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Specification :(In Japanese)伝送線路マイクロ波装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5234667
Date of registration Apr 5, 2013
Date of issue Jul 10, 2013
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)伝送線路マイクロ波装置
IPC (International Patent Classification) H01P   1/32        (2006.01)
H01Q  13/24        (2006.01)
H01P   1/215       (2006.01)
FI (File Index) H01P 1/32
H01Q 13/24
H01P 1/215
Number of claims or invention 20
Total pages 48
Application Number P2009-503994
Date of filing Mar 5, 2008
International application number PCT/JP2008/053964
International publication number WO2008/111460
Date of international publication Sep 18, 2008
Application number of the priority 2007054445
Priority date Mar 5, 2007
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Feb 28, 2011
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】上田 哲也
Representative (In Japanese)【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100125874、【弁理士】、【氏名又は名称】川端 純市
Examiner (In Japanese)【審査官】佐藤 当秀
Document or reference (In Japanese)国際公開第2006/137575(WO,A1)
Field of search H01P 1/215
H01P 1/32
H01Q 13/10
H01Q 13/20
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを備え、マイクロ波の伝搬方向に対して異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して非対称な構造を有し、かつ、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有するように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定してなる少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を備え、
上記少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備えたことを特徴とする伝送線路マイクロ波装置。
【請求項2】
所定の動作周波数において、上記マイクロ波伝送線路において第1のポートから第2のポートに向う方向では左手系伝送で電力伝送されかつ第2のポートから第1のポートに向う方向では右手系伝送で電力伝送されるように、上記分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定したことを特徴とする請求項1記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項3】
所定の動作周波数において、上記マイクロ波伝送線路において第1のポートから第2のポートに向う方向では左手系伝送もしくは右手系伝送で電力伝送されかつ第2のポートから第1のポートに向う方向では伝搬定数がゼロで管内波長が無限大となるように電力伝送されるように、上記分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定したことを特徴とする請求項1記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項4】
上記マイクロ波伝送線路は、上記分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定することにより構成され、所定の位相量だけ移相するマイクロ波移相器であることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項5】
上記マイクロ波伝送線路は、所定の動作周波数において、上記マイクロ波伝送線路においてマイクロ波信号が第1のポートから第2のポートに向う伝搬方向で伝搬するとき、上記伝搬方向に対して斜め前方、斜め後方、もしくはブロードサイド方向に漏れ波の主ビームを有する放射パターンの無線信号を放射する漏れ波アンテナ装置であることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項6】
上記伝送線路マイクロ波装置は、第1のポートから第2のポートに向う方向で伝搬する第1のモードの伝搬定数をβとし、第2のポートから第1のポートに向う方向で伝搬する第2のモードの伝搬定数をβとしたとき、β=-β満たすように構成されたマイクロ波共振器であることを特徴とする請求項2記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項7】
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた結合用伝送線路とを備えることにより、マイクロ波フィルタを構成したことを特徴とする請求項6記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項8】
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた負性抵抗素子とを備えることにより、マイクロ波発振器を構成したことを特徴とする請求項6記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項9】
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた給電用伝送線路とを備えることにより、マイクロ波アンテナ装置を構成したことを特徴とする請求項6記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項10】
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた給電用伝送線路と、
上記マイクロ波共振器のマイクロ波伝送線路と結合するように設けられた複数の分岐用伝送線路とを備えることにより、マイクロ波電力分配器を構成したことを特徴とする請求項6記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項11】
上記マイクロ波伝送線路は、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された基板上に形成された非対称マイクロストリップ線路であることを特徴とする請求項1乃至10のうちのいずれか1つに記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項12】
上記マイクロ波伝送線路は、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された磁性体を含む非対称導波管であることを特徴とする請求項1乃至10のうちのいずれか1つに記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項13】
上記マイクロ波伝送線路は、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された磁性体を含む非対称誘電体伝送線路であることを特徴とする請求項1乃至10のうちのいずれか1つに記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項14】
上記マイクロ波伝送線路において、上記直列枝の容量性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負であるマイクロ波素子であり、上記並列枝の誘導性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負であるマイクロ波素子であることを特徴とする請求項12又は13記載の伝送線路マイクロ波装置。
【請求項15】
自発磁化もしくは外部磁界により磁化され、裏面に接地導体を有する基板と、
上記基板上に形成されたマイクロストリップ線路と、
上記マイクロストリップ線路を複数の線路部に分断し、上記分断された複数の線路部のうちの互いに隣接する各線路部を接続する複数のキャパシタと、
上記各線路部をそれぞれ接地導体に接続する複数の短絡スタブ導体とを備えた伝送線路を用いた請求項5記載の伝送線路マイクロ波装置である伝送線路アンテナ装置であって、
上記伝送線路の一端と他端の少なくとも一方に高周波信号を入力し、所定の動作周波数において、上記伝送線路を前進波伝送線路又は後退波伝送線路として動作させ、上記伝送線路の非可逆性を利用して上記伝送線路から漏洩する漏洩波を放射波とする主ビームを形成するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする伝送線路アンテナ装置。
【請求項16】
上記基板はさらに誘電体基板を含み、上記磁性体基板と上記誘電体基板とをそれらの側面同士で境界部分にて合体してなり、裏面に接地導体を有することを特徴とする請求項15記載の伝送線路アンテナ装置。
【請求項17】
上記制御手段は、上記伝送線路の一端及び他端にそれぞれ上記高周波信号を入力し、上記入力する各高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項15又は16記載の伝送線路アンテナ装置。
【請求項18】
上記制御手段は、上記伝送線路の一端に上記高周波信号を入力し上記伝送線路の他端において前進波を反射して、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項15又は16記載の伝送線路アンテナ装置。
【請求項19】
上記制御手段は、上記伝送線路の他端に上記高周波信号を入力し上記伝送線路の一端において後退波を反射して、放射波の主ビームを形成することを特徴とする請求項15又は16記載の伝送線路アンテナ装置。
【請求項20】
上記制御手段は、上記伝送線路の一端及び他端にそれぞれ上記高周波信号を選択的に入力し放射波の主ビームを切り替えることを特徴とする請求項15又は16記載の伝送線路アンテナ装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有する非可逆伝送線路を用いた伝送線路マイクロ波回路を備えた伝送線路マイクロ波装置、並びに、上記非可逆伝送線路からの漏洩波を用いた新規な伝送線路アンテナ装置に関する。なお、本明細書において、マイクロ波とは、例えばUHF(Ultra High Frequency)バンドの周波数帯以上のマイクロ波、ミリ波,準ミリ波、テラヘルツ波をいう。以下、「非可逆右手及び左手系伝送線路」を「非可逆右手/左手系伝送線路」という。
【背景技術】
【0002】
最近、従来の分布定数線路のインダクタンスと容量の配置を入れ換えた左手系伝送(Left Handed Transmission(LHT))線路の研究が活発化している(例えば、非特許文献1-3参照。)。左手系伝送線路の回路には、後退波特性、レンズ作用などの特異性も現れるので、新しいマイクロ波回路素子への期待が大きい。
【0003】

【特許文献1】特開平5-183329号公報。
【特許文献2】特開2005-124038号公報。
【特許文献3】特開2005-160009号公報。
【非特許文献1】堤誠ほか,「フェライト基板マイクロストリップ左手系線路に見られる非可逆特性」,電子情報通信学会論文誌C,Vol.J87-C,No.2,pp.274-275,2004年2月。
【非特許文献2】M. Tsutsumi et al., "Nonreciprocal Left-Handed Microstrip Lines", 2004 IEEE MTT-S International Microwave Symposium, TU5C-3, pp.249-252, June 2004.
【非特許文献3】Tetsuya Ueda, et al., "Left-Handed Transmission Characteristics of Ferrite Microstrip Lines without Series Capacitive Loading", IEICE Transactions on Electron, Vol. E89-C, No. 9, pp.1318-1323, September 2006.
【非特許文献4】Atsushi Sanada et al., "Novel Zeroth-Order Resonance in Composite Right/Left-Handed Transmission Line Resonators", Proceeding of 2003 Asia-Pacific Microwave Conference, Soul Korea, pp.1581-1591, November 4-7, 2003.
【非特許文献5】Atsushi Sanada et al., "A Planar Zeroth-Order Resonator Antenna Using a Left-Handed Transmission Line", Proceedings of 34th European Microwave Conference, Amsterdam, Netherlands, pp.1341-1344, October 11-15, 2004.
【非特許文献6】Tetsuya Ueda, et al., "Left-Handed Transmission Characteristics of Rectangular Waveguides Periodically Loaded With Ferrite", IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 41, No. 10, pp. 3532-3537, October 2005.
【非特許文献7】Shuang Zhang et al., "Experimental Demonstration of Near-Infrared Negative-Index Metamaterials", Physical Review Letters, The American Physical Society, PRL-95, pp.137404-1-13704-4, September 23, 2005.
【非特許文献8】Gunnar Dolling et al., "Low-loss negative-index metamaterial at telecommunication wavelengths", Optics Letters, Vol.31, No.12, pp.1800-1802, June 15, 2006.
【非特許文献9】D. R. Smith et al., "Composite Medium with Simultaneously Negative Permeability and Permittivity", Physical Review Letters, The American Physical Society, Vol.84, No. 18, pp. 4184-4187, May 1, 2000.
【非特許文献10】R. Marques et al., "Left-Handed-Media Simulation and Transmission of EM Waves in Subwavelength Split-Ring-Resonator-Loaded Metallic Waveguides", Physical Review Letters, The American Physical Society, Vol.89, No. 18, pp.183901-1-183901-4, October 28, 2002.
【非特許文献11】Juan D. Baena et al., "Artificial magnetic metamaterial design by using spiral resonators", Physical Review Letters, The American Physical Society, Vol.B69, pp.014402-1-014402-5, 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、非特許文献1においては、フェライトマイクロストリップ線路において左手系伝送線路の回路を構成し、透磁率が負になる周波数帯域において、エッジガイドモードの非可逆性の伝搬特性を数値的及び実験的に明らかにしている。具体的には、アイソレーションが20dB以上の非可逆性を伴って、透磁率が負になる帯域でエッジガイドモードが伝搬することを明らかにしている。また、伝送線路からの漏洩波を放射するアンテナ装置については、例えば特許文献1-3において開示されている。
【0005】
しかしながら、当該非可逆左手系伝送線路の回路を用いたアンテナ装置へのアプリケーションについてはいまだ発表されていない。特に、非可逆左手系伝送線路は高周波信号を伝送することを目的としており、非可逆左手系伝送線路からの漏洩波はほとんどない。なお、左手系伝送線路において、当該非可逆伝送線路を伝搬する高周波信号の電力の方向を逆にとれば、右手系伝送線路として動作しうる。
【0006】
また、順方向と逆方向のうち、一方が左手系伝送線路で,他方が右手系伝送線路となるような非可逆伝送線路並びに、それを用いた伝送線路マイクロ波回路(例えば、移相器、アンテナ装置、共振器、フィルタ、電力分配器、発振器など)は考案されていない。特に、マイクロ波共振器及びそれを用いたマイクロ波回路においては、線路長に依存して共振周波数が決定するために、共振周波数によってはその装置構成が大型化するという問題点があった。
【0007】
本発明の第1の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して大幅に小型化できかつ特有の作用効果を有する、伝送線路マイクロ波回路、並びにマイクロ波共振器及びそれを用いたマイクロ波回路などの伝送線路マイクロ波装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は以上の問題点を解決し、左手系又は右手系伝送線路などの伝送線路からの漏洩波を用いて、主ビームを形成しかつ主ビーム方向を制御可能な伝送線路アンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る伝送線路マイクロ波装置は、容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを備え、マイクロ波の伝搬方向に対して異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して非対称な構造を有し、かつ、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有するように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定してなる少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を備え、
上記少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記伝送線路マイクロ波装置において、所定の動作周波数において、上記マイクロ波伝送線路において第1のポートから第2のポートに向う方向では左手系伝送で電力伝送されかつ第2のポートから第1のポートに向う方向では右手系伝送で電力伝送されるように、上記分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定したことを特徴とする。
【0011】
また、上記伝送線路マイクロ波装置において、所定の動作周波数において、上記マイクロ波伝送線路において第1のポートから第2のポートに向う方向では左手系伝送もしくは右手系伝送で電力伝送されかつ第2のポートから第1のポートに向う方向では伝搬定数がゼロで管内波長が無限大となるように電力伝送されるように、上記分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定したことを特徴とする。
【0012】
さらに、上記伝送線路マイクロ波装置において、上記マイクロ波伝送線路は、上記分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定することにより構成され、所定の位相量だけ移相するマイクロ波移相器であることを特徴とする。
【0013】
またさらに、上記伝送線路マイクロ波装置において、上記マイクロ波伝送線路は、所定の動作周波数において、上記マイクロ波伝送線路においてマイクロ波信号が第1のポートから第2のポートに向う伝搬方向で伝搬するとき、上記伝搬方向に対して斜め前方、斜め後方、もしくはブロードサイド方向に漏れ波の主ビームを有する放射パターンの無線信号を放射する漏れ波アンテナ装置であることを特徴とする。
【0014】
さらに、上記伝送線路マイクロ波装置は、第1のポートから第2のポートに向う方向で伝搬する第1のモードの伝搬定数をβとし、第2のポートから第1のポートに向う方向で伝搬する第2のモードの伝搬定数をβとしたとき、β=-β満たすように構成されたマイクロ波共振器であることを特徴とする。但し、βとβの符号は、右手系伝送の場合に正となるように選んでいる。
【0015】
上記伝送線路マイクロ波装置において、
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた結合用伝送線路とを備えることにより、マイクロ波フィルタを構成したことを特徴とする。
【0016】
また、上記伝送線路マイクロ波装置において、
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた負性抵抗素子とを備えることにより、マイクロ波発振器を構成したことを特徴とする。
【0017】
さらに、上記伝送線路マイクロ波装置において、
