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Specification :(In Japanese)抗8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸抗体

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5261708
Publication number P2008-179579A
Date of registration May 10, 2013
Date of issue Aug 14, 2013
Date of publication of application Aug 7, 2008
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)抗8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸抗体
IPC (International Patent Classification) C07K  16/44        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/577       (2006.01)
FI (File Index) C07K 16/44
G01N 33/53 S
G01N 33/577 B
Number of claims or invention 5
Total pages 13
Application Number P2007-015728
Date of filing Jan 26, 2007
Date of request for substantive examination Oct 7, 2009
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】赤池 孝章
【氏名】澤 智裕
Representative (In Japanese)【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
Examiner (In Japanese)【審査官】渡邉 潤也
Document or reference (In Japanese)J. Immunoassay、 1982年、Vol. 3、No. 2、p. 173-196
Field of search C07K 16/00-16/46
CAplus(STN)
MEDLINE(STN)
BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸を特異的に認識する抗体であって、グアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸よりも8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸を強く認識し、グアニン、グアノシン、グアノシン1リン酸及びアデノシンサイクリック1リン酸(cAMP)を認識しない上記の抗体。
【請求項2】
ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
8-ニトログアノシン-3’,5’サイクリック1リン酸(8-ニトロ-cGMP)を、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させることによって得られる分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンを免疫原として免疫動物に接種することにより得られる、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の抗体を含む、8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を検出するための試薬。
【請求項5】
請求項1から3の何れかに記載の抗体を、8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を有する物質を含む試料と反応させることを含む、8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を検出する方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸を認識する抗体に関する。本発明の抗体は、NOが関わる細胞生物学分野・基礎医学分野において、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を指標とした解析試薬として有用である。さらに本発明の抗体は、NOの代謝異常が関連する疾患の診断薬として応用することも可能である。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(NO)は、血管弛緩、神経伝達、感染防御、細胞死制御など、多彩な生物活性を有している。このような生理活性の多様性を解明するためには、NOより派生する2次代謝物の構造ならびにそれらの生体内での生成・消去機構を明らかにすることが不可欠である。本発明者らはこれまでに、環状ヌクレオチドであるグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸(cGMP)が、細胞内でNOによってニトロ化されて、8-ニトログアノシン-3',5' -サイクリック1リン酸(8-nitro-cGMP)に変換されることを見出している。
【0003】
