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Specification :(In Japanese)ポリカーボネートの製造方法及びポリカーボネート

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4997461
Publication number P2008-285545A
Date of registration May 25, 2012
Date of issue Aug 8, 2012
Date of publication of application Nov 27, 2008
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)ポリカーボネートの製造方法及びポリカーボネート
IPC (International Patent Classification) C08G  64/34        (2006.01)
C08G  64/02        (2006.01)
C08L 101/16        (2006.01)
FI (File Index) C08G 64/34
C08G 64/02
C08L 101/16
Number of claims or invention 16
Total pages 24
Application Number P2007-130299
Date of filing May 16, 2007
Date of request for substantive examination May 7, 2010
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】杉本 裕
Representative (In Japanese)【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
Examiner (In Japanese)【審査官】芦原 ゆりか
Document or reference (In Japanese)特開昭55-12156(JP,A)
特開2006-241247(JP,A)
特公昭47-29600(JP,B1)
特開昭48-68695(JP,A)
特開昭62-172018(JP,A)
Field of search C08G 64/00-42
C08L 101/16

Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、二酸化炭素と、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとをランダム共重合反応させる、ポリカーボネートの製造方法。
【化1】
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〔一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。一般式(2)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基を表し、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を表し、nは、0~9の整数を表す。〕
【請求項2】
前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体が、下記一般式(3)で表される金属錯体であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化2】
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〔一般式(3)中、におけるR3は、各々独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、nは、0~5のいずれかの整数を表す。〕
【請求項3】
ルイス塩基を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項4】
前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対し、前記ルイス塩基を0.1~5モル用いることを特徴とする請求項3に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項5】
前記ルイス塩基が、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項6】
前記ルイス塩基が、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物であることを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項7】
前記ピリジン系化合物が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化3】
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〔一般式(4)中、R4は、メチル基、ホルミル基、置換アミノ基を表し、mは、0~5の整数を表す。〕
【請求項8】
前記ピリジン系化合物が、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンであることを特徴とする請求項7に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項9】
前記イミダゾール系化合物が、下記一般式(5)で表されることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化4】
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〔一般式(5)中、R5は、置換又は無置換のアルキル基を表す。〕
【請求項10】
前記イミダゾール系化合物が、N-メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項9に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項11】
二酸化炭素分圧が0.1~25MPaであることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項12】
