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Specification :(In Japanese)変異型逆転写DNAポリメラーゼ

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5641939
Date of registration Nov 7, 2014
Date of issue Dec 17, 2014
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)変異型逆転写DNAポリメラーゼ
IPC (International Patent Classification) C12N  15/09        (2006.01)
C12N   9/12        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI (File Index) C12N 15/00 A
C12N 9/12 ZNA
C12Q 1/68 A
Number of claims or invention 9
Total pages 21
Application Number P2010-535773
Date of filing Oct 23, 2009
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 生化学第81巻臨時増刊号(平成21年9月25日)社団法人日本生化学会発行第187頁(4T15a-14)に発表
International application number PCT/JP2009/068289
International publication number WO2010/050418
Date of international publication May 6, 2010
Application number of the priority 2008276613
Priority date Oct 28, 2008
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Aug 7, 2012
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503092180
【氏名又は名称】学校法人関西学院
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】藤原 伸介
【氏名】佐野 創太郎
Representative (In Japanese)【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
Examiner (In Japanese)【審査官】森井 文緒
Document or reference (In Japanese)特開2006-304804(JP,A)
特開2002-253234(JP,A)
特表平06-500020(JP,A)
Biochemistry (2006) vol.45, no.42, p.12786-12795
Field of search C12N 15/00-15/90
C12N 9/12
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目、329番目、384番目、388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
【請求項2】
以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目及び408番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
【請求項3】
以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、329番目及び/又は384番目のアミノ酸がアラニンに置換されており、かつ326番目及び408番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
【請求項4】
以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目のアミノ酸がアラニンに置換されており、かつ388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1のアミノ酸配列において、326番目又は408番目のいずれか一つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド。
【請求項6】
請求項1~5いずれかに記載のポリペプチドを含むcDNA合成キット。
【請求項7】
請求項1~5いずれかに記載のポリペプチドを含むRT-PCRキット。
【請求項8】
RNAを鋳型として逆転写DNAポリメラーゼによりcDNAを合成する方法であって、前記逆転写DNAポリメラーゼとして請求項1~5いずれかに記載のポリペプチドを用いることを特徴とする方法。
【請求項9】
RNAを鋳型として逆転写DNAポリメラーゼを利用したRT-PCRによりcDNAを増幅する方法であって、前記逆転写DNAポリメラーゼとして請求項1~5いずれかに記載のポリペプチドを用いることを特徴とする方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、変異型逆転写DNAポリメラーゼに関する。また本発明は、変異型逆転写DNAポリメラーゼを用いRNAを鋳型としてcDNAを合成又は増幅する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RNAを鋳型としてそれに相補的なDNA(complementary DNA;cDNA)を合成する反応が知られており、この反応は逆転写反応と呼ばれる。DNAポリメラーゼのうちこの逆転写反応を触媒する活性(逆転写活性)を有するものは逆転写酵素と呼ばれる。
【0003】
mRNAに対応するcDNAの合成は分子生物学分野の研究活動において非常に重要であり、逆転写酵素がこのために広く利用されている。
【0004】
また、RNAを鋳型としてcDNAを迅速かつ正確に数千倍から数万倍に増幅する、逆転写PCR(Reverse Transcription-PCR: RT-PCR)は、組織や細胞における遺伝子発現研究のための強力なツールとして活用されており、逆転写酵素がこのためにも広く利用されている。
【0005】
従来、逆転写酵素としてはレトロウイルス(retrovirus)由来の逆転写活性を有するDNAポリメラーゼが用いられてきた。しかしながら、これらの逆転写酵素はタンパク質変性を起こしやすく不安定であった。そのため、これらの逆転写酵素を使用する場合はそのタンパク質変性を回避するために比較的低温での逆転写反応を余儀なくされるが、そのような低温条件下ではRNAの高次構造が維持されたままとなるため逆転写反応が進みにくいという問題点があった。
【0006】
そこで、逆転写活性と耐熱性とを兼ね備える逆転写酵素が求められている。そのような逆転写酵素として、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)由来のDNAポリメラーゼ、及びそのアミノ酸置換体が報告されている(特許文献1)。また、Thermus sp Z05由来DNAポリメラーゼとThermotoga maritima由来のDNAポリメラーゼとからなるキメラタンパク質のアミノ酸置換体が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、これらのDNAポリメラーゼは逆転写活性及び耐熱性の面でさらに改良すべき点があった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平7-147990
【0008】