一方、国際公開WO2006/093110号公報には、グアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸のアゴニストであり、グアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸依存的蛋白質リン酸化酵素(プロテインキナーゼG)活性化作用を有する新規な8-グアノシン-3',5' -サイクリック1リン酸化合物、および該化合物を有効成分として含有するプロテインキナーゼG活性化剤が記載されている。
【0004】

【特許文献1】国際公開WO2006/093110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、本発明者らは、環状ヌクレオチドであるグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸(cGMP)が、細胞内でNOによってニトロ化されて、8-ニトログアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸(8-nitro-cGMP)に変換されることを発見した。また、8-nitro-cGMPは、蛋白質やペプチドのチオール基(SH基)に付加反応にて結合し、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸となることを見いだした。さらにこの8-nitro-cGMPのチオールへの付加反応(S-グアニル化)が、NOによる細胞死抑制作用の制御メカニズムとして非常に重要であることを見いだした。8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸(S-グアニル化構造)はこれまでに報告が無く、全く新規な構造である。本発明は、この8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸(S-グアニル化構造)を特異的に認識する抗体を提供することを解決すべき課題とした。さらに、上記の通り8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸(S-グアニル化構造)は全く新規な構造であり、その分析法はいまだ確立されていない。そこで本発明は、この構造を特異的に認識する抗体を作製することにより、生体試料中に生成したS-グアニル化構造を、免疫学的手法(免疫染色やELISA法)によって簡便に分析する方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、先ず、有機合成した8-nitro-cGMPを、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させて、分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を導入した。次に、これを免疫原として、ウサギおよびマウスに接種した。採血し得られた血清を、まず変性ウシ血清アルブミン結合カラムにて、非特異的な抗体成分を除去した後、プロテインAカラムを用いてイムノグロブリンG分画を精製した。競合ELISA法により、本抗体は、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造に特異的に反応することを確認した。また、本抗体は、Western blot法ならびに免疫細胞化学法に応用可能であることを確認した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0007】
即ち、本発明によれば、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸を特異的に認識する抗体が提供される。
好ましくは、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である。
好ましくは、本発明の抗体は、8-ニトログアノシン-3’,5’サイクリック1リン酸(8-ニトロ-cGMP)を、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させることによって得られる分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンを免疫原として免疫動物に接種することにより得られる抗体である。
【0008】
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を含む、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を分析するための試薬が提供される。
【0009】
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を、8-チオアルコキシグアノシン-3',5' -サイクリック1リン酸構造を有する物質を含む試料と反応させることを含む、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を分析する方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抗体を用いることにより、これまでその生体内生成が不明であった8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造の生成が、簡便に解析できるようになる。さらに、本発明の抗体を用いて、細胞内におけるS-グアニル化の役割を解析し、多彩なNOの生理作用を解明することが可能になる。