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明細書 :SPR測定用試料セルおよびセルホルダ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3356213号 (P3356213)
公開番号 特開2002-214134 (P2002-214134A)
登録日 平成14年10月4日(2002.10.4)
発行日 平成14年12月16日(2002.12.16)
公開日 平成14年7月31日(2002.7.31)
発明の名称または考案の名称 SPR測定用試料セルおよびセルホルダ
国際特許分類 G01N 21/27      
G01N 21/01      
G01N 21/03      
FI G01N 21/27 C
G01N 21/01
G01N 21/03
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2001-015576 (P2001-015576)
出願日 平成13年1月24日(2001.1.24)
審査請求日 平成13年1月24日(2001.1.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501085566
【氏名又は名称】八戸工業高等専門学校長
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
発明者または考案者 【氏名】浅野 泰一
【氏名】正留 隆
【氏名】今任 稔彦
【氏名】伏貫 義十
【氏名】岩崎 弦
【氏名】丹羽 修
【氏名】田部井 久男
【氏名】飛田 達也
個別代理人の代理人 【識別番号】100064621、【弁理士】、【氏名又は名称】山川 政樹
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特開2002-214133(JP,A)
特開2002-214134(JP,A)
特開2002-48707(JP,A)
特開2002-214240(JP,A)
特開 平1-138443(JP,A)
特開 平6-123677(JP,A)
特表 平9-505135(JP,A)
調査した分野 G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
G01N 21/03 - 21/15
G01N 21/62 - 21/74
特許請求の範囲 【請求項1】
上方が開口し底部に透明な窓を設けた有底筒状の容器と、この容器の開口を開閉し閉じることにより容器を密閉状態とする蓋と、前記容器の窓の内側に金属薄膜を設けるとともに、窓の外側に窓とほぼ同じ屈折率を有する屈折率整合用透明フィルムを設けたことを特徴とするSPR測定用試料セル。

【請求項2】
請求項1記載のSPR測定用試料セルにおいて、前記金属薄膜の表面にセンサ膜を設けたことを特徴するSPR測定用試料セル。

【請求項3】
請求項1または2記載のSPR測定用試料セルをプリズム上に案内する筒状の案内部を設けた案内部材と、前記SPR測定用試料セルを前記プリズムに圧接する付勢部材を有しガイドピンを設けた保持部材とからなり、前記案内部材に前記ガイドピンを前記付勢部材の付勢方向に摺動自在に支持するガイド穴を設け、このガイド穴内に前記ガイドピンを摺動方向に対して節度的に係止する係脱自在な係止手段を設けたことを特徴とするセルホルダ。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学系を用いて非測定溶液中の特定物質を定量あるいは定性的に測定する表面プラズモン共鳴現象測定装置に関し、特に、被測定物に接した金属薄膜での表面プラズモン共鳴現象を利用し、液体やガスなどの被測定物の屈折率の変化を検知し定性・定量測定を行うための被測定物を収容するSPR測定用試料セルおよびセルホルダに関する。

【0002】
【従来の技術】従来、化学プロセス計測や環境計測あるいは臨床検査等において、呈色反応や免疫反応を利用した測定が行われているが、この測定方法では被測定物をサンプル抽出する必要があるばかりか、煩雑な操作や標識物質を必要とする等の問題あった。このため、標識物質を必要とすることなく、高感度で被測定物中の化学物質の定性・定量測定の可能なセンサとして、光励起表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサが提案され実用化されている。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、SPR現象測定装置はその応用範囲が広まり、屋外での携帯センサとしての使用が考えられている。しかしながら、従来のSPR現象測定装置においては、プリズム上に屈折率整合用マッチングオイルを滴下し、その上に金属薄膜を有するガラス板を張り付けて測定する方法であるため、セルをその上に張り付ける作業が煩雑であり、屋外使用には不向きであるという問題があった。

【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、検査の作業を容易にし、屋外での使用に適したSPR測定用試料セルおよびセルホルダを提供することにある。

【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、上方が開口し底部に透明な窓を設けた有底筒状の容器と、この容器の開口を開閉し閉じることにより容器を密閉状態とする蓋と、前記容器の窓の内側に金属薄膜を設けるとともに、窓の外側に窓とほぼ同じ屈折率を有する屈折率整合用透明フィルムを設けたものである。したがって、屈折率整合用透明フィルムを設けたことにより、屈折率整合用マッチングオイルを滴下する必要がない。

【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記金属薄膜の表面にセンサ膜を設けたものである。したがって、センサ膜によって特定物質の定量を行うことができる。

