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明細書 :重付加共重合体およびその製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3830273号 (P3830273)
公開番号 特開平11-279277 (P1999-279277A)
登録日 平成18年7月21日(2006.7.21)
発行日 平成18年10月4日(2006.10.4)
公開日 平成11年10月12日(1999.10.12)
発明の名称または考案の名称 重付加共重合体およびその製造法
国際特許分類 C08G  65/40        (2006.01)
FI C08G 65/40
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願平10-100195 (P1998-100195)
出願日 平成10年3月27日(1998.3.27)
審査請求日 平成17年3月7日(2005.3.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】西久保 忠臣
【氏名】亀山 敦
個別代理人の代理人 【識別番号】100066005、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 俊夫
審査官 【審査官】佐々木 秀次
参考文献・文献 特開平10-139866(JP,A)
特開平11-043540(JP,A)
特開平11-199670(JP,A)
Kameyama, Atsushi; Yamamoto, Yuko; Nishikubo, Tadatomi,Synthesis of polyesters with pendant chloromethyl group by polyaddition of bis(oxetane)s with diacyl,Macromolecular Chemistry and Physics,1996年,197(3),1147-57
調査した分野 C08G 65/40
CA(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式
JP0003830273B2_000016t.gif(ここで、Rは低級アルキル基であり、Arはビスフェノール化合物残基であり、XはCH2O基またはCOO基である)で表わされる繰り返し単位を有し、2000~50000の数平均分子量を有する重付加共重合体。
【請求項2】
一般式
JP0003830273B2_000017t.gif(ここで、Rは低級アルキル基であり、XはCH2O基またはCOO基である)で表わされるビスオキセタン化合物をビスフェノール化合物HO-Ar-OH(ここで、Arはビスフェノール化合物残基である)と共重合反応させることを特徴とする、一般式
JP0003830273B2_000018t.gif(ここで、R、ArおよびXは上記定義と同じである)で表わされる重付加共重合体の製造法。
【請求項3】
共重合反応が触媒の不存在下で行われる請求項2記載の重付加共重合体の製造法。
【請求項4】
共重合反応が第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体または有機スルホン酸の存在下で行われる請求項2記載の重付加共重合体の製造法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重付加共重合体およびその製造法に関する。更に詳しくは、側鎖に反応性水酸基を有する重付加共重合体およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
3員環および4員環の環状エーテル化合物は、環の歪エネルギーや環内酸素原子の強い電子吸引性によって電荷の片寄りが生ずるため、高い反応性を示すことが知られている。中でも、3員環エーテル構造のエポキシ化合物は、種々の求核的試薬または求電子的試薬と容易に反応することから、有機合成反応に広く利用されており、ジエポキシ化合物とジカルボン酸ジクロライドとの重付加反応などの重付加反応も知られている。
【0003】
一方、4員環の環状エーテル化合物であるオキセタン化合物は、開始剤としてルイス酸等を用いると容易に開環重合が進行し、高分子量のポリエーテルが得られることがよく知られている。
【0004】
しかしながら、オキセタン化合物を用いた付加反応は殆んど報告されてはおらず、わずかにビスオキセタン化合物とジチオール類との重付加反応によって可溶性ポリマーが得られることが本発明者らによって報告されているにすぎない(Polymer Preprints, Japan, 第46巻第298頁、1997年)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、側鎖に反応性水酸基を有する新規な重付加共重合体およびその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によって、一般式
JP0003830273B2_000002t.gif(ここで、Rは低級アルキル基であり、Arはビスフェノール化合物残基であり、XはCH2O基またはCOO基である)で表わされる繰り返し単位を有する新規な重付加共重合体が提供される。
【0007】
かかる新規重付加共重合体は、一般式
JP0003830273B2_000003t.gifで表わされるビスオキセタン化合物をビスフェノール化合物HO-Ar-OHと共重合反応させることによって製造される。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記ビスオキセタン化合物は、3-低級アルキル-3-メチロールオキセタンに、これに対して2倍モル量のp-キシリレンジハライドまたはテレフタル酸ジハライドを反応させることによって製造される。この反応は、第4オニウム塩、第3アミン等を触媒に用いて行われ、p-キシリレンジハライドの場合には、更にNaOH、KOH等も併用される。
【0009】
ビスオキセタン化合物に対して等モル量で用いられるビスフェノール化合物としては、ビスフェノールAまたはそれの3,3′,5,5′-テトラクロロ置換体、ビスフェノ-ルF、ビスフェノールAF、ビスフェノールスルホンまたはそれの3,3′,5,5′-テトラブロモ置換体、水添ビスフェノ-ルA、ビフェノ-ル等が用いられる。
