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Specification :(In Japanese)サンドイッチパネルの剥離進展防止構造

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4746340
Publication number P2006-282046A
Date of registration May 20, 2011
Date of issue Aug 10, 2011
Date of publication of application Oct 19, 2006
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)サンドイッチパネルの剥離進展防止構造
IPC (International Patent Classification) B32B   5/28        (2006.01)
B64C   1/00        (2006.01)
FI (File Index) B32B 5/28 101
B64C 1/00 B
Number of claims or invention 5
Total pages 20
Application Number P2005-106280
Date of filing Apr 1, 2005
Date of request for substantive examination Sep 14, 2007
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】廣瀬 康夫
【氏名】北條 正樹
Representative (In Japanese)【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎
【識別番号】100072235、【弁理士】、【氏名又は名称】杉山 毅至
【識別番号】100101638、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
Examiner (In Japanese)【審査官】岩田 行剛
Document or reference (In Japanese)特開2003-146252(JP,A)
特開平05-309792(JP,A)
特開平03-247859(JP,A)
特開昭63-162350(JP,A)
実開昭58-073817(JP,U)
特開平08-207190(JP,A)
特開平11-254566(JP,A)
Field of search B32B 5/28
B64C 1/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
発泡合成樹脂材料から成る心材の厚み方向両側に複合材料から成る面板が積層されるサンドイッチパネルにおける剥離進展防止構造であって、
面板から厚み方向内方へ突出し、面板に沿って延びる長尺形状を有する剥離進展防止片であって、面板に臨む表面部に凹溝が形成された心材の該凹溝に、剥離進展防止片を形成する材料として未硬化の繊維強化複合材料または合成樹脂を充填し、さらに面板を形成する未硬化の複合材料を積層して、パネル全体を加熱および加圧することによって一体化された剥離進展防止片が設けられることを特徴とするサンドイッチパネルの剥離進展防止構造。
【請求項2】
剥離進展防止片は、断面が略半円形状であって、断面における半円弧に相当する面が心材に臨んでいることを特徴とする請求項1記載のサンドイッチパネルの剥離進展防止構造。
【請求項3】
剥離進展防止片は、心材に臨む側の表面が全領域にわたって滑らかに連なる無屈曲面に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの剥離進展防止構造。
【請求項4】
心材の厚み方向中間位置に、各面板から間隔をあけて、各面板に沿う方向へ延びる面状の補助剥離進展防止片が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のサンドイッチパネルの剥離進展防止構造。
【請求項5】
発泡合成樹脂材料から成る心材の厚み方向両側に複合材料から成る面板が積層されるサンドイッチパネルにおける剥離進展防止構造であって、
各面板間にわたって設けられ、面板に沿って延びる長尺形状を有する剥離進展防止片であって、心材を厚み方向に対して傾斜する切断面で分断した各心材部分間に、剥離進展防止片を形成する未硬化の繊維強化複合材料を挟み込み、さらに面板を形成する未硬化の複合材料を各心材部分に積層して、パネル全体を加熱および加圧することによって一体化された剥離進展防止片が設けられることを特徴とするサンドイッチパネルの剥離進展防止構造。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、心材の両側に面板を積層して構成されるサンドイッチパネルに生じる剥離が、進展して拡大することを防止する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば航空機の機体を形成する構造材料として、フォームコアサンドイッチパネル
(Foam Core sandwich Panel)が用いられている。このフォームコアサンドイッチパネルは、発泡合成樹脂から成る心材に、繊維強化複合材料から成る面板を積層し、一体成形されるパネルであり、重量軽減および部品点数低減が可能であるうえ、ハニカムコアサンドイッチパネルのような水浸入の欠点もない優れた構造材料である。
【0003】
このフォームコアサンドイッチパネルは、前述のように優れた構造材料ではあるが、均材と面板とを積層して一体成形する構成であるので、面板と心材との間の剥離が生じた場合、その剥離が全体に進展してしまうおそれがある。このようなフォームコアサンドイッチパネルにおける剥離の進展を防止する構造は、存在していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、発泡合成樹脂から成る心材の厚み方向両側に複合材料から成る面板が積層されるサンドイッチパネルの剥離の進展を防止する剥離進展防止構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、発泡合成樹脂材料から成る心材の厚み方向両側に複合材料から成る面板が積層されるサンドイッチパネルにおける剥離進展防止構造であって、
面板から厚み方向内方へ突出し、面板に沿って延びる長尺形状を有する剥離進展防止片であって、面板に臨む表面部に凹溝が形成された心材の該凹溝に、剥離進展防止片を形成する材料として未硬化の繊維強化複合材料または合成樹脂を充填し、さらに面板を形成する未硬化の複合材料を積層して、パネル全体を加熱および加圧することによって一体化された剥離進展防止片が設けられることを特徴とするサンドイッチパネルの剥離進展防止構造である。
【0006】