また、本発明の抗体は、アフィニティー精製のための吸着リガンド成分としても適応可能であり、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有する蛋白質成分の精製が可能となる。さらに、本発明の抗体を用いたプロテオーム解析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の抗体は、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸を特異的に認識する抗体である。本発明の抗体は、例えば、8-ニトログアノシン-3’,5’サイクリック1リン酸(8-ニトロ-cGMP)を、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させることによって得られる分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンを免疫原として免疫動物に接種することにより得ることができる。
【0012】
還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンは、例えば、ウシ血清アルブミンをTris-HCl緩衝液(pH 8.6、エチレンジアミン4酢酸及び尿素を含む)に溶解し、その溶液へジチオスレイトールなどの還元剤を添加して室温で反応させることによって調製することができる。反応後直ちに、過剰な尿素およびジチオスレイトールを除去することが好ましい。得られたBSA溶液に、8-ニトロ-cGMPを加え、例えば37℃で所定の時間(例えば、50時間)反応させることによって、BSAのSH基にcGMPが導入され、分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンである8-S-cGMP-BSAを得ることができる。
【0013】
本発明で用いる8-ニトログアノシン-3’,5’サイクリック1リン酸は、国際公開WO2006/093110号公報の記載に従って、次に示すフローチャートに従って合成することができる。
【0014】
【化1】
JP0005261708B2_000002t.gif

【0015】
上記のフローチャートにおいて、出発原料である化合物(1)は公知化合物であるN-ベンゾイルグアノシン-5'リン酸1水和物カルシウム塩と4-モルホリン-N,N'-ジシクロヘキシルカルボキサミジンとピリジン中で100℃で数時間反応させることにより容易に合成することができる(J.Am.Chem.Soc.,83, 698-706, 1961)。なお、原料のN-ベンゾイルグアノシン-5'リン酸1水和物カルシウム塩は溶媒に溶けにくいため、カルボキサミジンと塩交換を行い、溶媒に溶けやすくし、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(縮合剤)で縮合することができる。
【0016】
このようにして調製した化合物(1)とブロミンとをホルムアミドなどの溶媒中で氷中で0.5時間程度反応させることにより化合物(2)を得、化合物(2)と亜硝酸を70℃で5日間程度反応させることにより化合物(3)を得ることができる。化合物(3)および合成中間体の単離精製は、通常の有機化合物の単離精製手段を採用すればよく、例えば、再結晶、各種クロマトグラフィーなどを用いて行うことができる。
【0017】
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れでもよく、上記した抗原を免疫原として動物を免疫することにより製造することができる。
【0018】
本発明の抗体は、分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有する物質を抗原として哺乳動物を免疫感作し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離・精製することにより得ることができる。本発明では、例えば、マウス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の哺乳動物を免疫することができる。免疫感作の方法としては、当業者に公知の通常の免疫感作の方法を用いて、例えば抗原を1回以上投与することにより行うことができる。
【0019】
抗原投与は、例えば、7から30日、特に12から16日間隔で2または3回投与することができる。投与量は1回につき、例えば抗原約0.05から2mg程度を目安とすることができる。投与経路も特に限定されず、皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができるが、静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に注射することにより投与することが好ましい。また、抗原は適当な緩衝液、例えば完全フロイントアジュバント、RAS〔MPL(Monophosphoryl Lipid A)+TDM(Synthetic Trehalose Dicorynomycolate)+CWS(Cell Wall Skeleton) アジュバントシステム〕 、水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いることができるが、投与経路や条件等によっては、上記したアジュバントは使用しない場合もある。ここでアジュバントとは抗原とともに投与したとき、非特異的にその抗原に対する免疫反応を増強する物質を意味する。
【0020】
