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Specification :(In Japanese)変位計測方法、及び変位計測装置並びに変位計測用のターゲット

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5330229
Date of registration Aug 2, 2013
Date of issue Oct 30, 2013
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)変位計測方法、及び変位計測装置並びに変位計測用のターゲット
IPC (International Patent Classification) G01C  15/06        (2006.01)
G01C  15/00        (2006.01)
G01B  11/16        (2006.01)
FI (File Index) G01C 15/06 T
G01C 15/00 103B
G01B 11/16 Z
Number of claims or invention 15
Total pages 24
Application Number P2009-509256
Date of filing Mar 31, 2008
International application number PCT/JP2008/056391
International publication number WO2008/123510
Date of international publication Oct 16, 2008
Application number of the priority 2007090953
Priority date Mar 30, 2007
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Mar 16, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】599098127
【氏名又は名称】株式会社ソーキ
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大島 義信
【氏名】長谷川 伸二
Representative (In Japanese)【識別番号】100099645、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 晃司
Examiner (In Japanese)【審査官】▲うし▼田 真悟
Document or reference (In Japanese)特開平08-327400(JP,A)
特開2002-131018(JP,A)
特開2000-074636(JP,A)
特開2002-257545(JP,A)
国際公開第2006/11386(WO,A1)
Field of search G01C 15/00-15/06
G01B 11/00-11/30
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
レーザ光に対する反射部を有する一対のターゲットのそれぞれを、前記反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くように、かつ前記反射部の傾きが前記変位計測方向に関して互いに逆向きとなるようにして計測対象の計測対象位置に設置し、
前記一対のターゲットに対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置に、レーザ光を利用して距離又は該距離の変化量を出力する一対の距離検出手段を設置し、
前記一対の距離検出手段から前記一対のターゲットのそれぞれの反射部に、前記変位計測方向とは異なる方向でかつ前記反射部に対して斜めに傾く方向から、互いに平行な一対のレーザ光を照射するとともに、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と逆方向に返される反射光を前記距離検出手段で受光して、前記距離検出手段から前記一対のターゲットにおけるレーザ光のそれぞれの反射位置までの距離の変化量を計測し、
前記距離の変化量の計測値のそれぞれと、前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角と、前記変位計測方向の変位との関係を利用して、前記基準入射方向と前記レーザ光の実際の入射方向との間における角度のずれの影響を排除しつつ、前記計測対象位置の前記変位計測方向の変位を算出する変位計測方法。
【請求項2】
前記基準入射方向に対する前記一対のターゲットのそれぞれの反射部の傾斜角の絶対値が互いに等しい請求の範囲第1項に記載の変位計測方法。
【請求項3】
前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記基準入射方向に対するレーザ光の実際の入射方向のずれ角をα、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2としたときに、下式(F1)でずれ角αを算出し、得られたずれ角αを下式(F2)又は(F3)に代入して前記変位計測方向の変位δを算出する請求の範囲第2項に記載の変位計測方法。
【数1】
JP0005330229B2_000013t.gif

【請求項4】
前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2、前記変位計測方向の変位をδとしたときに、下式(F4)により変位δを算出する請求の範囲第2項に記載の変位計測方法。
【数2】
JP0005330229B2_000014t.gif

【請求項5】
前記一対の距離検出手段によって検出された距離の変化量の和に基づいて、前記基準入射方向に対するレーザ光の実際の入射方向のずれ角がゼロとなるように前記一対のレーザ光の入射方向を補正し、補正後の前記距離の変化量の計測値に基づいて前記変位を算出する請求の範囲第2項に記載の変位計測方法。
【請求項6】
レーザ光に対する反射部を有し、前記反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くように、かつ前記反射部の傾きが前記変位計測方向に関して互いに逆向きとなるようにして計測対象の計測対象位置に設置される一対のターゲットと、
前記一対のターゲットに対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置に設置され、前記変位計測方向とは異なる方向でかつ前記反射部に対して斜めに傾く方向から、互いに平行な一対のレーザ光を照射するとともに、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と逆方向に返される反射光を受光して、前記距離検出手段から前記一対のターゲットにおけるレーザ光のそれぞれの反射位置までの距離又は該距離の変化量を出力する一対の距離検出手段と、
を備えた変位計測装置。
【請求項7】
前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記一対のターゲットのそれぞれの反射部の傾斜角の絶対値が互いに等しくなるように、前記一対のターゲットが設置されている請求の範囲第6項に記載の変位計測装置。
【請求項8】
前記一対のターゲットに関する前記距離の変化量の計測値のそれぞれと、前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角と、前記変位計測方向の変位との関係を利用して、前記基準入射方向と前記レーザ光の実際の入射方向との間における角度のずれの影響を排除しつつ、前記計測対象位置の前記変位計測方向の変位を算出する変位算出手段を備えた請求の範囲第7項に記載の変位計測装置。
【請求項9】
前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記基準入射方向に対するレーザ光の実際の入射方向のずれ角をα、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2としたときに、前記変位算出手段は、下式(F1)でずれ角αを算出し、得られたずれ角αを下式(F2)又は(F3)に代入して前記変位計測方向の変位δを算出する請求の範囲第8項に記載の変位計測装置。
【数3】
JP0005330229B2_000015t.gif

【請求項10】
前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2、前記変位計測方向の変位をδとしたときに、前記変位算出手段は、下式(F4)により変位δを算出する請求の範囲第8項に記載の変位計測装置。
【数4】
JP0005330229B2_000016t.gif

【請求項11】
レーザ光を反射するための反射部を有し、該反射部には、互いに平行な複数の小反射面が該小反射面の法線方向及び該法線方向と直交する高さ方向のそれぞれに漸次位置をずらして配置され、かつ小反射面間には非反射面が設けられた変位計測用のターゲットにおいて、
前記反射部を前記小反射面の法線方向から見たときに、前記非反射面が前記小反射面よりも前記反射部の高さ方向に後退することにより、前記小反射面同士が前記高さ方向に互いに部分的に重なり合っている変位計測用のターゲット。
【請求項12】
前記非反射面が、前記小反射面の法線方向に対して斜めに傾けられることにより、前記非反射面が前記高さ方向に後退している請求の範囲第11項のターゲット。
【請求項13】
前記非反射面が前記小反射面の法線方向と平行で、かつ前記小反射面が前記高さ方向に関して前記非反射面よりも突出して設けられることにより、前記非反射面が前記高さ方向に後退している請求の範囲第11項のターゲット。
【請求項14】
請求の範囲第11~13項のいずれか一項のターゲットを、前記反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くようにして計測対象の計測対象位置に設置し、
前記計測対象位置に対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置にレーザ距離計を設置し、
前記レーザ距離計から射出されるレーザ光を、前記変位計測方向とは異なる方向から前記反射部に対して斜め方向に入射させるとともに、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と略平行な方向に返される反射光を前記レーザ距離計で受光して前記レーザ距離計から前記反射部における前記レーザ光の反射位置までの距離の変化量を検出し、
検出された変化量と、前記計測対象位置の前記変位計測方向に関する変位との相関関係を利用して、前記変位計測対象位置の前記変位計測方向に関する変位を計測する変位計測方法。
【請求項15】
請求の範囲第11~13項のいずれか一項のターゲットが、前記反射部を変位計測方向に対して斜めに傾けた状態で計測対象の計測対象位置に設置され、
前記計測対象位置に対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置には、前記ターゲットの前記反射部に対して前記変位計測方向とは異なる方向でかつ前記反射部に対して斜めに傾く方向からレーザ光を照射し、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と略平行な方向に返される反射光を受光して、前記レーザ光の反射位置までの距離又は当該距離の変化量に対応した信号を出力するレーザ距離計が設置されている変位計測装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁等の構造物、地形等の適宜の箇所に設定された計測対象位置の変位を計測する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁等の構造物の特定方向の変位を計測する方法及び装置として、階段状の反射部を有するターゲットをその反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くようにして橋梁の上部工に設置し、橋脚にはレーザ距離計を設置し、そのレーザ距離計から略水平方向に沿ってターゲットの反射部にレーザ光を照射し、その反射部からの反射光をレーザ距離計で受光することにより、上部工の変位を計測する方法等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】

