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Specification :(In Japanese)RAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P5904945
Date of registration Mar 25, 2016
Date of issue Apr 20, 2016
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)RAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法
IPC (International Patent Classification) G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/68        (2006.01)
G01N  33/566       (2006.01)
C07K  14/47        (2006.01)
A61K  31/409       (2006.01)
A61P  25/28        (2006.01)
A61P  27/02        (2006.01)
A61P  13/12        (2006.01)
A61P  25/02        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
FI (File Index) G01N 33/50 Z
G01N 33/15 Z
G01N 33/68 ZNA
G01N 33/566
C07K 14/47
A61K 31/409
A61P 25/28
A61P 27/02
A61P 13/12
A61P 25/02
A61P 35/00
A61P 29/00
A61P 9/10 101
Number of claims or invention 7
Total pages 15
Application Number P2012-535076
Date of filing Sep 22, 2011
International application number PCT/JP2011/071669
International publication number WO2012/039469
Date of international publication Mar 29, 2012
Application number of the priority 2010214019
Priority date Sep 24, 2010
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Date of request for substantive examination Jul 15, 2014
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】西堀 正洋
【氏名】森 秀治
【氏名】高橋 英夫
【氏名】和氣 秀徳
【氏名】劉 克約
Representative (In Japanese)【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
Examiner (In Japanese)【審査官】加々美 一恵
Document or reference (In Japanese)特開2007-127592(JP,A)
Nature,1996年,Vol.382、No.6593,p685-691
J.Neurochem.,2003年,Vol.87, No.1,p.172-181
Biochem. J.,2002年,Vol.364(Pt 1),p.1-14
The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,2009年,Vol.330, No.1,p89-p98
Field of search G01N 33/48-33/98
A61K 31/366、31/409、31/428
A61P 25/28
C07K 14/47
G01N 33/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)

Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
RAGE(Receptor for advanced glycation endproducts)AGE(advanced glycation endproducts)の結合抑制剤のスクリーニング方法であって、
AGEのサブタイプが、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5であり、
RAGE、AGE及びβ‐アミロイドペプチドを含む検査系において、RAGEとAGE2、AGE3、AGE4及びAGE5から選択されるいずれか1種又は2種以上のAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別することによるRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
【請求項2】
以下の工程を含む、請求項1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法:
1)AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5から選択されるいずれか1種又は2種以上のAGE化蛋白質を固定した固相を準備する工程;
2)候補物質を含む溶液を固相に加える工程;
3)β‐アミロイドペプチドを含む溶液を固相に加える工程;
4)sRAGEを含む溶液を固相に加える工程;
5)上記4)の工程の後、固相に固定したAGE化蛋白質に結合したsRAGEの量を測定してRAGEとAGEの結合親和性を測定し、RAGEとAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別する工程。
【請求項3】
候補物質とβ‐アミロイドペプチドを反応させた後、RAGEとAGEの結合親和性を測定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
【請求項4】
β‐アミロイドペプチドが、以下の配列番号1に示すアミノ酸配列、又は配列番号1に示すアミノ酸配列のうちC末端側のアミノ酸が1~2個欠失又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1~3のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法:
DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号1)
【請求項5】
RAGEとAGEの結合抑制剤が、アルツハイマー病治療薬、糖尿病合併症治療薬、動脈硬化治療薬のいずれかである、請求項1~4のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
【請求項6】
固相、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5から選択されるいずれか1種又は2種以上のAGE化蛋白質、β‐アミロイドペプチド、及びsRAGEを構成として含む、請求項1~5のいずれか1に記載のスクリーニング方法に使用するRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング用キット。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法により選別され、以下の式(III)で示す化合物からなるRAGEとAGEの結合抑制剤。
【化3】
JP0005904945B2_000008t.gif
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、β‐アミロイドペプチドの新規活性を利用したRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法に関する。より具体的には、β‐アミロイドペプチドの新規活性を利用したアルツハイマー病治療薬のスクリーニング方法に関する。
【0002】
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願、特願2010-214019号優先権を請求する。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病(Alzheimer's disease)は、進行性の認知機能障害をきたす神経性疾患であり、大脳の神経細胞の脱落のために発症すると考えられている。アルツハイマー病の成因については、現在β‐アミロイドペプチド学説が最も有力である。この学説は、アルツハイマー病脳では老人斑とよばれる変性蛋白沈着構造が多数見いだされ、老人斑の主要な構成成分として、β‐アミロイドペプチドが同定されていること、家族性アルツハイマー病の解析で見つかってきたアミロイド前駆体蛋白(Amyloid Precursor Protein: APP)とプレセニリン1/2(Presenillin 1/2)の変異が、β‐アミロイドぺプチドの産生増加に働くことがわかっていること、さらにβ‐アミロイドペプチドのオリゴマーあるいはβシート構造の重合体が神経毒性効果を有するとの知見に基づいている。
【0004】
上記のような知見から、脳内β‐アミロイドペプチドの産生を抑制し、代謝を促進する薬物、抗β‐アミロイドペプチド抗体、β‐アミロイドペプチドのオリゴマー化・重合化阻害薬の開発が続けられている。例えば、β‐アミロイドペプチドの形成を阻害するアルツハイマー病治療用化合物(新規ジンセノシド化合物)について開示がある(特許文献1:特表2008-506686号公報)。アルツハイマー病と他のβ‐アミロイド蛋白原線維形成障害の治療のための低分子量ペプチドについて開示がある(特許文献2:特表2007-535494号公報)。アミロイド蛋白質の凝集を抑制する物質とその作用として、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)に着目した薬剤について開示がある(特許文献3:特開2007-284351号公報)。β‐アミロイドペプチド及びそれを用いたアルツハイマー病治療薬又は予防薬のスクリーニング方法について開示がある(特許文献4:特開2006-265189号公報)。また、アルツハイマー病治療薬のスクリーニング方法として、β‐アミロイド(1-40)の輸送活性を指標とするものについても開示がある(特許文献5:特許第4270976号公報)。その他、β‐アミロイドペプチドは、アミロイド前駆蛋白にβセクレターゼやγセクレターゼが作用して生成されることに着目したβセクレターゼ(BACE)阻害剤やγセクレターゼ阻害剤や、β‐アミロイドペプチドそのものを阻害する抗β‐アミロイドペプチド抗体の開発が進められている(図1参照)。しかしながら、そのような努力が鋭意なされているにも関わらず、有望な新薬候補は登場してきていない。
【0005】
β‐アミロイドペプチドは、それ自身がオリゴマーあるいは重合体線維化物を形成し、ある種の受容体構造に働き、神経毒を発揮すると考えられている。この受容体のひとつとして挙げられるのが、RAGE(Receptor for advanced glycation endproducts)である。この受容体は、その名の通りAGE(advanced glycation endproducts)に対する受容体として同定されてきたが、β‐アミロイドペプチドもRAGEの生体内リガンドのひとつと考えられている(非特許文献1~3)。AGEは、還元糖と蛋白質との間の非酵素的糖化反応(メイラード反応ともいう)の後期段階で生成する構造体の総称である(図2参照)。AGE及びRAGEが、糖尿病血管合併症のみならず、動脈硬化症、腫瘍の増殖・転移・炎症反応やアルツハイマー病にも関与することが明らになってきている。また、RAGEとAGEの試験管結合実験系によるアッセイ方法(測定方法)についても報告されている(非特許文献4)。しかしながら、β‐アミロイドペプチドとRAGEとの関係において、アルツハイマー病にどのように関わっているかについては、十分に解明されているとは言えない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2008-506686号公報
【特許文献2】特表2007-535494号公報
【特許文献3】特開2007-284351号公報
【特許文献4】特開2006-265189号公報
【特許文献5】特許第4270976号公報
【0007】