免疫感作した哺乳動物を0.5から4ケ月間飼育した後、該哺乳動物の血清を耳静脈等から少量サンプリングし、抗体価を測定することができる。抗体価が上昇してきたら、状況に応じて抗原の投与を適当回数実施する。例えば10μg~1000μgの抗原を用いて追加免疫を行なうことができる。最後の投与から1~2ケ月後に免疫感作した哺乳動物から通常の方法により血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の通常の方法によって分離・精製することにより、ポリクローナル抗血清として、本発明のポリクローナル抗体を得ることができる。なお血清は、たとえば、56℃で30分間処理することによって補体系を不活性化してもよい。
【0021】
また、本発明の抗体がモノクローナル抗体の場合、該モノクローナル抗体のグロブリンタイプは特に限定されず、例えばIgG、IgM、IgA、IgE、IgD等が挙げられる。
【0022】
モノクローナル抗体の作製は、当業者に既知の方法により行うことができ、例えば、ハイブリドーマを用いた方法により行うことができる。本発明のモノクローナル抗体を産生する細胞株は特に制限されないが、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細胞融合によりハイブリドーマとして得ることができる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、以下のような細胞融合法によって得ることができる。
【0023】
抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等を使用する。抗原としては、ポリクローナル抗体の場合と同様、分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有する物質を使用することができる。免疫される動物としてはマウス、ラット、ウサギ等が使用され、これらの動物への抗原の投与は常法に従って行う。例えば完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと抗原との懸濁液もしくは乳化液を調製し、これを動物の静脈、皮下、皮内、腹腔内等に数回投与することによって動物を免疫化する。免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞とをそれ自体公知の方法(G.Kohler et al .,Nature,256 495(1975))により融合することにより、ハイブリドーマを作製することができる。
【0024】
細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選抜にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地を常法に従って使用することができる。細胞融合により得られたハイブリドーマは限界希釈法等によりクローニングすることができる。更に、酵素免疫測定法(ELISA)等によりスクリーニングを行なうことにより、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得ることができる。
【0025】
このようにして得られたハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
【0026】
また、上記したような各種抗体の断片も本発明の範囲内である。抗体の断片としては、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント等が挙げられる。
【0027】
本発明の抗体は標識抗体として使用することもできる。標識抗体を作製することにより、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造の検出や測定を簡便に行うことができる。抗体の標識の種類及び標識方法は当業者に知られているものから適宜選択することができる。
【0028】
標識として酵素を使用する場合には、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ等を標識として使用することができる。これらの酵素を本発明の抗体又はその断片(F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント等)に標識する方法としては、酵素の糖鎖を過ヨウ素酸で酸化し、生成したアルデヒド基に該抗体などのアミノ酸を結合させる方法や、酵素にマレイミド基あるいはピリジルスルフィド基等を導入し、該抗体のFab’フラグメントに存在するチオール基と結合させる方法等を挙げることができる。
【0029】
標識として酵素を使用する場合、試験試料と標識抗体とをインキュベートした後、遊離した標識抗体を洗浄して除去してから、上記の標識酵素の基質を作用させて発色等で反応を測定することによって標識抗体を検出することができる。例えば、ペルオキシダーゼで標識される場合には、基質として過酸化水素、発色試薬としてジアミノベンジジンまたはO-フェニレンジアミンと組み合わさって褐色または黄色を生じる。グルコースオキシダーゼで標識される場合には、基質として、たとえば2,2’ -アシド-ジ-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)等を用いる。
【0030】
標識として蛍光色素を使用する場合には、例えば、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)又はTRITC(テトラメチルローダミンBイソチオシアネート)等の蛍光色素で本発明の抗体又はその断片を標識することができる。 本発明の抗体又はその断片と蛍光色素との結合は常法によって行うことができる。