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた給電用伝送線路とを備えることにより、マイクロ波アンテナ装置を構成したことを特徴とする。
【0018】
またさらに、上記伝送線路マイクロ波装置において、
上記マイクロ波共振器と、
上記マイクロ波共振器と結合するように設けられた給電用伝送線路と、
上記マイクロ波共振器のマイクロ波伝送線路と結合するように設けられた複数の分岐用伝送線路とを備えることにより、マイクロ波電力分配器を構成したことを特徴とする。
【0019】
また、上記伝送線路マイクロ波装置において、上記マイクロ波伝送線路は、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された基板上に形成された非対称マイクロストリップ線路であることを特徴とする。
【0020】
さらに、上記伝送線路マイクロ波装置において、上記マイクロ波伝送線路は、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された磁性体を含む非対称導波管であることを特徴とする。
【0021】
またさらに、上記伝送線路マイクロ波装置において、上記マイクロ波伝送線路は、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された磁性体を含む非対称誘電体伝送線路であることを特徴とする。
【0022】
またさらに、上記伝送線路マイクロ波装置においては、上記マイクロ波伝送線路において、上記容量性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負であるマイクロ波素子であり、上記誘導性素子は当該伝送線路を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負であるマイクロ波素子であることを特徴とする。
【0023】
第2の発明に係る伝送線路アンテナ装置は、
自発磁化もしくは外部磁界により磁化され、裏面に接地導体を有する基板と、
上記基板上に形成されたマイクロストリップ線路と、
上記マイクロストリップ線路を複数の線路部に分断し、上記分断された複数の線路部のうちの互いに隣接する各線路部を接続する複数のキャパシタと、
上記各線路部をそれぞれ接地導体に接続する複数の短絡スタブ導体とを備えた伝送線路を用いた上記伝送線路マイクロ波装置である伝送線路アンテナ装置であって、
上記伝送線路の一端と他端の少なくとも一方に高周波信号を入力し、所定の動作周波数において、上記伝送線路を前進波伝送線路又は後退波伝送線路として動作させ、上記伝送線路の非可逆性を利用して上記伝送線路から漏洩する漏洩波を放射波とする主ビームを形成するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
上記伝送線路アンテナ装置において、上記基板はさらに誘電体基板を含み、上記磁性体基板と上記誘電体基板とをそれらの側面同士で境界部分にて合体してなり、裏面に接地導体を有することを特徴とする。
【0025】
また、上記伝送線路アンテナ装置において、上記制御手段は、上記伝送線路の一端及び他端にそれぞれ上記高周波信号を入力し、上記入力する各高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、放射波の主ビームを形成することを特徴とする。
【0026】
さらに、上記伝送線路アンテナ装置において、上記制御手段は、上記伝送線路の一端に上記高周波信号を入力し上記伝送線路の他端において前進波を反射して、放射波の主ビームを形成することを特徴とする。
【0027】
またさらに、上記伝送線路アンテナ装置において、上記制御手段は、上記伝送線路の他端に上記高周波信号を入力し上記伝送線路の一端において後退波を反射して、放射波の主ビームを形成することを特徴とする。
【0028】
またさらに、上記伝送線路アンテナ装置において、上記制御手段は、上記伝送線路の一端及び他端にそれぞれ上記高周波信号を選択的に入力し放射波の主ビームを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る伝送線路マイクロ波装置によれば、容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを備え、マイクロ波の伝搬方向に対して異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して非対称な構造を有し、かつ、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有するように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定してなる少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を備え、上記少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備える。
【0030】
従って、従来技術に比較して大幅に小型化できかつ特有の作用効果を有する伝送線路マイクロ波装置を提供することができる。具体的には、上記第1と第2のポートからそれぞれマイクロ波を入力した場合、伝送電力の向きは相反する方向関係にあるにもかかわらず、波数ベクトルの等しい2つの相異なる右手系モードと左手系モードを同時に伝送させることができる。この現象を利用して、マイクロ波移相器、漏れ波アンテナ装置及びマイクロ波電力分配器を構成できる。また、上記マイクロ波共振器を構成することにより、線路長に依存せず所定の共振周波数を有し、マイクロ波伝送線路の線路方向に対して電磁界分布の大きさが一定でありかつ波数ベクトルにより定まる位相変化(位相勾配)を有するという特有の作用効果を有する。この特長を利用して、マイクロ波フィルタ、マイクロ波発振器及びマイクロ波アンテナ装置を構成できる。
【0031】
また、本発明に係る伝送線路アンテナ装置によれば、上記伝送線路の一端と他端の少なくとも一方に高周波信号を入力し、所定の周波数において、上記伝送線路を右手系伝送線路又は左手系伝送線路として動作させ、上記伝送線路の非可逆性を利用して、上記入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、上記伝送線路から漏洩する漏洩波を放射波とする主ビームを形成する。従って、左手系又は右手系伝送線路などの伝送線路からの漏洩波を用いて、主ビームを形成しかつ主ビーム方向を制御可能な伝送線路アンテナ装置を提供することができる。特に、1つの伝送線路で主ビームの方向を制御可能なアンテナ装置を形成でき、複数のアンテナ素子を備えた従来技術のアレーアンテナに比較して大幅に小型化し、しかも製造工程が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第1の例の単位セル60Aの構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第2の例の単位セル60Bの構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第3の例の単位セル60Cの構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第4の例の単位セル60Dの構成を示す回路図である。
【図5】従来技術に係る可逆右手/左手系伝送線路において非平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
【図6】従来技術に係る可逆右手/左手系伝送線路において平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態に係る非可逆右手/左手系伝送線路において非平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
【図8】第1の実施形態に係る非可逆右手/左手系伝送線路において平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
【図9】図1の例の単位セル60Aを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aの構成を示すブロック図である。
【図10】図2の例の単位セル60Bを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Bの構成を示すブロック図である。
【図11】図3の例の単位セル60Cを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Cの構成を示すブロック図である。
【図12】図4の例の単位セル60Dを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Dの構成を示すブロック図である。
【図13】第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70を用いた非可逆伝送線路型共振器の構成を示すブロック図である。
【図14】伝搬方向に関係なく波数ベクトルが等しい場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端開放のときの動作を示すブロック図である。
【図15】伝搬方向に関係なく波数ベクトルが等しい場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端短絡のときの動作を示すブロック図である。
【図16】一方向伝搬方向で管内波長が無限大となる場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端開放のときの動作を示すブロック図である。
【図17】一方向伝搬方向で管内波長が無限大となる場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端短絡のときの動作を示すブロック図である。
【図18】第1の実施形態に係る、フェライト基板10Fを有する非可逆右手/左手系伝送線路の第1の例の外観を示す斜視図である。
【図19】第1の実施形態に係る、磁性体基板10Mを有する非可逆右手/左手系伝送線路の第2の例の外観を示す斜視図である。
【図20】第1の実施形態に係る、半導体基板10Sを有する非可逆右手/左手系伝送線路の第3の例の外観を示す斜視図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【図22】図21の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【図23】本発明の第3の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【図24】図23の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【図25】本発明の第4の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【図26】図25の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【図27】本発明の第5の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【図28】図27の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【図29】本発明の第5の実施形態の変形例に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【図30】本発明の第6の実施形態に係る、1対の金属シート77a,77bにてなる誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(上側の金属シート77b(一点鎖線で表示)を除いたとき)を示す斜視図である。
【図31】本発明の第7の実施形態に係る、ストリップ金属シート77c及び接地金属シート77gにてなるストリップ誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(上側のストリップ金属シート77c(一点鎖線で表示)を除いたとき)を示す斜視図である。
【図32】本発明の第8の実施形態の変形例に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構造(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【図33】本発明の第9の実施形態に係る、フェライト基板80を1対の誘電体シート81,82で挟設してなる線路基板上に金属メッシュ形状のストリップ導体83を形成してなるフェライト誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【図34】本発明の第10の実施形態に係る、フェライト基板80を1対の誘電体シート81,82で挟設してなる線路基板上に金属メッシュ形状のストリップ導体83と誘電体共振器85を形成してなるフェライト誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【図35】本発明の第11の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた帯域阻止フィルタの外観を示す斜視図である。
【図36】本発明の第12の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた帯域通過フィルタの構成を示すブロック図である。
【図37】本発明の第13の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70A(T型単位セルを用いたとき)を用いたアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【図38】本発明の第14の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70A(π型単位セルを用いたとき)を用いたアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【図39】本発明の第15の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、位相勾配を有する等電力分配器の構成を示すブロック図である。
【図40】本発明の第16の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、直列帰還型発振器の構成を示すブロック図である。
【図41】本発明の第17の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、直列帰還型発振器の構成を示すブロック図である。
【図42】本発明の第18の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、並列帰還型発振器の構成を示すブロック図である。
【図43】本発明の第19の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置1の外観を示す斜視図である。
【図44】図43の伝送線路アンテナ装置1の透過係数S21,S12及び反射係数S11,S22の振幅の周波数特性を示すグラフである。
【図45】図43の伝送線路アンテナ装置1の透過係数S21,S12の位相の周波数特性を示すグラフである。
【図46】図43の伝送線路アンテナ装置1のポートP1に高周波信号を入力したときの右手系伝送線路における前進波の位相の流れと電力の流れを示す側面模式図である。
【図47】図43の伝送線路アンテナ装置1のポートP2に高周波信号を入力したときの左手系伝送線路における後退波の位相の流れと電力の流れを示す側面模式図である。
【図48】図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=2.4GHzにおいて透過非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図である。
【図49】図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=2.4GHzにおいて減衰非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図である。
【図50】図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=3.3GHzにおいて右手系非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図である。
【図51】図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=3.3GHzにおいて左手系非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図であり、
【図52】図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた双方向入力アンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。
【図53】図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた右手系伝送線路側入力アンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。
【図54】図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた左手系伝送線路側入力アンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。
【図55】図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた入力方向スイッチ切り替えアンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。
【図56】本発明の第20の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(試作回路)の外観を示す斜視図である。
【図57】図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、その伝送特性(相対電力の周波数特性)を示すグラフである。
【図58】図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、その伝送特性(正規化伝搬定数βp/πに対する周波数特性)を示すグラフである。
【図59】図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、順方向右手系伝送線路のXZ面の放射パターンEθ(P1)を示す図である。
【図60】図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、逆方向左手系伝送線路のXZ面の放射パターンEθ(P2)を示す図である。
【図61】本発明の第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の測定結果であって、その非可逆伝送線路の伝送特性(並列誘導素子及び直列容量素子が挿入されたときの振幅特性)を示すグラフである。
【図62】第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、その非可逆伝送線路の伝送特性(並列誘導素子及び直列容量素子が挿入されたときの位相特性)を示すグラフである。
【図63】第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、その非可逆伝送線路の分散曲線を示すグラフである。
【図64】第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、内部直流磁界がゼロのときの可逆伝送線路の伝送特性(振幅特性)を示すグラフである。
【図65】第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、内部直流磁界がゼロのときの可逆伝送線路の伝送特性(位相特性)を示すグラフである。
【図66】本発明の第11の実施形態の第1の変形例に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた帯域阻止フィルタの外観を示す斜視図である。
【図67】本発明の第11の実施形態の第2の変形例に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた方向性結合器の外観を示す斜視図である。
【図68】本発明の第14の実施形態の変形例に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70A(π型単位セルを用いたとき)を用いたアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1…伝送線路アンテナ装置、
2…伝送線路、
10…誘電体基板、
10F…フェライト基板、
10M…磁性体基板、
10S…半導体基板、
10a…境界部分、
11…接地導体、
12,12P1,12P2,12S…ストリップ導体、
12A…マイクロストリップ線路、
13…短絡スタブ導体、
14…間隙、
20…磁性体基板、
30…直流磁界発生器、
40…高周波信号発生器、
41…電力分配器、
42,44…可変減衰器、
43,45…移相器、
46…スイッチ、
50…コントローラ、
60A,60B,60C,60D,60A-1~60A-M…伝送線路の単位セル、
61,62…伝送線路部分、
63…マイクロ波信号発生器、
64-1~64-N…信号分岐伝送線路、
65-1~65-N…カップリングキャパシタ、
66…変成器、
66a…一次コイル、
66b…二次コイル、
67,68…伝送線路、
70,70A,70B,70C,70D…伝送線路装置、
71…矩形導波管、
72…フェライト部、
72a…磁性金属細線構造部、
73…金属部、
74…フェライト板、
74a…半導体板、
75…スプリットリング共振器、
76…誘電体ディスク共振器、
76a…誘電体ロッド共振器、
77a,77b…金属シート、
77c…ストリップ金属シート、
77g…接地金属シート、
78,79…金属ポスト、
80…フェライト基板、
81,82…誘電体シート、
83…ストリップ導体、
84…スプリットリング共振器、
85…誘電体共振器、
86,88,89,91…伝送線路、
87,90…負荷抵抗、
C,C1,C2…キャパシタ、
CC1~CcM+1,C11~C14…カップリング、
L,L1,L2…インダクタ、
P1,P2,P11,P12,P81,P82,P83-1~P83-N,P91,P92…ポート、
Q1…電界効果トランジスタ(FET)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0035】
第1の実施形態.
