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Specification :(In Japanese)非接触放電試験方法及び装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6103353
Publication number P2014-137227A
Date of registration Mar 10, 2017
Date of issue Mar 29, 2017
Date of publication of application Jul 28, 2014
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)非接触放電試験方法及び装置
IPC (International Patent Classification) G01R  31/12        (2006.01)
G01N  21/67        (2006.01)
FI (File Index) G01R 31/12 Z
G01N 21/67 A
Number of claims or invention 9
Total pages 13
Application Number P2013-004497
Date of filing Jan 15, 2013
Date of request for substantive examination Dec 24, 2015
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大塚 信也
【氏名】山口 裕貴
【氏名】津端 裕之
Representative (In Japanese)【識別番号】100108660、【弁理士】、【氏名又は名称】大川 譲
Examiner (In Japanese)【審査官】山崎 仁之
Document or reference (In Japanese)特開2006-038471(JP,A)
特開昭63-086592(JP,A)
特開2009-300357(JP,A)
特開2012-154880(JP,A)
特開2012-242307(JP,A)
特開平05-086841(JP,A)
Field of search G01R 31/12
G01N 21/67
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
測定対象の放電或いはスパークに基づく発光現象を光学測定して、この測定した光学発光データから放電或いはスパークの大きさを非接触で評価する非接触放電試験方法において、
測定対象に既知の電源より電圧或いは電流を印加することにより放電或いはスパークの発光をさせ、この発光の強度を示す強度波形を発光測定器を用いて測定し、同時に放電或いはスパークの電流波形を電流測定装置で測定して、それらの発光の強度波形及び放電或いはスパークの電流波形を解析した解析データの関係を、前記測定対象に印加した印加電源情報に基づいて記録したデータベースを作成し、
前記測定対象の放電或いはスパークによって発生した電磁波を検出して、該電磁波を放電或いはスパーク発生のタイミング基準にして、前記測定対象から発生した放電或いはスパークの発光の強度波形を、前記発光測定器と同一若しくは同一種の発光測定器を用いて測定し、
前記測定した放電或いはスパークの発光の強度波形を解析することにより求められた発光データを、前記データベースに記録されているデータと比較することにより、放電或いはスパークの大きさを値として推定する、
ことから成る非接触放電試験方法。
【請求項2】
前記既知の電源としてインパルス電源を用いて放電或いはスパークの発光をさせ、前記印加電源情報を電流検出器或いは電圧検出器を用いて検出する耐雷試験を行う請求項1に記載の非接触放電試験方法。
【請求項3】
前記放電或いはスパークの大きさは、放電或いはスパークの電流のピーク値、放電或いはスパークの電流の積分値である電荷量、又は放電或いはスパークのエネルギー値である請求項1に記載の非接触放電試験方法。
【請求項4】
前記放電或いはスパークの大きさを、測定した光強度波形のピーク値或いは光強度波形の面積で評価する請求項1に記載の非接触放電試験方法。
【請求項5】
測定対象の放電或いはスパークに基づく発光現象を光学測定して、この測定した光学発光データから放電或いはスパークの大きさを非接触で評価する非接触放電試験装置において、
測定対象に既知の電源より電圧或いは電流を印加することにより放電或いはスパークの発光をさせ、この放電或いはスパークの発光の強度を示す強度波形を、シールドして配置された発光測定器を用いて測定し、同時に放電或いはスパークの電流波形を、シールドして配置された電流測定装置で測定して、それらの発光の強度波形及び放電或いはスパークの電流波形を解析した解析データの関係を、前記測定対象に印加した印加電源情報に基づいて記録したデータベースと、
前記測定対象の放電或いはスパークによって発生した電磁波を検出するアンテナと、
前記アンテナにより検出された電磁波を放電或いはスパーク発生のタイミング基準にして、前記測定対象から発生した放電或いはスパークの発光の強度波形を、前記発光測定器と同一若しくは同一種の発光測定器を用いて測定して、その波形強度を取得する波形強度取得装置と、
