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Specification :(In Japanese)分子イメージングにより代謝機能を測定するための検査薬

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6124273
Publication number P2013-180959A
Date of registration Apr 14, 2017
Date of issue May 10, 2017
Date of publication of application Sep 12, 2013
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)分子イメージングにより代謝機能を測定するための検査薬
IPC (International Patent Classification) A61K  51/00        (2006.01)
G01N  33/58        (2006.01)
FI (File Index) A61K 49/02 A
G01N 33/58 Z
Number of claims or invention 2
Total pages 14
Application Number P2012-044231
Date of filing Feb 29, 2012
Date of request for substantive examination Feb 27, 2015
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】川井 恵一
【氏名】玉井 郁巳
【氏名】國嶋 崇隆
【氏名】中西 猛夫
【氏名】小林 正和
Representative (In Japanese)【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
Examiner (In Japanese)【審査官】井上 明子
Document or reference (In Japanese)特開平02-115132(JP,A)
特表2003-534297(JP,A)
特表平04-502617(JP,A)
Nuclear Medicine and Biology,2009年,Vol.36,p.155-162
老年期認知症研究会誌,2010年,Vol.16,第64-67頁
The Science of the Total Environment,1997年,Vol.198,p.51-60
Soil Biology & Biochemistry,2001年,Vol.33,p.943-951
Drug Metabolism and Disposition,2011年,Vol.39, No.6,p.984-991
Free Radical Biology & Medicine,1999年,Vol.27, No.1/2,p.146-159
Drug Metabolism and Disposition,2011年,Vol.39, No.8,p.1329-1333
核医学,1993年,第30巻,第7号,第761-767頁
Nuclear Medicine and Biology ,1993年,Vol.20, No.8,p.895-899
Field of search A61K 51/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
15-(4-ヨードフェニル)-3(R、S)-メチルペンタデカン酸(123I)、11C-パルミチン酸及び123I-ヘプタデカン酸のC1-6アルキルエステル、並びに125I標識イオマゼニルから選ばれるエステル化合物を含有する、分子イメージングにより、肝エステラーゼによるエステル基の加水分解機能を測定するための検査薬。
【請求項2】
前記エステル化合物が125I標識イオマゼニルである請求項1記載の検査薬。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、分子イメージングにより代謝機能を測定するための検査薬に関する。
【背景技術】
【0002】
分子イメージングとは、生体内での分子プロセスの可視化に関する基礎的・臨床的研究及び開発された可視化手法を利用する応用研究及びそれらの方法の総称であり、生物が生きた状態のままで外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察するために、例えば、ポジトロン断層撮影法(Positron Emission Tomography, PET)、単一光子放射断層撮影法(Single Photon Emission Computed Tomography, SPECT)、近赤外光画像法(Near Infrared Imaging, NIRI)や核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging, MRI)、化学シフト画像法(Chemical Shift Imaging, CSI)として利用されている。
【0003】
非特許文献1には、胆管腔を形成するサンドイッチ培養肝細胞(SCH)を用いた薬物排出トランスポーターMRP2輸送活性の評価法として、細胞内で加水分解されてMRP2蛍光基質5 (and 6)-carboxy-2’,7’-dichlorofluorescein(CDF)へ変換されるCDF Diacetate(CDFDA)を用いた薬物排出トランスポーターMRP2の輸送機能の定量的可視化法(Quantitative Time-Lapse Imaging, QTLI)が記載されている。