図1は本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第1の例の単位セル60Aの構成を示す回路図であり、図2は本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第2の例の単位セル60Bの構成を示す回路図である。また、図3は本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第3の例の単位セル60Cの構成を示す回路図であり、図4は本発明の第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路の第4の例の単位セル60Dの構成を示す回路図である。
【0036】
まず、本発明に係る非可逆伝送線路の基本構成について、図1乃至図4などを参照して以下に説明する。
【0037】
本発明に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路において提案する構成は、例えば図1乃至図4に示すように、例えば単位セル60A~60Dが少なくとも1つ以上から構成される梯子型伝送線路構成である。ここで、単位セルの構成は、順方向と逆方向の伝搬定数が異なる非可逆位相推移現象を有する伝送線路部分を含み、直列枝の回路に容量性素子、並列枝の回路に誘導性素子が等価的に挿入された構成を有する(図1乃至図4参照。)。上記伝送線路構成として対象となる回路又は装置は、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、スロット線路、コプレーナ線路などマイクロ波、ミリ波、準ミリ波、テラヘルツ波において用いられるプリント基板回路、導波管、誘電体線路だけでなく、プラズモン、ポラリトン、マグノン等を含む導波モードあるいは減衰モードを支える構成全般、あるいはそれらの組み合わせ、さらに等価回路として記述可能な自由空間など全てが含まれる。
【0038】
上記非可逆位相推移現象を有する伝送線路は、上記に示す伝送線路構成のうち、特にジャイロ異方性を有する材料を部分的もしくは全体的に含み、かつ電磁波の伝搬方向に対して異なる磁化方向(より好ましくは、伝搬方向に対して直交する方向)で磁化されて、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して非対称性を有する構造の伝送線路より構成される。上記非可逆位相推移現象を有する伝送線路としては、上記伝送線路以外に、同等の非可逆位相推移機能を有する、波長に比べて充分小さな集中定数素子も対象とする。上記ジャイロ異方性を有する材料としては、自発磁化もしくは外部より印加した直流もしくは低周波の磁界により誘起された磁化あるいは自由電荷の周回運動により、材料の特性を表す誘電率テンソルもしくは透磁率テンソルあるいはその両方が、ジャイロ異方性を持つ状態として表される場合全てを含む。具体的に対象となる例としては、マイクロ波、ミリ波などで用いられるフェライトなどのフェリ磁性体、強磁性体材料、固体プラズマ(半導体材料など)及び液体、気体プラズマ媒質、さらに微細加工などにより構成された磁性人工媒質などが挙げられる。
【0039】
上記直列枝の回路に挿入される容量性素子としては、電気回路でよく用いられるコンデンサ、マイクロ波、ミリ波などで用いられる分布定数型容量素子だけでなく、等価的には、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負の値を持つような回路又は回路素子であってもよい。負の実効透磁率を示す具体的な例としては、金属からなるスプリットリング共振器、スパイラル構成などの磁気的共振器を少なくとも1つ含む空間的配置、あるいは磁気的共振状態にある誘電体共振器の空間的配置、あるいはフェライト基板マイクロストリップ線路に沿って伝搬するエッジモードのように、負の実効透磁率を持つ導波モードもしくは減衰モードで動作するマイクロ波回路全てを、等価回路として直列枝の回路が容量性素子として支配的に動作する線路として記述されることから用いることが可能である。さらに、上記直列枝の回路に挿入される容量性素子としては、上記以外に、容量性素子と誘導性素子の直列接続、並列接続あるいはそれらの組み合わせであってもよい。挿入されるべき部分の素子又は回路が全体として容量性を示すものであってもよい。
【0040】
上記並列枝の回路に挿入される誘導性素子として、電気回路で用いられるコイルなどの集中定数型素子や、マイクロ波、ミリ波などで用いられる短絡スタブなどの分布定数型誘導性素子だけでなく、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負の値を持つ回路又は素子を用いることができる。具体的には、金属細線、金属球などの電気的共振器を少なくとも1つ含む空間的配置、あるいは金属だけでなく電気的共振状態にある誘電体共振器の空間的配置、あるいはTEモードが遮断領域にある導波管、平行平板線路など、負の実効誘電率を持つ導波モードもしくは減衰モードで動作するマイクロ波回路全てを、等価回路として並列枝が誘導性素子として支配的に動作する伝送線路として記述されることから用いることができる。また、上記並列枝の回路に挿入される誘導性素子としては、上記以外に、容量性素子と誘導性素子の直列接続、並列接続あるいはそれらの組み合わせであってもよい。挿入されるべき部分が全体として誘導性を示す回路又は素子であってもよい。
【0041】
上記非可逆位相推移伝送線路において、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効透磁率が負の場合、減衰モードとなりうるが、負の実効透磁率は、直列枝に容量性素子が挿入された場合に相当することから、同線路の等価回路は、非可逆位相推移部分と直列容量素子部分の両方を含む。
【0042】
上記非可逆位相推移現象を有する伝送線路において、伝送線路中を伝搬する電磁波モードの実効誘電率が負の場合、減衰モードとなりうるが、負の実効誘電率は、並列枝の回路に誘導性素子が挿入された場合に相当することから、同線路の等価回路は、非可逆位相推移部分と並列誘導素子部分の両方を含む。
【0043】
次いで、本発明の非可逆伝送線路の基本動作及び構成について、図1乃至図12を参照して以下に説明する。
【0044】
本発明で取り扱う非可逆伝送線路の全体は、図9乃至図12に示すように、図1乃至図4の単位セル60A~60Dを少なくとも1つ以上含みかつ縦続接続されて構成される。なお、複数個の単位セル60A~60Dが縦続接続される場合においても、必ずしも同一種の単位セル60A~60Dより構成される必要はない。図1及び図2は、それぞれ単位セル60A,60Bが非対称T型構造及び非対称π型構造を有する場合を示している。また、図3及び図4は、より単純な場合として、対称T型構造及び対称π型構造を有する場合を示している。以下では原則として、単位セル60A~60Dの線路長(つまり周期長さp=p1+p2)が波長に比べて十分小さい場合を仮定しているので、従来技術に係る複合右手/左手系伝送線路における単位セルの取り扱いと同様に、T型、π型あるいはL型の場合であっても、本質的に同様の結果が得られる。実際、L型は、パラメータ操作により図1又は図2の場合に含められる。一方で、波長に対する単位セル60A~60Dの線路長がここで述べる基本的動作を制約しないことを強調しておく。
【0045】
図1乃至図4に示す線路構造は単純で、それぞれ線路長(図3及び図4において線路長p/2であり、図1及び図2において線路長p1,p2である。)を有する2本の伝送線路部分61,62を含む非可逆伝送線路の直列枝の回路に容量性素子又は容量性を示す回路網が挿入されており、並列枝の回路には誘導性素子又は誘導性回路網が挿入されている。これらの素子をまとめて単純に実効的なを示すために図1においては、それぞれキャパシタCi(i=1,2)及びインダクタLを挿入する。同様に、図2においては、キャパシタC及びインダクタLi(i=1,2)を挿入する。非可逆伝送線路部分の特性を表すパラメータとして、順方向(ポートP11からポートP12に向う方向をいう。)の伝搬定数及び特性インピーダンスをそれぞれβp及びZpとし、逆方向(ポートP12からポートP11に向う方向をいう。)のそれらをそれぞれ、βm及びZmとしている。具体的例として、図1及び2に示すように、伝搬定数βp1、特性インピーダンスZp1及び線路長p1を有する伝送線路部分61と、伝搬定数βp2、特性インピーダンスZp2及び線路長p2を有する伝送線路部分62とを有する伝送線路において、図3及び図4のような対称型伝送線路の場合(p1=p2=p/2,βp1=βp2=βp,βm1=βm2=βm,Zp1=Zp2=Zp,Zm1=Zm2=Zmである。特に、T型の場合C1=C2=2C、π型の場合、L1=L2=2Lである。)において、単位セル60A~60Dの両端に対して周期的境界条件を課すと、次式を得る。
【0046】
【数1】
JP0005234667B2_000002t.gif

【0047】
ここで、Δβ及び
【数2】
JP0005234667B2_000003t.gif
は次式で表される。
【0048】
【数1】
JP0005234667B2_000004t.gif

【0049】
ω及びβはそれぞれ動作角周波数及び周期構造に沿って伝搬する電磁波の伝搬定数を表す。式(1)は動作角周波数ωと伝搬定数βの関係を表していることから、分散関係式(ω-βダイアグラム)となる。
【0050】
式(1)において、可逆性(βp=βmかつZp=Zm)を仮定すると、従来技術に係る可逆性の複合右手/左手系伝送線路と同じになり、式(1)は次式に簡単化される。
【0051】
【数5】
JP0005234667B2_000005t.gif

【0052】
但し、式(2)中のアドミタンスY及びインピーダンスZはそれぞれ、Y=1/jωL、Z=1/jωCと置いている。
【0053】
図5は従来技術に係る可逆右手/左手系伝送線路において非平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフであり、図6は従来技術に係る可逆右手/左手系伝送線路において平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
【0054】
式(2)で表されるような従来技術に係る右手/左手系複合伝送線路の場合、典型的な分散曲線は図5のように表され、一般に右手系(RH)伝送特性及び左手系(LH)伝送特性を示す帯域の間に禁止帯が現れる。左手系伝送帯域の上限及び右手伝送帯域の下限の周波数は、伝搬定数β=0の条件を式(2)に課すことにより、角周波数ω2に関する2次方程式の解として得られる。結果として、次の2つの解を得る。
【0055】
【数6】
JP0005234667B2_000006t.gif
【数7】
JP0005234667B2_000007t.gif

【0056】
ここで、εp及びμpは単位セル60A~60D内伝送線路部分61,62の実効誘電率及び透磁率を表す。従って、禁止帯がゼロとなるように、カットオフ周波数がω1=ω2を満たすためには、式(2)が伝搬定数β=0の条件に対して、重解を持てばよく、結果として、次式を得る。
【0057】
【数8】
JP0005234667B2_000008t.gif

【0058】
式(3)の結果は、すでによく知られているように、直列枝の回路に挿入されるべき容量性素子であるキャパシタCと、並列枝の回路に挿入されるべき誘導性素子であるインダクタLとがなすインピーダンス
【数9】
JP0005234667B2_000009t.gif
が、挿入されるべき伝送線路部分61,62の特性インピーダンスZpと同じであれば、ギャップが生じないというものであり、一種のインピーダンス整合条件となっている。その場合の分散曲線を図6に示す。
【0059】
式(1)により与えられる非可逆伝送線路の場合の分散曲線について説明する。可逆伝送線路の場合の式(2)の場合は、伝搬定数β=0の軸(つまりω軸)に対して対称構造をなしているのに対して、非可逆伝送線路の式(1)の場合は、分散曲線の対称軸がβ=0の軸よりもβに関して
【数10】
JP0005234667B2_000010t.gif
だけ正の方向にシフトした構造となっていることが式(1)の左辺を見ると容易にわかる。従って、図5に対応して、図7を得る。
【0060】
図7は第1の実施形態に係る非可逆右手/左手系伝送線路において非平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフであり、図8は第1の実施形態に係る非可逆右手/左手系伝送線路において平衡状態の場合の分散曲線(正規化伝搬定数βp/πに対する角周波数ωの特性)を示すグラフである。
【0061】
このように、非可逆伝送線路を用いた右手/左手系複合伝送線路が、可逆伝送線路を用いた場合と大きく異なるのは、分散曲線の対称軸がω軸シフトすることであり、これは、順方向と逆方向の伝搬定数がβp≠βm、つまり非可逆位相推移の効果による。結果として、次の5種類の伝送帯域(A)~(E)に分類することができる。
【0062】
(A)順方向及び逆方向伝搬共に左手系伝送。但し、伝搬定数の大きさは互いに異なる。
(B)順方向が左手系伝送、逆方向は伝搬定数がゼロで管内波長が無限大となる。
(C)順方向が左手系伝送、逆方向が右手系伝送。
(D)順方向が右手系伝送、逆方向は伝搬定数がゼロで管内波長が無限大となる。
(E)順方向及び逆方向伝搬共に右手系伝送。但し、伝搬定数の大きさは互いに異なる。
【0063】
但し、一般に、上記の伝送帯域(C)において、図7を見ればわかるように中央に阻止帯域(禁止バンド)が現れる。ここで、伝送帯域(B)~(D)は新規な伝送帯域の利用であり、特に、図7及び図8において、RH/LHで示している伝送帯域の利用は新規であって各ポートに双方向(順方向及び逆方向)でマイクロ波信号を入力しても位相の流れが所定の同一方向を向く(左手系伝送及び右手系伝送)という特長を有する。
【0064】
比較のため、従来技術に係る可逆伝送線路の場合を考えると、電力伝送の方向が正及び負となる2つの同一モードは、式(3)の整合条件が成立している場合に、つまり、図6に示すように、伝搬定数β=0の点で2つのモードが結合することなく交差することになる。同様に、式(1)により与えられる分散曲線の対称軸線上β=Δβ/2において、式(1)は角周波数ω2に関する2次方程式となり、バンドギャップを生じさせないために重解の条件を課すと、次式を得る。
【0065】
【数11】
JP0005234667B2_000011t.gif
もしくは
【数12】
JP0005234667B2_000012t.gif
(4)
【0066】
但し、εp及びμpはそれぞれ順方向における単位セル60A~60D内非可逆伝送線路部分61,62の実効誘電率及び透磁率を表し、εm及びμmは逆方向の場合のそれらを表す。式(4)より、2つのモードが交差する付近でギャップを生じさせないための条件は、可逆伝送線路の式(3)の場合と類似して、インピーダンス整合条件となっている。しかも、順方向もしくは逆方向のどちらかで整合が取れるように、インダクタL及びキャパシタCを挿入すればよく、インピーダンス整合条件が、可逆伝送線路の場合に比べて、より緩やかであることが特長として挙げられる。
【0067】
図1及び図2に示されているような、対称性のない、より一般的な場合、つまり非対称型の場合について、若干説明する。このような非対称の場合であっても、基本的に図7及び図8と同様に動作する。対称軸の位置は図7及び図8の横軸の正規化伝搬定数βp/π上で次式の位置に修正される。
【0068】
【数13】
JP0005234667B2_000013t.gif

【0069】
また、2つの非可逆伝送線路部分61,62が同一の伝搬特性を有している場合、バンドギャップを生じない整合条件は式(4)と同じになる。但し、図1の場合は
【数14】
JP0005234667B2_000014t.gif
であり、図2の場合、
【数15】
JP0005234667B2_000015t.gif
である。
【0070】
図9は図1の例の単位セル60Aを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aの構成を示すブロック図である。図9において、ポートP1とポートP2との間に、複数個の単位セル60Aが縦続接続されることにより、梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを構成している。
【0071】
また、図10は図2の例の単位セル60Bを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Bの構成を示すブロック図である。図10において、ポートP1とポートP2との間に、複数個の単位セル60Bが縦続接続されることにより、梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Bを構成している。
【0072】
さらに、図11は図3の例の単位セル60Cを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Cの構成を示すブロック図である。図11において、ポートP1とポートP2との間に、複数個の単位セル60Cが縦続接続されることにより、梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Cを構成している。
【0073】
またさらに、図12は図4の例の単位セル60Dを複数個縦続接続されて構成された第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Dの構成を示すブロック図である。図12において、ポートP1とポートP2との間に、複数個の単位セル60Dが縦続接続されることにより、梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Dを構成している。
【0074】
以上の図9乃至図12の構成例においてそれぞれ、同一の単位セルを用いているが、本発明はこれに限らず、異なる単位セルの組み合わせであってもよい。
【0075】
次いで、本発明の非可逆伝送線路型共振器の基本動作について、図13乃至図17を参照して以下に説明する。
【0076】
図13は第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70を用いた非可逆伝送線路型共振器の構成を示すブロック図である。長さlの非可逆伝送線路を用いた共振器モデルの概略図を図13に示す。線路端のポートP1からP2に向かって伝搬する主モードの線路長による位相の変化をΔφ、逆向きのそれをΔφとし、線路端のポートP1及びP2の終端条件による位相の変化をそれぞれΔφ1及びΔφ2とすると、同線路型共振器の共振条件は次式のようになる。
【0077】
[数1]
Δφ=Δφ+Δφ+Δφ1+Δφ2=2nπ (5)
但し、nは整数を表す。