0℃以上100℃以下の温度範囲で共重合反応を行なうことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項13】
二酸化炭素と、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとを用いて合成され、交互共重合比率が95%以上であることを特徴とするポリカーボネート。
【化5】
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〔一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。一般式(2)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基を表し、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を表し、nは、0~9の整数を表す。〕
【請求項14】
前記交互共重合比率が、99%以上であることを特徴とする請求項13に記載のポリカーボネート。
【請求項15】
ランダム共重合体であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のポリカーボネート。
【請求項16】
数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率Mw/Mnが、1.01以上1.20以下であることを特徴とする請求項13~請求項15のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、2種のアルキレンオキシドと二酸化炭素とのランダム共重合反応によるポリカーボネートの製造方法、及びその製造方法により得られるポリカーボネートに関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合反応によりポリカーボネートを得る方法は、二酸化炭素を合成樹脂の原料に利用する点で意義深い技術である。
【0003】
アルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合方法では、触媒を用いる方法が多く提案されている。触媒としては、例えば、無機亜鉛化合物(例えば、非特許文献1参照。)、アルミニウム系触媒、コバルト錯体などが開示されている。
【0004】
また、この共重合反応により得られる脂肪族ポリカーボネートは、透明性を有し、かつ加熱により完全に分解するという特徴を有している。そのため、用途としては、脂肪族ポリカーボネートを、一般成形物、フィルム、ファイバー等に適用するほかに、光ファイバー、光ディスク、セラミックバインダー、ロストフォームキャスティングなどの材料に利用することも可能である。
【0005】
さらに、脂肪族ポリカーボネートの一部については、生分解性という特徴も有しているので、徐放性の薬剤カプセル等の医用材料、生分解性樹脂への添加剤、あるいは生分解性樹脂の主成分としても応用可能である。このような生分解性を有する脂肪族ポリカーボネートとしては、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを原料とした脂肪族ポリカーボネートを挙げることができる。
【0006】
2種類のアルキレンオキシドと二酸化炭素を用いて共重合させたポリカーボネートについては、例えば、プロピレンオキシドとシクロヘキセンオキシドの組み合わせ(例えば、非特許文献2~4および特許文献1参照。)や、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの組み合わせ(例えば、非特許文献5参照。)、スチレンオキシドとシクロヘキセンオキシドの組み合わせ(例えば、非特許文献6参照。)が開示されている。また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキシルエチレンオキシド、フェニルエチレンオキシドのうち2種のアルキレンオキシドと二酸化炭素からなる共重合体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)

【特許文献1】中国特許出願公開第1887934号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第1408440号明細書
【非特許文献1】ACS Symp. Ser. 921 (Feed stocks for the Future), 2006, 116-129
【非特許文献2】Lei Shi et al., Macromolecules, 2006, 39, 5679-5685
【非特許文献3】Koji Nakano et al., Angrew. Chem. Int. Ed, 2006, 45, 7274-7277
【非特許文献4】Sudhir D. Thorat, J. Appl. Polym. Sci. 2003, 89, 1663-1176
【非特許文献5】Zhilog Quan et al., Macromol. Symp. 2003, 195, 281-286
【非特許文献6】Donald j. Darensbourg and Marc S. Zimmer, Macromolecules 1999, 32(7), 2137-2140
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、生分解性を有する脂肪族ポリカーボネートのガラス転移温度は低く、実用化するにあたって耐熱性を向上させる必要があった。例えば、ポリプロピレンポリカーボネートのガラス転移温度は35℃程度であり、ポリブチレンカーボネートの場合には、12℃程度である。
【0008】
一方、上記非特許文献1には、シクロヘキセンオキシドと二酸化炭素とから得られるポリシクロヘキセンカーボネートが記載されている。ポリシクロヘキセンカーボネートのガラス転移温度は、122℃程度であり、熱的に優れる材料である。
しかしながら、生分解性を有するプロピレンオキシドと耐熱性に優れるシクロヘキセンオキシドの2種類のアルキレンオキシドを用いて二酸化炭素で共重合したポリカーボネートは、シクロヘキセンオキシドの含有率が高くなるほど柔軟性に乏しくなり、脆性を呈するようになることが明らかとなった。