【特許文献1】国際公開公報WO2006/011386号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法及び装置では、変位計測方向と直交する方向にレーザ光が入射したことを前提とし、その変位計測方向と直交する方向に対するターゲットの反射部の傾斜角と、距離の変化量と構造物の変位との幾何学的関係を利用して、距離の変化量を変位計測方向の変位に換算している。従って、レーザ光の入射方向が変位計測方向と直交する方向に対してずれた場合、その角度のずれに応じて計測誤差が発生する。このため、変位を正確に計測するためには、レーザ光の入射角度のずれに応じて計測値を補正する必要があった。レーザ光の入射方向が小反射面の法線方向からずれた場合には、レーザ光の一部が小反射面間の非反射面に入射して反射光が乱れることがある。このため、安定した計測を実現するにはレーザ光の入射方向を小反射面の法線方向に極力一致させる必要があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、レーザ光の入射方向のずれの影響を受けることなく、高精度に変位を計測することができる変位計測方法、及びその方法に適した変位計測装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、レーザ光の入射方向が小反射面の法線方向からずれた場合でも安定して計測を実施することが可能なターゲット、並びにそのターゲットを利用した変位計測方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した第1の目的を達成するため、本発明の変位計測方法は、レーザ光に対する反射部を有する一対のターゲットのそれぞれを、前記反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くように、かつ前記反射部の傾きが前記変位計測方向に関して互いに逆向きとなるようにして計測対象の計測対象位置に設置し、前記一対のターゲットに対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置に、レーザ光を利用して距離又は該距離の変化量を出力する一対の距離検出手段を設置し、前記一対の距離検出手段から前記一対のターゲットのそれぞれの反射部に、前記変位計測方向とは異なる方向でかつ前記反射部に対して斜めに傾く方向から、互いに平行な一対のレーザ光を照射するとともに、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と逆方向に返される反射光を前記距離検出手段で受光して、前記距離検出手段から前記一対のターゲットにおけるレーザ光のそれぞれの反射位置までの距離の変化量を計測し、前記距離の変化量の計測値のそれぞれと、前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角と、前記変位計測方向の変位との関係を利用して、前記基準入射方向と前記レーザ光の実際の入射方向との間の角度のずれの影響を排除しつつ、前記計測対象位置の前記変位計測方向の変位を算出する。
【0007】
基準入射方向にレーザ光が入射した場合、変位計測方向の変位は、距離の変化量と、基準入射方向に対する反射部の傾斜角との幾何学的関係を利用して一義的に求めることができる。これに対して、レーザ光の入射方向が基準入射方向に対してずれている場合、変位及びずれ角の二つが未知数として存在するため、単一のターゲットに関する幾何学的関係だけでは、ずれ角の誤差を含まない正確な変位を求めることができない。しかしながら、本発明の変位計測方法によれば、一対のターゲットをそれらの傾斜部が変位計測方向に対して互いに逆向きに傾くように設置しているので、距離の変化量と変位計測方向の変位との関係をターゲット毎に方程式で記述することができる。しかも、一対のターゲットの反射部に対して互いに平行な一対のレーザ光を照射しているので、レーザ光の入射方向のずれ角は各ターゲットに共通である。さらに、ターゲット間で変位計測方向の変位も互いに等しい。よって、変位及びずれ角の二つが未知数として存在しても、ターゲット毎に記述された方程式を連立させることにより、入射方向のずれの影響を排除して、変位計測方向の変位を正確に算出することができる。
【0008】
本発明の一形態においては、前記基準入射方向に対する前記一対のターゲットのそれぞれの反射部の傾斜角の絶対値を互いに等しく設定してもよい。この形態によれば、基準入射方向に対して、一対のターゲットの反射部が互いに等しい角度でかつ逆向きに傾いているので、距離の変化量と変位計測方向の変位との関係をターゲット毎に方程式で記述する際に、両方程式間で傾斜角に共通の値を利用することが可能となり、変位の算出をより簡易に行える。
【0009】
例えば、前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記基準入射方向に対するレーザ光の実際の入射方向のずれ角をα、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2とすれば、下式(F1)でずれ角αを算出し、得られたずれ角αを下式(F2)又は(F3)に代入することにより、前記変位計測方向の変位δを算出することができる。
【0010】
【数1】
JP0005330229B2_000002t.gif

【0011】
あるいは、前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2、前記変位計測方向の変位をδとすれば、下式(F4)により変位δを算出することもできる。
【0012】
【数2】
JP0005330229B2_000003t.gif