【非特許文献1】Nature, Vol.382, 22, 685-691 (1996)
【非特許文献2】Proc. Natl. Acd. Sci. USA, Vol.94, 5296-5301 (1997)
【非特許文献3】Nature Medicine, Vol.9, 7, 907-913 (2003)
【非特許文献4】Nature, Vol.382, 22, 685-691 (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、β‐アミロイドペプチドの新規活性に着目したRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のβ‐アミロイドペプチドは正常脳においても産生され、健常人でもある程度の老人斑は生じていることがわかっている。しかしながら、アルツハイマー病の最大の危険因子は実は加齢である。そこで、本発明者らはβ‐アミロイドペプチドのみならず加齢の要素がアルツハイマー病の発症に重要である点に着目し、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、β‐アミロイドペプチドがRAGEとAGEの結合を高親和性に変化させることを初めて見出した。そこで、β‐アミロイドペプチドのRAGEとAGEの結合を抑制する物質を選別することによる、RAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法に関する本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.RAGE、AGE及びβ‐アミロイドペプチドを含む検査系において、RAGEとAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別することによるRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
2.以下の工程を含む、前項1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法:
1)AGE化蛋白質を固定した固相を準備する工程;
2)候補物質を含む溶液を固相に加える工程;
3)β‐アミロイドペプチドを含む溶液を固相に加える工程;
4)可溶化したRAGEを含む溶液を固相に加える工程;
5)上記4)の工程の後、固相に固定したAGE化蛋白質に結合したsRAGEの量を測定してRAGEとAGEの結合親和性を測定し、RAGEとAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別する工程。
3.候補物質とβ‐アミロイドペプチドを反応させた後、RAGEとAGEの結合親和性を測定することを特徴とする、前項1又は2に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
4.β‐アミロイドペプチドが、以下の配列番号1に示すアミノ酸配列、又は配列番号1に示すアミノ酸配列のうちC末端側のアミノ酸が1~2個欠失又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである、前項1~3のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法:
DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号1)
5.AGEのサブタイプが、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5より選択されるいずれか1種又は2種以上である、前項1~4のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
6.RAGEとAGEの結合抑制剤が、アルツハイマー病治療薬、糖尿病合併症治療薬、動脈硬化治療薬のいずれかである、前項1~5のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法。
7.固相、AGE化蛋白質、β‐アミロイドペプチド、及び可溶化RAGEを構成として含む、RAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング用キット。
8.前項1~6のいずれか1に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法により選別されるRAGEとAGEの結合抑制剤。
9.選別されるRAGEとAGEの結合抑制剤が、以下の式(I)~(III)のいずれかで示す化合物である、前項8に記載のRAGEとAGEの結合抑制剤。
【化1】
JP0005904945B2_000002t.gif
【化2】
JP0005904945B2_000003t.gif
【化3】
JP0005904945B2_000004t.gif

【発明の効果】
【0011】
本発明において、β‐アミロイドペプチドはRAGEとAGEの結合親和性を増強しうることが確認された。β‐アミロイドペプチドは、背景技術の欄でも示したように、アルツハイマー病の危険因子と考えられている。本発明により、β‐アミロイドペプチドの新規活性(新規機能)が確認された。本発明のスクリーニング方法により得られたRAGEとAGEの結合抑制剤は、β‐アミロイドペプチドが関わるRAGEとAGEの結合により生じるあらゆる疾患や症状の治療剤として使用することができる。とりわけ、新規メカニズムに着目したアルツハイマー病治療薬の開発に貢献しうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】現在開発中のアルツハイマー病治療薬の作用機序を示す図である。
【図2】AGEの説明図である。
【図3】BIACORETMを用いたRAGE-リガンド結合解析の模式図である。(参考例1)
【図4】マイクロタイタープレートを用いたAGEとRAGEの結合親和性測定の際の試験管内結合実験を説明する図である。(参考例2)
【図5】各種サブタイプのAGEとRAGEの結合親和性測定結果を示す図である。(参考例2)
【図6】β‐アミロイドペプチド(Aβ1-40)とその代謝後のペプチド(PyrAβ3-42)の構造を示す図である。配列番号1は、β‐アミロイドペプチド(Aβ1-42)を示すが、本実施例では1-40部分のペプチド(Aβ1-40)を用いた。(実施例1)
【図7】β‐アミロイドペプチド(Aβ1-40)、代謝後のペプチド(PyrAβ3-42)等を含む系でのAGEとRAGEの結合親和性測定結果を示す図である。(実施例1)
【図8】本発明のスクリーニング方法により得られた化合物A~Cによる、AGEとRAGEの結合抑制作用を示す図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、RAGE(Receptor for advanced glycation endproducts)、AGE(advanced glycation endproducts)及びβ‐アミロイドペプチドを含む検査系において、RAGEとAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別することによる、RAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法に関する。本発明において、RAGEとAGEの結合を抑制しうるとは、β‐アミロイドペプチドにより増強合されるRAGEとAGEの結合親和性を、阻害又は低減化しうることをいう。本発明のスクリーニング方法では、候補物質及びβ‐アミロイドペプチドを含む系でRAGEとAGEの結合親和性を測定し、β‐アミロイドペプチドのみをRAGEに加えた場合のRAGEとAGEの結合親和性を比較することにより、候補物質からRAGEとAGEの結合抑制剤を選別することができる。

【0014】
RAGEとAGEの結合親和性は、自体公知の方法により測定することができ、例えば表面プラズモン共鳴法によるBIACORETMシステム(GEヘルスケアジャパン株式会社)を用いて測定することができる。しかしながら、BIACORETMシステムのような装置がなくとも、例えば非特許文献4に記載の方法により簡便にRAGEとAGEの結合親和性を測定することができる。

