Top > Search of Japanese Patents > (In Japanese)干渉計測装置および干渉計測方法 > Specification

Specification :(In Japanese)干渉計測装置および干渉計測方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5648193
Date of registration Nov 21, 2014
Date of issue Jan 7, 2015
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)干渉計測装置および干渉計測方法
IPC (International Patent Classification) G01B   9/021       (2006.01)
G01B  11/24        (2006.01)
FI (File Index) G01B 9/021
G01B 11/24 D
Number of claims or invention 10
Total pages 39
Application Number P2010-550426
Date of filing Jan 13, 2010
Transfer of right or grant of working license (In Japanese)特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
International application number PCT/JP2010/000132
International publication number WO2010/092739
Date of international publication Aug 19, 2010
Application number of the priority 2009031449
Priority date Feb 13, 2009
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jan 9, 2013
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】粟辻 安浩
【氏名】田原 樹
Representative (In Japanese)【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
Examiner (In Japanese)【審査官】神谷 健一
Document or reference (In Japanese)特表2002-526815(JP,A)
特開2005-283683(JP,A)
米国特許第05321497(US,A)
米国特許第04872755(US,A)
米国特許第07265834(US,B2)
特開2004-138617(JP,A)
米国特許第06961123(US,B1)
Yasuhiro AWATSUJI et al.,Single-shot phase-shifting color digital holography,2007 IEEE LEOS Annual Meeting (LEOS 2007) Conference Proceedings,2007年10月,pp.84-85
Field of search G01B 9/021
G01B 11/24
G02B 5/30
G03H 1/26
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
コヒーレントな光を発生する光源と、上記光源から出射される光を参照光および物体光に分割する光分割部と、撮像部とを備え、参照光と、被写体を介して到達する物体光とが作る干渉像を上記撮像部が撮像する干渉計測装置において、
上記光分割部から出射される物体光を、第1方向に偏光した第1の物体光と、上記第1方向とは異なる第2方向に偏光した第2の物体光との2種類の物体光に分割し、それぞれの物体光の伝播方向に角度差を生じさせる偏光分割部と、
第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置され、上記第1偏光子領域は、上記第1方向に偏光した物体光と参照光の上記第1方向の偏光成分とを通過させ、上記第2偏光子領域は、上記第2方向に偏光した物体光と参照光の上記第2方向の偏光成分とを通過させる偏光子アレイ部と、
複数の上記第1偏光子領域に対応した複数の第1画素および複数の上記第2偏光子領域に対応した複数の第2画素を有し、上記第1方向に偏光した物体光と参照光の上記第1方向の偏光成分とが干渉した第1干渉パターンを上記複数の第1画素で撮像すると同時に、上記第2方向に偏光した物体光と参照光の上記第2方向の偏光成分とが干渉した第2干渉パターンを上記複数の第2画素で撮像する撮像部とを備えることを特徴とする干渉計測装置。
【請求項2】
上記干渉像から上記第1干渉パターンおよび上記第2干渉パターンに対応する画素を抽出し、上記第1干渉パターンおよび上記第2干渉パターンを用いて位相接続を行う再生部をさらに備え、
上記再生部は、上記被写体の3次元情報を求めることを特徴とする請求項1に記載の干渉計測装置。
【請求項3】
第1方向と第2方向とが直交することを特徴とする請求項1または2に記載の干渉計測装置。
【請求項4】
第1位相シフト領域および第2位相シフト領域が複数配置され、参照光を通過させる位相シフトアレイ部をさらに備え、
上記位相シフトアレイ部は、第1位相シフト領域を通過した参照光の位相と、第2位相シフト領域を通過した参照光の位相とを互いに異ならせることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の干渉計測装置。
【請求項5】
第1光路長シフト領域および第2光路長シフト領域が複数配置され、参照光および物体光を通過させる光路長シフトアレイ部を上記被写体と撮像部との間にさらに備え、
上記光路長シフトアレイ部は、第1光路長シフト領域を通過した参照光の位相と、第2光路長シフト領域を通過した参照光の位相とを互いに異ならせ、第1光路長シフト領域を通過した物体光の位相と、第2光路長シフト領域を通過した物体光の位相とを互いに異ならせることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の干渉計測装置。
【請求項6】
複数の上記光源と、波長選択フィルタとを備え、
上記複数の光源は、それぞれが互いに異なる波長のコヒーレントな光を発生し、
上記波長選択フィルタは、通過させる光の波長が異なる複数の波長選択領域を有し、参照光および物体光を上記波長選択領域毎に波長に応じて選択的に通過させることを特徴とする請求項1、3、4、または5に記載の干渉計測装置。
【請求項7】
上記再生部は、上記被写体の再生像を生成し、上記3次元情報として上記被写体の高さ分布を求めることを特徴とする請求項2に記載の干渉計測装置。
【請求項8】
上記干渉像から上記第1干渉パターンおよび上記第2干渉パターンに対応する画素を抽出し、上記被写体の3次元情報および再生像を生成する再生部をさらに備え、
上記再生部は、
上記干渉像に基づき上記複数の波長毎に上記被写体の再生像を求める再生処理部と、
上記干渉像に基づき上記複数の波長毎に位相接続を行い上記被写体の高さ分布を求める位相接続処理部と、
上記再生像を構成する画素のうちの注目画素を含む所定の領域について各波長の上記所定の領域を代表する再生光の強度を比較し、最も上記再生光の強度が大きい波長の上記高さ分布を上記注目画素の高さ分布として抽出する抽出処理部とを備えることを特徴とする請求項6に記載の干渉計測装置。
【請求項9】
サイズ計測部と、制御部と、角度差調節部とをさらに備え、
上記サイズ計測部は、上記被写体の撮像部から見た奥行き方向におけるサイズを計測し、
上記制御部は、上記サイズ計測部が計測した上記サイズに基づき、位相接続可能な範囲を決定し、決定した上記範囲に応じて上記角度差調節部に指示を与え、
上記角度差調節部は
上記制御部からの指示に基づき、上記偏光分割部が分割する2種類の物体光の上記角度差を変更する、または
上記制御部からの指示に基づき、上記偏光分割部が分割する2種類の物体光の上記角度差、および、上記撮像部の撮像面に直交する軸と第1の物体光か第2の物体光かのいずれかとがなす角度を変更することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の干渉計測装置。
【請求項10】
コヒーレントな光を参照光および物体光に分割し、参照光と、被写体を介して到達する物体光とが作る干渉像を撮像する干渉計測方法であって、
参照光から分割された物体光を、第1方向に偏光した第1の物体光と、上記第1方向とは異なる第2方向に偏光した第2の物体光との2種類の物体光に分割し、それぞれの物体光の伝播方向に角度差を生じさせ、
第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置された偏光子アレイ部により、上記第1偏光子領域において上記第1方向に偏光した物体光と参照光の上記第1方向の偏光成分とを通過させ、かつ上記第2偏光子領域において上記第2方向に偏光した物体光と参照光の上記第2方向の偏光成分とを通過させ、
複数の上記第1偏光子領域に対応した複数の第1画素および複数の上記第2偏光子領域に対応した複数の第2画素を有する撮像部により、上記第1方向に偏光した物体光と参照光の上記第1方向の成分とが干渉した第1干渉パターンを上記複数の第1画素で撮像すると同時に、上記第2方向に偏光した物体光と参照光の上記第2方向の成分とが干渉した第2干渉パターンを上記複数の第2画素で撮像することを特徴とする干渉計測方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、参照光と物体光との干渉像を測定し、被写体の形状を測定する干渉計測装置および干渉計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以後の文章中で位相の単位はラジアンで表す。加工技術の精密化や多様化に伴い、物体の3次元形状等の高度な計測や解析が求められ、様々な測定法が開発されている。該測定法のうち、光の干渉を利用した干渉計測技術、特にデジタルホログラフィは、非接触かつ非破壊で、物体の3次元情報を得ることができるため、近年、注目を集めている測定法の一つとなっている。
【0003】
デジタルホログラフィは、3次元物体への光照射によって得られる干渉パターン(干渉縞)から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生する技術である。具体的には例えば、3次元物体への光照射によって得られる物体光と、該物体光に対して可干渉である参照光とが作る干渉パターンを、CCD(charge coupled device)等の撮像素子を用いて記録する。記録された干渉パターンに基づいて、コンピュータでフレネル(Fresnel)変換し、3次元物体の像を再生する。
【0004】
図26は、従来のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である(非特許文献1)。デジタルホログラフィ装置120は、レーザ光源101を含む光学系と、CCDカメラ102と、コンピュータ110とを備える。レーザ光源101から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ103およびコリメータレンズ104を通過することにより平行光となる。それから、レーザ光はビームスプリッタ105によって参照光と物体光とに分割される。物体光は可動ミラー106よって反射され被写体111に照射される。被写体111によって反射された物体光は、ハーフミラー107を通過しCCDカメラ102の撮像面に到達する。一方、参照光は、ミラー108、PZTミラー109およびハーフミラー107によって反射され、CCDカメラ102の撮像面に到達する。CCDカメラ102は、撮像面に到達した物体光と参照光とが作る干渉パターンを記録する。記録された干渉パターンに対して、コンピュータ110がフレネル変換する等の計算処理を施すことにより、被写体111の再生像が得られる。
【0005】
被写体111は、位置xの奥行き方向(CCDカメラ102の撮像面に対して垂直な方向)の高さがh(x)である。
【0006】
上記のデジタルホログラフィ装置120では、CCDカメラ102の撮像面に対して参照光がほぼ垂直に入射する。すなわち、CCDカメラ102の撮像面には、参照光と物体光とがほぼ同じ方向から入射する。そのため、干渉パターンをフレネル変換して得られる再生像は、0次回折像および±1次回折像が重なったものとなり、被写体111の鮮明な再生像を得ることが困難となっている。
【0007】
そこで、0次回折像および±1次回折像を分離し、高精度な再生像を得るために、参照光の位相を複数段階にシフトさせ、得られた複数の干渉パターンから所望の再生像を得る位相シフト法という技術がある(特許文献1、非特許文献1)。または、被写体と撮像素子との距離が異なる複数の干渉パターンを用いて所望の再生像を得る技術がある(非特許文献2)。以後、この技術を光路長シフト法と呼ぶ。
【0008】
デジタルホログラフィ装置120では、圧電素子によってPZTミラー109を微小変位させることにより、参照光の位相を3段階または4段階にシフトさせ、それぞれの干渉パターンを順次記録する。そして、記録した複数の干渉パターンに基づき計算処理を行うことで、0次回折像または±1次回折像を独立に得ることができる。
【0009】
この段階では、位相分布から得られる被写体111の奥行き方向の位置情報は、レーザ光の波長の範囲に折り畳まれている。この折り畳みを解消し、被写体111の奥行き方向の本来の波長以上の範囲の位置情報を得るためには、位相接続を行う必要がある。1つの干渉パターンから得られる位置情報に基づいて、計算によって位相接続をする場合、被写体111に急な段差等があると正しく位相接続できず、得られる位置情報は誤差を多く含む精度の低いものとなる。そこで、精度の高い位置情報を得るために、以下に示す光学的手法による位相接続を行う必要がある。
【0010】
デジタルホログラフィ装置120では、可動ミラー106の角度を(Δθ/2)変化させることにより、被写体111に照射する物体光の伝播方向の角度がΔθ変化した干渉パターンを記録する。被写体111に照射する物体光の伝播方向の角度が互いにΔθ異なる2つの干渉パターンを用いることにより位相接続を行うことができる(非特許文献1)。
【0011】
別の光学的手法として、2つの異なる波長のレーザ光を用いる位相接続法がある(非特許文献3)。この方法によれば、2波長の組み合わせにより、合成波長の長さを自由に変更することができる。また、1波長を用いた場合に比べ、非常に長い合成波長で記録したのと同等の位相分布を得ることができ、位相の折り畳みが少ない。また、さらに用いる波長を増やすことにより、位相接続可能な奥行き方向の範囲を広げることができる。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2005-283683号公報(2005年10月13日公開)」
【0013】