【0078】
特に、両線路端が共に開放もしくは短絡である場合を考えると上の条件式は簡単化され、次式で表される。
【0079】
[数2]
Δφ=Δφ+Δφ=2nπ (6)
【0080】
さらに、線路端のポートP1からP2に向かって伝搬する主モードの伝搬定数をβ、逆方向のそれをβとする。このとき、式(6)は次式で表される。
【0081】
[数3]
Δφ=Δφ+Δφ=-(β+β)l=2nπ (7)
【0082】
共振条件の式(7)において、
[数4]
β+β=0 (8)
の条件が満たされれば、線路長lに関係なく共振条件を満足し、共振周波数が線路の長さによらないマイクロ波共振器の構成が可能となる。
【0083】
図14は伝搬方向に関係なく波数ベクトルが等しい場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端開放のときの動作を示すブロック図であり、図15は伝搬方向に関係なく波数ベクトルが等しい場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端短絡のときの動作を示すブロック図である。
【0084】
本発明に係る本実施形態では、式(8)すなわち
[数5]
β=-β
を満たす非可逆伝送線路型マイクロ波共振器を提案する。この条件は、伝送線路の伝搬特性として、一方の伝搬方向は右手系伝送(フォワード波)、逆方向の伝搬においては左手系伝送(バックワード波)となる場合で、かつ伝搬定数の大きさが等しい場合に成立する。これは先に提案した非可逆右手左手系伝送線路に関して、上述の伝送帯域(C)の場合の動作帯域で、特に順方向及び逆方向の伝搬定数の大きさが等しい場合に構成可能である(図7及び図8参照。)。
【0085】
当該条件を満たす非可逆伝送線路型共振器の特長として、以下が挙げられる。
(I)共振周波数が線路長(セル数)に依存しないだけでなく、
(II)順方向の波と逆方向の波の波数ベクトルが同じ方向を向いているため、両者の重ね合わせによって従来のような節、腹を持つ定在波が立たず、線路長さ方向に対して電磁界分布の大きさが一定となる。
(III)位相分布について注目すると、波数ベクトルにより定まる位相変化が線路上に現れる。
このように、従来技術に係る可逆伝送線路による0次共振器と同様に、伝送線路に沿って電磁界分布の大きさは一定となるが、一方で、線路に沿って位相の変化を持たせることが可能という特長を有する。
【0086】
図16は一方向伝搬方向で管内波長が無限大となる場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端開放のときの動作を示すブロック図であり、図17は一方向伝搬方向で管内波長が無限大となる場合の図13の非可逆伝送線路型共振器において両端短絡のときの動作を示すブロック図である。
【0087】
上述の伝送帯域(B)及び(D)に示す非可逆伝送線路の場合、順方向、逆方向のうち一方の伝搬定数の大きさが零となる。この場合、共振条件の式(5)、(7)のいずれの場合も、従来技術に係る伝送線路型共振器と同様に、共振周波数が線路長に依存することがわかる。しかしながら、上述の本実施形態に係る非可逆伝送線路型共振器と同様に、以下の特長を持つ非可逆伝送線路型マイクロ波共振器の構成が可能である(図16及び図17参照。)。
(I)一方向伝搬に対して、波の位相変化がないことから、順方向、逆方向伝搬の波の重ね合わせによって従来のような節、腹を持つ定在波が立たず、線路長さ方向に対して電磁界分布の大きさが一定となる。
(II)位相分布について注目すると、ゼロでない波数ベクトルにより定まる位相変化が線路上に現れる。
【0088】
次いで、非可逆右手/左手系線路構成の具体的構成例について以下、図18乃至図34を参照して以下に説明する。なお、図21乃至図34については、第2乃至第10の実施形態として分けて説明する。
【0089】
図18は第1の実施形態に係る、フェライト基板10Fを有する非可逆右手/左手系伝送線路の第1の例の外観を示す斜視図である。図18において、単位セルを構成する非可逆位相推移現象を持つ伝送線路として、構造が非対称な垂直磁化されたフェライト基板10F上に形成されたマイクロストリップ線路12Aに沿って伝搬するエッジモードを利用した非可逆右手/左手系伝送線路を示す。ここで、当該伝送線路の直列枝に集中定数容量素子である間隙14のキャパシタCを形成し、並列枝に誘導性素子として短絡スタブ導体13をフェライト基板10Fに隣接して置かれた誘電体基板10上に形成することを特徴としている。
【0090】
図18において、当該伝送線路は、
(a)基板表面に対して垂直な方向の自発磁化もしくは外部磁界により生じた磁化Msを有するフェライト基板10Fと、例えばガラスエポキシ樹脂などの誘電体基板10とをそれらの側面同士で境界部分にて合体してなり、裏面に接地導体11を有する基板と、
(b)上記基板の境界部分上に形成されたマイクロストリップ線路12Aと、
(c)マイクロストリップ線路12Aを、それぞれ間隙14を形成して、幅wの線路部である複数のストリップ導体12に分断し、複数のストリップ導体12のうちの互いに隣接する各ストリップ導体12を接続する複数のキャパシタCと、
(d)上記各ストリップ導体12をそれぞれ接地導体11に接続する複数の短絡スタブ導体13とを備えて構成される。
【0091】
なお、図18の伝送線路では、6個のキャパシタCを装荷し、5個の短絡スタブ導体13を形成してなる5周期の分布定数回路型伝送線路を形成している。また、磁性体基板10F及び誘電体基板10を挟設する各ストリップ導体12及び線路端のストリップ導体12P1,12P2(幅wport)と接地導体11によりマイクロストリップ線路12Aを構成する。さらに、キャパシタCは入力される高周波信号の周波数に依存して、互いに隣接するストリップ導体12間に実体のあるキャパシタを接続してもよいし、図18のごとく上記各間隙14の浮遊容量のみで構成し、もしくは上記各間隙14の浮遊容量と並列接続されたキャパシタとからなる直列容量をキャパシタCとしてもよい。また、スタブ長lstub及びスタブ幅wstubの短絡スタブ導体13の形成間隔は単位セルの周期p[mm]と同じである。
【0092】
図19は第1の実施形態に係る、磁性体基板10Mを有する非可逆右手/左手系伝送線路の第2の例の外観を示す斜視図である。図19において、当該例の非可逆右手/左手系伝送線路は、図18の例に比較して、フェライト基板10Fに代えて、磁性体基板10Mを用いたことを特徴としている。すなわち、単位セルを構成する非可逆位相推移現象を持つ伝送線路として、垂直磁化Msされた磁性金属細線構造からなる磁性体基板10Mを用いた非対称な構成を有するマイクロストリップ線路12Aに沿って伝搬するエッジモードを利用した非可逆右手/左手系伝送線路を示す。ここで、当該伝送線路の直列枝に集中定数容量素子である間隙14のキャパシタCを形成し、並列枝に誘導性素子として短絡スタブ導体13を磁性体基板10Mに隣接して置かれた誘電体基板10上に形成することを特徴としている。
【0093】
図20は第1の実施形態に係る、半導体基板10Sを有する非可逆右手/左手系伝送線路の第3の例の外観を示す斜視図である。図20において、当該例の非可逆右手/左手系伝送線路は、図18の例に比較して、フェライト基板10Fに代えて、半導体基板10Sと、それに対して垂直直流磁界を印加する直流磁界発生器30を用いたことを特徴としている。すなわち、単位セルを構成する非可逆位相推移現象を持つ伝送線路として、直流磁界発生器30により垂直磁界Hoにより磁化された半導体基板10Sを用いた非対称な構成を有するマイクロストリップ線路12Aに沿って伝搬するエッジモードを利用した非可逆右手/左手系伝送線路を示す。ここで、当該伝送線路の直列枝に集中定数容量素子である間隙14のキャパシタCを形成し、並列枝に誘導性素子として短絡スタブ導体13を半導体基板10Sに隣接して置かれた誘電体基板10上に形成することを特徴としている。
【0094】
さらに、第1の実施形態に係る非可逆右手/左手系伝送線路を用いた応用例について以下に説明する。当該応用例としては、移相器、漏れ波アンテナ装置、及び共振器について説明する。
【0095】
従来の移相器は、可逆伝送線路が主であり、双方向伝送に対して、位相進みもしくは位相遅れが同じであった。非可逆伝送線路を用いた場合であっても、相異なる値を持つ位相遅れもしくは位相進みを与える構成となっていた。ここで提案する非可逆右手/左手系線路を用いることにより、以下のように構成することができる。
(i)順方向が右手系伝送線路として位相遅れ、逆方向が左手系伝送線路として位相進みを与える非可逆移相器。
(ii)順方向が右手系伝送線路として位相遅れ、逆方向が入出力間で位相変化のない非可逆移相器。
(iii)順方向が左手系伝送線路として位相進み、逆方向が入出力間で位相変化のない非可逆移相器。
(iv)同一周波数において、順方向及び逆方向共に右手系伝送であるが、位相変化の異なる非可逆移相器。
(v)同一周波数において、順方向及び逆方向共に左手系伝送であるが、位相変化の異なる非可逆移相器。
(vi)上記(i)~(v)のうち少なくとも2つ以上を組み合せることにより構成される非可逆移相器。
【0096】
図7を用いて、上記非可逆移相器の各動作を説明する。一般に、分散曲線の勾配は、群速度すなわち、伝送電力の向きを表すことから、以下では、勾配
【数16】
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が正の場合を順方向電力伝送とし、負の場合を逆方向伝送とすることができる。
(a)動作周波数がωLHL<ω<ωβ0Lの領域にある非可逆伝送線路の場合、順方向電力伝送の場合の伝搬定数βが負の値を有し、逆方向電力伝送の場合の伝搬定数βが正の値となることから、いずれの伝送方向の場合も左手系伝送線路として動作している。以上のことから、同線路は上記(v)の移相器として動作する。
(b)動作周波数がω=ωβ0Lの非可逆伝送線路の場合、順方向電力伝送の場合の伝搬定数が0で管内波長が無限大となっている。一方で、逆方向伝送の場合の伝搬定数が正であり、左手系伝送線路として動作している。以上のことから、同線路は上記(iii)の移相器として動作する。
(c)動作周波数がωβ0L<ω<ωcLあるいはωcU<ω<ωβ0Uの領域にある非可逆伝送線路の場合、順方向電力伝送の場合の伝搬定数βが正の値を有し、逆方向電力伝送の場合の伝搬定数βが正の値となることから、順方向は右手系伝送線路として、逆方向は左手系伝送線路として動作している。以上のことから、同線路は上記(i)の移相器として動作する。
(d)動作周波数がω=ωβ0Uの非可逆伝送線路の場合、逆方向電力伝送の場合の伝搬定数が0で管内波長が無限大となっている。一方で、順方向伝送の場合の伝搬定数が正であり、右手系伝送線路として動作している。以上のことから、同線路は上記(ii)の移相器として動作する。
(e)動作周波数がωβ0U<ω<ωRHUの領域にある非可逆伝送線路の場合、順方向電力伝送の場合の伝搬定数βが正の値を有し、逆方向電力伝送の場合の伝搬定数βが負の値となることから、いずれの伝送方向の場合も右手系伝送線路として動作している。以上のことから、同線路は上記(iv)の移相器として動作する。
【0097】
本発明に係る非可逆右手左手系伝送線路の構成パラメータを機械的、電気的、磁気的もしくは光学的に変えることにより、同一周波数において、上記(i)~(v)のいずれかの特性を有す移相器の位相特性を連続的に変えることが可能である。さらに、同一周波数動作として、上記(i)~(v)のうち少なくとも2つ以上を組み合わせて移相器を構成することも可能である。
【0098】
次いで、伝送電力が逆向きで、動作周波数、波数ベクトルの等しい異種モード間のデカップリングについて以下に説明する。
【0099】
カップリング周波数及び伝搬定数のほぼ等しい同種あるいは異種のモードを支える2つの独立した線路構成を隣接して再配置すると通常、それぞれの固有モード間に結合が生じ、結果として、同周波数付近においては、全体の系で見た直交モードは
(A)対称モード及び反対称モードに相当する2つの異なる波数ベクトルを持つ、もしくは、
(B)導波モードが存在せず阻止帯域が形成される(例えば周期構成におけるブラッグ(Bragg)反射など)
のいずれかとなる場合が多い。特に、(B)の場合、結合により信号伝送が阻害されることが問題となりうる。これに対して、発明の非可逆伝送線路を用いることにより、電力伝送方向は逆向きとなるが、図8中のω=ω0での動作のように、動作周波数、波数ベクトルの等しい異種モードを結合なくサポートする単一線路の構成を可能とする。非可逆伝送線路の構成パラメータを変えることにより、2つのモード間に結合を与え、阻止帯域形成することも可能である。従って、発明の非可逆右手左手系伝送線路の構成パラメータを機械的、電気的、磁気的もしくは光学的に変えることにより、電力伝送方向は異なるが、周波数及び波数ベクトルの等しい2つの異種モードに対して、結合、非結合の切り替えが可能となる。
【0100】
さらに、本実施形態に係る非可逆伝送線路を用いた非可逆漏れ波アンテナ装置について以下に説明する。
【0101】
従来技術に係る漏れ波アンテナ装置を構成する線路は可逆伝送線路であり、順方向の信号伝送に対して漏れ波が前方放射ビームを形成する場合、逆方向の信号伝送に対しても相等しい前方放射を行う。また、順方向の信号伝送に対して漏れ波が後方放射ビームを形成する場合、逆方向の信号伝送に対しても相等しい後方放射を行う。漏れ波アンテナを構成する線路部分に、本発明に係る非可逆右手/左手系伝送線路を用いることにより、以下の構成を行うことができる。
(i)同一周波数において、線路内を順方向に伝搬する信号に対して、漏れ波が前方に放射ビームを形成し、信号の逆方向伝搬に対して、後方に放射ビームを形成する非可逆漏れ波アンテナ装置。
(ii)同一周波数において、線路内を順方向に伝搬する信号に対して、漏れ波が前方に放射ビームを形成し、信号の逆方向伝搬に対して、ブロードサイド(伝搬方向とは直交する方向をいう。以下、同様である。)に放射ビームを形成する非可逆漏れ波アンテナ装置。
(iii)同一周波数において、線路内を順方向に伝搬する信号に対して、漏れ波が後方に放射ビームを形成し、信号の逆方向伝搬に対して、ブロードサイドに放射ビームを形成する非可逆漏れ波アンテナ装置。
(iv)上記(i)の非可逆漏れ波アンテナ装置の特別な場合として、同一周波数において、信号の伝搬方向に関係なく、線路からの漏れ波による放射ビームが同一方向を向く非可逆漏れ波アンテナ装置。
(v)同一周波数において、線路内の信号伝搬方向に関係なく漏れ波が前方に放射ビームを形成するが、放射角の異なる非可逆漏れ波アンテナ装置。
(vi)同一周波数において、線路内の信号伝搬方向に関係なく漏れ波が後方に放射ビームを形成するが、放射角の異なる非可逆漏れ波アンテナ装置。
(vii)上記(i)~(vi)の少なくとも2つ以上を組み合わせことにより構成された非可逆漏れ波アンテナ装置。
【0102】
これらの本実施形態に係る非可逆漏れ波アンテナ装置は以下の特有の作用効果を有する。
【0103】
(A)線路の構成パラメータを変えることなく、信号の伝送方向の選択により、放射ビームの走査、偏波特性変化を可能とする。
また、従来技術に係る漏れ波アンテナ装置においては、アンテナ装置を構成する線路終端での不整合による線路内の反射波の伝搬が、順方向伝搬の場合とは逆方向に不要な放射ビームとしてサイドローブを形成してしまう問題があった。そのため、伝送線路内では、マイクロ波信号は一方向伝搬が前提であり、線路終端での整合も回路設計を行う上で重要となる。それに対して、ここで提案する本実施形態に係る非可逆右手/左手系伝送線路を用いた非可逆漏れ波アンテナ装置は、伝送線路における入力端子の選択、マイクロ波信号の伝搬方向に関係なく、放射ビーム方向を同じ方向に指定できる。その結果として、構成設計を最適に行うことにより、以下の特有の作用効果を有する。
(B)アンテナ装置を構成する伝送線路の両端から信号を入力、双方向同時伝搬による漏れ波放射ビームの制御、アンテナ利得、指向性の改善、サイズの小型化を可能とする。
(C)一端子入力、終端反射の積極的利用による放射メインローブの制御、それによるアンテナ利得、指向性の改善、あるいはアンテナサイズの小型化を可能とする。
(D)構造パラメータを、機械的、電気的、磁気的あるいは光学的に変えることにより、放射ビームの走査を可能とする。
【0104】
さらに、本実施形態に係る非可逆伝送線路を用いた共振器について以下に説明する。
【0105】
当該共振器を構成する伝送線路内において、順方向及び逆方向に伝搬する2つのモードの伝搬定数が異なることから、終端以外で電磁界分布のヌル点を消失させることが可能である。例えば、電流波がゼロとなるヌル点あるいは逆に電圧波がヌル点となるような位置が、共振器上に存在することが望ましくない場合、構成可能となる。また、特別な場合として以下のような特長を持つ共振器を構成することも可能である。
(A)同一周波数において、順方向が右手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路を用いた伝送線路型共振器。共振周波数は線路長に依存するが、線路上で振幅が一定となり、一方で位相分布には勾配を与えることができる。
(B)同一周波数において、順方向が左手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路を用いた伝送線路型共振器。共振周波数は線路長に依存するが、線路上で振幅が一定となり、一方で位相分布には勾配を与えることができる。
(C)同一周波数において、順方向及び逆方向に伝搬する2つのモードの波数ベクトルが互いに等しい非可逆右手/左手系伝送線路を用いた伝送線路型共振器。共振周波数は線路長に依存せず、さらに線路上で振幅が一定となり、位相分布には勾配を与えることができる。
(D)上記(A)~(C)のいずれの場合も、構成パラメータを機械的、電気的、磁気的、あるいは光学的に変化させることにより、共振器を構成する線路上の位相勾配を変えることが可能である。
(E)一般に、構成パラメータを機械的、電気的、磁気的、あるいは光学的に変えることにより、共振周波数を変えることが可能である。
【0106】
図13は、本実施形態に係る非可逆右手左手系伝送線路を用いた共振器の一般的な構成を模式的に表したものである。図16及び図17は特に、上記(A)及び(B)の場合でかつ両側の終端を共に開放もしくは短絡とした場合の構成及び共振条件を示したものである。図16及び図17から明らかなように、共振器を構成する線路上で振幅一定、位相勾配を有するが、共振条件が線路長に依存していることがわかる。一方、図14及び図15は上記(C)の場合で、かつ両側の終端を共に開放もしくは短絡とした場合の共振器の構成を表したものである。この模式図より、伝送方向に関係なく順方向及び逆方向に伝搬するモードの波数ベクトルが等しくなり、線路長に関係なく共振条件を自動的に満たすことがわかる。
【0107】
第2の実施形態.
