試料を走査することが考えられている。上述の全反射蛍光X線分析法では、入射させる角度が非常に浅いため、このような走査型の撮像を行なうことができないが、類似の表面分析法が従来から用いられてきている。

【0005】
この表面分析法は、相反定理による光路の可逆性に着目して、垂直入射で微小領域を照射して斜出射の配置で物質表面からの蛍光X線を検出する方法である。しかしながら、この方法では、X線ビームに対して試料を走査することにより元素のイメージを得ることは可能であるものの、走査に半日~1日と非常に多大な時間を要し、その割にはあまり解像度も画素数も稼ぐことができず、また、全反射条件での別の重要な情報である鏡面反射率などを、同時に測定することができないといった問題点があった。

【0006】
この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、物質の表面や薄膜に存在するさまざまな元素の位置的な分布を高精度、且つ短時間で撮像し、分析することのできる、新しいX線撮像分析方法および装置を提供することを目的としている。

【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、物質の元素から放出される蛍光X線を検出器により撮像し、元素の位置的な分布を得るX線撮像分析方法であって、蛍光X線の角度発散を、物質と検出器との間においた角度発散制限手段を用いて制限し、且つ検出器および角度発散制限手段を物質にできる限り近接させることを特徴とするX線撮像分析方法(請求項1)を提供し、その方法において、X線を全反射臨界角近傍の浅い角度で物質表面に入射させた場合に物質の元素から放出される蛍光X線を撮像すること(請求項2)や粒子線を浅い角度で物質表面に入射させた場合に物質の元素から放出される蛍光X線を撮像すること(請求項3)や、ラジオアイソトープを物質表面に吸着もしくはラベルさせた場合に該ラジオアイソトープから放出される蛍光X線を撮像し、当該ラジオアイソトープの位置的な分布を得ること(請求項4)や、角度発散制限手段として微細管集合体を用いること(請求項5)や、検出器として一次元検出器または二次元検出器を用いること(請求項6)などもその態様として提供する。

【0008】
また、この出願の発明は、物質の元素から放出される蛍光X線を検出器により撮像し、元素の位置的な分布を得るX線撮像分析装置であって、物質と検出器との間に角度発散制限手段が備えられることにより蛍光X線の角度発散が制限され、且つ検出器および角度発散制限手段が物質にできる限り近接して配されていることを特徴とするX線撮像分析装置(請求項7)をも提供し、X線が全反射臨界角近傍の浅い角度で物質表面に入射された場合に物質から放出される蛍光X線を撮像する(請求項8)や、粒子線が浅い角度で物質表面に入射された場合に物質から放出される蛍光X線を撮像すること(請求項9)や、ラジオアイソトープが物質表面に吸着もしくはラベルされた場合に該ラジオアイソトープから放出される蛍光X線を撮像し、当該ラジオアイソトープの位置的な分布を得ること(請求項10)や、角度発散制限手段として微細管集合体が備えられていること(請求項11)や、検出器として一次元検出器または二次元検出器が備えられている(請求項12)などをその態様としている。

【0009】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記の通り、物質の元素から放出される蛍光X線を検出器により撮像し、元素の位置的な分布を得るものであって、蛍光X線の角度発散を、物質と検出器との間においた角度発散制限手段を用いることにより制限し、且つ検出器および角度発散制限手段を物質にできる限り近接させることを特徴としたものである。

【0010】
撮像対象である蛍光X線は、たとえば、X線を浅い角度で、典型的には全反射臨界角近傍の角度で物質表面に入射させた場合、または電子線やイオンビームなどの粒子線をX線の全反射の場合と同じ程度の浅い角度で物質表面に入射させた場合において、物質の表面近傍から発生する。さらに、物質表面にラジオアイソトープが吸着または意図的にラベルされた場合においても、そのラジオアイソトープから自発的に蛍光X線が放出される。

【0011】
そして、この蛍光X線を、角度発散制限手段によってその角度発散を制限し、物質にできる限り近接させた検出器により撮像することによって、上述した従来の技術よりも短い時間で、且つ精度良く、元素の位置的な分布を得ることができる。ここで、物質にできる限り近接させた状態とは、X線もしくは粒子線を物質表面に照射する場合においては入射ビームと反射ビームの光路を妨げない範囲で可能な限り近い状態を意味し、また、ラジオアイソトープが吸着またはラベルされている場合には物質に接触しない範囲で可能な限り近く検出器および角度発散制限手段が位置した状態を意味する。

【0012】
したがって、このような状態となれば、高精度かつ短時間で元素の位置的分布が得られるというこの発明の効果を実現させることができるので、物質との間隔を表す具体的数値自体が限定されるものではない。物質表面から検出器内部の検出素子までの間隔数値の一例としては、たとえば、実験室レベルの出力を有するX線源もしくは粒子線源の場合において約0.5~5.0mm程度とすることができる。後述する実施例では、約5mmの間隔を持って物質試料、微細管集合体およびCCDカメラが配置された場合を例示している。

