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Specification :(In Japanese)ペプチドを含む医薬または食品

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5622593
Date of registration Oct 3, 2014
Date of issue Nov 12, 2014
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)ペプチドを含む医薬または食品
IPC (International Patent Classification) A61K  38/00        (2006.01)
A61P  25/22        (2006.01)
A61P  25/20        (2006.01)
A61P  25/24        (2006.01)
A61P  25/18        (2006.01)
A23L   1/305       (2006.01)
FI (File Index) A61K 37/02
A61P 25/22
A61P 25/20
A61P 25/24
A61P 25/18
A23L 1/305 ZNA
Number of claims or invention 2
Total pages 25
Application Number P2010-548585
Date of filing Feb 1, 2010
International application number PCT/JP2010/051362
International publication number WO2010/087480
Date of international publication Aug 5, 2010
Application number of the priority 2009021958
Priority date Feb 2, 2009
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jan 29, 2013
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大日向 耕作
【氏名】金川 典正
Representative (In Japanese)【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
Examiner (In Japanese)【審査官】池上 京子
Document or reference (In Japanese)特開2008-088162(JP,A)
特開平06-166697(JP,A)
特開平11-060596(JP,A)
特開2006-096747(JP,A)
特開2006-160649(JP,A)
特表2008-525430(JP,A)
特開2008-297208(JP,A)
J Agric Food Chem,2006年,vol.54,p.10102-10111
Field of search A61K 38/00-38/58
A61K 31/00-31/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
YL、FL、WL、HL、YI、FI、YV、LY、LF、LW、IY、IF、YLY、YLQ、LYLまたはYLYEIARを有効成分とし、抗不安剤、睡眠導入剤、睡眠改善剤、統合失調症治療薬または抗うつ薬である医薬ないし医薬組成物。
【請求項2】
YL、FL、WL、HL、YI、FI、YV、LY、LF、LW、IY、IF、YLY、YLQ、LYLまたはYLYEIARを有効成分とし、不安軽減用、睡眠導入用、睡眠改善用、統合失調症治療用または抗うつ用の経口投与剤(ただし、食品を除く。)。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は神経系に作用する医薬ないし医薬組成物に関する。また、本発明は、ペプチドまたはその類縁体に関し、詳しくは5-HT1A受容体、D1受容体およびGABAA受容体の少なくとも1種を活性化するペプチドまたはその類縁体に関する。さらに本発明は、抗不安または睡眠改善用食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のストレス社会を反映し、不安障害、統合失調症、うつ病などの精神疾患の増加が問題となっている。不安感は、生体において危険を回避するための警告として本来必要なものであるが、過剰な不安感は上記精神疾患の発症や症状の進行に関与するとともに、生活習慣病の発症リスクを上昇させることが知られており、精神的ストレスを緩和する食品や医薬品の開発が期待されている。このような抗不安作用を有する化合物は、安価に製造が可能で、経口投与で有効なものが望ましい。
【0003】
ジペプチドは、合成も比較的簡単であり、食品タンパク質の酵素消化によっても大量に生産することができる。実際に、血圧降下作用を有するACE阻害ペプチドや高甘味度甘味料であるアスパルテームが食品として実用化されている。しかしながら、抗不安作用を示すジペプチドの報告はない。生理活性を示すオリゴペプチドとしては鎮痛作用を有するオピオイドペプチドが知られている。さらに、ダイズの主要タンパク質であるβ-コングリシニンに由来するsoymorphinが抗不安作用を有することを明らかにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-91656
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、副作用がほとんど或いは全くない抗不安、鎮静、睡眠改善などの作用を有する薬剤及び食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するべく、各種のペプチドの抗不安作用を調べていたところ、Tyr-Leu、Phe-Leu、Trp-Leu、His-Leu、Ile-Tyr、Leu-Trp、などの特定の短鎖ペプチドが強力な抗不安、鎮静などの作用、5-HT1A受容体、D1受容体およびGABAA受容体からなる群から選ばれる少なくとも1種の受容体を活性化する作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、以下の医薬、抗不安または睡眠改善用食品、不安軽減または睡眠改善方法を提供するものである。