【0031】
標識として呈色標識物質を使用する場合には、例えば、コロイド金属および着色ラテックスなどを標識として使用できる。コロイド金属の代表例としては、金ゾル、銀ゾル、セレンゾル、テルルゾルおよび白金ゾルなどのそれぞれの分散粒子である金属コロイド粒子を挙げることができる。コロイド金属の粒子の大きさは、通常は、直径3~60nm程度とされる。また、着色ラテックスの代表例としては、赤色および青色などのそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラッテクスなどの合成ラテックスを挙げることができる。ラテックスとして天然ゴムラテックスのような天然ラッテクスを使用することができる。着色ラテックスの大きさは、直径数十nm~数百nm程度から選択することができる。これらの呈色標識物質は市販品をそのまま使用することができるが、場合によりさらに加工し、または、それ自体公知の方法で製造することもできる。
【0032】
本発明の抗体又はその断片と呈色標識物質との結合は常法によって行うことができる。例えば、呈色標識物質が金ゾルの分散粒子である金コロイド粒子の場合には、通常は、抗体と金ゾルとを室温下で混合することによって両者を物理的に結合することが可能である。
【0033】
なお、標識としては、上記以外にもアフィニティー標識(例えば、ビオチン等)、又は、放射性同位体標識(例えば、125I等)等を使用することもできる。
【0034】
本発明の標識抗体を用いた酵素抗体法、免疫組織染色法、免疫ブロット法、直接蛍光抗体法又は間接蛍光抗体法等の分析は当業者に周知の方法で行なうことができ、その実験条件も当業者ならば適宜選択することができる。
【0035】
本発明の抗体を用いることにより、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を分析(検出又は測定)することができる。即ち、本発明の抗体は、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を分析するための試薬として使用することができる。本発明の抗体を用いた8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を分析するための試薬、及び8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を分析する方法も本発明の範囲内である。
【0036】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
実施例1:8-チオアルコキシル-cGMP-ウシ血清アルブミン(8-S-cGMP-BSA)の作製
ウシ血清アルブミン(BSA、10 mg)を4 mlの0.2 M Tris-HCl緩衝液(pH 8.6、1 mMエチレンジアミン4酢酸、10 M尿素を含む)に溶解し、その溶液へ1 Mのジチオスレイトールを0.1 ml添加して室温で15時間反応させた。反応後直ちに、あらかじめ0.1 M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化しておいたG-25カラム(5 ml, Amersham Biosciences社製)を用いて、過剰な尿素およびジチオスレイトールを除去した。得られたBSA溶液(蛋白質濃度7.1 mg/ml、2 ml)に、8-ニトロ-cGMP(2 mM水溶液、2 ml)を加え、37℃で50時間反応させた。反応溶液中に生成した亜硝酸イオンをグリース法にて定量し、BSAのSH基に導入されたcGMP含量を求めた。cGMPの導入率は、BSA1分子あたり平均10.6であった。反応は、PBSにて4℃で一晩透析を行った。得られた8-S-cGMP-BSAを抗原とした。
【0038】
【化2】
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【0039】
実施例2:ウサギポリクローナル抗体の作製
8-S-cGMP-BSAを蛋白質濃度として1 mg/mlとなるようにPBSに溶解した。この溶液1 mlを注射器に取り、フロイント完全アジュバント1 mlを更に取り、別の注射器と連結させ、これを交互に動かすことによりエマルジョンを作製した。抗体作製用の動物として日本白色種ウサギ2羽を採用し、当該ウサギの背部皮下に数カ所、このエマルジョンを注射した(初回免疫)。2週間後、同じく8-S-cGMP-BSAを1 mg/mlとなるようにPBSに溶解させたもの1 mlとフロイント不完全アジュバント1 mlとを用い、前記のように注射器を交互に動かすことによりエマルジョンを作製し、これを注射し、追加免疫とした。この追加免疫を2週間ごとに繰り返した。2回免疫および3回免疫の各1週間後に少量採血し、抗体の産生を8-S-cGMP-BSAに対して抗体が反応するかをELISA法によって確認した。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫との間隔は、この実施例においては2週間としたが、このような間隔で追加免疫を行うことに限定されるものではない。ただし、初回免疫は、抗体を産生させるためのものであり、通常、最初に抗原を注射してから4から5日で抗体が血中に現れ、次第に量が増大して10日前後にピークとなることから、初回免疫から最初の追加免疫までは2週間以上おくことが好ましい。また、追加免疫は、前記抗体をたくさん作らせるために行うものであるが、追加免疫後、すぐには抗体は増加しないので、追加免疫後1週間おいてから採血し、採血後1週間おいてから次回の追加免疫を行うこととした。
【0040】
