Top > Search of Japanese Patents > GEL ACTUATOR AND GEL USED FOR THE SAME > Specification

Specification :(In Japanese)ゲルアクチュエータ及びこれに用いるゲル

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5288419
Publication number P2012-161221A
Date of registration Jun 14, 2013
Date of issue Sep 11, 2013
Date of publication of application Aug 23, 2012
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)ゲルアクチュエータ及びこれに用いるゲル
IPC (International Patent Classification) H02N  11/00        (2006.01)
FI (File Index) H02N 11/00 Z
Number of claims or invention 8
Total pages 13
Application Number P2011-021344
Date of filing Feb 3, 2011
Date of request for substantive examination Nov 28, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】橋本 稔
【氏名】前田 康博
Examiner (In Japanese)【審査官】下原 浩嗣
Document or reference (In Japanese)特開2000-101159(JP,A)
特開平02-041685(JP,A)
特開2003-282982(JP,A)
特開平05-25316(JP,A)
特開2010-074900(JP,A)
Field of search H02N 11/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
誘電性高分子材料からなる突部を備えるゲルと、
前記突部の頂部に接して配される正極と、
該正極に対し、前記突部を高さ方向に挟む位置に配される負極と、
を備えることを特徴とするゲルアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のゲルアクチュエータを、前記正極と負極とを層間において電気的に絶縁する配置として、複数個、積層して形成されていることを特徴とする積層形のゲルアクチュエータ。
【請求項3】
前記ゲルは、誘電性高分子材料からなるシート部の一方の面に前記突部が形成され、
前記負極は、前記シート部の前記突部を設けた面とは反対面に配されていることを特徴とする請求項1または2記載のゲルアクチュエータ。
【請求項4】
前記ゲルは、
誘電性高分子材料からなるシート部の一方の面に前記突部が形成され、前記シート部に前記負極が埋設された負極付きのゲルとして形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のゲルアクチュエータ。
【請求項5】
前記ゲルは、
誘電性高分子材料からなるシート部の両面に前記突部が形成され、前記シート部に前記負極が埋設された負極付きのゲルとして形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のゲルアクチュエータ。
【請求項6】
前記負極上あるいは正極上に、前記突部がじかに設けられ、該突部を挟んで対となる電極が配されていることを特徴とする請求項1または2記載のゲルアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1または2記載のゲルアクチュエータに用いられるゲルであって、
誘電性高分子材料からなるシート部の一方の面に前記突部が形成され、
前記シート部に前記負極が埋設されていることを特徴とする負極付きのゲル。
【請求項8】
請求項1または2記載のゲルアクチュエータに用いられるゲルであって、
誘電性高分子材料からなるシート部の両面に前記突部が形成され、
前記シート部に前記負極が埋設されていることを特徴とする負極付きのゲル。



Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本出願はゲルアクチュエータ及びこれに用いるゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル(PVC)から形成したゲルは、電場を印加すると変形するという作用を有することから、この作用を利用したアクチュエータが提案されている。
図11は、屈曲型ゲルアクチュエータの屈曲作用を示す。図11(a)は、平板状に形成したゲル5の両面に、ゲル5の一端側を電極端から延出させて正極6aと負極6bを配した状態を示す。図11(b)は、正極6aと負極6bとの間に電圧を印加した状態である。
【0003】
正極6aと負極6bとの間に電圧を印加すると、負極6bからゲル5に電荷が注入され、正極6a側に移動した電荷は、正極6aと放電する前に正極6aの付近に蓄積され、ゲル5を正極6aの付近に静電的に付着させる作用をなす。
ゲル5の変形は単純な屈曲ではなく、クリープ変形によって誘発されたものであり、正極6aの先端にゲル5が集中する変形となる。電場を除去すると放電によって電荷がなくなるからゲル5が正極6aに粘着する作用が消失し、ゲル5は本来備わっている弾性によって元の状態に復帰する(図11(a))。この屈曲変形は電圧のON-OFFにともなって生じるから、この変形作用を利用してアクチュエータを形成することができる。
【0004】
図12(a)、(b)は、メッシュ状の電極を正極7aとし、ゲル5の下面に配した負極7bと正極7aとの間に電圧を印加したときの作用を示す。図12(b)は電圧を印加した状態である。電圧を印加すると、ゲル5はクリープ変形により正極7aのメッシュの空隙内に入り込み、空隙内にゲル5が入り込むことによりゲルアクチュエータの厚さが全体として薄くなり、電圧をOFFにするとゲル5は元に戻る。このように、正極7aと負極7bとの間の電圧をON-OFFすることにより、ゲルアクチュエータ全体として厚さ方向に膨縮する作用が生じるから、この膨縮作用を利用してアクチュエータを構成することができる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2009-273204号公報
【0006】