【0009】
そこで、本発明の第一の課題は、耐熱性と柔軟性を両立する生分解性のポリカーボネートを提供することである。
【0010】
また、副生物として、アルキレンオキシドのみが開環重合したポリエーテルポリマーが生成したり、アルキレンオキシドと二酸化炭素が1つずつのみ結合しただけの低分子化合物(いわゆる環状カーボネート)が生成したり、或いは共重合体中にブロックでアルキレンオキシドのみが開環重合したポリエーテル部分が存在したりすると、ガラス転移温度を著しく低下させてしまう。そこで、二酸化炭素がアルキレンオキシドと交互に反応することが極めて重要である。
【0011】
したがって、本発明の第二の課題は、交互共重合比率の高いポリカーボネートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
耐熱性を向上させつつ柔軟性を損なわないポリカーボネートを検討したところ、側鎖に芳香族環を有するエチレンオキシドを併用した場合に、耐熱性と柔軟性を両立する生分解性のポリカーボネートが得られることが判明した。
【0013】
なお、一般的には、側鎖に水素原子又は短い炭素鎖を有するエチレンオキシドと、側鎖に芳香族環を有するエチレンオキシドとでは、反応性が大きく異なる。反応性の異なる2種のアルキレンオキシドを共重合させると、ランダムに反応せずにブロック共重合体になったり、一方のアルキレンオキシドのみが開環重合したポリマーが生成したりする可能性が高い。
【0014】
しかしながら、本発明に係るポリフィリン系金属錯体を用いた場合であって、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドと、二酸化炭素と、を反応させた場合には、ランダムに共重合反応が進行することが明らかとなった。
【0015】
すなわち、下記本発明により課題を解決するに至った。
【0016】
<1> ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、二酸化炭素と、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとをランダム共重合反応させる、ポリカーボネートの製造方法である。
【0017】
【化1】
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【0018】
一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。一般式(2)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基を表し、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を表し、nは、0~9の整数を表す。
【0019】
<2> 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体が、下記一般式(3)で表される金属錯体であることを特徴とする前記<1>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0020】
【化2】
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【0021】
一般式(3)中、におけるR3は、各々独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、nは、0~5のいずれかの整数を表す。
【0022】
<3> ルイス塩基を用いることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0023】
<4> 前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対し、前記ルイス塩基を0.1~5モル用いることを特徴とする前記<3>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0024】
<5> 前記ルイス塩基が、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることを特徴とする前記<3>又は<4>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0025】
<6> 前記ルイス塩基が、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物であることを特徴とする前記<5>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0026】
<7> 前記ピリジン系化合物が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする前記<6>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0027】
【化3】
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【0028】
一般式(4)中、R4は、メチル基、ホルミル基、置換アミノ基を表し、mは、0~5の整数を表す。
【0029】
<8> 前記ピリジン系化合物が、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンであることを特徴とする前記<7>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0030】
<9> 前記イミダゾール系化合物が、下記一般式(5)で表されることを特徴とする前記<6>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0031】
【化4】
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【0032】
一般式(5)中、R5は、置換又は無置換のアルキル基を表す。
【0033】
<10> 前記イミダゾール系化合物が、N-メチルイミダゾールであることを特徴とする前記<9>に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0034】