【非特許文献1】Biochemistry 2006, 45. 12786-12795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、逆転写活性及び耐熱性に優れるDNAポリメラーゼを提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、効率性に優れるcDNA合成方法又は増幅方法を提供することも別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、配列番号1のアミノ酸配列において、326番目、329番目、384番目、388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されている変異型DNAポリメラーゼが、逆転写活性と耐熱性に優れていることを見出した。また、本発明者らは、326番目、408番目、及び438番目アミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されている変異型DNAポリメラーゼが、逆転写活性と耐熱性に加えて3’-5’エキソヌクレアーゼ活性にも優れていることも見出した。本発明者らは、とりわけ326番目と408番目のアミノ酸の少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されている変異型DNAポリメラーゼは、逆転写活性と耐熱性、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性いずれにも優れていることも見出した。さらに本発明者らは、当該変異型DNAポリメラーゼがcDNA合成及びcDNA増幅において有用であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0012】
1.ポリペプチド(変異型逆転写DNAポリメラーゼ)
(1-1)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目、329番目、384番目、388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-2)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目、388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-3)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、329番目及び/又は384番目のアミノ酸がアラニンに置換されており、かつ388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-4)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目のアミノ酸がアラニンに置換されており、かつ388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-5)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目、408番目、及び438番目アミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-6)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目及び408番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-7)以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1のアミノ酸配列において、326番目のアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド;
(B)(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド。
(1-8)(B)のポリペプチドが、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、(A)のアミノ酸置換が維持された状態で1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチドである、(1-1)~(1-7)のいずれかに記載のポリペプチド。
(1-9)(B)のポリペプチドが、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において(A)のアミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して95%以上の相同性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチドである、(1-1)~(1-7)のいずれかに記載のポリペプチド。
(1-10)(B)のポリペプチドが、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において(A)のアミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して97%以上の相同性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチドである、(1-1)~(1-7)のいずれかに記載のポリペプチド。
(1-11)(B)のポリペプチドが、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において(A)のアミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されることにより、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列に対して99%以上の相同性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチドである、(1-1)~(1-7)のいずれかに記載のポリペプチド。
(1-12)逆転写酵素である、(1-1)~(1-11)いずれかに記載のポリペプチド。
【0013】
2.cDNA合成キット
(2-1)(1-1)~(1-12)いずれかに記載のポリペプチドを含むcDNA合成キット。
【0014】
3.RT-PCRキット
(3-1)(1-1)~(1-12)いずれかに記載のポリペプチドを含むRT-PCRキット。
【0015】
4.cDNA合成方法
(4-1)RNAを鋳型として逆転写DNAポリメラーゼによりcDNAを合成する方法であって、前記逆転写DNAポリメラーゼとして(1-1)~(1-12)いずれかに記載のポリペプチドを用いることを特徴とする方法。
(4-2)マグネシウムイオン存在下でcDNAを合成する(4-1)に記載の方法。
(4-3)マグネシウムイオン0.5~3.0mM存在下でcDNAを合成する(4-1)に記載の方法。
(4-4)高次構造を形成するRNAを鋳型としてcDNAを合成する方法である(4-1)に記載の方法。
【0016】
5.cDNA増幅方法
(5-1)RNAを鋳型として逆転写DNAポリメラーゼを利用したRT-PCRによりcDNAを増幅する方法であって、前記逆転写DNAポリメラーゼとして(1-1)~(1-12)いずれかに記載のポリペプチドを用いることを特徴とする方法。
(5-2)マグネシウムイオン存在下でcDNAを増幅する(5-1)に記載の方法。
(5-3)マグネシウムイオン0.5~3.0mM存在下でcDNAを合成する(5-1)に記載の方法。
(5-4)高次構造を形成するRNAを鋳型としてcDNAを増幅する方法である(5-1)に記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明のポリペプチドは、好熱性細菌由来のDNAポリメラーゼにアミノ酸変異を導入して得られた変異型逆転写DNAポリメラーゼであり、逆転写活性及び耐熱性を備えている。
【0018】
また、本発明のcDNAキット及びRT-PCRキットは、上のような変異型逆転写DNAポリメラーゼを利用することにより、効率性に優れたcDNA合成方法及びcDNA増幅方法を提供することができる。
【0019】
さらに、本発明のcDNA合成方法及びcDNA増幅方法は、上のような変異型逆転写DNAポリメラーゼを利用することにより、効率性に優れたcDNA合成方法及びcDNA増幅方法を提供することができる。
【0020】
そのため、本発明は効率性に優れたcDNA合成方法及びcDNA増幅方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.本発明のポリペプチドについて
本発明のポリペプチドは、以下のポリペプチド(以下、「ポリペプチド(A1)」という。)である:
配列番号1のアミノ酸配列において、326番目、329番目、384番目、388番目、408番目、及び438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチド。

【0022】
配列番号1のアミノ酸配列は、本発明者らによって新規に分離された嫌気性好熱性細菌Thermotoga sp. K4から単離されたDNAポリメラーゼ(以下、「K4 DNAポリメラーゼ」という。)のアミノ酸配列である。Thermotoga sp. K4は、Thermotoga petrophila RKU-1との間における16S rRNA遺伝子塩基配列の相同性が非常に高い(99%)。

【0023】
K4 DNAポリメラーゼは以下の特性を有しているDNAポリメラーゼである。

【0024】
K4 DNAポリメラーゼは5’-3’ ポリメラーゼ活性の他に3’-5’エキソヌクレアーゼ活性をも有している。

【0025】
K4 DNAポリメラーゼは逆転写活性を有さない。

【0026】
本明細書において「逆転写活性」とは、RNAを鋳型としてそれと相補的なDNA(complementary DNA;cDNA)を合成する反応(逆転写反応)を触媒する活性をいう。本明細書において「逆転写活性を有する」という場合における逆転写活性の程度は、特に限定されないが、例えば常法に従い逆転写反応を行わせた場合に、微生物由来の逆転写酵素として知られる種々の酵素と同等又はそれ以上のcDNAを生成する程度であれば好ましい。逆転写反応としては、RT-PCRを例示することができる。RT-PCRにおいて鋳型となるRNA、プライマー、及びPCRサイクル等の諸条件は当該DNAポリメラーゼの特性に応じて適したものが使用される。RT-PCRは例えば実施例3の方法に従って行うこともできる。また、逆転写反応としてcDNA合成も例示することができる。微生物由来の逆転写酵素としては、Tth DNAポリメラーゼ(Tth DNA polymerase)を例示することができる。Tth DNAポリメラーゼとしては例えば、Tth DNA Polymerase(Roche)等を使用することができる。

【0027】
K4 DNAポリメラーゼはまた、耐熱性を有している。

【0028】
本明細書において「耐熱性」とは、少なくとも68℃、好ましくは85℃で30分間の熱処理を経てもDNAポリメラーゼ活性(逆転写活性を含む。)を保持しており完全には失活しない性質をいう。

【0029】
「3’-5’エキソヌクレアーゼ活性」は、DNAポリメラーゼのDNA合成反応を触媒する部位とは別の部位によって触媒される。DNAポリメラーゼが触媒するDNA合成反応は、DNA複製における鋳型鎖と対を形成しているポリヌクレオチド鎖(プライマー鎖)の3’-OH末端にデオキシリボヌクレオチドを1個ずつ付加する反応である。本明細書において「3’-5’エキソヌクレアーゼ活性」とは、DNAポリメラーゼが触媒するDNA合成において、プライマー鎖の3’-OH末端に塩基対を形成していない塩基が存在する場合に、その塩基を切り取る性質をいう。この3’-5’エキソヌクレアーゼ活性により、DNA合成時に誤って取り込まれたヌクレオチドを取り除く、いわゆる校正(proof reading)機能をDNAポリメラーゼは発揮することができる。

