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Specification :(In Japanese)安定であるπ電子共役系化合物およびその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6012012
Publication number P2014-148483A
Date of registration Sep 30, 2016
Date of issue Oct 25, 2016
Date of publication of application Aug 21, 2014
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)安定であるπ電子共役系化合物およびその製造方法
IPC (International Patent Classification) C07D 233/06        (2006.01)
H01L  51/05        (2006.01)
H01L  51/30        (2006.01)
H01L  51/40        (2006.01)
C07D 257/08        (2006.01)
FI (File Index) C07D 233/06 CSP
H01L 29/28 100A
H01L 29/28 250H
H01L 29/28 310J
C07D 257/08
Number of claims or invention 7
Total pages 22
Application Number P2013-018557
Date of filing Feb 1, 2013
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第2項適用 平成24年8月31日 分子科学会発行の「第6回分子科学討論会2012東京 講演プログラム&要旨」および 平成24年11月1日 SEST2012実行委員会発行の「SEST2012 第51回電子スピンサイエンス学会年会講演要旨集」において発表
Date of request for substantive examination Jan 8, 2016
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】手木 芳男
【氏名】品田 哲郎
【氏名】川中 優輔
【氏名】清水 章皓
Representative (In Japanese)【識別番号】100065248、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信太郎
【識別番号】100159385、【弁理士】、【氏名又は名称】甲斐 伸二
【識別番号】100163407、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 裕輔
【識別番号】100166936、【弁理士】、【氏名又は名称】稲本 潔
【識別番号】100174883、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 雅己
Examiner (In Japanese)【審査官】東 裕子
Document or reference (In Japanese)特開2007-088016(JP,A)
特開2008-141000(JP,A)
Kawanaka, Yusuke et al.,Using Stable Radicals To Protect Pentacene Derivatives from Photodegradation,Angewandte Chemie, International Edition ,2013年,Vol.52(26),pp.6643-6647
Teki, Y.; Nakatsuji, M.; Miura, Y.,Excited high spin states of novel π conjugated verdazyl radicals: Photoinduced spin alignment utilizing the excited molecular field,Molecular Physics ,2002年,Vol.100(9),pp.1385-1394
Tamekuni, Hirotaka; Teki, Yoshio,Design, synthesis and physical properties of the metal complexes using π-radical with photo-excited high-spin state as a ligand,Polyhedron,2007年,Vol.26(9-11),pp.1984-1988
Ali, Md. Ehesan; Datta, Sambhu N.,Polyacene Spacers in Intramolecular Magnetic Coupling,Journal of Physical Chemistry A ,2006年,Vol.110(49),pp.13232-13237
Bhattacharya, Debojit; Shil, Suranjan; Misra, Anirban; Klein, D. J.,Intramolecular ferromagnetic coupling in bis-oxoverdazyl and bis-thioxoverdazyl diradicals with polyacene spacers,Theoretical Chemistry Accounts,2010年,Vol.127(1-2),pp.57-67
Field of search C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
以下の、一般式(I):
【化1】
JP0006012012B2_000025t.gif
[式中、基-X-は、以下の:
【化2】
JP0006012012B2_000026t.gif
を表し、ラジカル基-Y・は、以下の:
【化3】
JP0006012012B2_000027t.gif
を表す]
で表されるペンタセンのラジカル誘導体。
【請求項2】
前記基-X-が、以下の式:
【化4】
JP0006012012B2_000028t.gif
で表されるフェニレン基である、請求項1に記載のペンタセンのラジカル誘導体。
【請求項3】
前記一般式(I)の化合物が、以下の:
【化5】
JP0006012012B2_000029t.gif
である、請求項1または2に記載のペンタセンのラジカル誘導体。
【請求項4】
前記一般式(I)の化合物が、以下の:
【化6】
JP0006012012B2_000030t.gif
である、請求項1または2に記載のペンタセンのラジカル誘導体。
【請求項5】