<11> 二酸化炭素分圧が0.1~25MPaであることを特徴とする前記<1>~<10>のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0035】
<12> 0℃以上100℃以下の範囲に温度を調整して共重合反応を行なうことを特徴とする前記<1>~<11>のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法である。
【0036】
<13> 二酸化炭素と、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとを用いて合成され、交互共重合比率が95%以上であることを特徴とするポリカーボネートである。
【0037】
【化5】
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【0038】
一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。一般式(2)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基を表し、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を表し、nは、0~9の整数を表す。
【0039】
<14> 前記交互共重合比率が、99%以上であることを特徴とする前記<13>に記載のポリカーボネートである。
【0040】
<15> ランダム共重合体であることを特徴とする前記<13>又は<14>に記載のポリカーボネートである。
【0041】
<16> 数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比率Mw/Mnが、1.01以上1.20以下であることを特徴とする前記<13>~<15>のいずれか1項に記載のポリカーボネートである。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、耐熱性と柔軟性を両立する生分解性のポリカーボネートを提供することができる。
また、本発明によれば、交互共重合比率の高いポリカーボネートの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明のランダムポリカーボネートの製造方法は、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、二酸化炭素と、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとを共重合させる。
【0044】
【化6】
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【0045】
一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。一般式(2)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基を表し、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を表し、nは、0~9の整数を表す。
【0046】
以下では、まず始めに本発明の製造方法に用いことのできる材料を説明し、次に、本発明の製造方法を説明し、その後、本発明の製造方法によって得られる共重合体について説明する。
【0047】
<金属錯体>
本発明では、触媒として、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体を用いる。特に好ましくは、下記一般式(3)で表されるコバルト錯体である。
【0048】
【化7】
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【0049】
一般式(3)中、におけるR3は、各々独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、nは、0~5のいずれかの整数を表す。
【0050】
一般式(3)で表される金属錯体としては、共重合反応速度が速く、交互共重合比率が高く、更には狭い分子量分布を有する共重合体が得られる観点からは、下記構造式(1)で表される金属錯体であることが好ましい。
【0051】
【化8】
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【0052】
一方で、触媒としての活性の高さや、超臨界二酸化炭素に対する溶解性の観点からは、一般式(3)におけるnが2以上の多置換ポルフィリン系化合物の金属錯体であることが好適である。なお、nが2以上の場合には、複数のRは、それぞれ異なる置換基であっても、同じ置換基であってもよいが、製造のし易さからは、同じ置換基であることが好ましい。
nが2のときは、Rの置換位置はメタ位であることが好ましく、nが3のときは、Rの置換位置はオルト位及びパラ位であることが好ましく、nが5の全置換であってもよい。したがって、好適な多置換ポルフィリン系化合物の金属錯体は、一般式(6)~(8)で表される金属錯体である。
【0053】
【化9】
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【0054】
一般式(6)~(8)におけるR3は、前記一般式(3)におけるR3と同義である。更に、一般式(6)のR3は、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であることがより好ましく、一般式(7)のR3は、tert-ブチル基であることがより好ましく、一般式(8)のR3は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であることがより好ましい。
【0055】
多置換のフェニル基を有するポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の具体例を下記に示すが、これらの金属錯体に限定されない。
【0056】
【化10】
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【0057】
本発明にかかる金属錯体は、1種類のみを用いて、あるいは2種類以上を併用してもよいが、単一種を用いることが、反応に好適な溶媒、触媒濃度、ルイス塩基、温度、圧力を調節しやすい観点から好ましい。
【0058】
<アルキレンオキシド>