【0015】
具体的には、以下の工程を含む方法によりRAGEとAGEの結合親和性を測定することができる。
A)AGE化蛋白質を固定した固相を準備する工程;
B)可溶性RAGE(sRAGE)を固相に加える工程;
C)固相に固定したAGE化蛋白質に結合したsRAGEの量を測定する工程。
上記A)の工程では例えば、マイクロタイタープレート等の各ウェル(固相)に、各濃度のAGE化蛋白質を固定することができる。B)の工程では、一定量のsRAGEを加え、各濃度のAGE化蛋白質とsRAGEを一定時間反応させる。使用されるsRAGEには、何らかのマーカー物質が付加されていることが好ましい。マーカーの例として、His tagやFLAG tagのようなペプチドタグや、何らかの標識物質、例えばフルオレセイン、FITCのような蛍光標識、β‐ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファダーゼ、ペルオキシダーゼのような酵素標識、フェロセン又はその誘導体、キノン又はその誘導体、コバルト化合物等の標識物質を例示することができる。C)の工程では、固相に固定された標識物質を計測することで、AGE化蛋白質に結合したsRAGEの量を測定することができ、その結果、AGEとRAGEの結合親和性を測定することができる。

【0016】
本発明のスクリーニングは、上記RAGEとAGEの結合親和性の測定系に、β‐アミロイドペプチドや候補物質を加えて結合親和性を比較する系、例えば、以下の工程を含む方法により行うことができる。
1)AGE化蛋白質を固定した固相を準備する工程;
2)候補物質を固相に加える工程;
3)β‐アミロイドペプチドを固相に加える工程;
4)sRAGEを固相に加える工程;
5)上記4)の工程の後、固相に固定したAGE化蛋白質に結合したsRAGEの量を測定してRAGEとAGEの結合親和性を測定し、RAGEとAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別する工程。

【0017】
本発明のスクリーニング方法では、上記において、2)及び3)の工程は、いずれが先であって、同時であってもよく、特に限定されない。また、2)~4)の工程を同時に行ってもよい。各物質を固相に加える場合には、適宜必要な溶解液に溶解して、固相上に加えることができる。

【0018】
本発明のスクリーニング方法では、上記において、候補物質とβ‐アミロイドペプチドを反応させた後、RAGEとAGEの結合親和性を測定するのであれば、候補物質とβ‐アミロイドペプチドの反応は、固相上で行っても良いし、別途別の容器内で反応させた後の溶液を固相に加えても良い。さらに、候補物質、β‐アミロイドペプチドとsRAGEを、別の容器内で反応させた後の溶液を固相に加えても良い。

【0019】
本発明のスクリーニング方法に使用されるAGE化蛋白質としては、メイラード反応の後期段階反応に見られる3つの特徴的な現象(蛍光性、褐色変化、及び分子内/分子間架橋形成)の少なくとも1つを伴う反応生成物が付加した蛋白質であればよい。かかるAGE化された蛋白質の種類としては特に限定はされないが、例えば、血中濃度の高いアルブミン、寿命の長いヘモグロビン、沈着アミロイドの主要成分であるβ2マイクログロブリン(β2M)、動脈硬化の発症と関連の深い低密度リポ蛋白質(LDL)や高密度リポ蛋白質(HDL)等が挙げられる。本発明では、入手の容易さを考慮して、AGE化アルブミンが特に好適である。本発明のスクリーニング方法では、AGE化蛋白質とRAGEの結合親和性を定量的に測定することが必要であるため、固相に固定するAGE化蛋白質の濃度は、段階的希釈系列により適宜決定することができる。

【0020】
本発明のスクリーニング方法に使用されるβ‐アミロイドペプチドは、β‐アミロイドペプチド(Aβ1-42)(配列番号1)又は配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドのうち、C末端側のアミノ酸が1~2個程度欠失又は付加されたペプチドである。本発明のスクリーニング方法で使用可能なβ‐アミロイドペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列のうち、N末端側のグルタミン酸がピログルタミル化されていない配列であることを要する。上記配列のペプチドが、AGEとRAGEの結合親和性を増強する効果を有することを、本発明により初めて見出したからである。一方、N末端側のグルタミン酸がピログルタミル化されている配列からなるペプチドは、いわゆるAβ1-42より代謝されたペプチドであるが、そのような代謝ペプチドを、AGEとRAGEの測定系に加えても、結合親和性の増強が認められないことが、本発明において確認された(図7参照)。
DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号1)

