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Specification :(In Japanese)排気ガスの処理方法及び装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4472638
Date of registration Mar 12, 2010
Date of issue Jun 2, 2010
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)排気ガスの処理方法及び装置
IPC (International Patent Classification) B01D  53/56        (2006.01)
B01D  53/77        (2006.01)
B01J  19/08        (2006.01)
F01N   3/08        (2006.01)
FI (File Index) B01D 53/34 130C
B01D 53/34 129Z
B01J 19/08 ZABE
F01N 3/08 C
F01N 3/08 B
Number of claims or invention 16
Total pages 14
Application Number P2005-516807
Date of filing Nov 17, 2004
International application number PCT/JP2004/017049
International publication number WO2005/065805
Date of international publication Jul 21, 2005
Application number of the priority 2004002207
Priority date Jan 7, 2004
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Dec 6, 2006
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】801000061
【氏名又は名称】財団法人大阪産業振興機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大久保 雅章
【氏名】山本 俊昭
【氏名】黒木 智之
Representative (In Japanese)【識別番号】110000040、【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
Examiner (In Japanese)【審査官】澤田 浩平
Document or reference (In Japanese)特開昭61-68126(JP,A)
特開2000-117049(JP,A)
Field of search B01D 53/34-53/81
B01J 10/00-12/02
B01J 19/00-19/32
F01N 3/00- 3/38
F01N 9/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
窒素酸化物を含む排気ガスを浄化する方法であって、
空気を大気圧低温非平衡放電プラズマ反応器に供給してラジカルガスを生成し、前記ラジカルガスを酸化反応領域に供給し、
前記排気ガスを前記ラジカルガス生成ラインとは別個のラインから前記酸化反応領域に供給することにより、前記排気ガス中の窒素酸化物を前記ラジカルガスによりNO2を含む酸化ガスに酸化し、
次に、前記酸化ガスをNa2SO3,Na2S,及びNa2S2O3から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む還元剤水溶液と還元反応領域で接触させることにより、NO2を窒素ガス(N2)に還元反応させるに際し、
前記酸化反応領域と前記還元反応領域が1つの湿式反応器に存在し、
前記湿式反応器の下部が前記酸化反応領域であり、前記湿式反応器の上部が前記還元反応領域であり、
かつ前記還元剤水溶液を循環させる
ことを特徴とする排気ガスの処理方法。
【請求項2】
前記湿式反応器が塔式又はカラム式反応器である請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項3】