項1. Tyr(以下、Yと略すこともある)、Phe(以下、Fと略すときもある)、Trp(以下、Wと略すときもある) あるいはHis(以下、Hと略すときもある)と疎水性アミノ酸が隣接しているペプチドまたはその類縁体を有効成分とする医薬ないし医薬組成物。
項2. TyrあるいはPheと疎水性アミノ酸が隣接しているペプチドまたはその類縁体を有効成分とする項1に記載の医薬ないし医薬組成物。
項3. YL、FL、WL、HL、YI、FI、YV、LY、LF、LW、IY、IF、(Y/F/W/H)L(Y/F/W),(Y/F/W/H)LQ、L(Y/F/W)Lまたは(Y/F/W/H)L(Y/F/W)EIAR(但し、LはLeu、IはIle、VはVal、QはGln、EはGlu、AはAla、RはArgを表し、(Y/F/W/H)は、H、W、YまたはFを表し、(Y/F/W)は、W、FまたはYを表す。以下同じ。)を有効成分とする項1に記載の医薬ないし医薬組成物。
項4. YL、FL、WL、HL、YI、FI、FV、LY、LF、LW、IY、IF、YLY、YLQ、LYLまたはYLYEIARを有効成分とする項3に記載の医薬ないし医薬組成物。
項5. 抗不安剤、睡眠導入剤、睡眠改善剤、統合失調症治療薬または抗うつ薬である、項1~4のいずれかに記載の医薬ないし医薬組成物。
項6. Tyr、Phe、TrpあるいはHisと疎水性アミノ酸が隣接しているペプチドまたはその類縁体を添加することを特徴とする、抗不安または睡眠改善用食品。
項7. TyrあるいはPheと疎水性アミノ酸が隣接しているペプチドまたはその類縁体を添加することを特徴とする、項6に記載の抗不安または睡眠改善用食品。
項8. YL、FL、WL、HL、YI、FI、YV、LY、LF、LW、IY、IF、(Y/F/W/H)L(Y/F/W),(Y/F/W/H)LQ、L(Y/F/W)Lまたは(Y/F/W/H)L(Y/F/W)EIARを添加することを特徴とする、項6に記載の抗不安または睡眠改善用食品。
項9. YL、FL、WL、HL、YI、FI、FV、LY、LF、LW、IY、IF、YLY、YLQ、LYLまたはYLYEIARを添加することを特徴とする、項8に記載の抗不安または睡眠改善用食品。
項10. Tyr、Phe、TrpあるいはHisと疎水性アミノ酸が隣接しているペプチドまたはその類縁体を必要とする対象に有効量投与することを特徴とする、不安軽減または睡眠改善方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペプチドまたはその類縁体を有効成分とする抗不安薬、睡眠障害治療薬、統合失調症治療薬、抗うつ薬、或いはこれら疾患の予防薬は、副作用が低く長期の服用に適したものである。
【0009】
また、本発明の薬剤は経口投与で有効である。
【0010】
さらに、天然の短鎖ペプチドは食品として摂取することも可能であり、疾患には至らないが、不安傾向や睡眠に問題を有する個体が食品として摂取することで、疾患を予防することが期待できる。
【0011】
本発明のペプチドまたはその類縁体は、5-HT1A受容体、D1受容体およびGABAA受容体からなる群から選ばれる少なくとも1種の受容体を活性化する作用を有し、これらの受容体活性化作用に基づく各種疾患の予防ないし治療作用を有することが期待される。
【0012】
さらに、オピオイド受容体作動薬の活性化に基づく副作用は問題にならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】高架式十字迷路
【図2A】YLの腹腔内投与による抗不安作用(実施例1)
【図2B】YLの経口投与による抗不安作用(実施例1)
【図3】FLの腹腔内投与による抗不安作用(実施例2)
【図4】YIの腹腔内投与による抗不安作用(実施例3)
【図5】FIの腹腔内投与による抗不安作用(実施例4)
【図6】LYの腹腔内投与による抗不安作用(実施例5)
【図7】LFの腹腔内投与による抗不安作用(実施例6)
【図8】IYの腹腔内投与による抗不安作用(実施例7)
【図9】IFの腹腔内投与による抗不安作用(実施例8)
【図10】YLYの腹腔内投与による抗不安作用(実施例9)
【図11】YLQの腹腔内投与による抗不安作用(実施例10)
【図12】LYLの腹腔内投与による抗不安作用(実施例11)
【図13】YLYEIARの腹腔内投与による抗不安作用(実施例12)
【図14】YおよびY&Lの腹腔内投与による抗不安作用(比較例1、2)
【図15】YLの抗不安作用に及ぼす5HT1A受容体アンタゴニストの影響
【図16】YLの抗不安作用に及ぼすドーパミンD1受容体アンタゴニストの影響
【図17】YLの抗不安作用に及ぼすGABAA受容体アンタゴニストの影響
【図18】YLの抗不安作用に及ぼすベンゾジアゼピンサイトアンタゴニストの影響
【図19】YLの抗不安作用に及ぼすμオピオイド受容体アンタゴニストの影響
【図20】YLの抗不安作用に及ぼすδオピオイド受容体およびs1受容体に対するアンタゴニストの影響
【図21】YLの抗不安作用に及ぼすシクロオキシゲナーゼ阻害剤の影響
【図22】YVの腹腔内投与による抗不安作用(実施例13)
【図23】WLの腹腔内投与による抗不安作用(実施例14)
【図24】LWの腹腔内投与による抗不安作用(実施例15)
【図25】WLおよびLWの経口投与による抗不安作用(実施例14、15)
【図26】HLの腹腔内投与による抗不安作用(実施例16)
【図27】YLとジアゼパムの抗不安作用の比較(比較例3)
【図28】YLの推定抗不安機構
【発明を実施するための形態】
【0014】
薬理作用
本発明において、抗不安作用は、抗不安薬をスクリーニングするための不安関連行動評価法として開発され,広く用いられている高架式十字迷路試験により評価することができる(図1)。具体的には抗不安薬の候補物質を経口投与または腹腔内投与し、30分後に高架式十字迷路にマウスを置いて、オープンアームに侵入した回数とオープンアーム上での滞在時間の変化を指標として、抗不安作用の強さを評価することができる。