本発明に従えば、面板から厚み方向内方へ突出し、面板に沿って延びる長尺形状を有する剥離進展防止片であって、面板に臨む表面部に凹溝が形成された心材の該凹溝に、剥離進展防止片を形成する材料として未硬化の繊維強化複合材料または合成樹脂を充填し、さらに面板を形成する未硬化の複合材料を積層して、パネル全体を加熱および加圧することによって一体化された剥離進展防止片が設けられる。これによって面板と心材との間に剥離が生じ、その剥離が進展したとしても、剥離が剥離進展防止片が設けられる位置まで到達すると、その先への剥離の進展を防止することができる。したがって剥離が生じても、進展する領域を小さく抑え、剥離がサンドイッチパネル全体にわたって進展してしまうことを防ぐことができる。このようにサンドイッチパネルにおける剥離の進展を防止し、耐久性を高くすることができる。
【0007】
また本発明は、剥離進展防止片は、断面が略半円形状であって、断面における半円弧に相当する面が心材に臨んでいることを特徴とする。
【0008】
本発明に従えば、心材の厚み方向の中途部まで突出する剥離進展防止片は、心材と面板とを積層するときに、心材と面板との間に挟み込むことによって、面板から厚み方向内方へ突出するように設けることができる。したがって複雑な作業を必要とすることなく、剥離進展防止片を容易に設けることができ、剥離進展防止構造を容易に実現することができる。
【0010】
また本発明は、剥離進展防止片は、心材に臨む側の表面が全領域にわたって滑らかに連なる無屈曲面に形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、剥離進展防止片の表面が屈曲部の存在しない面に形成されるので、心材に応力が集中する屈曲部が形成されてしまうことがない。これによって剥離進展防止片を設けることによる心材への悪影響を防止することができる。
【0012】
また本発明は、心材の厚み方向中間位置に、各面板から間隔をあけて、各面板に沿う方向へ延びる面状の補助剥離進展防止片が設けられることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、心材の厚み方向中間位置に、補助剥離進展防止片が設けられる。これによって心材と各面板との間の剥離が、心材中に厚み方向へ亀裂として進展したとしても、その亀裂が補助剥離進展防止片が設けられる位置まで到達すると、その先への亀裂の進展を防止することができる。したがって芯材を厚み方向へ挿通して各面板間わたって延びる亀裂が生じることを防ぐことができる。このように3次元的な剥離進展防止効果を達成することができる。
また本発明は、発泡合成樹脂材料から成る心材の厚み方向両側に複合材料から成る面板が積層されるサンドイッチパネルにおける剥離進展防止構造であって、
各面板間にわたって設けられ、面板に沿って延びる長尺形状を有する剥離進展防止片であって、心材を厚み方向に対して傾斜する切断面で分断した各心材部分間に、剥離進展防止片を形成する未硬化の繊維強化複合材料を挟み込み、さらに面板を形成する未硬化の複合材料を各心材部分に積層して、パネル全体を加熱および加圧することによって一体化された剥離進展防止片が設けられることを特徴とするサンドイッチパネルの剥離進展防止構造である。
本発明に従えば、各面板間にわたって設けられ、面板に沿って延びる長尺形状を有する剥離進展防止片であって、心材を厚み方向に対して傾斜する切断面で分断した各心材部分間に、剥離進展防止片を形成する未硬化の繊維強化複合材料を挟み込み、さらに面板を形成する未硬化の複合材料を各心材部分に積層して、パネル全体を加熱および加圧することによって一体化された剥離進展防止片が設けられ、剥離進展防止片によって、心材を厚み方向へ挿通して各面板を連結することができる。これによって剥離進展防止片によって、剥離の進展を防止するとともに、サンドイッチパネルを補強することができる。したがって剥離の進展防止以外の点でも、サンドイッチパネルの耐久性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、剥離進展防止片によって、その先への剥離の進展を防止することができ、剥離がサンドイッチパネル全体にわたって進展してしまうことを防ぐことができる。したがって耐久性の高いサンドイッチパネルを実現することができる。
【0015】
また本発明によれば、心材と面板との間に挟み込むことによって、剥離進展防止片を設けることができる。したがって複雑な作業を必要とすることなく、剥離進展防止構造を容易に実現することができる。
【0016】
また本発明によれば、剥離進展防止片によって、剥離の進展を防止するとともに、サンドイッチパネルを補強することができる。したがって耐久性の極めて高いサンドイッチパネルを実現することができる。
【0017】
また本発明によれば、心材に応力が集中する屈曲部が形成されてしまうことがない。したがって剥離進展防止片を設けることによる心材への悪影響を防止し、好適なサンドイッチパネルを実現することができる。
【0018】
また本発明によれば、補助剥離進展防止片によって、剥離が亀裂として心材中に厚み方向へ進展することを防止することができる。したがって3次元的な剥離進展防止効果を達成することができる。
また本発明によれば、剥離進展防止片によって、剥離の進展を防止するとともに、サンドイッチパネルを補強することができる。したがって耐久性の極めて高いサンドイッチパネルを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態の剥離進展防止構造1を示す断面図である。図2は、剥離進展防止構造1を有するサンドイッチパネル2の一部を分解して示す斜視図である。サンドイッチパネル(以下、単に「パネル」という場合がある)2は、構造物を形成するために用いられる構造材料である。特に、軽量かつ高剛性の構造物を形成するのに適した材料である。パネル2は、心材3の厚み方向両側に面板4a,4bが積層されて構成される。以下、各面板4a,4bに沿う予め定める方向を第1方向Xとし、第1方向Xに対して略垂直であり、各面板4a,4bに沿う方向を第2方向Zとし、第1および第2方向X,Zに対して略垂直な方向を第3方向Yとする。第3方向Yは、パネル2の厚み方向であり、厚み方向Yという場合がある。第1および第2方向X,Zに略平行な仮想面、したがって各面板4a,4bに沿う仮想面を基準面とする。
【0020】
心材3は、フォームコアなどと呼ばれる、発泡合成樹脂材料から成る心材である。特に限定されるものではないが、発泡合成樹脂材料は、たとえばポリエーテルイミド(PEI)またはポリビニールクロライド(PVC)の発泡材料であってもよく、独立気泡および連続気泡のいずれであってもよい。各面板4a,4bは、複合材料、具体的には繊維強化複合料から成り、繊維強化複合材料は、強化繊維から成る基材にマトリクス樹脂を含浸させた材料である。特に限定されるものではないが、強化繊維は、たとえば炭素繊維またはガラス繊維であってもよく、基材は、このような強化繊維が、一方向にだけ延びる一方向材であってもよいし、複数の方向に延びていてもよく、したがって2次元または3次元の織物または編物であってもよい。マトリクス樹脂は、たとえばエポキシ樹脂であってもよい。
【0021】
