特開2003-150651(JP,A) 特開2005-258813(JP,A) Lin He et al.,Incorporating topological derivatives into shape derivatives based level set methods,Journal of Computational Physics,2007年 7月 1日,Volume 225, Issue 1,p.891-909 Martin Burger et al.,Incorporating topological derivatives into level set methods,Journal of Computational Physics,2004年 2月10日,Volume 194, Issue 1,p.344-362 山田崇恭 他,レベルセット法に基づくコンプライアントメカニズムの構造最適化,日本計算工学会論文集,2008年 1月18日,Vol.2008,No.20080001
【非特許文献1】Wang, M. Y., Wang, X. and Guo, D., A level Set Method forStructural Topology Optimization, Computer Methods in Applied Mechanics andEngineering, Vol.192, (2003), pp.227-246. 【非特許文献2】Yamasaki, S., Nishiwaki, S., Yamada, T., Izui, K., andYoshimura, M., A Structural Optimization Method Based on the Level Set MethodUsing A New Geometry-based Re-initialization Scheme, International Journal for NumericalMethods in Engineering,Vol. 18, (2008), pp.487-505. 【非特許文献3】Park, K. S., and Youn, S. K., Topology Optimization ofshell structures using adaptive inner-front (AIF) level set method, Structuraland Multidisciplinary Optimization, Vol.36, (2008), pp.43-58. 【非特許文献4】Yamada, T., Nishiwaki, S., Izui, K., and Yoshimura, M., AStudy of Boundary Setting in the Design Domain for Structural OptimizationBased on the Level Set Method, Transaction of the Japan Society for Industrialand Applied Mathematics, (submitted). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0013】 そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、最適構造の明確な形状表現を可能にし、物体領域でのトポロジー変化を許容する等の自由度の高い構造最適化を可能にすることをその主たる所期課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0014】 すなわち本発明に構造最適化装置は、以下の構成(1)~(3)を具備することを特徴とする。 【0015】 (1)構造物の設計領域を示す設計領域データを格納する設計領域データ格納部。 (2)初期構造が設定された設計領域の各部が構造を形成する物体領域、空洞を形成する空洞領域、又はそれら領域の境界であるかを示し、物体領域を表す値及び空洞領域を表す値の間の所定値が前記境界を表すレベルセット関数を示すレベルセット関数データを格納しているレベルセット関数データ格納部。 (3)所定の制約条件下において、剛性等の構造物の性能を目標値に近づけるように前記レベルセット関数を更新して、前記物体領域と前記空洞領域との境界の形態及び形状を同時に変化させるレベルセット関数更新部。 【0016】 このようなものであれば、物体領域を表す値及び空洞領域を表す値の間の所定値が、物体領域及び空洞領域の境界を示すレベルセット関数を用いていることにより、最適構造の明確な形状表現を可能にすることができる。また、物体領域及び空洞領域間の境界を移動させるとともに、物体領域内でのトポロジー変化を許容して新たに生じる境界を移動させるようにレベルセット関数を更新することにより、物体領域でのトポロジー変化を許容する等の自由度の高い構造最適化を可能にすることができる。 【0017】 レベルセット関数の更新方法の具体的な実施の態様としては、前記レベルセット関数更新部が、レベルセット関数を変数とする関数族、物体領域におけるエネルギー密度、空洞領域におけるエネルギー密度、及び界面エネルギー密度により示されるエネルギー汎関数を、エネルギー汎関数最小化原理に従って、前記レベルセット関数の時間発展を示す反応拡散方程式を算出し、当該反応拡散方程式を用いて前記レベルセット関数を時間発展させることにより、前記レベルセット関数を更新するものであることが望ましい。 【0018】 また、前記レベルセット関数更新部が、前記レベルセット関数を更新した結果得られる構造の構造的な複雑さを示す複雑度が予め設定された複雑度となるように、前記レベルセット関数を更新するものであることが望ましい。これならば、無数に存在する局所最適解の中で、設計者(ユーザ)の意図した構造の複雑さ(つまり細かさ)を有する最適構造を創成することができる。 【0019】 また本発明に係る構造最適化方法は、構造物の設計領域を定める設計領域設定ステップと、初期構造が設定された設計領域の各部が構造を形成する物体領域、空洞を形成する空洞領域、又はそれら領域の境界であるかを示し、物体領域を表す値及び空洞領域を表す値の間の所定値が前記境界を表すレベルセット関数を定めるレベルセット関数設定ステップと、所定の制約条件下において、剛性等の構造物の性能を目標値に近づけるように前記レベルセット関数を更新して、前記物体領域と前記空洞領域との境界の形態及び形状を同時に変化させるレベルセット関数更新ステップと、を具備する。 【0020】 さらに本発明に係る構造最適化プログラムは、構造物の設計領域を示す設計領域データを格納する設計領域データ格納部と、初期構造が設定された設計領域の各部が構造を形成する物体領域、空洞を形成する空洞領域、又はそれら領域の境界であるかを示し、物体領域を表す値及び空洞領域を表す値の間の所定値が前記境界を表すレベルセット関数を示すレベルセット関数データを格納しているレベルセット関数データ格納部と、所定の制約条件下において、剛性等の構造物の性能を目標値に近づけるように前記レベルセット関数を更新して、前記物体領域と前記空洞領域との境界の形態及び形状を同時に変化させるレベルセット関数更新部と、としての機能をコンピュータに備えさせることを特徴とする。 【発明の効果】 【0021】 このように本発明によれば、最適構造の明確な形状表現を可能にし、物体領域でのトポロジー変化を許容する等の自由度の高い構造最適化を可能にすることができる。 【図面の簡単な説明】 【0022】 【図1】本実施形態に係る構造最適化装置の機器構成図である。 【図2】同実施形態に係る構造最適化装置の機能構成図である。 【図3】同実施形態の最適化アルゴリズムを示すフローチャートである。 【図4】レベルセット法における物体領域、空洞領域及び境界を示す図である。 【図5】設計問題1及び設計問題2の設計領域と境界条件を示す図である。 【図6】K1(φ)=1の初期構造、最適化過程の構造及び最適構造を示す図である。 【図7】K2(φ)=exp(-φ2)の初期構造、最適化過程の構造及び最適構造を示す図である。 【図8】初期構造に関する比較を行うためのCase1の初期構造、最適化過程の構造及び最適構造を示す図である。 【図9】初期構造に関する比較を行うためのCase2の初期構造、最適化過程の構造及び最適構造を示す図である。 【図10】設計問題1における複雑度係数に関する比較を示す図である。 【図11】設計問題2における複雑度係数に関する比較を示す図である。 【図12】等断面制約を付加した場合の最適化問題の設計領域と境界条件を示す図である。 【図13】等断面制約を付加しない場合及び付加した場合の最適構造を示す図である。 【図14】熱伝達問題の設計領域と境界条件を示す図である。 【図15】熱伝達問題の初期構造及び複雑度係数別の最適構造を示す図である。 【図16】内部発熱問題の設計領域及び境界条件を示す図である。 【図17】内部発熱問の複雑度係数別の最適構造を示す図である。 【発明を実施するための形態】 【0023】 次に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態の構造最適化装置100の機器構成図であり、図2は構造最適化装置100の機能構成図であり、図3は構造最適化装置100の動作を示すフローチャートである。