前記波形強度取得装置により取得した波形強度を解析する波形解析部と、
前記波形解析部での解析により求められた発光データを、前記データベースに記録されているデータと比較することにより、放電或いはスパークの大きさを値として推定する比較部と、
推定した結果を表示する表示部と、
から成る非接触放電試験装置。
【請求項6】
前記既知の電源としてインパルス電源を用いて放電或いはスパークの発光をさせ、前記印加電源情報を電流検出器或いは電圧検出器を用いて検出する耐雷試験を行う請求項5に記載の非接触放電試験装置。
【請求項7】
前記放電或いはスパークの大きさは、放電或いはスパークの電流のピーク値、放電或いはスパークの電流の積分値である電荷量、又は放電或いはスパークのエネルギー値である請求項5に記載の非接触放電試験装置。
【請求項8】
前記放電或いはスパークの大きさを、測定した光強度波形のピーク値或いは光強度波形の面積で評価する請求項5に記載の非接触放電試験装置。
【請求項9】
前記発光測定器は、光導波路を用いて前記測定対象に対向配置した請求項5に記載の非接触放電試験装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の放電或いはスパークを、それに基づく発光現象を光学測定することにより非接触で評価する非接触放電試験方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を主翼や機体構造に持つ新しい航空機は、例えば主翼に落雷があった場合、CFRPに取付けてあるファスナ(金属製の締付けボルト)で放電(=ボルテージスパーク)或いはスパーク(=サーマルスパークやアーク)が発生すると、翼内に蓄えられている燃料に引火し爆発の危険性があるため、放電発生の抑制が重要となっている。引火発生のしきい値は、放電エネルギーが200μJであるとされている(規格あり)。
【0003】
このような新しい部材について、開発技術の有効性や健全性を評価する試験が必要であり、これが耐雷試験である。航空機の耐雷試験の一つに、雷インパルス電流印加時に放電或いはスパーク発生有無の評価項目がある。この試験では、雷撃を模擬した波形でピーク値が数10kA~200kAの大きな電流を試料に通電することになる。
【0004】
従来(規格)は、フィルムカメラによる発光像の測定であり、入力エネルギーが200uJで発光がフィルムに写っているかどうかで評価していた。そのため、対象観測物が見通せる場所へカメラを設置する必要があることや、複数の場所を評価するために複数台のカメラを設置する必要があり、設置場所の確保が困難であった。さらには、フィルムのISO感度やレンズのF値の指定はあるが、発光のエネルギーの定量的な評価は原理的に困難であることなどが問題であった。カメラが設置できない場合は、水素ガスを含む混合ガスを充填して爆発検査が実施されているが、この場合、爆発があってもその発生場所が特定できない課題もあった。
【0005】
そのために、航空機の耐雷試験において、放電或いはスパークの有無や、有りの場合はそのエネルギーを評価する発光検出技術の開発が望まれている。特許文献1は、航空機の耐雷試験ではないが、ガス絶縁機器内部の部分放電発光を、発光検出器(受光素子)により、検出し、評価する技術を開示している。この発光検出器には、部分放電発光(特に300nm~600nmの波長領域)の検出感度が高い受光素子、例えば、光電子増倍管(PMT)、或いは高感度のフォトダイオードを用いる。受光素子の出力は測定装置(例えば、オシロスコープなどの波形観測装置)で観測する。
【0006】
しかし、耐雷試験では、試料の、特にファスナF付き試料の場合は、ファスナ周辺からの放電或いはスパークを計測するために、ガス絶縁機器内部の部分放電発光の検出とは異なり、雷撃を模擬した波形でピーク値が数10kA~200kAの大きな電流を試料に通電することになるので、電磁ノイズ環境の悪い中で実施する必要性がある。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2010-101671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非接触放電試験、例えば、航空機の耐雷試験において、発光測定器を用いて放電或いはスパークの有無や、有りの場合はそのエネルギーを評価する際に、遠隔に分離してシールド配置した複数の計測器の同期計測を行う必要が有り、それを実現する手段が求められていた。
【0009】
本発明は、係る問題点を解決するために、電磁ノイズ環境の悪い中で行う非接触放電試験において、微弱な発光現象を検出して、放電或いはスパークの発光強度波形を処理することで放電或いはスパークのエネルギーを評価することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の非接触放電試験方法は、測定対象の放電或いはスパークを、それに基づく発光現象を光学測定することにより非接触で評価する。測定対象に既知の電源より電圧或いは電流を印加或いは通電することにより放電或いはスパーク発光させ、この発光の強度波形を、シールドして配置された発光測定器を用いて測定し、同時に放電或いはスパークの電流波形を、シールドして配置された電流測定装置で測定して、それらの波形を解析した解析データの関係を、測定対象に印加或いは通電した電源の電圧或いは電流情報に基づいて記録したデータベースを作成する。測定対象の放電によって発生した電磁波を検出して、該電磁波を基準にして、測定対象から発生した放電或いはスパークの発光の強度波形を、発光測定器と同一若しくは同一種の発光測定器を用いて測定する。この測定した放電発光の強度波形を解析することにより求められた発光データを、データベースに記録されているデータと比較することにより、放電或いはスパークの大きさを値として推定する。