剥離進展防止構造1は、パネル2における剥離の進展を防止するための構造である。具体的には、パネル2に、外力が働くと、各面板4a,4bと心材3との間の剥離が生じてしまう場合があり、このような剥離が、さらに外力が働いたとしても、進展して広範囲に拡がってしまうことを防止するために、剥離進展防止構造1が設けられる。剥離進展防止構造1は、剥離進展防止片であるアレスタ5を有している。アレスタ5は、各面板4a,4bから厚み方向Y内方へ突出するように、したがって各面板4a,4bから反対側の面板に向けて突出するように、設けられる。
【0022】
本実施の形態では、アレスタ5は、各面板4a,4bから、心材3の厚み方向Y中途部まで突出し、各面板4a,4bの心材3に対向する側の表面部に沿って延びる突条によって実現される。したがってアレスタ5は長尺のフィラー(詰め物)から成る。さらに具体的には、アレスタ5は、各面板4a,4bに関連してそれぞれ設けられ、各面板4a,4bに沿って格子状にそれぞれ形成される。パネル2が、平板状に形成される場合、アレスタ5は直線状の突条となり、パネル2が曲面状に形成される場合、その曲面に倣う直線または曲線状の突条となる。
【0023】
一方の面板4aから突出するように設けられるアレスタ5は、一方の面板4aに沿って第1方向Xへ延びる互いに平行な複数の第1方向アレスタ部分6と、一方の面板4aに沿って第2方向Zへ延びる互いに平行な複数の第2方向アレスタ部分7とを有する。第1および第2方向X,Zは、互いに交差し、具体的には略垂直であり、各アレスタ部分6,7は、互いに交差し、その交差部で一体に連なっている。他方の面板4bから突出するように設けられるアレスタ5は、一方の面板4aから突出するアレスタ5と同様の構成であり、他方の面板4bに沿って第1方向Xへ延びる互いに略平行な複数の第1方向アレスタ部分6と、他方の面板4bに沿って第2方向Zへ延びる互いに略平行な複数の第2方向アレスタ部分7とを有する。
【0024】
一方の面板4aから突出する第1方向アレスタ部分6と、他方の面板4bから突出する第1方向アレスタ部分6とは、第2方向Zへ互いにずれて、具体的には、互いに第2方向Zの略中央位置に配置される。また一方の面板4aから突出する第2方向アレスタ部分7と、他方の面板4bから突出する第2方向アレスタ部分7とは、第1方向Xへ互いにずれて、具体的には、互いに第1方向Xの略中央位置に配置される。
【0025】
アレスタ5の各アレスタ部分6,7は、その形状について、特に限定されるものではないが、本実施の形態では、断面形状が略半円形状であり、その断面における直線状の弦に相当する略平面となる部分が各面板4a,4bに対向するように設けられている。これら各アレスタ部分6,7の心材3に臨む側の表面10は、前記断面における半円弧に相当する面であり、略円筒面である。また各アレスタ部分6,7の交差部は、滑らかに連なるように形成されている。このようにアレスタ5の心材3に臨む側の表面10は、少なくとも外方に凸に屈曲する屈曲部、本実施の形態では全く屈曲部を有していない、全領域にわたって滑らかに連なる無屈曲面に形成される。
【0026】
アレスタ5の材料は、特に限定されるものではなく、たとえば面板4a,4bと同様、したがって強化繊維とマトリクス樹脂の組合わせが同一の繊維強化複合材料であってもよいし、合成樹脂から成ってもよい。繊維強化複合材料から成る場合、強化繊維は、一方向へ、具体的には各アレスタ部分6,7の延在方向へ延びる一方向材が用いられる。また合成樹脂から成る場合、各面板4a,4bのマトリクス樹脂と同一の樹脂であってもよく、たとえばエポキシ樹脂が用いられる。アレスタ5を、各面板4a,4bと同様の繊維強化複合材料または各面板4a,4bのマトリクス樹脂と同一の樹脂を用いて形成することによって、アレスタ5と各面板4a,4bとを一体に形成することが可能であり、アレスタ5を各面板4a,4bに強固に設けることができる。
【0027】
図3は、サンドイッチパネル2の詳細な積層構成を示す断面図である。心材3は、厚み方向Y両側の表面部に格子状に延びる凹溝12が形成されている。この凹溝12を覆うように格子状に配置されて、各面板4a,4bと同様の繊維強化複合材料から成る補強材13が設けられ、補強材の凹溝12を覆う部分にアレスタ5が設けられる。この状態で全体が各面板4a,4bによって覆われ、各面板4a,4bが接着剤層14を介して心材3に接着されるとともに、アレスタ5および補強材13と一体化されている。接着剤層14は、別途にシート状の接着剤を積層して形成されてもよいが、本実施の形態では、各面板4a,4bおよび補強材13から染出した樹脂によって構成されている。
【0028】
各面板4a,4bは、たとえば心材3寄りの第1層18と、その外側の第2層19とを有する2層構造に形成される。各層18,19は、強化繊維が互いに直交する方向に延びる2次元織物を基材する層である。第1層18の強化繊維には、各第1方向アレスタ部分6に対して略平行に延びる繊維と、各第2方向アレスタ部分7に対して略平行に延びる繊維とが含まれている。第2層19の強化繊維には、厚み方向Y一方、たとえば一方の面板4aから他方の面板4bに向かう方向に見て、各第1方向アレスタ部分6に対して時計まわり方向へ約45度角変位した方向に延びる繊維と、各第2方向アレスタ部分7に対して時計まわり方向へ約45度角変位した方向に延びる繊維とを有する。
【0029】
このようなパネル2を製造するにあたっては、まず心材3の厚み方向Y両側の表面部に、切込みを入れて、格子状に延びる凹溝12を形成する。次に凹溝12を覆うように、凹溝12が形成される部分に、補強材13を形成する繊維強化複合材料の補強材用プリプレグ15を数プライ(複数枚)積層する。次に複数枚の補強材用プリプレグ15に覆われた凹溝12に、アレスタ5を形成する材料を充填する。次に各面板4a,4bを形成する繊維強化複合材料の面板用プリプレグ16を、心材3に数プライ(複数枚)積層する。そして全体を加熱しながら厚み方向Yに加圧して、各プリプレグ15,16が固化されるとともに、心材3に接着され、心材3、各面板4a,4b、アレスタ5および補強材13を一体化されて、パネル2が製造される。図3には、積層構成を理解し易くするために、各プリプレグ15,16などの厚みを省略し、接着剤層14の厚みを大きくして示している。
【0030】
ここでプリプレグ15は積層しないで1枚だけ設けられる場合もあり、またプリプレグ15を省略して設けな構成であってもよい。
【0031】
図4は、航空機20の一部を示す斜視図である。図5は、航空機20を構成する外板21の一部を示す斜視図である。本実施の形態のサンドイッチパネル2は、構造物を形成するために広く用いることが可能であり、構造物が限定されることはないが、一例として述べると、航空機20の外板21を形成するために用いることができる。サンドイッチパネル2は、3次元曲面状に成形することが容易であり、空気抵抗を小さくするために3次元流線形状に形成する必要があり、かつ空気抵抗力などの大きな外力を受ける、航空機20の外板21を好適に形成することができる。
【0032】
図6は、アレスタ5の効果を確認するための解析モデル30を示す図である。図7は、解析モデル30へのモードI負荷形態を示す図である。図8は、解析モデル30へのモードII負荷形態を示す図である。図6~図8は、図解を容易にするために、寸法的な比率を変更して示している。本件発明者らは、アレスタ5による剥離進展防止効果を確認するために、図6に示すようなパネル2を模擬する解析モデル30を想定し、有限要素法(FEM)解析によって、アレスタ5による剥離進展防止効果を評価した。解析モデル30におけるパネル2の構成部分と対応する部分には、同一の符号を付す。