前記の確認によってポリクローナル抗体の産出が一定になったことろで(2週間前と比べてポリクローナル抗体の産出に変動が生じなくなったところで、すなわち、ある追加免疫の1週間後に確認された抗体の産出と、当該追加免疫の2週間後に行われた次の追加免疫の1週間後に確認された抗体の産出が同一になったところで)、該当ウサギ2羽から採血し、この血液より血清を得た後、当該血清より本発明のポリクローナル抗体を得た。
【0041】
前記のように免役した日本白色種ウサギの血液から本発明のポリクローナル抗体を得る行程は以下のように行った。まず日本白色種ウサギの心臓より大量採血を行い、37℃で1時間保温した後、4℃で一晩静置した。これを毎分3,000回転で10分間遠心し、上清を得た。その後以下に述べる操作によって、抗BSA抗体を除去し、抗8-S-cGMP-BSA抗体を精製した。
【0042】
まず、抗体を飽和硫酸アンモニウム溶液で分画を行った。硫安沈殿後の抗体溶液を10 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.0 ), 10 mM NaClに溶解し、さらに同緩衝液にて一晩透析を行った。HiTrap NHS-activated HP (Amersham Biosciences社製)(1 ml容量)にBSAを結合したBSA結合カラムを同社のプロトコールに従って作製し、これに前記の透析血清を通して、ポリクローナル抗体中に混在する抗BSA抗体を吸着除去した。カラムに非吸着画分を回収し、さらにもう一度、BSA結合カラムに通して、抗BSA抗体を完全に除去した。
【0043】
実施例3:ポリクローナル抗体を用いた競合ELISA
8-チオアルコキシ-cGMP構造を認識する抗体(以下、「抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体」と呼ぶことがある。)が生成していることの証明として、8-S-cGMP-蛋白質を抗原とし、各種ヌクレオチド誘導体を用いた競合ELISAを行った。すなわち、α1-プロテアーゼインヒビター(α1-PI)を用い、そのSH基にcGMPを導入した誘導体(8-S-cGMP-α1-PI)を、前記8-S-cGMP-BSAと同様の方法にて作製し、そのPBS溶液を96ウェルプレートに0.1μg/ウェルとなるように加え、4℃で一晩、固相化した。その後、上清を除き、0.05 % Tween20を含むPBS(PBS-T)で3回、ウェルを洗浄して固相されなかった余分な8-S-cGMP-α1-PIを除去した。各ウェルにブロッキングバッファー(5 mg/mlゼラチンを含むPBS-T)を0.2 ml加えて、室温で2時間ブロッキングを行った。PBS-Tで3回、各ウェルを洗浄した後、希釈バッファー(1 mg/mlゼラチンを含むPBS-T)で8000倍に希釈した抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体を含む前例で精製した血清を0.1 ml/ウェルで添加した。このとき、希釈血清に対して、反応性を調べたい競合剤(例えば8-グルタチオニル-cGMPなど)を各種濃度であらかじめ反応させておく。室温で1時間、静置した後、PBS-Tで3回ウェルを洗浄した。2次抗体としてHRP標識抗ウサギIgGヤギ抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)と室温で1時間反応した後、PBS-Tで4回洗浄した。基質バッファー(0.1 Mクエン酸、0.1 Mリン酸2ナトリウム、pH 5.0)にo-フェニレンジアミン二塩酸塩5 mgと過酸化水素水6μlを加えた溶液を、0.1 ml/ウェルで添加し2~10分発色させた。0.05 mlの2 M硫酸で反応を停止し、各ウェルの490 nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。結果を図1に示す。精製した抗体は、8-チオアルコキシ-cGMP構造を有する8-グルタチオニル-cGMPをもっとも強力に認識することが分かった。次いで10倍程度弱くcGMPと反応し、それ以外のグアニン、グアノシン、グアノシン1リン酸やアデノシンサイクリック1リン酸(cAMP)とは全く反応しない、特異性の高い抗体であることが確認できた。
【0044】
実施例4:ポリクローナル抗体を用いた免疫ブロット法
本発明により得られた抗体が、8-チオアルコキシ-cGMP蛋白質の免疫ブロット法による検出・定量に適応できることを確認した。蛋白質としてBSAおよびヒトα1-PI(いずれも分子内に遊離のSH基を1つもつ状態に還元剤を用いて調製したもの)を0.2 Mリン酸緩衝液(pH 7.4)に0.1 mMになるように溶解した。その溶液へ8-ニトロcGMPを1 mMとなるように添加して、37℃で反応させた。経時的に反応溶液を採取し、-80℃にて保存した。反応後、蛋白質量として1レーンあたり100 ngを加えて、SDS-7.5 %ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。ポリビニリデンジフルオリド膜(Millipore社製)へ転写後、5 %スキムミルク(Becton Dickinson社)、0.1 % Tween20、0.9 % NaCl、10 mM Tris-HCl (pH 7.5)(ブロッキングバッファー)を用いて室温で1時間ブロッキングを行った。続いて、ブロッキングバッファーで1000倍希釈した抗8-チオアルコキシ-cGMP抗血清と4℃で一晩反応した。反応後、ブロッキングバッファーで3回洗浄し、同バッファーで1000倍希釈したHRP標識抗ウサギIgGヤギ抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)と室温で1時間反応した後、膜をブロッキングバッファーで2回、さらに0.1 % Tween20、0.9 % NaCl、100 mM Tris-HCl (pH 7.5)で3回洗浄した。検出はECL plus Western Blotting Detection System (Amersham Biosciences社製)を用いた化学発光法により行った。検出には、Fuji Film社製のLAS1000UVminiを用いた。結果を図2に示す。8-ニトロcGMPとの反応前の蛋白質ではまったくバンドは検出されないが、反応時間の経過に伴って明らかに抗体反応性のバンドが検出できた。これにより、本発明にて得られた抗体が、免疫ブロット法に適応可能であることが確認された。