【0013】
ところで、このようにできる限り接近させた検出器と物質との間の位置に配置される角度発散制限手段としては、微細管集合体を用いることができる。この微細管集合体は、たとえば図5に例示したような構造を有するもの、すなわち、ガラス板に精密に規則正しく穴あけ加工が施されてなるもの、あるいは微細なガラスパイプが規則正しく配列され一体化されてなるガラス板とすることができ、この場合では穴(またはガラスパイプ)の内径とガラス板の厚さとの比によって、蛍光X線の角度発散が制限されることとなる。このような微細管集合体は、一般にキャピラリプレート(またはコリメータ板)と呼ばれている。

【0014】
また、このキャピラリプレートと同様な構造を有し、微細管集合体として利用することができるものに、電極構造が作り付けられたマイクロチャンネルプレートと呼ばれるものもある。なお、これらのプレートにおけるキャピラリまたはチャンネルの内壁をコーティングしたり、または非球面の形状をなすように加工したりすることにより、集光または像の拡大を行なうなどの改良が施されたものも、この発明の効果が得られる限り、微細管集合体として用いることができることは言うまでもない。もちろん、プレート自体の外形穴の形状も円形や矩形等のように様々なものとすることができる。

【0015】
このように、蛍光X線の角度発散を制限するという機能を有しているものであれば、様々な公知の手段またはその機能を有するように新たに作製された手段を角度発散手段として用いることができる。一方、検出器としては、水平方向の位置や高さなどのような一方向のみの情報を与える一次元検出器、たとえばダイオードアレイ、MOSイメージセンサ、位置敏感型ガス比例計管などを用いることができる。または、XY座標で表現される位置の情報を与える二次元検出器、たとえば電荷結合型素子(=CCD)カメラなども用いることができる。なお、二次元検出器は、得られた情報を積分することにより一次元検出器としても使用することができることは言うまでもない。撮像の解像度は、検出器自身の分解能とともに、蛍光X線の角度発散および物質から検出素子までの距離により支配されるが、本発明では、後二者を可能な限り小さくすることにより高い解像度を得ている。

【0016】
このようなこの発明のX線撮像分析方法および装置は、以下のような発想に基づいてなされたものである。全反射条件では入射X線は物質内部にほとんど侵入しないため、放出される蛍光X線は、表面近傍の元素からのものに限定され、したがって、通常の固体分析における蛍光X線強度と比べて強い強度のものであるとは考えられず、また、角度発散制御手段を通すとさらに減衰が著しいと考えられることから、全反射条件におけるこの出願の発明のような試みはなされていなかった。

【0017】
しかしながら、幾何学的な因子を非常に重要視し、たとえば物質、角度発散制限手段、および検出器(たとえばCCDカメラの場合ではそのBe窓および内部素子)それぞれの間の距離を可能な限り短縮することにより、物質上の任意の位置から全方向に発散する蛍光X線の角度発散を抑制することができ、試料位置と検出器との位置に1:1の対応がつくとともに、十分な強度を確保することができ、よって、物質表面の元素の位置的な分布を得ることができるようになる。

【0018】
さらに、全反射条件では、X線の光路が物質表面とほとんど平行であるという特殊性に着眼し、物質に対向する空間的なスペースを利用して、そのような密着配置が実現可能であるとしたことから、本発明がなされることとなった。このような発想に基づいてなされたこの発明により、たとえば数10ミクロンの分解能で100万画素のイメージを数分程度で得られることができ、特に、波長可変な単色X線が得られる放射光を利用すれば、入射X線のエネルギーを元素の吸収端前後で変化させるなどの操作により、簡便に元素識別を行なうことができる。

【0019】
すなわち、前述したような従来の垂直入射、斜出射の走査型表面分析法に比べ、分解能、画素数および測定時間、または鏡面反射率等との同時測定の便利さのいずれの点でも優れており、物質表面近傍に存在する元素の位置的な分布の分析を非常に高精度、且つ短時間で実現することができる。もちろん、X線励起による蛍光X線の場合だけでなく、粒子線励起による蛍光X線やラジオアイソトープによる自発的に放射された蛍光X線の撮像にも、上述した原理を用いることができる。

【0020】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。

【0021】
【実施例】(実施例1)
図1は、この出願の発明のX線撮像分析装置の一実施例を示した概略図である。たとえばこの図1に例示したX線撮像分析装置では、角度発散制御手段として、直径6μmおよび厚さ約1mmのガラス管を集合させて全体で約10mmの小口径の円盤状にした微細管集合体であるコリメータ板(1)が、試料(3)から約5mmの距離の直上に設置されているとともに、そのコリメータ板(1)の背後において、コリメータ板(1)と可能な限り近い位置に、1画素約12μ角、100万画素の電荷結合型素子(CCD)カメラ(2)が設置されている。