図21は本発明の第2の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図であり、図22は図21の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【0108】
図21及び図22において、単位セルを構成する非可逆位相推移現象を持つ伝送線路として、非対称な構成を有する横方向に磁化されたフェライトの充填された導波管モードを利用した伝送線路を示す。ここで。矩形導波管71と金属部73により非対称矩形導波管を構成し、以下同様である。当該線路構造を伝搬する電磁波のTEモードの実効透磁率は、磁気共鳴周波数付近で負となることから、伝送線路モデルにおける直列枝の回路に挿入された容量性素子の役割も果たす。また、空洞もしくは誘電体で充填された導波管TEモードは、カットオフ周波数において、実効誘電率が負となることから、並列枝の回路に誘導性素子の挿入された線路構造となる。この両者の特性を組み合わせて、開口面71Sから見て例えば右側一部に金属部73を所定の周期で有する非対称の矩形導波管71からなる単位セル内に、Y方向で磁化Msされてなるフェライト部72と、空隙部(又は誘電体領域)とを所定の周期で繰り返し縦続接続となるよう配置することにより、非可逆右手/左手系伝送線路を構成したことを特徴としている。
【0109】
第3の実施形態.
図23は本発明の第3の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図であり、図24は図23の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【0110】
図23及び図24において、単位セルを構成する非可逆位相推移現象を持つ伝送線路として、Y方向に磁化Msされた磁性金属細線構造部72a及び金属部73からなる人工媒質の充填された構成の非対称な導波管モードを利用した伝送線路を示す。ここで、当該線路構造の実効透磁率は、磁気共鳴周波数付近で負となることから、伝送線路モデルにおける直列枝の回路に挿入された容量性素子の役割も果たす。また、磁性体を含まない空洞もしくは誘電体により充填された導波管TEモードは、カットオフ周波数において、実効誘電率が負となることから、並列枝の回路に誘導性素子の挿入された線路構造となる。この両者の特性を組み合わせるように、開口面71Sから見て例えば右側一部に金属部73を所定の周期で有する非対称の矩形導波管71からなる単位セル内に、磁性金属細線構造部72aと、空隙部(又は誘電体領域)を交互に所定の周期で配置することにより、非可逆右手/左手系伝送線路を構成してことを特徴としている。
【0111】
第4の実施形態.
図25は本発明の第4の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図であり、図26は図25の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【0112】
図25及び図26において、TEカットオフモードを有する矩形導波管71の中に、垂直方向で磁化Msされたフェライト板74をその板面が矩形導波管71のYZ面と平行となるようにかつ電磁波の伝搬方向(Z方向)に対して周期的に繰り返し挿入配置し、各フェライト板74にそれぞれ対向するように、横方向の一方の側にスプリットリング共振器75(又はスパイラル共振器)を立設して挿入配置されている。図中には示されていないが、スプリットリング共振器75は、誘電体基板などにより支持されて立設されている。電磁波の電界方向(Y方向)と、フェライト板74中の磁化Msの方向がほぼ同一方向を向いている。なお、スプリットリング共振器75は、スプリットリング共振器75の軸方向が、電磁波の磁界の横方向成分とほぼ平行になるように配置している。
【0113】
第5の実施形態.
図27は本発明の第5の実施形態に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図であり、図28は図27の非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。
【0114】
図27及び図28において、本実施形態に係る伝送線路は、図26の伝送線路と比較して、図26のスプリットリング共振器75を誘電体共振器76に置き換えたことを特徴としている。本実施形態では、TEカットオフモードを有する矩形導波管71の中に、垂直磁化Msされたフェライト板74を電磁波の伝搬方向に周期的に繰り返し挿入配置し、各フェライト板74に対向するようにその一方の横方向に誘電体ディスク共振器76が周期的挿入配置されている。図中には示されていないが、誘電体ディスク共振器76は、低誘電率の誘電体基板あるいは背景媒質などにより支持されて立設されている。なお、電磁波の電界方向(Y方向)とフェライト板74中の磁化Msの方向がほぼ同一方向を向いている。
【0115】
また、図28において、Dmdは誘電体ディスク共振器76による磁気双極子の方向を示し、以下の図においても同様である。本実施形態においては、誘電体共振器の形状もしくはその構造の軸方向が重要ではなく、磁気共振状態において、誘電体ディスク共振器76により形成される電磁界分布が、磁気双極子を形成し、その双極子の向きDmdが電磁波の磁界の横方向成分とほぼ平行になるように配置していることが重要である。
【0116】
なお、図27及び図28の構成が順方向で右手系伝送線路、逆方向で左手系伝送線路となっていることを、本発明者は簡単な数値計算結果により確認している。
【0117】
図29は本発明の第5の実施形態の変形例に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。図29の伝送線路は、図28の伝送線路に比較して、誘電体ディスク共振器76に代えて、誘電体ロッド共振器76aを設けたことを特徴としており、その他の構成は同様である。
【0118】
第6の実施形態.
図30は本発明の第6の実施形態に係る、1対の金属シート77a,77bにてなる誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(上側の金属シート77b(一点鎖線で表示)を除いたとき)を示す斜視図である。図30において、図28のTEカットオフモードを有する矩形導波管71と同様の動作を示すものとして、矩形導波管71に代えて、上下両面が金属シート77a,77bで覆われた空隙(又は誘電体基板)に、図28のフェライト板74及び誘電体ディスク共振器76のX方向の両側にそれぞれ、複数の金属ポスト78を挿入することにより2つの側壁を形成してなる誘電体伝送線路を示す。
【0119】
第7の実施形態.
図31は本発明の第7の実施形態に係る、ストリップ金属シート77c及び接地金属シート77gにてなるストリップ誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(上側のストリップ金属シート77c(一点鎖線で表示)を除いたとき)を示す斜視図である。図31においては、マイクロストリップ線路を構成するストリップ金属シート77cと接地金属シート77gとの間に、図28の矩形導波管71内で用いられた構成要素全てをそのまま挿入し、さらに実効誘電率を負にする構成として、TEカットオフモードの矩形導波管71を用いる代わりに、フェライト板74間の間隙に挿入立設された金属ポスト79の短絡スタブを用いている。
【0120】
第8の実施形態.
図32は本発明の第8の実施形態の変形例に係る、矩形導波管71で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の内部構成(矩形導波管71を除いたとき)を示す斜視図である。図32において、本実施形態に係る伝送線路は、図26のフェライト板74を半導体板74aに置き換えかつ矩形導波管71の外部より上記半導体板74aに対して垂直方向の磁界Hoを印加する直流磁界発生器30を、矩形導波管71の下部に設けたことを特徴としている。
【0121】
第9の実施形態.
図33は本発明の第9の実施形態に係る、フェライト基板80を1対の誘電体シート81,82で挟設してなる線路基板上に金属メッシュ形状のストリップ導体83を形成してなるフェライト誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。
【0122】
図33において、同一平面内に二次元構成として構成されたスプリットリング共振器84及びその周囲に形成された金属メッシュ形状のストリップ導体83を、1対の誘電体シート81,82で挟設されてなるフェライト基板80に平行でかつその上側に配置することにより伝送線路を構成している。当該例では、ストリップ導体83とフェライト基板80との間に誘電体シート82(又は間隙でもよい)を与えた場合を示している。一方、フェライト基板80の下側には、
(1)二次元構成として構成された金属メッシュ形状のストリップ導体83のみを含む金属膜と、
(2)二次元構成として構成されたスプリットリング共振器84のみを含む金属膜と、
(3)上側の金属膜で構成されているのと、サイズが異なるメッシュ形状のストリップ導体83及びスプリットリング共振器84を含む金属膜と
のいずれかを平行に配置し、線路構造に非対称性を与える。下側金属膜とフェライト基板80との間に間隙81を設け、フェライト基板80はその表面に平行な方向に磁化ベクトルMsを有する。ここで、磁化ベクトルMsと入射電磁波の電界成分が、ほぼ同じ方向を向くように配置される。なお、図33において、80Sは当該伝送線路へのマイクロ波信号の入射方向を示しており、以下同様である。
【0123】
なお、図33において、挿入されている金属膜として、一次元構成を用いることも可能であり、この場合において、スプリットリング共振器84及び金属細線を電磁波の伝搬方向に交互に配置し、金属細線を電界ベクトルとほぼ平行となる方向に配置するように形成してもよい。また、図33において、自発磁化もしくは外部磁界により生じた磁化Msを有するフェライト基板80を用いているが、本発明はこれに限らず、外部磁界により磁化される誘電体基板を用いてもよい。
【0124】
第10の実施形態.
図34は本発明の第10の実施形態に係る、フェライト基板80を1対の誘電体シート81,82で挟設してなる線路基板上に金属メッシュ形状のストリップ導体83を形成してなるフェライト誘電体伝送線路で構成された非可逆右手/左手系伝送線路の外観を示す斜視図である。図34において、本実施形態では、図33の伝送線路に比較して、図34のスプリットリング共振器84の代わりに誘電体共振器85を用いたことを特徴としており、その他の構成は同様である。なお、図34において、誘電体共振器85としては、誘電体ディスク共振器の場合を示しているが、形状もしくはその構成の軸方向自体が重要なのではなく、磁気共振状態において、共振器の作る電磁界分布が、磁気双極子を形成し、その双極子の向きが電磁波の磁界の横方向成分とほぼ平行になるように配置することが重要である。
【0125】
第11及び12の実施形態.