【0015】
本発明のペプチドの抗不安作用は5-HT1A受容体アンタゴニストであるWAY100135によって阻害されるが、5-HT1A受容体に親和性を示さないことから、本発明のペプチドの抗不安作用は5-HT1A受容体の活性化を介した作用(5-HT1A受容体アゴニストまたは部分アゴニストと同様の作用を有する)であることが明らかになった。おそらく内因性のセロトニン遊離が促進されているものと考えられる。本発明のペプチドは、5-HT1A受容体の活性化に基づきうつ病、統合失調症などの予防ないし治療作用、記憶改善作用などがあると推定され、本発明の医薬ないし医薬組成物は、5-HT1A受容体作動薬、うつ病の予防ないし治療薬、統合失調症の予防ないし治療薬、記憶改善剤、抗不安剤、睡眠改善剤などとしても有用であり得る。

【0016】
本発明ペプチドの抗不安作用は、ドーパミンD1受容体アンタゴニストであるSCH23390で阻害されたが、ドーパミンD1受容体に親和性を示さないことから、ドーパミンD1受容体の活性化を介する作用(D1受容体のアゴニストまたは部分アゴニストと同様の作用を有する)であることが明らかになった。おそらく内因性ドーパミンの遊離が促進されているものと考えられる。空間認知機能がドーパミンD1受容体を介すること、また、精神分裂病においてD1受容体の機能が低下していることから、認知症や精神分裂病などの疾患の予防ないし治療作用が期待できる。

【0017】
本発明ペプチドの抗不安作用は、GABAA受容体アンタゴニスト(bicuculline)で阻害されたこと、ならびにGABAA受容体に親和性を示さないことから、GABAA受容体を介する作用(GABAA受容体のアゴニストまたは部分アゴニストと同様の作用を有する)であることが明らかになった。おそらく内因性GABAの遊離が促進されているものと考えられる。また、本発明ペプチドの抗不安作用は、ベンゾジアゼピン受容体アンタゴニストflumazenilによって有意に阻害されたことから、抗不安作用は、GABAA受容体のベンゾジアゼピンサイトを部分的に介していることが明らかになった。GABAA受容体は、睡眠誘発作用を有することが知られているので、本発明のペプチドまたはその類縁体は、抗不安作用だけでなく睡眠誘発作用を有すると考えられ、睡眠導入剤としても有用である。特にLFは、運動量の低下が観察され、睡眠導入剤として有用である。

【0018】
これまでダイズの主要タンパク質であるβ-コングリシニン由来のμオピオイドペプチドのsoymorphinがμオピオイド受容体を介して抗不安作用を示すことを本発明者らは見出しているが(特許文献1)、本発明のペプチドの抗不安作用は、μオピオイド受容体アンタゴニストであるnaloxoneによって阻害されなかったことから、本発明のペプチドの抗不安作用は、特許文献1のペプチドと異なりμオピオイド受容体を介していないことが明らかになった。