【非特許文献1】日本ロボット学会誌Vol.27,No.7,pp.718~724,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したメッシュ状の正極を備えるアクチュエータは、電極とゲルとを交互に積み重ねる構造とすることによって所要の変位量(ストローク)を得ることが可能であり、また、比較的大きな加圧力(作用力)を得ることができ、数Hz~数十Hz程度の周期的な駆動が可能であるという利点がある。
しかしながら、メッシュ状の正極は、ゲルが入り込む空間を確保するためでもあるから、ある程度の太さの線を使用してスペースを確保する必要があり、このために素子が重くなるという問題や、剛性が高くなって柔軟性が阻害されるという問題があった。
【0008】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、正極にメッシュ状の電極を使用せずに、厚さ方向に収縮することを可能にするゲルと、このゲルを用いたゲルアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願に係るゲルアクチュエータは、誘電性高分子材料からなる突部を備えるゲルと、前記突部の頂部に接して配される正極と、該正極に対し、前記突部を高さ方向に挟む位置に配される負極とを備えることを特徴とする。誘電性高分子材料からなる突部は、正極と負極との間に電圧を印加することにより、負極側に吸着されるようにクリープ変形し、正極と負極との間隔を収縮させ、正極と負極との間に印加する電圧を解除すると、誘電性高分子材料自体の弾性により、元の状態に復帰する作用をなす。
前記ゲルアクチュエータは、前記正極と負極とを層間において電気的に絶縁する配置として、複数個、積層して積層形のゲルアクチュエータとして構成することができる。
【0010】
また、前記ゲルアクチュエータは、前記ゲルが、誘電性高分子材料からなるシート部の一方の面に前記突部が形成され、前記負極が、前記シート部の前記突部を設けた面とは反対面に配された構成とすることができる。
また、前記ゲルアクチュエータは、前記ゲルが、誘電性高分子材料からなるシート部の一方の面に前記突部が形成され、前記シート部に前記負極が埋設された負極付きのゲルとして形成されていること、また、前記ゲルが、誘電性高分子材料からなるシート部の両面に前記突部が形成され、前記シート部に前記負極が埋設された負極付きのゲルとして形成されていることによって、容易に組み立て可能であり、容易に積層形のゲルアクチュエータとして構成することができる。
【0011】
また、前記ゲルアクチュエータに用いられるゲルとして、誘電性高分子材料からなるシート部の一方の面に前記突部が形成され、前記シート部に前記負極が埋設された構成を備えるもの、また、誘電性高分子材料からなるシート部の両面に前記突部が形成され、前記シート部に前記負極が埋設された構成を備えるものが有効に用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るゲルアクチュエータ及びゲルは、メッシュ状の電極を使用することなく、ゲルのクリープ変形を利用して、正極と陰極間に印加する電圧をON-OFFすることにより、厚さ方向に収縮(膨縮)する作用をなし、この作用を利用してアクチュエータを構成することができる。ゲル自体の変形により収縮作用をなすから、素子の小型化、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ゲルアクチュエータに用いるゲルの構成を示す断面図である。
【図2】ゲルの製造に用いる成形型の断面図である。
【図3】ゲルアクチュエータの構成とその作用を示す説明図である。
【図4】ゲルアクチュエータの変位特性についての測定結果を示すグラフである。
【図5】印加電圧を変えて変位特性を測定した結果を示すグラフである。
【図6】ゲルアクチュエータの発生力の測定結果を示すグラフである。
【図7】印加電圧を変えてゲルアクチュエータの発生力を測定した結果を示すグラフである。
【図8】ゲルアクチュエータの応答特性を測定した結果を示すグラフである。
【図9】積層形のゲルアクチュエータの構成とその作用を示す説明図である。
【図10】積層形のゲルアクチュエータの構成とその作用を示す説明図である。
【図11】屈曲型ゲルアクチュエータの屈曲作用を示す説明図である。
【図12】メッシュ状の電極によるゲルアクチュエータの作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(ゲルの構成例)
本発明に係るゲルアクチュエータは、正極と負極とでゲルを厚さ方向に挟み、正極と負極との間に電圧を印加した際に、ゲルが厚さ方向に収縮する作用を利用して構成される。本発明に係るゲルアクチュエータに用いるゲルは、全体形状が平板状に形成され表面に多数個の突部を形成したことを特徴とする。正極はゲルの表面に形成された突部の頂部に接触するように配置し、負極は突部を設けた面とは反対側の面に配置する。