【0004】
しかしながら、非特許文献1は、MRP2輸送機能の定量的可視化を意図しているだけで、分子イメージングによる代謝機能の測定までは意図していない。
【0005】
放射性医薬品として用いられているN-ピリドキシル-5-メチルトリプトファンテクネチウム注射液(99mTc-PMT)注射液は、肝胆道系の機能が正常の場合、静脈内に注射されると速やかに血液中から消失してその大部分が肝臓に集積し、次いで胆道系を経て腸管内に排泄され、一方、肝胆道系に種々の疾患や機能障害がある場合、その程度に応じて肝臓集積低下や腸管内排泄遅延など異常動態が観察でき、肝胆道系疾患及び機能の診断に有用である(非特許文献2~4)。
【0006】
同様にMRI造影剤として用いられている常磁性のガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA)は、静脈内へ投与後、血管内及び細胞間隙に非特異的に分布した後、肝細胞に特異的に取り込まれるため、ダイナミック撮像による血流評価及び肝細胞機能の評価に有用である。この製剤も健康成人に静脈内投与したとき、約40%が胆汁を経由して糞中に排泄されるが、血清中及び胆汁、尿試料を分析した結果、代謝物は認められていない(非特許文献5)。
【0007】
しかしながら、従来生体内に投与されていた放射性医薬品あるいはMRI造影剤は、その作用・効果を奏するためには、代謝されないことが前提であり、これまで、それらの画像診断薬由来の代謝物の分析を目的に検査することはほとんど行われていない。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】日本薬学会北陸支部平成23年度第1回総会及び第123回例会、プログラム・講演要旨集p.21、6 In vitro 蛍光イメージング(QTLI)法を用いたMRP2機能変動評価-肝代謝を考慮した薬物間相互作用予測への応用-(2011年11月21日発行)
【非特許文献2】渡辺幸康,他:核医学,19:1589-1593,1982
【非特許文献3】大竹英二,他:画像診断,3:265-270,1983
【非特許文献4】中村和義,他:基礎と臨床,17:1227-1231,1983
【非特許文献5】バイエル薬品株式会社:ガドキセト酸ナトリウム[EOBプリモビスト注]医薬品インタビューフォーム,2011年10月(第3版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、非侵襲的に生体内組織における代謝機能を測定できる検査薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物に変化する化合物を含有する、分子イメージングにより代謝機能を測定するための検査薬。
(2)前記化合物が、放射性化合物であって、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい放射性代謝物に変化する放射性化合物である前記(1)に記載の検査薬。
(3)前記化合物が、蛍光性化合物であって、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい蛍光性代謝物に変化する蛍光性化合物である前記(1)に記載の検査薬。
(4)前記化合物が、常磁性化合物であって、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい常磁性代謝物に変化する常磁性化合物である前記(1)に記載の検査薬。
(5)前記化合物が、磁気共鳴性化合物であって、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい磁気共鳴性代謝物に変化する磁気共鳴性化合物である前記(1)に記載の検査薬。
【発明の効果】
【0011】
本発明の検査薬によれば、非侵襲的に生体内組織における代謝機能を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の検査薬が肝臓細胞で代謝され、生じた放射性代謝物が、排出トランスポーターなどの作用により速やかに胆道系を経て腸管内に排泄される状態を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の検査薬を投与した被検者の肝臓組織における代謝機能が正常である場合及び代謝酵素の異常・機能低下がある場合の動態を示す図である。
【図3】図3は、ラット肝細胞ホモジネートへのCDFDA添加後の蛍光強度を示す図である。
【図4】図4は、H2FDA添加後のサンドイッチ培養胆管腔における蛍光強度に対するBSEP阻害剤トログリタゾンの影響を示す図である。
【図5】図5は、加水分解酵素で構造変換する蛍光性化合物添加後のサンドイッチ培養胆管腔における蛍光強度に対するBSEP阻害剤トログリタゾンの影響を示す図である。
【図6】図6は、マウス肝臓、腎臓における[S-methyl-14C]-L-Met及び[S-methyl-14C]-D-Metの組織内放射性代謝物の存在比を示す図である。
【図7】図7は、マウス肝臓、腎臓、胆汁における125I-イオマゼニルの組織内放射性代謝物分析のシリカゲル薄層クロマトグラフィーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に用いる化合物としては、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物に変化するものであれば、特に制限はない。