本発明で使用するアルキレンオキシドは、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、一般式(2)で表されるアルキレンオキシドである。
【化11】
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【0059】
一般式(1)中、R1は、生分解性の観点から水素原子又はメチル基を表す。
【0060】
一般式(2)中、R2は、アルキル基、アルコキシ基、エステル基(アルコキシカルボニル基)、アルキルシリル基を表し、好ましくは水素原子、メチル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0061】
一般式(2)中、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を表し、原料コストを考慮すると、ベンゼン環であることが好ましい。
【0062】
一般式(2)中、nは、0~9の整数を表す。Arがベンゼン環の場合には、nは0~5の整数であることが好ましく、0~3の整数であることがより好ましい。Arがナフタレン環の場合には、nは0~7の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましい。Arがアントラセン環の場合には、nは0~9の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましい。
【0063】
一般式(2)で表される化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
【0064】
【化12】
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【0065】
<ルイス塩基>
本発明では、ルイス塩基を、触媒としての上記金属錯体と共存させることができる。ルイス塩基は、金属錯体の金属部分に配位して、より触媒としての機能を高めるものと推測される。
ルイス塩基としては、金属錯体の金属部分に配位しやすいよう、電子共有性の高い構造を有し、且つ不対電子を有する化合物であることが好ましい。
【0066】
ルイス塩基としては、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体として、前記構造式(1)で表される金属錯体を用いたときには、ピリジン系化合物又はイミダゾール系化合物を用いることがこのましい。
ピリジン系化合物としては特に制限されないが、下記一般式(4)で表される化合物である。
【0067】
【化13】
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【0068】
一般式(4)中、R4は、置換又は無置換のメチル基、ホルミル基、置換アミノ基を表し、より好ましくは、ジメチルアミノ基、メチル基、ホルミル基であり、更に好ましくは、ジメチルアミノ基である。
【0069】
R4の置換位置は、好ましくは4-位、3-位であり、より好ましくは、4-位である。
mは、0~5の整数を表し、好ましくは、0~1の整数である。
【0070】
本発明で使用するピリジン系化合物のうち、好ましくは、ピリジン、4-メチルピリジン、4-ホルミルピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンであり、より好ましくは、ピリジン、4-メチルピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンであり、特に好ましくは、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)である。
【0071】
ルイス塩基としてのイミダゾール系化合物は特に制限されないが、下記一般式(5)で表される化合物である。
【0072】
【化14】
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【0073】
一般式(5)中、R5は、置換又は無置換のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基を表す。より好ましくは、メチル基である。すなわち、一般式(5)中、特に好ましい化合物は、N-メチルイミダゾールである。
【0074】
<ブレンシュテッド酸化合物>
本発明の製造方法では、ブレンシュテッド酸化合物を添加して、末端を水酸基に変換し、反応を停止させることができる。このようなブレンシュテッド酸化合物としては、メタノールや塩酸を含むメタノール等を挙げることができる。
【0075】
<製造方法>
本発明における製造方法では、上述したポルフィリン系金属錯体の存在下で、前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるアルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合することにより、ポリカーボネートである共重合体を製造する。
【0076】
ここで、収率や交互共重合体の生成率の観点からは、前記一般式(3)で表されるコバルト錯体であることが好適であり、特に、構造式(1)で表されるコバルト錯体が好適である。
【0077】
本発明にかかる金属錯体は、アルキレンオキシドの総量に対し、0.1モル%~1モル%で存在させれば充分である。より好ましくは、0.2モル%~0.5モル%で存在させる場合である。
【0078】
反応時の圧力は、2~26MPaが好ましく、0.1~2MPaでも反応は進行する。
また、二酸化炭素分圧は、0.1~25MPaであることが好ましく、2~25MPaがより好ましく、0.1~2MPaでも反応は進行する。二酸化炭素分圧は、二酸化炭素のみを充填して調整してもよいし、窒素との共存下で二酸化炭素分圧が上記範囲内となるように調整してもよい。好ましくは、窒素との共存下により二酸化炭素圧を調整する場合である。二酸化炭素と窒素とを共存させる場合、窒素を1気圧とし、残りが二酸化炭素圧となるように調整することがより好ましい。
【0079】
なお、7.38MPa以上の圧力下では二酸化炭素は超臨界状態となっており、本発明ではこのような超臨界の状態でも反応させることができる。超臨界二酸化炭素の場合には、後述の反応溶媒を用いなくとも共重合反応できるので、反応溶媒の除去という後処理の工程を省くことができ、また不要な溶媒が共重合体中に残存しない。