【非特許文献1】Ichirou Yamaguchi, et. al.、「Surface contouring by phase-shifting digital holography」、Optics and Lasers in Engineering、2001、Vol.36、pp.417-428
【非特許文献2】Yan Zhang, et. al.、「Reconstruction of in-line digital holograms from two intensity measurements」、Optics Letters、2004、Vol.29、No.15、pp.1787-1789
【非特許文献3】Daniel Parshall, et. al.、「Digital holographic microscopy with dual-wavelength phase unwrapping」、APPLIED OPTICS、20 January 2006、Vol.45、No.3、pp.451-459
【非特許文献4】M. F. Meng, et. al.、「Two-step phase-shifting interferometry and its application in image encryption」、OPTICS LETTERS、15 May 2006、Vol.31、No.10、pp.1414-1416
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の光学的手法による位相接続では、いずれの場合も少なくとも2つの干渉パターンが必要になるという問題がある。そのため、被写体の撮影を複数回行う必要があり、その間は被写体が静止していなければならない。また、被写体および光学系の振動の影響も大きくなる。
【0015】
図26の構成では、可動ミラー106を回転させることにより物体光の伝播方向の角度を変化させ順次干渉パターンを記録している。そのため、複数の干渉パターンを得るための時間が必要であり、動的に変化または変位する被写体の3次元形状の情報を得ることができない。また、瞬間の被写体の3次元形状の情報を得ることができない。
【0016】
また、非特許文献3のように、2つの異なる波長のレーザ光を用いる位相接続法は、反射率、透過率または屈折率の波長依存性が大きい被写体には適用できない。例えば、特定の波長の光を吸収する被写体からは、その波長の光を用いて光の情報を得られないため、このような被写体を計測するために用いることのできる2つの異なる波長の光には、その両方が被写体によって反射、透過、または散乱されて、その反射、透過、または散乱された光が干渉像の記録に十分なエネルギーを有していなければならないという制限が加わる。また、光学系を構成するレンズ等の光学素子に波長依存性がある場合も位相接続の結果の精度が低下する。さらに、適当な2つの干渉パターンを得るために、2つの異なるレーザ光源が必要になるため、装置が大型化し、高価なものになる。また、2つのレーザ光の光軸がずれると計測精度および信頼性が低下するため、2つのレーザ光の光軸を高精度に軸合わせする必要がある。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、1回の撮像で被写体の3次元情報を得るための干渉像を得ることができる干渉計測装置を実現することにある。ここで、3次元情報は、被写体の3次元の形状、位置または分布の情報を含む。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係る干渉計測装置は、コヒーレントな光を発生する光源と、上記光を参照光および物体光に分割する光分割部と、撮像部とを備え、参照光と、被写体を介して到達する物体光との干渉像を上記撮像部が撮像する干渉計測装置であって、物体光を互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割し、それぞれの伝播方向に角度差を生じさせる偏光分割部と、第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置され、参照光と、被写体を介して到達する物体光とを通過させる偏光子アレイ部とを備え、上記偏光子アレイ部の第1偏光子領域および第2偏光子領域は互いに異なる方向の偏光成分を通過させる。
【0019】
上記の構成によれば、偏光分割部によって物体光を伝播方向に角度差を有し偏光方向の異なる2種類の物体光に分割することができ、偏光子アレイ部によって参照光および物体光を偏光方向に応じて分けて撮像部で撮像することができる。
【0020】
よって、伝播方向に角度差を有する2種類の物体光による2種類の干渉情報を含む干渉像を1回の撮像で同時に得ることができので、得られる2種類の干渉情報を含む干渉像に基づき位相接続を行うことができる。
【0021】
それゆえ、例えば動的な変化を伴う被写体であっても、1回の撮像でその瞬間の3次元情報を得ることができる。
【0022】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る干渉計測方法は、コヒーレントな光を参照光および物体光に分割し、参照光と、被写体を介して到達する物体光とが作る干渉像を撮像する干渉計測方法であって、物体光を互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割し、それぞれの伝播方向に角度差を生じさせ、第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置された偏光子アレイ部に、参照光と、上記被写体を介して到達する上記2種類の物体光とを通過させることにより、第1偏光子領域および第2偏光子領域から互いに異なる方向の偏光成分を通過させ、上記偏光子アレイ部を通過した参照光と上記偏光子アレイ部を通過した物体光とが作る干渉像を撮像する方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る干渉計測装置は、コヒーレントな光を発生する光源と、上記光を参照光および物体光に分割する光分割部と、撮像部とを備え、参照光と、被写体を介して到達する物体光との干渉像を上記撮像部が撮像する干渉計測装置であって、物体光を互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割し、それぞれの伝播方向に角度差を生じさせる偏光分割部と、第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置され、参照光と、被写体を介して到達する物体光とを通過させる偏光子アレイ部とを備え、上記偏光子アレイ部の第1偏光子領域および第2偏光子領域は互いに異なる方向の偏光成分を通過させることを特徴としている。
【0024】
よって、伝播方向に角度差を有する2種類の物体光による2種類の干渉像を1回の撮像で同時に得ることができので、得られる2種類の干渉像に基づき位相接続を行うことができる。
【0025】
それゆえ、1回の撮像で被写体の3次元情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図2】上記デジタルホログラフィ装置が備える偏光子アレイデバイスの一部を示す模式図である。
【図3】上記デジタルホログラフィ装置における像再生アルゴリズムを説明するための図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図5】(a)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える位相シフトアレイデバイスの一部を示す模式図であり、(b)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える偏光子アレイデバイスの一部を示す模式図である。
【図6】上記デジタルホログラフィ装置における像再生アルゴリズムを説明するための図である。
【図7】(a)は、被写体の高さ分布を示す図であり、(b)は、(a)の切断線Aにおける被写体の断面図であり、(c)は、被写体の見た目の明暗を表す振幅分布を示す図である。
【図8】(a)は、水平方向に偏光した物体光から得られた被写体の再生像(振幅分布)を示す図であり、(b)は、(a)に対応する位相分布を示す図であり、(c)は、垂直方向に偏光した物体光から得られた被写体の再生像(振幅分布)を示す図であり、(d)は、(c)に対応する位相分布を示す図である。
【図9】図8の(b)における直線Bの位置での、位相接続前の被写体の位相分布を示す図である。
【図10】位相接続を行って得られた被写体の高さ分布を示す図である。
【図11】図10における直線Cの位置での、被写体の本来の高さ分布と、位相接続後の被写体の高さ分布とを示す図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図13】(a)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える偏光子アレイデバイスの一部を示す模式図であり、(b)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える光路長シフトアレイデバイスの一部を示す模式図であり、(c)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える波長選択フィルタの一部を示す模式図である。
【図14】上記デジタルホログラフィ装置で得られる干渉パターンの一部を示す図である。
【図15】被写体を示す模式図である。
【図16】本発明のさらに他の実施形態に係るデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図17】本発明のさらに他の実施形態に係るデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【図18】(a)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える位相シフトアレイデバイスの一部を示す模式図であり、(b)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える波長選択フィルタの一部を示す模式図であり、(c)は、上記デジタルホログラフィ装置が備える偏光子アレイデバイスの一部を示す模式図である。
【図19】上記デジタルホログラフィ装置で得られる干渉パターンの一部を示す図である。
【図20】(a)は、被写体の高さ分布を明暗で示す図であり、(b)は、被写体の見た目の明暗を表す振幅分布を示す図であり、(c)は、(a)の切断線Dにおける被写体の高さ分布をプロットした図である。
【図21】各波長毎に求めた被写体の再生像を示す図である。
【図22】各波長毎に独立に位相接続を行って得られた被写体の高さ分布を示す図である。
【図23】振幅最大値挿入処理の結果得られた被写体の高さ分布を明暗で示す図であり、(b)は、(a)の切断線での被写体の高さ分布を示す図である。
【図24】(a)は、従来の複数波長位相接続法の結果得られた被写体の高さ分布を明暗で示す図であり、(b)は、(a)の切断線での被写体の高さ分布を示す図である。
【図25】上記デジタルホログラフィ装置が備える計算機の構成を示すブロック図である。
【図26】従来のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。

【0028】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1のデジタルホログラフィ装置(干渉計測装置)60の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置60は、レーザ光源(光源)1を含む光学系と、CCDからなる撮像面2aを有する撮像素子(撮像部)2とを有する撮像装置を備える。さらに、デジタルホログラフィ装置60は、撮像素子2の出力に接続された計算機(再生部)3を備える。

【0029】
レーザ光源1は、コヒーレントな光、すなわちレーザ光を発生する。ここで、レーザ光の伝播方向に垂直な1つの方向を第1方向と定義し、レーザ光の伝播方向および第1方向に垂直な方向を第2方向と定義する。このレーザ光は、第1方向の偏光成分と第2方向の偏光成分とを有する直線偏光の光である。レーザ光源1から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ4およびコリメータレンズ5を通過することにより平行光となる。それから、レーザ光はビームスプリッタ(光分割部)6によって参照光と物体光とに分割される。

【0030】
分割された光の一方である参照光は、ミラー7・8、およびビーム結合素子9によって反射され、撮像素子2の撮像面2aに到達する。ここで、ビーム結合素子9はハーフミラーからなる。参照光は撮像面2aに対して垂直ではなく、撮像面2aに垂直な直線に対して数度程度の角度を持って入射する。

【0031】
分割された光の他方である物体光は、ミラー10によって反射され被写体20に照射される。被写体20によって反射された物体光は、複屈折材料からなる偏光分割素子(偏光分割部)11を通過する。ここで、複屈折材料からなる偏光分割素子11は、その入射面と出射面とが平行ではないため、偏光分割素子11を通過する物体光は互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割され、偏光方向が異なる2種類の物体光は互いに異なる方向に出射される。すなわち、偏光分割素子11は、偏光方向が異なる2種類の物体光の伝播方向にΔθの角度差を生じさせる。本実施の形態では、物体光は偏光分割素子11によって第1方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光と、第2方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光との2種類に分割される。偏光分割素子11から出射される2種類の物体光は、ビーム結合素子9を通過し、撮像素子2の撮像面2aに到達する。