【0014】
本発明においては、代謝機能を測定する組織に移行し、未代謝状態では当該組織から排出されにくく、代謝機能の測定対象である酵素によって化学形が変化する、すなわち代謝され、かつ生じた放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物が速やかにその組織から消失するものを目的に応じて適宜選択すればよい(図1参照)。

【0015】
未代謝の放射性化合物等と、放射性代謝物等との組織からの排出されやすさの相違が大きい程、検査の感度が高くなる。

【0016】
ヒトの体表層や、マウス、ラット等の小動物であれば、蛍光標識を利用した分子イメージングでも充分な感度が得られるが、ヒトの体深部の組織における代謝機能を測定する場合には、非侵襲的なイメージングも可能な点で、生体内に存在する酵素の作用により組織から排出されやすい放射性代謝物等に変化する放射性化合物等を用いることが好ましい。

【0017】
多くのエステル化合物は肝エステラーゼにより加水分解されてカルボン酸化合物に変換することが知られている。例えば、いわゆるプロドラッグと呼ばれる化合物の放射性標識体、蛍光性標識体、常磁性標識体又は磁気共鳴元素標識体を本発明の化合物として用いることができる。

【0018】
また、123I-BMIPP(15-(4-ヨードフェニル)-3(R、S)-メチルペンタデカン酸123I)、11C-パルミチン酸、123I-ヘプタデカン酸等の種々の放射性カルボン酸が診断薬として用いられているが、これらの放射性カルボン酸をエステル、例えば、C1-6アルキルエステル、コレステロールエステル、又はモノ、ジもしくはトリグリセリドに変換した放射性カルボン酸エステルも本発明の放射性化合物として用いることができる。

【0019】
また、シトクロムP450は基質を水酸化して、排出されやすい水溶性の物質に変換するので、シトクロムP450の基質に対応する放射性化合物、蛍光性化合物、常磁性化合物又は磁気共鳴性化合物を常法により合成して、本発明の検査薬として用いることができる。シトクロムP450の基質が、カルボキシル基又は水酸基を有する場合には、エステルに変換することにより、カルボキシル基又はアミノ基を有する場合には、アミドに変換することにより、未代謝の放射性化合物、蛍光性化合物、常磁性化合物又は磁気共鳴性化合物と、放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物との組織からの排出されやすさの相違が大きくなるので、検査の感度が高くなる。

【0020】
この場合、検査の感度を向上させる目的で速やかな組織からの排泄を達成するためには、本発明の検査薬から生じる放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物が排出トランスポーターの基質となって細胞外に輸送されるものを用いることが望ましい。特に、特定の代謝酵素による代謝以降に複数の代謝物が存在しても、それらの代謝物のすべてが排出トランスポーターの基質として速やかに細胞外に排出されれば、代謝酵素活性をイメージングすることができる。