【0022】
本実施例における試料(3)としては、シリコンウェハ上に、銅イオンおよび亜鉛イオンの水溶液(濃度1000ppm、約5μl)を、図2に例示したように滴下、乾燥させたものを用いている。図中の長方形枠内(白線)において、左側に銅イオン水溶液、右側に亜鉛イオン水溶液が存在している。また、X線源(4)としてはシンクロトロン放射光源が備えられ、単色放射光X線を用いる。

【0023】
そして、シンクロトロン放射光源からの単色放射光X線が、スリット(5)および2結晶モノクロメータ(6)を通ったのち、100μm幅のスリット(7)により水平方向の光路幅が制限され、入射強度検出器(8)を通って、臨界角以下の微小角で試料(3)に入射され、試料(3)の表面において全反射されるようになっており、試料(3)の表面近傍から発生する蛍光X線は、試料(3)に近接配置されたコリメータ板(1)により角度発散が制限されて(つまり平行化されて)、CCDカメラ(2)により撮像される。

【0024】
このとき、コリメータ板(1)は、上述したように、直径6μmおよび厚さ1mmのガラス管が集合されて成るものであるため、6/1000という蛍光X線の角度発散制限が行なわれることになる。このようなX線撮像分析装置により、9.8keVの単色X線おおび9.0keVの単色X線を用いた場合それぞれにおいて、試料(3)からの蛍光X線を撮像した。撮像時間は5分である。

【0025】
図3および図4は、各々、9.8keVおよび9.0keV単色X線の場合の蛍光X線撮像結果を例示した図面に代わる写真である。9.8keV単色X線では、銅および亜鉛の両方の蛍光X線が発生するが、9.0keV単色X線では、銅の蛍光X線のみが発生するので、図3および図4を比較することにより、銅と亜鉛それぞれの像を得ることができる。両図において二つの強いスポットの左側が銅、右側が亜鉛の液滴痕であることがわかる。すなわち、図2の像とよく対応した結果を得ることができている。

【0026】
液滴の大きさからここでの空間分解能は約30ミクロン程度であると判断できる。また、より量の少ない銅イオン水溶液をシリコンウェハ上に滴下、乾燥させた場合にも、同様にして銅の蛍光X線を精度良く撮像することができた。このように、試料(3)の表面近傍の異種金属を区別してイメージングを行なうことができた。

【0027】
(実施例2)
上述の実施例1ではX線源(4)としてシンクロトロン放射光源が用いられて放射光X線を入射させているが、本実施例2では、通常の実験室系のX線源を用いて、蛍光X線の撮像を行なう。図1に例示したX線撮像分析装置におけるX線源(4)として、銅回転対陰極X線源(40kV-80mA、6度方向の焦点サイズ=30μm×3mm)が備えられており、チャンネルカットモノクロメータにより銅回転対陰極X線源からの銅Kα1線のみを取り出し、40μm幅のスリット(7)で水平方向の光路幅を制限し、実施例1と同様に臨界角以下の微小角で試料(3)に入射させる。

【0028】
このとき、コリメータ板(1)を通してCCDカメラ(2)で撮像されるX線像は、吸収端が銅Kα1線のエネルギーよりも低い元素からの蛍光X線のものに限られる。元素の種類が多くなく、分布像に関心がある場合には、単純な撮像のみでも十分に高精度の撮像を得ることができる。また、コリメータ板(1)の直前に数μm厚の金属フォイル等のフィルターを設置させて撮像し、フィルターの有無による像の変化を検討することにより、元素の識別判定を行なうことも可能である。

【0029】
以上の実施例は、X線を試料(3)の表面の全反射臨界角近傍の浅い角度で入射させた場合に試料(3)から放出される蛍光X線の撮像についてのものであるが、同様にして、粒子線をX線の全反射と同じ程度に浅い角度で入射させた場合の蛍光X線や物質表面に吸着もしくはラベルされたラジオアイソトープからの自発的な蛍光X線の撮像も、高精度且つ短時間で行ない、物質表面や薄膜界面に存在する元素の位置的分布やラジオアイソトープの位置的分布を優れた精度で、簡便に分析することができることは言うまでもない。

【0030】
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能である。

【0031】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によって、物質の表面や薄膜の表面・界面に存在するさまざまな元素の位置的な分布を高精度、且つ短時間で撮像して、分析することのできる、新しいX線撮像分析方法および装置が提供され、このX線撮像分析方法および装置によって、分析技術の著しい高度化が達成され、その結果、製造プロセスの改善を促進し、さまざまな産業において高品位の工業製品の生産の実現を図ることができる。
図面
【図1】
0
【図5】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4