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明細書 :エポキシ樹脂組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3810218号 (P3810218)
公開番号 特開2000-044652 (P2000-044652A)
登録日 平成18年6月2日(2006.6.2)
発行日 平成18年8月16日(2006.8.16)
公開日 平成12年2月15日(2000.2.15)
発明の名称または考案の名称 エポキシ樹脂組成物
国際特許分類 C08G  59/40        (2006.01)
C08G  59/68        (2006.01)
FI C08G 59/40
C08G 59/68
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願平10-227707 (P1998-227707)
出願日 平成10年7月28日(1998.7.28)
審査請求日 平成17年6月20日(2005.6.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】西久保 忠臣
【氏名】亀山 敦
個別代理人の代理人 【識別番号】100066005、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 俊夫
審査官 【審査官】辰己 雅夫
参考文献・文献 特開平09-235449(JP,A)
特開昭57-205418(JP,A)
特公昭46-020824(JP,B1)
調査した分野 C08G 59/00- 59/72
C08L 63/00- 63/10
C08K 3/00- 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
エポキシ樹脂および一般式
JP0003810218B2_000015t.gif[ここで、R1はビスフェノ-ル化合物結合()であり、R2およびR3はそれぞれ同一のまたは互いに異なるアルキル基、アリ-ル基、アラルキル基またはアルキルアリ-ル基であり、その一方は水素原子であり得る]で表わされるビスフェノ-ル化合物ビスホスフィン酸エステルよりなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
更に、4級オニウム塩触媒、クラウンエ-テル触媒、第3アミン塩触媒または第3ホスフィン酸触媒が添加された請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。更に詳しくは、新規な硬化触媒を含有するエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ樹脂の硬化剤としては、主にジアミン化合物等が用いられており、これらはエポキシ基との反応で水酸基を形成させる。生成した水酸基は、エポキシ樹脂硬化物の吸水率を高め、電気絶縁特性などを低下させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エポキシ基との硬化反応で水酸基を形成させず、電気絶縁特性などにすぐれた硬化物を与え得るエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、エポキシ樹脂および一般式
JP0003810218B2_000002t.gif[ここで、R1はビスフェノ-ル化合物結合()であり、R2およびR3はそれぞれ同一のまたは互いに異なるアルキル基、アリ-ル基、アラルキル基またはアルキルアリ-ル基であり、その一方は水素原子であり得る]で表わされるビスフェノ-ル化合物ビスホスフィン酸エステルよりなるエポキシ樹脂組成物によって達成され、好ましくはそこに4級オニウム塩触媒、クラウンエ-テル触媒、第3アミン塩触媒または第3ホスフィン酸触媒が添加されて用いられる。
【0005】
【発明の実施の形態】
エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂環型等のいずれをも用いることができる。特に好ましいエポキシ樹脂として用いられるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型等の芳香族系またはエチレングリコール型等の脂肪族系などの二官能タイプのもの、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型などの多官能タイプのもののいずれをも用いることができる。
【0006】
また、これらのエポキシ樹脂のエポキシ基に対してホスフィン酸エステル基が約0.5~2.0、好ましくは約0.8~1.5、特に好ましくは1.0の当量比で用いられるビスフェノ-ル化合物ビスホスフィン酸エステルとしては、一般式
JP0003810218B2_000003t.gifで表わされビスフェノ-ル化合物ビスホスフィン酸エステルが用いられる。かかる化合物は、ビスフェノール化合物に対し化学量論的には2倍モル量あるいは若干過剰量のホスフィン酸ハライド化合物
JP0003810218B2_000004t.gif X:ハロゲン原子
を反応させることによって得られる。
【0007】
ビスフェノール化合物
JP0003810218B2_000005t.gifのビスフェノール化合物結合基R1としては、
JP0003810218B2_000006t.gif等であり得るが、R1は2つのフェノール化合物を直接結合させる結合そのものであってもよい。
【0008】
かかるビスフェノール化合物としては、例えばビスフェノールAまたはそれの3,3′,5,5′-テトラクロロ置換体、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールスルホンまたはそれの3,3′,5,5′-テトラブロモ置換体、水添ビスフェノールA、4,4′-ビフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン等が用いられる。
【0009】
また、ハロゲノホスフィン化合物としては、例えばジフェニルホスフィン酸クロライド、メチルフェニルホスフィン酸クロライド、ジメチルホスフィン酸クロライド、ジエチルホスフィン酸クロライド、ジブチルホスフィン酸クロライド等が用いられる。
【0010】
ビスフェノール化合物とホスフィン酸ハライド化合物との間の反応は、ビスフェノール化合物に対して2倍モル量以上(官能基としては等モル量以上)のホスフィン酸ハライド化合物を用い、トリエチルアミン等を触媒としてテトラヒドロ溶媒中等で、約0℃乃至室温条件下で反応させることによって行われる。
【0011】
このようなフェノール化合物のホスフィン酸エステルとエポキシ化合物との間の硬化反応は、例えばエポキシ樹脂のグリシジル基に対し、フェノ-ル化合物のホスフィン酸エステル基
JP0003810218B2_000007t.gifが付加反応して、
JP0003810218B2_000008t.gifを形成させるように進行する。その際、4級オニウム塩触媒をこれら2成分の合計量に対して約20モル%以下、好ましくは約2~10モル%用いて硬化反応を行うと、硬化速度の上昇が図られる。
【0012】
用いられる4級オニウム塩は、次のような一般式で表わされる。
(R1R2R3R4N)+X- または (R1R2R3R4P)+X-
R1~R4:炭素数1~25のアルキル基、アルコキシル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基またはポリオキシアルキレン基であり、あるいはこれらの内2~3個がNまたはPと共に複素環構造を形成することもできる。