【0011】
本発明の非接触放電試験装置は、測定対象に既知の電源より電圧或いは電流を印加或いは通電することにより放電或いはスパークの発光をさせ、この発光の強度波形を、シールドして配置された発光測定器を用いて測定し、同時に放電或いはスパークの電流波形を、シールドして配置された電流測定装置で測定して、それらの波形を解析した解析データの関係を、測定対象に印加或いは通電した電源の電圧或いは電流情報に基づいて記録したデータベースと、測定対象の放電或いはスパークによって発生した電磁波を検出するアンテナと、このアンテナにより検出された電磁波を基準にして、測定対象から発生した放電或いはスパークの発光の強度波形を、発光測定器と同一若しくは同一種の発光測定器を用いて測定して、その波形強度を取得する波形強度取得装置と、波形強度取得装置により取得した波形強度を解析する波形解析部と、波形解析部での解析により求められた発光データを、データベースに記録されているデータと比較することにより、放電或いはスパークの大きさを値として推定する比較部と、推定した結果を表示する表示部と、から構成される。
【0012】
既知の電源としてインパルス電源を用いて放電発光させ、電源の電圧或いは電流の情報を電圧或いは電流検出器を用いて検出する耐雷試験を行うことができる。
【0013】
放電の大きさは、放電或いはスパークの電流のピーク値、放電或いはスパークの電流の積分値である電荷量、或いは放電或いはスパークのエネルギー値である。放電或いはスパークの大きさを、測定した光強度波形のピーク値或いは光強度波形の面積で評価する。発光測定器は、光導波路を用いて測定対象に対向配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、航空機の耐雷試験において、非接触放電試験を電磁ノイズ環境の悪い中で、微弱な発光を検出して、放電或いはスパークの発光強度波形を処理することが可能になる。これによって、放電或いはスパーク発光の検出とそのエネルギー評価技術を、実際の航空機の耐雷試験に適用できるようになる。さらに、発光像や発光以外の電磁波信号を同時に取得することにより、どこでどのような放電(スパーク)がいつ発生したかをフィルムの現像などを待たずに瞬時に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に基づく非接触放電試験方法を説明する動作説明図である。
【図2】波形の定義を説明する図である。
【図3】本発明に基づき構成した非接触放電試験装置の回路構成図である。
【図4】図3に示されている波形解析部、データベース、比較部、及び評価・表示部の詳細図である。
【図5】光導波路(光ファイバー)使用時の特性例を示す図であり、(A)は放電発光強度と放電電流の関係を示し、(B)は放電発光積分値と放電電荷量の関係を示している。
【図6】発光強度波形のピーク値Lpや発光強度積分値Lqなどの発光信号を放電電流ピーク値と同時に測定して、この特性からLpやLqから放電電流ピーク値ipの推定を説明する図である。
【図7】図6と同様に、発光強度波形のピーク値Lpや発光強度積分値Lqなどの発光信号を放電電荷量と同時に測定して、この特性からピーク値Lpや積分値Lqから放電電荷量qの推定を説明する図である。
【図8】図6や図7と同様に、発光強度波形のピーク値Lpや発光強度積分値Lqなどの発光信号を放電エネルギーと同時に測定して、この特性から放電エネルギーEの推定を説明する図である。
【図9】本発明を耐雷試験装置に具体化した例を示す概略構成図である。
【図10】図9に示す耐雷試験装置で観測された各種波形を示すグラフである。
【図11】(a)~(c)はそれぞれ雷インパルス電流値を変えて測定した発光像写真と発光強度波形のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、例示に基づき本発明を説明する。本発明は、最初に、使用する発光測定器毎に、光信号(少なくとも、光強度波形のピーク値Lp、光強度波形の面積Lq)と放電の大きさ(放電電荷量qや放電電流ピーク値ip、放電エネルギーE)の相関を示すデータベースを、印加電源情報(少なくとも、印加電圧値や極性、放電発光の発生時の瞬時電圧や発生時間(或いは位相))を考慮して作成する。本発明は、このように作成したデータベースに記録されているデータを用いて、放電或いはスパークの電流波形が測定できない状況における、例えば耐雷試験において、発光強度波形を計測することで、放電或いはスパークの電流の積分値(電荷量)やその積分値に電圧をかけたエネルギー量を、データベースに記録されたデータに基づき求める。