【0032】
ここで撮像素子2は、撮像面2aの前面に偏光子をアレイ状に配置したデバイス30を備える。以後、このデバイスを偏光子アレイデバイスと呼ぶ。図2は、撮像面2a側から見た偏光子アレイデバイス30の一部を示す模式図である。偏光子アレイデバイス30は、通過した光のある方向(ここでは水平方向)の偏光成分のみを取り出す偏光子(偏光子領域)30aと、それとは直交する方向(ここでは垂直方向)の偏光成分のみを取り出す偏光子(偏光子領域)30bとが市松模様に複数配置されたものである。そして、入射する参照光は水平方向の偏光成分および垂直方向の偏光成分を有している。本実施の形態では上記の第1方向は水平方向に一致し、第2方向は垂直方向に一致する。すなわち、偏光子30a・30bは、偏光分割素子11で分割された2種類の物体光の内の、それぞれの偏光方向に対応した一方のみの物体光を通過させる。また、偏光子30a・30bは、参照光のそれぞれの偏光方向に対応した偏光成分のみを通過させる。

【0033】
偏光子アレイデバイス30を通過した物体光および参照光は、その背面にある撮像面2aに入射する。物体光および参照光の干渉に応じた光の強度が撮像面2aの画素によって検出され、撮像素子2は、物体光と参照光とが撮像面2aに作る干渉パターンを撮像する。ここで、偏光子アレイデバイス30は撮像面2aに隣接して貼り付けられているため、個々の偏光子30a・30bが撮像面2aの一つの画素に対応する。すなわち、各偏光子30a・30bは撮像面2aの画素と一対一に対応している。少なくとも、撮像素子2は各偏光子30a・30bを通過したレーザ光を識別できる解像度を有する。そのため撮像面2aには、水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素、および垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素が市松模様に並んでいる。

【0034】
図3は、デジタルホログラフィ装置60における像再生アルゴリズムを説明するための図である。計算機3(図1参照)は、撮像素子2で撮像された干渉パターン(干渉像)40を示す画像データを撮像素子2から取得する。この干渉パターン40はホログラムである。図3には干渉パターン40の一部だけを示す。

【0035】
この画像データが示す干渉パターン40は、水平方向の偏光を記録した画素41aと垂直方向の偏光を記録した画素41bとの両方の干渉情報を含む。計算機3は、これらの2種類の干渉情報を有する画素41a・41bをそれぞれ抽出することにより、水平方向の偏光を記録した干渉パターン42aと垂直方向の偏光を記録した干渉パターン42bとを得る。次に、計算機3は、水平方向の干渉パターン42aおよび垂直方向の干渉パターン42bの欠落している画素の画素値を補間し、補間された水平方向の干渉パターン43aおよび補間された垂直方向の干渉パターン43bを得る。

【0036】
補間の方法としては、例えば、欠落画素の画素値を、いずれかの隣接画素の画素値にする、周囲の複数の画素の画素値を用いて線形補間(1次の内挿・外挿)をする、または周囲の複数の画素の画素値を用いて高次の内挿・外挿をする等がある。

【0037】
ここで、水平方向に偏光した物体光と垂直方向に偏光した物体光とは、それぞれΔθだけ異なる角度で撮像面2aに入射するので、補間された水平方向の干渉パターン43aの干渉縞の間隔および補間された垂直方向の干渉パターン43bの干渉縞の間隔は異なったものになる。これら2つの補間された干渉パターン43a・43bを用いて再生像を計算し、Δθに応じた再生像の結像位置の補正を行い、補正後の位相分布を用いて位相接続を行い、被写体20の3次元形状の情報を得ることができる。

【0038】
これにより、デジタルホログラフィ装置60は、被写体20の1回の撮像によって物体光の撮像面2aへの入射角が異なる2種類の干渉パターン43a・43bを得ることができる。そのため、2種類の干渉パターン43a・43bを用いて位相接続を行うことができ、1回の撮像で被写体20の3次元情報を得ることができる。それゆえ、動的に変化する被写体の3次元情報をも得ることができる。

【0039】
デジタルホログラフィ装置60は、軸外し型(off-axis型)の光学系で構成されており、撮像面2aに入射する物体光の光軸と、撮像面2aに入射する参照光の光軸との間には数度程度の角度差がある。この角度差が大きくなるに従い、得られる再生像における0次回折像および±1次回折像が重ならない領域が大きくなるが、撮像面2a上の干渉縞の間隔が小さくなるため、撮像素子2の画素間隔による限界がある。

【0040】
本実施の形態では、物体光を被写体20に照射した後に、偏光方向が異なる2種類の物体光を偏光分割素子11によって分割し、伝播方向に角度差を与えたが、偏光方向が異なる2種類の物体光を分割するのは、被写体に照射する前に行ってもよい。すなわち、伝播方向に角度差を有する2種類の物体光を被写体に照射し、反射された物体光を撮像素子で撮像してもよい。この場合では、Δθに応じた再生像の結像位置の補正は不要となり、その他の計算は、物体光を被写体に照射した後に、偏光方向が異なる2種類の物体光を偏光分割素子によって分割した場合と同様の計算によって位相接続を行うことができる。また、レーザ光源からのレーザ光は、直線偏光でも円偏光でもよい。

【0041】
また、物体光を分割する際の、偏光方向の第1方向と第2方向とは直交することが好ましい。ただし、第1方向と第2方向とが直交の関係から少しずれたとしても、精度は落ちるが位相接続は可能である。同様に、偏光子アレイデバイスの2種類の偏光子が取り出す偏光成分の方向は、それぞれ第1方向、第2方向に一致していることが好ましいが、少しずれたとしても、精度は落ちるが位相接続は可能である。尚、本実施の形態のように、第1方向と第2方向が直交しており、2種類の偏光子が取り出す偏光成分の方向がそれぞれ第1方向、第2方向に一致している場合、高い精度で位相接続を行うことができる。

【0042】
また、本実施の形態では、ホログラフィを利用したデジタルホログラフィ装置について説明したが、本発明は、ホログラフィを利用しない一般の干渉計測装置にも適用可能である。

【0043】
また、本実施の形態では、物体光は被写体に反射(散乱)され、撮像部に入射する例を示したが、本発明はこれに限定されない。物体光は、被写体によって反射、散乱、または回折される、あるいは被写体を透過する等して、被写体を介して撮像部に到達すればよい。

【0044】
また、偏光分割素子は、ハーフミラーおよび偏光子等を組み合わせて構成してもよい。

【0045】
また、撮像部としてCCDを備える撮像素子を例として示したが、本発明はこれに限定されない。撮像部としては一般の撮像素子を用いることができ、例えばCMOSイメージセンサーカメラを使用してもよい。

【0046】
撮像時間の短さは主に撮像素子の性能に依存しているが、ナノ秒パルスレーザ等と組み合わせることにより、さらに撮像時間を短縮することができる。

【0047】
尚、撮像素子が撮像した干渉パターンを示すデータを、記憶メディアまたはネットワークを介して他の計算機に入力し、当該計算機によって再生像を得ることもできる。

【0048】
これらは他の実施の形態においても同様である。

【0049】
本実施の形態では、コヒーレントな波動としてレーザ光を利用する例を示したが、本発明はこれに限定されない。

【0050】
[実施の形態2]
次に、インライン型(inline型)の光学系で構成されたデジタルホログラフィ装置について説明する。尚、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

【0051】
図4は、実施の形態2のデジタルホログラフィ装置(干渉計測装置)61の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置61は、インライン型(inline型)の光学系で構成されており、撮像面2aに入射する参照光の光軸は撮像面2aに垂直であり、且つ被写体20は撮像面2aの光学的な正面に位置している。そのため、干渉パターンをフレネル変換して得られる再生像は、0次回折像および±1次回折像が重なったものとなる。それゆえ、各回折像を独立に得るため、位相シフト法を組み合わせる必要がある。

【0052】
デジタルホログラフィ装置61は、レーザ光源1を含む光学系と、CCDからなる撮像面2aを有する撮像素子2とを有する撮像装置を備える。さらに、デジタルホログラフィ装置61は、撮像素子2の出力に接続された計算機3を備える。撮像素子2は、撮像面2aの前面に偏光子アレイデバイス31を備える。

【0053】
レーザ光源1は、レーザ光を発生する。ここで、レーザ光の伝播方向に垂直な1つの方向を第1方向と定義し、レーザ光の伝播方向および第1方向に垂直な方向を第2方向と定義する。このレーザ光は、第1方向の偏光成分と第2方向の偏光成分とを有する直線偏光の光である。レーザ光源1から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ4およびコリメータレンズ5を通過することにより平行光となる。それから、レーザ光はビームスプリッタ6によって参照光と物体光とに分割される。

【0054】
デジタルホログラフィ装置61は、参照光を互いに位相が異なる複数種類の参照光に分割するため、ミラー8とビーム結合素子9との間に位相シフトアレイデバイス(位相シフトアレイ部)35および結像光学素子12を備える。

【0055】
図5の(a)は、位相シフトアレイデバイス35の一部を示す模式図である。位相シフトアレイデバイス35は、通過したレーザ光の位相を互いに異ならせる複数の領域を有する。位相シフト領域35aを通過した参照光に対して、位相シフト領域35bを通過した参照光は、その進行方向に垂直な平面上における位相がその偏光方向に関わらず(-π/2)だけずれる。便宜上、位相シフト領域35aを通過した参照光を位相シフト量が0の参照光、位相シフト領域35bを通過した参照光を位相シフト量が(-π/2)の参照光と記載する。位相シフトアレイデバイス35は、線状の位相シフト領域35aと線状の位相シフト領域35bとが交互に並んで配置された構成をしている。位相シフトアレイデバイス35は、例えば、ガラスで形成し位相シフト領域毎にその厚みを変えることで構成できる。

【0056】
位相シフトアレイデバイス35を通過した参照光は、結像光学素子12を通過し、ビーム結合素子9によって反射され、偏光子アレイデバイス31を通過し、参照光の光軸が撮像面2aにほぼ垂直になるように撮像面2aに入射する。位相シフトアレイデバイス35を通過した参照光は回折し、結像光学素子12によって撮像面2aに結像される。結像光学素子12はレンズから構成されている。ここで、例えば、位相シフトアレイデバイス35の1つの位相シフト領域35aまたは1つの位相シフト領域35bを通過した参照光は、撮像面2aのいずれか1つの行の画素に結像される。すなわち、格子状に区切られた位相シフト領域35aおよび位相シフト領域35bの1つのセルを通過した参照光は、撮像面2aのいずれか1つの画素に結像される。また、図5の(a)では、位相シフトアレイデバイス35の領域35aおよび領域35bを格子状に区切って描いているが、実際には位相シフトアレイデバイス35は縞状の構造であってもよい。