前記低温非平衡放電プラズマ反応器における反応温度が300℃以下である請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項4】
前記低温非平衡放電プラズマ反応器における反応温度が100℃以下である請求項3に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項5】
前記プラズマ発生手段が、交流又は直流電圧によるパルス放電方式、無声放電方式、コロナ放電方式、沿面放電方式、バリア放電方式、ハニカム放電方式、ペレット充填層放電方式、アーク放電方式、誘導結合型放電方式、容量結合型放電方式、マイクロ波励起放電方式、レーザ誘起放電方式、電子線誘起放電方式、粒子線誘起放電方式、又はこれらの結合である請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項6】
前記空気をラジカル化させる非平衡放電プラズマ反応器における非平衡放電プラズマの発生条件は、印加電圧:10~100kV、周波数:250Hz~1000Hzの範囲である請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項7】
前記非平衡放電プラズマが、パルスコロナ放電により発生した非平衡放電プラズマである請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項8】
前記空気を供給する大気圧低温非平衡放電プラズマ反応器を定常運転させる請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
【請求項9】
窒素酸化物を含む排気ガスを浄化する装置であって、
空気をラジカルガスにするための大気圧低温非平衡放電プラズマ反応器と、
前記ラジカルガスを酸化反応領域に供給するラインと、
前記排気ガスを前記ラジカルガス生成ラインとは別個のラインから前記酸化反応領域に供給するラインと、
前記排気ガス中の窒素酸化物を前記ラジカルガスによりNO2を含む酸化ガスに酸化するための前記酸化反応領域と、
前記酸化ガスをNa2SO3,Na2S,及びNa2S2O3から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む還元剤水溶液と還元反応領域で接触させることにより、NO2を窒素ガス(N2)に還元反応させる還元反応領域を含み、
前記酸化反応領域と前記還元反応領域が1つの湿式反応器に存在し、
前記湿式反応器の下部が前記酸化反応領域であり、前記湿式反応器の上部が前記還元反応領域であり、
かつ前記還元剤水溶液は循環式である
ことを特徴とする排気ガスの処理装置。
【請求項10】
前記湿式反応器が塔式又はカラム式反応器であり、下部に前記ラジカルガスと前記排気ガスの供給口が存在する請求項9に記載の排気ガスの処理装置。
【請求項11】
前記低温非平衡放電プラズマ反応器における反応温度が300℃以下である請求項9に記載の排気ガスの処理装置。
【請求項12】
前記低温非平衡放電プラズマ反応器における反応温度が100℃以下である請求項11に記載の排気ガスの処理装置。
【請求項13】
前記プラズマ発生手段が、交流又は直流電圧によるパルス放電方式、無声放電方式、コロナ放電方式、沿面放電方式、バリア放電方式、ハニカム放電方式、ペレット充填層放電方式、アーク放電方式、誘導結合型放電方式、容量結合型放電方式、マイクロ波励起放電方式、レーザ誘起放電方式、電子線誘起放電方式、粒子線誘起放電方式、又はこれらの結合である請求項9に記載の排気ガスの処理装置。
【請求項14】
前記空気をラジカル化させる非平衡放電プラズマ反応器における非平衡放電プラズマの発生条件は、印加電圧:10~100kV、周波数:250Hz~1000Hzの範囲である請求項9に記載の排気ガスの処理装置。
【請求項15】
前記非平衡放電プラズマが、パルスコロナ放電により発生した非平衡プラズマである請求項9に記載の排気ガスの処理装置。
【請求項16】
