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明細書 :貫入試験システム、土質判定装置、貫入試験方法およびコンピュータプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6349591号 (P6349591)
公開番号 特開2015-224489 (P2015-224489A)
登録日 平成30年6月15日(2018.6.15)
発行日 平成30年7月4日(2018.7.4)
公開日 平成27年12月14日(2015.12.14)
発明の名称または考案の名称 貫入試験システム、土質判定装置、貫入試験方法およびコンピュータプログラム
国際特許分類 E02D   1/02        (2006.01)
G01N   3/40        (2006.01)
FI E02D 1/02
G01N 3/40 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 14
出願番号 特願2014-110652 (P2014-110652)
出願日 平成26年5月28日(2014.5.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 開催日:平成26年2月24日、集会名:平成25年度 日本大学大学院理工学研究科修士論文審査会、開催場所:日本大学船橋校舎 発行日:平成26年3月25日、刊行物:平成25年度 日本大学大学院理工学研究科修士論文要旨集,第25~30頁,日本大学大学院理工学研究科
審査請求日 平成29年3月9日(2017.3.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】下村 修一
【氏名】酒句 教明
【氏名】川村 政史
【氏名】下村 幸男
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
【識別番号】100175824、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 淳一
審査官 【審査官】石川 信也
参考文献・文献 特開昭63-279140(JP,A)
特開2001-066180(JP,A)
特開2005-010719(JP,A)
特開2004-137813(JP,A)
米国特許出願公開第2005/0204809(US,A1)
調査した分野 E02D 1/02
G01N 3/40
特許請求の範囲 【請求項1】
地中に貫入される貫入部と、
前記貫入部内に設けられた共鳴室と、
前記共鳴室内に生じる音を収音するマイクロフォンと、
前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記マイクロフォンが収音した音から検査対象の音信号を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定部と、
を備えた貫入試験システム。
【請求項2】
前記抽出部は、前記共振周波数未満の周波数成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の貫入試験システム。
【請求項3】
前記抽出部は、前記マイクロフォンが収音した音から、音圧の実効値に基づいて音圧のピーク値を算出し、
前記判定部は、前記算出されたピーク値と各土質の音信号の音圧のピーク値の基準値とに基づいて土質を判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のに記載の貫入試験システム。
【請求項4】
前記抽出部は、前記貫入部の単位回転量に基づく小区間に分けて前記ピーク値を算出することを特徴とする請求項3に記載の貫入試験システム。
【請求項5】
地中に貫入される貫入部内に設けられた共鳴室内に生じる音を収音するマイクロフォンが収音した音を入力する入力部と、
前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記入力部により入力された音から検査対象の音信号を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定部と、
を備えた土質判定装置。
【請求項6】
マイクロフォンが、地中に貫入される貫入部内に設けられた共鳴室内に生じる音を収音する収音ステップと、
抽出部が、前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記マイクロフォンが収音した音から検査対象の音信号を抽出する抽出ステップと、
判定部が、前記抽出部により抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定ステップと、
を含む貫入試験方法。
【請求項7】
コンピュータに、
地中に貫入される貫入部内に設けられた共鳴室内に生じる音を収音するマイクロフォンが収音した音を入力する入力ステップと、
前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記入力ステップにより入力された音から検査対象の音信号を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、貫入試験システム、土質判定装置、貫入試験方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤調査方法の一つとして、日本工業規格 A1221「スウェーデン式サウンディング試験方法(Method for Swedish weight sounding test)」が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、スウェーデン式サウンディング試験(以下、SWS試験と称する)において、地中に貫入される貫入部材が地中に貫入されるのにともなって当該貫入部材を伝播する音を検出し、この検出された音を作業者が聴取可能なレベルで出力したり、記録したりする貫入試験方法が知られている(例えば、特許文献1,2,3参照)。また、SWS試験において、地盤とスクリューポイントとの間に生じる摩擦音を収録し、該収録音の周波数特性及び音圧レベルの解析から地盤材質を判定する土質判定方法が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-363960号公報
【特許文献2】特開2002-371542号公報
【特許文献3】特開2003-105744号公報
【0004】