【0033】
解析モデル30では、心材3の厚み方向Y両側に面板4a,4bが積層され、各面板4a,4bは、接着剤層14を介して心材3に接着され、一方の面板4aから厚み方向内方へ向けて突出するように、アレスタ5が設けられる。アレスタ5は、第2方向Z(図6において紙面に垂直な方向)へ延びている。アレスタ5の断面形状は、半径Rの半円形状であり、弦に相当する部分で面板4aに連なっている。解析モデル30では、接着剤層14は、アレスタ5が設けられる部分において、心材3とアレスタ5との間に介在していない。各面板4a,4bは、心材3寄りの厚み方向内方側の第1層18と、その外側の第2層19とを有する。第1層18は、基準面に沿って延び、第1方向Xに対して成す角度が0度および90度の繊維から成る2次元織物を基材として有している。第2層19は、基準平面に沿って延び、第1方向Xに対して成す角度が±45度の繊維から成る2次元織物を基材として有している。
【0034】
解析モデル30では、パネル2の第1方向Xの全長L0が300mmであり、第1方向X一端面31から距離L1の位置に、アレスタ5が設けられている。距離L1は、アレスタ5と心材3との間に介在される接着剤層14の第1方向X一端面31寄りの端部までの距離である。解析モデル30では、このようなパネル2の第1方向X一端面31から第1方向X他端面32に向けて、心材3と一方の面板4aとの間、具体的には心材3と一方の面板4aを接着する接着剤層14との間に、剥離長さaの剥離33が生じていると仮定する。
【0035】
心材3、各面板4a,4b、接着剤層の厚みは解析結果に大きな影響を与えない。心材3、各面板4a,4bの厚みについては省略する。
【0036】
このような解析モデル30を用いて、図7に示すようなモードI負荷形態で負荷、したがって外力を与えた場合の剥離の進展について評価するとともに、図8に示すようなモードII負荷形態で負荷、したがって外力を与えた場合の剥離の進展について評価した。モードI負荷形態は、第1方向X一端面31と他方の面板4bの心材3と反対側の表面とが交差する角の位置Ps1を、第1方向Xおよび厚み方向Yの変位を阻止するように支持した状態で、第1方向X一端面31と一方の面板4aの心材3と反対側の表面とが交差する角の位置Pf1に、他方の面板4bから一方の面板4aに向かう厚み方向Yの引剥力F1を与える負荷形態である。モードII負荷形態は、他方の面板4bの心材3と反対側の表面上の位置であって、第1方向X両端面31,32から、第1方向XへそれぞれL2だけ近づいた位置Ps21,Ps22を、第1方向Xおよび厚み方向Yの変位を阻止するように支持した状態で、一方の面板4aの心材3と反対側の表面における第1方向Xの中央の位置Pf2に、一方の面板4aから他方の面板4bに向かう方向のせん断力F2を与える負荷形態である。モードII負荷形態において、パネル2を支持する各位置Ps21,Ps22の第1方向Xの端面31,32からの距離L2は、それぞれ50mmであり、せん断力F2を与える位置Pf2の第1方向X両端面31,32からの距離L3は、互いに等しく、150mmである。
【0037】
剥離33の先端33aにおけるエネルギ解放率Gが、互いに剥離する層間の破壊じん性値Gc以上(G≧Gc)になると、剥離33が進展する。したがって剥離33の先端33aのエネルギ解放率Gを低減して、破壊じん性値Gc未満(G<Gc)とすれば、剥離33の進展を防止することができる。ここで進展の防止は、進展の抑制を含む。そこで、前記モードIおよびモードII負荷形態で負荷を与えた場合のエネルギ解放率Gを求め、アレスタ5による剥離進展防止効果を評価した。
【0038】
図9は、モードI負荷形態での負荷に対する剥離長さaとG値比との関係を示すグラフである。図9には、炭素繊維を強化繊維とする一方向材を基材して有する複合材料から成るアレスタ5が設けられる場合のG値比を示す。横軸は、剥離長さaを示し、縦軸はG値比を示す。◆付きの線40は、半径Rが10mmのアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、■付きの線41は、半径Rが5mmのアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、△付きの線42は、半径Rが2.5mmのアレスタ5を設けた場合のG値比を示す。G値比とは、アレスタ5を有する場合の剥離33の先端33aのエネルギ解放率Gを、同じ剥離長さでアレスタが無い場合の剥離33の先端33aのエネルギ解放率Gで除した値である。
【0039】
図10は、モードII負荷形態での負荷に対する剥離長さa(=b+50)とG値比との関係を示すグラフである。図10には、炭素繊維を強化繊維とする一方向材を基材して有する複合材料から成るアレスタ5が設けられる場合のG値比を示す。横軸は、剥離長さaを示し、縦軸はG値比を示す。◆付きの線43は、半径Rが10mmのアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、△付きの線44は、半径Rが5mmのアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、×付きの線45は、半径Rが2.5mmのアレスタ5を設けた場合のG値比を示す。ここで、bは、第1方向X一端面31寄りの支持位置Ps21から剥離33の先端33aまでの距離である。
【0040】
図9および図10に示すように、剥離長さaを変えて、剥離33の先端33aが、アレスタに遠い位置にある場合と、近い位置にある場合とにおいて、G値比をそれぞれ求めた結果、各負荷形態ともに、剥離33の先端33aがアレスタ5の位置に近づくにつれて、G値比が0に近くなることが判った。このことは、アレスタ5を設けると、剥離33の先端33aがアレスタ5に近づくにつれて、エネルギ解放率Gが急激に低減することを示している。このようにアレスタ5を設けることによって、剥離33の先端33aがアレスタ5に近づくとエネルギ解放率Gが低下し、剥離33の進展を防止することができることを確認した。またこのような剥離33の進展の防止効果は、アレスタ5の半径Rが、2.5mm、5mmおよび10mmのいずれの場合にも達成され、半径R如何に拘わらず達成されることが確認された。
【0041】
図11は、モードI負荷形態での負荷に対する剥離長さaとG値比との関係を示すグラフである。図11には、炭素繊維を強化繊維とする一方向材を基材して有する複合材料から成るアレスタ5が設けられる場合と、強化繊維を含まない合成樹脂材料から成るアレスタ5が設けられる場合とのG値比を示す。横軸は、剥離長さaを示し、縦軸はG値比を示す。◆付きの線50は、半径Rが10mmの複合材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、■付きの線51は、半径Rが5mmの複合材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、△付きの線52は、半径Rが2.5mmの複合材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示す。また×付きの線53は、半径Rが10mmの合成樹脂材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、*付きの線54は、半径Rが5mmの合成樹脂材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、●付きの線55は、半径Rが2.5mmの合成樹脂材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示す。