【0017】
図1は、本発明に基づく非接触放電試験方法を説明する動作説明図である。まず、データベースを作成するために、ステップS1において、試験用の放電源に、電源情報が既知の電源より雷インパルス電圧を印加することにより放電発光させる。耐雷試験(雷撃試験)においては、雷インパルス電流を対象として、電源は電流源LI_CG、及びその電流を検出する電流検出器CTになる。インパルス電源の場合、極性は既知であるが、どのタイミングで放電或いはスパークが発生したかを知る必要がある。さらに、本発明は、インパルス電源だけではなく、交流や直流等、各種電源を用いることもできる。この場合、電流検出器CT或いは電圧検出器は、電圧や電流、極性を含む電源情報を測定する。

【0018】
ステップS2において、発光測定器を用いて放電発光の強度波形と同時に、数GHzまでの周波数応答を有する電流変換プローブCTや電流波形検出器などを用いて放電電流波形を測定する。

【0019】
ステップS3において、それらの波形を解析し、ステップS4において、解析データの光強度波形のピーク値Lpや光強度波形の面積(積分値)Lqと放電の大きさ(放電電流ピーク値ipや放電電荷量q、或いは放電エネルギーE)の関係を、印加電源情報を考慮して使用する発光測定器毎、及び対象とする放電環境毎に作成して、データベースに記録する。

【0020】
次に、データベースに記録されているデータを用いて、測定した発光データから放電の大きさ(放電電流ピーク値や放電電荷量、および放電エネルギー)の評価を行ない、それらの値を推定する。ステップS11において、耐雷試験(雷撃試験)などの試験において放電源から発生した放電発光を検出する。放電なしの場合は、評価はせず、放電発生がないことを表示する。本発明は、航空機の耐雷試験に使用できるが、それに限らず、電力機器や電気電子機器、或いは電気自動車などの電気で駆動や制御される電気エネルギー機器の放電試験や電気絶縁異常のモニタリングにも使用することができる。ステップS12,S13においては、データベース作成の際に用いた発光測定器と同一若しくは同一種の発光測定器を用いて放電発光の強度波形を測定して、その波形を解析する。この解析により求められた発光データを、ステップS14において、データベースに記録されているデータと比較することにより、放電電流ピーク値ip、放電電流の積分値である放電電荷量q、放電エネルギーEの値を推定する。

【0021】
図2は、波形の定義を説明する図である。横軸は時間を示している。図中の上側には、放電電流波形を、また、下側には同時に測定した放電発光強度波形をそれぞれ示している。本発明は、データベースに記録されているデータを用いて、測定した放電発光強度から、放電電流を評価する。具体的には、放電電流のピーク値ipを、光強度波形のピーク値Lpで評価する。或いは光強度波形の面積Lqでも評価できる。また、放電電流の積分値である電荷量qは、光強度波形の面積(積分値)Lqで評価する。或いは光強度ピーク値Lpでも評価できる。また、放電エネルギーEは、光強度波形の面積(積分値)Lqで、或いは光強度ピーク値Lpで評価する。その評価の詳細は後述する。

