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明細書 :表面プラズモン共鳴現象測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3462179号 (P3462179)
公開番号 特開2002-214131 (P2002-214131A)
登録日 平成15年8月15日(2003.8.15)
発行日 平成15年11月5日(2003.11.5)
公開日 平成14年7月31日(2002.7.31)
発明の名称または考案の名称 表面プラズモン共鳴現象測定装置
国際特許分類 G01N 21/27      
FI G01N 21/27 C
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2001-015567 (P2001-015567)
出願日 平成13年1月24日(2001.1.24)
審査請求日 平成13年1月24日(2001.1.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501126803
【氏名又は名称】八戸工業高等専門学校長
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
発明者または考案者 【氏名】浅野 泰一
【氏名】正留 隆
【氏名】今任 稔彦
【氏名】伏貫 義十
【氏名】岩崎 弦
【氏名】丹羽 修
【氏名】田部井 久男
【氏名】飛田 達也
個別代理人の代理人 【識別番号】100064621、【弁理士】、【氏名又は名称】山川 政樹
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特開 平7-159319(JP,A)
特開 平9-262332(JP,A)
特開2001-255267(JP,A)
特開2002-48707(JP,A)
特開2002-195944(JP,A)
特表 平4-501462(JP,A)
特表2001-526386(JP,A)
調査した分野 G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
G01N 21/62 - 21/74
特許請求の範囲 【請求項1】
光源と、
この光源からの光を偏光するための偏光子と、
この偏光子を通過した光を集光するシリンダーレンズと、
このシリンダーレンズからの光が入射され、表面プラズモン共鳴現象を計測するための金属薄膜が形成されたプリズムと、
このプリズムから反射された光を計測するCCDラインセンサとを備えた表面プラズモン共鳴現象測定装置において、
前記光源をレーザー光源とし、このレーザー光源の平行光が拡げられ、このレーザ光源からの光を複数の線形のビーム形状に変換する光学回析素子を設け、前記プリズムからの円形ビーム形状の光を線形ビーム形状に変えて前記CCDラインセンサに導くシリンダーレンズを設けたことを特徴とする表面プラズモン共鳴現象測定装置。

【請求項2】
光源と、
この光源からの光が入射され、表面プラズモン共鳴現象を計測するための金属薄膜が形成されたプリズムと、
このプリズムから反射された光を偏光するための偏光子と、
この偏光子を通過した光を集光するレンズと、
このレンズから出射された光を計測するCCDラインセンサとを備えた表面プラズモン共鳴現象測定装置において、
前記光源をレーザー光源とし、このレーザー光源の平行光が拡げられ、このレーザ光源からの光を複数の線形のビーム形状に変換する光学回析素子を設け、前記プリズムからの円形ビーム形状の光を線形ビーム形状に変えて前記CCDラインセンサに導くシリンダーレンズを設けたことを特徴とする表面プラズモン共鳴現象測定装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学系を用いて非測定溶液中の特定物質を定量あるいは定性的に測定する表面プラズモン共鳴現象測定装置に関し、特に、被測定物に接した金属薄膜での表面プラズモン共鳴現象を利用し、液体やガスなどの被測定物の屈折率の変化を検知し定性・定量測定を行う表面プラズモン共鳴現象測定装置に関する。

【0002】
【従来の技術】従来、化学プロセス計測や環境計測あるいは臨床検査等において、呈色反応や免疫反応を利用した測定が行われているが、この測定方法では被測定物をサンプル抽出する必要があるばかりか、煩雑な操作や標識物質を必要とする等の問題あった。このため、標識物質を必要とすることなく、高感度で被測定物中の化学物質の定性・定量測定の可能なセンサとして光励起表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサが提案され、実用化されている。

【0003】
図6は従来の表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance 以下、SPRと略称する)現象測定装置のモデル図である。同図において、1は単色光の光源であって、この光源1から放射された光が偏光子2を通過すると、p偏光光のみが通過する。このp偏光光は、入射側レンズ35で集光されてプリズム4に入射される。プリズム4の底面には被測定物40に接する金属薄膜5が設けられており、偏光子2を通過したp偏光光をこのプリズム4に入射角θで入射させ、金属薄膜5を照射することによって、金属薄膜5からの反射光の強度変化を光検出器であるCCDラインセンサ8で検出している。

【0004】
すなわち、光源1から放射された光は、プリズム4と金属薄膜5の境界でエバネッセント波となり、その波数は次式により表される。
ev=Kppsinθ
ここで、Kpは入射光の波数、npはプリズム4の屈折率、θは入射角である。一方、金属膜表面では、表面プラズモン波が生じ、その波数は次式により表される。
sp=(c/w)・√(εn2/(ε+n2))
ここで、cは光速、wは角振動数、εは金属薄膜の誘電率、nは被測定物の屈折率である。