【0021】
シトクロムP450(CYP)の各分子種とその基質となりうる化合物との具体例を以下に示す。
(CYP1A2)
amitriptyline, caffeine, clomipramine, clozapine, cyclobenzaprine, estradiol, fluvoxamine, haloperidol, imipramine, mexiletine, naproxen, olanzapine, ondansetron, acetaminophen, propranolol, riluzole, ropivacaine, tacrine, theophylline, tizanidine, verapamil, R-warfarin, zileuton, zolmitriptan
(CYP2B6)
bupropion, cyclophosphamide, efavirenz, ifosphamide, methadone, sorafenib
(CYP2C8)
amodiaquine, cerivastatin, paclitaxel, repaglinide, sorafenib, torsemide
(CYP2C9)
非ステロイド性抗炎症薬:diclofenac, ibuprofen, lornoxicam, meloxicam, S-naproxen, piroxicam, suprofen
経口血糖降下剤:tolbutamide, glipizide
アンジオテンシンII阻害薬:losartan, irbesartan
スルホニル尿素系薬剤:glyburide, glibenclamide, glipizide, glimepiride, tolbutamide
その他:amitriptyline, celecoxib, fluoxetine, fluvastatin, glyburide, nateglinide, phenytoin-4-OH2, rosiglitazone, tamoxifen, torsemide, S-warfarin
(CYP2C19)
プロトンポンプ阻害薬:lansoprazole, omeprazole, pantoprazole, rabeprazole
抗てんかん剤:diazepam, phenytoin, S-mephenytoin, phenobarbitone
その他:amitriptyline, carisoprodol, citalopram, chloramphenicol, clomipramine, clopidogrel, cyclophosphamide, hexobarbital, imipramine, indomethacin, R-mephobarbital, moclobemide, nelfinavir, nilutamide, primidone, progesterone, proguanil, propranolol, teniposide, R-warfarin
(CYP2D6)
tamoxifen
β遮断薬:carvedilol, S-metoprolol, propafenone, timolol
抗うつ薬:amitriptyline, clomipramine, desipramine, fluoxetine, imipramine, paroxetine
抗精神病薬:haloperidol, perphenazine, risperidone, thioridazine, zuclopenthixol
その他:alprenolol, amphetamine, aripiprazole, atomoxetine, bufuralol, chlorphenimipramine, chlorpromazine, codeine, debrisoquine, dexfenfluramine, dextromethorphan, donepezil, duloxetine, encainide, flecainide, fluvoxamine, lidocaine, metoclopramide, methoxyamphetamine, mexiletine, minaprine, nebivolol, nortriptyline, ondansetron, oxycodone, perhexiline, phenacetin, phenformin, promethazine, propranolol, sparteine, tramadol, venlafaxine
(CYP2E1)
麻酔薬:enflurane, halothane, isoflurane, methoxyflurane, sevoflurane
その他:acetaminophen, aniline, benzene, chlorzoxazone, ethanol, N,N-dimethylformamide, theophylline
(CYP3A4,5,7)
マクロライド系抗生物質:clarithromycin, erythromycin (not 3A5)
抗不整脈薬:quinidine (not 3A5)
ベンゾジアゼピン系薬物:alprazolam, diazepam, midazolam, triazolam
免疫調節剤:cyclosporine, tacrolimus (FK506)
抗HIV薬:indinavir, nelfinavir, ritonavir, saquinavir
消化管運動改善薬:cisapride
抗ヒスタミン薬:astemizole, chlorpheniramine, terfenadine
カルシウム拮抗薬:amlodipine, diltiazem, felodipine, lercanidipine, nifedipine, nisoldipine, nitrendipine, verapamil
HMG-CoA還元酵素阻害薬:atorvastatin, cerivastatin, lovastatin, simvastatin
ステロイド類:estradiol, hydrocortisone, progesterone, testosterone
その他:alfentanil, aprepitant, aripiprazole, boceprevir, buspirone, caffeine, cilostazol, cocaine, dapsone, dexamethasone, dextromethorphan, docetaxel, domperidone, eplerenone, fentanyl, finasteride, gleevec, haloperidol, imipramine, irinotecan, LAAM, lidocaine, methadone, nateglinide, ondansetron, pimozide, propranolol, quetiapine, quinine, risperidone, salmeterol, sildenafil, sirolimus, sorafenib, sunitinib, tamoxifen, taxol, telaprevir, terfenadine, torisel, trazodone, vincristine, zaleplon, ziprasidone, zolpidem
本発明においては、目的に応じて、前記放射性化合物、蛍光性化合物、常磁性化合物又は磁気共鳴性化合物を単独で、又は2種以上組み合わせて用いる。

【0022】
本発明に用いる放射性化合物の標識に利用する放射性核種としては、例えばトリチウム(3H)、11-炭素(11C)、14-炭素(14C)、13-窒素(13N)、15-酸素(15O)、18-フッ素(18F)、32-リン(32P)、59-鉄(59Fe)、62-銅(62Cu)、64-銅(64Cu)、67-銅(67Cu)、67-ガリウム(67Ga)、81m-クリプトン(81mKr)、81-ルビジウム(81Rb)、89-ストロンチム(89Sr)、90-イットリウム(90Y)、99m-テクネチウム(99mTc)、111-インジウム(111In)、123-ヨード(123I)、124-ヨード(124I)、125-ヨード(125I)、131-ヨード(131I)、133-キセノン(133Xe)、117m-スズ(117mSn)、153-サマリウム(153Sm)、186-レニウム(186Re)、188-レニウム(188Re)、201-タリウム(201Tl)、212-ビスマス(212Bi)、213-ビスマス(213Bi)及び211-アスタチン(211At)が挙げられる。