【0022】
図3は、本発明に基づき構成した非接触放電試験装置の回路構成図である。上述したように、データベース作成の際には、試験用の放電源に対して、電源情報が既知の電源より電流(電圧)を印加する。電源は、放電試験に応じて、雷インパルス電流以外にも、交流や直流試験電圧を用いることができる。いずれの場合も、印加電圧や印加電圧極性および放電発生時の瞬時電圧や発生時間(或いは位相)は既知である。放電電流は、電流測定装置によって測定する。但し、データベース作成後の放電試験や保守運用時には、放電電流は測定せずに発光測定器による発光強度波形の測定、及びアンテナを用いての放電タイミングの測定のみとなる。

【0023】
データベース作成時に、電流測定装置によって測定された放電電流は、デジタルオシロスコープAなどの波形取得装置で、波形観測するだけでなく、そのデータを取得する。この際、デジタルオシロスコープの周波数帯域とサンプリング周波数は、発光強度波形の変化に十分対応できることが必要である。例えば、周波数帯域では、300MHz以上、サンプリング周波数では1GS/s以上が望まれる。データベース作成時に用いるデジタルオシロスコープAのトリガは、放電電流や発光強度波形或いは印加電源の駆動制御信号或いは電源の波形などを用いる。静電気放電試験や雷インパルス試験においては、単発電圧或いは単発電流印加による試験であるため、それら試験器(例えば静電気放電試験であればESDガンであったり、雷インパルス試験であれば雷インパルス電圧或いは電流発生器)の駆動信号或いはその出力信号をトリガ信号として使用できる。

【0024】
放電発光評価時に用いるデジタルオシロスコープBのトリガは、放電時に放射される電磁波をアンテナで検出し、トリガ信号として使用する。更に、交流や直流試験、或いは、上記雷インパルス試験においても、特定の時間内や交流信号であれば特定の位相での観察を対象とする場合は、その時間や位相でトリガ信号を与えるような、遅延回路やパルス発生器を用いてもよい。

【0025】
放電発光を検出する発光測定器は、それに接続した光導波路の先端側を測定対象に対向配置する。電流測定装置によって検出された放電電流の電流波形の取得、及び発光測定器によって検出された放電発光の発光強度波形の取得は、互いに異なる場所に設置されることのあるデジタルオシロスコープAとデジタルオシロスコープBによって行われる。デジタルオシロスコープA、及びデジタルオシロスコープBと発光測定器は、それぞれシールドボックス内に設置されてシールドする。

【0026】
データベース作成のための測定と、測定対象の放電発光評価(耐雷試験)のための測定を実施する場所は、通常同じでは無い。データベースは比較的小さな電源設備で可能であるのに対して、耐雷試験は比較的に大きな電源設備を必要とする。そのため、データベースの作成では、電源の情報(通常は印加電圧波形)と放電或いはスパークの電流、発光を同時にノイズの影響をそれほど受けずに一つの計測器で計測できる。即ち、図3において、デジタルオシロスコープAとデジタルオシロスコープBに機能的に分割して図示したが、データベースの作成では、一つの波形計測装置(デジタルオシロスコープ)のみで、電源の情報と放電或いはスパークの大きさの両方を取得することも可能である。これに対して、耐雷試験では、物理的配置と安全性及び電磁ノイズのため、放電或いはスパークの電流波形を測定できないのが通常である。そのため、耐雷試験では、事前に作成したデータベースを用いて、放電或いはスパークの発生時に生じる電磁波信号を取得し、その電磁波信号に基づき電源情報と同期を取りつつ、発光計測をすることにより、放電或いはスパークの大きさを求める。