【0005】
このエバネッセント波と表面プラズモン波の波数が一致する入射角θのとき、エバネッセント波は表面プラズモンの励起に使われ、反射光として計測される光量が減少する。SPR現象はプリズム4に設けた金属薄膜5に接する被測定物40の屈折率に依存するために、例えば被測定物40を水とした場合、図7に示すように、ある角度で極小を有する曲線として検出することができ、被測定物40の濃度変化による屈折率変化を測定するばかりか、金属薄膜5上に抗体などを固定することにより、抗原との結合による抗体の屈折率変化を測定することにより、特定物質の定量を行うことができる。

【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、SPR現象測定装置はその応用範囲が広まり、屋外での携帯センサとしての使用が考えられ、小型化・低価格化が求められている。しかしながら、上述した従来の表面プラズモン共鳴現象測定装置においては、図6に示すように、細長く形成されたCCDラインセンサ8を照射するビーム形状23が円形となるので、ラインセンサ8を照射する光の効率が低下する。したがって、小型化をするとCCDラインセンサ8の感度が低下するという問題があり、そのためには各光学構成部品の精度を上げざるを得ず、低価格化が困難となっていた。また、小型化された装置では、マルチチャンネル計測ができないという問題もあった。

【0007】
本発明は上記した従来の問題に鑑みてなされたもので、第1の目的は低価格化を図ることにある。第2の目的は小型化を図ることにある。第3の目的はマルチチャンネルの測定を可能にすることにある。

【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、光源と、この光源からの光を偏光するための偏光子と、この偏光子を通過した光を集光するシリンダーレンズと、このシリンダーレンズからの光が入射され、表面プラズモン共鳴現象を計測するための金属薄膜が形成されたプリズムと、このプリズムから反射された光を計測するCCDラインセンサとを備えた表面プラズモン共鳴現象測定装置において、前記光源をレーザー光源とし、このレーザー光源の平行光が拡げられ、このレーザ光源からの光を複数の線形のビーム形状に変換する光学回析素子を設け、前記プリズムからの円形ビーム形状の光を線形ビーム形状に変えて前記CCDラインセンサに導くシリンダーレンズを設けたものである。また、請求項2に係る発明は、光源と、この光源からの光が入射され、表面プラズモン共鳴現象を計測するための金属薄膜が形成されたプリズムと、このプリズムから反射された光を偏光するための偏光子と、この偏光子を通過した光を集光するレンズと、このレンズから出射された光を計測するCCDラインセンサとを備えた表面プラズモン共鳴現象測定装置において、前記光源をレーザー光源とし、このレーザー光源の平行光が拡げられ、このレーザ光源からの光を複数の線形のビーム形状に変換する光学回析素子を設け、前記プリズムからの円形ビーム形状の光を線形ビーム形状に変えて前記CCDラインセンサに導くシリンダーレンズを設けたものである。したがって、1個の光源で複数の光が放射される。

【0009】

【0010】

【0011】

【0012】

【0013】

【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1は本発明に係る表面プラズモン共鳴現象測定装置のモデル図である。同図において、上述した図6に示す従来技術において説明した同一または同等の部材については同一の符号を付し詳細な説明は適宜省略する。本発明の特徴とするところは、出射側の集光レンズ6とCCDラインセンサ8との間に、円形のビーム形状の光を線形のビーム形状に変換するシリンダーレンズ7を設けた点にある。

【0015】
このように構成することにより、プリズム4で反射した光は、出射側レンズ6上のビーム形状22が円形になり、この光がシリンダーレンズ7を通過すると、CCDラインセンサ8上のビーム形状23が線形になる。したがって、CCDラインセンサ8の検出表面の外形形状とビーム形状23とがほぼ一致するので、CCDラインセンサ8上に効率よく光が照射される。このため、CCDラインセンサ8での感度が向上することにより、SPR現象測定装置1を構成する各種の部品の精度を上げることなく小型化しても検出の精度を低下させることがないので、製造コストを増大させることなく小型化を図ることができる。

【0016】
また、この第1の実施の形態では、入射側レンズ3もシリンダーレンズとし、入射側レンズ上の円形のビーム形状20を、金属薄膜5上のビーム形状21が線形になるように変換している。このように構成することにより、光源1から放射された光がシリンダーレンズ3によって、拡散することなく絞られ、光源1からの光が効率よく金属薄膜5の表面に照射されるので、CCDラインセンサ8による検出精度が向上する。

【0017】
図2および図3は本発明の第2の実施の形態を示し、図2はモデル図、図3は構成図である。この第2の実施の形態においては、入射側レンズをシリンダーレンズ31と集光レンズ32に分けるとともに、出射側レンズもシリンダーレンズ61と集光レンズ62に分けたものである。また、集光レンズ62とシリンダーレンズ7との間に、シリンダーレンズ7によって光を圧縮する方向と直交する方向に延在するスリット孔24を有するスリット板10を設けている。図3において、12は筺体であって、プリズム4が取り付けられた部位に金属薄膜5が臨む窓13が穿設され、筺体12内には光の光路を変える4枚のミラー14aないし14dと偏光子15とが設けられている。