【0013】
さらに、前記一対の距離検出手段によって検出された距離の変化量の和に基づいて、前記基準入射方向に対するレーザ光の実際の入射方向のずれ角がゼロとなるように前記一対のレーザ光の入射方向を補正し、補正後の前記距離の変化量の計測値に基づいて前記変位を算出することもできる。すなわち、ターゲットの反射部が変位計測方向に対して互いに逆向きに傾き、かつそれらの傾斜角の絶対値も互いに等しいため、基準入射方向とレーザ光の実際の入射方向とが一致すれば、一対のターゲットのそれぞれに関して計測される距離の変化量の和はゼロになる。この性質を利用して、ずれ角がゼロとなるようにレーザ光の入射方向を補正すれば、入射方向の角度のずれが与える影響を排除して、変位計測方向の変位を正確に計測することができる。
【0014】
上述した第1の目的を達成するため、本発明の変位計測装置は、レーザ光に対する反射部を有し、前記反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くように、かつ前記反射部の傾きが前記変位計測方向に関して互いに逆向きとなるようにして計測対象の計測対象位置に設置される一対のターゲットと、前記一対のターゲットに対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置に設置され、前記変位計測方向とは異なる方向でかつ前記反射部に対して斜めに傾く方向から、互いに平行な一対のレーザ光を照射するとともに、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と逆方向に返される反射光を受光して、前記距離検出手段から前記一対のターゲットにおけるレーザ光のそれぞれの反射位置までの距離又は該距離の変化量を出力する一対の距離検出手段と、を備えている。
【0015】
本発明の変位計測装置によれば、一対の距離検出手段からの出力を参照して各ターゲットまでの距離の変化量を計測し、得られた計測値のそれぞれと、前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角と、前記変位計測方向の変位との関係を利用することにより、本発明の変位計測方法に従って、基準入射方向とレーザ光の実際の入射方向との角度のずれの影響を排除しつつ、計測対象位置の変位計測方向の変位を正確に算出することができる。
【0016】
本発明の変位計測装置においては、前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記一対のターゲットのそれぞれの反射部の傾斜角の絶対値が互いに等しくなるように、前記一対のターゲットが設置されてもよい。この形態によれば、基準入射方向に対して一対のターゲットの反射部が互いに等しい角度でかつ逆向きに傾いているので、上記で説明したように変位の算出をより簡易に行える。また、基準入射方向とレーザ光の実際の入射方向とが一致すれば、一対のターゲットのそれぞれに関して計測される距離の変化量の和がゼロになる性質を利用して、ずれ角がゼロとなるようにレーザ光の入射方向を補正することもできる。
【0017】
本発明の変位計測装置においては、前記一対のターゲットに関する前記距離の変化量の計測値のそれぞれと、前記変位計測方向と直交する方向を基準入射方向としたときの該基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角と、前記変位計測方向の変位との関係を利用して、前記基準入射方向と前記レーザ光の実際の入射方向との間における角度のずれの影響を排除しつつ、前記計測対象位置の前記変位計測方向の変位を算出する変位算出手段を備えてもよい。この形態によれば、一対の距離検出手段からの出力を参照して各ターゲットまでの距離の変化量を計測し、得られた計測値のそれぞれを変位算出手段に与えることにより、レーザ光の入射方向のずれ角の影響を排除しつつ、計測対象位置の変位計測方向の変位を計測することができる。
【0018】
さらに、前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記基準入射方向に対するレーザ光の実際の入射方向のずれ角をα、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2としたときに、前記変位算出手段は、下式(F1)でずれ角αを算出し、得られたずれ角αを下式(F2)又は(F3)に代入して前記変位計測方向の変位δを算出してもよい。
【0019】
【数3】
JP0005330229B2_000004t.gif

【0020】
あるいは、前記基準入射方向に対する前記反射部の傾斜角をθ、前記一対のターゲットのそれぞれに関する前記距離の変化量をΔL1、ΔL2、前記変位計測方向の変位をδとしたときに、前記変位算出手段は、下式(F4)により変位δを算出してもよい。
【0021】
【数4】
JP0005330229B2_000005t.gif

【0022】
上述した第2の目的を達成するため、本発明のターゲットは、レーザ光を反射するための反射部を有し、該反射部には、互いに平行な複数の小反射面が該小反射面の法線方向及び該法線方向と直交する高さ方向のそれぞれに漸次位置をずらして配置され、かつ小反射面間には非反射面が設けられた変位計測用のターゲットであって、前記反射部を前記小反射面の法線方向から見たときに、前記非反射面が前記小反射面よりも前記反射部の高さ方向に後退することにより、前記小反射面同士が前記高さ方向に互いに部分的に重なり合っている。この場合、前記非反射面が、前記小反射面の法線方向に対して斜めに傾けられることにより、前記非反射面が前記高さ方向に後退するものであってもよい。あるいは、前記非反射面が前記小反射面の法線方向と平行で、かつ前記小反射面が前記高さ方向に関して前記非反射面よりも突出して設けられることにより、前記非反射面が前記高さ方向に後退するものであってもよい。
【0023】
本発明のターゲットによれば、反射部を小反射面の法線方向から見たときに小反射面同士が部分的に重なり合っているため、反射部をその小反射面の法線方向よりも斜め上方から見下ろした場合でも、一定範囲内では非反射面が小反射面に隠されて見えなくなる。従って、レーザ光の非反射面への入射を抑えて、安定して計測を実施することができる。
【0024】
さらに、第2の目的を達成するための変位計測方法は、上述したターゲットを、前記反射部が変位計測方向に対して斜めに傾くようにして計測対象の計測対象位置に設置し、前記計測対象位置に対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置にレーザ距離計を設置し、前記レーザ距離計から射出されるレーザ光を、前記変位計測方向とは異なる方向から前記反射部に対して斜め方向に入射させるとともに、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と略平行な方向に返される反射光を前記レーザ距離計で受光して前記レーザ距離計から前記反射部における前記レーザ光の反射位置までの距離の変化量を検出し、検出された変化量と、前記計測対象位置の前記変位計測方向に関する変位との相関関係を利用して、前記変位計測対象位置の前記変位計測方向に関する変位を計測するものである。また、第2の目的を達成するための変位計測装置は、上述したターゲットが、前記反射部を変位計測方向に対して斜めに傾けた状態で計測対象の計測対象位置に設置され、前記計測対象位置に対して前記変位計測方向に相対的に変位する位置には、前記ターゲットの前記反射部に対して前記変位計測方向とは異なる方向でかつ前記反射部に対して斜めに傾く方向からレーザ光を照射し、前記反射部から前記レーザ光の入射方向と略平行な方向に返される反射光を受光して、前記レーザ光の反射位置までの距離又は当該距離の変化量に対応した信号を出力するレーザ距離計が設置されているものである。
【0025】
これらの変位計測方法及び変位計測装置においては、上述したターゲットを利用して、レーザ光の入射方向のずれに対する許容度を高め、変位計測の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明により橋梁の撓みを計測する場合のターゲット及びレーザ距離計の設置例を示す斜視図。
【図2】ターゲット及びレーザ距離計の設置例を示す側面図。
【図3】単一のターゲットを示す斜視図。
【図4】レーザ距離計の要部の構成を示す図。
【図5A】ターゲットに照射されるレーザ光の直径とターゲットの反射部との関係をターゲットの正面側から示す図。
【図5B】ターゲットに照射されるレーザ光の直径とターゲットの反射部との関係をターゲットの断面上で示す図。
【図6】レーザ距離計で受講する基準レーザ光と反射光とにそれぞれ対応したパルス列信号の一例を示す図。
【図7】一対のターゲットと一対のレーザ距離計との対応関係を示す斜視図。
【図8】橋桁に取り付けられた状態における一対のターゲットを側方から見た状態を示す図。
【図9】図8の矢印IX方向(つまりレーザ光の入射方向)からターゲットを見た状態を示す図。
【図10】レーザ光の入射方向が基準入射方向に対してずれているときのターゲットの変位と距離の計測値との関係を示す図。
【図11】一方のターゲットに鉛直方向の変位を与えたときの距離の変化量と、ターゲットの反射部の傾斜角と、レーザ光の入射方向のずれ角との幾何学的関係を示す図。
【図12】図11の場合におけるずれ角とそれが変位の計測値に与える誤差との幾何学的関係を示す図。
【図13】他方のターゲットに鉛直方向の変位を与えたときの距離の変化量と、ターゲットの反射部の傾斜角と、レーザ光の入射方向のずれ角との幾何学的関係を示す図。
【図14】図13の場合におけるずれ角とそれが変位の計測値に与える誤差との幾何学的関係を示す図。
【図15】レーザ光の入射方向が基準入射方向と一致するときの距離の変化量の相互の関係を示す図。
【図16】本発明の他の形態に係るターゲットの側面図。
【図17】図16に示したターゲットの斜視図。
【図18】図16に示したターゲットの反射部に関する拡大図。
【図19】図18の反射部を同図の矢印Za、Zb、Zc方向から見た状態をそれぞれ示す図。
【図20】図3のターゲットの反射部を見下ろした状態を示す図。
【図21】本発明のさらに他の形態に係るターゲットの側面図。
【図22】図21に示したターゲットの斜視図。
【図23】図21に示したターゲットの反射部に関する拡大図。
【図24】図16に示したターゲットとレーザ距離計とを利用した変位計測装置の他の形態を示す図。
【図25】図24の変位計測装置における変位計測の原理を示す図。
【図26】ターゲットを構造物等の変位計測対象に取り付けるための他の形態を示す図。
【図27A】レーザ距離計からターゲットまでの距離を5mに設定したときの実施例における入射方向のずれ角と変位の計測誤差(変位誤差)との関係を比較例とともに示す図。
【図27B】ターゲットまでの距離を11mに設定したときの実施例における入射方向のずれ角と変位の計測誤差(変位誤差)との関係を比較例とともに示す図。