【0027】
データベース作成の際、或いは測定対象の放電発光評価の際、同一の発光測定器を用いるか、少なくとも同一種(即ち、同一特性)の発光測定器を用いて、発生した発光を検出する。発光強度に応じて、発光測定器への入力光信号を減光したり、感度を増加させることを行う。感度の増減には、発光測定器と発光源の距離を増減したり、光学フィルタを設置すること、或いは光ファイバーなどの光導波路を使用したり、発光測定器のゲインを調整することで行う。紫外から可視光領域に高い感度を有する発光測定器は、例えば光電子増倍管PMTである。発光強度が強い場合は、光電子増倍管PMTの代わりにフォトダイオードでもよい。更に発光強度が強い場合は、減光フィルタを使用する。

【0028】
データベース作成時にデジタルオシロスコープAで取得された放電電流波形データは、波形解析部Aに入力される。データベース作成の際、或いは測定対象の放電発光評価の際、デジタルオシロスコープBで取得された発光波形データは、波形解析部Aと波形解析部Bのそれぞれに入力される。アンテナを用いて検出した電磁波(GHz帯)は、デジタルオシロスコープBにトリガ信号として入力する。検出された電磁波によって、雷インパルス電源の電流或いは電圧の通電や印加が始まるタイミングがわかり、そこを基準に同期計測が可能となる。また、それにより、雷インパルス波形における放電或はスパーク発生のタイミングがわかる。

【0029】
波形解析部Aで解析された光強度波形データと放電の大きさの関係は、データベースに記録する一方、放電発光評価時に、波形解析部Bで解析された光強度波形データは、比較部に入力される。比較部では、データベースに記録されているデータを用いて、測定した発光データから放電の大きさ(電流ピーク値や放電電荷量、および放電エネルギー)の評価を行ない、それらの値を推定する。

【0030】
図4は、図3に示されている波形解析部、データベース、比較部、及び評価・表示部の詳細図である。放電発光強度波形や放電電流波形の値は、デジタルオシロスコープDOSCから、波形解析部の積分回路と、ピーク検出回路に導かれる。積分回路は、発光測定器出力波形の積分値Lqや電流変換プローブCT或いは電流波形検出装置の出力波形の積分値qを算出し、かつ、ピーク検出回路は、発光測定器出力波形のピーク値Lpや電流変換プローブCT或いは電流波形検出装置の出力波形のピーク値ipを算出する。さらに演算回路で、積分回路からの出力qと印加電源情報としての発光発生時の電圧値Vとの積により放電エネルギーEを算出する。データベース作成時に、これら値は、データベースに記録する。

【0031】
放電発光評価時に、発光測定器出力波形のピーク値Lpや積分値Lq、及びデータベースに記録されているデータにより、放電電流波形のピーク値ip、その面積(時間積分値)である放電電荷量q、および放電エネルギーEを評価する。特に、放電電流波形のピーク値ipは発光測定器出力波形のピーク値Lpで、放電電荷量qは積分値Lqで評価する。放電エネルギーEはピーク値Lpと積分値Lqのどちらでもそれほど相違はないため、どちらで評価してもよい。

【0032】
図5は、光導波路(光ファイバー)使用時の特性例を示す図であり、(A)は放電発光強度と放電電流の関係を示し、(B)は放電発光積分値と放電電荷量の関係を示している。図5(A)に示すように、放電発光強度Lpと放電電流ピーク値ipは線形性が認められる。同様に、図5(B)に示すように、放電発光積分値Lqと放電電荷量qも線形性が認められる。

【0033】
図6は、発光強度波形のピーク値Lpや発光強度積分値Lqなどの発光信号を放電電流ピーク値と同時に測定して、この特性からLpやLqから放電電流ピーク値ipの推定を説明する図であり、図中プロットは実測例を示し、かつ、図中ラインはデータベース作成用に修正した近似特性線である。このグラフの特性線上の各点が、表にしてデータベースに記録されている。放電電流波形のピーク値ipに対しては、出力波形のピーク値Lpの方が積分値Lqよりも線形的な対応となる。さらに物理的観点からも、放電電流波形のピーク値ipの推定には出力波形のピーク値Lpを使用する方が好ましい。なお、線形的に比例していない場合でも、入力ピーク値Lpや積分値Lqに対する出力ピーク値ipの近似特性線を定式化してこの関数を求め、ピーク値Lpや積分値Lqの入力値に対する出力ピーク値ipが得られる。