【0080】
共重合反応時の温度は、100℃以下となるように制御することが好ましく、より好ましくは0℃以上100℃以下であり、更に好ましくは0℃以上60℃以下であり、特に好ましくは20℃以上40℃以下である。
【0081】
アルキレンオキシドと二酸化炭素との共重合反応は、溶媒中で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。
溶媒を用いる場合には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン等のエーテル類のうち、1種類または2種類以上を用いることができる。
【0082】
溶媒として、好ましくは、ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランであり、更に好ましくは、ジクロロメタン、テトラヒドロフランである。
【0083】
本発明においては、ジクロロメタンを溶媒として用いるか、無溶媒で行うことが好ましいが、前記構造式(1)の金属錯体を用いてシクロヘキセンオキシドと二酸化炭素を共重合する場合には、ジクロロメタンを溶媒として用いることが好適である。
【0084】
ジクロロメタンを溶媒として用いる場合、アルキレンオキシドに対して、容積比(溶媒:アルキレンオキシド)で0:100~90:10であることが好ましく、より好ましくは0:100~70:30の範囲である(溶媒が0のときは、無溶媒の場合を示す。)。
【0085】
上述のように、本発明では、ルイス塩基を用いることができる。
ルイス塩基の使用量は、前記ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体1モルに対して、0.1~5モル用いることが好ましく、0.5~0.75モルであることがより好ましい。当該範囲での使用であれば、収率を低下させず、環状カーボナート(アルキレンオキシドと二酸化炭素が1モルずつ反応した化合物)を生成させ難く交互共重合体を生成する。また、反応速度の観点や、二酸化炭素を取り込みやすいので、アルキレンオキシドのみが反応したポリエーテルを生成し難い。
【0086】
ルイス塩基は、金属錯体の金属部分に配位しているものと推測される。そのときの反応スキームを下記スキーム1に示す。
【0087】
【化15】
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【0088】
上記反応スキーム1において、Rは、一般式(1)におけるR1又は一般式(2)におけるAr-(R2nを表す。BASEはルイス塩基を表す。反応スキーム1におけるR1は一般式(1)におけるR1を表し、Ar及びR2は一般式(2)におけるAr及びR2をそれぞれ表す。
【0089】
上記反応スキーム1において得られた共重合体(1)に、ブレンシュテッド酸化合物を添加して、末端を水酸基に変換し、反応を停止させることができる。その様子を下記スキーム2に示す
【0090】
【化16】
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【0091】
本発明の方法に用いる金属錯体、アルキレンオキシド、ルイス塩基、更には溶媒について、添加の順は特に制限が無いが、溶媒を用いる場合には、予め該溶媒に金属錯体を溶かした溶液を調製しておくことが好ましい。
【0092】
また、共重合反応終了の後、共重合体中に取り込まれた金属錯体は、金属錯体および共重合体が溶解している液から一方のみを析出させる方法、金属錯体および共重合体の固体状混合物から一方のみを抽出する方法のいずれの方法で、金属錯体を取り除くことができる。
【0093】
この場合、金属錯体を溶解可能な共重合体の貧溶媒、共重合体を溶解可能な金属錯体の貧溶媒、あるいは金属錯体の塩基性部位と反応して塩を形成する酸性物質、のいずれかを用いることができる。例えばこのような貧溶媒としては、メタノール、ヘキサン等を用いることができる。
【0094】
前記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと般式(2)で表されるアルキレンオキシドとの配合比率は、得られるポリカーボネートが所望のガラス転移温度となるように変えることができる。本発明のポリカーボネートは、配合した2種のアルキレンオキシドの配合比率に準じたガラス転移温度となる。
例えば、ポリプロピレンカーボネートのTgは34℃であり、ポリスチレンカーボネートのTgは83℃である。したがって、プロピレンオキシドとスチレンオキシドを50:50で仕込めば、得られる共重合体のTgは、(34+83)/2=58.5℃となり、80:20で仕込めば、得られる共重合体のTgは、34*0.8+83*0.2=43.8℃となる。このような比例計算によって、得られる共重合体のTgを予測することができる。
【0095】
<共重合体>
本発明の製造方法では、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、二酸化炭素と、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、下記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとを共重合させることで、二酸化炭素とアルキレンオキシドとが交互に反応した交互共重合比率の高い共重合体を得ることができる。
【0096】
本発明の製造方法を適用しない場合には、不要な副生成物の生成比率が高くなる。例えば、一般式(1)で表されるアルキレンオキシドをA、一般式(2)で表されるアルキレンオキシドをB、二酸化炭素をCとして、得られる生成物を示すと、従来の製造方法では、下記構造(1)~(3)に示すような副生成物が生成したり、下記構造(4)~(6)のようなブロック共重合体が生成されやすくなる。
【0097】
【化17】
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【0098】
構造(1)は、いわゆる環状カーボネートであり、アルキレンオキシドと二酸化炭素が1つずつのみ結合しただけの低分子である。構造(1)のような低分子化合物を含む共重合体のガラス転移温度は、構造(1)で表される化合物の存在によって著しく低下する。
【0099】
構造(2)は、一般式(1)のアルキレンオキシドAのみが開環重合したポリマーであり、構造(3)は、一般式(2)のアルキレンオキシドBのみが開環重合したポリマーである。いずれも二酸化炭素と反応していないため、ポリカーボネートとなっていない。