【0045】
実施例5:マウスモノクローナル抗体の作製
上記例で得た抗原(8-S-cGMP-BSA)を1 mg/mlとなるようにPBSに溶解させた。この溶液0.15 mlと生理食塩水0.35 mlを注射器に取り、フロイント完全アジュバント0.5 mlを更に取り、別の注射器と連結させ、これを交互に動かすことによりエマルジョンを作製した。抗体作製用の動物として雌5週齢BALB/cマウス3匹を採用し、当該マウスの背部皮内に数カ所、このエマルジョンを注射した(初回免疫)。3週間後、同抗原を1 mg/ml、0.09 ml、生理食塩水0.41 mlとフロイント不完全アジュバント0.5 mlとを用い、前記のように注射器を交互に動かすことによってエマルジョンを作製し、これを注射し、追加免疫とした。この追加免疫を1週間ごとに繰り返した。初回免疫から7週間後にマウス尾部より少量採血し、抗体の産生を8-S-cGMP-BSAに対するELISA法によって確認した。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫と追加免疫との間隔は、この実施例においては、2週間、1週間としたが、このような間隔で追加免疫を行うことに限定されるものではない。
【0046】
前記の確認によってモノクローナル抗体の産出が一定になったところで、0.05 mg/匹の8-S-cGMP-BSAを腹腔内に注射した。3日後、該当マウスの脾臓を摘出した。脾臓細胞をマウスミエローマ細胞P3U1と混合し、ポリエチレングリコールによって細胞融合を行い、ハイブリドーマを作製した。得られたハイブリドーマをアミノプテリン、ヒポキサンチン、チミジンを含む10 %ウシ胎児血清含有RPMI培地(HAT培地)中で培養した。7日後に培養上清を用いてスクリーニングを行った。スクリーニングの方法は、8-S-cGMP-BSAに陽性で、cGMP-BSA、8-ニトログアノシン-BSA及びBSAに陰性な細胞24株を選択した。さらにRPMI培地中で10日培養してスクリーニングを繰り返し、限界希釈法でサブクローニングすることでモノクローナル抗体産生細胞株を樹立した。これらの抗体産生細胞をあらかじめプリスタンを投与して免疫抑制したBALB/cマウスの腹腔に移植した。得られた腹水をジエチルアミノエチルセルロースイオン交換樹脂を用いて、50~100 mMの塩化ナトリウムを含む10 mM Tris-HCl (pH 8.0)で分画して精製し、本発明のモノクローナル抗体を得た。
【0047】
実施例6:モノクローナル抗体を用いた競合ELISA
ポリクローナル抗体と同様に、本モノクローナル抗体の反応特異性についても、競合ELISA法によって確認した。図3に示すように、本モノクローナル抗体は、8-チオアルコキシ-cGMP構造を強く認識することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、競合ELISAによるポリクローナル抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体の特異性を調べた結果を示した図である。固相化抗原として8-S-cGMP-α1-PI (0.1μg/ウェル)を用い、各種競合剤の存在化でELISAを行った。本抗体と8-S-cGMP-α1-PIとの反応は、8-グルタチオニル-cGMPによってもっとも強く阻害され、8-チオアルコキシ-cGMP構造を特異的に認識していることが確認された。
【図2】図2は、ポリクローナル抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体を用いて、S-グアニル化蛋白質を検出した結果を示す図である。ヒトα1-PIあるいはBSAを8-ニトロcGMPと反応させて、それら蛋白質のSH基にcGMPを導入した。反応液を経時的に採取したものをSDS-PAGEにて分離し、ポリクローナル抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体にて免疫ブロットした結果である。
【図3】図3は、競合ELISAによるモノクローナル抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体の特異性を調べた結果を示した図である。固相化抗原として8-S-cGMP-BSA (0.1μg/ウェル)を用い、各種競合剤の存在化でELISAを行った。本抗体と8-S-cGMP-BSAとの反応は、8-グルタチオニル-cGMPによってもっとも強く阻害され、8-チオアルコキシ-cGMP構造を特異的に認識していることが確認された。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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