【0019】
緑葉の主要タンパク質Rubisco由来のδオピオイドrubiscolinは、δオピオイド受容体に直接作用した後、σ1受容体を活性化して抗不安作用を示すことが公知である。本発明のペプチドの抗不安作用は、δオピオイド受容体アンタゴニストであるnaltrindoleによって阻害されなかったことから、本発明のペプチドの抗不安作用は、δオピオイド受容体を介していないことが明らかになった。本発明のペプチドの抗不安作用は、σ1受容体アンタゴニストであるBMY14802によって阻害されなかったことから、本発明のペプチドの抗不安作用は、σ1受容体を介していないことが明らかになった。

【0020】
Rubisco由来のもう一つの抗不安ペプチドMRW(rubimetide)は、プロスタグランジンD2の放出促進および、2種類のPGD2受容体のうちDP1受容体の活性化を介して抗不安作用を示す。本発明のペプチドの抗不安作用は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるindomethacinによって阻害されなかったことから、本発明のペプチドの抗不安作用は、プロスタグランジン類とは関係しないことが明らかになった。したがって、本発明のペプチドは従来の抗不安ペプチドとは全く異なる作用機構を介しているものと考えられる。

【0021】
本発明の好ましい有効成分は経口投与で有効であるのが確認されている。

【0022】
有効成分
本発明の抗不安剤の有効成分は、ペプチドないしその類縁体である。

【0023】
ペプチドとしては、Y(Tyr)、F(Phe)、W (Trp)あるいはH (His)、好ましくは、Y(Tyr)、F(Phe)あるいはW (Trp)、より好ましくはY(Tyr)あるいはW (Trp)を有する2~8個、好ましくは2~7個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~5個、特に好ましくは2~4個、最も好ましくは2~3個のアミノ酸からなるペプチドである。

【0024】
ペプチドを構成するアミノ酸は、L体のアミノ酸、D体のアミノ酸或いはDL体のアミノ酸(D体とL体が混合されたアミノ酸であればラセミ体といずれか一方のエナンチオマーが過剰なアミノ酸のいずれも含まれる)のいずれであってもよい。好ましくはL体のアミノ酸のみ、或いはD体のアミノ酸のみからなるペプチド、特にL体のアミノ酸のみからなるペプチドがよい。

【0025】
また、本発明で使用するペプチドが2以上の不斉炭素を含む場合、各エナンチオマーないしジアステレオマー或いはこれらの任意の比率の混合物のいずれの形態であってもよい。エナンチオマーまたはジアステレオマーの分離は、通常のカラムで行ってもよく、光学活性カラムを使用したり、光学活性基を導入して誘導体の形態で光学分割した後、その光学活性基を除去する方法や、光学活性の酸または塩基との塩を形成して光学分割するなどの公知のいずれの方法を用いてもよい。

【0026】
ペプチドまたはその類縁体の塩としては、酸付加塩と塩基塩が挙げられる。酸付加塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、過塩素酸などの無機塩、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸の塩が挙げられる。塩基塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。

【0027】
溶媒和物としては、水(水和物の場合)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、アセトアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメトキシエタンなどの溶媒和物が挙げられる。

【0028】
有効成分がペプチドの場合
本発明の好ましい実施形態において、有効成分となるペプチドを構成するアミノ酸は、少なくとも2種のアミノ酸を有する;1つはY(Tyr)、F(Phe)、W(Trp)あるいはH(His)であり、もう1つはL(Leu)、I(Ile)、V(Val)及びノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)からなる群から選ばれるいずれかの疎水性アミノ酸である。これらの2種のアミノ酸は隣接したユニットを構成しており、HL、WL,YL、FL、YV、FV,(Y/F/W/H)-ノルロイシン、(Y/F/W/H)-ノルバリンのようにH,W、YまたはFがN末端側にあってもよく、LY、LF,LW、LH、IY、IF、IW、IH、VH、VW、VY、VF,ノルロイシン-(Y/F/W/H)、ノルバリン-(Y/F/W/H)のようにH,W、YまたはFがC末端側にあってもよく、これらの2種のアミノ酸ユニットのN末端側もしくはC末端側にさらに1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個または1個のアミノ酸がペプチド結合により結合してもよい。

【0029】
なお、Y/F/W/HはY、F、W、またはHを示し、HW,HY,HF,WH,YH,FH、WY,WF,YW,FW,HH,WW,YF、FY、YY、FFなどのY、F、W、Hから選ばれる2個以上(好ましくは2個)のアミノ酸が連結されたペプチドであってもよい。Y/Fは、YまたはFを示し、YF、FY、YY、FFなどのYとFから選ばれる2個以上(好ましくは2個)のアミノ酸が連結されたペプチドであってもよい。