【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1及び図2は本発明を橋梁の鉛直方向の撓みの計測に適用した形態を示している。つまり、本形態では鉛直方向が変位計測方向に相当する。構造物としての橋梁1は、複数の橋脚2の間に上部工3を架け渡した構成を備えている。但し、橋梁1の両端において上部工3は橋台に支持されている。橋脚2は地中に打たれた不図示の基礎によって支持されている。これらの橋脚2、橋台及び基礎によって下部工が構成される。上部工3は橋脚2に両端が支持された複数本の橋桁3Aと、その橋桁3Aの上方に配置される床版3Bとを備えている。但し、上部工3の構成は一例であり、これらは適宜に変更可能である。
【0028】
橋桁3Aの下面3a又は側面3bの少なくともいずれか一方の計測対象位置には、変位計測装置4の構成要素として一対のターゲット10A、10Bが配置され、橋脚2の上端面2aには変位計測装置4の構成要素として一対のレーザ距離計20A、20Bが設置されている。一方のレーザ距離計20Aは一方のターゲット10Aに向かってレーザ光を射出し、他方のレーザ距離計20Bは他方のターゲット10Bに向かってレーザ光を射出する。橋脚2に代えて、又は加えて橋台にレーザ距離計20A、20Bが設置されてもよい。以下では、橋脚2にレーザ距離計20A、20Bが設置されているものとして説明を続ける。ターゲット10A、10Bの設置箇所及び個数は必要に応じて適宜に変更してよい。橋桁3Aに代え、又は加えて、床版3Bにターゲット10A、10Bが取り付けられてもよい。以下では橋桁3Aを計測対象とし、その橋桁3Aにターゲット10A、10Bが取り付けられるものとして説明を続けるが、特に断りのない限りその説明はターゲット10A、10Bが床版3Bに取り付けられる場合にも適用され得るものである。また、ターゲット10A、10Bを区別する必要がないときはターゲット10と表記することがある。レーザ距離計20A、20Bについても、これらを区別する必要がないときはレーザ距離計20と表記することがある。
【0029】
レーザ距離計20の設置箇所は、上部工3の計測対象位置に対して鉛直方向に相対的に変位する場所であればよく、橋梁1が架け渡された地上面に設置してもよい。すなわち、計測対象位置に対して相対的に変位する位置は、要するに計測対象位置における変位計測方向の変位を観察できる位置であればよく、計測対象位置に対して変位計測方向に異なる位相又は振幅で振動している位置、及び地上面のように、変位計測方向に関して実質的に変位しない位置の両者が含まれる。例えば、橋桁3Aの中間位置にターゲット10を、橋桁3Aの支持端にレーザ距離計20を設置して橋桁3Aの支持端に対する中間部の撓み等を計測してもよい。
【0030】
ターゲット10A、10Bは橋桁3Aに対する取り付けの向きが互いに異なっているが、それらの形状及び大きさは同じである。図3は、単一のターゲット10を示す斜視図である。ターゲット10は、概略三角柱状のターゲット本体11を有し、そのターゲット本体11の斜面(図に想像線で示す。)に相当する部分が反射部12として構成されている。反射部12は、複数の小反射面13を反射部12の一端12aから他端12bに向かって一定方向(この場合は端面11bの法線方向)に漸次位置をずらしながら設けられることにより、全体として階段状に形成されている。ターゲット本体11の底面11a、端面11b及び側面11cは互いに直交する平面に形成されている。小反射面13は互いに平行であり、しかも各小反射面13の法線方向は底面11aと平行である。端面11bと平行な方向に関する小反射面13の高さaは互いに等しい。また、底面11aと平行な方向に関する小反射面13のずれ量bも互いに等しい。小反射面13の個数、高さa及びずれ量bは、計測すべき変位の大きさ、変位計測の分解能、レーザ距離計20の仕様、ターゲット10とレーザ距離計20との距離L等の各種の計測条件に応じて適宜に設定してよい。レーザ距離計20との関係については後述する。
【0031】
ターゲット10の材質は適宜に選択してよい。例えば、金属材料、樹脂材料、木材等をターゲット10の材質として使用することができる。ターゲット10を橋桁3Aに取り付ける手段としては、万力、ボルト、ナット等の機械的結合手段、接着剤、その他、各種の固定手段を利用することができる。橋桁3Aのターゲット取付部分が鋼鉄製の場合には、図3に想像線で示したようにターゲット本体11の底面11a等に磁石15を設け、その磁力でターゲット10を橋桁3Aに取り付けることもできる。磁石15を利用すれば、橋桁3Aに塗られた塗料を剥がすことなくターゲット10を取り付けられる利点がある。ターゲット10の交換や取付位置、姿勢、向き等の変更も容易に行える。ターゲット本体11の全体を磁石にて形成してもよい。なお、磁石15は永久磁石でもよいし、電磁石でもよい。ターゲット10の電源が確保できない場合には永久磁石を利用することになる。磁石を利用して取り付ける場合において、さらに別の固定手段によりターゲット10を固定することにより、ターゲット10の脱落や位置のずれをより確実に防止するようにしてもよい。屋外構造物等にターゲット10を装着する場合にはターゲット10に耐候性を付与することが望ましい。耐候性、耐熱性、又は耐寒性に優れた材料(一例として耐熱樹脂材料)にてターゲット10を製造すれば、本発明の適用範囲が拡大する。ターゲット10を樹脂製とした場合は、各種の成形方法が使用できるのでターゲット10を安価に製造することができる。
【0032】
図4はレーザ距離計20の要部を示している。レーザ距離計20はいわゆる位相差検出方式の距離計であって、レーザ光を射出する発光部21と、その発光部21から射出されるレーザ光LBをターゲット(図4では図示略)10に向かって折り曲げるミラー22と、ターゲット10にてレーザ光の入射方向と平行に返される反射光を集光するレンズ23と、レンズ23で集光された反射光及び発光部21から送られる基準レーザ光をそれぞれ受光する受光部24と、受光部24の出力信号を演算処理する制御部25とを備えている。発光部21は半導体レーザを光源として備え、制御部25からの発光指示に応答して周期T(例えば500Hz)のパルス状のレーザ光LBをミラー22及び受光部24に向けて同時に射出する。
【0033】
発光部21から射出されるレーザ光はビーム状に絞られているものの、実際には微小な広がり角を有しており、そのために橋梁1のような比較的大きな構造物を計測する際にはターゲット10の照射範囲が無視できない広がりを持つようになる。ターゲット10の小反射面13の高さaはそのレーザ光の照射範囲を考慮して決定される。すなわち、図5A及び図5Bに示すように、ターゲット10に照射されるレーザ光LBのビーム径をDとしたとき、2つ以上の小反射面13がレーザ光によって同時に照射されるように、小反射面13の高さaはビーム径D以下に設定される。ずれ量bは、レーザ距離計20から射出されるレーザ光の周期をT(秒)、レーザ光の大気中の速度をVc(mm/秒)としたときに、Vc/T(mm)以内に設定することができる。高さaはずれ量bよりも小さく制限してもよい。これらの高さa、ずれ量bは使用されるレーザ距離計20のビーム特性(ビームの広がり角度、周波数等)に応じて適宜に調整すればよい。
【0034】