【0057】
分割された光の他方である物体光は、ミラー10によって反射され、偏光分割素子11を通過する。本実施の形態では、物体光は偏光分割素子11によって第1方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光と、第2方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光との2種類に分割される。これら2種類の物体光は、互いの伝播方向が角度にしてΔθだけ異なる。互いに角度差を有する2種類の物体光は、ビーム結合素子9によって反射され、角度差を有したまま被写体20に照射される。被写体20に反射された物体光は、ビーム結合素子9を通過し、偏光子アレイデバイス31を通過し、撮像素子2の撮像面2aに入射する。

【0058】
図5の(b)は、撮像面2a側からみた偏光子アレイデバイス31の一部を示す模式図である。偏光子アレイデバイス31は、通過した光のある方向(ここでは水平方向)の偏光成分のみを取り出す偏光子31aと、それとは直交する方向(ここでは垂直方向)の偏光成分のみを取り出す偏光子31bとが市松模様に複数配置されたものである。そして、入射する参照光は水平方向の偏光成分および垂直方向の偏光成分を有している。本実施の形態では上記の第1方向は水平方向に一致し、第2方向は垂直方向に一致する。すなわち、偏光子31a・31bは、偏光分割素子11で分割された2種類の物体光の内の、それぞれの偏光方向に対応した一方のみの物体光を通過させる。また、偏光子31a・31bは、参照光のそれぞれの偏光方向に対応した偏光成分のみを通過させる。

【0059】
偏光子アレイデバイス31を通過した物体光および参照光は、その背面にある撮像面2aに入射する。物体光および参照光の干渉に応じた光の強度が撮像面2aの画素によって検出され、撮像素子2は、物体光と参照光とが撮像面2aに作る干渉パターン(干渉縞)を撮像する。ここで、偏光子アレイデバイス31は撮像面2aに隣接して貼り付けられているため、個々の偏光子31a・31bが撮像面2aの1つの画素に対応する。また、位相シフトアレイデバイス35の図5の(a)に示す格子で区切られた1つのセルを通過した参照光は、結像光学素子12によって結像され、偏光子アレイデバイス31の1つの偏光子31aまたは1つの偏光子31bを通過する。それゆえ、撮像面2aには、偏光方向および被写体に照射される角度が異なる2種類の物体光と位相が異なる2種類の参照光との組み合わせによる4種類の干渉の画素がある。

【0060】
図6は、デジタルホログラフィ装置61における像再生アルゴリズムを説明するための図である。計算機3は、撮像素子2で撮像された干渉パターン(干渉像)44を示す画像データを撮像素子2から取得する。図6には干渉パターン44の一部だけを示す。

【0061】
撮像面2aに作られる干渉パターン44は、水平方向に偏光した物体光と位相シフト量が0の参照光の水平方向成分とが干渉した画素45a、水平方向に偏光した物体光と位相シフト量が(-π/2)の参照光の水平方向成分とが干渉した画素45b、垂直方向に偏光した物体光と位相シフト量が0の参照光の垂直方向成分とが干渉した画素45c、および垂直方向に偏光した物体光と位相シフト量が(-π/2)の参照光の垂直方向成分とが干渉した画素45dの4種類の画素を含む。

【0062】
計算機3は、これらの4種類の画素45a・45b・45c・45dをそれぞれ抽出することにより、水平方向に偏光した物体光と位相シフト量が0の参照光の水平方向成分との干渉パターン46a、水平方向に偏光した物体光と位相シフト量が(-π/2)の参照光の水平方向成分との干渉パターン46b、垂直方向に偏光した物体光と位相シフト量が0の参照光の垂直方向成分との干渉パターン46c、および垂直方向に偏光した物体光と位相シフト量が(-π/2)の参照光の垂直方向成分との干渉パターン46dを得る。

【0063】
次に、計算機3は、水平方向偏光且つ位相シフト量が0の干渉パターン46a、水平方向偏光且つ位相シフト量が(-π/2)の干渉パターン46b、垂直方向偏光且つ位相シフト量が0の干渉パターン46c、および垂直方向偏光且つ位相シフト量が(-π/2)の干渉パターン46dの欠落している画素の画素値を補間し、補間された水平方向偏光且つ位相シフト量が0の干渉パターン47a、補間された水平方向偏光且つ位相シフト量が(-π/2)の干渉パターン47b、補間された垂直方向偏光且つ位相シフト量が0の干渉パターン47c、および補間された垂直方向偏光且つ位相シフト量が(-π/2)の干渉パターン47dを得る。

【0064】
これらの干渉パターンから再生像を得るためには、撮像素子2の撮像面2a上での参照光の強度分布の情報が必要になる。参照光の強度分布は定常的で変化しないため、予め、または被写体の干渉パターンを撮像した後に、物体光を遮る等して参照光だけを撮像しておく。参照光の強度分布を得る際に被写体21は不要である。計算機3は、干渉パターン44と同様に、撮像素子2から参照光の強度分布48を取得する。参照光は、偏光子アレイデバイス31を通過しているので、参照光の強度分布48は、参照光の水平方向成分の強度を示す画素49aおよび参照光の垂直方向成分の強度を示す画素49bの両方を含む。

【0065】
計算機3は、これらの2種類の画素49a・49bをそれぞれ抽出することにより、参照光の水平方向成分の強度分布50a、および参照光の垂直方向成分の強度分布50bを得る。

【0066】
また、参照光の強度分布が一様だと仮定できる場合あるいは推定できる場合は、参照光の強度分布の記録を省略し、再生像を得る信号処理時に計算機3によって参照光の強度分布を生成して用いてもよい。

【0067】
次に、計算機3は、参照光の水平方向成分の強度分布50a、および参照光の垂直方向成分の強度分布50bの欠落している画素の画素値を補間し、補間された参照光の水平方向成分の強度分布51a、および補間された参照光の垂直方向成分の強度分布51bを得る。

【0068】
これらの補間された位相シフト量の異なる干渉パターン47a・47b、および補間された参照光の強度分布51aに基づき、2段階位相シフト法(非特許文献4)を用いて、水平方向に偏光した物体光の撮像面2a上の複素振幅分布52aを求めることができる。同様にして、補間された位相シフト量の異なる干渉パターン47c・47d、および補間された参照光の強度分布51bに基づき、垂直方向に偏光した物体光の撮像面2a上の複素振幅分布52bを求めることができる。

【0069】
得られた複素振幅分布に基づき、回折積分を行うことにより、被写体の再生像および被写体の3次元形状の情報を含む位相分布を得ることができる。ここで、水平方向に偏光した物体光と垂直方向に偏光した物体光とは、それぞれΔθだけ異なる角度で被写体20に照射されるので、物体光の伝播方向が異なる2種類の複素振幅分布52a・52bを用いて位相接続を行い、被写体20の3次元形状の情報を得ることができる。

【0070】
これにより、デジタルホログラフィ装置61は、被写体20の1回の撮像によって物体光の被写体20への照射角および位相シフト量が異なる4種類の干渉パターン46a~46dを得ることができる。そのため、そこから求められる2種類の複素振幅分布52a・52bを用いて位相接続を行うことができ、動的に変化している被写体20の3次元情報を得ることができる。

【0071】
<シミュレーション結果>
本願発明者は、計算機による本実施の形態に基づく位相接続のシミュレーションを行った。以下に、そのシミュレーション結果について説明する。

【0072】
被写体の撮像を行う光学系は図4に示すものである。図7の(a)は、被写体21の高さ分布を示す撮像素子2の方向から見た図である。図7の(a)における明暗は、被写体21の奥行き方向の高さ分布を表しており、明るい部分(中央部分)は、奥行き方向の高さが高い、すなわち撮像素子2側にある。図7の(b)は、図7の(a)の切断線Aにおける被写体21の断面図である。被写体21は、5.12mm×5.12mmの正方形を底面とする四角錐の頂点を切り取った形をしており、被写体21の最大高さは3.0mmである。図7の(c)は、被写体21の見た目の明暗を表す振幅分布を示す図7の(a)に対応する図である。すなわち、被写体21には「KIT」の模様が描かれている。

【0073】
レーザ光源1が発生するレーザ光の波長は532nm、撮像素子2の画素数は2048×2048ピクセルであり、その画素間隔は5μmである。撮像素子2の撮像面2aと被写体21の底面との距離は30cmであり、被写体21の底面が基準面となるように被写体21の背後に平らな面を配置した。また、水平方向の偏光成分および垂直方向の偏光成分のいずれにおいても撮像面2aに入射する物体光の強度と参照光の強度の比は1:7とした。また、被写体21へ入射する物体光と撮像面2aに垂直な直線がなす角度は、水平方向に偏光した物体光では0度、垂直方向に偏光した物体光では1度とした。この条件における理論的な位相接続可能範囲Δhは約3.49mmとなる。

【0074】
図8の(a)は、上記条件の下で水平方向に偏光した物体光から得られた被写体21の再生像(振幅分布)を示す図であり、図8の(b)は、図8の(a)に対応する位相分布を示す図である。図8の(c)は、上記条件の下で垂直方向に偏光した物体光から得られた被写体21の再生像(振幅分布)を示す図であり、図8の(d)は、図8の(c)に対応する位相分布を示す図である。図8の(b)および図8の(d)に示される位相分布は、被写体21の高さ方向の情報がレーザ光の波長の範囲に折り畳まれたものであり、被写体21の高さの変化を位相で表現し、それを明暗で表示してある。

【0075】
図9は、図8の(b)における直線Bの位置での、位相接続前の被写体21の位相分布を示す図である。被写体21の高さ方向の情報は、レーザ光の波長532nmの範囲に折り畳まれている。

【0076】
図8の(b)および図8の(d)に示す位相分布を用いて位相接続を行うことにより、波長の範囲に折り畳まれていない被写体21の本来の高さ分布を得ることができる。図10は、位相接続を行って得られた被写体21の高さ分布を示す、撮像素子2の方向から見た図である。図10における明暗は、被写体21の奥行き方向の高さ分布を表しており、明るい部分(中央部分)は、奥行き方向の高さが高い。位相接続によって、図10に示すように、被写体21の形状を再現できていることが分かる。

【0077】
図11は、図10における直線Cの位置での、被写体21の本来の高さ分布と、位相接続後の被写体21の高さ分布とを示す図である。位相接続によって、奥行きの最大高さ3mmの被写体21の形状を再現できていることが分かる。

【0078】
尚、このシミュレーション結果において、高さ分布の平均誤差は3.90×10-2mm、標準偏差は2.99×10-2mmであった。撮像素子2の画素密度の向上、エイリアシングの減少、またはホログラム再生に関する信号処理により、さらに計測精度を向上させることができる。