【0030】
ポリペプチド(A1)は後述するように、本来逆転写活性を有さないK4 DNAポリメラーゼにおいて、326番目、329番目、384番目、388番目、408番目及び、438番目のアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸をアラニンに置換することによって、逆転写活性を獲得している。

【0031】
ポリペプチド(A1)は、上記置換を含みつつ耐熱性を維持している。耐熱性の程度はK4 DNAポリメラーゼと同等又はそれ以上である必要はなく、それ以下であってもよい。

【0032】
ポリペプチド(A1)としては、例えば具体的には、次のポリペプチドが挙げられる:
配列番号1のアミノ酸配列において、326番目のトレオニン(T326)がアラニンに置換されているポリペプチド(T326A);
配列番号1のアミノ酸配列において、329番目のロイシン(L329)がアラニンに置換されているポリペプチド(L329A);
配列番号1のアミノ酸配列において、384番目のグルタミン(Q384)がアラニンに置換されているポリペプチド(Q384A);
配列番号1のアミノ酸配列において、388番目のフェニルアラニン(F388)がアラニンに置換されているポリペプチド(F388A);
配列番号1のアミノ酸配列において、408番目のメチオニン(M408)がアラニンに置換されているポリペプチド(M408A); 及び
配列番号1のアミノ酸配列において、438番目のチロシン(Y438)がアラニンに置換されているポリペプチド(Y438A)。

【0033】
これらのポリペプチド(A1)の中ではT326A、F388A、M408A、及びY438Aからなる群より選択される1つが好ましく、T326A、F388A、M408A、及びY438Aからなる群より選択される1つがより好ましい。特に、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性に優れるという点では、T326A、及びM408A、からなる群より選択される1つが好ましく、T326A及びM408Aからなる群より選択される1つがより好ましく、T326Aがさらに好ましい。

【0034】
またポリペプチド(A1)は、逆転写活性を有する限り、上記アミノ酸置換が単独でなされていてもよく、また複数組み合わせてなされていてもよい。後述するように、配列番号1のアミノ酸配列において、T326、L329、Q384、F388、M408、及びY438からなる群より選択される1つをアラニンに置換した各ポリペプチドはいずれも耐熱性を維持しつつ逆転写活性を獲得することができるので、これら置換箇所のうち任意の複数箇所を同時にアラニンに置換したポリペプチドも、同様に耐熱性を維持しつつ逆転写活性を獲得することができる。

【0035】
アミノ酸置換が複数組み合わせてなされているポリペプチド(A1)としては、L329及び/又はQ384がアラニンに置換されており、かつT326、F388、M408、及びY438からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチドが好ましい。

【0036】
そのようなポリペプチド(A1)としては、例えば具体的には、次のポリペプチドが挙げられる:
配列番号1のアミノ酸配列において、L329がアラニンに置換されており、かつT326がアラニンに置換されているポリペプチド;
配列番号1のアミノ酸配列において、L329がアラニンに置換されており、かつF388がアラニンに置換されているポリペプチド;
配列番号1のアミノ酸配列において、L329がアラニンに置換されており、かつM408がアラニンに置換されているポリペプチド;
配列番号1のアミノ酸配列において、L329がアラニンに置換されており、かつY438がアラニンに置換されているポリペプチド;
配列番号1のアミノ酸配列において、Q384がアラニンに置換されており、かつT326がアラニンに置換されているポリペプチド;
配列番号1のアミノ酸配列において、Q384がアラニンに置換されており、かつF388がアラニンに置換されているポリペプチド;及び
配列番号1のアミノ酸配列において、Q384がアラニンに置換されており、かつM408がアラニンに置換されているポリペプチド;
配列番号1のアミノ酸配列において、Q384がアラニンに置換されており、かつY438がアラニンに置換されているポリペプチド。

【0037】
アミノ酸置換が複数組み合わせてなされているポリペプチド(A1)としては、L329及び/又はQ384がアラニンに置換されており、かつL329、F388、M408、Y438らなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチドがより好ましく、L329及び/又はQ384がアラニンに置換されており、かつF388、M408、及びY438からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸がアラニンに置換されているポリペプチドがさらに好ましい。

【0038】
さらに、本発明のポリペプチドは、逆転写活性を有する限り、上記アミノ酸置換(本明細書において、「逆転写活性関連アミノ酸置換」と表記することがある。)に加えて他のアミノ酸が欠失、置換、又は付加(本明細書において、総称して「改変」と表記することがある。)されていてもよい。そのようなポリプチドは、ポリペプチド(A1)のアミノ酸配列において、逆転写化活性関連アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは複数個のアミノ酸が改変されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチド(以下、「ポリペプチド(B1)」という。)である。

【0039】
ポリペプチド(B1)としては、(A)のポリペプチドのアミノ酸配列において、逆転写化活性関連アミノ酸置換が維持された状態で1若しくは数個のアミノ酸が改変されたアミノ酸配列からなり、かつ逆転写活性を有するポリペプチドを例示することができる。

【0040】
本発明において、「数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された」とは、2~9個のアミノ酸が改変されたことを意味する。

【0041】
「数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」としては、他にも、2~5個のアミノ酸が改変されたアミノ酸配列、及び2~3個のアミノ酸が改変されたアミノ酸配列を例示することができる。

【0042】
ポリペプチド(B1)としては、逆転写化活性関連アミノ酸置換が維持された状態でポリペプチド(A1)のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、又は90%以上の相同性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列を有しており、かつ逆転写活性を有するポリペプチドを例示することができる。

【0043】
ポリペプチド(B1)の好ましい例としては、逆転写化活性関連アミノ酸置換が維持された状態でポリペプチド(A1)のアミノ酸配列に対して95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の相同性の範囲内で修飾されたアミノ酸配列を有しており、かつ逆転写活性を有するポリペプチドを挙げることができる。

【0044】
ポリペプチド(B1)は、先述の通り逆転写化活性関連アミノ酸置換を有する。ポリペプチド(B1)は、好ましくは、逆転写化活性関連アミノ酸置換がなされていない状態に比べて逆転写活性が向上しているものである。ポリペプチド(B1)は、より好ましくは、逆転写化活性関連アミノ酸置換がなされていない状態では逆転写活性を有さなかったものである。