図4に戻って、受光部24は発光部21から送られる基準レーザ光とターゲット10から返された反射光をそれぞれ電気信号に変換して出力する。制御部25では、受光部24の出力信号をA/D変換して得られたデジタル信号から基準レーザ光及び反射光に対応したパルス列信号を抽出し、それらのパルス列信号の位相差を利用してレーザ距離計20からターゲット10までの距離Lを検出する。上記のように、反射光には複数の小反射面13からの反射光が含まれており、ターゲット10から各小反射面13までの距離は互いに異なっているため、反射光に対応した信号にはレーザ光が照射された小反射面13の数に相当する複数のパルス列が含まれる。例えば、図5A及び図5Bに示したようにレーザ光が二つの小反射面13に同時に照射されている場合、図6に示したように、反射光に対応した出力信号には基準レーザ光に相当するパルス列信号に対して位相差Δφaを持つパルス列信号と、位相差Δφbを持つパルス信号とが含まれる。制御部25ではこれらのパルス信号の位相差に、それぞれの信号強度INa、INbに対応した重み付け係数を乗じた上で平均化することにより、反射光に対応したパルス列信号の位相差を一意に特定してターゲット10までの距離を算出する。信号強度INa、INbは小反射面13における照射面積Sa、Sbにそれぞれ対応するため、このような処理により、ターゲット10の反射部12が階段状であっても、レーザ距離計20からターゲット10までの距離の変化を連続的に検出できるようになる。3つ以上の小反射面13がレーザ光にて同時に照射される場合でも、信号強度に応じた重み付けを利用して位相差を一意に特定することができる。但し、複数の小反射面13からの反射光に基づいて距離を一意に特定する処理方法は上記に限らず、種々の方法を用いてよい。図5Aではレーザ光の断面形状を円形としたが、これに限らず、レーザ光の断面形状は楕円形、長円形といった他の形状でもよい。
【0035】
図4に戻って、レーザ距離計20の制御部25は入出力インターフェース26を介して無線通信装置27と接続される。一方、レーザ距離計20から離間した位置には無線通信装置30が設けられ、その無線通信装置30はデータ処理装置31と接続される。データ処理装置31は一対のレーザ距離計20A、20Bに対して共用される。無線通信装置30はレーザ距離計20毎に設けられてもよいし、レーザ距離計20A、20Bの間で共用されてもよい。
【0036】
データ処理装置31は、例えば変位計測を制御するためのソフトウエアがインストールされたパーソナルコンピュータにて構成され、撓み計測のために必要なデータ処理及び各レーザ距離計20の制御を実行する。データ処理装置31は、計測用のソフトウエアに従って計測に必要な各種の指示を各レーザ距離計20の制御部25に出力する。制御部25はそのデータ処理装置31から送られる指示に従って発光部21を制御して距離Lの計測を実行する。レーザ距離計20にて検出された距離Lは無線通信装置27、30を介してデータ処理装置31に入力される。データ処理装置31では無線通信装置30から入力される距離のデータを入出力インターフェース32を介して制御部33に取り込む。無線通信装置27、30の間で使用する通信手順は特に制限するものではないが、例えば無線LANに準拠した通信手順を使用すればデータ処理装置31等に汎用製品が使用できて便利である。無線通信装置30の設置箇所は無線通信装置27と相互に通信可能な範囲内である限り特に制限されず、橋梁1の付近の屋外、屋内に設置可能である。データ処理装置31は無線通信装置30と有線接続されてもよいし、電話回線等のネットワーク網を介して無線通信装置30と接続されてもよい。なお、レーザ距離計20の動作に必要な電力は構造物の外部から電源ラインを引いて供給してもよいし、レーザ距離計20に内蔵させたバッテリにより供給してもよい。太陽発電や風力発電を利用した発電システムを変位計測装置4に設けてもよい。
【0037】
図7は、ターゲット10A、10Bとレーザ距離計20A、20Bとの関係を示す斜視図である。この図から明らかなように、一対のターゲット10A、10Bは、それぞれの底面11aが鉛直方向(図の矢印Y方向)に対して直交するようにして橋桁3Aに取り付けられる。但し、上下方向の向きは互いに異なる。すなわち、一方のターゲット10Aは、底面11aが鉛直下方を向くように、他方のターゲット10Bは底面11aが鉛直上方を向くようにそれぞれ配置されている。これにより、反射部12の傾きも鉛直方向に関して互いに逆方向となる。すなわち、一方のターゲット10Aの反射部12aは水平方向に対して斜め上方に向けられ、他方のターゲット10Bの反射部12は水平方向に対して斜め下方に向けられる。レーザ距離計20A、20Bは、ターゲット10A、10Bの反射部12に向かって互いに平行なレーザ光を射出するように設置される。
【0038】
図8は橋桁3Aに取り付けられた状態におけるターゲット10A、10Bを側方から見た状態を示し、図9は図8の矢印IX方向(つまりレーザ光の入射方向)からターゲット10A、10Bを見た状態を示す。これらの図から明らかなように、ターゲット10A、10Bは、鉛直方向に関して互いに逆向きに取り付けられるが、変位計測方向である鉛直方向、及びレーザ光の入射方向(図において左右方向)に関するそれぞれの位置は互いに等しい。また、各反射部12は水平方向に関して同一の側に向けられる。
【0039】
次に、本形態の変位計測装置4を利用して橋桁3Aの鉛直方向の撓みを計測する方法を説明する。まず、ターゲット10A、10Bをその反射部12が変位計測方向(鉛直方向)に対して斜めに傾くように、さらに具体的には、小反射面13が水平方向を向くようにして橋桁3Aの変位計測位置に固定する。この場合、反射部12の傾きは図3に示した斜面の方向、言い換えれば反射部12の両端部12a、12bを結ぶ方向によって定義される。一方、レーザ距離計20についてはそのレーザ光の射出方向をターゲット10の小反射面13の法線方向と一致させるようにして橋脚2の上端面2aに設置する。つまり、この形態ではレーザ光のターゲット10に対する基準入射方向が水平方向に設定される。なお、ターゲット10の反射部12に対するレーザ光の実際の入射方向、レーザ距離計20におけるレーザ光の受光方向は小反射面13の法線方向と厳密に一致しなくてもよい。レーザ距離計20で受光する反射光の強度が実用上十分に確保されていれば、入射方向や反射方向(受光方向)は小反射面13の法線方向に対して幾らかずれていてもよい。基準入射方向と実際の入射方向との間における角度のずれは、後述する方法によってその影響を排除することができる。
【0040】
次に、各レーザ距離計20から各ターゲット10の反射部12に向かってレーザ光を照射し、その反射部12から各レーザ距離計20に戻ってくる反射光をレーザ距離計20で受光してレーザ距離計20からターゲット10まで(正確にはターゲット10におけるレーザ光の反射位置まで)の距離Lを計測する。なお、以下の説明では、レーザ距離計20Aが計測する距離をL1、レーザ距離計20Bが計測する距離をL2と表記することがある。これらの距離を区別する必要がないときは距離Lと表記する。
【0041】
レーザ距離計20A、20Bが計測した距離L1、L2を無線通信装置27、30を介してデータ処理装置31の制御部33に取り込む。データ処理装置31の制御部33では、取り込まれた距離L1、L2の変化量ΔL1、ΔL2に基づいて、橋桁3A(あるいは上部工3)の鉛直方向の撓み量δを算出する。以下、データ処理装置31にて実施される撓み量δの演算方法を説明する。
【0042】
図10に示すように、ターゲット10A、10Bの反射部12へのレーザ光の入射方向が、基準入射方向である水平方向に対して角度αずれていることを前提とし、そのずれの角度αを算出する。なお、図10では、反射部12をその両端部12a、12bを結ぶ直線(図3の想像線に相当。)で代表している。角度θはターゲット10A、10Bの反射部12の水平方向に対する傾斜角であり、既知の値である。一対のターゲット10A、10B間において、傾斜角θの絶対値は互いに等しい。図中の実線は橋桁3Aが撓む前のターゲット10を、破線は橋桁3Aが撓んだときのターゲット10をそれぞれ示している。
距離L1、L2は撓みδが発生しているときのレーザ距離計20の計測値である。図11及び図13においても同様である。
【0043】
図11に示すように、橋桁3Aに撓みが生じたことにより、一方のターゲット10Aに鉛直下方の変位(撓み量δに等しいため、以下では変位δと表記する。)が生じた場合を考える。変位δが生じる前のレーザ光の反射点をPa1、変位δが生じたときのレーザ光の反射点をPa2としたとき、レーザ距離計20Aの計測値L1にはΔL1の変化が生じる。図11の左上は、反射点Pa1、Pa2付近の関係を拡大して示したものである。また、図12は、反射点Pa1、Pa2を結ぶ長さΔL1の線分を斜辺とし、反射点Pa1を通過する水平線と、反射点Pa2を通る鉛直線とで形成される直角三角形を抜き出して示している。図11及び図12に示した幾何学的関係から、距離a、sと変位δとの間には下式(1)の関係がある。
【0044】
【数5】
JP0005330229B2_000006t.gif