前記空気を供給する大気圧低温非平衡放電プラズマ反応器を定常運転させる請求項9に記載の排気ガスの処理装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスの処理方法及びその処理装置に関し、排ガス中の反応副生成物(例えばN2O,HNO2,HNO3,NO3-,CO)を抑制し、かつ、効率よく窒素酸化物を浄化する方法及び浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電所やディ-ゼルエンジン等に代表されるエネルギーの供給及びこれらのエネルギ-の消費に伴って一酸化窒素(NO)や、二酸化窒素(NO2)等の窒素酸化物が排出される。環境中に排出された窒素酸化物は光化学スモッグ等の原因となり、大都市での環境問題の重要課題としてその対策が検討されている。また一酸化二窒素(N2O)は、近年問題となっている地球温暖化ガスの原因としても注目されている。
【0003】
窒素酸化物を低減させる方法として、燃焼方式、触媒方式、選択触媒還元方式(SCR)、アンモニア噴射方式、また、近年においては、前記触媒方式や、非熱プラズマ、電子ビ-ム等の技術を結合して、窒素酸化物を低減させる方法や、その他前記方式とアンモニア、過酸化水素及び塩化カルシウム等の化学物質や触媒等を用いた方式との結合により、窒素酸化物を低減する方法が知られている。
【0004】
その中で注目を集めているのが、プラズマ・ケミカルハイブリッド法である。この原理にもとづく、直接非熱プラズマ法に関しては、下記特許文献1~3が提案されている。

【特許文献1】特開2000-117049号公報
【特許文献2】特開2000-51653号公報
【特許文献3】特開2001-300257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のSCR法などの触媒を使用した方法では、窒素酸化物の除去効率を高くするためには、多大なコストがかかるという問題があった。その他、低温非平衡プラズマを用いた従来方式においては、環境中の窒素酸化物を分解除去するために、反応過程において、一酸化二窒素(N2O)や、硝酸イオン(NO3-)、亜硝酸(HNO2)、及び硝酸(HNO3)等の副生成物が大量に生産されてしまい、これらの副生成物の除去がなされていないという問題があった。これらの副生成物を酸化・還元により浄化するためには、更なるコストの高騰につながるという問題があった。プラズマを用いる方法では、処理する排気ガスをリアクタに直接流し込み、非熱プラズマを用いてNOからNO2に酸化させ、ケミカルスクラバーで処理する2段階方法(前記特許文献1~2)、すなわち非熱ダイレクトプラズマ法が提案されているが、エネルギー効率が比較的低い。高温ガスをプラズマリアクタに流すため、処理効率が低下する。また腐食性の排ガスをプラズマリアクタに流すため、電極等の腐食が生じる等の問題があった。
【0006】
また前記特許文献3の方法は、排気ガスを一旦冷却し、排気ガスに含まれる有害ガスを吸着剤に吸着しこれを直接プラズマ分解するが、腐食性の排気ガスをプラズマリアクタに直接流すため、電極等の腐食が生じる問題は残り、またプラズマ分解した後のガスの副生成物の除去がなされていないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、排ガス中の反応副生成物(例えば、N2O,HNO2,HNO3,NO3-,CO)を抑制し、かつ、効率よく排気ガスを処理できる装置及び方法を提供する。
【0008】
本発明の排気ガスの処理方法は、窒素酸化物を含む排気ガスを浄化する方法であって、空気を大気圧低温非平衡放電プラズマ反応器に供給してラジカルガスを生成し、前記ラジカルガスを酸化反応領域に供給し、前記排気ガスを前記ラジカルガス生成ラインとは別個のラインから前記酸化反応領域に供給することにより、前記排気ガス中の窒素酸化物を前記ラジカルガスによりNO2を含む酸化ガスに酸化し、次に、前記酸化ガスをNa2SO3,Na2S,及びNa2S2O3から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む還元剤溶液と還元反応領域で接触させることにより、NO2を窒素ガス(N2)に還元反応させるに際し、前記酸化反応領域と前記還元反応領域が1つの湿式反応器に存在し、前記湿式反応器の下部が前記酸化反応領域であり、前記湿式反応器の上部が前記還元反応領域であり、かつ前記還元剤水溶液を循環させることを特徴とする。
【0009】