【0045】
アミノ酸の改変は、天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾等により生じることもある。また、常法に従って人為的手段により改変することもできる。人為的手段としては、例えば部位特異的突然変異導入(site-directed mutagenesis)(Methods in Enzymology, 154: 350, 367-382 (1987);同100: 468 (1983);Nucleic Acids Res., 12; 9441 (1984);続生化学実験講座1「遺伝子研究法II」、日本生化学会編、p. 105 (1986))等の遺伝子工学的手法、リン酸トリエステル法やリン酸アミダイド法等の化学合成手段(J. Am. Chem. Soc., 89: 4801 (1967);同91: 3350 (1969);Science, 150: 178 (1968);Tetrahedron Lett., 22: 1859 (1981);同24: 245 (1983))及びこれらの組み合わせ等が例示できる。

【0046】
ポリペプチド(B1)が有する逆転写活性の程度は、ポリペプチド(A1)と同等又はそれ以上である必要はなく、それ以下であってもよい。

【0047】
ポリペプチド(A1)及びポリペプチド(B1)は、いずれも逆転写酵素として使用することができる。具体的には、逆転写酵素として、cDNA合成、RT-PCR等において使用される。特にポリペプチド(A)及びポリペプチド(B)は耐熱性を有することから、cDNA合成及びRT-PCRにおいて好適に使用される。

【0048】
ポリペプチド(A1)及びポリペプチド(B1)は、特に、高次構造を形成するRNAを鋳型とするcDNA合成及びRT-PCRにおいて好適に使用される。本発明において、「高次構造を形成するRNA」とは、42℃以下で安定な特別な三次構造を形成する性質を有するRNAを意味する。特別な三次構造としては、例えば、ヘアピンループ構造、バルジ構造、及びインターナルループ構造等が挙げられる。高次構造を形成するRNAとしては、例えば、16S rRNA等が挙げられる。

【0049】
2.本発明のcDNA合成キットについて
本発明のcDNA合成キットは、先述した本発明のポリペプチドを含むcDNA合成キットである。

【0050】
本発明のcDNA合成キットは、本発明のポリペプチドを逆転写DNAポリメラーゼとして含む。その他にもoligo(dT)プライマー、ランダムヘキサマープライマー、四種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸、RNase H、及び適当な反応緩衝液のうちいずれか一種以上をさらに含有してもよい。

【0051】
3.本発明のRT-PCRキットについて
本発明のRT-PCRキットは、先述した本発明のポリペプチドを含むRT-PCRキットである。

【0052】
本発明のRT-PCRキットは、本発明のポリペプチドを逆転写DNAポリメラーゼとして含む。その他にもoligo(dT)プライマー、ランダムヘキサマープライマー、四種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸、RNase H、及び適当な反応緩衝液のうちいずれか一種以上をさらに含有してもよい。

【0053】
4.本発明のcDNA合成方法について
本発明のcDNA合成方法は、RNAを鋳型として逆転写DNAポリメラーゼによりcDNAを合成する方法であって、前記逆転写DNAポリメラーゼとして本発明のポリペプチドを用いることを特徴とする方法である。

【0054】
本発明のポリペプチドの使用量は、cDNAが有効に合成される量であればよいが、RNA鋳型の状態、使用するプライマー、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定される。

【0055】
本発明のcDNA合成方法としては、次が例示される。
(工程1)mRNAからの第一鎖の合成を開始するためにoligo(dT)プライマーを使用する。oligo(dT)プライマーはランダムな配列を有する6 merまたは9 merのデオキシリボヌクレオチド混合物であり、末端がリン酸化されている。また、ランダムヘキサマープライマーにより、mRNAの内部から第一鎖cDNAの合成を開始してもよい。
(工程2)RNase HとDNAポリメラーゼを用いて第二鎖の合成(置き換え)を行う。

【0056】
使用される各種プライマー、適当な反応緩衝液については、RNA鋳型の状態、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定される。

【0057】
その他の反応条件についても、RNA鋳型の状態、使用するプライマー、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定される。

【0058】
また、本発明のcDNA合成方法は、マグネシウムイオンまたはマンガンイオン存在下でcDNAを合成することが好ましい。マグネシウムイオンの存在量は、プライマーの特性、RNA鋳型の状態、及び当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定されるが、終濃度0.5~3.0mMが好ましく、終濃度0.5~1.5mMがより好ましい。マグネシウムイオン存在量が終濃度0.5~3.0mMの範囲内であると、cDNA合成の効率がより向上する。

【0059】
5.本発明のcDNA増幅方法について
本発明のcDNA増幅方法は、RNAを鋳型として逆転写DNAポリメラーゼを利用したRT-PCRによりcDNAを合成する方法であって、前記逆転写DNAポリメラーゼとして本発明のポリペプチドを用いることを特徴とする方法である。

【0060】
本発明のポリペプチドの使用量は、cDNAが有効に増幅される量であればよいが、RNA鋳型の状態、使用するプライマー、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定される。

【0061】
本発明のcDNA増幅方法は、逆転写DNAポリメラーゼとしての当該ポリペプチドに加えてさらにもう一種類又は二種類以上の別の酵素を併用してもよく、また逆転写DNAポリメラーゼとしての当該ポリペプチドのみを用いてもよい。併用する酵素としては、例えばDNA依存性のDNAポリメラーゼが挙げられる。二種類以上の酵素を用いるか否かは、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜決定される。

【0062】
本発明のcDNA増幅方法としては、次が例示される。
(工程1)mRNAからの第一鎖の合成を開始するためにoligo(dT)プライマーを使用する。oligo(dT)プライマーはランダムな配列を有する6 merまたは9 merのデオキシリボヌクレオチド混合物であり、末端がリン酸化されている。また、ランダムヘキサマープライマーにより、mRNAの内部から第一鎖cDNAの合成を開始してもよい。
(工程2)RNase HとDNAポリメラーゼを用いて第二鎖の合成(置き換え)を行う。
(工程3)工程2で得られたcDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼを用いてcDNAを増幅する。

【0063】
使用される各種プライマー、適当な反応緩衝液については、RNA鋳型の状態、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定される。

【0064】
サイクル条件をはじめその他の反応条件についても、RNA鋳型の状態、使用するプライマー、当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定される。