【0045】
式(1)から、変位δは下式(2)のように記述することができる。
【0046】
【数6】
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【0047】
一方、図13に示すように、他方のターゲット10Bにも、鉛直下方に同一変位δを与えた場合を考える。この場合、変位δが生じる前のレーザ光の反射点をPb1、変位δが生じたときのレーザ光の反射点をPb2としたとき、レーザ距離計20Bの計測値L2にはΔL2の変化が生じる。図13の下部は、反射点Pb1、Pb2付近の関係を拡大して示したものである。また、図14は、反射点Pb1、Pb2を結ぶ長さΔL2の線分を斜辺とし、反射点Pb1を通過する水平線と、反射点Pb2を通る鉛直線とで形成される直角三角形を抜き出して示している。図13及び図14に示した幾何学的関係から、距離a、sと変位δとの間には下式(3)の関係がある。
【0048】
【数7】
JP0005330229B2_000008t.gif

【0049】
式(3)から、変位δは下式(4)のように記述することができる。
【0050】
【数8】
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【0051】
ターゲット10A、10Bの変位δは互いに等しい。つまり、式(2)、(4)の右辺は互いに等しい。この点に着目して、式(2)、(4)を連立方程式として角度αについて解くことにより、下式(5)が得られる。
【0052】
【数9】
JP0005330229B2_000010t.gif