【0015】
図1は、本発明に係るゲルアクチュエータに用いるゲル10の例を示す。
図1(a)に示したゲル10は、ゲルの基部をなすシート部10bの一方の面に、多数個の突部10aが形成されたものである。突部10aはシート部10b上に等間隔で、同一の高さに形成されている。図示例のゲル10の突部10aは、頂部が半球状となる円柱体に形成しているが、突部10aの形状は、円錐、円錐台、角錐、角錐台、球状、半球状等の任意の形状に設定できる。また、突部10aの高さ、幅(径)、配置間隔(配置密度)も限定されるものではない。また、シート部10bの厚さ、大きさ等も適宜設定することができ、シート部10bの平面形状も、円形、円環状、四角形、六角形等の任意の形状とすることができる。

【0016】
図1(b)は、突部10aを支持するシート部10bにあらかじめ負極20を埋設した、いわば負極付きのゲルの例を示す。この負極付きのゲル11を用いてゲルアクチュエータとするには、ゲル11の突部10aを設けた側に突部10aの頂部に接するように正極を配置し、正極と負極との間に電圧を印加するようにすればよい。
図1(a)に示すゲル10を用いてゲルアクチュエータにするには、突部10aの頂部に接触させて正極を配置し、シート部10bの突部10aを設けた側とは反対側の面に負極を接触させる。図1(a)に示すゲル10とくらべて図1(b)に示す負極付きのゲル11を使用すると、積層形のゲルアクチュエータを容易に形成することができる。

【0017】
負極20は、金属箔等の導電材を用いて、突部10aが設けられている平面領域の全域にわたって設ける。負極20は突部10aに電場を作用させるものであるから材質や厚さがとくに限定されるものではない。金属箔にかえて、蒸着などの方法により導電層を設けて負極20とすることもできる。負極20は、通常はシート部10bの全面に一面に設けるが、負極20に小孔を設けて突部10aに作用させる電場を制御する等の改変を排除するものではない。

【0018】
図1(c)は、負極付きのゲルの他の例を示したもので、シート部10bの両面に突部10aを設けたゲル12の例である。シート部10bに負極20を埋設し、シート部10bの両面に突部10aを形成する形状とすれば、両面の突部10aに電場を作用させる際に負極20を共通の負極20として使用することができる。
図1(c)に示す負極付きのゲル12も、ゲルアクチュエータを積層形に形成することが容易であり、ゲル12に電場を作用させる電極を層間で共通に使用できるという利点がある。

【0019】
(ゲルの製造方法)
ゲルアクチュエータに用いるゲルには、電場を作用させることによって屈曲変形やクリープ変形を生じる誘電性高分子材料が使用できる。このような誘電性高分子材料には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン6、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル等が用いられる。

【0020】
本実施形態においては、ゲルアクチュエータに用いるゲルの材料としてポリ塩化ビニル(PVC)を使用した。ポリ塩化ビニルは、電場の作用による変形量が大きく、耐久性にすぐれ、取り扱いが容易であるという利点がある。
実際には、PVCに可塑剤としてアジピン酸ジブチル(DBA)を加え、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として完全に溶解してゲル溶液とした後、ゲル溶液をシャーレにキャストし、シャーレを水平にしてゲル溶液の上に成形型をかぶせ、数日間放置してTHFを完全に蒸発させ、乾燥させた後、成形型からゲルを外すことにより突部が形成されたゲルが得られる。