【0065】
また、本発明のcDNA増幅方法は、マグネシウムイオン存在下でcDNAを増幅することが好ましい。マグネシウムイオンの存在量は、プライマーの特性、RNA鋳型の状態、及び当該ポリペプチドの逆転写DNAポリメラーゼとしての特性等に応じて適宜設定されるが、終濃度0.5~3.0mMが好ましく、終濃度0.5~1.5mMがより好ましい。マグネシウムイオン存在量が終濃度0.5~3.0mMの範囲内であると、cDNA増幅の効率がより向上する。
【実施例】
【0066】
以下に試験例及び実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0067】
試験例1:嫌気性好熱性細菌由来の新規DNAポリメラーゼ(野生型)の精製
本発明者らは、鹿児島県トカラ列島小宝島の熱水硫気孔から新規の嫌気性好熱性細菌を分離し、これをThermotoga sp. K4と名付けた。Thermotoga sp. K4は、Thermotoga petrophila RKU-1との間における16S rRNA遺伝子塩基配列の相同性が99%であった。Thermotoga sp. K4株菌体より常法に従ってゲノムDNAを抽出し、DNAポリメラーゼを単離した(以下、この DNAポリメラーゼを「K4 DNAポリメラーゼ」という。)。これを発現ベクター(pET21a)へクローニングした。クローンK4 DNAポリメラーゼ(pET21a/K4 pol)を発現した発現宿主大腸菌(BL21-CodonPlus (DE3))を懸濁バッファー1(10 mM Tris HCl (pH 8.0), 100 mM NaCl, 10 % グリセロール)に懸濁し、超音波破砕した。この破砕液から遠心分離によって上清を得てこれを回収した後、85 ℃にて30分間熱処理した後、再び遠心分離によって上清を回収した。この上清に終濃度70 %となるよう硫酸アンモニウムを加え、遠心分離して沈澱を回収した。この沈澱を懸濁バッファー1(10 mM リン酸バッファー(pH 8.0)、100 mM NaCl、10 mM DTT、10 % グリセロール)に溶解し、バッファー1にて透析した。
【実施例】
【0068】
これを陰イオン交換カラム(monoQ HR 5/5)に供し、100 mMから1 M NaClの勾配で溶出することにより、DNAポリメラーゼを含むフラクションを回収した。さらにゲルろ過カラム(Superdex 200 HR)に供し、DNAポリメラーゼを含むフラクションを回収し、これを精製K4 DNAポリメラーゼとした。この精製K4 DNAポリメラーゼを10 % SDS-PAGEに供したところ(図1)、このDNAポリメラーゼは分子量101.7 kのタンパク質であることが分かった。なお、図1の写真中「M」とあるのはマーカーを、「K4」とあるのは「K4 DNAポリメラーゼ」を、それぞれ示している。
【実施例】
【0069】
さらにこのK4 DNAポリメラーゼについて常法に従って全アミノ酸配列を決定した。この全アミノ酸配列を配列表1(配列番号1)に示す。
【実施例】
【0070】
試験例2:野生型K4 DNAポリメラーゼの正確性解析
K4 DNAポリメラーゼと、公知のDNAポリメラーゼ(Taq、KOD、MSB8株由来ポリメラーゼ)との間で、DNA合成の正確性を比較した。pKF3プラスミドを鋳型とし、これらのDNAポリメラーゼをそれぞれ用いて常法に従ってPCRを行った。PCR反応産物を常法に従ってエタノール沈殿し、塩を除いた後に常法に従ってT4DNAポリメラーゼを用いて塩基末端を平滑化した。T4DNAポリメラーゼを15分間80 ℃で熱処理し失活させた後、常法に従ってゲル抽出を行った。その後、常法に従ってリガーゼ処理を行い自己閉環させた。リガーゼ処理したpKF3を用いて、常法に従って宿主大腸菌(TH2)を形質転換し、LB固体培地A(クロラムフェニコール12μg/mL含有)及びLB固体培地B(クロラムフェニコール 12μg/mL+ストレプトマイシン50μg/mL含有)に塗布し37℃にて培養した。2日後それぞれのLB固体培地上のコロニーを数えた。
【実施例】
【0071】
pKF3プラスミドは元来、クロラムフェニコール耐性遺伝子と、ストレプトマイシン感受性遺伝子を持つ。従って、pKF3プラスミドがPCRで正確に増幅されていれば、これにより形質転換された宿主大腸菌(TH2)はLB培地Aにおいては生育するが、ストレプトマイシンを含有するLB培地Bにおいては生育しない。一方、PCRの際にストレプトマイシン感受性遺伝子が変異し、機能を失った場合これにより形質転換された宿主大腸菌(TH2)は、ストレプトマイシンを含むLB培地Bにおいて生育することが可能となる。すなわち、LB培地B上に観察されたコロニー数をLB培地A上に観察されたコロニー数で割った割合は、全コロニー数に対する変異コロニー数の割合とみなすことができる。この指標を用いてDNAポリメラーゼのPCR反応における正確性を評価することができる。すなわち、上記の割合がより高ければ正確性がより低く、逆に上記の割合がより低ければ正確性がより高いと評価できる。
【実施例】
【0072】
解析の結果を図2に示す。この結果はK4 DNAポリメラーゼはTaqポリメラーゼより正確性が高いことを示している。これはK4 DNAポリメラーゼがTaqポリメラーゼとは異なり3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有しているためであると考えられる。
【実施例】
【0073】
試験例3:野生型K4 DNAポリメラーゼの耐熱性評価
K4 DNAポリメラーゼと、公知の耐熱性DNAポリメラーゼであるKODポリメラーゼ(Toyobo)との間で、耐熱性を比較した。これら二種類のポリメラーゼをバッファー中にてそれぞれ85 ℃にて所定時間(30分間、60分間、120分間)熱処理した。熱処理後に各ポリメラーゼ含有バッファーを遠心分離し、得られた上清を10%SDS-PAGEに供した。図3に示す右側2枚の写真はこの電気泳動写真である。また、この上清を用いてPCR法を行い、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を測定した。PCR反応条件は次の通りである。
反応溶液:50 mM bicine/KOH、100 mM K-acetate (pH 8.2)、10 %グリセロール、0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO4、0.6 μMプライマー1(Fw)(配列番号2)、0.6 μMプライマー2(Rv)(配列番号3)、0.4ng/μL DNA(配列番号4)、20 ng/μL各酵素
サイクル条件:94 ℃1分、(94 ℃15秒;60 ℃15 秒;68 ℃30秒)×30サイクル、4 ℃∞
増幅する遺伝子断片:459 bp
【実施例】
【0074】