【0053】
式(5)を利用すれば、レーザ距離計20A、20Bのそれぞれの計測値L1、L2の変化量ΔL1、ΔL2、及びターゲット10A、10Bの反射部12の傾斜角θを利用して、角度αを算出することができる。そして、得られた角度αを式(2)又は(4)に代入することにより、変位δ、すなわち橋桁3Aの鉛直方向の撓み量δを算出することができる。
【0054】
上記では水平方向に対するレーザ光の入射方向の角度αを算出しているが、式(2)、(4)、(5)から角度αを用いることなく、変位δを表現すれば以下の通りである。
【0055】
【数10】
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【0056】
従って、レーザ距離計20A、20Bの計測値L1、L2を取り込んでそれぞれの変化量ΔL1、ΔL2を算出し、予め判明している傾斜角θとともに、それらの変化量ΔL1、ΔL2を式(6)に代入することにより、角度αの算出を省略して、変位δを算出することができる。
【0057】
以上のように、本形態の変位計測装置4によれば、傾斜した反射部12を有する一対の同形同大のターゲット10A、10Bをそれらの反射部12の傾きが鉛直方向に関して互いに逆向きとなるようにして橋桁3Aの変位計測位置に設置し、それらのターゲット10に対してレーザ距離計20から互いに平行なレーザ光を照射しているため、レーザ光の入射方向のずれαの影響を排除して、橋桁3Aの正確な撓み量δを計測することができる。
【0058】
上記の形態では、レーザ光の入射方向が基準入射方向に対してずれていることを前提とし、その角度のずれの影響が排除されるようにして撓み量δを求めたが、本形態の変位計測装置4では、レーザ距離計20A、20Bのそれぞれから出力される計測値L1、L2の変化量ΔL1、ΔL2を利用して、入射方向のずれ角αがゼロとなるようにレーザ距離計20A、20Bの向きを補正することもできる。すなわち、図15に示したように、レーザ光の入射方向が水平方向に一致していれば、レーザ距離計20A、20Bのそれぞれの計測値の変化量ΔL1、ΔL2は絶対値が互いに等しく、かつ方向が互いに逆となる。
従って、角度αがゼロのときは変化量ΔL1、ΔL2の和はゼロとなる。従って、データ処理装置31にて変化量ΔL1、ΔL2の和を演算し、その和がゼロとなるようにレーザ距離計20A、20Bの向きを補正すれば、レーザ光の入射方向を水平方向に一致させることができる。
【0059】
本発明は上記の形態に限ることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、ターゲット10の反射部12は階段状の構成に限らない。レーザ光を入射方向と逆向きに返すことができるものであればその構成は適宜に変更可能である。反射部12を波状に構成してもよい。小反射面13を設ける場合でも、各小反射面13に凹凸を付してもよい。
さらに、反射部12は、図3の想像線に沿った一定勾配の斜面状に形成されてもよい。
【0060】
また、上記の形態では、レーザ距離計20A、20Bが距離検出手段に、データ処理装置31が変位算出手段にそれぞれ相当するが、これらは適宜の変更が可能である。例えば、レーザ距離計20は、ターゲット10毎に互いに独立して設けられているが、一対のレーザ距離計20A、20Bを一体型の距離計ユニットとして構成し、その距離計ユニットから各ターゲットに向けて互いに平行な一対のレーザ光を射出させてもよい。本形態では、レーザ距離計20A、20Bのそれぞれで距離L1、L2を計測し、それらの距離L1、L2をデータ処理装置31に出力して変化量ΔL1、ΔL2を計測するものとしたが、レーザ距離計20A、20Bのそれぞれにて距離の変化量を計測し、それらの計測値をデータ処理装置31に出力して変位δを演算してもよい。
【0061】
本発明において、変位の計測方向は鉛直方向に限ることなく、適宜の方向を変位計測方向として設定することができる。例えば、上部工の幅方向を変位計測方向として設定してもよい。この場合には、一対のターゲット10A、10Bを鉛直方向に連ねて配置すればよい。さらに、本発明は、橋梁の上部工の変位の計測に限らず、各種の構造物の計測に適用することができる。さらには、構造物以外にも、山の斜面といった地形その他、各種の計測対象の適宜の位置を計測対象位置として設定して、その特定方向の変位を本発明で計測してよい。
【0062】
次に、本発明の他の形態に係るターゲットを説明する。図16は本発明の変位計測装置に適用可能な他のターゲット100の側面図、図17はその斜視図である。これらの図に示すように、ターゲット100は、概略三角形状のターゲット本体101を有し、そのターゲット本体101の斜面に相当する部分が反射部102として構成されている。ターゲット本体101の底面101a、端面101b及び側面101cは互いに直交する平面に形成されている。反射部102には、複数の小反射面103が反射部102の一端102aから他端102bに向かって一定方向(この場合は端面101bの法線方向)に漸次位置をずらしながら設けられることにより、全体として階段状に形成されている。小反射面103は互いに平行であり、しかも各小反射面103の法線方向は底面101aと平行である。言い換えれば、小反射面103は、それらの法線方向及びターゲット100の高さ方向(法線方向と直交する方向)のそれぞれに漸次位置をずらしながら配置されている。端面101bと平行な高さ方向に関する小反射面103の高さaは互いに等しい。また、底面101aと平行な奥行き方向に関する小反射面103のずれ量bも互いに等しい。以上の点は図3のターゲット10と同様である。なお、本形態においても、小反射面103の個数、高さa及びずれ量bは、計測すべき変位の大きさ、変位計測の分解能、レーザ距離計20の仕様、ターゲット100とレーザ距離計20との距離L等の各種の計測条件に応じて適宜に設定してよい。
【0063】
さらに、本形態のターゲット100では、小反射面103間に存在する非反射面104が、小反射面103の法線方向に対して斜めに傾けられている。図18は反射部102の拡大図である。反射部102の両端102a、102bを結ぶ線分Laをターゲット本体101の斜面としたとき、非反射面104はその斜面の傾きと逆向きに傾けられている。言い換えれば、図18中に矢印Zaに示したように、反射部102を小反射面103の法線方向から見たとき、非反射面104はその前端から後端に向かって下り勾配を描くように傾けられることにより、小反射面103よりも高さ方向に後退している。このように非反射面104を傾けることにより、反射部102を小反射面103の法線方向から見たときに、各小反射面103が部分的に重なり合う。具体的には、各小反射面103の上部が一つ後方の小反射面103の下部と重なり合う。非反射面104の傾きは適宜に定めてよい。一例として、一つの小反射面103の高さがa、小反射面103同士の水平方向(小反射面103の法線方向)の間隔がbのとき、非反射面104の勾配がa/2bとなるように非反射面104の傾きが設定される。なお、図18に示されているように、小反射面103には、レーザ光に対する反射率を高めるための反射シート105が貼り付けられている。但し、十分な反射率が確保できる場合には反射シート105を省略してもよい。
【0064】
以上のように構成されたターゲット100によれば、非反射面104に上記のような傾斜が付されているため、レーザ光の入射方向が小反射面103の法線方向からずれた場合でも、非反射面104へのレーザ光の入射を抑えることができる。その理由は次の通りである。図18に矢印Zaで示すように反射部102を小反射面103の法線方向から見た場合、矢印Zbに示すように反射部102を見下ろした場合、矢印Zcに示すように反射部102を見上げた場合の反射部102の見え方を図19にそれぞれ示す。矢印Za方向及び矢印Zc方向から反射部102を見た場合には非反射面104が隠れて見えないことは当然であるが、本形態では、矢印Zb方向から反射部102を見た場合であっても、その視線方向の法線方向からのずれ角が、小反射面103の法線方向に対する非反射面104の傾斜角以内であれば非反射面104は隠れて見えない。よって、非反射面104へのレーザ光の入射が抑えられる。従って、ターゲット100の設置誤差に関する許容度が高く、レーザ光の入射方向が小反射面103の法線方向から多少ずれても安定して計測を行うことができる。これに対して、上述したターゲット10では、反射部12を見下ろした場合、図20に示すように小反射面(ハッチング領域)13間に非反射面14が露出し、その露出部分にレーザ光が入射する。非反射面14へのレーザ光の入射を避けるためには、レーザ光の入射方向を小反射面13の法線方向又は反射部12を見上げる方向に制限する必要がある。
【0065】
図21は本発明のさらに他の形態に係るターゲット110の側面図、図22はその斜視図である。これらの図に示すように、ターゲット110は、概略三角形状のターゲット本体111を有し、そのターゲット本体111の斜面に相当する部分が反射部112として構成されている。ターゲット本体111の底面111a、端面111b及び側面111cは互いに直交する平面に形成されている。反射部112には、複数の小反射面113が反射部112の一端112aから他端112bに向かって一定方向(この場合は端面111bの法線方向)に漸次位置をずらしながら設けられることにより、全体として階段状に形成されている。小反射面113は互いに平行であり、しかも各小反射面113の法線方向は底面111aと平行である。言い換えれば、小反射面113は、それらの法線方向及びターゲット110の高さ方向(法線方向と直交する方向)のそれぞれに漸次位置をずらしながら配置されている。端面111bと平行な高さ方向に関する小反射面113の高さaは互いに等しい。また、底面111aと平行な奥行き方向に関する小反射面113のずれ量bも互いに等しい。以上の点は図3のターゲット10と同様である。なお、本形態においても、小反射面113の個数、高さa及びずれ量bは、計測すべき変位の大きさ、変位計測の分解能、レーザ距離計20の仕様、ターゲット100とレーザ距離計20との距離L等の各種の計測条件に応じて適宜に設定してよい。
【0066】
図23に詳しく示したように、本形態のターゲット110では、小反射面113間に存在する非反射面114が小反射面113と直交する平面状に形成される一方で、小反射面113はそれらの非反射面114を超えて上方に突出する。これにより、反射部112を小反射面113の法線方向(図23の矢印Za方向)から見たときに、非反射面114が小反射面103よりも高さ方向に一様に後退する。それにより、各小反射面113が部分的に重なり合う。具体的には、反射部112を小反射面113の法線方向から見たとき、各小反射面113の上部が一つ後方の小反射面113の下部と重なり合う。非反射面114からの小反射面113の突出量は適宜に定めてよい。一例として、小反射面113の全高をaとしたときに、非反射面114からの小反射面113の突出量がa/2に設定される。なお。図23に示されているように、小反射面113には、レーザ光に対する反射率を高めるための反射シート115が貼り付けられている。但し、十分な反射率が確保できる場合には反射シート115を省略し、ターゲット本体111の素材そのもので小反射面113を形成してもよい。反射シート115が十分な剛性を有している場合には、図3のターゲット10の小反射面13上に、その小反射面13よりも全高が大きい反射シート115を固定することによりターゲット110を構成してもよい。
【0067】
以上のターゲット110においては、図18及び図19のターゲット100と同様に反射部112を矢印Zb方向から見下ろした場合でも、一定範囲では非反射面114が小反射面113に隠れて見えない。従って、本形態のターゲット110によっても、非反射面114へのレーザ光の入射が抑えられ、ターゲット110の設置誤差に関する許容度が高くなる。
【0068】
なお、上述したターゲット100、110は、図1に示した形態、すなわち、一箇所の変位計測対象位置に関して2組のターゲット10とレーザ距離計20とを使用する変位計測装置又は方法に適用される例に限らない。図24に示したように、一箇所の変位計測対象位置に関して1組のターゲット100とレーザ距離計20とを使用して変位を計測する場合でも、非反射面104へのレーザ光の入射を抑えて変位計測の安定性を高めることが可能である。よって、レーザ光の入射方向が小反射面113の法線方向から多少ずれても安定して計測を行うことができる。
【0069】
図24のように1組のターゲット100とレーザ距離計20とを利用する場合には、レーザ距離計20からターゲット100の反射部102に向かってレーザ光を照射し、その反射部102からレーザ距離計20に戻ってくる反射光をレーザ距離計20で受光してレーザ距離計20からターゲット100まで(正確にはターゲット10におけるレーザ光の反射位置まで)の距離を計測する。その計測された距離をLsとすれば、図25に示す要領で変位を算出することができる。すなわち、橋桁3A等の構造物(変位計測対象)が基準状態に対して鉛直方向にYだけ撓んだ場合、ターゲット100の反射部102も撓みYに相当するだけ下方に変位し、その鉛直方向のターゲット100の変位に伴って距離LsがLs′に変化する。それらの距離の変化量がX(=Ls-Ls′)であったとしたとき、ターゲット100の底面101aに対する反射部102の傾斜角をθとすれば、XとYとの間には次式(7)の関係が成立する。
【0070】
【数11】
JP0005330229B2_000012t.gif