【0079】
したがって、本実施の形態によれば、単一波長のレーザ光を発生する1つの光源を用い、被写体の一回の撮像によって得られる干渉パターンに基づき位相接続を行い、波長より広い範囲の被写体の3次元情報を得ることができる。上記のシミュレーションでは、波長の5000倍以上の奥行き高さの測定範囲を得ることができた。一回の撮像によって位相接続に必要な干渉パターンを得られるので、動的に変化する被写体の3次元情報を得ることができる。それゆえ、このデジタルホログラフィ装置は振動にも強い。また、単一波長のレーザ光を用いて位相接続を行うので、複数波長のレーザ光を用いる場合に比べ、被写体がその反射率、透過率、または屈折率に大きな波長依存性を有する場合でも精度よく3次元形状を計測することができる。また、1つのレーザ光源だけを用いて計測を行うことができるので、デジタルホログラフィ装置を小型化し、且つ安価に製作できる。1つのレーザ光源だけを用いるので、複数のレーザ光源を用いる場合に必要なレーザ光の軸合わせが不要であり、それゆえ、計測誤差の発生を抑制することができ、信頼性の高いデジタルホログラフィ装置を実現することができる。

【0080】
尚、位相シフトアレイデバイスの位相を異ならせる複数の領域は、波長板を用いて構成してもよいし、位相シフト領域毎に厚みを変えることによって構成してもよいし、それぞれの領域に液晶素子を設け液晶分子の向きを変えることによって構成してもよいし、他の複屈折材料を用いて構成しても良いし、構造性複屈折を有する素子を用いて構成してもよい。

【0081】
[実施の形態3]
次に、実施の形態3のデジタルホログラフィ装置について説明する。尚、説明の便宜上、実施の形態2にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

【0082】
図12は、実施の形態3のデジタルホログラフィ装置(干渉計測装置)62の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置62は、インライン型の光学系で構成されており、撮像面2aに入射する参照光の光軸は撮像面2aに垂直であり、且つ被写体22は撮像面2aの光学的な正面に位置している。ここで、光学的な正面という意味は、被写体22から出た光はビーム結合素子9によって反射されるため、撮像素子2から見て、被写体22が正面に位置しているように見えるということを指す。それゆえ、各回折像を独立に得るため、本実施の形態では光路長シフト法を組み合わせて用いる。

【0083】
デジタルホログラフィ装置62は、2つのレーザ光源1a・1bを含む光学系と、CCDからなる撮像面2aを有する撮像素子2とを有する撮像装置を備える。さらに、デジタルホログラフィ装置62は、撮像素子2の出力に接続された計算機3を備える。撮像素子2は、撮像面2aの前面に偏光子アレイデバイス32、光路長シフトアレイデバイス36、および波長選択フィルタ33を備える。

【0084】
レーザ光源1a・1bは互いに異なる波長のレーザ光を発生する。レーザ光源1aが発生するレーザ光の波長をλ1、レーザ光源1bが発生するレーザ光の波長をλ2とする。レーザ光源1aから出射されたレーザ光はミラー13で反射され、ビーム結合素子14によってレーザ光源1bから出射されたレーザ光と結合される。ビーム結合素子14を通過、または反射された2つのレーザ光は光軸が一致している。

【0085】
ここで、レーザ光の伝播方向に垂直な1つの方向を第1方向と定義し、レーザ光の伝播方向および第1方向に垂直な方向を第2方向と定義する。各レーザ光は、第1方向の偏光成分と第2方向の偏光成分とを有する直線偏光の光である。各レーザ光は、ビームエキスパンダ4およびコリメータレンズ5を通過することにより平行光となる。それから、各レーザ光はビームスプリッタ6によって参照光と物体光とに分割される。参照光および物体光は、それぞれ2つの波長のレーザ光からなる。

【0086】
ミラー7で反射された参照光は、ビーム結合素子9を通過し、偏光子アレイデバイス32を通過し、光路長シフトアレイデバイス36を通過し、波長選択フィルタ33を通過し、参照光の光軸が撮像面2aにほぼ垂直になるように撮像面2aに入射する。

【0087】
分割された光の他方である物体光は、ハーフミラーからなる偏光分割素子(偏光分割部)15で偏光方向に応じて2つに分割される。偏光分割素子15は、ハーフミラーの背面に偏光子を貼り合わせて構成することができる。物体光の偏光分割素子15への入射角をブリュースター角にすることで、反射される物体光の偏光方向と透過する物体光の偏光方向を直交するものにすることができる。物体光は、偏光分割素子15によって反射された第1方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光と、偏光分割素子15を透過した第2方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光との2種類に分割される。透過した物体光はミラー16によって反射され被写体22の方向に向けられる。偏光分割素子15およびミラー16を合わせて偏光分割部をなす。偏光分割素子15とミラー16とは角度にして(Δθ/2)だけ角度が異なるので、これらの物体光は、互いの伝播方向が角度にしてΔθだけ異なる。尚、物体光は波長の違いも含めると4種類である。

【0088】
互いに角度差を有するこれらの物体光は、被写体22に照射される。これらの物体光は被写体22を透過する際に、被写体22によって散乱または回折される。被写体22によって散乱または回折されたこれらの物体光は、ビーム結合素子9によって反射され、偏光子アレイデバイス32を通過し、波長選択フィルタ33を通過し、撮像面2aに入射する。

【0089】
図13の(a)は、撮像面2a側からみた偏光子アレイデバイス32の一部を示す模式図である。偏光子アレイデバイス32は、通過した光のある方向(ここでは水平方向)の偏光成分のみを取り出す線状に並んだ偏光子32aと、それとは直交する方向(ここでは垂直方向)の偏光成分のみを取り出す線状に並んだ偏光子32bとが複数配置されたものである。そして、入射する参照光は水平方向の偏光成分および垂直方向の偏光成分を有している。本実施の形態では上記の第1方向は水平方向に一致し、第2方向は垂直方向に一致する。すなわち、偏光子32a・32bは、偏光分割素子15で分割された2種類の物体光の内の、それぞれの偏光方向に対応した一方のみの物体光を通過させる。また、偏光子32a・32bは、参照光のそれぞれの偏光方向に対応した偏光成分のみを通過させる。

【0090】
図13の(b)は、撮像面2a側からみた光路長シフトアレイデバイス36の一部を示す模式図である。光路長シフトアレイデバイス36は、通過したレーザ光の光路長を互いに異ならせる複数の領域を有する。本実施の形態では光路長シフトアレイデバイス36の光路長シフト領域36a・36bは互いに光学軸が直交する1/4波長板で構成されている。光路長シフト領域36aの高速軸は水平方向に一致しており、低速軸は垂直方向に一致している。光路長シフト領域36bの高速軸は垂直方向に一致しており、低速軸は水平方向に一致している。したがって、光路長シフト領域36aを通過した水平方向偏光の参照光および物体光に対して、光路長シフト領域36bを通過した水平方向偏光の参照光および物体光の位相は(-π/2)だけずれる。すなわち、1/4波長だけ光路差が生じる。また、光路長シフト領域36bを通過した垂直方向偏光の参照光および物体光に対して、光路長シフト領域36aを通過した垂直方向偏光の参照光および物体光の位相は(-π/2)だけずれる。

【0091】
便宜上のため、光路長シフト領域36a・36bの低速軸に偏光方向が一致し、位相が(-π/2)だけずれた物体光および参照光を、光路長シフト量が(-π/2)の物体光および参照光と記載し、光路長シフト領域36a・36bの高速軸に偏光方向が一致した物体光および参照光を、光路長シフト量が0の物体光および参照光と記載する。

【0092】
尚、光路長シフト領域36a、36bは、波長λ1のレーザ光に対する1/4波長板であり、光路長シフト領域36c、36dは、それぞれ光路長シフト領域36a、36bに対応する波長λ2のレーザ光に対する1/4波長板である。

【0093】
光路長シフトアレイデバイス36は、線状の光路長シフト領域36aと線状の光路長シフト領域36bと線状の光路長シフト領域36cと線状の光路長シフト領域36dとが交互に並んで配置された構成をしている。

【0094】
図13の(c)は、撮像面2a側からみた波長選択フィルタ33の一部を示す模式図である。波長選択フィルタ33は、波長に応じて選択的に光を通過させるフィルタであり、波長λ1の光を通過させ波長λ2の光を遮断する第1波長選択領域33a、および波長λ2の光を通過させ波長λ1の光を遮断する第2波長選択領域33bが複数配置されている。

【0095】
波長選択フィルタ33を通過した物体光および参照光は、その背面にある撮像面2aに入射する。物体光および参照光の干渉に応じた光の強度が撮像面2aの画素によって検出され、撮像素子2は、物体光と参照光とが撮像面2aに作る干渉パターン(干渉縞)を撮像する。ここで、偏光子アレイデバイス32、光路長シフトアレイデバイス36、および波長選択フィルタ33は撮像面2aに隣接して貼り付けられているため、格子状に区切られた偏光子32a・32bの個々のセル、格子状に区切られた光路長シフト領域36a・36bの個々のセル、および格子状に区切られた波長選択領域33a・33bの個々のセルが撮像面2aの1つの画素に対応する。

【0096】
それゆえ、撮像面2aには、2種類の波長、2種類の偏光方向、および2種類の光路長(位相の違い)の組み合わせによる8種類の干渉パターンの画素がある。また、偏光方向と共に物体光が被写体に照射される角度が異なる。

【0097】
図14は、デジタルホログラフィ装置62で得られる干渉パターン53の一部を示す図である。計算機3は、撮像素子2で撮像された干渉パターン(ホログラム)53を示す画像データを撮像素子2から取得する。

【0098】
撮像面2aに作られる干渉パターン53は、光路長シフト量が0で波長λ1の水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素54a、光路長シフト量が(-π/2)で波長λ1の水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素54b、光路長シフト量が0で波長λ1の垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素54c、光路長シフト量が(-π/2)で波長λ1の垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素54d、光路長シフト量が0で波長λ2の水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素54e、光路長シフト量が(-π/2)で波長λ2の水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素54f、光路長シフト量が0で波長λ2の垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素54g、および光路長シフト量が(-π/2)で波長λ2の垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素54hの8種類の画素を含む。

【0099】
計算機3は、これら8種類の画素54a~54hをそれぞれ抽出することにより、2種類の波長毎に図6に示すのと同様の干渉パターンを得ることができる。位相シフト法の代わりに光路長シフト法を用いることにより、同様の手順で被写体22の再生像、および被写体22の3次元情報を得ることができる。このとき、位相接続は各波長毎に、光路長シフト法を適用し、被写体22と撮像素子2との光路長が異なる2種類の複素振幅分布を用いて行うことができる。

【0100】
本実施の形態では、被写体22を波長が異なる2つのレーザ光によって同時に観察・計測している。そのため、被写体22が透過率、または反射率等に波長依存性を有していたとしても、被写体22に吸収されないいずれかの波長の物体光を撮像することができれば、その波長による計測を行うことができる。よって、用いるレーザ光の波長の種類を増やすことによって、多様な波長依存性を有する被写体の3次元情報を得ることができる。すなわち、1回の撮像で分光の3次元計測を行うことができる。