図3はPCR反応後のそれぞれの反応溶液を電気泳動した写真(左側の2枚)である。なお、写真中「0、30、60、120」とあるのは、それぞれ熱処理時間(hour)を示している。また写真中「M」とあるのはマーカーを示している。図3に示す通り、PCRにより増幅されるべき459 bpの遺伝子断片がいずれのレーンにおいても確認された。これらの結果は、野生型K4DNAポリメラーゼが85 ℃、120分間の熱処理を経ても活性を保持していることを示している。野生型K4 DNAポリメラーゼが高い耐熱性を有していることが分かった。
【実施例】
【0075】
実施例1:変異型DNAポリメラーゼの取得
以上のようにして得られた野生型K4 DNAポリメラーゼ(以下、単に「野生型DNAポリメラーゼ」という。)の特定アミノ酸部位をアラニンに変異させた変異型K4 DNAポリメラーゼ(以下、単に「変異型DNAポリメラーゼ」という。)を得た。常法に従って(Ochman et al., Genetics 120, p.621, 1988; Triglia et al., Nucl. Acids Res. 16, p.8186, 1988;及びSilver and Keerikatte, J. Cell. Biochem. (Suppl.) 13E, p.306, Abstract No. WH239, 1989等参照)、逆向きPCR法(インバースPCR)により各変異型DNAポリメラーゼを発現ベクター(pET21a)へクローニングした。
【実施例】
【0076】
逆向きPCR法は次の通り行った。まず、K4 DNAポリメラーゼの発現ベクター(pET21a/K4 pol)を鋳型として、変異導入部位に該当する位置に変異を持つ5’リン酸化DNAプライマーと逆方向のプライマーを用いてPCR反応を行った。PCR反応条件は次の通りである。
反応溶液:1×KOD plusバッファー (Toyobo)、0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO4、0.6 μM Fw プライマー、0.6 μM Rv プライマー、0.2 ng/μL DNA、1 Unit KOD plus polymerase (Toyobo)
サイクル条件:94 ℃1分、(94 ℃15秒、60 ℃15 秒、68 ℃7分)×25サイクル、4 ℃∞
【実施例】
【0077】
これによりPCR反応産物の目的遺伝子部位には任意の変異が導入される。PCR反応産物をリガーゼ処理した後、自己閉環(セルフライゲーション)させ、変異型K4 DNAポリメラーゼ発現ベクターを作製した。
リガーゼ処理の条件は次の通りである。
反応溶液:10μM Fw プライマー、10μM Rv プライマー、1×T4 PNK バッファー (Takara)、10 mM ATP、T4 PNK (Takara)
反応時間:37 ℃、30分間
セルフライゲーションの条件は次の通りである。
反応溶液:PCR反応産物(DNA)、1/2量Ligation high (Toyobo)
反応時間:16 ℃、30分間
変異導入アミノ酸部位は次の通りである:
329番目のロイシン(L329)
384番目のグルタミン(Q384)
387番目のリジン(K387)
388番目のフェニルアラニン(F388)
408番目のメチオニン(M408)
422番目のアスパラギン(N422)
438番目のチロシン(Y438)
【実施例】
【0078】
各変異体を組み込んだ発現ベクターをそれぞれ常法に従って発現させ、さらに各変異タンパク質を精製した。精製された各変異タンパク質を10 % SDS-PAGEに供した(図4)。
なお、図4及び以下において、変異型DNAポリメラーゼを例えば「L329A」のように、アミノ酸変異部位(例えば「L329」)の末尾にアラニンを表す「A」を付けて表記する。なお、複数のアミノ酸変異を有する変異体は、例えば「L329A/Q384A」のように表記する。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。
【実施例】
【0079】
実施例2:変異型DNAポリメラーゼのDNA依存性DNAポリメラーゼ活性の測定
以上のようにして得られた各変異型DNAポリメラーゼが、野生型DNAポリメラーゼと同様に、DNA依存性のDNAポリメラーゼ活性を有しているかを検証した。PCR反応条件は次の通りである。
反応溶液:50 mM bicine/KOH、100 mM K-acetate (pH 8.2)、10 %グリセロール、0.2 mM dNTPs、1 mM MgSO4、0.6 μMプライマー1(Fw)(配列番号2)、0.6 μMプライマー2(Rv)(配列番号3)、0.4ng/μL DNA(配列番号4)、20 ng/μL各酵素
サイクル条件:94 ℃1分、(94 ℃15秒;60 ℃15 秒;68 ℃30秒)×30サイクル、4 ℃∞
増幅する遺伝子断片:459 bp
【実施例】
【0080】
図5はPCR反応後のそれぞれの反応溶液を電気泳動した写真である。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。図5に示す通り、PCRにより増幅されるべき459 bpの遺伝子断片がいずれのレーンにおいても確認された。これらの結果は、各変異型DNAポリメラーゼは、野生型DNAポリメラーゼと同様にDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性を有していることを示している。
【実施例】
【0081】
実施例3:変異型DNAポリメラーゼの逆転写活性の測定(1)
各変異型DNAポリメラーゼを用いてRNAを鋳型とするRT-PCR法を行い、それぞれの逆転写酵素活性を測定した。PCR反応条件は次の通りである。
反応溶液:50 mM bicine/KOH(Nacalai tesque)、100 mM K-acetate (pH 8.2)(Wako)、10 %グリセロール(Wako)、0.2 mM dNTPs(Toyobo)、1 mM MgSO4(Toyobo)、0.6 μMプライマー3(Fw)(配列番号5)、0.6 μMプライマー4(Rv)(配列番号6)、0.5 ng/μL (Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来Total RNA)、20 ng/μL各酵素
サイクル条件:94 ℃1分、60 ℃15 秒、68 ℃30分、(94 ℃15秒、60 ℃15 秒、68 ℃30秒) ×30サイクル、4 ℃∞
サーマルサイクラー:PC707(製造元ASTEC)
増幅する遺伝子断片:178bp
【実施例】
【0082】
図6はRT-PCR反応後のそれぞれの反応溶液を電気泳動した写真である。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。図6に示す通り、RT-PCRにより増幅されるべき178bpの遺伝子断片がL329A、Q384A、K387A、F388A、M408A、N422A、及びY438Aのレーンにおいて確認された。一方、野生型DNAポリメラーゼ(WT)のレーンには178bpの遺伝子断片が確認されなかった。これらの結果は、野生型DNAポリメラーゼとは異なり、L329A、Q384A、K387A、F388A、M408A、N422A、及びY438Aが逆転写酵素活性を獲得したことを示している。また、68 ℃の熱処理を30分間経てもDNAポリメラーゼ活性を保持しており耐熱性を維持していることも示している。