X-:Cl-、Br-、I-、HSO4-、H2PO4-、RCOO-、ROSO2-、CO3--等のアニオン
【0013】
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、n-ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジウムブロマイド、セチルピリジウムサルフェート、テトラエチルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート、トリメチルベンジルアンモニウムボレート、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネニウムクロライド、5-ベンジル-1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩類、またはテトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルメトキシメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエトキシカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムアセテート、テトラオクチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムジメチルホスフェート等の4級ホスホニウム塩類が用いられる。
【0014】
硬化触媒としては、クラウンエーテル錯体、第3アミンまたは第3ホスフィンを用いることもできる。クラウンエーテルとしては、例えば12-クラウン-4、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、21-クラウン-7、24-クラウン-8等が用いられ、これらがKF、KCl、KBr、CsF、チオシアン酸カリウム、ナトリウムフェノキサイド、カリウムフェノキサイド、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の無機塩類あるいは有機塩類との錯体として用いられる。第3アミンとしては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン等が、また第3ホスフィンとしてはトリフェニルホスフィン等が用いられる。これらの各触媒もまた、4級オニウム塩触媒と同じような割合で用いられる。
【0015】
このような触媒の存在下または不存在下での硬化反応は、約130~180℃、好ましくは約150~170℃で約5~180時間またはそれ以上、好ましくは約30~120分間行われる。
【0016】
【発明の効果】
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、硬化時に水酸基を形成させないので、耐水性が良いばかりではなく耐熱性にもすぐれ、このため誘導特性などの電気絶縁特性にもすぐれた硬化物を与えることを可能とする。また、硬化物は、高濃度にして安定なリンを含有するので、それ自身難燃性を有する樹脂を形成する。
【0017】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0018】
参考例1
ビスフェノールスルホン2.952g(11.80ミリモル)およびトリエチルアミン4.52ml(32.22ミリモル)を120mlのテトラヒドロフラン中に溶解させた溶液中に、テトラヒドロフラン10ml中に溶解させたジフェニルホスフィン酸クロライド5.862g(22.77ミリモル)を、窒素ガス雰囲気中0℃以下で1時間かけて滴下した。0℃で1時間撹拌した後室温迄温度を上げ、更に3時間撹拌した。
【0019】
反応混合物にクロロホルム200mlおよび水100mlを加え、5分間撹拌した後有機相を分け、50mlずつの水で4回洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させてクロロホルムを留去した。残渣を、クロロホルム-酢酸エチル(容積比1.6:1)混合溶媒で4回再結晶すると、融点195.8~197.8℃の無色の結晶として、ビス(4,4′-ジフェニルホスフィニルオキシ)フェニルスルホンが5.293g(収率93%)得られた。
【0020】
参考例2
ビスフェノールAF5.194g(17.59ミリモル)およびジフェニルホスフィン酸クロライド9.158g(38.70ミリモル)を用い、参考例1と同様の反応および分離・精製が行われた。ただし、精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用い、酢酸エチル-クロロホルム(容積比2.5:1)混合溶媒を溶出液として行われた。融点52.3~53.8℃の2,2-ビス(4,4′-ジフェニルホスフィニルオキシ)フェニル-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンが12.086g(収率93%)得られた。
【0021】
参考例3
ビスフェノールA 1.854g(8.12ミリモル)およびジフェニルホスフィン酸クロライド4.228g(17.86ミリモル)を用い、参考例2と同様の反応および分離・精製が行われた。ただし、溶出液としては、容積比2:1の同じ混合溶媒が用いられた。融点58.9~59.9℃の2,2-ビス(4,4′-ジフェニルホスフィニルオキシ)フェニルプロパンが2.131g(収率61%)得られた。
【0022】
実施例1
エポキシ樹脂(ダウケミカル社製品DEN431;エポキシ当量176)
JP0003810218B2_000009t.gifGly:グリシジル基
のエポキシ基に対して1/2当量の2,2-ビス(4,4-ジフェニルホスフィニルオキシ)フェニル-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン
JP0003810218B2_000010t.gifを添加し、150℃で2時間硬化反応させた。
【0023】
硬化反応の進行状況をFT-IRで追跡し、芳香族C=C結合(約1502cm-1)の吸収ピ-クを内部基準とした。芳香族-O-Pおよびグリシジルエ-テル振動による910cm-1の強い吸収ピ-クを、ホスフィン酸塩およびエポキシ基の相対的な量を計算するために選んだ。
【0024】
硬化反応によって体積は減少し、黄色味がかってはいるが透明な硬い硬化樹脂が得られた。90%変換には150分間以上を要し、またそのハ-フタイムt1/2(エポキシ基とホスフィン酸エステルとが半分迄反応する時点)は、115分であった。
【0025】
実施例2
実施例1において、硬化触媒としてテトラブチルホスホニウムクロライド(TBPC)、テトラブチルホスホニウムブロマイド(TBPB)またはテトラフェニルホスホニウムクロライド(TPPC)が添加されて用いられ、次の表1に示されるような結果を得た。
JP0003810218B2_000011t.gif
【0026】
なお、No.3におけるゲル含量は58.1%、ガラス転移温度Tg(DSC法)は97℃であった。
【0027】
実施例3
実施例2のNo.1~5において、ビスフェノール化合物ビスホスフィン酸エステルとして、ビス(4,4′-ジフェニルホスホニルオキシ)フェニルスルホン
JP0003810218B2_000012t.gifが同モル数用いられ、次の表2に示されるような結果を得た。
JP0003810218B2_000013t.gif
【0028】
実施例4
実施例3において、他の触媒を同量用いて180℃で硬化反応を行ない、次の表3に示されるような結果を得た。
JP0003810218B2_000014t.gif