【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のSPR測定用試料セルをプリズム上に案内する筒状の案内部を設けた案内部材と、前記SPR測定用試料セルを前記プリズムに圧接する付勢部材を有しガイドピンを設けた保持部材とからなり、前記案内部材に前記ガイドピンを前記付勢部材の付勢方向に摺動自在に支持するガイド穴を設け、このガイド穴内に前記ガイドピンを摺動方向に対して節度的に係止する係脱自在な係止手段を設けたものである。したがって、SPR測定用試料セルの屈折率整合用透明フィルムが常に一定の圧接力によってプリズムに圧接される。

【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。図1(a)は本発明に係るSPR測定用試料セルの断面図、同図(b)は同図(a)におけるI(b)部の拡大図である。図2(a)は本発明に係るセルホルダの断面図、同図(b)は同図(a)におけるII部の拡大図である。図3は本発明に係るセルホルダの断面図である。図4は同じくセルホルダからSPR測定用試料セルを着脱する状態を説明するための側面図である。図5は同じくセルホルダを介してSPR測定用試料セルをSPR現象測定装置に装着した状態を示す断面図である。

【0009】
先ず、図1を用いて本発明に係るSPR測定用試料セルについて説明する。同図(a)において、全体を符号1で示すSPR測定用試料セルは、試料を収容するプラスチック製の容器2と、この容器2の開口を閉塞する蓋12と、この蓋12と容器2の開口端との間に介挿されるOリング15とによって概略構成されている。容器2は上方が開口し中空部3を有する有底円筒状に形成され、開口側の内周面にはねじ部4が螺設され、底部の中央には、同図(b)に示すように、孔6が穿孔され、この孔6の外側には大径部7が形成されている。

【0010】
この大径部7には、後述するプリズム43と同じ材質のガラス等からなる透明体9が張り付けられている。この透明体9の図中上部、すなわち容器2の内側には、SPR測定用の金属薄膜8が形成され、透明体9の外側には透明体9と同じ屈折率を有する透明な屈折率整合用フィルム10が形成されている。蓋12の下部には、ねじ部4に螺合するねじ部13が設けられ、これらねじ部4,13を螺合することにより、蓋12が容器2の開口を閉塞する。蓋12と容器2の開口端との間にはOリング15が介装されていることによって、容器2の中空部3が密閉状態になるので、中空部3に収容した試料が漏れ出すことが規制される。

【0011】
次に、図2および図3を用いて本発明に係るセルホルダについて説明する。図3において、全体を符号20で示すセルホルダは、SPR測定用試料セル1をプリズム43に圧接する保持部材21と、SPR測定用試料セル1をプリズム43側に案内する案内部材22とからなる。保持部材21は、下方が開口し中空部25を有するほぼ有底円筒状に形成され、下端に形成されたフランジ部26には、下方に向かって延在する一対のガイドピン27が植設されている。図2(b)に示すように、このガイドピン27の下端部の外周部には、くさび状の係合溝27aが設けられている。保持部材21の中空部25には、上端側が保持部材21の裏面に固着された圧縮コイルばね28が設けられている。

【0012】
案内部材22は上下両端が開口し中空部31を有するほぼ円筒状に形成され、図4に示すように、この案内部材22の周部の一部には、SPR測定用試料セル1を中空部31に着脱するための開口33が設けられている。また、中空部31の下部には、SPR測定用試料セル1をプリズム43に案内する案内部32が形成されている。案内部材22の下部側の外周にフランジ部34が設けられ、このフランジ部34をねじ35によって後述するSPR現象測定装置40の筺体41の上板に固定すると、案内部材22が筺体41の窓42に嵌合するように構成されている。

【0013】
案内部材22の周部には、上部が開口した一対のガイド穴36,36が上下方向に延在するように凹設され、これらガイド穴36,36には、上述した保持部材21の一対のガイドピン27,27が係入され摺動自在に支持される。図2(b)に示すように、案内部材22には、これらガイド穴36,36内に一部が臨むように付勢されたボールプランジャー37が設けられ、このボールプランジャー37は、図示を省略しているが、上下方向に複数対設けられている。

【0014】
次に、図5を用いてSPR現象測定装置について説明する。SPR現象測定装置40には、ほぼ密閉状態の箱状に形成された筺体41が備えられ、この筺体41の上板の一部には円形の窓42が穿設され、この窓42に対応して筺体41の上板の下面にはプリズム43が固定されている。44は光源であって、この光源44から放射された光は偏光板45によってp偏光光のみが通過し、集光レンズ46によって集光されプリズム43に入射する。

【0015】
プリズム43に入射角θで入射した光が金属薄膜5を照射することによって、金属薄膜5からの反射光の強度変化をCCDラインセンサ47で検出している。このSPR現象測定装置40はバッテリー48による駆動が可能で、図示を省略したパームサイズのパーソナルコンピュータに接続することにより、データの収集や簡単な処理ができるように構成されている。また、パームサイズのパーソナルコンピュータの赤外線通信機能を利用してより高性能のホストコンピュータへデータを転送そうし、データの処理を行うこともできる。