【0101】
応用例として、デジタルホログラフィ装置62を、例えば生物の細胞の内部物質の観察に利用することが考えられる。細胞の代謝物は、短い時間で生成および分解されることがあるため、短い時間で撮像することが重要になる。また、代謝物は種類によって様々な波長依存性を有しているため、1つの波長のみを用いた観測ではこのような複数の代謝物を同時に観察・計測することができない。本実施の形態を適用すれば、様々な波長依存性を有する複数の物質を、同時に観測することができる。

【0102】
図15は、被写体23を示す模式図である。被写体23は、異なる波長依存性を有する複数の物質23a・23bを含む。物質23aは波長λ1の光を散乱せず、波長λ1の光では観測できない。反対に物質23bは波長λ2の光を散乱せず、波長λ2の光では観測できない。

【0103】
この被写体23に対して、本実施の形態を適用し、λ1・λ2の2つの波長のレーザ光を用いて3次元計測を行うと、波長λ1のレーザ光の干渉パターンからは物質23bの位置情報が得られ、波長λ2のレーザ光の干渉パターンからは物質23aの位置情報が得られる。これにより、1回の撮像で、すなわち同時に物質23aおよび物質23bの位置情報を得ることができる。

【0104】
物質23a・23bが例えば代謝物であり、物質23a・23bは生成されてもすぐに分解されてしまうような場合でも、ある瞬間の3次元の位置情報を得ることにより2つの物質23a・23bの相関関係を調べることができる。

【0105】
[実施の形態4]
次に、実施の形態4のデジタルホログラフィ装置について説明する。尚、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

【0106】
図16は、実施の形態4のデジタルホログラフィ装置(干渉計測装置)63の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置63は、実施の形態1の構成に加えて、サイズ計測部17、制御部18、および角度差調節部19を備える。

【0107】
参照光および物体光による計測の前に、サイズ計測部17は、被写体20の撮像素子2から見た奥行き方向のおおよそのサイズを測定する。制御部18は、サイズ計測部17から測定された被写体20のサイズを取得する。

【0108】
ここで、位相接続が可能な範囲はΔθおよびηに依存する。ここで、ηは撮像面2aに直交する軸に対して、偏光分割素子(偏光分割部)11によって分割されたいずれかの物体光がなす角度である。Δθは、偏光分割素子11によって生じる偏光方向が異なる2種類の物体光の伝播方向の角度差である。λをレーザ光の波長、kをレーザ光の波数、xを奥行き方向に直交する軸の座標、h(x)を被写体20の奥行き高さ分布とする。ある偏光方向の干渉パターンから得られる被写体の再生像の位相分布φ1は、以下で示される。

【0109】
φ1=k{xsinη+h(x)cosη}
これと直交する偏光方向の干渉パターンから得られる被写体の再生像の位相分布φ2は、以下で示される。

【0110】
φ2=k{xsin(η+Δθ)+h(x)cos(η+Δθ)}
これらの位相差Δφ≡φ2-φ1は、以下で示される。

【0111】
Δφ=2ksin(Δθ/2){xcos(η+Δθ/2)-h(x)sin(η+Δθ/2)}
奥行き方向に直交する軸上における等高線の間隔Δhは、以下で示される。

【0112】
Δh=λ/{2sin(Δθ/2)sin(η+Δθ/2)}
このΔhの値が、光学的に位相接続可能な範囲となる。すなわち、位相接続可能な範囲はΔθおよびηに依存する。

【0113】
そこで、制御部18は、サイズ計測部17によって測定された被写体20のサイズに応じて、位相接続可能な範囲を変更するためにΔθおよびηを調節する。具体的には例えば、偏光分割素子11の配置角度を変更するよう角度差調節部19に指示を出す。制御部18からの指示に基づき、角度差調節部19は偏光分割素子11の配置角度を変更し、Δθおよびηの値を変更する。

【0114】
これにより、デジタルホログラフィ装置63は、被写体20のおよそのサイズを読み取り、自動で偏光方向の異なる2種類の物体光の角度差Δθおよび撮像面2aと直交する軸といずれかの物体光とのなす角ηを調節し、被写体20に適した角度差Δθ、および撮像面2aと直交する軸といずれかの物体光のなす角ηを有する2種類の物体光を用いて位相接続を行うことができる。そのため、被写体に応じて精度よく位相接続を行い、3次元情報を得ることができる。

【0115】
[実施の形態5]
次に、実施の形態5のデジタルホログラフィ装置について説明する。本実施の形態は、3種類の波長のレーザ光を用いる分光計測デジタルホログラフィに関する。尚、説明の便宜上、前出の実施の形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

【0116】
図17は、実施の形態5のデジタルホログラフィ装置(干渉計測装置)64の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置64は、インライン型の光学系で構成されており、撮像面2aに入射する参照光の光軸は撮像面2aに垂直であり、且つ被写体24は撮像面2aの光学的な正面に位置している。それゆえ、各回折像を独立に得るため、本実施の形態では位相シフト法を組み合わせて用いる。

【0117】
デジタルホログラフィ装置64は、3つのレーザ光源1a・1b・1cを含む光学系と、CCDからなる撮像面2aを有する撮像素子2とを有する撮像装置を備える。さらに、デジタルホログラフィ装置64は、撮像素子2の出力に接続された計算機3を備える。撮像素子2は、撮像面2aの前面に波長選択フィルタ37および偏光子アレイデバイス34を備える。

【0118】
レーザ光源1a・1b・1cは互いに異なる波長のレーザ光を発生する。レーザ光源1aが発生するレーザ光の波長をλ1、レーザ光源1bが発生するレーザ光の波長をλ2、レーザ光源1cが発生するレーザ光の波長をλ3とする。本実施の形態ではλ1=632.8nm(赤色:R)、λ2=532nm(緑色:G)、λ3=441.6nm(青色:B)である。レーザ光源1a・1b・1cから出射されたレーザ光は、ミラー13および2つのビーム結合素子14によって結合される。結合されたこれら3つのレーザ光は光軸が一致している。

【0119】
ここで、レーザ光の伝播方向に垂直な1つの方向を第1方向と定義し、レーザ光の伝播方向および第1方向に垂直な方向を第2方向と定義する。各レーザ光は、第1方向の偏光成分と第2方向の偏光成分とを有する直線偏光の光である。各レーザ光は、ビームエキスパンダ4およびコリメータレンズ5を通過することにより平行光となる。それから、各レーザ光はビームスプリッタ6によって参照光と物体光とに分割される。参照光および物体光は、それぞれ3つの波長のレーザ光からなる。

【0120】
デジタルホログラフィ装置64は、参照光を互いに位相が異なる複数種類の参照光に分割するため、ミラー8とビーム結合素子9との間に配置された位相シフトアレイデバイス38および結像光学部26を備える。

【0121】
図18の(a)は、位相シフトアレイデバイス38の一部を示す模式図である。位相シフトアレイデバイス38は、通過したレーザ光の位相を互いに異ならせる複数の領域を有する。位相シフトアレイデバイス38は、6種類の位相シフト領域38a~38fから構成されている。位相シフト領域38aを通過した波長λ1の参照光に対して、位相シフト領域38bを通過した波長λ1の参照光は、その進行方向に垂直な平面上における位相がその偏光方向に関わらず(-π/2)だけずれる。また、位相シフト領域38cを通過した波長λ2の参照光に対して、位相シフト領域38dを通過した波長λ2の参照光は、その進行方向に垂直な平面上における位相がその偏光方向に関わらず(-π/2)だけずれる。位相シフト領域38eを通過した波長λ3の参照光に対して、位相シフト領域38fを通過した波長λ3の参照光は、その進行方向に垂直な平面上における位相がその偏光方向に関わらず(-π/2)だけずれる。なお、例えば位相シフト領域38a・38bを通過した波長λ2またはλ3の参照光の位相のずれは問題にならない。位相シフト領域38a・38bを通過した波長λ2およびλ3の参照光は、後に波長選択フィルタ37によって遮断してしまい撮像素子2に検出されないからである。便宜上、位相シフト領域38a・38c・38eを通過した参照光を位相シフト量が0の参照光、位相シフト領域38b・38d・38fを通過した参照光を位相シフト量が(-π/2)の参照光と記載する。

【0122】
位相シフトアレイデバイス38には、これら6種類の位相シフト領域38a~38fが図18の(a)のように配置されており、図に示す4×4セルの構造が周期的に配列している。位相シフトアレイデバイス38は、例えば、ガラスで形成し位相シフト領域毎に厚みを変えることで構成できる。

【0123】
位相シフトアレイデバイス38を通過した参照光は、結像光学部26を通過し、ビーム結合素子9によって反射され、波長選択フィルタ37を通過し、偏光子アレイデバイス34を通過し、参照光の光軸が撮像面2aにほぼ垂直になるように撮像面2aに入射する。位相シフトアレイデバイス38を通過した参照光は回折し、結像光学部26によって撮像面2aに結像される。結像光学部26は複数のレンズから構成されている。ここで、例えば、位相シフトアレイデバイス38の1つの位相シフト領域38aを通過した参照光は、撮像面2aのいずれか1つの画素に結像される。すなわち、格子状に区切られた位相シフト領域38a~38fの1つのセルを通過した参照光は、撮像面2aのいずれか1つの画素に結像される。

【0124】
分割された光の他方である物体光は、ミラー10によって反射され、偏光分割素子11を通過する。本実施の形態では、物体光は偏光分割素子11によって第1方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光と、第2方向の偏光成分のみを有する直線偏光の物体光との2種類に分割される。これら2種類の物体光は、互いの伝播方向が角度にしてΔθだけ異なる。そして、互いに角度差を有する2種類の物体光は、角度差を有したまま被写体24に照射される。被写体24に反射された物体光は、ビーム結合素子9を通過し、波長選択フィルタ37を通過し、偏光子アレイデバイス34を通過し、撮像素子2の撮像面2aに入射する。

【0125】
図18の(b)は、撮像面2a側からみた波長選択フィルタ37の一部を示す模式図である。波長選択フィルタ37は、波長に応じて選択的に光を通過させるフィルタであり、波長λ1の光を通過させ波長λ2・λ3の光を遮断する第1波長選択領域37a、波長λ2の光を通過させ波長λ1・λ3の光を遮断する第2波長選択領域37b、および波長λ3の光を通過させ波長λ1・λ2の光を遮断する第3波長選択領域37cがそれぞれ複数配置されている。

【0126】
図18の(c)は、撮像面2a側からみた偏光子アレイデバイス34の一部を示す模式図である。偏光子アレイデバイス34は、通過した光のある方向(ここでは水平方向)の偏光成分のみを取り出す偏光子34aと、それとは直交する方向(ここでは垂直方向)の偏光成分のみを取り出す偏光子34bとが複数配置されたものである。そして、入射する参照光は水平方向の偏光成分および垂直方向の偏光成分を有している。本実施の形態では上記の第1方向は水平方向に一致し、第2方向は垂直方向に一致する。すなわち、偏光子34a・34bは、偏光分割素子11で分割された2種類の物体光の内の、それぞれの偏光方向に対応した一方のみの物体光を通過させる。また、偏光子34a・34bは、参照光のそれぞれの偏光方向に対応した偏光成分のみを通過させる。