【0030】
H,W,Y、Fに代えて3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、4-メトキシフェニルアラニン、4-メルカプトフェニルアラニンなどを使用し得る。

【0031】
本発明のペプチドにおいて、Y、F、WあるいはHはN末端にあるのが好ましい。

【0032】
本発明で好ましく使用できる抗不安作用を有するペプチドを以下に示す。
Y-(疎水性アミノ酸);
F-(疎水性アミノ酸);
W-(疎水性アミノ酸);
H-(疎水性アミノ酸);
(疎水性アミノ酸)-H;
(疎水性アミノ酸)-W;
(疎水性アミノ酸)-Y;
(疎水性アミノ酸)-F;
(Y/F/W/H)-L-(任意のアミノ酸)n
(任意のアミノ酸)n-(Y/F/W/H)-L;
(任意のアミノ酸)n1-(Y/F/W/H)-L-(任意のアミノ酸)n2
(疎水性アミノ酸)-(Y/F/W/H)-(疎水性アミノ酸);
(Y/F/W/H)-(疎水性アミノ酸)-(Y/F/W/H);
{(Y/F/W/H)-(疎水性アミノ酸)}m
{(疎水性アミノ酸)-(Y/F/W/H)}p
{(Y/F/W/H)-(疎水性アミノ酸)}q-Y;
{(疎水性アミノ酸)-(Y/F/W/H)}r-(疎水性アミノ酸);
(式中、疎水性アミノ酸は、同一または異なってL(Leu)、I(Ile)、V(Val)及びノルロイシン(Nle)及びノルバリン(Nva)からなる群から選択され、好ましくはL(Leu)、I(Ile)またはV(Val)、より好ましくはL(Leu)またはI(Ile)、特にL(Leu)である。

【0033】
任意のアミノ酸は、Leu,Ile,Val,Ala,Gly,Met,Ser,Cys,His,Asn,Asp,Glu,Gln,Thr,Lys,Trp,Phe,Arg,Tyr,Proからなる20種の天然アミノ酸と、βアラニン、サルコシン、オルニチン、ノルロイシン(Nle)及びノルバリン(Nva)からなる群から選ばれるいずれかのアミノ酸である。
n=1~6の整数、n1=1~6の整数、n2=1~6の整数、0≦n1+n2≦6、m=2~4の整数、p=2~4の整数である。q=1~3の整数、r=1~3の整数である。)

【0034】
より好ましいペプチドは、以下である。
Y-(疎水性アミノ酸);
F-(疎水性アミノ酸);
W-(疎水性アミノ酸);
H-(疎水性アミノ酸);
(疎水性アミノ酸)-Y;
(疎水性アミノ酸)-F;
(疎水性アミノ酸)-W;
(Y/F/W/H)-L-(任意のアミノ酸)n
(Y/F/W/H)-(疎水性アミノ酸)-(Y/F/W/H);
{(Y/F/W/H)-(疎水性アミノ酸)}m
(式中、疎水性アミノ酸、任意のアミノ酸、(Y/F/W/H)は、前記に定義されるとおりである。)

【0035】
有効成分がペプチド類縁体の場合
ペプチド類縁体には、有効成分の上記ペプチドの(1)N末端の修飾、(2)C末端の修飾、(3)チロシン残基、フェニルアラニン残基の類縁体が含まれる。
(1)ペプチドのN末端のアミノ基は、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、ジn-ブチルアミノ、などの直鎖または分岐を有する炭素数1~4のアルキル基でモノ置換またはジ置換されたアミノ基でもよい。或いは、N末端のアミノ基または側鎖のアミノ基(Lysを含む場合)は、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基でモノ置換またはジ置換されていてもよく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基などの炭素数1~6の直鎖または分岐を有するアルカノイル基、ベンゾイル基などのアシル基で修飾されていてもよい。
(2)ペプチドのC末端のカルボキシル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1~6のアルキル基とのエステル、ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基とのエステル、アミノ基、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミンなどの直鎖または分岐を有する炭素数1~4のアルキル基でモノ置換またはジ置換されたアミン、またはアンモニアとのアミドを形成してもよい。
(3)チロシン残基の類縁体(I)、フェニルアラニン残基の類縁体(II)、ヒスチジン残基の類縁体(III)、トリプトファン残基の類縁体(IV)、としては、以下の式で示される残基が挙げられる:

【0036】
【化1】
JP0005622593B2_000002t.gif

【0037】
(式中、R1は炭素数1~6の直鎖または分岐を有するアルキル基、アラルキル基または水素原子を示す。Raは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、メトキシメチル、2-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロピラニルなどの酸性で切断可能な保護基、メチル、トリフルオロメチルのいずれかである。Rは同一または異なって、炭素数1~6の直鎖または分岐を有するアルキル基(例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アラルキル基(例えばベンジル又はヘキシル)、炭素数1~6の直鎖または分岐を有するアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ)、SH,炭素数1~6の直鎖または分岐を有するアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、t-ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ)、CN,NO2,ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、アミノ(NH2)、モノまたはジ(C1~C6低級アルキル)アミノ(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ)、アセトアミド、アセチル、トリフルオロメチル、水酸基、或いは、隣接する2つのRもしくは隣接するRとORaが一緒になって、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを示す。

【0038】
本発明の薬剤(抗不安剤、睡眠改善剤、統合失調症治療薬または抗うつ薬)または食品の有効成分のペプチドとしては、好ましくはYL、FL、WL、HL、YI、FI、YV、LY、LF、LW、IY、IF、(Y/F/W/H)L(Y/F/W),(Y/F/W/H)LQ、L(Y/F/W)Lまたは(Y/F/W/H)L(Y/F/W)EIAR、より好ましくはYL、FL、WL、HL、YI、FI、FV、LY、LF、LW、IY、IF、YLY、YLQ、LYLまたはYLYEIARなどが挙げられる。

【0039】
本発明のペプチドまたはその類縁体は、ACE阻害作用を有するものがあるが、例えばYLはIYよりもACE阻害作用が弱いにもかかわらず、抗不安作用は強いことから、ACE阻害作用と抗不安作用は無関係と考えられる。

【0040】
本発明のペプチドは、天然のタンパク質ないしポリペプチドの加水分解により得ることもでき、化学合成により得ることもできる。加水分解されるタンパク質ないしポリペプチドとしては、牛乳または人乳由来のカゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン、オボアルブミン、ウシおよびブタミオシン、血清アルブミン、ダイズβ-コングリシニン、グリシニン、コムギグルテニン、コメグルテリン、緑葉Rubisco,ナタネnapin、動物および植物に広く存在することが知られているアクチン(例えば、ヒト、ダイズ、コムギなど)などが挙げられ、ほとんどの食品タンパク質中に本発明のジペプチド配列が含まれる。これらの食品素材由来のペプチドは、そのまま或いは必要に応じて濃縮、脱塩、精製等の処理を行うことにより、そのまま食品とすることができる。

【0041】
タンパク質の加水分解には、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ぺプシン、カルボキシペプチダーゼ、サーモリシン、サチライシンなどの動物、植物ないし微生物由来の加水分解酵素の使用が例示され、これらの酵素を用い、pHを酵素に応じて適切な値に調製し、30~40℃程度の温度下に30分から48時間程度反応させることにより、本発明の有効成分のペプチドを得ることができる。得られた反応液から本発明のペプチドを精製して用いてもよく、食品素材を酵素分解した場合には、そのまま或いは他の食品素材に添加して食品ないし食品組成物とすることもできる。加水分解は、強酸(例えば塩酸、硝酸、硫酸など)または強塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩)などの存在下に水中で、1~100℃の温度で、30分から48時間反応させることにより、本発明の有効成分のペプチドを得ることができる。加水分解の反応生成物は、pHを調製した後、そのまま使用してもよく、精製により有効成分のペプチドを分離して使用してもよい。

【0042】
また本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得することもできる。即ち、ペプチド合成に通常用いられる方法である液相法または固相法で、反応性カルボキシル基を有する原料と、反応性アミノ基を有する原料とをHBTU等の活性エステルを用いた方法や、カルボジイミドなどのカップリング剤を用いた方法等のペプチド合成において通常の方法により縮合させることができる。生成する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去することによっても製造し得る。

【0043】
この反応工程において反応に関与すべきでない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(CBZ)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc),9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられるが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、p-アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下にあるいはN-保護アミノ酸活性エステルまたはペプチド活性エステルを用いて実施する。

【0044】
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成はエドマン分解法でC-末端からアミノ酸配列を読み取るプロテインシークエンサー、GC-MS等で分析される。