【0021】
図2に実験で使用したゲルの成形に用いた成形型15を示す。この成形型15は、平板状の基材15aの一方の面にシート部10bを成形する平面凹部15bを設け、平面凹部15bの底面に突部形成用凹部15cを設けたものである。成形型15をシャーレにキャストしたゲル溶液の上にのせると(図2の成形型15を下向きにする)、ゲル溶液が平面凹部15bと突部形成用凹部15cに入り込むから、この状態でゲル化させることによって、突部10aを備えるゲルが成形される。
成形型15には、突部形成用凹部15cの頂部(突部の先端となる部分)と外部とを連通する空気孔15dを設けている。この空気孔15dは、成形型15をゲル溶液の上にのせた際に、突部形成用凹部15cから空気が抜けるようにし、突部形成用凹部15cの頂部まで確実にゲル溶液が充填されて、突部10aが所定形状に成形されるようにするためのものである。

【0022】
図2に示した成形型15では、突部形成用凹部15cを円錐状に形成し、突部形成用凹部15cの深さ(突部の高さ)0.8mm、直径2mm、ピッチ(突部の頂部間の間隔)3mmとしている。空気孔15dの孔径は0.3mmである。平面凹部15bの深さ(シート部10bの厚さ)は1mmである。

【0023】
なお、ゲルの成形に使用する成形型には、ゲルに形成する突部の大きさや形態に合わせて適宜形態の成形型を使用することができる。たとえば、突部形成用の凹部を設けるかわりにメッシュ状の型を用いてゲルに突部を形成することもできる。また、スクリーン印刷などの印刷法によりゲル溶液を塗布することによって突部を形成することも可能である。

【0024】
後述するゲルアクチュエータの特性の試験には、図1(b)に示す負極付きのゲル11を使用した。
この負極付きのゲル11は次のようにして作製した。PVCゲル溶液を10gシャーレにキャストし、数日間放置して乾燥させる(負極の下側のシート部を形成)。次いで、負極となるステンレス箔(厚さ0.01mm)を乾燥させたゲルの上にのせ、その上からゲル溶液を4gキャストし、いったんステンレス箔を固定する。次いで、ステンレス箔の表面に薄く残ったゲルの上にゲル溶液を20gキャストし、その上に図2に示す成形型15をのせ、乾燥させ、成形型15からゲルを外して負極20が埋設されたゲル11を作製した。

【0025】
(ゲルの作用)
図3(a)、(b)は、図1(b)に示した負極付きのゲル11に正極30を配して構成したゲルアクチュエータ40と、このゲルアクチュエータ40に電圧を印加した際の作用を示す。
ゲル11を厚さ方向に収縮させるには、突部10aの頂部に正極を接触させ、正極と負極との間に電圧を印加する。図3(a)は、ゲル11の突部10aを設けた面に正極30を配置し、正極30を突部10aに接触させた状態を示す。実際は、ガラス板上に正極30となるステンレス箔を配置し、突部10aを下向きにしてステンレス箔にゲル11をのせ、突部10aの頂部にステンレス箔(正極30)を接触させた。

【0026】
図3(a)は正極30と負極20との間に電圧を印加しない状態、図3(b)は電圧を印加した状態である。正極30と負極20との間に電圧を印加すると、電荷が負極20からゲル11に注入され、突部10aを通って正極30の付近に電荷が蓄積される。正極30の付近に電荷が蓄積されると、ゲルが静電的に正極30側に引き付けられ、突部10aがクリープ変形を起こし、正極30に突部10aが付着するように変形する。すなわち、電圧を印加すると、突部10aの高さが低くなり、ゲルアクチュエータ40の厚さは全体として薄くなる(収縮する)。また、電圧の印加を解除すると、放電によって電荷がなくなり、突部10aが正極30に付着する作用が消失し、ゲル自体の弾性によってゲルアクチュエータ40は元の状態に復帰する。
このように、ゲルアクチュエータ40の正極30と負極20との間に電圧を印加する操作をON-OFFさせる操作を繰り返すことにより、ゲルアクチュエータ40は厚さ方向に収縮した状態と元の厚さに復帰した状態とを交互に繰り返す。