【0021】
AGEのサブタイプとしては、AGE1、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5などが公知である(非特許文献4参照)。本発明のスクリーニング方法に使用されるAGEのサブタイプとしては、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5から選択される1種であればよく、さらに2種以上のサブタイプを含むものであってもよい。RAGEと結合性の高いAGEのサブタイプは、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5であり、なかでも特にAGE2及びAGE3が、RAGEとの結合親和性が高いことが、本発明において確認されている。さらに、上述のβ‐アミロイドペプチドを加えた系では、AGE2、AGE3、AGE4及びAGE5のいずれのサブタイプのAGEであってもRAGEとの結合親和性が増強することが確認された(図7参照)。

【0022】
本発明のスクリーニング方法に使用されるRAGEは、可溶化されたRAGE(sRAGE)を用いるのが好適である。生体内では、RAGEポリペプチドには膜結合型のものと可溶型のものが存在する。膜結合型RAGEにAGEが結合すると、マクロファージ、血管内皮細胞、神経細胞ミクログリア、血管平滑筋、血小板などにおいて、活性酸素種の産生を経て転写因子NFκBの活性化等を引き起こし、炎症反応誘導、アポトーシスや各種障害が生じると考えられている。本発明のスクリーニング方法で用いられるsRAGEは、測定系の形態により便宜上可溶化したものであるが、生体内に存在する膜結合型RAGEとAGEの結合親和性を低減化しうる物質をスクリーニングすることを意図して用いられるものである。

【0023】
本発明のスクリーニング方法では、RAGEとAGEにβ‐アミロイドペプチドを加えた系でのRAGEとAGEの結合親和性を100とした場合に、さらに候補物質を加えた系でのRAGEとAGEの結合親和性が100より低い値を示す場合に、当該候補物質をRAGEとAGEの結合抑制剤として選別することができる。

【0024】
また、本発明のスクリーニング方法を実施するための測定系において、使用されるRAGEには、何らかのマーカー物質が付加されていることが好ましい。マーカーの例として、His tagやFLAG tagのようなペプチドタグや、何らかの標識物質、例えばフルオレセイン、FITCのような蛍光標識、β‐ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファダーゼ、ペルオキシダーゼのような酵素標識、フェロセン又はその誘導体、キノン又はその誘導体、コバルト化合物等の標識物質を例示することができる。固相に固定した各種濃度のAGE化蛋白質に結合したRAGEを検出することで、AGEとRAGEの結合親和性を測定することができるが、上記マーカー物質を検出することで、AGEに結合したRAGEを検出することができる。上記マーカー物質の検出は、例えば発光度や吸光度を測定することにより、行うことができる。

【0025】
本発明のスクリーニング方法では、β‐アミロイドペプチドによるRAGEとAGEの結合親和性の増強作用を抑制しうるRAGEとAGEの結合抑制剤をスクリーニングすることを目的とされる。ここにおいて、本発明のRAGEとAGEの結合抑制剤は、β‐アミロイドペプチドの作用によりRAGEとAGEの結合が増強し、その結果生じる疾患や症状に対して、有効に作用するものと考えられる。したがって、本発明のスクリーニング方法により選別されるRAGEとAGEの結合抑制剤は、アルツハイマー病治療薬、糖尿病合併症治療薬(例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパシー、末梢神経障害)、動脈硬化治療薬の他、悪性腫瘍、神経変成疾患、炎症性疾患等の疾患治療薬としても使用することができる。

【0026】
本発明は、RAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング用キットにも及ぶ。当該スクリーニング用キットには、固相、AGE化蛋白質、β‐アミロイドペプチド、及びsRAGEを少なくとも構成として含む。AGE化蛋白質は、予め固相に固定していてもよいし、必要に応じて濃度を選択できるよう、用時に固定してもよい。

【0027】
本発明のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング用キットに用いられる固相の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート及びニトロセルロースなどの有機材料、ガラス及びシリカなどの無機材料、並びに、金、銀及び胴などの金属材料などが挙げられる。これらの中でも成形加工性が容易である点から、有機材料が好ましく、さらに好ましくは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル及びポリアミドであるが、これに限定されるものではない。また、固相としてはマイクロプレートやビーズのような形状とすることができる。たとえば、96ウェルのマルチタイタープレートを用いることにより、ハイスループットにスクリーニングを行うことができる。

【0028】
当該スクリーニング用キットには、AGE化蛋白質、β‐アミロイドペプチド、及び/又はsRAGEなどの物質を水溶液に溶かした溶液を、試薬として含めることもできる。また、前記各物質を適当な溶液、例えば緩衝液、生理食塩液若しくは注射用蒸留水等を用いて用時溶解して用いることができる。当該スクリーニング用キットには、緩衝液、生理食塩液若しくは注射用蒸留水等の溶解液や希釈用溶液を適宜構成として含めることができる。