前記ペンタセン誘導体が、有機半導体材料である請求項1~4のいずれか1つに記載のペンタセンのラジカル誘導体。
【請求項6】
請求項1~3または5のいずれか一つに記載のペンタセンのラジカル誘導体を得るために、次の式(8):
【化7】
JP0006012012B2_000031t.gif
で表される4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒドに、以下の式(9):
【化8】
JP0006012012B2_000032t.gif
で表される1,3-ジアミノ-1,3-ジメチルウレアと反応させて、以下の式(1b):
【化9】
JP0006012012B2_000033t.gif
で表される2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オンを得、これをセライト担持Ag2CO3で処理して、以下の式(1a):
【化10】
JP0006012012B2_000034t.gif
で表される2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オンを得ることを特徴とする、ペンタセンのラジカル誘導体の製造方法。
【請求項7】
請求項1、2、4または5に記載のペンタセンのラジカル誘導体を得るために、次の式(8):
【化11】
JP0006012012B2_000035t.gif
で表される4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒドに、アルカリの存在下に、2,3-ビス(ヒドロキシアミノ)-2,3-ジメチルブタン サルフェートを反応させて、以下の式(2b):
【化12】
JP0006012012B2_000036t.gif
で表される4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオールを得、酸化剤で処理して、以下の式(2a):
【化13】
JP0006012012B2_000037t.gif
で表される4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシルを得ることを特徴とする、ペンタセンのラジカル誘導体の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、安定であるπ電子共役系化合物およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、安定ラジカルを利用した拡張π電子共役系化合物の光、酸素および/またはオゾンに対して安定なペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電界効果トランジスタや薄膜トランジスタ等の電子デバイスの分野において、従来用いられてきたシリコンに代表される無機半導体材料に代わり、有機半導体材料が注目されている。
【0003】
これは、シリコン半導体材料に比べ有機半導体材料が、安価に製造することが可能であること;薄膜を用いた大面積の電子装置にも容易に使用できること;有機半導体を用いる製造工程において高温プロセスを必要としないことからプラスチック基板上への薄膜の形成が可能であること;機械的な折り曲げに対し素子特性を劣化させずにフレキシブルな大面積な装置に使用できることなどの特性を有していることに基づくものである。
より具体的には、有機半導体材料を用いた電子素子では、耐衝撃性、軽量、柔軟性、低コストおよび大面積化といった特徴を発揮させることができる。
【0004】
そして、有機半導体材料は、有機エレクトロルミネセンス素子のような有機発光デバイス、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池など、および正孔注入輸送層を有する量子発光素子、電子写真感光体およびモバイル情報端末機用の電子素子などの広範な種々の有機電子デバイスに用いられ得る。
【0005】
二重結合と一重結合が交互に並んだ形の部位を有するπ電子共役系化合物として、ペンタセン等のアセン系材料は高度に拡張されたπ電子系を有するため、ホール輸送、電子輸送性に優れ、例えば、有機半導体材料(特許文献1、特許文献2、非特許文献1および非特許文献2)、エレクトロルミセッセンス材料、有機色素、および有機顔料等に広く応用が検討されている。
【0006】
このように有機半導体材料としてπ電子共役系化合物が広く用いられる中で、障害となるのはπ電子共役系化合物の多くが、平面性が高く剛直であるものが多いため、分子間の相互作用が非常に強固であり、水や有機溶媒への溶解性が乏しいことが挙げられる。
【0007】
例えば、π電子共役系化合物を有機顔料として用いる場合には、顔料が凝集し易くなり分散が不安定となる。
また有機半導体材料およびエレクトロルミネッセンス材料を例に取ると、難溶であるため溶液プロセスの適用が難しく、真空蒸着等の気相製膜が必要になるなどの問題があり、製造コストの増加や、製造プロセスが煩雑になるといった問題が挙げられる。
【0008】
また、近年、π電子共役系化合物である有機半導体材料の真空蒸着法による有機薄膜の形成方法および有機薄膜形成装置も提案されている(特許文献3)。
しかしながら、有機半導体材料でもアセン系材料、特にペンタセンは、水や有機溶媒に対して溶解度が極めて低く、真空蒸着工程が必須であり、また、光ならびに酸素および/またはオゾンに対し安定性が低いことが知られている(特許文献4)。
【0009】
これに対して、近年レトロディールスアルダー反応を利用して、溶媒可溶性の高いペンタセンのビシクロ化合物から脱離反応により、ペンタセン等へと変換する方法が提案されている(特許文献5)。しかしながら、この方法では煩雑な合成ならびに脱離基の除去工程を必要とするため適用範囲が狭く、より簡便に合成可能な可溶性ペンタセン誘導体の開発が必要とされている。
【0010】
また、ペンタセンの可溶性前駆体を塗布し、加熱等により製膜する方法も提案されている(非特許文献3)。しかしながら、この方法では、この前駆体から脱離するテトラクロロベンゼン分子を系外に除去することが困難であり、かつテトラクロロベンゼンの毒性も問題となる。
【0011】
さらに、ペンタセン等のベンゼン環を有するπ電子共役系化合物に脱離性置換基を導入した化合物を製膜後に脱離性置換基を脱離させてπ電子共役系化合物の膜状体の製法が提案されている(特許文献6)。しかしながら、この方法では、ペンタセンの製膜は可能と思われるが、ペンタセンの光ならびに酸素および/またはオゾンに対する安定性の改善についてはなんら考慮されていない。
【0012】
したがって、光ならびに酸素および/またはオゾンに対して安定で、かつ有機溶媒に可溶で、スピンコート塗布、ブレードコート、グラビア印刷、インクジェット塗布、ディプコーティング塗布などのウェットプロセスへの適応可能なペンタセン誘導体が求められている。
【先行技術文献】
【0013】