【0016】
次に、SPR測定用試料セル1をセルホルダ20を介してSPR現象測定装置40に装着する方法を説明する。先ず、図1(a)において、蓋12を回転させ、蓋12を容器2の開口から外すことにより、容器2の開口から図示を省略した試料を入れる。蓋12と容器2の開口端との間にOリング15を介装するようにして、蓋12のねじ部13と容器2のねじ部4とを螺合させ、蓋12によって容器2の開口を閉塞することにより、容器2の中空部3を密閉する。

【0017】
このように容器2内に試料を入れたSPR測定用試料セル1を、図4に示すように、案内部材22の開口33から案内部材22内に挿入し、図3に示すように、SPR測定用試料セル1の容器2を案内部材22の案内部32に係入する。このとき、圧縮コイルばね28の上端側が保持部材21の裏面に固着されていることにより、圧縮コイルばね28が持ち上げられた状態になるので、圧縮コイルばね28の下方には充分な挿入空間が設けられている。したがって、SPR測定用試料セル1を案内部材22の開口33から案内部材22内に挿入する作業が容易になり作業性が向上する。

【0018】
図3に示すように、保持部材21を手によって下方に向かって押し下げると、一対のガイドピン27,27が案内部材22のガイド穴36,36に案内され、保持部材21が下降する。圧縮コイルばね28の下端がSPR測定用試料セル1の蓋12の上端に当接し、さらに保持部材21を手によって下方に向かって押し下げると、圧縮コイルばね28の弾発力によって、SPR測定用試料セル1が案内部32に案内されながら下方に付勢される。したがって、SPR測定用試料セル1の屈折率整合用フィルム10がプリズム43に圧接されることにより、この屈折率整合用フィルム10を介してプリズム43と金属薄膜8とが光学的に接着されるので、表面プラズモン共鳴現象を計測することが可能になる。

【0019】
この場合、図2(b)に示すように、ガイドピン27の係合溝27aに係合するボールプランジャー37が案内部材22の上下方向に複数個設けられていることにより、図3において保持部材21を押し下げる位置を適宜選択することができる。したがって、圧縮コイルばね28の弾発力によって屈折率整合用フィルム10がプリズム43に適切な圧接力で圧接されるので測定が正確かつ安定する。また、保持部材21を上昇させ、SPR測定用試料セル1を案内部材22から着脱するときも、ガイドピン27の係合溝27aとボールプランジャー37の係合によって、保持部材21の位置が保持されるので、着脱のための作業性が向上する。

【0020】
また、SPR測定用試料セル1の容器2の底部に屈折率整合用フィルム10を設け、SPR測定用試料セル1を案内部材22に係入し、保持部材21を押し下げることにより、表面プラズモン共鳴現象を計測することが可能になる。したがって、従来のようにマッチングオイルを滴下する煩雑な作業が不要になるので作業性が向上する。本発明者が実験によって確認した結果、本発明よるSPR測定用試料セル1の交換作業がほぼ5秒以内で行え、マッチングオイルを接着していた従来の交換作業と比較して約1/10に短縮されることがわかった。

【0021】
ここで、金属薄膜8の表面に、センサ膜としての抗体等を固定し、抗原との結合による抗体の屈折率の変化を測定することにより、特定物質の定量を行うことができる。この抗原の固定化により、免疫反応を測定する免疫センサー、蛋白分子を計測するバイオセンサー、高感度顕微鏡など、分析化学・生化学・薬品化学・医療計測等の広範囲な化学・産業分野での多彩な展開が可能になる。

【0022】
【実施例】透明体9およびプリズム43はBK7ガラスを使用した。金属薄膜8は透明体9に、Auをスパッタ法によって500Åに形成した。屈折率整合透明フィルム10として、RTV(室温硬化)シリコンゴムまたは可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)膜を使用した。

【0023】
蓋12によって容器2の開口を密閉するのに、ねじ部4,13の螺合およびOリング15の協動によって行ったが、蓋12の周面の一部を容器2の開口縁に枢支するとともに、蓋12の内周面と容器2の開口縁に互いに嵌合する凹凸部を設け、枢支部を揺動中心として蓋12を揺動させ容器2の開口を閉じることにより、凹凸部を嵌合させて密閉状態してもよく、種々の設計変更が可能である。また、容器2の開口から容器2内に試料を入れるのに、蓋12を着脱自在としたが、開閉自在とした蓋でもよい。

【0024】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、マッチングオイルを滴下する必要がないので、作業性が向上するだけでなく、作業時間が短縮される。また、試料が容器から漏れ出すことがない。

【0025】
また、請求項2に係る発明によれば、センサ膜によって特定物質の定量を行うことができる。

【0026】
また、請求項3に係る発明によれば、SPR測定用試料セルの屈折率整合用透明フィルムが常に一定の圧接力によってプリズムに圧接されることにより、測定が正確かつ安定する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4