【0042】
図12は、モードII負荷形態での負荷に対する剥離長さaとG値比との関係を示すグラフである。図12には、炭素繊維を強化繊維とする一方向材を基材して有する複合材料から成るアレスタ5が設けられる場合と、強化繊維を含まない合成樹脂材料から成るアレスタ5が設けられる場合とのG値比を示す。横軸は、剥離長さaを示し、縦軸はG値比を示す。◆付きの線60は、半径Rが10mmの複合材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、■付きの線61は、半径Rが5mmの複合材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、△付きの線62は、半径Rが2.5mmの複合材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示す。また×付きの線63は、半径Rが10mmの合成樹脂材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、*付きの線64は、半径Rが5mmの合成樹脂材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示し、●付きの線65は、半径Rが2.5mmの合成樹脂材料から成るアレスタ5を設けた場合のG値比を示す。
【0043】
図11および図12に示すように、剥離長さaを変えて、剥離33の先端33aが、アレスタに遠い位置にある場合と、近い位置にある場合とにおいて、G値比をそれぞれ求めた結果、各負荷形態ともに、アレスタ5の材料の影響を大きく受けることなく、同程度の剥離33の先端33aのエネルギ解放率Gの低減効果が得られることが確認された。したがって複合材料に比べて安価な合成樹脂材料から成るアレスタ5であっても、剥離33の先端33aのエネルギ解放率Gの低減効果を、充分に得られることが確認された。
【0044】
図13は、モードI負荷形態での負荷による応力分布を示すグラフである。図13には、図13(1)~図13(6)に、剥離長さaが、85.0mm、89.8mm、94.9mm、97.6mm、98.9mmおよび99.99mmの場合の応力部分をそれぞれ示す。図13では、応力が大きいほど、高い明度(白に近い色)で示され、応力の小さいほど、低い明度(黒に近い色)で示す。
【0045】
図14は、モードII負荷形態での負荷による応力分布を示すグラフである。図14には、図14(1)~図14(6)に、支持位置Ps21から剥離33の先端33aまでの距離bが、35.0mm、39.8mm、44.9mm、47.6mm、48.9mmおよび49.99mmの場合の応力部分をそれぞれ示す。図13では、応力が大きいほど、高い明度(白に近い色)で示され、応力の小さいほど、低い明度(黒に近い色)で示す。
【0046】
図13および図14において、半円弧と放射状の線分によって要素分割される部分がアレスタ5であり、アレスタ5の半円の弦に相当する線分を含む直線よりも上側の部分が面板4aであり、前記直線よりも下側が心材3である。図13および図14に示すように、剥離33の先端33aがアレスタ5から比較的遠い位置にあるに場合には、剥離33の先端部33a近傍および心材3と面板4aとの境界部近傍において応力が大きくなっているが、剥離33の先端33aがアレスタ5に近づくにつれて、剥離33の先端33a近傍の応力が小さくなり、アレスタ5内の応力が大きくなっていることが判る。これは、剥離33の先端33aがアレスタ5に近づくと、アレスタ5によって外力に抗していることを示している。こような応力部分から、剥離33の先端33aがアレスタ5に近づくにつれて、エネルギ解放率Gが低下するのは、外力をアレスタ5で分担して支えるようになるからであることが明らかである。
【0047】
図15は、アレスタ5による剥離進展防止効果の確認試験に用いられる供試体60を示す断面図である。本件発明者らは、アレスタ5による剥離進展防止効果を確認するために、図6~図14に示すような解析モデル30を用いた評価とは別に、図15にに示すようなパネル2を模擬する供試体60を用いて試験を行い、アレスタ5による剥離進展防止効果を評価した。供試体60におけるパネル2の構成部分と対応する部分には、同一の符号を付す。
【0048】
供試体60は、心材3の厚み方向両側に面板4a,4bがそれぞれ積層されている。一方の面板4aから厚み方向内方へ向けて突出するように、紙面に垂直方向に延びる2つのアレスタ5が紙面の左右方向に間隔をあけて平行に設けられる。この供試体60では、各アレスタ5は、断面形状が正三角形状であり、一辺に相当する部分で一方の面板4aに連なるように設けられる。各アレスタ5は、間隔L5=70をあけて設けられる。基本的にこのような構成を有する3つの供試体60を用い、各アレスタ5間の中央部に衝撃を与えて剥離を生じるように損傷させた後、紙面に垂直方向の圧縮荷重および引張荷重を繰返し与えて、剥離の進展を表面観察によって、目視確認し、剥離を伴う面板4aの変形により、剥離の幅Wを求めた。
【0049】
1つ目の供試体60(No.X-1)は、炭素繊維を強化繊維とする一方向材を基材として有するアレスタ5を用い、圧縮の負荷荷重(圧縮力)が25.5kNであり、引張の負荷荷重(引張力)が25.5kNである負荷(外力)を、繰返し与えた。2つ目の供試体60(No.X-3)は、炭素繊維を強化繊維とする一方向材を基材として有するアレスタ5を用い、圧縮の負荷荷重(圧縮力)が18.6kNであり、引張の負荷荷重(引張力)が18.6kNである負荷(外力)を、繰返し与えた。3つ目の供試体60(No.X-4)は、ガラス繊維を強化繊維とする一方向材を基材として有するアレスタ5を用い、圧縮の負荷荷重(圧縮力)が18.6kNであり、引張の負荷荷重(引張力)が18.6kNである負荷(外力)を、繰返し与えた。
表1は、各供試体60における剥離の進展状況を示す。
【0050】
【表1】
JP0004746340B2_000002t.gif

【0051】
表1において、Rは、引張荷重を圧縮荷重で除した値である。
図16は、1つ目の供試体60(No.X-1)のサイクル数と剥離の幅Wとの関係を示すグラフである。図17は、2つ目の供試体60(No.X-3)のサイクル数と剥離の幅Wとの関係を示すグラフである。図18は、3つ目の供試体60(No.X-4)のサイクル数と剥離の幅Wとの関係を示すグラフである。図16~図18には、横軸にサイクル数を示し、縦軸に剥離の幅Wを示す。サイクル数は、圧縮荷重を与えた後引張荷重を与える荷重サイクルの数である。
【0052】