【特許文献1】特開平5-055568号公報
【特許文献2】WO2006-077888号公報
【特許文献3】特開2008-177283号公報
【特許文献4】特開2010-67817号公報
【特許文献5】特開2007-224019号公報
【特許文献6】特開2012-41327号公報
【0014】

【非特許文献1】Appl. Phys. Lett.、72、p1854、1998
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc.、128、p12604、2006
【非特許文献3】J. Appl. Phys., 2136, 79, 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、減圧昇華法のみならずウェットプロセスに適用可能で、かつ光ならびに酸素および/またはオゾンに対して安定であるπ電子共役系化合物およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、鋭意努力および研究を重ねた結果、π電子共役系化合物に安定ラジカルを有する基を導入することにより、上記の課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0017】
かくして、本発明によれば、以下の、一般式(I):
【化1】
JP0006012012B2_000002t.gif
[式中、基-X-は、以下の:
【化2】
JP0006012012B2_000003t.gif
を表し、ラジカル基-Y・は、以下の:
【化3】
JP0006012012B2_000004t.gif
を表す]
で表されるペンタセンのラジカル誘導体が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、上記一般式(I)における基-X-が、以下の式:
【化4】
JP0006012012B2_000005t.gif
で表されるフェニレン基である、上記のペンタセンのラジカル誘導体が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、 前記一般式(I)の化合物が、以下の:
【化5】
JP0006012012B2_000006t.gif
であるか、あるいは、以下の:
【化6】
JP0006012012B2_000007t.gif
である、上記のペンタセンのラジカル誘導体が提供される。
【0020】
また、本発明によれば、上記のペンタセンのラジカル誘導体(1a)を得るために、次の式(8):
【化7】
JP0006012012B2_000008t.gif
で表される4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒドに、以下の式(9):
【0021】
【化8】
JP0006012012B2_000009t.gif
で表される1,3-ジアミノ-1,3-ジメチルウレアと反応させて、以下の式(1b):
【化9】
JP0006012012B2_000010t.gif
で表される2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オンを得、これをセライト担持Ag2CO3で処理して、以下の式(1a):
【0022】
【化10】
JP0006012012B2_000011t.gif
で表される2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オンを得ることを特徴とする、ペンタセンのラジカル誘導体の製造方法が提供される。
【0023】
前記のペンタセンのラジカル誘導体(2a)を得るために、次の式(8):
【化11】
JP0006012012B2_000012t.gif
で表される4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒドに、アルカリの存在下に、2,3-ビス(ヒドロキシアミノ)-2,3-ジメチルブタン サルフェートを反応させて、以下の式(2b):
【0024】
【化12】
JP0006012012B2_000013t.gif
で表される4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオールを得、酸化剤で処理して、以下の式(2a):
【0025】
【化13】
JP0006012012B2_000014t.gif
で表される4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシルを得ることを特徴とする、ペンタセンのラジカル誘導体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光ならびに酸素および/またはオゾンに対して安定であるペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法が提供される。
本発明によるペンタセンのラジカル誘導体は、ペンタセンに比べ有機溶媒に対する可溶性も高く、かつ光、酸素および/またはオゾンに対して高い安定性を有するので、真空蒸着法のみならず、スピンコート塗布、ブレードコート、グラビア印刷、インクジェット塗布、ディプコーティング塗布などのウェットプロセスを適用して、有機電界効果トランジスタなど、および正孔注入輸送層を有する量子発光素子、電子写真感光体およびモバイル情報端末機用の電子素子などの広範な種々の有機電子デバイスに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(1b)の1H-NMRスペクトルである。
【図2】4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(2b)の1H-NMRスペクトルである。
【図3】(a)ペンタセンの飽和THF溶液(濃度不明)の紫外-可視スペクトルの経時変化を示す図である。 (b)ペンタセンの飽和THF溶液(濃度不明)の測定波長λ=575nmにおける吸光度の経時変化を示す図である。
【図4】(a)2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(1b)のTHF溶液(濃度0.945×10-4M)の紫外-可視スペクトルの経時変化を示す図である。 (b)2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オン(1a)のTHF溶液(濃度0.993×10-4M)の紫外-可視スペクトルの経時変化を示す図である。
【図5】(a)4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(2b)のTHF溶液(濃度0.983×10-4M)の紫外-可視スペクトルの経時変化を示す図である。 (b)4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシル(2a)のTHF溶液(濃度1.02×10-4M)の紫外-可視スペクトルの経時変化を示す図である。
【図6】(a)2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(1b)、2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オン(1a)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(2b)、および4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシル(2a)の各THF溶液の色合いの経時変化を示す図である。 (b)ペンタセン、1b、1a、2bおよび2aの各THF溶液の室温におけるペンタセン部位に由来する特徴的な吸収の減衰挙動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施の形態を示して、本発明を説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。