【0071】
この式(7)の関係を利用して、レーザ距離計20の距離の変化量Xから橋桁3A等の変位Yを算出すればよい。なお、上記では、レーザ距離計20から距離Lsを出力させているが、レーザ距離計20から距離Lsの変化量X(=Ls-Ls′)を出力させてもよい。ターゲット110に関しても同様に、1組のターゲットとレーザ距離計とを使用する形態の変位計測装置又は方法に適用可能であり、その場合の変位の算出は上記と同様でよい。
【0072】
図26はターゲットの取付構造に関する形態を示す。本形態は、上述したターゲット10、100、110のいずれに対しても適用可能であるが、ここではターゲット10を例にして説明する。本形態では、ターゲット10と計測対象の構造物120との間に基台121が配置されている。基台121は、不図示の固定手段により構造物120に固定されている。その固定手段としては、ボルト、リベット、磁石、溶接等の適宜の手段を用いてよい。ターゲット10には中抜き部16が設けられており、その中抜き部16にはターゲット10と基台121とを連結する手段として、複数本のボルト122がねじ込まれている。各ボルト122の先端部は、基台121に回転自在かつ軸線方向には移動不能に取り付けられている。従って、ボルト122を個別に回転させることにより、ターゲット10の取り付け高さを適宜に調整することができる。また、ターゲット10の構造物120に対する傾きも調整可能である。
【実施例】
【0073】
図1に示す形態の変位計測装置の効果を確認すべく、図7に示すようにターゲット10A、10B及びレーザ距離計20A、20Bを設置し、ターゲット10A、10Bに鉛直方向の変位を与えたときの当該変位をレーザ距離計20A、20Bにて計測してその精度を評価した。実験結果を、比較例とともに図27A及び図27Bに示す。なお、図7の距離Lrefは5m、11mの2種類に設定した。入射方向のずれ角αは、距離Lrefが5mの場合において、-5°~5°の間で1°ずつ変化させ、距離Lrefが11mの場合において、-1°~5°の間での間で1°ずつ変化させた。ターゲット10A、10Bの小反射面13の高さ(図3の寸法a)は5mm、小反射面13同士の基準入射方向における距離(図3の寸法b)は10mmとした。測定で使用したレーザ距離計20A、20Bは、ジック(Sick)株式会社のDME2000である。
【0074】
実験では、ターゲット10A、10Bに与えた変位を、1/500mmの精度を有する接触式変位計にて計測し、その計測値を基準値とした。基準値と、レーザ距離計20A、20Bから出力される距離L1、L2の変化量△L1、ΔL2、及び既知の傾斜角θを上式(10)に代入して得られた変位とを比較して変位の計測誤差を求めた。図27Aは距離Lrefが5mの場合におけるずれ角αを横軸に、変位の計測誤差を縦軸にとって示している。図27Bは距離Lrefが11mの場合である。比較例1は、ターゲット10Aのみを用いて変位を計測した場合の計測誤差を、比較例2はターゲット10Bのみを用いて変位を計測した場合の計測誤差を示している。但し、比較例1、2では、レーザ距離計20にて計測された距離の変化量をΔLとしたとき、その変化量△Lと傾斜角θにおける正接関数との積により変位δを算出した。つまり、δ=ΔL・tanθとした。
【0075】
図27A、16Bから明らかなように、ずれ角αがゼロ又はその近傍では実施例と比較例1、2との間で変位誤差に大きな差は見られないが、ずれ角αが増加するに従って、比較例1、2では変位誤差が拡大するのに対して、実施例ではそのような傾向が小さい。よって、本発明によれば、変位δをより正確に測定できることが確認された。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5A】
4
(In Japanese)【図5B】
5
(In Japanese)【図6】
6
(In Japanese)【図7】
7
(In Japanese)【図8】
8
(In Japanese)【図9】
9
(In Japanese)【図10】
10
(In Japanese)【図11】
11
(In Japanese)【図12】
12
(In Japanese)【図13】
13
(In Japanese)【図14】
14
(In Japanese)【図15】
15
(In Japanese)【図16】
16
(In Japanese)【図17】
17
(In Japanese)【図18】
18
(In Japanese)【図19】
19
(In Japanese)【図20】
20
(In Japanese)【図21】
21
(In Japanese)【図22】
22
(In Japanese)【図23】
23
(In Japanese)【図24】
24
(In Japanese)【図25】
25
(In Japanese)【図26】
26
(In Japanese)【図27A】
27
(In Japanese)【図27B】
28