【0023】
本発明に用いる磁気共鳴性化合物の標識に利用する磁気共鳴核種としては、例えば重水素(2H)、10-ホウ素(10B)、11-ホウ素(11B)、13-炭素(13C)、14-窒素(14N)、15-窒素(15N)、17-酸素(17O)、19-フッ素(19F)、23-ナトリウム(23Na)、25-マグネシウム(25Mg)、27-アルミニウム(27Al)、29-ケイ素(29Si)、31-リン(31P)、39-カリウム(39K)、41-カリウム(41K)、43-カルシウム(43Ca)、129-キセノン(129Xe)が挙げられる。

【0024】
本発明に用いる常磁性化合物の標識に利用する常磁性金属としては、例えば第1遷移金属(鉄(Fe)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)など)、ランタノイド(ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)など)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)が挙げられる。

【0025】
本発明においては、生体内に存在する酵素の作用により、非蛍光性化合物から蛍光性代謝物に変化する化合物、例えばCDFDA、dihydrofluorescein diacetate(H2FDA)を用いることもできる。また、蛍光性化合物の標識に用いる蛍光性試薬には、近赤外領域の光を発光するものを含む。近赤外蛍光基としては、例えば、ICG(インドシアニングリーン)などのインドシアニン色素、Cy7、DY776、DY750、Alexa790、Alexa750が挙げられ、これらの近赤外蛍光基を有するエステル化合物等を蛍光性化合物として用いることができる。

【0026】
本発明の検査薬の投与経路としては、静脈内、皮内、皮下、経口、経粘膜、及び直腸投与などが挙げられる。

【0027】
本発明の検査薬の投与形態としては、投与経路に適した剤形であれば、注射剤、液剤、錠剤等から適宜選択すればよく、本発明の作用及び効果を損なわない限り、薬学的に許容される担体、又は剤形によって当該技術分野において一般的に使用される添加剤を更に含んでもよい。添加剤として、例えば、着色剤、保存剤、風味剤、香り改善剤、呈味改善剤、甘味剤、又は安定剤、その他薬学的に許容される添加剤を含有することができる。