【0029】
本発明によるペンタセンのラジカル誘導体は、一般式(I):
【化14】
JP0006012012B2_000015t.gif
で表される。

【0030】
上記の一般式(I)における基-X-は、以下の:
【化15】
JP0006012012B2_000016t.gif
を意味する。

【0031】
また、上記の一般式(I)における、ラジカル基-Y・は、以下の:
【化16】
JP0006012012B2_000017t.gif
を意味する。

【0032】
上記の一般式(I)で表されるペンタセンのラジカル誘導体の具体例としては、試薬の入手のし易さおよび合成の観点から、以下の式(1a):
【化17】
JP0006012012B2_000018t.gif
で表される2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オン(ペンタセンのラジカル誘導体(1a))または、以下の式(2a):

【0033】
【化18】
JP0006012012B2_000019t.gif
で表される、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシル(ペンタセンのラジカル誘導体(2a))が挙げられる。

【0034】
上記のペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)は、以下の式(8):
【化19】
JP0006012012B2_000020t.gif
で表される共通の合成中間体(アルデヒド化合物(8))から得ることができる。

【0035】
上記のアルデヒド化合物(8)は、以下の合成スキームに従って、合成できる。
【化20】
JP0006012012B2_000021t.gif

【0036】
すなわち、無水THF中、2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン(3)およびMgからグリニャール試薬、4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニルマグネシウムブロミド (4)のTHF溶液を調製した。この溶液を、アルゴン雰囲気下に6-ペンタセノン(5)と反応させ、アセタール(6)とアルデヒド(7)の混合物を得、実験器具にアルミホイルを巻いて(6)および(7)の混合物をアセトン中、濃HClで処理し、H2Oを加えてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、常法により紫色の粉末として4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒド(アルデヒド化合物(8))を単離した。

【0037】
上記の合成スキームにおいて適宜置換様式が異なる種々の試薬を選択することにより、同様にして、前記の一般式(I)の合成中間体も製造できる。

【0038】
前記のペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)は、以下の合成スキームに従って上記のアルデヒド化合物(8)から合成できる。
【化21】
JP0006012012B2_000022t.gif

【0039】
すなわち、例えば1,2-ジクロロエタン中、上記のアルデヒド化合物(8)と1,3-ジアミノ-1,3-ジメチルウレア(9)を暗条件下、アルゴン雰囲気下で加熱反応させ、室温まで冷却後、常法によりアルミナカラムクロマトグラフィーにより精製し、紫色粉末として2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(前駆体(1b))を得、これを暗条件下に例えば1,2-ジクロロエタン中、セライト担持Ag2CO3で処理し、常法によりアルミナカラムクロマトグラフィーにより精製して2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オン(ペンタセンのラジカル誘導体(1a))を得た。

【0040】
また、暗条件下、例えばMeOH-1,2-ジクロロエタンの混合溶媒中、アルカリ例えば炭酸カリウムの存在下にアルデヒド化合物(8)と2,3-ビス(ヒドロキシアミノ)-2,3-ジメチルブタンサルフェートとをアルゴン雰囲気下で加熱反応させ、室温まで冷却後に濾過し、常法により紫色粉末として4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(前駆体(2b))を得、次いで、暗条件下にこの化合物に、例えばジクロロメタン中、酸化剤例えばNaIO4の水溶液を加え反応させ、有機層を常法によりシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシル(ペンタセンのラジカル誘導体(2a))を得た。