【非特許文献1】日本工業規格 A1221、“スウェーデン式サウンディング試験方法”、[2014年4月23日検索]、インターネット<URL:http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html>
【非特許文献2】酒句教明、塩川博義、下村幸男、川村政史、“摩擦音を利用したスウェーデン式サウンディング試験に関する実験研究”、一般社団法人日本建築学会、学術講演梗概集. B-1, 構造I, 荷重・信頼性,応用力学・構造解析,基礎構造,シェル・立体構造・膜構造、2009、20300、pp. 599-600、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1,2,3の貫入試験方法では、作業者が音を聞いて土質を推定するので、作業者の熟練度に応じて推定精度にばらつきが生じる。また、非特許文献2の土質判定方法では、SWS試験の実施環境に応じて収録音の解析結果に差が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、作業者の熟練度の違いやSWS試験の実施環境の違いによる判定結果の差を抑制できる、貫入試験システム、土質判定装置、貫入試験方法およびコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、地中に貫入される貫入部と、前記貫入部内に設けられた共鳴室と、前記共鳴室内に生じる音を収音するマイクロフォンと、前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記マイクロフォンが収音した音から検査対象の音信号を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定部と、を備えた貫入試験システムである。
【0008】
(2)本発明の一態様は、上記(1)の貫入試験システムにおいて、前記抽出部は、前記共振周波数未満の周波数成分を抽出することを特徴とする。
【0009】
(3)本発明の一態様は、上記(1)又は(2)のいずれかの貫入試験システムにおいて、前記抽出部は、前記マイクロフォンが収音した音から、音圧の実効値に基づいて音圧のピーク値を算出し、前記判定部は、前記算出されたピーク値と各土質の音信号の音圧のピーク値の基準値とに基づいて土質を判定する、ことを特徴とする。
【0010】
(4)本発明の一態様は、上記(3)の貫入試験システムにおいて、前記抽出部は、前記貫入部の単位回転量に基づく小区間に分けて前記ピーク値を算出することを特徴とする。
【0011】
(5)本発明の一態様は、地中に貫入される貫入部内に設けられた共鳴室内に生じる音を収音するマイクロフォンが収音した音を入力する入力部と、前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記入力部により入力された音から検査対象の音信号を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定部と、を備えた土質判定装置である。
【0012】
(6)本発明の一態様は、マイクロフォンが、地中に貫入される貫入部内に設けられた共鳴室内に生じる音を収音する収音ステップと、抽出部が、前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記マイクロフォンが収音した音から検査対象の音信号を抽出する抽出ステップと、判定部が、前記抽出部により抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定ステップと、を含む貫入試験方法である。
【0013】
(7)本発明の一態様は、コンピュータに、地中に貫入される貫入部内に設けられた共鳴室内に生じる音を収音するマイクロフォンが収音した音を入力する入力ステップと、前記共鳴室の大きさに応じた共振周波数に基づいて、前記入力ステップにより入力された音から検査対象の音信号を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された検査対象の音信号と各土質の音信号の基準値とを比較し、当該比較の結果に基づいて当該検査対象の音信号に該当する土質を判定する判定ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。

【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業者の熟練度の違いやSWS試験の実施環境の違いによる判定結果の差を抑制できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る貫入試験システム1の構成図である。
【図2】図1に示されるスクリューポイント10部分の断面図である。
【図3】図1に示される土質判定装置5の電気構成図である。
【図4】図1に示される土質判定装置5の機能構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る音収録方法の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る音入力信号611の一例の音圧レベル(SPL)を示すグラフ図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る音入力信号611の他の例の音圧レベル(SPL)を示すグラフ図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る土質判定方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係るSPL(EV)の一例を示すグラフ図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る基準データ523の一例を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る貫入試験システム1の構成図である。図1において、貫入試験システム1は、貫入試験機2と受信機3とサウンドカード4と土質判定装置5を備える。貫入試験機2は、スクリューポイント10とロッド11と錘12とハンドル13と送信機14を備える。