【0034】
図7は、図6と同様に、発光強度波形のピーク値Lpや発光強度積分値Lqなどの発光信号を放電電荷量と同時に測定して、この特性からピーク値Lpや積分値Lqから放電電荷量qの推定を説明する図であり、図中プロットは実測例を示し、かつ、図中ラインはデータベース作成用に修正した近似特性線である。このグラフの特性線上の各点が、表にしてデータベースに記録されている。放電電荷量qに対しては、積分値Lqの方がピーク値Lpよりも線形的な対応となる。さらに物理的観点からも、放電電荷量qの推定には積分値Lqを使用する方が好ましい。なお、線形的に比例していない場合でも、入力積分値Lqやピーク値Lpに対する出力電荷量qの近似特性線を定式化してこの関数を求め、積分値Lqやピーク値Lpの入力値に対する出力電荷量qが得られる。

【0035】
図8は、図6や図7と同様に、発光強度波形のピーク値Lpや発光強度積分値Lqなどの発光信号を放電エネルギーと同時に測定して、この特性から放電エネルギーEの推定を説明する図であり、図中プロットは実測例を示し、かつ、図中ラインはデータベース作成用に修正した近似特性線である。このグラフの特性線上の各点が、表にしてデータベースに記録されている。放電エネルギーEに対しては、積分値Lqの方がピーク値Lpよりも線形的な対応となる。さらに物理的観点からも、放電エネルギーEの推定には積分値Lqを使用する方が好ましい。なお、線形的に比例していない場合でも、入力ピーク値Lpや積分値Lqに対する出力放電エネルギーEの近似特性線を定式化してこの関数を求め、ピーク値Lpや積分値Lqの入力値に対する出力放電エネルギーEが得られる。
【実施例1】
【0036】
図9は、本発明を耐雷試験装置に具体化した例を示す概略構成図である。耐雷試験においては、電源には、雷インパルス電流を通電することのできる電流源LI_CG、及びインパルス電流を検出する電流検出器CTを用いる。インパルス電源の場合、極性は既知であるが、どのタイミングで放電或いはスパークが発生したかを知る必要がある。タイミングは、アンテナA1を用いて測定する。
【実施例1】
【0037】
試料(ファスナF付きサンプル)CFRPの発光を計測するために、サンプルは暗箱DB内に設置する。その暗箱DB内には、シールドボックスS3に入れた発光画像を測定するデジタルカメラCAMと光電子増倍管PMTへ発光信号を導く光ファイバーOFが適切に配置されており、光ファイバーOFは暗箱DBから別のシールボックスS2内に取り入れられている。なお、デジタルカメラCAMと光ファイバーOFは、必要に応じて試料の裏、表の両面に配置してもよい。レリーズ操作部Cは、カメラCAMのシャッタの開閉を暗箱の外部から行うためのものである。レリーズ操作部Cを操作することにより試験前にシャッタを開けて、撮影の準備をした後、発光像を撮影し、撮影後に暗箱の中を観測するさい、外光が入って発光像が消えてしまわないように、シャッタを再び閉める。
【実施例1】
【0038】
発光強度波形の測定をするために、光電子増倍管(PMT)或いはフォトダイオードを用いる。光ファイバーOF先端に集光レンズ(L)や特定波長のみを透過させる光学フィルタを取付けてもよい。試料と光ファイバーOF先端まで、或いは光電子増倍管(PMT)までの距離は、測定波形の強度に影響するため、距離を適切に選択し、記録しておくことが重要である。この距離は、発光測定装置の構成(フィルタや集光レンズ有無)などの測定条件と同条件で校正曲線を取得しておく。シールドボックスS2の内部には、光ファイバーOF後端に正対して光電子増倍管PMT(或いはフォトダイオード)があり、その出力はデジタルオシロスコープOSC2に取り入れられている。なお、光電子増倍管PMTとデジタルオシロスコープOSCの電源は、バッテリー駆動或いはシールドボックス内の外部と電気的に絶縁された電源から供給される。
【実施例1】
【0039】
また、シールドボックスS2内には、その外部に設置されている指向性を有するGHz帯に感度を有するアンテナA1(例えば、ホーンアンテナ)からの出力も同軸ケーブルを介して導入されており、この信号がデジタルオシロスコープOSC2のトリガ信号となる。雷インパルス電源L1_CGから試料(ファスナF付きサンプル)CFRPに通電される試験電流波形は、電流プローブCTの出力としてデジタルオシロスコープOSC1で観測され、かつ取得される。