本発明の排気ガスの処理装置は、窒素酸化物を含む排気ガスを浄化する装置であって、空気をラジカルガスにするための大気圧低温非平衡放電プラズマ反応器と、前記ラジカルガスを酸化反応領域に供給するラインと、前記排気ガスを前記ラジカルガス生成ラインとは別個のラインから前記酸化反応領域に供給するラインと、前記排気ガス中の窒素酸化物を前記ラジカルガスによりNO2を含む酸化ガスに酸化するための前記酸化反応領域と、前記酸化ガスをNa2SO3,Na2S,及びNa2S2O3から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む還元剤溶液と還元反応領域で接触させることにより、NO2を窒素ガス(N2)に還元反応させる還元反応領域を含み、前記酸化反応領域と前記還元反応領域が1つの湿式反応器に存在し、前記湿式反応器の下部が前記酸化反応領域であり、前記湿式反応器の上部が前記還元反応領域であり、かつ前記還元剤水溶液は循環式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法及び装置は、大気圧低温非平衡プラズマでラジカル化された空気と、別途に排気ガスを酸化反応領域に供給し、排気ガス中の窒素酸化物をラジカルガスによりNO2を含む酸化ガスに酸化し、次に酸化ガスを還元剤溶液と接触させることにより、NO2を窒素ガス(N2)に還元する。これにより、排ガス中の反応副生成物(例えば、N2O,HNO2,HNO3,NO3-,CO)を抑制し、かつ、効率よく除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、空気を大気圧低温非平衡プラズマ(以下「低温非平衡プラズマ」という。)で処理してラジカルガスを生成させ、これを酸化反応領域に供給し、別途供給された排気ガスと反応させて排気ガス中の窒素酸化物をラジカルガスによりNO2を含む酸化ガスに酸化し、次に酸化ガスを還元剤溶液と接触させることにより、NO2を窒素ガス(N2)に還元する。前記において、酸化反応領域と還元反応領域は1つの湿式反応器内に存在させることが好ましい。
【0012】
本発明は、プラズマリアクタに空気を送り込み、低温非平衡プラズマで励起された空気成分のラジカルガスを湿式反応器の下部で排気ガスと混合し、NOをNO2に酸化させ、次にケミカルスクラバー(湿式反応器)で還元除去する。以下本発明の方法を、「非熱リモートプラズマ・ケミカルハイブリッド法」ともいう。
【0013】
本発明で用いる低温非平衡プラズマとは、ガス温度が通常の気体の燃焼温度(700~1000℃程度)より相当低い電離状態のプラズマをいい、通常300℃以下のプラズマをいう。下限の温度は例えば-200℃であっても使用できる。より好ましい条件は、温度:100℃以下、とくに好ましくは常温(0~40℃)である。他の好ましい条件は、圧力:大気圧程度、相対湿度:60%以下、印加電圧:10~100kV、ピーク電流1~100A、周波数:250Hz~1000Hzの範囲である。
【0014】
本発明においては、前記酸化反応領域と前記還元反応領域は、1つの湿式反応器に存在することが好ましい。とくに前記湿式反応器が塔式又はカラム式反応器であり、前記湿式反応器の下部に前記酸化反応領域が存在し、前記湿式反応器の上部に前記還元反応領域が存在することが好ましい。このようにすると装置の小型ができる。
【0015】
前記還元剤溶液は、Na2SO3,Na2S,NaOH,Na2S2O3及びCa(OH)2から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む水溶液であることが好ましい。これらの化合物を含む水溶液は還元作用が高く、リサイクルして使用できる。
【0016】
本発明で処理可能な排気ガスは燃焼排気ガスであり、その被処理成分が、NO,NO2,N2O,N2O5,SO2,SO3,揮発性有機化合物(VOCs),ダイオキシン類に代表される環境汚染物質,炭化水素,CO,CO2及び水蒸気(H2O)から選ばれる少なくとも一つが好ましい。例えばNO,NO2,N2O,N2O5等の窒素酸化物(NOx)は窒素ガス(N2)に還元し、SO2,SO3等の硫黄酸化物(SOx)、炭化水素,CO,CO2、トルエン、ベンゼン、キシレン等の揮発性有機化合物(VOCs)や、ダイオキシン類、ハロゲン化芳香族物質、高縮合度芳香族炭化水素等の環境汚染物質は無害な物質あるいは環境負荷の低い物質に分解又は変換できる。
【0017】
本発明における低温非平衡プラズマの利点を以下に示す。
(1)プラズマ処理される気体が排気ガスに比べ少量で低温のため、リアクタ内の滞留時間が増し、活性化されたラジカルが効率よく形成される。
(2)単位流量あたりのプラズマ消費エネルギーを下げることができる。