図35は本発明の第11の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた帯域阻止フィルタの外観を示す斜視図である。また、図36は本発明の第12の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた帯域通過フィルタの構成を示すブロック図である。
【0126】
本実施形態に係る非可逆伝送線路型共振器を用いたフィルタとして、従来技術に係る伝送線路型共振器を用いたフィルタと同様に、少なくとも1つ以上の非可逆共振器と給電用伝送線路とをエッジ結合あるいはサイド結合させることにより、以下のフィルタを構成することができる。
(i)同一周波数において、順方向が右手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路を用いた伝送線路型共振器を備えたフィルタ。
(ii)同一周波数において、順方向が左手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路を用いた伝送線路型共振器を備えたフィルタ。
(iii)同一周波数において、順方向及び逆方向に伝搬する2つのモードの波数ベクトルが相等しい非可逆右手/左手系伝送線路を用いた伝送線路型共振器を備えたフィルタ。
これらのフィルタの場合、フィルタを構成する伝送線路型共振器上で振幅が一定となる特長を持つことから、従来技術に係る共振器のように電圧、電流分布に節点と腹を持つ定在波方に比べて、共振器の終端条件によるが、電流のヌル点あるいは電圧のヌル点が存在しないので、より自由度の高い配置が可能となるという特長を有する。
【0127】
図35に図18の非可逆伝送線路を用いた非可逆伝送線路型共振器と、給電用伝送線路からなる帯域阻止フィルタの一例を示す。ここで、給電用伝送線路は、誘電体基板10上に形成された、2つのポートP91,P92を有するマイクロストリップ線路12Sであって、上記共振器と電磁的にサイド結合するように、図18の非可逆伝送線路のスタブ導体13側に所定の間隔だけ離隔して配置される。なお、各スタブ導体13は誘電体基板10を厚さ方向に貫通するスルーホール導体13cを介して接地導体11に接続される。以上のように構成することにより、2つのポートP91,P92を有する帯域阻止フィルタを構成することができる。なお、図35において、ポート用ストリップ導体12P1,12P2などは除去されている。
【0128】
図66は本発明の第11の実施形態の第1の変形例に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた帯域阻止フィルタの外観を示す斜視図である。図66の帯域阻止フィルタは、図35の帯域阻止フィルタに比較して、2つのポートP91,P92を有するマイクロストリップ線路12Sをストリップ導体12側であって、ストリップ導体12のマイクロストリップ線路12Sの長手方向に沿って設けたことを特徴としている。ここで、接地導体11上に置かれた誘電体基板10において、ストリップ導体12の直下部分に、部分的にフェライト基板10Fが埋め込まれた構造を有する。フェライト基板10Fは基板表面に対して垂直に磁化され,そのフェライト基板10F上においては,セル数が有限の(図66では5セル)で非可逆右手/左手系伝送線路が、両端開放の状態で共振器を構成している。この伝送線路型共振器を誘電体基板10上に構成されたマイクロストリップ線路12Sに平行でかつ近接させて配置することにより、当該共振器は、共振周波数付近でマイクロストリップ線路12Sに沿って伝搬するマイクロ波信号からエネルギーを搾取し、帯域阻止フィルタとして動作する。
【0129】
図67は本発明の第11の実施形態の第2の変形例に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路を用いた方向性結合器の外観を示す斜視図である。図67において、非可逆右手/左手系伝送線路と、その対向伝送線路であるマイクロストリップ線路12Sとを互いに平行に近接させて配置することにより、4つのポートP91~P94を有する方向性結合器を構成している。なお、ストリップ導体12の直下の誘電体基板10内にフェライト基板10Fを埋設している。上記対向伝送線路相手の線路としては、例えば、右手系伝送線路、左手系伝送線路、右手/左手系伝送線路、非可逆右手/左手系伝送線路を用いることができる。
【0130】
また、図36には上記共振器をエッジ結合させた場合の帯域通過フィルタの例を示す。図36において、非可逆伝送線路70Aは複数M個の伝送線路部分60A-1乃至60A-MをカップリングキャパシタCc2乃至CcMを介して縦続接続されて構成され、ポートP81は、伝送線路67と、カップリングキャパシタCc1と、非可逆伝送線路70Aと、カップリングキャパシタCcM+1と、伝送線路68とを介してポートP82に接続され、これにより、帯域通過フィルタを構成する。
【0131】
以上の図35及び図36の実施形態において、直列容量であるカップリングキャパシタを介した結合を用いているが、共振器の単位セルがπ型で終端に並列誘導性素子が位置する場合には、磁気的な結合を介したフィルタを構成してもよい。
【0132】
フィルタを構成する非可逆伝送線路型共振器が上記(iii)のタイプの共振器で構成される場合、各共振器の線路長(大きさ)を変えても動作周波数はあまり変化しない。一方で、単位セル数すなわち線路長を変えることによりQ値を変えることが可能である。例えば、図36の帯域通過フィルタの場合、直列に挿入されたカップリングキャパシタの容量を電気的に変えることにより、フィルタを構成する非可逆伝送線路型共振器の終端位置が電気的に変えられることから、フィルタを構成する共振器の総数を変えたり、個々の共振器を構成する単位セル数を変えたりすることが可能である。それにより、通過帯域や帯域幅を時間的に切り替えることが可能となる。図35に示す帯域阻止フィルタの場合も同様である。動作帯域、帯域幅を時間的に切り替える方法としては、直列容量素子だけでなく、その他の構成パラメータを、上記の電気的な方法以外に、機械的、電気的、磁気的あるいは光学的に、変えることによっても可能である。
【0133】
なお、以上の各実施形態において用いた、非可逆位相推移伝送線路を構成するための磁化Msの磁化方向と、マイクロ波の電磁界の伝搬方向の関係について以下に説明する。本実施形態に係る非可逆伝送線路における非対称な構造とは、「電磁波の伝搬方向」と、自発磁化もしくは外部磁界により磁化された「磁化方向」(この磁化方向は、伝搬方向と異なる方向であって、好ましくは直交する方向である。)の2つのベクトルよりなる平面に対して非対称となる構造をいう。
【0134】
第13及び第14の実施形態.
図37は本発明の第13の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70A(T型単位セルを用いたとき)を用いたアンテナ装置の構成を示すブロック図である。また、図38は本発明の第14の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70A(π型単位セルを用いたとき)を用いたアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
【0135】
従来技術に係るアンテナ装置の多くは、アンテナ共振器部分とそれへの給電線路部分、その間の整合回路部分とから構成されている。パッチアンテナ装置、誘電体アンテナ装置などもその例として挙げられる。このような共振器からなるアンテナ装置の場合、共振器構成内では、定在波が立ち、電磁界分布において節点、腹が存在し、ほぼ同相状態となる。またその結果として、無指向性となるか、メインローブがアンテナ放射面に対してブロードサイドを向く場合が多い。それに対して、本実施形態に係る非可逆伝送線路型共振器を用いたアンテナ装置は、以下の特長を有する。
(A)振幅分布一定、位相分布に勾配を持たせることが可能であることから、単一の共振器型アンテナ装置であるにもかかわらず、放射ビーム方向を所望の方向に設定することが可能となる。
(B)上記(A)と関連するが、振幅分布一定であることから、共振器線路長を大きくすることにより利得及び指向性の改善が図られる。
(C)構成パラメータを、機械的、電気的、磁気的あるいは光学的に変えることにより、単一の共振器型アンテナ装置であるにもかかわらず、放射ビーム走査が可能となる。
【0136】
非可逆伝送線路型共振器を用いたアンテナ装置の構成例を、図37及び図38に示す。図37は単位セルがT型の場合で共振器両端が直列枝容量の場合の一例を示し、図38は単位セルがπ型で並列誘導性素子が位置している場合の一例を示している。図37及び図38において、67Aはマイクロ波信号の給電方向を示す。
【0137】
図37において、ポートP81は伝送線路67及びカップリングキャパシタCc1を介して伝送線路装置70にてなる非可逆伝送線路型共振器のアンテナ装置に接続される。ここで、ポートP81にマイクロ波信号を給電することにより、伝送線路装置70にてなる非可逆伝送線路型共振器のアンテナ装置が共振し、当該マイクロ波信号の電磁波が自由空間に放射される。
【0138】
また、図38において、ポートP81は伝送線路67と、互いに電磁的に結合Mされた一次コイル66a及び二次コイル66bにてなる変成器66とを介して伝送線路装置70にてなる非可逆伝送線路型共振器のアンテナ装置に接続される。ここで、ポートP81にマイクロ波信号を給電することにより、伝送線路装置70にてなる非可逆伝送線路型共振器のアンテナ装置が共振し、当該マイクロ波信号の電磁波が自由空間に放射される。さらに、図68に図38の変形例を示す。図68において、磁気結合のための変成器66に代えて並列インダクタ66cを挿入したことを特徴としている。
【0139】
従来技術に係る漏れ波アンテナにおいては、アンテナ装置を構成する伝送線路の一端子からマイクロ波信号が入力され、終端では整合が取られていることから、共振器型アンテナ装置の基本動作とは大きく異なり、これまで両者は同一には論じられてこなかった。ここでは、このような漏れ波アンテナ装置と共振器型アンテナ装置を別々に論じる観点で、上記非可逆伝送線路型共振器の応用例としてのアンテナ装置の応用について述べた。しかしながら、上述の漏れ波アンテナ装置においては、終端での反射波を積極的に利用することにより、アンテナ放射特性の改善が図られることを主張している。このように漏れ波アンテナ装置において、伝送線路の終端条件により線路内で反射波が存在する場合、共振器型アンテナ装置と類似した動作を行う結果となる。特に、終端で全反射条件が成立する場合、共振器として動作していると見なすこともできる。以上のことから、本実施形態に係る非可逆伝送線路を用いたアンテナ装置は、伝送線路の終端での反射条件の程度によるが、共振器型と漏れ波型の諸動作を併せ持つ構造となる。
【0140】
第15の実施形態.
図39は本発明の第15の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、位相勾配を有する等電力分配器の構成を示すブロック図である。本実施形態では、非可逆伝送線路型共振器を用いた結合器の一種である等電力分配器について、図39を参照して以下に説明する。
【0141】
図39において、マイクロ波信号発生器63により発生されたマイクロ波信号は伝送線路67及びカップリングキャパシタCc1を介して線路長lの伝送線路装置70Aに入力される。伝送線路装置70Aには、線路長方向で所定の間隔d1,d2,…でカップリングキャパシタ65-1乃至65-Nを介してそれぞれ、各出力ポート83-1乃至83-Nを有する信号分岐伝送線路64-1乃至64-Nが接続される。以上のように構成された非可逆伝送線路型共振器の等電力分配器においては、各出力ポートP83-1乃至P83-Nに所定の位相勾配を有しかつ等しい電力で電力分配することができる。すなわち、本実施形態では、各出力ポートP83-1乃至P83-N間に位相変化を持たせた電力分配器を構成できる。
【0142】
具体的には、本実施形態に係る非可逆伝送線路型共振器のうち、
(i)同一周波数において、順方向が右手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路を用いた伝送線路型共振器と、
(ii)同一周波数において、順方向が左手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路を用いた伝送線路型共振器と、
(iii)同一周波数において、順方向及び逆方向に伝搬する2つのモードの波数ベクトルが相等しい非可逆右手/左手系伝送線路を用いた伝送線路型共振器と
のいずれかの共振器を用いると、伝送線路上で振幅が一定となることから、共振器を構成する伝送線路と出力端子用伝送線路との結合部の設置場所に関係なく、電磁的結合の度合いが同程度となり、設計が容易となる。
【0143】
また、伝送線路上に位相分布が存在することから、共振器と出力ポート用伝送線路間の結合部の設置場所を変えることにより、複数の出力ポート間に位相変化を与えることが可能となる。また、構成パラメータを、機械的、電気的、磁気的あるいは光学的に変えることにより、出力ポート間の位相差を連続的に変えることも可能となる。
【0144】
上記位相傾斜型等電力分配器の応用の一例としては、以下のようなものが挙げられる。従来技術に係るフェイズドアレイアンテナ装置を構成する各アンテナ素子への供給線路部分において、それぞれ移相器を設置し、個々の移相器の位相を独立に変化させることにより放射ビームを走査する必要があるが、上記等電力分配器の場合、非可逆伝送線路型共振器部分の構成パラメータを、機械的、電気的、磁気的あるいは光学的な方法で一元的に変えることにより、出力ポート間の位相差を連続的に変えることができることから、同アレイアンテナのビーム走査が可能であり、また、構造が従来技術に係る複数の移相器を用いた場合に比べて非常に簡単になるという特有の効果を奏する。
【0145】
第16乃至第18の実施形態.
非可逆伝送線路型共振器を用いた発振器について図40乃至図42を参照して以下に説明する。図40は本発明の第16の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、直列帰還型発振器の構成を示すブロック図である。また、図41は本発明の第17の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、直列帰還型発振器の構成を示すブロック図である。さらに、図42は本発明の第18の実施形態に係る、第1の実施形態に係る梯子型非可逆右手/左手系伝送線路70Aを用いた、並列帰還型発振器の構成を示すブロック図である。
【0146】
マイクロ波やミリ波帯域で用いられる発振器の多くは、ノイズ抑制などの理由から、高いQ値の共振器が挿入されている場合が多い。本実施形態に係る非可逆伝送線路型共振器は、共振器としての機能だけでなく、共振器間に位相変化を与えることから、正帰還ループ内での位相調整の役割も兼ねて用いることが可能である。また、非可逆伝送線路型共振器部分の構成パラメータを、機械的、電気的、磁気的あるいは光学的な方法で変えることにより、Q値の微調整、位相シフト量の微調整も可能となる。
【0147】
図40において、能動素子である電界効果トランジスタ(以下、FETという。)Q1のゲートは、伝送線路86及び50Ωの負荷抵抗87を介して接地され、当該伝送線路86にはカップリングキャパシタC13を介して伝送線路装置70Aの共振器が接続される。FETQ1のソースはカップリングキャパシタC11を介して接地され、そのドレインは伝送線路88と、カップリングキャパシタC12と、抵抗値RLの負荷抵抗90を介して接地される。なお、伝送線路88の一端には、開放端を有する伝送線路89が接続される。以上のように構成することにより、直列帰還型発振器を構成する。また、図41において、図40の発振器に比較して、FETQ1のゲートに接続された回路に代えて伝送線路装置70Aの共振器のみが接続される。以上のように構成することにより、直列帰還型発振器を構成する。図40及び図41においては、非可逆伝送線路型共振器あるいは同共振器と伝送線路の組み合わせは帯域阻止フィルタの役割を果たし、同阻止帯域において反射型共振器の動作をする。これにより、直列帰還型発振器を構成する。
【0148】
図42において、図40の発振器に比較して、以下の帰還ループ回路が付加されたことを特長としている。伝送線路88の他端は伝送線路91及びカップリングキャパシタC14を介して伝送線路装置70Aの共振器の他端に接続される。これにより、FETQ1のドレインから伝送線路91と、カップリングキャパシタC14と、伝送線路装置70Aの共振器と、カップリングキャパシタC13と、伝送線路86とを介してFETQ1のゲートに接続され、当該並列帰還回路により、並列帰還型発振器を構成する。図42においては、非可逆伝送線路型共振器及び伝送線路の組み合わせは帯域通過フィルタの役割を果たし、同帯域において正帰還ループ回路を構成して発振動作が行われる。
【0149】
第19の実施形態.