【0028】
本発明の検査薬の投与量は、投与方法、投与する化合物ならびに患者の年齢、性別及び体重によって、適宜決定すればよい。

【0029】
本発明の検査薬は、投与後、代謝機能を測定する組織に移行し、未代謝状態では当該組織から排出されにくいが、代謝により生じる放射性代謝物、蛍光性代謝物、常磁性代謝物又は磁気共鳴性代謝物は速やかにその組織から消失する(図1参照)。例えば、肝臓組織において、代謝機能が正常であれば、イメージング像は速やかに消失するが、肝臓組織において、代謝酵素の異常・機能低下があれば、イメージング像が長時間観察される(図2)。したがって、in vivoで非侵襲的な方法により外部から代謝機能を測定することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
コラゲナーゼ還流法により調製したラット遊離肝細胞を2×106個/mLになるように蒸留水に懸濁し、ホモジナイザーで機械的にホモジネートを調製した。このホモジネート200μLに対し、蒸留水で20μMの濃度に調製した5 (and 6)-carboxy-2’,7’-dichlorofluorescein diacetate(CDFDA)を加え(終濃度10μM)、37℃で5分間インキュベーションした。400μLの氷冷1%Tritonを加えて反応を停止させ、高速遠心操作(15000rpm、10min、4℃)により上清に含まれる5 (and 6)-carboxy-2’,7’-dichlorofluorescein(CDF)及びCDFDAを回収した。CDFの蛍光強度は蛍光プレートリーダーで測定した。99℃で5分間熱変性させたホモジネートではCDFの蛍光がほぼ観察されず、その蛍光強度は熱変性しなかった場合の約2%程度であった(図3)。このことからCDFDAがラット肝細胞中に含まれる酵素により代謝され、CDFを含む蛍光物質が得られることがわかった。
【実施例】
【0032】
このことにより、代謝酵素によって化学形が変化することにより初めて測定可能な信号(この場合は蛍光)を発し、その代謝物(この場合はCDFという蛍光物質)が排出トランスポーターなどの作用により速やかに排出される場合、細胞外排出の律速段階は酵素反応であるため、その排出速度が代謝酵素活性を示すことになる。すなわち、サンドイッチ培養ラット肝細胞においては、顕微鏡下で蛍光物質は胆管腔に局在しており、観察される蛍光強度が酵素活性を反映している。また、肝臓や腎臓のように排出先が胆管腔や尿細管腔のように排泄系である場合には、イメージングにより、体外測定が容易になる。
【実施例】
【0033】
前記の熱変性しなかった場合は肝臓組織の代謝機能が正常の場合に対応し、前記の熱変性させた場合は肝臓組織の代謝機能が異常であるときの典型例に対応する。
【実施例】
【0034】
したがって、本発明の検査薬によれば、肝臓等の組織における代謝機能を測定できることがわかる。
【実施例】
【0035】
(実施例2)
文献(Dunn, J., Yarmush, M., Koebe, H., & Tompkins, R.: Hepatocyte function and extracellular matrix geometry: long-term culture in a sandwich configuration. FASEB J., 3: 174-177, 1989)記載の方法に従い、ラット肝から遊離肝細胞を単離後、予めコラーゲンコートしておいた35mmプレートに播種した。細胞を接着させるために37℃、5%CO2条件下で2~6時間培養した後、William’s E medium(WEM)へと培地を交換した。播種から24時間後に培地をマトリゲル含有WEMへ交換し、細胞にマトリゲルを重層しサンドイッチ培養した。播種後4日後に実験に供した。敷石上に培養された細胞間隙にサンドイッチ培養ラット肝細胞(SCRH)特徴的な胆管腔の形成が促された。次に、細胞内で蛍光物質に代謝されるdihydrofluorescein diacetate(H2FDA)10μMをサンドイッチ培養したラット肝細胞とインキュベートし(37℃、pH7.4)、蛍光顕微鏡により胆管腔に蓄積される蛍光物質の蛍光強度を経時的に測定し、定量化した。H2FDAと胆汁酸トランスポーターBSEP(Bile Salt Efflux Pump)の阻害剤であるトログリタゾン50μMを共存させた場合(図4、○)、非存在時(図4、●)で有意な蛍光が観察された6分以降15分までの蛍光強度は非存在時(図4、●)と比較して有意に減少した。
【実施例】
【0036】