【0045】
本発明のペプチドは、酵素法によっても合成することが可能である(WO2003/010307参照)。

【0046】
本発明のペプチドの投与経路は特に限定されるものではなく、経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれを採用することも可能であり、経口的あるいは非経口的に投与することができる。本ペプチドの投与量は化合物の種類、投与方法、投与される者の状態や年齢等により異なるが、成人1日あたり通常は0.01~500mg/kg、好ましくは0.05~100mg/kg、より好ましくは0.1~30mg/kgである。本発明のペプチド(有効成分)は通常、製剤用担体と混合して調製した医薬組成物の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない物質が用いられる。

【0047】
例えば、YL、FL、YLYEIARのように有効量の範囲が広いペプチドの場合の成人1日当たりの経口投与での投与量は、5~500mg程度であり、注射などの非経口投与の場合には、それよりやや少ない投与量(例えば1~100mg程度)とすることができる。

【0048】
また、WL、HLのように、有効な投与量の幅が比較的狭い場合には、成人1日当たりの経口投与での投与量は、5~100mg程度であって、この範囲内で最適な投与量を常法に従い決定することができる。

【0049】
上記以外のペプチドの成人1日当たりの投与量は、上記のペプチドの場合を参考にして容易に決定できる。

【0050】
本発明のペプチドはそれ自体食品または医薬として利用することができ、或いは単独で、もしくは適当な無毒性の経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠など)、カプセル、トローチ、粉末、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、ペースト、クリーム、注射剤(アミノ酸輸液、電解質輸液等の輸液に配合する場合を含む)、或いは腸溶性の錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの徐放性製剤などの食品用もしくは医薬用の製剤にすることが可能である。食品中のペプチドの含有量は適宜選択が可能であるが一般に、0.01~100重量%の範囲である。

【0051】
具体的には、医薬または食品に加えることができる製剤用担体ないし経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤のような物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。

【0052】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。

【0053】
これらの製剤は、本発明のペプチドを0.01%~100重量%、好ましくは1~90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。

【0054】
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸-メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。

【0055】
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。

【0056】
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ぶどう糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。

【0057】
直腸投与剤または膣投与剤を製造するには、有効成分をカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの座剤用基材と共に加湿して溶解し型に流し込んで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解した後、ゼラチン膜で被覆すればよい。

【0058】
皮膚用外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤と練合した後ポリアルキルなどの不織布に展延してテープ剤とする。