【0041】
本発明による、式(1a)および(2a):
【化22】
JP0006012012B2_000023t.gif
で表されるペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)のTHF溶液は、それぞれの前駆体であり、式(1b)および(2b):

【0042】
【化23】
JP0006012012B2_000024t.gif
で表される前駆体(1b)および(2b)のTHF溶液に比べても、さらにペンタセンのTHF溶液(図3参照)と比べても、溶存飽和空気および室内蛍光灯下で極めて優れた安定性を示した(図4~図6参照)。
さらに、本発明によるペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)は、ペンタセンと比べて有機溶媒に対して高い溶解度を有する。

【0043】
したがって、本発明によるペンタセンのラジカル誘導体は、真空蒸着法のみならず、スピンコート塗布、ブレードコート、グラビア印刷、インクジェット塗布、ディプコーティング塗布などのウェットプロセスを適用して、有機電界効果トランジスタなど、および正孔注入輸送層を有する量子発光素子、電子写真感光体およびモバイル情報端末機用の電子素子などの広範な種々の有機電子デバイスに用いられ得る。
さらに、本発明によるペンタセンのラジカル誘導体は、酸素のみならず、オゾンまたはNOx(窒素酸化物)の存在下においても用いられることが期待される。

【0044】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例で用いた試薬および溶媒は、特に記載がない限りアルドリッチ社、東京化成工業社、メルク社または和光純薬社から購入したものをそのまま用いた。なお、MeOHおよびTHFは、無水グレードのものを用いた。
融点(m.p.)は、AZ WAN ATM-1融点測定器を用いて測定し、未補正の値を示した。
【実施例】
【0046】
1H-NMRスペクトルは、JEOL Lambda 400 (400 MHz)またはBRUKER AVANCE 600 (600 MHz)スペクトロメーターの何れかを用いて記録した。
13C-NMRスペクトルは、JEOL Lambda 400 (100 MHz)またはBRUKER AVANCE 600 (150 MHz)スペクトロメーターの何れかを用いて記録した。
1H-NMRおよび13C-NMRのケミカルシフトは、CDCl3中のCHCl3 (δ=7.26もしくは77.1)または(CD3)2SO中の(CH3)2SO (δ=2.49もしくは39.5)と比べて百万分の一(δ(ppm))で記録した。
低分解能質量分析(LRMS)および高分解能質量分析(HRMS)は、高速原子衝撃イオン化法(FAB)に対してJEOL JMS-700Tによって得られた。
【実施例】
【0047】
全ての反応は、市販の既製薄層プレート(ワットマン社製のシリカゲルプレート0.25 mmまたはメルク社製の酸化アルミニウム60 F254、0.25 mm)を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターした。TLCは、UVランプを用いて可視化した。
フラッシュクロマトグラフィーには、ダイソー社製IR-60 1002W (40/63mm)またはメルク社製酸化アルミニウム60を用いた。
ペンタセンは、周囲光の条件下で不安定であることが知られているので、合成は、暗状態で、または反応容器をアルミホイルで被覆して行った。
【実施例】
【0048】
製造例1
6-ペンタセノン(5)の合成
室温で、6,13-ペンタセンジオン(3.01 g、9.76 mmol)の濃硫酸(100 mL)懸濁液をH2O (300 mL)に徐々に加えながら撹拌した後に吸引ろ過を行い、H2O (150 mL)で洗浄した。得られた黄色の固体を室温でH2O (300 mL)に懸濁し、アルゴン雰囲気下で30% NaOH水溶液(100 mL)およびNa2S2O4 (40 g)を加えて90℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後に吸引ろ過し、H2O (150 mL)で洗浄した後にデシケータ中で減圧乾燥し、淡黄色の固体を得た(2.61 g、収率90%)。
1H-NMR (400 MHz、CDCl3) δ(ppm):8.97 (s、2H)、8.07 (d、J = 8.0 Hz、2H)、7.96 (s、2H)、7.89(d、J = 8.3 Hz、2H)、7.61(t、J = 16.1 Hz、2H)、7.53(t、J = 14.2 Hz、2H)、4.71(s、2H)
HRMS (m/z): [M]+ C22H12O、理論値;294.1045、実測値:294.1045。
【実施例】
【0049】
製造例2
1,3-ジアミノ-1,3-ジメチルウレア(9)の合成
アルゴン雰囲気下、無水ジクロロメタン(270 mL)にメチルヒドラジン(25 mL、458 mmol)を加え、ドライアイス-メタノール溶液につけ-50℃まで冷却し、撹拌した。これにトリホスゲン(11.1g、38 mmol)の無水トルエン(110 mL)溶液を滴下し、-50℃で4時間撹拌した。その後、室温で17時間撹拌した。反応液を吸引ろ過し、残渣をヘキサン(40 mL)で洗った。ろ液を減圧乾燥し、淡黄色固体を得た(13.20g、収率42%)。