肝細胞に取り込まれた後に代謝変化を受けて初めて蛍光を発するH2FDAを用いることにより、代謝酵素によって化学形が変化することにより初めて測定可能な信号(この場合は蛍光)を発し、その代謝物がトランスポーターなどの作用により速やかに排出される場合、細胞外排出の律速段階は酵素反応であるため、その排出速度が代謝酵素活性を示すことになり、肝臓や腎臓のように排出先が胆管腔や尿細管腔のように排泄系である場合には、イメージングにより、体外測定が可能になる。特に、H2FDAでは、実施例1とは異なって酵素によって生成する複数の蛍光代謝物の存在が確認されているが、特定の代謝酵素による代謝以降に複数の代謝物が存在しても、それらの代謝物のすべてがBSEPのようないずれかの排出トランスポーターの基質として速やかに細胞外に排出されれば、代謝酵素活性をイメージングできる。
【実施例】
【0037】
(実施例3)
ラット肝細胞内への蓄積を増加させるために脂溶性を高め、未代謝状態でも蛍光を持つように合成された加水分解酵素で構造変換する蛍光性化合物30μMをサンドイッチ培養したラット肝細胞に取込ませ、蛍光顕微鏡により胆管腔に蓄積される蛍光物質の蛍光強度を測定し、定量化した。前記蛍光性化合物と胆汁酸トランスポーターBSEPの阻害剤であるトログリタゾン50μMを共存させた場合(図5、○)、24分までの蛍光強度は非存在時(図5、●)と比較して有意に減少した。
【実施例】
【0038】
肝細胞に取り込まれた物質の胆管腔排泄を確認できる実験系であるサンドイッチ培養ラット肝細胞に対して、ここでは未代謝状態でも蛍光を発する加水分解酵素で構造変換する蛍光性化合物を用いた場合でも、それが肝細胞内の酵素(エステラーゼ)によって代謝されて化学形が変化し、その標識代謝物が排出トランスポーターなどの作用により速やかに排出される場合、細胞外排出の律速段階は酵素反応であるため、肝臓や腎臓のように排出先が胆管腔や尿細管腔のように排泄系である場合には、イメージングにより、体外測定が可能になる。このように、生成する代謝物がトランスポーターなどの作用により速やかに排出されれば、投与するプローブが代謝を受ける前から測定可能な信号(この場合は蛍光)を発していても、その排出速度が代謝酵素活性を示すことになるため、実施例1及び2のように代謝によって蛍光物質に変化する必要はなく、このイメージングに用いるプローブの標識には蛍光・発光体に加えて放射性化合物、例えば加水分解酵素で構造変換する放射性化合物を用いることも可能であり、放出される放射線をその種類に応じてPETやSPECTなどのカメラで体外検出し、標的組織を経時的にイメージングすることにより、非侵襲的に体深部の代謝酵素活性を測定できる。また同様に、標識に常磁性金属や磁気共鳴核種を用いることにより、MRIやCSI装置でそれらに由来するMR信号を体外検出し、標的組織を経時的にイメージングすることにより、非侵襲的に体深部の代謝酵素活性を測定できる。
【実施例】
【0039】
放射性カルボン酸エステルを用いた分子イメージングでは、肝臓組織において、代謝機能が正常であれば、イメージング像は速やかに消失するが、肝臓組織において、代謝酵素の異常・機能低下があれば、イメージング像が長時間観察される(図2)。
【実施例】
【0040】
(実施例4)放射性天然アミノ酸のマウス体内分布動態と放射性代謝物の分析
放射性核種標識アミノ酸として、L-又はD-メチオニン(L-/D-Met)の[S-methyl-3H]標識体(S-L-/D-Met;American Radiolabeled Chemicals)と[1-carboxyl-14C]標識体(1-L-/D-Met;American Radiolabeled Chemicals)を用い、ダブルトレーサー法により検討した。
【実施例】
【0041】
5週齢ddY系雄性マウスにS-/1-L-Met(L-Met)又はS-/1-D-Met(D-Met)を尾静脈投与し、10、30、60分後にマウスを心臓採血後に屠殺して、肝臓、胆嚢、十二指腸、膵臓、腎臓を摘出した。質重量を秤量した摘出臓器の一部にSolvable(Parkin Elmer)を加え、加温振透して溶解した後、液体シンチレーターUltima Gold(Parkin Elmer)を加えて液体シンチレーションカウンター(Aloka、LSC-5100)にて単位重量当たりの放射能集積率を算出した。
【実施例】
【0042】
組織中放射性代謝物の評価には、[S-methyl-14C]-L-Met(S-L-Met;American Radiolabeled Chemicals)又は[S-methyl-14C]-D-Met(S-D-Met;American Radiolabeled Chemicals)を投与後10分のマウスの肝臓、腎臓を摘出し、これらに重炭酸緩衝液を加えホモジナイズした後、最終濃度5%となるように100%トリクロロ酢酸(Nacalai tesque)を加え、混和した。この沈殿画分をグラスフィルター(GC-50、Toyo)に捕集し、氷冷5%トリクロロ酢酸で洗浄した後、150℃、1時間加熱処理することによりタンパクを固定し、その放射能を測定したものをタンパク画分への組み込み率として評価した。また、前記のトリクロロ酢酸を加えたホモジネートを遠心分離し、その上清をシリカゲル薄層板(Merck社Art.5553)にスポット後、展開溶媒(ブタノール:酢酸:水=4:1:1)で展開した。14C専用イメージングプレート(BAS-SR2025,Fuji Film)に露光後、BAS5000(Fuji Film)を用いて解析し、未変化体残存率から代謝物存在率を算出した。