【0018】
全体を符号16で示すものは、ミラー14a、シリンダーレンズ31、ミラー14bおよび集光レンズ32から構成される入射系であって、この入射系16を介して光源1からの光がプリズム4に入射角度θで入射する。全体を符号17で示すものは、シリンダーレンズ61、偏光子15、集光レンズ62、ミラー14c、スリット板10、ミラー14dおよびシリンダーレンズ7から構成される反射系であって、この反射系17を介してプリズム4からの光が反射角度θで反射する。筺体12内には、これら入射系16と反射系17とを、入射角度θと反射角度θとが同一の状態に保たれたまま、同期して駆動する図示を省略した駆動装置が設けられている。このように、入射系16と反射系17とを同期して駆動するようにしたことにより、光の入射角度と反射角度を同期して可変できるので、各種の被測定物の測定を容易かつ短時間で行うことが可能になる。

【0019】
このような構成とすることによっても、入射側レンズでの円形のビーム形状20を、金属薄膜5の表面上のビーム形状21を線形に変換している。また、スリット板10のスリット孔24によって、一旦、シリンダーレンズ7による光の圧縮方向と直交する方向に出射光を圧縮していることにより、出射光が拡散することなく絞られるので、光源1からの光が効率よくCCDラインセンサ8上に照射される。したがって、CCDラインセンサ8の感度が向上するので、CCDラインセンサ8による検出精度が向上する。

【0020】
図4は本発明の第3の実施の形態を示すモデル図である。この第3の実施の形態では、光源1をレーザー光源とし、この光源1の平行光を拡げて線形のビーム形状とする光学回析素子18を設け、この光学回析素子18による光の拡張方向を、シリンダーレンズ31と集光レンズ32による光の圧縮方向と直交するようにした点に特徴を有している。また、集光レンズ62とCCDラインセンサ8との間には、シリンダーレンズ7を設けずに、スリット孔24が小孔に形成されたスリット板10を設けている。

【0021】
このような構成とすることにより、光源1から放射された平行光は、光学回析素子18によって拡張され、入射側レンズ上のビーム形状20が線形となり、さらにシリンダーレンズ31と集光レンズ32とによって、プリズム4上のビーム形状21が点に変換される。プリズム4から反射した光は、シリンダーレンズ61と集光レンズ62上のビーム形状22が線形になるので、スリット板10のスリット孔24を通過した光は、CCDラインセンサ8でのビーム形状23が線形となる。

【0022】
したがって、CCDラインセンサ8の検出表面の外形形状とビーム形状23とが対応するので、CCDラインセンサ8上に効率よく光が照射される。このため、CCDラインセンサ8での感度が向上することにより、SPR現象測定装置1を構成する各種の部品の精度を上げることなく小型化しても検出の精度を低下させることがないので、製造コストを増大させることなく小型化を図ることができる。

【0023】
また、光源1の円形形状をしたビーム光を、光学回析素子18とシリンダーレンズ31および集光レンズ32とによって2回絞り、金属薄膜5上のビームの形状21を点状としたことにより、光源1から放射された光が、拡散することなく絞られる。したがって、光源1からの光が効率よく金属薄膜5の表面に照射されるので、CCDラインセンサ8による検出精度が向上する。

【0024】
図5は本発明の第4の実施の形態を示すモデル図である。この第4の実施の形態においては、符号19で示す光学回析素子によって、レーザー光の光源1の平行光が拡げられ、入射側レンズ上のビームの形状20が3本の線形のビームに形成される点に特徴を有する。このような構成によれば、シリンダーレンズ31と集光レンズ32とを通過し、プリズム4に入射して金属薄膜5を照射する光のビーム形状21は3個の点状になり、金属薄膜5で反射した光は出射側レンズ上のビーム形状22が3本の線形のビームとなる。スリット板10にはこれら3本の線形のビームに対応して3個の小孔24が穿孔されており、これら小孔24を通過した光は、CCDラインセンサ8上のビーム形状が3本の線形ビームとなる。

【0025】
したがって、CCDラインセンサ8においては、これら3本の線形ビームを同時に検出することができるので、金属薄膜5上の複数点でのマルチチャンネル測定が可能になる。また、光学回析素子19とシリンダーレンズ31および集光レンズ32とによってビーム形状を2回絞り、金属薄膜5上のビームの形状21を点としたことにより、ビーム内で出射光量はほぼ均一になる。したがって,CCDラインセンサ8の長手方向の両端において光量が低下するようなことがないので、CCDラインセンサ8のいずれの部位においてもSPRの測定の感度が良好になる。

【0026】
【実施例】筺体12の外形寸法を90×140mmとした。また、第1および第2の実施の形態における単色光の光源1は赤色LEDを用いた。また、入射角度θを68±5°とした。

【0027】
第3および第4の実施の形態における光学回析素子18,19をロッドレンズとしてもよい。

【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、複数点でのマルチチャンネル測定が可能になる。また、光源からの光を光学回析素子と入射側レンズによってビーム光を2回絞り、金属薄膜上のビームの形状を点としたことにより、ビーム内の出射光量がほぼ均一になる。したがって,CCDラインセンサの長手方向の両端において光量が低下するようなことがないので、光検出器のいずれの部位においてもSPRの測定の感度が良好になる。

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6