m.p.:60℃;1H-NMR (400 MHz、CDCl3) δ(ppm):4.37(s、4H)、3.04(s、6H);13C-NMR (100 MHz,CDCl3) δ(ppm):165.0、41.1。
【実施例】
【0050】
実施例1
4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒド(8)(アルデヒド化合物(8))の合成
アルゴン雰囲気下、室温でMg (0.45 g、18.5 mmol)のTHF (3 mL)懸濁液に、撹拌下2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン(3) (0.1 mL、0.66 mol)を加え、溶液の色がこげ茶色に変化するまでドライヤーで50℃程度まで加熱した。これに(3) (1 mL、6.6 mmol)のTHF (4 mL)溶液を滴下し、1時間撹拌することで4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニルマグネシウムブロミド(グリニャール試薬(4))のTHF溶液を調製した。この溶液を、アルゴン雰囲気下で6-ペンタセノン(5) (0.65 g、2.21 mmol)のTHF (80 mL)溶液に滴下し、59℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後飽和塩化アンモニウム水溶液(50 mL×2)を用いて有機層を洗浄し、MgSO4で乾燥後、濾液を減圧濃縮した。それに(CH2Cl)2 (10 mL)を加えろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:(CH2Cl)2 で流した後にEtOAc)によってアセタール(6)とアルデヒド(7)の混合物を得た。
【実施例】
【0051】
ペンタセンは光と酸素に鋭敏なので以下の操作から実験器具にアルミホイルを巻いて暗所にすることで反応を進行させた。(6)および(7)の混合物をアセトン(10 mL)に溶かし、室温で濃HCl (4 mL)を加え5分間撹拌させた後、H2O (50 mL)を加えて紫色の粉末を得た。粉末を濾過して集め、H2O、ヘキサンで洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;CH2Cl2:ヘキサン=2:1)によって精製し、濃い紫色の粉末を単離した(0.16 g、収率19%)。
【実施例】
【0052】
m.p.:204℃;TLC (CH2Cl2:ヘキサン2:1 v/v):Rf = 0.26;
1H-NMR (400 MHz、CDCl3)δ(ppm):10.28 (s、1H)、9.04 (s、1H)、8.69 (s、2H)、8.22 (d、J = 8.3 Hz、2H)、8.17 (s、2H)、7.92 (d、J = 8.6 Hz、2H)、7.77 (d、J = 8.3 Hz、2H)、7.72 (d、J = 8.6 Hz、2H)、7.27 - 7.34 (m、4H);
13C-NMR (100 MHz、CDCl3)δ(ppm):192.2、146.3、135.8、134.8、132.6、131.7、131.2、130.1、129.7;
HRMS (m/z):[M]+ C29H18O、理論値:382.1358;実測値:382.1357;
[M+H]+ C29H19O、理論値:382.1436、実測値:382.1426;
元素分析(C29H18O):C(理論値:91.07、実測値:90.56)、H(理論値:4.74、実測値:4.92)。
【実施例】
【0053】
実施例2
2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(1b)(前駆体(1b))の合成
4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒド(8) (0.26 g、0.68 mmol)と1,3-ジアミノ-1,3-ジメチルウレア(9) (0.33 g、2.79 mmol)の(CH2Cl)2 (50 mL)溶液を暗所、アルゴン雰囲気下で3時間還流し、室温まで冷却後、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;(CH2Cl)2で流した後にEtOH)により精製し、紫色粉末を得た(0.23 g、収率70%)。
【実施例】
【0054】
m.p.:206℃;TLC (EtOH):Rf = 0.87;
1H-NMR (400 MHz、CDCl3) δ(ppm):9.05 (s、1H)、8.71 (s、2H)、8.22 (s、2H)、7.94(d、J = 8.4 Hz、2H)、7.84 (d、J = 7.8 Hz、2H)、7.74 (d、J = 8.4 Hz、2H)、7.63 (d、J = 7.8 Hz、2H)、7.32 (t、J = 8.4、Hz、2H)、7.27 (t、J = 8.4 Hz、2H)、5.31 (t、J = 10.2 Hz、H)、4.59 (d、J = 10.2 Hz、2H)、3.29 (s、6H);