【実施例】
【0083】
したがって、これらのポリペプチドは逆転写酵素として使用でき、耐熱性をも有していることからcDNA合成及びRT-PCR等において好適に使用できることが分かった。
【実施例】
【0084】
実施例4:変異型DNAポリメラーゼの逆転写活性の測定(2)
各変異型DNAポリメラーゼを用いて、RNAを鋳型とするRT-PCR法を実施例3とは異なる条件で行い、それぞれの逆転写酵素活性を測定した。PCR反応条件は次の通りである。
反応溶液:50 mM bicine/KOH(Nacalai tesque)、100 mM K-acetate (pH 8.2)(Wako)、10 %グリセロール(Wako)、0.2 mM dNTPs(Toyobo)、1 mM Mn(OAc)2(Roche)、0.6 μMプライマー3(Fw)(配列番号5)、0.6 μMプライマー4(Rv)(配列番号6)、0.5 ng/μL (Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来Total RNA)、20 ng/μL各酵素
サイクル条件:94 ℃1分、60 ℃15 秒、68 ℃30分、(94 ℃15秒、60 ℃15 秒、68 ℃30秒) ×30サイクル、4 ℃∞
サーマルサイクラー:PC707(製造元ASTEC)
増幅する遺伝子断片:178bp
【実施例】
【0085】
図7はRT-PCR反応後のそれぞれの反応溶液を電気泳動した写真である。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。図7に示す通り、RT-PCRにより増幅されるべき178 bpの遺伝子断片がL329A、Q384A、F388A、M408A、及びY438Aのレーンにおいて確認された。一方、野生型DNAポリメラーゼ(WT)、K387A、及びN422Aのレーンには178 bpの遺伝子断片が確認されなかった。これらの結果は、このPCR反応条件においてはL329A、Q384A、F388A、M408A、及びY438Aが野生型DNAポリメラーゼとは異なり逆転写酵素活性を獲得したことを示している。また、68℃の熱処理を30分間経てもDNAポリメラーゼ活性を保持しており耐熱性を維持していることも示している。
【実施例】
【0086】
したがって、これらのポリペプチドは逆転写酵素として使用でき、耐熱性をも有していることからcDNA合成及びRT-PCR等において好適に使用できることが分かった。
【実施例】
【0087】
実施例5:変異型DNAポリメラーゼの取得
実施例1と同様にして、次のアミノ酸部位にアラニンを導入した変異型DNAポリメラーゼを得た。
326番目のトレオニン(T326)
451番目のフェニルアラニン(F451)
329番目のロイシン(L329)及び384番目のグルタミン(Q384)
329番目のロイシン(L329)及び438番目のチロシン(Y438)
384番目のグルタミン(Q384)及び438番目のチロシン(Y438)
【実施例】
【0088】
精製された各変異タンパク質を実施例1で精製によって得られた変異タンパク質とともに実施例1と同様に10 % SDS-PAGEに供した(図8)。
【実施例】
【0089】
実施例6:変異型DNAポリメラーゼのDNA依存性DNAポリメラーゼ活性の測定
実施例1及び実施例5で得られた各変異型DNAポリメラーゼが、野生型DNAポリメラーゼと同様に、DNA依存性のDNAポリメラーゼ活性を有しているかを検証した。実施例2と同様にして検証を行った。
【実施例】
【0090】
図9はPCR反応後のそれぞれの反応溶液を電気泳動した写真である。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。図9に示す通り、PCRにより増幅されるべき459 bpの遺伝子断片がいずれのレーンにおいても確認された。これらの結果は、各変異型DNAポリメラーゼは、野生型DNAポリメラーゼ(「WT」のレーンを参照)と同様にDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性を有していることを示している。
【実施例】
【0091】
実施例7:変異型DNAポリメラーゼの逆転写活性の測定
実施例1及び実施例5で得られた各変異型DNAポリメラーゼを用いてRNAを鋳型とするRT-PCR法を行い、それぞれの逆転写酵素活性を測定した。PCR反応条件は実施例1と同様とした。
【実施例】
【0092】
図10はRT-PCR反応後のそれぞれの反応溶液を電気泳動した写真である。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。図10に示す通り、公知の逆転写酵素Tth DNAポリメラーゼ(Tth)及びKOD DNAポリメラーゼ(KOD)の逆転写反応により増幅される178bpの遺伝子断片がT326A、L329A、Q384A、F388A、M408A、Y438A、L329A/Q384A、L329A/Y438A、L329A/Q384A及びQ384A/Y438Aのレーンにおいて確認された。一方、野生型DNAポリメラーゼ(WT)のレーンには178bpの遺伝子断片が確認されなかった。これらの結果は、野生型DNAポリメラーゼとは異なり、T326A、L329A、Q384A、F388A、M408A、Y438A、L329A/Q384A、L329A/Y438A、及びQ384A/Y438Aが逆転写酵素活性を獲得したことを示している。また、68 ℃の熱処理を30分間経てもDNAポリメラーゼ活性を保持しており耐熱性を維持していることも示している。
【実施例】
【0093】
これに対して、K387A、N422A、及びF451Aのレーンには178bpの遺伝子断片が確認されなかった。しかしながら、先述の通り、実施例1においてK387A及びN422Aの逆転写活性が確認されている。したがって、実施例1及び7の結果は、T326A、L329A、Q384A、F388A、M408A、Y438A、L329A/Q384A、L329A/Y438A、及びQ384A/Y438Aが、K387A及びN422Aと比べて逆転写活性の再現性がより優れていることを示している。
【実施例】
【0094】
実施例8:変異型DNAポリメラーゼの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性の測定
実施例1及び実施例5で得られた本願発明の各変異型DNAポリメラーゼを用いて、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性の測定を行った。
【実施例】
【0095】
測定は次のようにして行った。
5’末端をCy5.5で蛍光標識したオリゴDNA(配列番号7)に対して各種変異型DNAポリメラーゼを作用させ、3’末端から進行する切断の程度を評価することにより、3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性を測定した。