図43は、本発明の第19の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置1の外観を示す斜視図である。本実施形態に係る伝送線路アンテナ装置1の伝送線路2は、
(a)例えばフェライトなどの磁性体にてなる磁性体基板20と、例えばガラスエポキシ樹脂などの誘電体基板10とをそれらの側面同士で境界部分10aにて合体してなり、裏面に接地導体11を有する基板と、
(b)上記基板の境界部分10a上に形成されたマイクロストリップ線路12Aと、
(c)マイクロストリップ線路12Aを、それぞれ間隙14を形成して、幅wの線路部である複数のストリップ導体12に分断し、複数のストリップ導体12のうちの互いに隣接する各ストリップ導体12を接続する複数のキャパシタCと、
(d)上記各ストリップ導体12をそれぞれ接地導体11に接続する複数の短絡スタブ導体13とを備えて構成される。
なお、図43の伝送線路2では、6個のキャパシタCを装荷し、5個の短絡スタブ導体13を形成してなる5周期の分布定数回路型伝送線路を形成している。また、磁性体基板20及び誘電体基板10を挟設する各ストリップ導体12と接地導体11によりマイクロストリップ線路12Aを構成する。さらに、キャパシタCは入力される高周波信号の周波数に依存して、互いに隣接するストリップ導体12間に実体のあるキャパシタを接続してもよいし、上記各間隙14の浮遊容量のみ、もしくは上記各間隙14の浮遊容量と並列接続されたキャパシタとからなる直列容量をキャパシタCとしてもよい。また、短絡スタブ導体13の形成間隔は周期p[mm]である。さらに、マイクロストリップ線路12Aの長手方向をX軸方向とし、各短絡スタブ導体13の延在方向をY軸方向とし、磁性体基板20に垂直な上方向をZ軸方向としている。
【0150】
本実施形態に係る伝送線路アンテナ装置1は、上記伝送線路2を用いた伝送線路アンテナ装置であって、
(a)伝送線路2の直下に設けられ、伝送線路2に対して所定の直流磁界H0を印加する、例えば電磁石などの直流磁界発生器30と、
(b)伝送線路2の一端(以下、ポートP1という。)と他端(以下、ポートP2という。)の少なくとも一方に高周波信号を入力し、所定の周波数において、伝送線路2を前進波伝送線路又は後退波伝送線路として動作させ、伝送線路2の非可逆性を利用して、入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、伝送線路2から漏洩する漏洩波を放射波とする主ビームを形成するように制御するコントローラ50(図52乃至図55参照。)とを備えて構成される。
【0151】
以上のように構成された伝送線路2の回路は、フェライト周期構線路であって、誘電体基板10上で一端が短絡された短絡スタブ導体13(並列インダクタンスとして動作する)と直列容量であるキャパシタCが周期的にフェライトマイクロストリップ線路12Aに装荷された回路を構成する。直流磁界は直流磁界発生器30から磁性体基板20に対して垂直に印加されており、この伝送線路2にエッジガイドモードが伝搬する。ここでは、エッジガイドモードの分散曲線において透磁率が負になる帯域に着目し、この帯域及びその周辺における伝送特性を求める。当該伝送線路2の回路の散乱パラメータを理論的に求める簡単な方法として等価回路法が有効であるが、この方法は2次元的な電磁界の広がりにより現れるエッジガイドモードの非可逆特性を求めるには困難さがある。ここでは、電磁界シミュレータとして有限要素法に基づくANSOFT製HFSSを用いて、伝搬特性を数値的に求める。
【0152】
数値計算により得られた散乱パラメータの周波数特性の例を以下に示す。なお、計算に用いたパラメータは以下の通りである。直流磁界μ0H0=30mT、フェライトの飽和磁化μ0M0=175mT、磁気損μ0ΔH=5mT、フェライトの磁性体基板20の比誘電率15、誘電体基板10の比誘電率2.6、磁性体基板20及び誘電体基板10の厚さd=1mm、マイクロストリップ線路12Aの幅w=0.5mm、伝送線路2の周期(間隔)p=5mm、短絡スタブ導体13の幅1mm、その長さ7mm、直列容量であるキャパシタC=1pF、周期の個数は5である。
【0153】
当該伝送線路2は、垂直に磁化された磁性体基板のマイクロストリップ線路12Aにおいて、直列及び並列に容量性及び誘導性素子が周期的に装荷された構成となっている。ここでは、印加磁界、飽和磁化の大きさに関係なく、並列に挿入されるべき誘導性素子の動作を保障するために、磁性体基板20上ではなく、隣接する誘電体基板10上に短絡スタブ導体13を形成しているが、集中定数素子により置き換えることも可能である。すなわち、短絡スタブ導体13を構成するために誘電体基板10を設けているが、上記の集中定数素子がマイクロストリップ線路に対して並列にかつ周期的に挿入されている場合には、誘電体基板10を設けなくてもよい。つまり、誘電体基板10の設置は非可逆伝送特性を得るために必要不可欠なものではない。さらに、図43においては、直流印加磁界及び磁性体基板20の磁性体の磁化方向としてz軸の正方向に選択しているが、本発明はこれに限らず、z軸の負の方向を正方向に選択してもよい。この場合、ポートP1とポートP2の伝送特性をそのまま入れ替えることができる。
【0154】
図44は図43の伝送線路アンテナ装置1の透過係数S21,S12及び反射係数S11,S22の振幅の周波数特性を示すグラフであり、図45は図43の伝送線路アンテナ装置1の透過係数S21,S12の位相の周波数特性を示すグラフである。また、図46は図43の伝送線路アンテナ装置1のポートP1に高周波信号を入力したときの右手系伝送線路における前進波の位相の流れと電力の流れを示す側面模式図であり、図47は図1の伝送線路アンテナ装置1のポートP2に高周波信号を入力したときの左手系伝送線路における後退波の位相の流れと電力の流れを示す側面模式図である。
【0155】
当該垂直に磁化された磁性体基板マイクロストリップ線路12Aにおいては、電磁界分布がストリップの片側のエッジ下に集中するエッジガイドモードが主モードとなる。従って構成が非対称性を有する場合、図44及び図45に示すように、伝送方向により非可逆性が現れる。本実施形態で取り扱う構成に見られる伝送特性の非可逆特性としては、大きく分けて次の2つに分けられる。
【0156】
まず1つ目は、図45の周波数1.5GHzから2.8GHzの周波数帯域に見られるように、ポートP1からポートP2への順方向伝送は透過(透過係数S21は約-5dB程度であり、ほとんど損失がない。)、ポートP2からポートP1への逆方向伝送は減衰(透過係数S12は約-20dB以下であって、ほとんど透過させない。)となる場合である。この場合、当該伝送線路2はアイソレータとして用いることができる。
【0157】
もう1つの非可逆特性としては、振幅特性においては差が見られないが位相特性に非可逆性を有する場合が挙げられる。図45には、散乱行列成分の透過係数S21及びS12の位相を単位セル当たりの位相変化として規格化したものを縦軸に用いているが、これは伝搬定数βと周期pの積が単位セル当たりの位相[rad]を表すことからπで割って規格化したβp/πと同じ次元を持つ。従って、図45は分散曲線に対応する。図45において、周波数3GHzから3.5GHzの周波数領域においては、順方向が右手形(前進波)伝送線路(図46)として、逆方向は左手系(後退波)伝送線路(図47)として動作する。このように、伝送方向の取り方によって、位相特性が大きく異なることから、この線路は伝送方向選択性位相制御として応用できる。特に、図45中の周波数3.3GHz付近においては、順方向及び逆方向入力の場合の伝搬定数の大きさが同じとなっている(図45中の黒丸51,52で表示)。図45では、順方向及び逆方向の位相特性を表す2本の曲線の傾きが共に右下がりとなっているが、分散曲線の傾きはエネルギー伝搬(群速度)の向きに対応するため、図45は、実際の電力伝送の向きと対応しておらず、順方向及び逆方向に伝搬する電力のいずれも正に選んだ場合の伝搬定数を表している。もちろん実際には、伝送電力は、順方向と逆方向で互いに反平行となるため、結果として、伝搬定数は周波数3.3GHz付近で大きさだけでなく、向き(符号)も同じとなる。
【0158】
次いで、伝送線路2をアンテナ装置1として用いたときの放射特性について以下に示す。図48は図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=2.4GHzにおいて透過非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図であり、図49は図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=2.4GHzにおいて減衰非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図である。また、図50は図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=3.3GHzにおいて右手系非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図であり、図51は図43の伝送線路アンテナ装置1が周波数f=3.3GHzにおいて左手系非可逆伝送線路アンテナ装置として動作するときのZX面の放射パターン図である。
【0159】
伝送線路2の伝送特性の非可逆特性に対応して、当該伝送線路2からの漏洩波放射に見られる非可逆特性には大きく分けて次の2つの場合が考えられる。1つ目の非可逆性としては、順方向の伝送特性が通過、逆方向が減衰の場合に対応して、一方向の伝送に対してのみ漏洩波放射を行い、逆方向に対しては放射しない状態となる(図48及び図49参照。)。もう1つの非可逆性としては、順方向が前進波伝搬、逆方向が後退波伝搬となる場合に対応し、伝送方向に関係なく、漏洩波は同じ方向に放射し得る(図50及び図51参照。)。このように、フェライト線路の持つ非可逆性を利用することにより、漏洩波放射ビームの放射方向に選択性を持たせることができる。
【0160】
さらに、図52乃至図55に右手/左手系非可逆伝送線路を用いた漏洩波アンテナ装置の例を示す。
【0161】
図52は図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた双方向入力アンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。図52において、1個の高周波信号発生器40からの高周波信号を電力分配器41により2分配して、1つの伝送線路2に対して互いに逆方向である双方向で両端ポートP1,P2を介して入射し、漏洩波を放射する。すなわち、電力分配器41からの1つの高周波信号は可変減衰器42及び移相器43を介してポートP1を介して伝送線路2に入射する一方、電力分配器41からのもう1つの高周波信号は可変減衰器44及び移相器45を介してポートP2を介して伝送線路2に入射する。ここで、可変減衰器42,44の減衰量や移相器43,45の移相量を変化することにより、伝送線路2から放射される漏洩波の放射パターン(主ビームの方向や各方向での放射電力を含む。)を変化することができ、入力ポートP1,P2に入射する入力電力比及び初期位相関係を最適に選択して設定することにより、伝送線路2上の電磁界分布を最適化することにより、漏洩波アンテナの放射特性を改善できる。すなわち、伝送線路2からの漏洩波の主ビーム方向やビーム幅などを所望値に変化させることができる。
【0162】
図53は図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた右手系伝送線路側入力アンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。図53は入力ポートとして一方のポートP1のみを選択した一方向入力アンテナ装置を示す。この場合、当該伝送線路2の終端(ポートP2)において特別な整合回路を必ずしも挿入する必要がない。すなわち、終端(ポートP2)が整合されておらず、反射波が発生しても、その反射波の伝搬による漏洩波もまた同一方向を向くため、従来の伝送線路からの漏洩波放射に見られるような反射波によるサイドローブは発生しない。むしろ、反射特性を積極的に利用する観点から、終端(ポートP2)のインピーダンスを最適に選んで(例えば、伝送線路2の電気長を所定値に選択する。)、伝送線路2上の電磁界分布を最適化することにより、漏洩波放射特性を改善できる。すなわち、伝送線路2からの漏洩波の主ビーム方向やビーム幅などを所望値に変化させることができる。
【0163】
図54は図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた左手系伝送線路入力アンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。図54は入力ポートとして一方のポートP2のみを選択した一方向入力アンテナ装置を示す。この場合、当該伝送線路2の終端(ポートP1)において特別な整合回路を必ずしも挿入する必要がない。すなわち、終端(ポートP1)が整合されておらず、反射波が発生しても、その反射波の伝搬による漏洩波もまた同一方向を向くため、従来の伝送線路からの漏洩波放射に見られるような反射波によるサイドローブは発生しない。むしろ、反射特性を積極的に利用する観点から、終端(ポートP1)のインピーダンスを最適に選んで(例えば、伝送線路2の電気長を所定値に選択する。)、伝送線路2上の電磁界分布を最適化することにより、漏洩波放射特性を改善できる。すなわち、伝送線路2からの漏洩波の主ビーム方向やビーム幅などを所望値に変化させることができる。
【0164】
図55は図43の伝送線路アンテナ装置1を用いた入力方向スイッチ切り替えアンテナ装置の構成及び動作を示す側面模式図である。図55はスイッチ46により入力方向の切り替えが可能なアンテナ装置を示す。図55のアンテナ装置は、図52のアンテナ装置に比較して、電力分配器41の代わりに、スイッチ46を挿入したことを特徴としている。図55においては、図45中の周波数f=3.3GHzで見られるように伝搬定数の大きさが同じ場合、伝搬方向の選択に関係なく、図50及び図51のように放射方向が同じ方向を向くため、スイッチ46の切り替えによる放射波の変化は偏波特性のみとなる。以上のことから、ビーム角を維持しながら偏波特性の切り替えがスイッチング操作により可能となる。図55のアンテナ装置の別の利用方法としては、順方向及び逆方向の伝搬定数の大きさが異なるような周波数を動作周波数に選んだ場合、例えば、図45中の周波数3.2GHz又は3.4GHzを動作周波数として選ぶと、伝搬方向の選択により、放射ビーム方向を変えることが可能である。また、可変減衰器42,44の減衰量や移相器43,45の移相量を変化することにより、伝送線路2から放射される漏洩波の放射パターン(主ビームの方向や各方向での放射電力を含む。)を変化させることができる。
【0165】
第20の実施形態.
図56は本発明の第20の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(試作回路)の外観を示す斜視図である。当該アンテナ装置の構成は図18の構成と同様であるが、スタブ導体13の個数などが異なる。当該試作回路の具体的な構成パラメータは以下の通りである。
(1)フェライト基板10Fとして寸法51mmx15mmx1mmの多結晶イットリウム/鉄/ガーネット基板を使用した。
(2)誘電体基板10として、比誘電率2.6、寸法51mmx3mmx1mmの基板を使用した。
(3)寸法60mmx20mmx10mmの永久磁石(図示せず。)を接地導体11の下側に、フェライト基板10Fの面に対して垂直な方向で磁化するよう配置した。
(4)入出力ポートP1,P2のマイクロストリップ線路は、50Ωの線路幅0.5mmを有し、周期3mmの短絡スタブ導体13の線路幅1mmを有し、短絡スタブ導体13の線路長3mmを有し、直列容量0.4pFのチップコンデンサ(図示せず。)を使用した。なお、単位セルの数16を有し、外部印加磁界を131mT(測定値)とした。
【0166】
図57は図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、その伝送特性(相対電力の周波数特性)を示すグラフである。また、図58は図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、その伝送特性(正規化伝搬定数βp/πに対する周波数特性)を示すグラフである。すなわち、図57は散乱行列の大きさを示しており、図58は各パラメータS21及びS12の位相特性を分散曲線に変換した図である。図58において、S12とS21の2本の線が交差する周波数6.35GHzの点では電力伝送方向に関係なく伝搬定数が等しいことがわかる。
【0167】
図59は図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、順方向右手系伝送線路のXZ面の放射パターンEθ(P1)を示す図であり、図60は図56の伝送線路アンテナ装置の測定結果であって、逆方向左手系伝送線路のXZ面の放射パターンEθ(P2)を示す図である。図59及び図60を比較すると、伝送線路に沿って伝搬する電力方向が互いに逆であるにもかかわらず、放射ビームの方向がほぼ同一方向を向いていることが確認できる。
【0168】
第21の実施形態.