【0100】
構造(4)は、(A-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートと、(B-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートのブロック共重合体である。このポリマーは、ブロック部分が共有結合で結合しているが、そのガラス転移温度は、(A-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートと、(B-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートの混合物と同様に、2つのピークを示す。したがって、(A-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートと、(B-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートの一方のガラス転移温度が低い場合には、得られた共重合体の全体としてのガラス転移温度は低下してしまう。
【0101】
構造(5)及び構造(6)は、共重合体のうちポリエーテル構造の占める割合が多いため、ポリカーボネートの利点を享受することができない。
【0102】
これに対し本発明では、下記に示すように、ポルフィリン系化合物が配位した金属錯体の存在下で、二酸化炭素と、前記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと、前記一般式(2)で表されるアルキレンオキシドとを共重合させるので、交互共重合比率が高くなる。したがって、下記構造(7)に示すように、(A-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートと、(B-C)を繰り返し単位とするポリカーボネートとのランダム共重合体である。
【0103】
【化18】
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【0104】
なお、構造(7)に示すように、必ずしも(A-C)と(B-C)とが隣り合う必要はなく、共重合体の一部において、(A-C)と(A-C)、(B-C)と(B-C)で隣り合って結合していてもよい。
なお、ランダム共重合体とは、一般的に、2種類以上の繰り返し構造単位の配列が不規則である共重合体をいう。詳しくは、2種類以上の繰り返し構造単位がマルコフ統計などある種の統計にしたがう統計共重合体のうち、ベルヌーイ分布にしたがうもの、すなわち、コポリマーの任意の部位で、あるモノマー単位を見いだす確率がその位置の隣接単位の種類と無関係である共重合体をいう。
本発明の反応スキームを下記に示す。
【0105】
【化19】
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【0106】
本発明の製造方法で得られた共重合体(2)は、交互共重合比率を90%以上とすることができ、更に、95%以上とすることもでき、99%以上とすることも可能である。つまり、上記共重合体(1)中、(k+l)の比率が、(k+l+m+n)に対して90%以上、更には95%以上、特に99%以上とすることができる。
ここで、交互共重合比率とは、共重合体中の主鎖の全結合数のうち、二酸化炭素とアルキレンオキシドの反応によるカーボネート結合数の割合をいう。つまり、交互共重合比率が高い共重合体は、アルキレンオキシドのみが開環重合したポリエーテル結合(m+n)の含有率が低い。
【0107】
したがって、交互共重合比率はカーボネート結合率として表されることができる。カーボネート結合率は、1H-NMR(CDCl3)において、δ5.0ppm付近と5.8ppm付近に現れる2種類のカーボネート結合に隣接するメチン水素由来のシグナルとδ3.4ppm付近と4.5ppm付近に現れる2種類のエーテル結合に隣接するメチン水素由来のシグナルの強度比から算出することができる。
【0108】
kとlの比率は、原料の配合比率によって任意に制御することが可能であり、kとlの総計(k+l)を100とすると、kは0を超えて100未満で変動させることができる。
【0109】
また、本発明の製造方法で得られた共重合体の位置規則性(ランダム性)は、1つの反応系において、反応液中の原料の残存量を反応時間毎に測定するという方法により確認することができる。
反応途中の反応液中で、一般式(1)で表されるアルキレンオキシドと一般式(2)で表されるアルキレンオキシドの消費量が異なっているが、最終的には両者のアルキレンオキシドが全て消費されているのであれば、ブロック共重合体となっている可能性が高い。
これに対して、反応途中のいずれの段階においても、両者のアルキレンオキシドが同等に消費されているのであれば、得られる共重合体はランダム共重合体である可能性が高い。
【0110】
一般式(1)と二酸化炭素との反応によって生成したカーボネート単位をカーボネートAとし、一般式(2)と二酸化炭素との反応によって生成したカーボネート単位をカーボネートBとすると、
カーボネートAとカーボネートBとが隣り合って結合している割合をP1、カーボネートAどうしが隣り合って結合している割合をP2、カーボネートBどうしが隣り合って結合している割合をP3とする。
本発明の製造方法で得られた共重合体は、(P1+P2+P3)を100%としたときに、P1を50%以上とすることができ、70%以上とすることも可能であり、製造条件によっては、90%以上とすることもできる。
【0111】
また、本発明の製造方法では、本発明に係る金属錯体を用いるので、得られる共重合体は、狭い分子量分布を有する。GPC測定により得られた数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、1.01~1.20の共重合体とすることができ、更には、Mw/Mnを1.01~1.15とすることも可能であり、製造条件によっては、Mw/Mnを1.01~1.10とすることもできる。
【0112】
また、本発明に係る金属触媒の一部は超臨界二酸化炭素にも溶解するので、反応時の二酸化炭素分圧を高くして超臨界二酸化炭素とすることで、溶剤を使用せずに反応させることができる。その結果、不要な溶剤の含有量が少ない共重合体となる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0114】