13C-NMR (100 MHz、CDCl3) δ(ppm):155.7、140.1、135.7、134.5、132.2、131.6 131.2、129.8、128.80、128.76、128.1、127.2、126.7 126.6、125.4、125.2、125.1、69.8、38.2;
HRMS (m/z):[M]+ C32H26N4O、理論値:482.2107、実測値:482.2118;
[M+H]+ C32H27N4O、理論値:483.2185、実測値:483.2166。
【実施例】
【0055】
実施例3
2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オン(1a)(ペンタセンのラジカル誘導体(1a))の合成
2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(1b) (0.12g、0.25 mmol)とセライト担持Ag2CO3 (50 wt%、0.30 g、0.54 mol)の(CH2Cl)2 (50 mL)溶液を、暗所、アルゴン雰囲気下、52℃で3時間撹拌し室温まで冷却後、アルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;(CH2Cl)2)により精製した。減圧濃縮した溶液にヘキサンを加え結晶を析出させ、1aの濃紫色の結晶を得た(0.04 g、収率33%)。
【実施例】
【0056】
m.p.:>300℃;TLC ((CH2Cl)2):Rf = 0.78;
HRMS (m/z):[M]+ C32H23N4O、理論値:479.1872、実測値:479.1875;
[M+H]+ C32H24N4O、理論値:480.1950、実測値:480.1942。
【実施例】
【0057】
実施例4
4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(2b)(前駆体(2b))の合成
アルゴン雰囲気下で4-(ペンタセン-6-イル)ベンズアルデヒド(8) (0.20 g、0.52 mmol)、2,3-ビス(ヒドロキシアミノ)-2,3-ジメチルブタンサルフェート(1.04 g、4.22 mmol)、K2CO3 (0.51 g、3.69 mmol)の混合物のMeOH:(CH2Cl)2=1:1の懸濁液(30 mL)を、暗所中で72時間還流し、室温まで冷却後に濾過し、H2Oと少量の(CH2Cl)2を用いて洗浄し、(2b)の紫色粉末を得た(0.20 g、収率74%)。
【実施例】
【0058】
mp:225℃(分解);
1H-NMR (600 MHz、(CD3)2SO) δ(ppm):9.22 (s、1H)、8.90 (s、2H)、8.24 (s、2H)、8.04(d、J = 8.4 Hz、2H)、7.98 (s、2H)、7.84 (d、J = 7.8 Hz、2H)、7.76 (d、J = 8.4 Hz、2H)、7.55 (d、J = 7.8 Hz、2H)、7.38 (t、J = 8.4 Hz、2H)、7.33 (t、J = 8.4 Hz、2H)、1.18 (s、6H)、1.17 (s、6H);
13C-NMR (100 MHz、(CD3)2SO) δ(ppm):141.6、137.2 、136.3、131.0、130.7、130.6、129.3、128.9、128.4、128.2、128.0、126.9、126.7、125.6、125.5、124.5、90.5、66.3、24.6、17.2;
HRMS (m/z):[M]+ C35H32N2O2、理論値:512.2464、実測値:512.2444;
[M+H]+ C35H33N2O2、理論値:513.2542、実測値:513.2548。
【実施例】
【0059】
実施例5
4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシル(2a)(ペンタセンのラジカル誘導体(2a))
暗所中、室温で4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(2b) (0.10 g、0.20 mmol)のCH2Cl2 (10 mL)溶液にNaIO4 (0.33 g、1.54 mmol)水溶液(20 mL)を加え30分間撹拌した。有機層を分離しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:CH2Cl2)により精製し、(2a)の濃紫色粉末を得た(3.26 mg、収率3%)。
mp > 300℃;TLC (CH2Cl2):Rf = 0.23;
HRMS (m/z):[M]+ C35H29N2O2、理論値:509.2229;実測値:509.2224;
[M+H]+ C35H30N2O2、理論値:510.2307;実測値:510.2316。
【実施例】
【0060】
試験例1
室温で、ペンタセンをTHFに加えペンタセンのTHF飽和溶液を調整し、紫外-可視吸収スペクトルの経時変化を記録した。その結果を図3の(a)および(b)に示す。図3の(b)は測定波長λ=575nmにおける吸光度の経時変化を示す。なお、ペンタセンは難溶性であるため該溶液のペンタセン濃度は不明であったが、THF中のペンタセンが極めて不安定であることが示された。
【実施例】
【0061】
試験例2