【0127】
偏光子アレイデバイス34を通過した物体光および参照光は、その背面にある撮像面2aに入射する。物体光および参照光の干渉に応じた光の強度が撮像面2aの画素によって検出され、撮像素子2は、物体光と参照光とが撮像面2aに作る干渉パターン(干渉縞)を撮像する。ここで、偏光子アレイデバイス34および波長選択フィルタ37は撮像面2aに隣接して貼り付けられているため、格子で区切られた個々の波長選択領域37a~37c、および格子で区切られた個々の偏光子34a・34bが撮像面2aの1つの画素に対応する。また、位相シフトアレイデバイス38の格子で区切られた1つのセル(位相シフト領域38a~38f)を通過した参照光は、結像光学部26によって結像され、波長選択フィルタ37の1つの波長選択領域37a~37cおよび偏光子アレイデバイス34の1つの偏光子34a・34bを通過する。

【0128】
それゆえ、3種類の波長のレーザ光について、それぞれ偏光方向および被写体に照射される角度が異なる2種類の物体光と、位相が異なる2種類の参照光との組み合わせがあり、撮像面2aには合計12種類の干渉の画素がある。

【0129】
図19は、デジタルホログラフィ装置64で得られる干渉パターン55の一部を示す図である。計算機3は、撮像素子2で撮像された干渉パターン(ホログラム)55を示す画像データを撮像素子2から取得する。

【0130】
撮像面2aに作られる干渉パターン55は、波長λ1の位相シフト量が0で水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素56a、波長λ1の位相シフト量が(-π/2)で水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素56b、波長λ1の位相シフト量が0で垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素56c、波長λ1の位相シフト量が(-π/2)で垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素56d、波長λ2の位相シフト量が0で水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素56e、波長λ2の位相シフト量が(-π/2)で水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素56f、波長λ2の位相シフト量が0で垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素56g、波長λ2の位相シフト量が(-π/2)で垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素56h、波長λ3の位相シフト量が0で水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素56i、波長λ3の位相シフト量が(-π/2)で水平方向に偏光した物体光と参照光の水平方向成分とが干渉した画素56j、波長λ3の位相シフト量が0で垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素56k、および波長λ3の位相シフト量が(-π/2)で垂直方向に偏光した物体光と参照光の垂直方向成分とが干渉した画素56lの12種類の画素を含む。

【0131】
計算機3は、これら12種類の画素56a~56lをそれぞれ抽出することにより、3種類の波長毎に図6に示す干渉パターン46a~46dと同様の、画素の種類に応じた干渉パターンを得ることができる。各波長の干渉パターンについて、実施の形態2と同様に欠落した画素を補間し、2段階位相シフト法を用いることにより、波長および偏光成分毎の6種類の複素振幅分布が得られ、被写体24の再生像を得ることができる。またさらに、得られた複素振幅分布を用いて波長毎に位相接続を行うことにより、被写体24の3次元情報を得ることができる。複数種類の波長のレーザ光を用いた分光干渉計測の利点について、以下に計算機シミュレーションの結果を用いて説明する。

【0132】
<シミュレーション結果>
本願発明者は、計算機による本実施の形態に基づく位相接続のシミュレーションを行った。以下に、そのシミュレーション結果について説明する。

【0133】
被写体の撮像を行う光学系は図17に示すものである。図20の(a)は、被写体24の高さ分布を示す撮像素子2の方向から見た図である。図20の(a)における明暗は、被写体24の奥行き方向の高さ分布を表しており、明るい部分(中央部分)は、奥行き方向の高さが高い、すなわち撮像素子2側にある。図20の(b)は、図20の(a)の切断線Dにおける被写体24の高さ分布をプロットした図である。被写体24は、9mm×9mmを底面とした最大高さ25μmの凸形状の物体である。図20の(c)は、被写体24の見た目の明暗を表す振幅分布を示す図20の(a)に対応する図である。被写体24には「KIT」の模様が描かれており、「K」は赤色、「I」は緑色、「T」は青色で描かれている。すなわち、被写体24の「K」の部分は波長λ1の光を主に反射(散乱)し、その他の波長λ2・λ3の光に対する反射率が低い。同様に、被写体24の「I」の部分は波長λ2の光に対する反射率が高く、波長λ1・λ3の光に対する反射率が低い。被写体24の「T」の部分は波長λ3の光に対する反射率が高く、波長λ1・λ2の光に対する反射率が低い。なお、被写体24の「KIT」の文字以外の領域は灰色であり、各波長の光に対して同程度の反射率を有する。

【0134】
撮像素子2の画素数は2048×2048ピクセルであり、その画素間隔は5μmである。撮像素子2の撮像面2aと被写体24の底面との距離は20cmである。また、水平方向の偏光成分および垂直方向の偏光成分のいずれにおいても撮像面2aに入射する物体光の強度と参照光の強度の比は1:7とした。また、被写体24へ入射する物体光の光軸の角度は、水平方向に偏光した物体光では10度、垂直方向に偏光した物体光では14度とした。すなわち、図17に示す角度η=10度、Δθ=4度である。上記角度は、撮像面2aに垂直な直線と被写体24へ入射する物体光が成す角度である。この条件における理論的な位相接続可能範囲Δhは約30.4μmとなる。

【0135】
図21は、上記条件の下で得られた複素振幅分布に基づき、計算機3によって波長毎に求めた被写体24の再生像(振幅分布)を示す図である。波長λ1(赤色)のレーザ光から得られた再生像では、枠で囲まれた領域80aに位置する赤色の「K」の文字は明るい。すなわち「K」の部分からの光情報が得られていることが分かる。一方、枠で囲まれた領域80bに位置する緑色の「I」および青色の「T」の文字は暗い。すなわち「I」「T」の部分からの光情報が得られていない。光情報が得られていないということは、すなわち当該部分の高さ情報も得られていないということである。波長λ2(緑色)、および波長λ3(青色)の再生像についても同様のことが言える。波長λ2の再生像では枠で囲まれた領域80dに位置する「K」「T」の部分の光情報が得られず、波長λ3の再生像では枠で囲まれた領域80fに位置する「K」「I」の部分の光情報が得られていない。

【0136】
図22は、同様の複素振幅分布に基づき、各波長毎に独立に位相接続を行って得られた被写体24の高さ分布を示す図である。図22の(a)~(c)は、図20の(a)に対応し、各波長毎に得られた被写体24の高さ分布を明暗で示す図であり、図22の(d)~(f)は、図20の(c)に対応し、それぞれ図22の(a)~(c)の切断線での被写体24の高さ分布を示す図である。

【0137】
ここで、波長λ2(緑色)について図22の(b)、図22の(e)を参照すると、それぞれ枠で囲まれた領域81dに位置する「K」「T」の文字の部分において位相接続による高さ分布の誤差が大きくなっているのが分かる。図22の(b)の枠で囲まれた領域81dの切断線での被写体24の高さ分布は、図22の(e)の枠82dで囲まれた部分が対応する。波長λ1、波長λ3の高さ分布についても同様のことが言える。波長λ1の干渉パターンから求めた高さ分布では、光情報が得られない「I」「T」の部分において位相接続による高さ分布の誤差が大きくなっており、波長λ3の干渉パターンから求めた高さ分布では、光情報が得られない「K」「I」の部分において位相接続による高さ分布の誤差が大きくなっている。このように、被写体24の反射率に大きな波長依存性がある場合、1つの波長の光のみを用いて位相接続を行うと、精度よく被写体24の3次元形状の情報を得られない。

【0138】
そこで、本実施の形態では、各波長のレーザ光によって得られた高さ分布から、再生像の領域毎に最も信頼性の高い波長の高さ分布を抽出し、誤差の少ない被写体24の高さ分布を求める。

【0139】
すなわち、被写体24の赤色の「K」の文字に対応する図21の枠で囲まれた領域81aの高さ分布として、赤色の波長λ1のレーザ光によって得られた高さ分布(図22の(d)の枠82aの部分)を用いる。また、被写体24の緑色の「I」の文字に対応する図21の枠で囲まれた領域81cの高さ分布として、緑色の波長λ2のレーザ光によって得られた高さ分布(図22の(e)の枠82cの部分)を用いる。また、被写体24の青色の「T」の文字に対応する図21の枠で囲まれた領域81eの高さ分布として、青色の波長λ3のレーザ光によって得られた高さ分布(図22の(f)の枠82eの部分)を用いる。

【0140】
具体的には、再生像の所定の領域毎に、各波長の再生像における再生光の強度を比較し、最も再生光の強度が大きい波長の高さ分布を、当該領域の高さ分布として使用する。比較に用いる所定の領域を代表する再生光の強度として、当該領域に含まれる画素の画素値(光の振幅値)の平均値、または中央値等を用いてもよい。また、注目画素を含む再生像の所定の領域について各波長の再生像における再生光の強度(所定の領域における平均値等)を比較し、最も再生光の強度が大きい波長の高さ分布を、当該注目画素の高さ分布として使用してもよい。

【0141】
本実施の形態では、再生像の画素毎に、各波長の再生像における再生光の強度を比較する。そして再生像において最も再生光の強度が大きい波長の高さ分布を、当該画素の高さ分布として採用(選択)する。この振幅最大値挿入処理を全ての画素について行うことによって、被写体24の精度のよい高さ分布を得る。

【0142】
本実施の形態では、上記のように画素毎に再生光の強度を比較したが、複数の画素を含む小領域毎に比較を行うことにより、再生光のノイズおよびスペックルの影響を排除して振幅最大値挿入処理を行うことができる。

【0143】
図23の(a)は、図20の(a)に対応し、上記の振幅最大値挿入処理の結果得られた被写体24の高さ分布を明暗で示す図であり、図23の(b)は、図20の(c)に対応し、図23の(a)の切断線での被写体24の高さ分布を示す図である。

【0144】
振幅最大値挿入処理によって、各波長毎に求めた高さ分布において大きな誤差が発生していた部分が、精度よく位相接続ができている他の波長の高さ分布に置き換わり、全体的に被写体24の高さ分布を精度よく再現した高さ分布を得ることができる。

【0145】
なお、比較例として同様の条件の下、従来の複数波長位相接続法を用いて位相接続を行い、被写体24の高さ分布を求めた。図24の(a)は、図23の(a)に対応し、従来の複数波長位相接続法の結果得られた被写体24の高さ分布を明暗で示す図であり、図24の(b)は、図23の(b)に対応し、図24の(a)の切断線での被写体24の高さ分布を示す図である。

【0146】
図24の(a)および図24の(b)に示すように、文字「K」「I」「T」が位置する箇所で位相接続に失敗し、被写体24の3次元形状を正しく再現できていないことが分かる。これは被写体24が、文字「K」「I」「T」の位置において反射率に大きな波長依存性を有するからである。