[実施例1~3、参照例1~2]
<共重合体の作製>
内部を窒素で満たしたステンレス性耐圧容器に、金属錯体としてテトラフェニルポルフィナトコバルトクロリド[(TPP)CoCl](前記構造式(1))の0.1mmolと、アルキレンオキシドとしてプロピレンオキシド(PO)とスチレンオキシド(SO)を用いた。これらを、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を含むジクロロメタンに添加し、圧力をかけて二酸化炭素を注入し、反応初期の圧力が5MPaとなるように調整した。
なお、アルキレンオキシドとDMAPと金属触媒の配合モル比は、500/0.75/1となるように添加し、POとSOの配合モル比は、下記表1のように変えて合成した。
【0115】
40℃で48時間加熱反応させた後、これを室温まで冷却した。過剰の二酸化炭素を解放し、3.5mLの塩化メチレンを加え、生成物を得た。
【0116】
<分析>
(転化率)
得られた生成物の転換率を、1H-NMRにより求めた。その結果を表1に示す。
【0117】
(ポリカーボネートの含有比率(PC:CC))
PC(ポリカーボネート)とCC(環状カーボネート)の生成比率は、予め作成しておいた検量線を用い、IRから求めた。その結果を表1に示す。
【0118】
(収率)
生成物の収率を、使用した原料から算出される共重合体の質量に対する、得られた共重合体の質量から算出した。その結果を表1に示す。
【0119】
(カーボネート結合率)
カーボネート結合率は、1H-NMR(CDCl3)において、δ5.0ppm付近と5.8ppm付近に現れる2種類のカーボネート結合に隣接するメチン水素由来のシグナルとδ3.4ppm付近と4.5ppm付近に現れる2種類のエーテル結合に隣接するメチン水素由来のシグナルの強度比から算出した。
その結果を表1に示す。
【0120】
(共重合体中のポリスチレンカーボネート比率)
得られた共重合体中のポリスチレンカーボネート(PSC)と、ポリプロピレンカーボネート(PPC)のモル比を1H-NMR(CDCl3)によって求めた。その結果を表1に示す。
【0121】
(平均分子量)
得られた生成物の平均分子量をGPC(東ソー社製、HLC-8020)で分析した。その結果を表1に示す。
【0122】
(位置規則性)
実施例2において、48時間の加熱反応時間のうち、最初の12時間までは6時間毎に、その後は12時間毎に反応液を取り出して、消費されていないプロピレンオキシド(PO)とスチレンオキシド(SO)の量を1H-NMRによって検出した。その結果を表2に示す。
【0123】
【表1】
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【0124】
【表2】
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【0125】
分析結果から、得られたポリマーは、二酸化炭素とアルキレンオキシドとが交互に反応したポリカーボネートであり、環状カーボネートの生成率は7%以下であった。
さらに、1H-NMRによる詳細な測定によって得られた結果から、実施例1~3はいずれもカーボネート結合の割合が99%以上であり、ポリエーテル結合の占める割合は1%未満の交互共重合体であることが分かった。
【0126】
また、スチレンオキシドとプロピレンオキシドの仕込みモル比に対して、共重合体中のポリスチレンカーボネートとポリプロピレンカーボネートの比率が、略一致していた。
表2に示す逐次反応率の結果から、どの時点においてもスチレンオキシドとプロピレンオキシドの消費量が略同じであることが明らかとなった。したがって、スチレンオキシドとプロピレンオキシドの反応性が略同等であり、得られるポリマーは、ランダム共重合体であることが分かった。
【0127】
<精製>
共重合体のガラス転移温度(Tg)や熱分解温度(Td)の測定の正確性を期すため、得られた生成物の精製を下記の方法で行ない、精製後の共重合体についてTgとTdの測定を行なった。
まず、生成物をクロロホルムとメタノールで再沈殿させ、ポリマーを単離した。単離したポリマーから、カラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。このとき酢酸エチルを展開溶媒として用いた。
触媒を除去したポリマーを、再度、クロロホルムとメタノールで再沈殿させた。その後、減圧乾燥を行なった。
【0128】
(精製後のポリマーの平均分子量)
精製後のポリマーの平均分子量をGPCで分析した。その結果を表3に示す。
【0129】
(精製後のポリマーのガラス転移温度)
精製後のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、METTLER TOLEDO STAReシステム(メトラー・トレド社製)を用いて、-20℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温し、100℃から-20℃まで10℃/分の速度で降温して、求めた。その結果を表3に示す。
【0130】
(精製後のポリマーの分解温度)
精製後のポリマーの分解温度(Td)は、METTLER TOLEDO STAReシステム(メトラー・トレド社製)を用いて、-20℃から300℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後、300℃から-20℃まで降温して、求めた。その結果を表3に示す。
【0131】
【表3】
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【0132】
得られた共重合体のガラス転移温度は、ポリプロピレンカーボネートのガラス転移温度34℃に比べて高くなっていた。分解温度についても、ポリプロピレンカーボネートでは240℃であったが、いずれの共重合体も240℃よりも高くなっていた。
また、得られた共重合体の柔軟性を手の触感にて確認したところ、実施例1~3の共重合体はいずれも柔らかく、ポリプロピレンカーボネートの比率が高くなるにつれて、しっとりしていた。これに対して、シクロヘキセンオキシドを原料に用いた場合に得られる共重合体は、手の触感でも、硬くて脆く柔軟性がないことを確認することができる。したがって、実施例1~3の共重合体は柔軟性が高くなっているものと思われる。