表1および図16~図18から判るように、圧縮荷重および引張荷重を繰返し与えても、アレスタ5を設けることによって、アレスタ5を越えて、剥離が進展することが防がれることが明らかである。このような繰返し荷重を与える試験によっても、アレスタ5によって剥離の進展を防止できることが確認された。
【0053】
本実施の形態の剥離進展防止構造1によれば、各面板4a,4bから厚み方向内方へ突出して、アレスタ5が設けられる。これによって各面板4a,4bと心材3との間に剥離が生じ、その剥離が進展したとしても、剥離がアレスタ5が設けられる位置まで到達すると、その先への剥離の進展を防止することができる。したがって剥離が生じても、進展する領域を小さく抑え、剥離がサンドイッチパネル2全体にわたって進展してしまうことを防ぐことができる。しかも本実施の形態では、アレスタ5は、格子状に設けられており、剥離の進展範囲を可及的に小さくすることができる。このようにサンドイッチパネル2における剥離の進展を防止し、耐久性を高くすることができる。
【0054】
またアレスタ5は、心材3の厚み方向の中途部まで突出する構成であり、心材3を厚み方向に横切る構成ではない。このようなアレスタ5は、心材3と各面板4a,4bとを積層するときに、心材3と各面板4a,4bとの間に挟み込むだけで、アレスタ5を設けていない従来の技術のパネルの製造時と同様の加熱加圧、したがって加熱しながら厚み方向Yへ圧縮することによって、心材3および各面板4a,4bだけでなく、アレスタ5を一体化させて、各面板4a,4bから厚み方向内方へ突出するように設けることができる。したがって複雑な作業を必要とすることなく、アレスタ5を容易に設けることができ、剥離進展防止構造1を容易に実現することができる。さらに心材3の表面部にアレスタ5を設けるための凹溝13を形成することによって、心材3が不必要に圧縮されてしまうことを防ぐことができるとともに、アレスタ5の近傍における心材3と各面板4a,4bとの接合不良を防ぐことができる。
【0055】
またアレスタ5は、前述のように断面形状が半円形状であり、心材3に臨む側の表面が、曲面によって実現され、屈曲部の存在しない無屈曲面に形成されるので、心材3に応力が集中する屈曲部が形成されてしまうことがない。これによってアレスタ5を設けることによる心材3への悪影響を防止することができる。
【0056】
また本実施の形態のアレスタ5を用いる場合、各面板4a,4bから厚み方向内方へ超音波を入射させる超音波探傷検査をパネル全体にわたって1回実行するだけで、心材3と各面板4a,4bとの間に剥離が生じているか否かを調べることが可能である。この超音波探傷検査は、X線を用いる方法などと比べて、設備的および環境的に容易な検査方法であり、検査を容易に実行することができる。たとえば断面がI形のアレスタなどの場合には、心材3の厚み方向中央部付近での検査が困難であり、この部分は、別途X線探傷などの別の検査が必要となる。したがって前述のようなフィラーであって、各面板4a,4bに沿って延びる突条によって実現されるアレスタ5を用いることによって、実際に剥離を生じているか否かを容易に非破壊検査することができる。
【0057】
図19は、本発明の実施の他の形態の剥離進展防止構造1Aを示す断面図である。図19に示す剥離進展防止構造1Aは、図1~図18を用いて説明した実施の形態の剥離進展防止構造1と類似しており、対応する構成には、同一の符号を付し、同様の構成は、説明を省略する。図19に示す剥離進展防止構造1Aでは、各面板4a,4b間にわたって延びるアレスタ5が設けられる。このアレスタ5は、たとえば各面板4a,4bと同様の複合材料から成る。
【0058】
本実施の形態では、アレスタ5は、第2方向Z(図19において紙面に垂直な方向)へ延びる板状であり、パネル2の厚み方向および各面板4a,4bに対して傾斜する基部70と、基部70の両端部から鈍角的に屈曲し、各面板4a,4bに沿ってそれぞれ設けられる連結部71a,71bとを有する。基部70は、厚み方向Y一方(たとえば図19の上方)へ向かうにつれて、第1方向X一方(たとえば図19の左方)へ向かうように傾斜しており、基部70の厚み方向Y一方の端部に連なる連結部71aは、基部70から第1方向X一方へ延び、基部70の厚み方向Y他方の端部に連なる連結部71aは、基部70から第1方向X他方へ延びている。基部70の各面板4a,4bに対して成す小さいほうの角度θは、たとえば30度以上45度以下程度である。このアレスタ5は、基部70で、心材3を厚み方向に傾斜して挿通し、各連結部71a,71bで各面板4a,4bに固着されて連結されている。
【0059】
図20は、図19に示す剥離進展防止構造1Aの詳細な積層構成を示すために分解して示す断面図である。心材3は、厚み方向Y一方に向かうにつれて第1方向X一方へ向かうように、厚み方向Yに対して傾斜する切断面で分断される心材部分72,73を有している。アレスタ5は、基部70が各心材部分72,73間に挟まれるように配置され、一方の連結部71aが一方の心材部分72の厚み方向一方側の表面部に沿うように設けられ、他方の連結部71bが、他方の心材部分73の厚み方向他方側の表面部に沿うように設けられる。このようにアレスタ5を挟んだ状態の各心材部分72,73を有する心材3の両側に各面板4a,4bが積層される。
【0060】
このようなパネル2を製造するにあたっては、まず心材3を分割し、各心材部分72,73間に、アレスタ5を形成する繊維強化複合材料のアレスタ用プリプレグ77を数プライ(複数枚)積層して介在させ、各心材部分72,73によって第1方向X両側から挟み込む。アレスタ用プリプレグ77の各心材部分72,73間から延出した部分は、各心材部分72,73の厚み方向の表面部に沿うように配置する。次に、各面板4a,4bを形成する繊維強化複合材料の面板用プリプレグ16を、心材3の両側に数プライ(複数枚)積層する。そして全体を加熱しながら厚み方向Yに加圧して、各プリプレグ16,77が固化されるとともに、心材3に接着され、心材3、各面板4a,4b、アレスタ5が一体化されて、パネル2が製造される。図20には、積層構成を理解し易くするために、各プリプレグ16,77などの厚みを省略して示す。
【0061】
本実施の形態の剥離進展防止構造1Aによれば、アレスタ5が心材3の厚み方向中途部まで突出する構成であることによる効果を除いて、他の効果を、図1~図18を用いて説明した剥離進展防止構造と同様の効果を達成することができる。さらに加えて、アレスタ5を、各面板4a,4b間にわたって設けることによって、そのアレスタ5によって、心材3を厚み方向へ挿通して各面板4a,4bを連結することができる。これによってアレスタ5によって、剥離の進展を防止するとともに、サンドイッチパネル2を補強することができる。したがって剥離の進展防止以外の点でも、サンドイッチパネル2の耐久性を高くすることができる。またこのような各面板4a,4b間にわたってアレスタ5を設けるにあたっては、心材3を横切る部分である基部70を、厚み方向Yに対して傾斜させることによって、アレスタが設けられない従来の技術のパネルの製造時と同様の加熱加圧、したがって加熱しながら厚み方向Yへ圧縮することによって、心材3および各面板4a,4bだけでなく、アレスタ5を一体化させて、アレスタ5を設けることができる。