【0147】
図25は、計算機3の構成を示すブロック図である。計算機3は再生処理部71、位相接続処理部72、抽出処理部73を備えている。

【0148】
再生処理部71は、撮像素子(図示せず)から干渉パターンを示す画像データを取得する。再生処理部71は、干渉パターンを示す画像データに基づき、種類別画素の抽出、補間処理、回折積分等を行い波長毎に被写体の再生像を得る。

【0149】
位相接続処理部72は、干渉パターンを示す画像データに基づき、位相接続を行い波長毎に被写体の高さ分布を得る。

【0150】
抽出処理部73は、再生像の注目画素を含む所定の領域について、各波長毎に当該領域の再生光の強度の代表値を決定する。抽出処理部73は、当該領域について、各波長の代表値を比較し、最も代表値が大きい波長における高さ分布を注目画素の高さ分布として抽出する。本実施の形態では、上記所定の領域は注目画素と同一である。抽出処理部73は、再生像の複数の画素、または全ての画素について上記の抽出処理を行い、抽出された高さ分布を組み合わせることによって被写体の高さ分布を求める。

【0151】
本実施の形態では、単一波長のレーザ光から得られ、物体光の照射角度が異なる2つの複素振幅分布を用いて位相接続を行い被写体の高さ分布を得る。そして、波長毎に求めた高さ分布から信頼性の高い部分を抽出することにより、反射率に大きな波長依存性を有する被写体についても精度よく3次元情報を得ることができる。

【0152】
また、本実施の形態では、赤緑青の3色のレーザ光を用いることにより、被写体の色を再現したカラーの再生像を得ることができる。また、用いるレーザ光の種類はこれに限らず、赤外線、紫外線、またはX線などの可視光以外の光であってもよい。また、用いるレーザ光は3つに限らず、4つ以上のレーザ光を用いてもよい。

【0153】
[他の変形例]
本発明に係る干渉計測装置は、コヒーレントな光を発生する光源と、上記光を参照光および物体光に分割する光分割部と、撮像部とを備え、参照光と、被写体を介して到達する物体光との干渉像を上記撮像部が撮像する干渉計測装置であって、物体光を互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割し、それぞれの伝播方向に角度差を生じさせる偏光分割部と、第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置され、参照光と、被写体を介して到達する物体光とを通過させる偏光子アレイ部とを備え、上記偏光子アレイ部の第1偏光子領域および第2偏光子領域は互いに異なる方向の偏光成分を通過させる。

【0154】
上記の構成によれば、偏光分割部によって物体光を伝播方向に角度差を有し偏光方向の異なる2種類の物体光に分割することができ、偏光子アレイ部によって参照光および物体光を偏光方向に応じて分けて撮像部で撮像することができる。

【0155】
よって、伝播方向に角度差を有する2種類の物体光による2種類の干渉情報を含む干渉像を1回の撮像で同時に得ることができので、得られる2種類の干渉情報を含む干渉像に基づき位相接続を行うことができる。

【0156】
それゆえ、例えば動的な変化を伴う被写体であっても、1回の撮像でその瞬間の3次元情報を得ることができる。

【0157】
また、上記偏光分割部によって分割された2種類の物体光のうちの、一方の物体光の偏光方向を第1方向とし、他方の物体光の偏光方向を第2方向としたとき、第1偏光子領域が通過させる偏光方向が第1方向と一致し、第2偏光子領域が通過させる偏光方向が第2方向と一致するよう構成してもよい。

【0158】
また、第1方向と第2方向とが直交するよう構成してもよい。

【0159】
上記の構成によれば、偏光方向の異なる2種類の物体光を偏光方向毎に完全に分けて撮像することができるので、位相接続の精度が向上する。

【0160】
また、第1位相シフト領域および第2位相シフト領域が複数配置され、参照光を通過させる位相シフトアレイ部をさらに備え、第1位相シフト領域を通過した参照光の位相と、第2位相シフト領域を通過した参照光の位相とを互いに異ならせてもよい。

【0161】
上記の構成によれば、さらに位相の異なる参照光による複数の干渉情報を含む干渉像を得ることができる。この複数の干渉情報を含む干渉像に基づいて位相シフト法を用いて再生像の0次回折像および±1次回折像を独立に得ることができる。それゆえ、被写体の鮮明な再生像を得ることができる。

【0162】
また、第1光路長シフト領域および第2光路長シフト領域が複数配置され、参照光および物体光を通過させる光路長シフトアレイ部をさらに備え、第1光路長シフト領域を通過した参照光の位相と、第2光路長シフト領域を通過した参照光の位相とを互いに異ならせ、第1光路長シフト領域を通過した物体光の位相と、第2光路長シフト領域を通過した物体光の位相とを互いに異ならせてもよい。

【0163】
上記の構成によれば、さらに被写体と撮像部との間の光路長が異なる複数の干渉情報を含む干渉像を得ることができる。この複数の干渉情報を含む干渉像に基づいて光路長シフト法を用いて再生像の0次回折像および±1次回折像を独立に得ることができる。それゆえ、被写体の鮮明な再生像を得ることができる。

【0164】
また、複数の上記光源と、波長選択フィルタとを備え、上記複数の光源は、それぞれが互いに異なる波長のコヒーレントな光を発生し、上記波長選択フィルタは、通過させる光の波長が異なる複数の波長選択領域を有し、参照光および物体光を上記波長選択領域毎に波長に応じて選択的に通過させてもよい。

【0165】
上記の構成によれば、波長が異なる複数のレーザ光を用いて、1回の撮像によってそれぞれの波長毎に被写体の再生像および3次元情報を得ることができる。

【0166】
それゆえ、被写体が波長依存性を有している場合でも位相接続を行うことができ、且つ、被写体に各波長に対する反射率または透過率が異なる部分がある場合でも、各部分の3次元の相関を得ることができる。

【0167】
また、サイズ計測部と、制御部と、角度差調節部とをさらに備え、上記サイズ計測部は、上記被写体の撮像部から見た奥行き方向におけるサイズを計測し、上記制御部は、上記サイズ計測部が計測した上記サイズに基づき、位相接続可能な範囲を決定し、決定した上記範囲に応じて上記角度差調節部に指示を与え、上記角度差調節部は、上記指示に基づき上記偏光分割部を調節し、上記偏光分割部が分割した2種類の物体光の上記角度差を変更してもよい。

【0168】
上記の構成によれば、サイズ計測部が奥行き方向におけるサイズを計測し、上記サイズに基づき適切な位相接続の範囲を確保するよう制御部が角度差調節部に指示を与え、指示に基づき角度差調節部が2種類の物体光の上記角度差を変更する。よって、奥行き方向のサイズが様々なサイズの被写体に対して、適切な位相接続の範囲を確保し、計測を行うことができる。

【0169】
また、上記撮像部が撮像して得られた干渉像に基づき、被写体の再生像を生成する再生部をさらに備えてもよい。

【0170】
上記の構成によれば、撮像部が撮像して得られた干渉像に基づき、被写体の再生像を得ることができる。

【0171】
また、上記再生部は、上記干渉像に基づき上記複数の波長毎に上記被写体の再生像を求める再生処理部と、上記干渉像に基づき上記複数の波長毎に位相接続を行い上記被写体の高さ分布を求める位相接続処理部と、上記再生像の注目画素を含む所定の領域について各波長の上記所定の領域を代表する再生光の強度を比較し、最も上記再生光の強度が大きい波長の上記高さ分布を上記注目画素の高さ分布として抽出する抽出処理部とを備えてもよい。

【0172】
上記の構成によれば、異なる光の波長毎に得られた複数の高さ分布から、再生光の強度が大きく得られる3次元情報の信頼性が高い波長における高さ分布を画素毎に抽出することができる。そして上記抽出処理によって得られた高さ分布を組み合わせることにより、信頼性が高く位相接続の誤差の少ない被写体の高さ分布を得ることができる。

【0173】
したがって、反射率に大きな波長依存性を有する被写体についても精度よく3次元情報を得ることができる。

【0174】
また、本発明に係る干渉計測方法は、コヒーレントな光を参照光および物体光に分割し、参照光と、被写体を介して到達する物体光とが作る干渉像を撮像する干渉計測方法であって、物体光を互いに偏光方向が異なる2種類の物体光に分割し、それぞれの伝播方向に角度差を生じさせ、第1偏光子領域および第2偏光子領域が複数配置された偏光子アレイ部に、参照光と、上記被写体を介して到達する上記2種類の物体光とを通過させることにより、第1偏光子領域および第2偏光子領域から互いに異なる方向の偏光成分を通過させ、上記偏光子アレイ部を通過した参照光と上記偏光子アレイ部を通過した物体光とが作る干渉像を撮像する方法である。

【0175】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、生体顕微鏡、工業顕微鏡、運動解析装置、製品検査装置、形状計測装置、または粒子/流体計測装置等にも利用することができる。
【符号の説明】
【0177】
1、1a、1b、1c レーザ光源(光源)
2 撮像素子(撮像部)
2a 撮像面
3 計算機(再生部)
4 ビームエキスパンダ
5 コリメータレンズ
6 ビームスプリッタ(光分割部)
7、8、10、13、16 ミラー
9、14 ビーム結合素子
11、15 偏光分割素子(偏光分割部)
12 結像光学素子
17 サイズ計測部
18 制御部
19 角度差調節部
20 被写体
21、22、23、24 被写体
23a、23b 物質
26 結像光学部
30、31、32、34 偏光子アレイデバイス(偏光子アレイ部)
30a、30b、31a、31b、32a、32b、34a、34b 偏光子(偏光子領域)
33、37 波長選択フィルタ
33a、33b、37a~37c 波長選択領域
35、38 位相シフトアレイデバイス(位相シフトアレイ部)
35a、35b、38a~38f 位相シフト領域
36 光路長シフトアレイデバイス(光路長シフトアレイ部)
36a、36b 光路長シフト領域
40、44、53、55 干渉パターン(干渉像)
41a、41b、45a~45d、49a、49b、54a~54h、56a~56l 画素
42a、42b、43a、43b、46a~46d 干渉パターン
47a、47b 干渉パターン
48、50a、50b、51a、51b 参照光の強度分布
52a、52b 複素振幅分布
60、61、62、63、64 デジタルホログラフィ装置(干渉計測装置)
71 再生処理部
72 位相接続処理部
73 抽出処理部
80a~80f、81a~81f、82a~82f 領域
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図9】
6
(In Japanese)【図11】
7
(In Japanese)【図12】
8
(In Japanese)【図13】
9
(In Japanese)【図14】
10
(In Japanese)【図15】
11
(In Japanese)【図16】
12
(In Japanese)【図17】
13
(In Japanese)【図18】
14
(In Japanese)【図19】
15
(In Japanese)【図25】
16
(In Japanese)【図26】
17
(In Japanese)【図7】
18
(In Japanese)【図8】
19
(In Japanese)【図10】
20
(In Japanese)【図20】
21
(In Japanese)【図21】
22
(In Japanese)【図22】
23
(In Japanese)【図23】
24
(In Japanese)【図24】
25