【実施例1】
【0040】
印加雷インパルス電流波形の観測及び取得は、第1のシールドボックスS1に設置した第1の波形観測装置OSC1で行われる一方、発光強度波形の観測及び取得は、第2のシールドボックスS2に設置した第2の波形観測装置OSC2で行われる。このように、印加雷インパルス電流波形と発光強度波形の観測及び取得は、異なる場所で異なる波形観測装置(OSC1とOSC2)で行うため、両者の時間軸を合わせる、即ち同期計測が必要である。
【実施例1】
【0041】
同期計測を実現するために、第2の波形観測装置OSC2を用いた発光強度波形の観測及び取得のトリガのために、GHz帯に感度を有する指向性のあるアンテナ(A1)を用いる。アンテナ(A1)によって放電により発生した電磁波を検出することによって、雷インパルス電流の通電が始まるタイミングがわかり、そこを基準に同期計測が可能となる。更に、電磁波を検出することによって、細線が溶断されるタイミング(アークエントリー)や、試験中に発生する放電或いはスパークを電磁波として観測することができる。これによって、耐雷試験の際に発生するワイヤ溶断や放電或いはスパーク事象を電磁的に観測し、PMTで測定した発光現象がどのタイミングで起こっているかを確認することができる。
【実施例1】
【0042】
発光強度波形の測定系には、微弱な放電(スパーク)発光を感度よく発光強度波形計測素子(PMT)で測定できるように暗箱(DB)を用いる。さらに、カメラ(CAM)を用いることにより、発光像の同期観測も可能になる。カメラ(CAM)やPMTは雷インパルス電流による強い電磁ノイズの影響を受けないように波形計測装置(OSC2)と共にシールドボックス(S2、S3)に設置する。
【実施例1】
【0043】
第1の波形観測装置OSC1で取得された雷インパルス電流波形、及び第2の波形観測装置OSC2で取得された発光強度波形は、それぞれコンピュータPC内に取り込まれる。コンピュータPCにおいては、詳細は図3及び図4を参照して説明したように、データベース作成時に波形解析部Aにおいて放電電流波形及び発光強度波形をそれぞれ解析し、この解析データをデータベースへ記録する一方、放電発光評価時に波形解析部Bにおいて解析された発光強度波形データを、データベースに記録されているデータと比較して、評価された結果を表示部に表示する。
【実施例1】
【0044】
このように、暗箱DBとシールドボックス、光電子増倍管PMTとアンテナ、および光ファイバーを用いることで、数10kAから200kAの雷インパルス電流通電時の劣悪な電磁ノイズ環境での、微弱な放電或いはスパーク発光を計測でき、電源からの通電電流波形と同期計測できる。
【実施例1】
【0045】
図10は、図9に示す耐雷試験装置で観測された各種波形を示すグラフである。グラフ上段に、検出された雷インパルス電流波形を示し、中段に、発光測定器PMTで測定した発光波形を示し、下段に、アンテナAにより受信した電磁波をそれぞれ例示している。
【実施例1】
【0046】
図11(a)~(c)はそれぞれ雷インパルス電流値を変えて測定した発光像写真と発光強度波形のグラフを示す図である。図中に記載したEは、発光強度波形から導出した放電エネルギーを表している。電流値LICは印加電流波形のピーク値を表している。放電或いはスパークは、この雷インパルス電流波形のどのタイミングで発生するかで発光の強度が変わるため、直接はピーク値を示す電流値LICとの関係は無い。写真の発光像が大きく、明るくなっているほど、評価した放電エネルギーが大きくなっていること、および、どの程度の範囲の放電エネルギーの試験ができたかが、グラフより読み取ることができる。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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