(3)小流量のラジカルで最適化を図れば数十倍のNOを酸化できる。したがって、リアクターを小型化できる。
(4)高温排ガスに対して適応することができる。例えば300℃以上の高温排ガスを、室温(27℃)程度の低温リモートプラズマにより効率よくNO2に酸化できる。
【0018】
本発明の一実施例は、排ガスの処理方法及びその処理装置に関し、排気ガスラインとは別に設置された大気圧の低温非平衡プラズマにより形成されたラジカルガスを、還元剤溶液を用いた湿式ケミカルスクラバーに注入するリモート処理により、排ガス中の反応副生成物(N2O、HNO2、HNO3、NO3-、CO等)を抑制し、かつ、効率よく処理できる装置及び方法を提供する。
【0019】
本発明の一実施例は、排ガス流路外に設置された低温非熱プラズマリアクタ及びそれによって活性化されたラジカルが注入される湿式ケミカルスクラバー(湿式反応器)を直結させている。これにより、低温非熱プラズマリアクタには空気のみ供給するので、常運転させることができる。すなわち、排気ガス流量が変動しても、プラズマガスの発生量を最大必要量以上に設定しておけば、低温非熱プラズマリアクタの運転条件を変動させなくてよい。その上、エネルギー効率が高く、処理効率も高い。加えて、プラズマリアクタには空気しか流さないので、電極等の腐食問題も改善される。
【0020】
低温非熱プラズマリアクタの種類及び発生させるプラズマの種類は特に限定されないが、下記実施例に記載の非平衡プラズマリアクタを好適例としてあげることができる。その他、プラズマを印加する方法は、交流又は直流電圧によるパルス放電方式、無声放電方式、コロナ放電方式、沿面放電方式、バリア放電方式、ハニカム放電方式、ペレット充てん層放電方式、アーク放電方式、誘導結合型放電方式、容量結合型放電方式、マイクロ波励起放電方式、レーザ誘起放電方式、電子線誘起放電方式、粒子線誘起放電方式、又はこれらの結合方式が使用できる。すなわち、本発明で使用されるプラズマリアクタは、プラズマを印加する各方式に従って、それに適した、考え得る種々の方式を採用することができる。とくに前記非平衡プラズマが、パルスコロナ放電により発生した非平衡プラズマであると使用するのに都合が良い。
【0021】
湿式ケミカルスクラバーの種類も特に限定されず、種々の形式のものを使用することができるが、下記の実施例1で説明するラシヒリング充てん式の一般的なケミカルスクラバーを好適例としてあげることができる。そのほか、液相への気泡吹き込み型のケミカルスクラバーを好適例としてあげることができる。
【実施例】
【0022】
(1)反応の説明
本実施例では、非平衡プラズマプロセスと湿式の化学反応プロセスを複合させたハイブリッドプロセスによりディーゼルエンジンや火力発電所等から排出される窒素酸化物NOx等の大気汚染物質の除去を目的としている。このプロセスの化学反応は、以下の2つの反応を複合させたものである。
【0023】
プラズマプロセス:NO+O*(酸素ラジカル)+M(第三体物体)→NO2+M (1)
湿式化学反応プロセス:2NO2+4Na2SO3→N2+4Na2SO4 (2)
前記反応(1)により排ガス中の大部分を占めるNOはNO2に低コストで酸化され、前記反応(2)によりNO2は無害で水溶性のNa2SO4とN2に還元される。なおNa2SO3とは異なる薬剤(例えばNa2S,NaOH,Na2S2O3, Ca(OH)2等)を使用しても良い。
【0024】
本実施例では非平衡プラズマプロセス(前記反応(1))において、従来の直接プラズマ法に対し、非熱リモート(間接)プラズマ法を用いて実験を行い、両者の性能を比較した。ここで、処理する排気ガスをリアクタに直接流し、NOをNO2に酸化させる方法を直接プラズマ法と名付ける。これに対し、空気あるいは少量の添加剤(炭化水素、アンモニアなど)をプラズマリアクタに流し、励起されたラジカルガスを排気ガス流路に注入し、NOをNO2に酸化させる方法を非熱リモート(間接)プラズマ法と名付ける。
(2)本実施例の実験装置
本発明の非熱リモートプラズマ法を用いた実験装置50の概略を図1に示す。
【0025】