【0017】
図2は、図1に示されるスクリューポイント10部分の断面図である。スクリューポイント10は地中に貫入される貫入部である。スクリューポイント10の内部には共鳴室20が設けられる。共鳴室20は閉空間の筐体で構成される。該共鳴室20の閉空間の端部にはマイクロフォン21が設けられる。マイクロフォン21は共鳴室20内に生じる音を収音する。マイクロフォン21で収音された音は電気信号として通信ケーブル22により送信機14へ伝送される。

【0018】
共鳴室20は長さLの大きさを有する。共鳴室20は長さLに応じた共振周波数を有する。なお、ここでは、共振周波数は共鳴周波数と同義として扱い、共振周波数を使用する。例えば、共鳴室20は長さLが0.1m(メートル)である場合、共振周波数fは以下の式で算出される。
f=V÷λ=340÷(0.1×2)=1.7kHz(キロヘルツ)
但し、Vは音速(本実施形態では、毎秒340mとする)である。λは音30の波長(2L)である。

【0019】
説明を図1に戻す。
送信機14は、マイクロフォン21で収音された音の電気信号を無線信号として送信する。受信機3は、送信機14から送信された無線信号を受信する。受信機3は、該受信信号をサウンドカード4へ出力する。サウンドカード4は、受信機3からの入力信号を増幅後にデジタル信号にアナログ-デジタル変換する。サウンドカード4は、該デジタル信号を土質判定装置5へ出力する。これにより、土質判定装置5には、地中に貫入されるスクリューポイント10内に設けられた共鳴室20内に生じる音を収音するマイクロフォン21が収音した音のデジタル信号が入力される。

【0020】
図3は、図1に示される土質判定装置5の電気構成図である。図4は、図1に示される土質判定装置5の機能構成図である。

【0021】
はじめに図3を参照して、図1に示される土質判定装置5の電気構成を説明する。図3において、土質判定装置5は、CPU部51と記憶部52と外部接続インタフェース53と操作部54と表示部55を備える。これら各部はデータを交換できるように構成されている。

【0022】
CPU部51は土質判定装置5の制御を行う。この制御機能は、CPU部51がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。記憶部52は、CPU部51で実行されるコンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。記憶部52は、土質判定プログラム521と共振周波数データ522と基準データ523を記憶している。外部接続インタフェース53は、土質判定装置5の外部に在る装置と接続し、接続した外部装置との間でデータを送受する。外部接続インタフェース53は、図1に示されるサウンドカード4と接続されている。操作部54は、キーボード、テンキー、マウス等の入力デバイスから構成され、利用者の操作に応じたデータ入力を行う。表示部55は、液晶表示装置等の表示デバイスから構成され、データ表示を行う。

【0023】
なお、土質判定装置5として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。

【0024】
次に図4を参照して、図1に示される土質判定装置5の機能構成を説明する。図4において、土質判定装置5は、入力部61と抽出部62と判定部63を備える。図4に示される各部の機能は、図3に示されるCPU部51が記憶部52に記憶される土質判定プログラム521を実行することにより実現される。

【0025】
入力部61は、地中に貫入されるスクリューポイント10内に設けられた共鳴室20内に生じる音を収音するマイクロフォン21が収音した音のデジタル信号(以下、音入力信号と称する)611を入力する。該音入力信号611は、図1に示されるサウンドカード4から図3に示される外部接続インタフェース53により土質判定装置5へ入力されるものである。

【0026】
なお、本実施形態では、サウンドカード4から直接的に土質判定装置5へ音入力信号611を入力するが、これに限定されない。例えば、サウンドカード4から記録媒体に音入力信号611を記録し、該音入力信号611が記録された記録媒体から土質判定装置5へ該音入力信号611を入力してもよい。記録媒体として、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disk)などが挙げられる。