【0062】
図21は、本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Bを示す断面図である。図21に示す剥離進展防止構造1Bは、図19および図20を用いて説明した実施の形態の剥離進展防止構造1Aと類似しており、対応する構成には、同一の符号を付し、同様の構成は、説明を省略する。図21に示す剥離進展防止構造1Bでは、各面板4a,4b間にわたって延びるアレスタ5が設けられる。このアレスタ5は、たとえば各面板4a,4bと同様の複合材料から成る。
【0063】
本実施の形態では、アレスタ5は、第2方向Z(図21において紙面に垂直な方向)へ延びる板状であり、パネル2の厚み方向および各面板4a,4bに対して傾斜する基部70と、基部70の両端部から第1方向X両側に屈曲し、各面板4a,4bに沿ってそれぞれ設けられる連結部71a,71bとを有する。基部70は、厚み方向Y一方(たとえば図21の上方)へ向かうにつれて、第1方向X一方(たとえば図21の左方)へ向かうように傾斜しており、基部70の厚み方向Y一方の端部に連なる連結部71aは、基部70から第1方向X両方向へ延び、基部70の厚み方向Y他方の端部に連なる連結部71aは、基部70から第1方向X両方向へ延びている。基部70の各面板4a,4bに対して成す小さいほうの角度θは、たとえば30度以上45度以下程度である。このアレスタ5は、基部70で、心材3を厚み方向に傾斜して挿通し、各連結部71a,71bで各面板4a,4bに固着されて連結されている。
【0064】
図22は、図21に示す剥離進展防止構造1Bの詳細な積層構成を示すために分解して示す断面図である。心材3は、厚み方向Y一方に向かうにつれて第1方向X一方へ向かうように、厚み方向Yに対して傾斜する切断面で分断される心材部分72,73を有している。アレスタ5は、基部70が各心材部分72,73間に挟まれるように配置され、一方の連結部71aが各心材部分72,73の厚み方向一方側の表面部に沿うように設けられ、他方の連結部71bが、各心材部分72,73の厚み方向他方側の表面部に沿うように設けられる。このようにアレスタ5を挟んだ状態の各心材部分72,73を有する心材3の両側に各面板4a,4bが積層される。
【0065】
このようなパネル2を製造するにあたっては、まず心材3を分割し、各心材部分72,73間に、アレスタ5を形成する繊維強化複合材料のアレスタ用プリプレグ77を数プライ(複数枚)積層して介在させ、各心材部分72,73によって第1方向X両側から挟み込む。アレスタ用プリプレグ77の各心材部分72,73間から延出した部分は、略均等な枚数に分けて、一方の心材部分72寄りのプリプレブ77は、一方の心材部分72の厚み方向の表面部に沿うように配置し、他方の心材部分73寄りのプリプレブ77は、他方の心材部分73の厚み方向の表面部に沿うように配置する。次に、各面板4a,4bを形成する繊維強化複合材料の面板用プリプレグ16を、心材3の両側に数プライ(複数枚)積層する。そして全体を加熱しながら厚み方向Yに加圧して、各プリプレグ16,77が固化されるとともに、心材3に接着され、心材3、各面板4a,4b、アレスタ5が一体化されて、パネル2が製造される。図20には、積層構成を理解し易くするために、各プリプレグ16,77などの厚みを省略して示す。
【0066】
本実施の形態の剥離進展防止構造1Bによれば、図19および図20に示す剥離進展防止構造1Aと同様の効果を達成することができる。
【0067】
図23は、本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Cを示す断面図である。図23に示す剥離進展防止構造1Cは、図1~図18を用いて説明した実施の形態の剥離進展防止構造1と類似しており、対応する構成には、同一の符号を付し、同様の構成は、説明を省略する。図23に示す剥離進展防止構造1Cでは、各アレスタ部分6,7の断面形状が略三角形であり、その一辺に相当する部分で各面板4a,4bに連なるように設けられ、各面板4a,4bに連なる辺に対向する角の部分が、円弧状に丸みを有する形状に形成されている。このようにして略三角形状であり、かつ心材3に臨む表面10が、平面部と曲面部とを組合わせた、屈曲部を有していない無屈曲面に形成される。
【0068】
本実施の形態の剥離進展防止構造1Cによれば、図1~図18に示す剥離進展防止構造1と同様の効果を達成することができる。
【0069】
図24は、本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Dを示す断面図である。図24に示す剥離進展防止構造1Dは、図19~図22を用いて説明した実施の形態の剥離進展防止構造1A,1Bと類似しており、対応する構成には、同一の符号を付し、同様の構成は、説明を省略する。図24に示す剥離進展防止構造1Dでは、図19および図20のアレスタ5または図21および図22のアレスタ5が、第1方向Xに間隔をあけて複数設けられる。第1方向Xに隣接する2つのアレスタ5は、第1方向Xに関して対称となるように、傾斜方向が反対となるように設けられる。各アレスタ5の基部70の各面板4a,4bに対して成す小さい方向の角度θは、たとえば30度以上45度以下程度である。
【0070】
このような剥離進展防止構造1Dによれば、図19~図22の剥離進展防止構造1A,1Bと同様の効果を達成することができる。さらに各面板4a,4b間にわたって延びる板状のアレスタ5を複数並べて設け、各面板4a,4bと各アレスタ5によって、ボックス構造を形成することによって、各アレスタ5の延びる方向、したがって第2方向Z(図24の紙面に垂直な方向)の荷重、特に圧縮荷重に対して耐性を高くすることができる。
【0071】
図25は、本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Eを示す断面図である。図25に示す剥離進展防止構造1Eは、図1~図18を用いて説明した実施の形態の剥離進展防止構造1と類似しており、対応する構成には、同一の符号を付し、同様の構成は、説明を省略する。図25に示す剥離進展防止構造1Eでは、図1~図18に示す各アレスタ部分6,7によって格子状にされるアレスタ5に加えて、補助剥離進展防止片である補助アレスタ5Eが設けられる。補助アレスタ5Eは、心材3と各面板4a,4bとの間に生じる剥離が、心材3中へ厚み方向Yへ進展することを防止するために設けられる。
【0072】
具体的には、補助アレスタ5は、心材3の厚み方向Yの中間位置(中央位置だけでなく、厚み方向に両側の表面部を除く位置)に設けられ、各面板4a,4bから間隔をあけて、各面板4a,4bに沿う方向へ延びる面状に形成される。補助アレスタ5は、本実施の形態では、パネル2の全領域にわたって設けられる。また補助アレスタ5は、各面板4a,4bと同様の複合材料から成ってもよいし、合成樹脂材料から成ってもよい。補助アレスタ5の枚数、形状、厚み、材質などは、限定されるものではない。
【0073】