【0010】
重付加反応は、触媒の不存在下でも行われるが、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体、有機スルホン酸等の触媒の存在下で行われることが好ましく、その場合には収率や数平均分子量の増加がみられるようになる。
【0011】
触媒として用いられる4級オニウム塩は、次のような一般式で表わされ、好ましくは4級ホスホニウム塩が用いられる。
(R1R2R3R4N)+X- または (R1R2R3R4P)+X-
R1~R4:炭素数1~25のアルキル基、アルコキシル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基またはポリオキシアルキレン基であり、あるいはこれらの内2~3個がNまたはPと共に複素環構造を形成することもできる。
X-:Cl-、Br-、I-、HSO4-、H2PO4-、RCOO-、ROSO2-、CO3--
等のアニオン
【0012】
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、n-ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジウムブロマイド、セチルピリジウムサルフェート、テトラエチルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート、トリメチルベンジルアンモニウムボレート、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネニウムクロライド、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩類、またはテトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルメトキシメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエトキシカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムアセテート、テトラオクチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムジメチルホスフェート等の4級ホスホニウム塩類が用いられる。
【0013】
ビスオキセタン化合物とビスフェノール化合物との反応はまた、クラウンエーテル錯体を触媒として用いても行われる。クラウンエーテルとしては、例えば12-クラウン-4、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、21-クラウン-7、24-クラウン-8等が用いられ、これらがKF、KCl、KBr、CsF、CsCl、CsBr、チオシアン酸カリウム、ナトリウムフェノキサイド、カリウムフェノキサイド、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の無機塩類あるいは有機塩類との錯体として用いられる。更に、有機スルホン酸としては、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が用いられる。
【0014】
これらの4級オニウム塩、クラウンエーテル錯体、有機スルホン酸等の触媒は、ビスオキセタン化合物に対して、約1~20モル%、好ましくは約2~10モル%の割合で用いられる。これ以下の使用割合では、重付加反応が殆んど進行せず、一方これ以上の割合で使用されても、それ以上格別の効果は認められない。
【0015】
このような触媒の存在下または不存在下での反応は、有機溶媒の不存在下でも行われるが、有機溶媒を用いる場合には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、アニソール等のアルコキシ芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが、単量体混合物に対して約0.5~20、好ましくは約2~10のv./w.比で用いられる。
【0016】
重付加反応は、約100~200℃、好ましくは約120~160℃で、約1~120時間程度、好ましくは約10~100時間程度行われ、そこに数平均分子量Mnが約2000~50000、好ましくは約5000~20000の重付加共重合体を形成させる。
【0017】
【発明の効果】
ビスエポキシ化合物と活性水素原子を有する2官能性化合物との重付加反応は、生成する側鎖の水酸基とエポキシ基との間が進行することから、重付加反応による可溶性ポリマーの製造は非常に困難なものとされている。
【0018】
しかしながら、4員環のオキセタン化合物を用いた場合には、生成する側鎖の水酸基とオキセタン環との反応が進行しないため、可溶性ポリマーの取得を容易なものとしている。しかも、得られる可溶性ポリマーは、側鎖に反応性に富む1級の水酸基を有しているため、反応性ポリマーとしても有効に使用することができる。
【0019】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0020】
参考例1
容量1Lの三口フラスコに、トルエン320mlに溶解させたp-キシリレンジブロマイド14.17g(0.053モル)、3-メチル-3-メチロールオキセタン10.96g(0.107モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド4.99g(0.015モル)および50重量%水酸化ナトリウム水溶液(NaOH85g/H2O 85ml)を仕込み、スリーワンモータを用いて50℃で2時間激しく撹拌した。
【0021】
反応終了後、トルエン相と水相とを分け、トルエン相を蒸留水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで一夜乾燥させた。トルエンを留去し、分取クロマトグラフィーを用いて、無色透明な液体として1,4-ビス[3-(3-メチルオキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン[BMOB]を3.56g(収率22%)得た。
JP0003830273B2_000004t.gifJP0003830273B2_000005t.gifH-NMR(200MHz,TMS,CDCl) δ(ppm):