【0029】
本発明は、本発明のRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング方法により選別されるRAGEとAGEの結合抑制剤にも及ぶ。
【実施例】
【0030】
本発明の理解を助けるために、本発明を実施するまでの予備検討結果を参考例として示し、さらに実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことはいうまでもない。
【実施例】
【0031】
(参考例1)表面プラズモン共鳴法によるRAGE-リガンド結合解析
本参考例では、RAGEのリガンドとして公知のAGE2/3、HMGB1(High mobility group box 1)及びβ‐アミロイドペプチドの3種について、sRAGEとの結合能を解析した。解析には、表面プラズモン共鳴法によりBIACORETM(GEヘルスケアジャパン株式会社)を用いた。
【実施例】
【0032】
1)材料について
(a) sRAGEの作製方法
本実施例では、ヒト1回膜貫通型受容体であるRAGE(Accession No. NM_001136.3)のうち、細胞外領域のみで構成されるsRAGE(RAGEを構成するアミノ酸のうち23番-331番アミノ酸残基を有する蛋白質)を作製するために、細胞外領域をコードする遺伝子のみを増幅するプライマーを設計し、Cap Site cDNA dt (human liver由来)cDNAライブラリー(Nippon gene社)を鋳型にPCR反応を行い、sRAGE DNAを増幅した。当該増幅したsRAGE DNAとpASK-IBA32 vector(C末端にHis tagを付加)(IBA社)をライゲーションし、pASK-IBA32-sRAGE発現プラスミドを構築した。発現プラスミドを大腸菌株BL21(DE3)に形質転換し、テトラサイクリン誘導によりHis-sRAGE蛋白質を発現させた。発現誘導した大腸菌の破砕上清よりNi-NTAアガロースを用いて精製を行い、His tagged recombinant human sRAGE蛋白溶液を得た。
【実施例】
【0033】
(b) HMGB1の作製方法
HMGB1(Accession No. NM_002128.4)をコードする遺伝子を特異的に増幅するプライマーを設計し、Cap Site cDNA dt (human liver由来)cDNAライブラリー(Nippon gene社)を鋳型にPCR反応を行い、HMGB1 DNAを増幅した。増幅したHMGB1 DNAをpFastBac HTA vector(N末端にHis tagを付加)(Invitrogen社)とライゲーションし、pFastBac HTA-HMGB1プラスミドを構築した。Bac-to-Bac(R) Baculovirus Expression System (Invitrogen社)を用いてHMGB1発現用バクミドを構築し、SF9昆虫細胞にトランスフェクションを行い、HMGB1発現バキュロウイルスを得た。このウイルスをさらにSF9昆虫細胞に感染させ、72時間後に感染SF9細胞破砕上清よりNi-NTAアガロースを用いて精製を行い、His tagged recombinant human HMGB1蛋白溶液を得た。
【実施例】
【0034】
(c)AGE2及びAGE3のAGE化蛋白質の作製方法
BSAを50 mg/mlの濃度になるよう0.2 Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)に溶解した。BSA溶液10 mlに、各10 mlのAGE溶液(AGE2は0.2 M D-glyceraldehyde、AGE3は0.2 M D-glycoaldehydeに溶解したもの)を加え、それぞれをフィルターにより滅菌した。37℃で7 日間静置し、反応終了後、それぞれを透析膜に入れ、500 mlのPBSに対して4℃で4 回透析し、各サブタイプ(AGE2/3)のAGE化蛋白質(AGE化ウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin:BSA))を得た。
【実施例】
【0035】
2)表面プラズモン共鳴法
BIACORETM Sensor chip CM5 (GEヘルスケアジャパン株式会社) に、アミノカップリング法を用いて上述のsRAGEを固定化した。各リガンド物質をBIACORETMのマイクロ流路系にアナライトとして500 μg/mlの濃度で添加した。その結果、AGE2/3では非常に高い結合親和性を示し、HMGB1では高い結合親和性を示したが、β‐アミロイドペプチドについては低い結合親和性であった(図3参照)。
【実施例】
【0036】
(参考例2)マイクロタイタープレートを用いたAGE-BSAとRAGEの結合実験
本参考例では、AGEとsRAGEの結合能を、マイクロタイタープレートを用いて測定した。AGEには、産生経路により複数のサブタイプがある(非特許文献4参照)。本参考例では、AGE1、AGE2、AGE3、AGE4、及びAGE5について、RAGEとの結合能を確認した。各AGE化蛋白質は、ウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin:BSA)に付加し、AGE化BSAとした。本参考例において、sRAGEは、参考例1の手法に従って作製した。