コンプレッサー32から圧縮空気を、エアフィルターを備えたドライヤー33に供給して乾燥空気をつくり、この乾燥空気をマスフローコントローラ35により所定の流量で非熱プラズマリアクタ1に供給する。非熱プラズマリアクタ1には、IGBTパルス電源(増田研究所製、PPCP Pulsar SMC(30/1000)21により発生させた高速立ち上がり短幅パルス高電圧を印加する。これにより、O3、O*、OH、N等のラジカルを含む活性化ガスを生成した。非熱プラズマリアクタ1の印加電圧、電流、消費電力はオシロスコープ(横河電機社製DL 1740)37と高電圧プローブ、電流プローブ(Sony Tektronix社製、P6015A及びP6021)で測定し、瞬時電力の積分値から消費電力を求めた。このようにして得られた活性化ガスは、湿式反応器のケミカルスクラバー11に直接注入する。
【0026】
一方、排気ガスのモデルガスであるNOガスは、2%NOボンベ31からマスフローコントローラ34により所定の流量で供給し、空気供給ライン51からマスフローコントローラ52により所定の流量で供給し、NOと混合して、NOが所定の濃度に調整された模擬排ガス(空気希釈NOx、濃度300ppm)を、ケミカルスクラバー11に直接注入する。前記反応(1)はケミカルスクラバー11の下部の酸化反応領域10で起こり、前記反応(2)はケミカルスクラバー11の下部より上の部分で起こる。このようにしてケミカルスクラバー11内で、前記反応(1)及び(2)を連続的に起こさせる。生成ガスは、オゾン除去ヒーター38を通し、ガス分析計(堀場製作所製PG-235及びVIA-510)39によってNO、NOX、CO、N2O、CO2、O2の濃度を測定した。40はガス排出口、41はNa2SO3水溶液タンクである。
(3)本実施例のプラズマリアクタ
非熱プラズマリアクタの概略断面図を図2に示す。非熱プラズマリアクタ1は、内径20mm、外径24mmのパイレックス(登録商標)ガラス(石英ガラス)製円筒2の内部空間に、直径1.5mmのステンレス製放電線電極3を通し、円筒状の反応管2の外壁に銅製メッシュ(有効長260mm)を巻いて接地電極4とした。放電線電極3と接地電極4との間にはパルス高電圧電源21を接続した。円筒2の下と上の中空部は、シリコーンゴム栓5,6により密閉した。7はポリテトラフルオロエチレン製の多孔板、8はガス供給口、9はガス排出口、a、bはガス流を示す。このプラズマリアクタにより前記反応(1)を実現する。
(4)本実施例の湿式反応器
湿式反応器であるケミカルスクラバー(充てん塔)11の概略断面図を図3に示す。内径55.5mm、外径60.5mmのステンレス管12の下部から上部へ被処理ガスを流し、上部から液噴霧(スプレー)ノズル13によりNa2SO3水溶液14を噴霧して気液接触により前記湿式化学反応(2)を行う。内部には反応を促進させるためにラシヒリング(円筒型ガラス製、内径5mm、外径7mm、幅7.2mm)15を充てんしている。15aはラシヒリングの拡大形状である。ラシヒリング15の充てん高さは160mm、液噴霧ノズル13の高さはガス注入口16から340mm、ガス注入口16からラシヒリング開始点までの高さの差は100mmである。17はガス排出口、c、dはガス流を示す。18は液の高さを測るためのマノメーター、19はバルブ、20は液(ドレイン)排出口、eは排出液流を示す。
(5)比較例で用いた直接プラズマ法の実験装置
直接プラズマ法の実験装置30の概略を図4に示す。2%NOガスボンベ31からNOガスをマスフローコントローラ34により所定の流量で供給する。一方、コンプレッサー32から圧縮空気を、エアフィルターを備えたドライヤー33に供給して乾燥空気をつくり、この乾燥空気をマスフローコントローラ35により所定の流量で供給する。その後、NOと混合して、NOが所定の濃度に調整された模擬排ガス(空気希釈NOx、濃度300ppm)を、プラズマリアクタ1に供給する。プラズマリアクタ1には、IGBTパルス電源(増田研究所製、PPCP Pulsar SMC(30/1000)21により発生させた高速立ち上がり短幅パルス高電圧を印加する。これにより、前記反応(1)を起こさせ、次にケミカルスクラバー11にて前記還元処理反応(2)を行う。次にオゾン除去ヒーター38を通し、ガス分析計(堀場製作所製PG-235及びVIA-510)39によってNO、NOX、CO、N2O、CO2、O2の濃度を測定した。非熱プラズマリアクタ1の印加電圧、電流、消費電力はオシロスコープ(横河電機社製 DL 1740)37と高電圧プローブ、電流プローブ(Sony Tektronix社製、P6015A及びP6021)で測定し、瞬時電力の積分値から消費電力を求めた。40はガス排出口、41はNa2SO3水溶液タンクである。
【0027】
(実施例1、比較例1~3)