【0059】
本発明に係るペプチドを添加・配合して調製しうる食品の具体的形態としては、例えば、飲料類(コーヒー、ココア、ジュース、清涼飲料、ミネラル飲料、茶飲料、緑茶、紅茶、烏龍茶、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料)、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、クラッカー、ビスケット、氷菓(アイスクリーム、アイスキャンディ、シャーベット、かき氷等)、レトルト食品、ゼリー状食品(ゼリー、寒天、ゼリー状飲料等)、等を挙げることができる。本発明のペプチドを添加・配合して調製しうる食品としては、いわゆる健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品・病者用組合わせ食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)又は高齢者用食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)としてもよく、素錠、フィルムコート錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセルとソフトカプセルとのいずれも含む。)、チュアブルタイプ、シロップタイプ、ドリンクタイプ等とすることもできる。本発明に係るペプチドを添加・配合した食品の調製は、それ自体公知の方法で行うことができる。
【実施例】
【0060】
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。しかし下記の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0061】
(高架式十字迷路実験)
高架式十字迷路(Eleveted plus maze:EPM)は、2つのオープンアーム(open arm; 25cm×5cm)と2つのクローズドアーム(closed arm; 25cm×5cm×15 cm)からなり、それらのアームは床から50cm高くなった中央プラットフォームと結合している(図1参照)。高い位置にあるにも関わらず、クローズドアームの周りには囲いがあるために、マウスは安全に歩行する事ができる。一方、オープンアームの周囲は開放されていて囲いがないために、オープンアームを歩行するマウスは高い位置から転落するという不安感を感じる。そのために、マウスがオープンアームにいる時間が長いほど、あるいは進入回数が多いほど、マウスの不安感は緩和されており、抗不安活性の指標となる。
【実施例】
【0062】
オープンアームの一つに面している中央プラットフォーム上にマウスを置いて試験を開始した。5分の試験時間の間、オープンアーム内で過ごした累積時間(time in open arms)、オープンアームを訪れた回数(visit to open arms)、いずれかのアームを訪れた回数の総数(total visits)を記録した。オープンアーム内で過ごした時間のパーセンテージ、オープンアームを訪れた回数のパーセンテージを不安の指標として計算した。
【実施例】
【0063】
(オープンフィールド試験)
本実験に用いたオープンフィールドは、直径60 cm、高さ50 cm円筒状の灰色の装置で、黒い線で25区画に分割されている。マウスは新規環境におかれた場合に探索行動を行なうが、通常であれば装置の中央への探索は少ない。しかし抗不安薬を処置すると、中央の円への滞在時間および進入回数が増加する。ペプチドを投与して30分後にマウスを装置の中央に置き、5分間行動を観測した。
【実施例】
【0064】
(統計解析)
高架式十字迷路試験で得たデータを、平均とSEMで表した。データを1方向または2方向ANOVAにより解析し、引き続いて多重比較のためのFisher試験を行った。
【実施例】
【0065】
実施例1~16及び比較例1~3(抗不安作用)
(実験及び結果)
生理食塩水溶水に溶解したYL(実施例1、比較例3)、FL(実施例2)、YI(実施例3)、FI(実施例4)、LY(実施例5)、LF(実施例6)、IY(実施例7)、IF(実施例8)、YLY(実施例9)、YLQ(実施例10)、LYL(実施例11)、YLYEIAR(実施例12)、 YV(実施例13)、WL(実施例14)、LW(実施例15)、HL(実施例16)、Y(比較例1)、YおよびL(比較例2)、をマウスを高架式十字迷路上に置く前に各々図面に示される量で腹腔内投与(i.p.)あるいは経口投与(p.o.)した(n = 3~14)。そして各ペプチドないしアミノ酸の投与群と非投与群(0 mg/kg)において、オープンアーム内で過ごした時間のパーセンテージとオープンアームを訪れた回数、アームを訪れた総数(total visits)を比較した。また、YLについては、オープンフィールド試験により抗不安作用を調べた。その結果を図2~図14、図22~図27および表3に示す。図2~図14、図22~図27および表3に示されるように、本発明のペプチドは、有意または有意傾向をもってアームを訪れる回数とアームで過ごす時間の割合を延長した。また、YLについては、高架式十字迷路実験でジアゼパムと同等以上の抗不安作用を示し、オープンフィールド試験においても有効性を示した。一方、Y、Lの2つのアミノ酸は、抗不安作用はなかった。
【実施例】
【0066】
また、得られた結果のまとめを表1に示す。
【実施例】
【0067】
【表1】
JP0005622593B2_000003t.gif
【実施例】
【0068】
試験例1
本発明の抗不安ペプチドであるYLと各種受容体の以下のアンタゴニストを併用投与し、実施例1と同様に試験して、アンタゴニストによるYLの抗不安作用への影響、即ち、本発明のペプチドが作用する受容体を特定するための試験を行った。結果を図15~図21と表2に示す。
【実施例】
【0069】
【表2】
JP0005622593B2_000004t.gif
【実施例】
【0070】
【表3】
JP0005622593B2_000005t.gif
【実施例】
【0071】
表2に示される結果と、セロトニン、ドーパミン、GABAの上下関係を示す他の実験結果(データは示さない)から、図28に示すような作用経路が考えられる。
【実施例】
【0072】
また、YLの抗不安作用は、高架式十字迷路実験とオープンフィールド試験の両方で確認されており、本発明のペプチドの有用性が実証された。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の抗不安薬は、従来の抗不安薬とは異なる作用メカニズムを持っている可能性があり、新しいタイプの薬剤を提供できる。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2A】
1
(In Japanese)【図2B】
2
(In Japanese)【図3】
3
(In Japanese)【図4】
4
(In Japanese)【図5】
5
(In Japanese)【図6】
6
(In Japanese)【図7】
7
(In Japanese)【図8】
8
(In Japanese)【図9】
9
(In Japanese)【図10】
10
(In Japanese)【図11】
11
(In Japanese)【図12】
12
(In Japanese)【図13】
13
(In Japanese)【図14】
14
(In Japanese)【図15】
15
(In Japanese)【図16】
16
(In Japanese)【図17】
17
(In Japanese)【図18】
18
(In Japanese)【図19】
19
(In Japanese)【図20】
20
(In Japanese)【図21】
21
(In Japanese)【図22】
22
(In Japanese)【図23】
23
(In Japanese)【図24】
24
(In Japanese)【図25】
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(In Japanese)【図26】
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(In Japanese)【図27】
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(In Japanese)【図28】
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