【0027】
図3は、図1(b)に示した負極付きのゲル11を用いたゲルアクチュエータ40について、正極30と負極20との間に電圧を印加した際の作用(動作)を示したものである。図1(a)、図1(c)に示したゲル10、12についても、正極30と負極20間に電圧を作用させることによって同様に作用するゲルアクチュエータを構成することができる。

【0028】
突部10aを備えるゲルを用いて構成するゲルアクチュエータは、正極30と負極20との間に電圧を印加した際に、突部10aがクリープ変形して負極20側に付着するようになる作用を利用して収縮するから、この作用を生じさせるゲルであれば任意の形態のゲルを使用することができる。たとえば、負極付きのゲルの形態として、シート部10bに負極20を埋設させた形態ではなく、シート部10bの一方の面に負極20を露出させて設け、負極20上に、じかにゲルからなる突部10aを設ける形態とすることもできる。また、シート部10bを設けずに負極20上、あるいは正極30上に、じかにゲルからなる突部10aを設け、突部10aを挟んで対となる電極を配するという構成とすることもできる。

【0029】
(ゲルアクチュエータの駆動特性)
以下に、図3に示す負極付きのゲル11を用いたゲルアクチュエータ40(単層構造)について、駆動特性を調べた結果について述べる。
<変位特性>
図4は、ゲルアクチュエータに印加電圧を加えた際に、厚さ方向の変位量がどのように変化するかを測定した結果を示す。この測定結果は、印加電圧を1200[V]とした場合である。ゲルアクチュエータの変位量はレーザー式変位計測器を用いて計測した。電圧を印加した際にゲルアクチュエータが収縮し、電圧印加を解除すると元の厚さに復帰することがわかる。
図5は、図4の実験で使用した試料と同一の試料に対し、印加電圧を600[V]、1200[V]、1800[V]としたときの変位量を示す。
この測定結果は、印加電圧を大きくするにしたがって、変位量が増大することを示している。印加電圧を1800[V]としたときのゲルアクチュエータの変位量は最大0.17[mm]である。この変位量はゲルアクチュエータ全体の厚さの約14%にあたる。

【0030】
<発生力>
ゲルアクチュエータが収縮状態から元の状態に復帰する際に生じる押し出し力(発生力)を測定した。測定は、ゲルアクチュエータに電圧を印加して収縮させた状態から電圧を除去してゲルアクチュエータを膨張させ、そのときの押し出し力を力センサを用いて測定する方法によって行った。
ゲルアクチュエータの試料は、大きさ50[mm]の円板状、ゲルの厚さ(突部を含む)1.15[mm]、正極に厚さ0.01[mm]のステンレス箔を用いたものである。
図6は、印加電圧が1200[V]のときの押し出し力(発生力)を測定した結果を示す。押し出し力として、約350[Pa]が得られた。
図7は、印加電圧によって押し出し力がどのように変化するかを調べた結果を示す。図7は、印加電圧を大きくすることにより、押し出し力が増加することを示す。

【0031】
<応答特性>
図3に示す負極付きのゲルを用いたゲルアクチュエータに電圧900[V]の正弦波を加え、ゲルアクチュエータの応答特性を測定した。印加する正弦波電圧の周波数を0.1~10[Hz]の間で変化させ、そのときの変位の振幅を測定した。図8は変位のゲイン線図である。-3[dB]になるまでのバンド幅は2[Hz]となっている。この測定結果は、前述したゲルアクチュエータは、印加電圧の周波数が2[Hz]程度であれば、十分に追随することを示す。

【0032】
(ゲルアクチュエータの他の構成例)
上述した実験において使用したゲルアクチュエータは単一のゲルによって形成した単層構造のものである。ゲルアクチュエータは単層構造として使用することもできるし、単位となるゲルアクチュエータを厚さ方向に積み重ねた積層構造とすることもできる。