実施例1は図1に示す装置を用い、比較例1は図4の直接プラズマ処理装置30のみ、比較例2は図4に示す直接プラズマ装置30と湿式反応器11を直結した処理、比較例3は図1に示す非熱リモートプラズマ装置50のみとし、それぞれ模擬ガスの流量を5.0L/minとしたときのNOXの除去実験を行った。
【0028】
模擬排ガスの流量を5.0L/min、リモート時のラジカルガスの流量を0.5L/min、NOの初期濃度は300ppmとした。湿式反応器11を用いる場合は、充てん塔に流す還元剤水溶液の流量は0.20L/minとし、Na2SO3の濃度は2.0g/Lとした。また、IGBTパルス電源の周波数は420Hzに設定した。この時のプラズマリアクタにおける滞留時間は直接法の場合で0.84s、リモート法の場合8.4sであった。
【0029】
以上の結果を図5A-B、図6A-Bに示す。図5Aは直接プラズマ法のみ(比較例1)、図5Bは直接プラズマ法と湿式反応器を直結した処理(比較例2)、図6Aは非熱リモートプラズマ法のみ(比較例3)、図6Bは非熱リモートプラズマ法と湿式反応器を直結した処理(実施例1)のデータである。
【0030】
図5A-B、図6A-Bを比較すると、直接プラズマ法(図5A-B)に比べ、非熱リモートプラズマ法(図6A-B)のほうが、リアクタ消費電力が小さく、NO、NOxの減少量も大きいことがわかる。また、図6A-Bを比較すると、図6Bのほうが、リアクタ消費電力が小さく、NO、NOxの減少量も大きいことがわかる。プラズマ印加時に有害な副生成物としてN2OやCOの発生が懸念されたが、本発明の実施例である図6Bは、N2Oは10ppm前後、COは7ppm以下であった。また、CO2の濃度は360ppm前後で、数ppmの減少が見られた。
【0031】
(実施例2、比較例4~6)
実施例2は図1に示す装置を用い、比較例4は図4の直接プラズマ処理装置30のみ、比較例5は図4に示す直接プラズマ装置30と湿式反応器11を直結した処理、比較例6は図1に示す非熱リモートプラズマ装置50のみとし、それぞれ模擬ガスの流量を7.0L/minとしたときのNOXの除去実験を行った。
【0032】
次に模擬排ガスの流量7.0L/min、リモート時のラジカルガスを0.7L/min、NOの初期濃度は300ppmとした。湿式反応器11を用いる場合は、充てん塔に流す還元剤水溶液の流量は0.20L/minとし、Na2SO3の濃度は2.0g/Lとした。また、IGBTパルス電源の周波数は420Hzに設定した。この時のプラズマリアクタにおける滞留時間は直接法の場合で0.6s、リモート法の場合6.0sであった。
【0033】
結果を図7A-B、図8A-Bに示す。図7Aは直接プラズマ法のみ(比較例4)、図7Bは直接プラズマ法と湿式反応器を直結した処理(比較例5)、図8Aは非熱リモートプラズマ法のみ(比較例6)、図8Bは非熱リモートプラズマ法と湿式反応器を直結した処理(実施例2)のデータである。
【0034】
図7A-B、図8A-Bを比較すると、図5A-B、図6A-Bの場合と同様に非熱リモートプラズマ法(図8A-B)のほうがリアクタ消費電力は小さい。また、図8A-Bを比較すると、図8Bのほうが、リアクタ消費電力が小さく、NO、NOxの減少量も大きいことがわかる。本発明の実施例である図8Bは、N2Oは10ppm前後、COは7ppm以下であった。CO2の濃度は370ppm前後で、数ppmの減少が見られた。
【0035】
なお、図9A-Bにそれぞれ図8A-Bに対応する電圧及び電流波形の例を示す。
【0036】
(実施例3、比較例7)
図1に示す非熱リモートプラズマ法と湿式反応器を直結した処理(実施例3)と、図4に示す直接プラズマ法と湿式反応器を直結した処理(比較例7)について、単位処理ガス体積あたりのプラズマ消費エネルギー(SED)と除去効率の関係を検討した。すなわち、リアクタ消費電力からSED(単位処理ガス体積あたりのプラズマ消費エネルギー)を算出し、SEDとNO、NOxの除去効率の関係を調べた。
【0037】
その結果を図10に示す。これは流量7L/minの場合にプラズマ処理と湿式化学処理を同時に行った結果である。図10より、非熱リモートプラズマ法を用いた場合(remote)は、直接プラズマ法(direct)を用いた場合の約30%のSED=35J/L=10Wh/m3で80%程度のNO、NOxを還元除去していることがわかる。
【0038】