【実施例】
【0096】
次の組成物に蒸留水を加えて50 μLにしたものを反応溶液とした。
5 x RT buf. 10 μL
25 mM Mn(OAc)2 2 μL
10 μM Oligo DNA 1 μL (200 nM)
各酵素 1 μL (1 μg)
上記反応溶液を68℃にて1分間処理し終濃度50 mM EDTA・Na (pH8.0)を添加することにより、反応を停止した。
【実施例】
【0097】
予めプレランしておいた7.0 M 尿素-10 %アクリルアミドゲルに反応産物を供し、20 mAにて30分間電気泳動した(図11)。電気泳動後のゲルにおけるバンドの蛍光強度から次の通り3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性を評価した。用いた反応系における全蛍光強度を1とし、3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性により切断されたホスホジエステル結合の数(切断されたDNA分子は短化するため、電気泳動において早く流れる)から3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性を次式により数値化した。
【実施例】
【0098】
3’-5’ エキソヌクレアーゼ活性=(バンドの蛍光強度×削られた塩基数)/反応時間 (min)
野生型の活性を100 %として算出した値を図12に示す。
【実施例】
【0099】
これらの結果は、全ての各変異型DNAポリメラーゼが3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有していることを示している。これらの結果は、特にT326A、L329A、Q384A、M408A、及びY438Aが比較的高い3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有していることを示している。これらの結果は、特にT326A及びM408Aが格別に高い3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有していることも示している。
【実施例】
【0100】
実施例9:高次構造形成RNAを鋳型とする場合における変異型DNAポリメラーゼの逆転写活性の評価
実施例1及び実施例5で得られた変異型DNAポリメラーゼT326A及びL329Aを用いて、高次構造形成RNAを鋳型とする場合における逆転写活性の評価を行った。評価は次のようにして行った。
【実施例】
【0101】
次の条件でRT-PCR反応を行った。増幅鋳型RNAは配列番号8のKOD由来16S rRNAを用いた。
反応溶液:次の組成物に蒸留水を加えて50 μLにしたものを反応溶液とした。
5 x RT buf. 10 μL
2 mMdNTPs 5 μL
25 mM Mn(OAc)2 2 μL
10 μM 16 Sプライマー 3 μL
KOD total RNA 1 μL (150 ng分)
T326A/L329A (1mg /mL) 1 μL
サイクル条件:94 ℃1 分、50 ℃30 秒、68 ℃30 分、(94 ℃15秒、55 ℃15 秒、68 ℃1分)×30サイクル、4 ℃∞
【実施例】
【0102】
図14はPCR産物を電気泳動した写真である。写真中「M」とあるのはマーカーを示している。「MMLV」とあるのはMMLV由来の逆転写酵素を示している。図14に示す通り、高次構造形成RNAを鋳型とする場合、通常用いられる逆転写酵素(「MMLV」のレーンを参照)では約150 bpの夾雑バンドが増幅されてしまうのに対して、各変異型DNAポリメラーゼT326A及びL329Aではそのような夾雑バンドの非特異的増幅が見られない。これらの結果は、各変異型DNAポリメラーゼT326A及びL329Aが高次構造形成RNAを鋳型とする場合であっても特異性の高い増幅が可能であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】精製された野生型K4 DNAポリメラーゼの分子量を10 % SDS-PAGEを用いて調べた試験例1の結果を示す図面に変わる写真である。
【図2】野生型K4 DNAポリメラーゼの正確性を調べた試験例2の結果を示す図面である。
【図3】野生型K4 DNAポリメラーゼの耐熱性を、PCR反応を用いて調べた試験例3の結果を示す図面に変わる写真である。
【図4】変異型K4 DNAポリメラーゼの分子量を10 % SDS-PAGEを用いて調べた実施例1の結果を示す図面に変わる写真である。
【図5】変異型K4 DNAポリメラーゼのDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を、PCR反応を用いて調べた実施例2の結果を示す図面に変わる写真である。
【図6】変異型K4 DNAポリメラーゼの逆転写活性を、RT-PCR反応を用いて調べた実施例3の結果を示す図面に変わる写真である。
【図7】変異型K4 DNAポリメラーゼの逆転写活性を、RT-PCR反応を用いて調べた実施例4の結果を示す図面に変わる写真である。
【図8】変異型K4 DNAポリメラーゼの分子量を10 % SDS-PAGEを用いて調べた実施例1の結果を示す図面に変わる写真である。
【図9】変異型K4 DNAポリメラーゼのDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を、PCR反応を用いて調べた実施例6の結果を示す図面に変わる写真である。
【図10】変異型K4 DNAポリメラーゼの逆転写活性を、RT-PCR反応を用いて調べた実施例7の結果を示す図面に変わる写真である。
【図11】変異型K4 DNAポリメラーゼの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を、蛍光標識オリゴDNAを用いて調べた実施例8の結果を示す図面に変わる写真である。
【図12】変異型K4 DNAポリメラーゼの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を数値化したグラフである。
【図13】実施例9において高次構造形成RNAを鋳型とする場合における逆転写活性の評価を行う際に使用した鋳型RNAであるKOD 16S rRNAの二次構造を示した図面である。
【図14】高次構造形成RNAを鋳型とする場合における逆転写活性を、RT-PCR反応を用いて調べた実施例9の結果を示す図面に変わる写真である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
9
(In Japanese)【図11】
10
(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図13】
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(In Japanese)【図14】
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