【0033】
図9(a)、(b)は、片面に突部10aを設けた負極付きのゲル11(図1(b))を用いて積層形のゲルアクチュエータ50を構成した例である。このゲルアクチュエータ50は、積層するゲルの突部10aを同じ向きとし、突部10aの頂部に正極30が接するように正極30を介在させて負極付きのゲル11を積層して形成している。

【0034】
ゲルアクチュエータ50を構成する単位となるゲルアクチュエータ40a、40bの正極30を電源の正極に接続し、負極20を電源の負極に接続して電圧を印加する。
図9(b)が電圧を印加している状態である。ゲルアクチュエータ50に電圧を印加すると、各々のゲルアクチュエータ40a、40bがそれぞれ厚さ方向に収縮し、ゲルアクチュエータ50全体が厚さ方向に収縮する。ゲルアクチュエータ50の収縮量(変形量)は各々のゲルアクチュエータ40a、40bの収縮量が重畳されるから、単一のゲルアクチュエータを使用する場合にくらべて、積層形とすることによりゲルアクチュエータの変位量(収縮量)を大きくすることができる。

【0035】
図10(a)、(b)は、図1(c)に示す、ゲルの両面に突部10aを設けた負極付きのゲル12を用いて形成したゲルアクチュエータ60の例である。本実施形態のゲルアクチュエータ60においても、突部10aの頂部に正極30を接触させるように、積層するゲル12の突部10a間に正極30を介在させて積層する。
本実施形態のゲルアクチュエータ60においては、電圧を印加する際に、負極20がその両側にある突部10aに対して共通の電極として作用し、正極30がその両側にある突部10aに対して共通の電極として作用する。

【0036】
図10(b)は、ゲルアクチュエータ60に電圧を印加した状態を示している。単位となるゲルアクチュエータ40c、40dが厚さ方向に収縮し、ゲルアクチュエータ60が全体として厚さ方向に収縮する。
本実施形態のゲルアクチュエータ60は、ゲルの両面に突部10aを設けた負極付きのゲルを用いているから、片面に突部10aを設けた負極付きのゲルを用いた場合とくらべて、厚さ方向に小型化を図りながら変位量を大きくとることが可能となる。

【0037】
図9、11に示したゲルアクチュエータ50、60は単位となるゲル11、12を2つ積層した例であるが、ゲルアクチュエータの積層数は任意に選択することができる。単位となるゲルアクチュエータの積層数を増やすことによって、ゲルアクチュエータ全体の変位量を大きくすることができる。また、積層構造のゲルアクチュエータとすることにより、ゲルアクチュエータの変位にともなう発生力(押し出し力)を大きくすることもできる。

【0038】
図9に示すゲルアクチュエータ50では、シート部10bがゲル11を層間で積層する際に正極30と負極20とを電気的に絶縁する作用を兼ねている。突部10aを備えるゲルを積層して積層形のゲルアクチュエータを形成する際には、層間で正極30と負極20とが電気的に短絡しないように電気的な絶縁を図る必要がある。ゲル11のように、絶縁層としてゲルを利用することもできるし、特定の絶縁層を設けてゲルを積層する構成とすることも可能である。

【0039】
本発明に係るゲルアクチュエータは、突部を備えるゲルを正極と負極とで厚さ方向に挟む配置とし、正極と負極との間に電圧を印加した際に突部が変形する作用を利用するから、正極と負極には金属箔のような薄い導電材を使用することができる。これにより、メッシュ電極を使用する場合とくらべて電極を薄くすることができ、多層にゲルアクチュエータを積層したような場合でも、小型化(薄型化)軽量化を図ることができる。また、ゲルは柔軟性に富んでおり、電極も薄く形成して柔軟性を備えるから、柔軟性が求められる駆動用として有効に利用することが可能である。

【0040】
10、11、12 ゲル
10a 突部
10b シート部
15 成形型
15b 平面凹部
15c 突部形成用凹部
15d 空気孔
20 負極
30 正極
40、40a、40b、40c、40d ゲルアクチュエータ
50、60 積層形のゲルアクチュエータ





Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図9】
3
(In Japanese)【図10】
4
(In Japanese)【図4】
5
(In Japanese)【図5】
6
(In Japanese)【図6】
7
(In Japanese)【図7】
8
(In Japanese)【図8】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
11