このような剥離進展防止構造1Eによれば、図1~図18に示す剥離進展防止構造1と同様の効果を達成することができる。さらに心材3の厚み方向中間部に補助アレスタ5Eが設けられるので、たとえばパネル2の使用条件およびパネル2に働く荷重条件などによって、心材3と面板4a,4bとの間に生じた剥離が、亀裂として心材3中に厚み方向Yへ進展しようとしても、補助アレスタ5Eまで到達すると、その先への剥離の進展を防止することができる。このように心材3を厚み方向Yに挿通するように各面板4a,4b間にわたって延びる亀裂が生じることを防ぐことができる。このように補助アレスタ5Eを設けることによって、3次元的な剥離進展防止効果を達成することができる。
【0074】
前述の実施の各形態は、本発明を具体化したものの例示に過ぎず、本発明がこれの構成に限定されるものではない。たとえばアレスタ5の断面形状、材料、配置形状などは、前述の構成に限定されるものではない。さらに具体的に述べると、アレスタ5は、図1~図18および図23では格子状に、図19~図22には、1本の直線状に、設けられたけれども、たとえば第1方向Xに略平行に延びる縞状に配置されてもよいし、また各面板4a,4bに沿って異なる3つ以上の方向へ延びるアレスタ部分を交差連結させた形状、すなわち三角形状の目を有する網状など多角形状の目を有する網状の形状であってもよいし、蜂の巣状であってもよい。
【0075】
またパネル2は、航空機20の外板21を形成するための材料に限定されることはなく、航空機以外の高速で空気中を飛行する高速飛行体を含めた飛行体の機体を形成するために用いられてもよいし、新幹線などの高速車両を含めた鉄道車両の機体(構体)を形成するために用いられてもよいし、船舶を含む船舶事業、オイルタンク、風力発電翼、電気自動車、ソーラーカー、F1マシンなどの自動車、軍用設備、深海探査艇などの深海開発、海洋構造物など、その他の構造物を形成するために用いられてもよい。
【0076】
また、図19~図22に示すようなアレスタ5は、各面板4a,4bに略垂直に、したがって厚み方向Yに略平行に設けられる構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の一形態の剥離進展防止構造1を示す断面図である。
【図2】剥離進展防止構造1を有するサンドイッチパネル2の一部を分解して示す斜視図である。
【図3】サンドイッチパネル2の詳細な積層構成を示す断面図である。
【図4】航空機20の一部を示す斜視図である。
【図5】航空機20を構成する外板21の一部を示す斜視図である。
【図6】アレスタ5の効果を確認するための解析モデル30を示す図である。
【図7】解析モデル30へのモードI負荷形態を示す図である。
【図8】解析モデル30へのモードII負荷形態を示す図である。
【図9】モードI負荷形態での負荷に対する剥離長さaとG値比との関係を示すグラフである。
【図10】モードII負荷形態での負荷に対する剥離長さa(=b+50)とG値比との関係を示すグラフである。
【図11】モードI負荷形態での負荷に対する剥離長さaとG値比との関係を示すグラフである。
【図12】モードII負荷形態での負荷に対する剥離長さaとG値比との関係を示すグラフである。
【図13】モードI負荷形態での負荷による応力分布を示すグラフである。
【図14】モードII負荷形態での負荷による応力分布を示すグラフである。
【図15】アレスタ5による剥離進展防止効果の確認試験に用いられる供試体60を示す断面図である。
【図16】1つ目の供試体60(No.X-1)のサイクル数と剥離の幅Wとの関係を示すグラフである。
【図17】2つ目の供試体60(No.X-3)のサイクル数と剥離の幅Wとの関係を示すグラフである。
【図18】3つ目の供試体60(No.X-4)のサイクル数と剥離の幅Wとの関係を示すグラフである。
【図19】本発明の実施の他の形態の剥離進展防止構造1Aを示す断面図である。
【図20】図19に示す剥離進展防止構造1Aの詳細な積層構成を示すために分解して示す断面図である。

【0078】
【図21】本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Bを示す断面図である。
【図22】図21に示す剥離進展防止構造1Bの詳細な積層構成を示すために分解して示す断面図である。
【図23】本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Cを示す断面図である。
【図24】本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Dを示す断面図である。
【図25】本発明の実施のさらに他の形態の剥離進展防止構造1Eを示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1,1A~1C 剥離進展防止構造
2 サンドイッチパネル
3 心材
4a,4b 面板
5 アレスタ(剥離進展防止片)
5E 補助アレスタ
6,7 アレスタ部分
10 アレスタの心材に臨む表面
12 凹溝
13 補強材
20 航空機
21 外板
30 解析モデル
60 供試体
72,73 心材部分
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図13】
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(In Japanese)【図14】
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(In Japanese)【図15】
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(In Japanese)【図16】
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(In Japanese)【図17】
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(In Japanese)【図18】
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(In Japanese)【図19】
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(In Japanese)【図20】
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(In Japanese)【図21】
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(In Japanese)【図22】
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(In Japanese)【図23】
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(In Japanese)【図24】
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(In Japanese)【図25】
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