【実施例】
【0037】
1)各サブタイプ(AGE1-AGE5)のAGE化蛋白質(AGE化BSA)の作製方法
BSAを50 mg/mlの濃度になるよう0.2 Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)に溶解した。BSA溶液10 mlに、各10 mlのAGE溶液(AGE1は1 M グルコース液、AGE2は0.2 M D-glyceraldehyde、AGE3は0.2 M D-glycoaldehyde、AGE4は0.2 M methylglyoxal、AGE5は0.2 M glyoxal(0.2 Mリン酸緩衝液、pH 7.4)に溶解したもの)を加え、それぞれをフィルターにより滅菌した。AGE1は37℃で8 週間、AGE2~5は7 日間静置した。反応終了後、それぞれを透析膜に入れ、500 mlのPBSに対して4℃で4 回透析し、各サブタイプ(AGE1-AGE5)のAGE化BSAを得た。
【実施例】
【0038】
2)AGEとsRAGEの結合親和性測定方法
96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに、各種AGE(AGE化BSA)溶液(0.05 ml)を0.3125~20μg/ml濃度で加え、4℃、16 時間インキュベートした。洗浄液(0.05% Tween20を含む10 mM Tris緩衝生理食塩水、pH 7.5)(0.2 ml)で3回洗浄後、10% BSA (0.1 ml)で4℃、16時間インキュベートし、ブロッキングを行った。3回洗浄後、ペプチド試料ならびにHis tagを付加したsRAGEを2.7μg/ml含む10 mM Tris緩衝生理食塩水(0.05 ml)をさらに加え、4℃で16時間インキュベートした。3 回洗浄後、Ni-NTA-HRP(自家調製)(0.05 ml)を加え、室温にて1 時間反応させた。その後、0.15 % H2O2及び2.5 mM 2,2'-Azinobis(3-ethylbenzothiazoline- 6-sulfonic Acid Ammonium Salt)(東京化成工業)(0.05 ml)を含む0.1 Mクエン酸緩衝液(pH 4.0)を反応させ、405 nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0039】
上記の結果、AGE1についてはsRAGEとの結合親和性はほとんど認められなかったが、AGE2及びAGE3については強い結合親和性を認めた。AGE4及びAGE5については、AGE2及びAGE3に比べてやや弱いものの、結合親和性を認めた。
【実施例】
【0040】
(実施例1)β‐アミロイドペプチドのRAGEとAGEの結合親和性に及ぼす影響
本実施例では、β‐アミロイドペプチドのRAGEとAGEの結合親和性に及ぼす影響を確認した。β‐アミロイドペプチドとしてのアミロイド1(Aβ1-40)(配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち、1-40の部分)と、その代謝ペプチドであるアミロイド2(PyrAβ3-42:配列番号2)を用いた(図6参照)。比較対照のため、陰性コントロールとしてTris緩衝液(Tris-Buffered Saline:TBS)、他のリガンドとして全長HMGB1、他の蛋白質として、マクロファージ遊走阻止因子(macrophage migration inhibitory factor: MIF)についても同様の測定を行った。
【実施例】
【0041】
1)材料について
アミロイド1(Aβ1-40)及びアミロイド2(PyrAβ3-42)は、(株)ペプチド研究所(箕面市)から購入した。対照としてのHMGB1は、参考例1の1)(b)に記載の方法で作製したものを用い、MIFについてはウシ脳より精製(Nishibori et al., Japanese Journal of Pharmacology, 1996 Jul;71(3):259-62.)したものを用いた。
【実施例】
【0042】
2)測定方法について
参考例2の測定方法において、アミロイド1及び2(各々265μg/ml)、全長HMGB1(500μg/ml)、MIF(24μg/ml)を加えたのち、His tagを付加したsRAGEを2.7μg/ml含む10 mM Tris緩衝液をさらに加え、4℃で16時間インキュベートし、その他の方法は同手法により行った。
【実施例】
【0043】