1.34(s,6.0H,-C),3.53(s,4.0H,C-C-OCO),4.45(d,2.1H,J=5.9Hz,-C-O-,オキセタン),4.65(d,2.0H,J=5.9Hz,-C-O-,オキセタン),8.14(s,4.0H,芳香族H)
【0022】
参考例2
容量500mlの三口フラスコに、3-エチル-3-メチロールオキセタン31.95g(0.350モル)を仕込んだ後、そこにテトラヒドロフラン100mlを加えて3-エチル-3-メチロールオキセタンを溶解させた。その溶液に、テトラヒドロフラン100mlで希釈したテレフタル酸クロライド35.57g(0.175モル)を、氷冷下に約20分間かけて滴下し、更にテトラヒドロフラン100mlで希釈したトリエチルアミン53.13g(0.525モル)を、氷冷下に約20分間かけて滴下し、氷冷しながら約3時間撹拌した。
【0023】
反応終了後、反応混合物を500mlの蒸留水中に注いで生成物を沈殿させ、ロ別、n-ヘキサン-メチルエチルケトン(容積比1:1)混合溶媒で再結晶し、減圧下で60℃、10時間の乾燥を行った。融点126.0~127.0℃の白色結晶として、ビス[3-(3-エチルオキセタニル)メチル]テレフタレートが23.41g(収率40%)得られた。
JP0003830273B2_000006t.gifJP0003830273B2_000007t.gif1H-NMR(200MHz、TMS、CDCl3) δ(ppm):
1.44(s, 6.0 H, -CH3), 4.43(s, 4.0 H, C-CH2-O), 4.49~4.65(m, 12.2 H, - CH2-O-, オキセタン, -CH2-芳香核), 8.14(s, 4.0 H, 芳香族 H)
【0024】
参考例3
容量1Lの三口フラスコに、ビスフェノールスルホン21.95g(0.088モル)を仕込み、そこに蒸留水150mlを加えて撹拌しながら加熱し、90℃に保ちながら、臭素56.10g(0.351モル)を約20分間かけて滴下した。この温度で撹拌しながら4時間反応させた後、反応生成物を室温下でロ別し、亜硫酸ナトリウム水溶液および蒸留水で順次洗浄した。n-ヘキサン-メチルエチルケトン(容積比1:1)混合溶媒で3回再結晶した後減圧下で72時間乾燥させ、白色結晶として融点288.7~289.5℃の3,3′,5,5′-テトラブロモビスフェノールスルホンを33.80g(収率68%)得た。
JP0003830273B2_000008t.gifJP0003830273B2_000009t.gif1H-NMR(200MHz、TMS、CDCl3) δ(ppm):
3.92(s, 2.1 H, -OH), 8.12(s, 4.0 H, 芳香族 H)
【0025】
実施例1
湿度10%以下のドライバッグ中で、テトラフェニルホスホニウムブロマイド[TPPB]0.011g(0.025ミリモル)および回転子をアンプル管内に入れ、60℃で5時間減圧乾燥した後、ドライバッグ中でそのアンプル管内に、1,4-ビス[3-(3-エチルオキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン[BEOB] 0.167g(0.5ミリモル)、3,3',5,5'-テトラクロロビスフェノールA[TCBPA] 0.183g(0.5ミリモル)およびN-メチルピロリドン0.3ml(2モル/L)を加え、アンプル管に二方コックを接続し、密閉状態でドライバッグから取り出し、次のような操作によって脱気した。
【0026】
アンプル管を液体窒素に浸し、反応系内を凍結してから減圧し、数分間後にアンプル管を水中に入れて解凍し、乾燥窒素で置換した。このような操作を2回続けて行ない、再び凍結させた状態で減圧し、アンプル管を封管した。試料が解凍されたのを確認した後で、160℃の油浴上で加熱しながら96時間撹拌した。
【0027】
反応終了後、反応混合物をクロロホルムで希釈し、蒸留水で3回洗浄してから、クロロホルム相をn-ヘキサン中に注ぎ、再沈精製した。これを室温条件下で減圧乾燥し、黄色の粉末状ポリマー0.347g(収率99%)を得た。
【0028】
数平均分子量Mn(ジメチルホルムアミド溶出のGPCによる;ポリスチレン基準:13600
Mw/Mn: 2.33
JP0003830273B2_000010t.gif1H-NMR(200MHz、TMS、CDCl3) δ(ppm):
0.85~0.98(m, 6.0 H, Hc), 1.58(bs, 10.3 H, Hb), 2.66(bs, 2.0 H, -OH), 3.57~3.77(m, 7.8 H, Ha), 4.02(bs, 4.0 H, Hd), 4.53(bs, 4.0 H, He),
7.08~7.30(m, 7.7 H, 芳香族 H)
JP0003830273B2_000011t.gif13C-NMR(200MHz、TMS、CDCl3) δ(ppm):
7.63(Cc), 22.77(Cb), 30.26(Cf), 42.39(Ce), 43.42(Cd), 66.23(Ca), 73.35(Cg), 127.27, 127.58, 129.04, 137.58, 146,77, 148.99(芳香族 C)
JP0003830273B2_000012t.gif元素分析 (C35H42O6Cl4):
計算値 C:60.01%、H:6.04%
実測値 C:59.97%、H:6.10%
【0029】
実施例2~5
実施例1において、TCBPAの代りに同モル量のビスフェノールA 0.114g(実施例2)、ビスフェノールAF 0.168g(実施例3)、ビスフェノールスルホン0.125g(実施例4)または参考例3で得られた3,3′,5,5′-テトラブロモビスフェノールスルホン0.285g(実施例5)を用い、n-ヘキサン不溶性ポリマーを得た。
【0030】
実施例6
実施例1において、BEOBの代りに参考例1で得られたBMOBを同モル量用い、n-ヘキサン不溶性ポリマーを得た。
JP0003830273B2_000013t.gif
【0031】
実施例7
実施例1において、TPPB触媒の代りに同モル量の他の触媒を用い、n-ヘキサン不溶性ポリマーを得た。なお、CF3SO3H/(C6H5)4PBrが組合わされて用いられた例では、それぞれが同モル量で用いられた。
JP0003830273B2_000014t.gif
【0032】
実施例8
実施例1において、N-メチルピロリドンの代りに同量の他の溶媒を用い、n-ヘキサン不溶性ポリマーを得た。
JP0003830273B2_000015t.gif