以上の実験から、本実施例の非熱リモートプラズマ法を用いたプラズマ・ケミカルハイブリットプロセスでは、エネルギー効率の大幅な改善が見られ、直接プラズマ法を用いた場合と比べ、約30%の単位流量当たりのエネルギーでNOxを還元除去することが確認できた。
【0039】
以上の実験から判明した非熱リモートプラズマ法の利点を以下に示す。
(a)プラズマ処理される気体が排気ガスに比べ少量のため、同じ大きさのプラズマリアクタを使用した場合、滞留時間が増し、小型化が可能となる。
(b)単位流量あたりのプラズマ消費エネルギーを下げ、エネルギー効率をさらに改善することができる。
(c)小流量の注入で最適化を図れば数十倍のNOを酸化できる。
【0040】
(実施例4)
実施例4においては、本発明のリモート非熱プラズマ・ケミカルハイブリットプロセス技術を立証するため、実際のボイラーを使用したパイロット試験を実施した。
【0041】
実験装置図を図11に示す。図1と共通する装置には同一の符号を付与し、説明は省略する。ボイラーはA重油を燃料とした炉筒煙管式スモールボイラー60を用いた。このボイラー60からの排ガスは、排気ガス供給ライン23からケミカルスクラバー11の下部の酸化反応領域10に供給した。非熱プラズマリアクタ1にはパルス放電リアクタを用いた。21高電圧電源である。ケミカルスクラバー11内は気液接触反応を促進させるために図3に示すような充てん材が充てんされている。また、Na2SO3水溶液はタンク41からケミカルスクラバー11上部からスプレー42に供給して噴霧し、底の部分で回収し、ポンプを用いて再び上部に戻す循環式とした。
【0042】
外気を吸入し、非熱プラズマリアクタ1で発生させたラジカルガスは、モーターで回転するファン61によって運ばれ、排ガス煙道に注入され、ケミカルスクラバー11の下部の酸化反応領域10に供給された。排ガス中のNOはオゾンなどのラジカルによりNO2に酸化され、ケミカルスクラバー11内でNO2はNa2SO3によりN2に還元除去され、ケミカルスクラバー11の上部から排気された
ボイラー60からの排ガス流量Qg=450~1170Nm3/h、ラジカルガス流量Qr=50~180Nm3/hと変化させたときの単位処理ガス体積あたりのプラズマ消費エネルギーとNO,NOx除去効率の関係を図12に示す。図12から、高温の排ガスであってもNO,NOxを効率よく除去できることが確認できた。
【0043】
この結果、本発明のリモート非熱プラズマ・ケミカルハイブリットプロセス技術は、実際のボイラー排ガスにも有効であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の排気ガス処理方法及び装置は、ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン、焼却炉等の燃焼システムに連結させて適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例における本発明の非熱リモートプラズマ処理を行うリアクタと湿式反応器を直結した装置の概略図。
【図2】同、非熱プラズマリアクタの概略断面図。
【図3】同、ケミカルスクラバー(充てん塔)の概略断面図。
【図4】比較例の直接プラズマ法の実験装置の概略図。
【図5】A-Bは比較例の直接プラズマ処理法における濃度変化を示すグラフ。
【図6】Aは比較例の濃度変化を示すグラフ、Bは本発明の一実施例における非熱リモートプラズマを行うリアクタと湿式反応器を直結した処理法における濃度変化を示すグラフ。
【図7】A-Bは比較例の直接プラズマ処理法における濃度変化を示すグラフ。
【図8】Aは比較例の濃度変化を示すグラフ、Bは本発明の一実施例における非熱リモートプラズマ法と湿式反応器を直結した処理法における濃度変化を示すグラフ。
【図9】A-Bは同、電圧、電流波形を示すグラフ。
【図10】同、単位処理ガス体積あたりのプラズマ消費エネルギーと窒素酸化物の除去効率を示すグラフ。
【図11】本発明の実施例4におけるボイラーの排ガスを本発明の非熱リモートプラズマ法と湿式反応器を用いて処理した装置の概略図。
【図12】同実施例4のNO,NOx除去効率と、単位処理ガス体積あたりのプラズマ消費エネルギーの関係を調べた実験データのグラフ。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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