上記の結果、アミロイド1は、RAGEとAGEの結合親和性を強固に増強しうることが確認された。また、その効果に関してはAGEのサブタイプ(AGE2、AGE3、AGE4、及びAGE5)において、ほとんど差を認めなかった。一方、RAGEのリガンドであるHMGB1ホールは、緩衝液(TBS)の場合よりも低い値を示し、RAGEとAGEの結合親和性を抑制する作用を有すると考えられた。また、アミロイド1の代謝ペプチドであるアミロイド2及び他の蛋白質であるMIFについては、緩衝液(TBS)の場合とほぼ同様の値を示し、AGEのサブタイプについて、AGE2及びAGE3ではやや高く、AGE4及びAGE5でやや低い結合親和性を示す傾向についても同様であった。
【実施例】
【0044】
(実施例2)sRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニング
本実施例では、以下のa)~e)の工程を含む方法により、sRAGEとAGEの結合抑制剤のスクリーニングを行った。
a)AGE化蛋白質を固定した固相を準備する工程;
b)候補物質を含む溶液を固相に加える工程;
c)β‐アミロイドペプチドを含む溶液を固相に加える工程;
d)sRAGEを含む溶液を固相に加える工程;
e)上記d)の工程の後、固相に固定したAGE化蛋白質に結合したsRAGEの量を測定してRAGEとAGEの結合親和性を測定し、RAGEとAGEの結合を抑制しうる候補物質を選別した。
候補物質は、化合物ライブラリーより選択した。β-アミロイドペプチドとして、アミロイド1(Aβ1-40)を用いた。AGEとしてAGE2を用いた。
【実施例】
【0045】
1)材料について
以下の測定系で測定した。
(1) BSA+sRAGE
(2) AGE2+sRAGE
(3) AGE2+sRAGE+DMSO
(4) AGE2+sRAGE+DMSO+アミロイド1(Aβ1-40)
(5) AGE2+sRAGE+DMSO+アミロイド1(Aβ1-40)+化合物A
(6) AGE2+sRAGE+DMSO+アミロイド1(Aβ1-40)+化合物B
(7) AGE2+sRAGE+DMSO+アミロイド1(Aβ1-40)+化合物C
sRAGE及びAGE2は、参考例1に従い調製したものを用いた。アミロイド1(Aβ1-40)は実施例1と同様に(株)ペプチド研究所(箕面市)から購入した。AGEとsRAGEの結合親和性測定方法は、参考例2に従った。
【実施例】
【0046】
2)測定方法について
参考例2の測定方法において、アミロイド1(各々270μg/ml)、各化合物(10μM)を加えたのち、His tagを付加したsRAGEを27mg/ml含む10 mM Tris緩衝液をさらに加え、4℃で16時間インキュベートし、その他の方法は参考例2と同手法により行った。
【実施例】
【0047】
3)結果
上記の結果、候補化合物のうち、以下の化合物A~Cは、RAGEとAGEの結合を抑制しうることが確認された(図8)。これにより、本発明の方法によると、RAGEとAGEの結合抑制剤をスクリーニングしうることが確認された。本発明のスクリーニング方法により選別された化合物Aは以下の式(I)で示す構造式からなり、2-[3-(1,3-Dihydro-1,3,3-trimethyl-2H-indol-2-ylidene)-1-propenyl]-3-ethyl-benzothiazolium iodideともいう。化合物Bは、3,3',4',5,5',7-Hexahydroxyflavone 3-O-α-L-rhamnopyranosideであり、以下の式(II)で示す構造式からなり、別名 Myricetinともいう。化合物Cは、以下の式(III)で示す構造式からなり、protoporphyrin IXともいう。

【化1】
JP0005904945B2_000005t.gif
【化2】
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【化3】
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【産業上の利用可能性】
【0048】
以上詳述したように、β‐アミロイドペプチドはRAGEとAGEの結合親和性を増強しうることが確認された。β‐アミロイドペプチドは、背景技術の欄でも示したように、アルツハイマー病の危険因子と考えられている。本発明により、β‐アミロイドペプチドの新規活性(新規機能)が確認されたことで、β‐アミロイドペプチドによって増強されたRAGEとAGEの結合親和性を抑制しうる物質、すなわちRAGEとAGEの結合抑制剤をスクリーニングすることができる。本発明のスクリーニング方法により得られた結合抑制剤は、β‐アミロイドペプチドが関わるRAGEとAGEの結合により生じるあらゆる疾患や症状の治療剤として使用することができる。とりわけ、新規メカニズムに着目したアルツハイマー病治療薬の開発に貢献しうる。
Drawing
(In Japanese)【図2】
0
(In Japanese)【図5】
1
(In Japanese)【図6】
2
(In Japanese)【図7】
3
(In Japanese)【図8】
4
(In Japanese)【図1】
5
(In Japanese)【図3】
6
(In Japanese)【図4】
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