実施例2で得られた2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オン(1b)(前駆体(1b))のTHF溶液(濃度:0.945×10-4M)を調整し、紫外-可視吸収スペクトルの経時変化を記録した。その結果を図4(a)に示す。
同様に、実施例3で得られた2,4-ジメチル-6-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)-ヴァーダジル-3-オン(1a)(ペンタセンのラジカル誘導体(1a))のTHF溶液(濃度:0.993×10-4M)を調整し、紫外-可視吸収スペクトルの経時変化を記録した。その結果を図4(b)に示す。
【実施例】
【0062】
上記の結果から、前駆体(1b)の吸光度は、経時的に短時間で顕著に減衰する一方、ペンタセンのラジカル誘導体(1a)の吸光度は、1時間後でさえ僅かな減衰を示しただけで、ペンタセンのラジカル誘導体(1a)が、極めて安定な化合物であることが判った。
【実施例】
【0063】
試験例3
実施例4で得られた4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオール(2b)(前駆体(2b))のTHF溶液(濃度:0.983×10-4M)を調整し、紫外-可視吸収スペクトルの経時変化を記録した。その結果を図5(a)に示す。
同様に、実施例5で得られた4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-ペンタセン-6-イル)フェニル)イミダゾリジン-1,3-ジオキシル(2a)(ペンタセンのラジカル誘導体(2a))のTHF溶液(濃度:1.02×10-4M)を調整し、紫外-可視吸収スペクトルの経時変化を記録した。その結果を図5(b)に示す。
【実施例】
【0064】
上記の結果から、前駆体(2b)の吸光度は、経時的に短時間で顕著に減衰する一方、ペンタセンのラジカル誘導体(2a)の吸光度は、1時間後でさえ僅かな減衰を示しただけで、ペンタセンのラジカル誘導体(2a)が、極めて安定な化合物であることが判った。
【実施例】
【0065】
試験例4
上記の試験例1~3と全く同様にして、ペンタセン、前駆体(1b)、ペンタセンのラジカル誘導体(1a)、前駆体(2b)およびペンタセンのラジカル誘導体(2a)の各THF溶液を調整し、各溶液の色合の経時変化を観察した。その結果を図6の(a)に示す。
また、上記の各THF溶液の紫外-可視吸収スペクトルの吸光度の変化を各化合物の極大吸収波長で測定した結果を図6の(b)に示す。
図6の(a)および(b)において1bは前駆体(1b)を、1aはペンタセンのラジカル誘導体(1a)を、2bは前駆体(2b)を、2aはペンタセンのラジカル誘導体(2a)をそれぞれ意味する。また、図6の(b)中、△はペンタセン(測定波長:λ=575 nm)、●は1a (測定波長:λ=587 nm)、○は1b (測定波長:λ=586 nm)、■は2a (測定波長:λ= 588 nm)および□は2b (測定波長:λ= 587 nm)をそれぞれ意味する。
【実施例】
【0066】
上記の試験から、前駆体(1b)および(2b)のTHF溶液では、3分後にはほぼ退色したが、ペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)のTHF溶液では、顕著な退色は観察されなかった。
【実施例】
【0067】
また、ペンタセン、前駆体(1b)および(2b)の各THF溶液の初期吸光度に対する経時吸光度は、測定開始後10分でほぼ0になっており、各化合物におけるπ電子共役系が経時的に大きく影響を受けたことが判った。
しかしながら、ペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)のTHF溶液では、吸光度の減衰が極めて小さいことからペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)におけるペンタセン骨格のπ電子共役系は殆ど経時的影響を受けないことが示された。
【実施例】
【0068】
以上の結果から、本発明によるペンタセンのラジカル誘導体(1a)および(2a)は光およびTHF溶液中でも極めて安定で、かつ溶解性が高く、これらの化合物は、従来の減圧昇華法に加え、ウェットプロセスにも用いられ得ることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、光ならびに酸素および/またはオゾンに対して安定であるペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法が提供される。
本発明によるペンタセンのラジカル誘導体は、有機溶媒に対する可溶性も高く、かつ光、酸素および/またはオゾンに対して高い安定性を有するので、真空蒸着法のみならず、スピンコート塗布、ブレードコート、グラビア印刷、インクジェット塗布、ディプコーティング塗布などのウェットプロセスを適用して、有機電界効果トランジスタなど、および正孔注入輸送層を有する量子発光素子、電子写真感光体およびモバイル情報端末機用の電子素子などの広範な種々の有機電子デバイスに用いることができる。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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