図61は本発明の第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、その非可逆伝送線路の伝送特性(並列誘導素子及び直列容量素子が挿入されたときの振幅特性)を示すグラフである。また、図62は第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の測定結果であって、その非可逆伝送線路の伝送特性(並列誘導素子及び直列容量素子が挿入されたときの位相特性)を示すグラフである。本実施形態では、図56と同様に構成したときの別の実施例について以下に説明する。ここで、数値計算に用いた構成パラメータを以下に示す。
【0169】
(1)フェライト基板10Fとして、イットリウム/鉄/ガーネット(YIG)基板を仮定し、飽和磁化μ0Ms=0.175Tであり、磁気損失ΔH=50Oe、比誘電率15、内部直流磁界μ0H0=0.05Tとした。
(2)誘電体基板10の比誘電率2.6とした。各基板10F,10の厚さを共に1mmとし、入出力ポートP1,P2であるマイクロストリップ線路の特性インピーダンスがほぼ50Ωとなるようストリップ幅を2.4mmとした。
(3)フェライト基板10Fのエッジ付近に設けられたマイクロストリップ線路幅は同様の理由により、0.5mmとした。
(4)単位セルとしては、図3に対応する対称T型伝送線路(周期p=3mm)を用い、挿入される容量としてC=0.6pF(フェライト基板10Fの線路部分の両端は2Cである。図3参照。)を挿入している。誘導性短絡スタブ導体13としては、幅1mm及び長さ3.5mmのストリップ導体を用いた。
(5)セル数16に設定した。
【0170】
図61及び図62から明らかなように、基板に対して垂直な方向に磁化されたフェライト基板10F上のマイクロストリップ線路12Aにおいては、電磁界分布がストリップの片側のエッジ下に集中するエッジモードが主モードとなる。従って、当該伝送線路が非対称性の構造を有する場合、伝送方向により非可逆性が現れる。本実施形態で取り扱う構造に見れられる伝送特性の非可逆特性としては、大きく分けて次の2つに分けられる。まず1つ目は図61の4.2GHzから5.5GHzの周波数帯域に見られるように、順方向(S21)は透過、逆方向(S12)は減衰となる場合である。この場合、同線路はアイソレータとして用いることができる。もう1つの非可逆特性としては、振幅特性においては差が見られないが位相特性に非可逆性を有する場合が挙げられる。図62には、散乱行列成分係数S21及びS12の位相を単位セル当りの位相変化として規格化したものを縦軸に用いているが、これは伝搬定数βに周期pを掛けて規格化したβp/πと同じ次元を持つ。従って、図62は分散曲線に対応する。図62では順方向及び逆方向の位相特性を表す2本の曲線の傾きが共に右下がりとなっているが、分散曲線の傾きはエネルギー伝搬(群速度)の向きに対応するため、図62は、実際の電力伝送の向きと対応しておらず、順方向及び逆方向に伝搬する電力のいずれも正に選んだ場合の伝搬定数を表している。
【0171】
図63は第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、その非可逆伝送線路の分散曲線を示すグラフである。すなわち、伝送電力の向きを考慮して、図62をω-βダイアグラムに変換したものを図63に示す。図63において、周波数4.6GHzから5.6GHzの周波数領域においては、順方向が右手系(前進波)伝送線路として、逆方向は左手系(後退波)伝送線路として動作している。このように、伝送方向の取り方によって、位相特性が大きく異なることから、この線路は伝送電力方向選択性位相制御として応用できる。特に、図63中の周波数5.2GHz付近においては、順方向及び逆方向入力の場合の伝搬定数の大きさが同じとなっている(図63中の黒丸で表示している交差点をいう。)。当該周波数が、図8の角周波数ω0に対応する。このように、伝送電力が逆向きで、等しい波数ベクトルを持つデュアルモードが結合を起こすことなく、独立に伝搬可能であることが具体的な構成において、三次元フルベクトル電磁界シミュレーションを用いた数値計算により示された。
【0172】
さらに、本実施形態に係る非可逆伝送線路の磁気同調性について以下に説明する。
【0173】
上述のように、実際に非可逆伝送線路の構成が可能であることを垂直に磁化されたフェライト基板を用いて明らかにした。実際、このようなフェライト基板内の直流磁界が、ほぼゼロであるかもしくは非常に大きくて、磁気共鳴周波数が関心ある周波数帯よりも十分大きい場合、フェライト基板は誘電体基板と同様の振舞いをする。すなわち、上述したような非可逆位相推移現象は消滅する。その結果、従来技術に係る右手/左手系複合伝送線路と全く同じ動作をする。
【0174】
図64は第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(設計回路)の数値計算結果であって、内部直流磁界がゼロのときの可逆伝送線路の伝送特性(振幅特性)を示すグラフである。また、図65は第21の実施形態に係る伝送線路アンテナ装置(試作回路)の測定結果であって、内部直流磁界がゼロのときの可逆伝送線路の伝送特性(位相特性)を示すグラフである。すなわち、構成パラメータが図62と同じ場合で、内部直流磁界のみがゼロの場合の伝送特性を図64及び図65に示す。図64及び図65から明らかなように、右手系及び左手系伝送帯域の間に阻止帯域は現れず、インピーダンス整合がほぼ保たれていることがわかる。但し、右手系と左手系伝送帯域の間の伝搬定数β=βp=βm=0となる周波数は、図65からわかるように周波数f=4.95GHzであり、図63において伝搬定数βp=βmとなる周波数f=5.2GHzに比べて数%低くなっていることがわかる。これを補償するためには、内部直流磁界の変化は、透磁率テンソルの変化すなわち線路の実効透磁率の変化に主として現れるため、直列に挿入された容量性素子を電気的に変化させることにより、伝搬定数βp=βmとなる周波数を一定にすることも可能である。以上のことから、内部直流磁界及び直列容量性素子を変化させることにより、図8の対称軸のシフト量Δβ/2に相当する物理量を電気的に変化させることが可能である。
【0175】
また、以下のごとく非可逆移相器に応用することができる。2つの端子間に非可逆伝送線路を挿入することにより、一方の端子からもう一方の端子に対して、信号の伝搬方向に関係なく、所望の位相差を与えることができる。また、電気的に構成パラメータを変えることにより、同位相差を電気的に変えることも可能である。
【0176】
以上の各実施形態に係る伝送線路マイクロ波装置を用いることにより以下の種々のアプリケーション装置を構成できる。
【0177】
(A)非可逆伝送線路.
(1)同一周波数において、順方向が右手系伝送(フォワード波伝搬)で逆方向が左手系伝送(バックワード波伝搬)となる非可逆右手/左手系伝送線路の構成。順方向及び逆方向の伝送特性が逆の場合も含む。
(2)同一周波数において、順方向が右手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路の構成。順方向及び逆方向の伝送特性が逆の場合も含む。
(3)同一周波数において、順方向が左手系伝送で、逆方向は実効波長が無限大で入出力間に位相変化のない非可逆伝送線路の構成。順方向及び逆方向の伝送特性が逆の場合も含む。
(4)同一周波数において、順方向及び逆方向共に右手系伝送であるが、位相変化の異なる非可逆伝送線路の構成。
(5)同一周波数において、順方向及び逆方向共に左手系伝送であるが、位相変化の異なる非可逆伝送線路の構成。
(6)上記(1)~(5)のうち少なくとも2つ以上の組み合わせを可能とする非可逆伝送線路。
(7)上記(1)の特別な場合として、同一周波数において、順方向及び逆方向に伝搬する2つのモードの波数ベクトルが相等しい非可逆右手/左手系伝送線路の構成。伝送電力の向きは逆であるが、動作周波数、波数ベクトルが共に等しい2つのモードを縮退させて(結合させることなく)伝搬させることが可能な線路の構成。
(8)伝送電力の向きが異なるが、動作周波数、波数ベクトルの等しい異種モード間の縮退化、デカップリング、直交化への応用が可能である。
(B)非可逆移相器.
(9)上記(1)~(6)のいずれかの非可逆伝送線路を用いた非可逆移相器への応用。
(C)非可逆漏れ波アンテナ.
(10)同一周波数において、線路内を順方向に伝搬する信号に対して、漏れ波が前方に放射ビームを形成し、信号の逆方向伝搬に対して、後方に放射ビームを形成する非可逆漏れ波アンテナ装置。
(11)同一周波数において、線路内を順方向に伝搬する信号に対して、漏れ波が前方に放射ビームを形成し、信号の逆方向伝搬に対して、ブロードサイドに放射ビームを形成する非可逆漏れ波アンテナ装置。
(12)同一周波数において、線路内を順方向に伝搬する信号に対して、漏れ波が後方に放射ビームを形成し、信号の逆方向伝搬に対して、ブロードサイドに放射ビームを形成する非可逆漏れ波アンテナ装置。
(13)上記(10)の特別な場合として、同一周波数において、信号の伝搬方向に関係なく、線路からの漏れ波による放射ビームが同一方向を向く非可逆漏れ波アンテナ装置。
(14)同一周波数において、線路内の信号伝搬方向に関係なく漏れ波が前方に放射ビームを形成するが、放射角の異なる非可逆漏れ波アンテナ装置。
(15)同一周波数において、線路内の信号伝搬方向に関係なく漏れ波が後方に放射ビームを形成するが、放射角の異なる非可逆漏れ波アンテナ装置。
(16)上記(10)~(15)の少なくとも2つ以上の組み合わせを可能とする非可逆漏れ波アンテナ。
(17)漏れ波アンテナを構成する線路として、非可逆右手/左手系伝送線路を用いることによる、アンテナの利得、指向性の改善、サイズの小型化が可能である。
(D)非可逆伝送線路型共振器.
(18)上記(1)~(6)の非可逆伝送線路を用いた非可逆伝送線路型共振器の構成。
(19)上記(2)及び(3)の非可逆伝送線路を用いた場合、共振周波数が線路長さに依存するものの、伝送線路上の信号振幅がほぼ一定で位相勾配を持たせたまま動作可能な伝送線路型共振器の構成が可能である。
(20)上記(1)の特別な場合である(7)の非可逆右手/左手系伝送線路を用いた場合、共振周波数が線路長さに依存せず、伝送線路上の信号振幅がほぼ一定で位相勾配を持たせたまま動作可能な伝送線路型共振器の構成が可能である。共振周波数が線路長に依存しないため、同一の共振周波数を得る場合でも自由なサイズ選択が可能である。また、線路長により、共振器の無負荷Qが変わるため、Q値の選択にも自由度を与える。
(E)非可逆伝送線路型共振器を用いたフィルタ.
(21)上記(1)~(6)の非可逆伝送線路を用いた共振器と給電用線路及び結合素子からなる帯域阻止フィルタ構成。
(22)上記(1)~(6)の非可逆伝送線路を用いた共振器と給電用線路及び結合素子よりなる帯域通過フィルタ構成。
(23)上記(19)あるいは(20)もしくは両方の共振器からなる帯域阻止フィルタ及び帯域通過フィルタ。各共振器を構成する線路上で、振幅が一定のため、共振器間の配置に自由度がある。
(24)上記(20)の非可逆伝送線路型共振器からなる帯域阻止フィルタ及び帯域通過フィルタ。フィルタを構成する各共振器は共振周波数が線路長に依存しないため、自由なサイズ設計が可能である。また、線路長により、共振器の無負荷Qが変えられるため、フィルタ設計に自由度を与える。
(F)非可逆伝送線路型共振器を用いたアンテナ.
(25)上記(19)の非可逆伝送線路型共振器と給電用線路、結合部分とからなる指向性を有するアンテナ。アンテナの動作周波数がアンテナサイズに依存する。
(26)上記(20)の非可逆伝送線路型共振器と給電用線路、結合部分とからなる指向性を有するアンテナ。アンテナの動作周波数がアンテナサイズに依存しない。
(G)非可逆伝送線路型共振器を用いた結合器.
(27)上記(19)もしくは(20)の非可逆伝送線路型共振器からなる位相勾配を与える電力分配器。
(H)非可逆伝送線路型共振器を用いた発振器.
(28)非可逆伝送線路型共振器を用いた並列帰還形発振器の構成
(29)非可逆伝送線路型共振器を用いた直列帰還形発振器の構成。
【産業上の利用可能性】
【0178】
以上詳述したように、本発明に係る伝送線路マイクロ波装置によれば、容量性素子を等価的に含む直列枝の回路と、誘導性素子を等価的に含む並列枝の回路とを備え、マイクロ波の伝搬方向に対して異なる磁化方向に磁化されてジャイロ異方性を有し、上記伝搬方向と上記磁化方向とにより形成される面に対して非対称な構造を有し、かつ、順方向の伝搬定数と逆方向の伝搬定数とが互いに異なる非可逆位相特性を有するように、伝搬定数と動作周波数との関係を示す分散曲線において所定の伝搬定数及び動作周波数を設定してなる少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を備え、上記少なくとも1つの非可逆伝送線路部分を第1と第2のポートの間で縦続接続して構成されたマイクロ波伝送線路を備える。
【0179】
従って、従来技術に比較して大幅に小型化できかつ特有の作用効果を有する伝送線路マイクロ波装置を提供することができる。具体的には,上記第1と第2のポートからそれぞれマイクロ波を入力した場合、伝送電力の向きは相反する方向関係にあるにもかかわらず、波数ベクトルの等しい2つの相異なる右手系モード及び左手系モードを伝送させることができる。この現象を利用して、マイクロ波移相器、漏れ波アンテナ装置及びマイクロ波電力分配器を構成できる。また、上記マイクロ波共振器を構成することにより、線路長に依存せず所定の共振周波数を有し、マイクロ波伝送線路の線路方向に対して電磁界分布の大きさが一定でありかつ波数ベクトルにより定まる位相変化(位相勾配)を有するという特有の作用効果を有する。この特長を利用して、マイクロ波結合器、マイクロ波フィルタ、マイクロ波発振器及びマイクロ波アンテナ装置を構成できる。
【0180】
また、本発明に係る伝送線路アンテナ装置によれば、上記伝送線路の一端と他端の少なくとも一方に高周波信号を入力し、所定の周波数において、上記伝送線路を前進波伝送線路又は後退波伝送線路として動作させ、上記伝送線路の非可逆性を利用して、上記入力する高周波信号の振幅と位相の少なくとも一方を制御することにより、上記伝送線路から漏洩する漏洩波を放射波とする主ビームを形成する。従って、左手系又は右手系伝送線路などの伝送線路からの漏洩波を用いて、主ビームを形成しかつ主ビーム方向を制御可能な伝送線路アンテナ装置を提供することができる。特に、1つの伝送線路で主ビームの方向を制御可能なアンテナ装置を形成でき、複数のアンテナ素子を備えた従来技術のアレーアンテナに比較して大幅に小型化し、しかも製造工程が簡単である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図15】
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(In Japanese)【図16】
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(In Japanese)【図19】
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(In Japanese)【図26】
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(In Japanese)【図30】
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