【実施例】
【0043】
図6にS-L-Met又はS-D-Met投与後10分のマウスから摘出した代謝性組織である肝臓及び腎臓中の代謝物存在率を示す。S-D-Metを投与したマウス肝臓又は腎臓に存在する放射能は、約80%が未変化体として存在していたのに対し、S-L-Met投与マウスにおいては未変化体は約40%以下しか存在しておらず、約20~50%は放射性代謝物として存在していることを確認した。これら全く同じ分子構造を有する2種の光学異性体の相異は専ら酵素反応によるものであり、この傾向は標識部位が異なる1-L-/D-体でも同様である。
【実施例】
【0044】
S-/1-L-Met(L-Met)及びS-/1-D-Met(D-Met)投与後10、30、60分のマウス体内分布における血液、肝臓、胆嚢、十二指腸、膵臓、腎臓における単位重量当たりの集積率を表1に示した。
【実施例】
【0045】
【表1】
JP0006124273B2_000002t.gif
【実施例】
【0046】
L-MetはD-Metに比べて、投与後早期より顕著な肝臓集積を示し、その後の胆嚢移行を経て十二指腸に至る胆汁排泄が確認された。これらL-体のD-体との差異は、栄養素である天然アミノ酸L-Metは胆汁中には排泄されないことを考慮すると、図6に示した肝臓における放射性代謝物の有無の違いによるものである。肝臓におけるL-Metに特徴的な低分子代謝にメチル基転移反応が知られているが、特にS-methyl基に標識部位を有するS-L-Met(臨床PET製剤は11C標識体)においては、放射性代謝物にメチル基受容体化合物が含まれており、イメージで検出し得るこの排泄速度がメチルトランスフェラーゼの酵素活性を示すことになる。
【実施例】
【0047】
(実施例5)放射性ヨウ素標識放射性医薬品の放射性代謝物の分析
125I標識イオマゼニル(125I-IMZ(臨床PET製剤は123I標識体))は日本メジフィジックス社より提供を受けた。
【実施例】
【0048】
125I-IMZの生理食塩溶液0.1ml(370kBq)を体重約25gのddY系雄性マウスに尾静脈より投与し、10分後にエーテル麻酔にて屠殺した。胆嚢より胆汁を採取した後、肝臓、胆嚢、腎臓を摘出した。
【実施例】
【0049】
摘出臓器100mgを精秤し、Krebs-Ringerリン酸緩衝溶液(pH7.4)900μlを加えて、超音波ホモジナイザーにてホモジナイズした。このホモジネートに最終濃度5%となるように100%トリクロロ酢酸(Nacalai tesque)を加え、混和した。遠心分離(15000rpm、5分間)した後、その上清を文献(吉村弘一,他:核医学,32: 1037-1043, 1995)記載の方法に従い、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Merck社Art.5553、展開溶媒;酢酸エチル:アセトン:アンモニア水(28)=90:10:1)にて分析した。胆嚢から採取した胆汁も全量をKrebs-Ringerリン酸緩衝溶液(pH7.4)に混和し、同様にトリクロロ酢酸処理後、遠心分離した上清を分析した。投与前の未変化体の結果とともに図7に示す。
【実施例】
【0050】
マウス生体内の肝臓において、125I-IMZは容易に代謝され、肝細胞中には未変化体は僅かに検出されるのみで、原点付近にとどまる水溶性放射性代謝物を含むいくつかの放射性代謝物が検出された。また、肝臓から排泄された胆汁中には未変化の125I-IMZはほとんど検出されず、その大部分が原点付近の水溶性放射性代謝物であった。
【実施例】
【0051】
以上のように、肝臓に取り込まれた125I-IMZは代謝酵素によって代謝され、生成した水溶性放射性代謝物が胆汁中に排泄されていることがわかった。これらの傾向を利用し、個体差、病態の変化による胆汁排泄される放射性代謝物の量の相違を分子イメージングによる肝臓からの消失速度あるいは胆汁排泄の速度を測定することにより、薬物代謝機能を測定が可能であることが確認された。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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