【0027】
抽出部62は、共鳴室20の大きさに応じた共振周波数に基づいて、音入力信号611から検査対象の音信号621を抽出する。図3に示される記憶部52に記憶されている共振周波数データ522は、共鳴室20の大きさに応じた共振周波数を示す。これにより、抽出部62は、記憶部52に記憶されている共振周波数データ522を使用し、共振周波数データ522で示される共振周波数に基づいて、音入力信号611から検査対象の音信号621を抽出する。

【0028】
判定部63は、検査対象の音信号621と、図3に示される記憶部52に記憶されている基準データ523とに基づいて、土質を判定する。基準データ523は、判定される土質毎に、当該土質であることを判定するための音の基準値を有する。判定部63は、判定結果の土質を示す土質判定結果データ631を出力する。

【0029】
土質判定結果データ631が出力されることにより、判定結果の土質が報知される。土質判定結果データ631の出力方法として、例えば、図3に示される表示部55の表示画面上に表示したり、又は、音声で出力したり、又は、印字装置で印字したり、又は、電子メール等により所定の宛先へ送信したりすることが挙げられる。

【0030】
次に本実施形態に係る貫入試験方法を説明する。本実施形態に係る貫入試験方法は、音収録段階と土質判定段階から成る。

【0031】
はじめに図5を参照して、本実施形態に係る貫入試験方法の音収録段階を説明する。図5は、本実施形態に係る音収録方法の手順を示すフローチャートである。

【0032】
(ステップS1)地盤調査場所で貫入試験機2を使用してSWS試験を行う。本実施形態では、SWS試験方法として、日本工業規格 A1221に規定される試験方法を使用する。

【0033】
(ステップS2)貫入試験機2のスクリューポイント10が一定量貫入したかを判断する。本実施形態では、一定量を0.25mとする。スクリューポイント10が0.25m貫入した場合にはステップS3へ進み、そうではない場合にはステップS1へ戻る。

【0034】
(ステップS3)貫入試験機2から錘12を全て外す。そして、無荷重状態で貫入試験機2のハンドル13を一定量回転させ、この時にマイクロフォン21が収音した音を収録する。本実施形態では、一定量を4半回転とする。また、回転速度を毎分50半回転とする。また、音の収録時間を10秒とする。これにより、土質判定装置5には、無荷重状態で貫入試験機2のハンドル13を4半回転する間にマイクロフォン21が収音した音を含む、10秒分の音入力信号611が入力される。

【0035】
(ステップS4)SWS試験の終了を判断する。SWS試験が終了である場合には図5の手順を終了し、そうではない場合にはステップS1へ戻る。

【0036】
上述した図5の音収録段階によれば、貫入試験機2のスクリューポイント10が0.25m貫入する毎に、無荷重状態で貫入試験機2のハンドル13を4半回転する間にマイクロフォン21が収音した音を含む、10秒分の音入力信号611が土質判定装置5へ入力される。

【0037】
なお、上述したSWS試験においては、スクリューポイント10の貫入量に応じて、ロッド11が継ぎ足される。例えば、1本目のロッド11の長さが0.8mであり、それ以上の貫入量に対しては長さ1mのロッド11が必要に応じて継ぎ足される。

【0038】
以上が本実施形態に係る貫入試験方法の音収録段階の説明である。

【0039】
次に本実施形態に係る貫入試験方法の土質判定段階を説明する。

【0040】
図6は本実施形態に係る音入力信号611の一例の音圧レベル(sound pressure level:SPL)を示すグラフ図である。図7は、本実施形態に係る音入力信号611の他の例のSPLを示すグラフ図である。図6と図7の各音入力信号611において収録環境の違いはロッド使用数のみであり、スクリューポイント10の貫入場所や貫入量は同じである。図6の音入力信号611は、貫入試験機2のロッド11を1本のみ使用した場合である。図7の音入力信号611は、貫入試験機2のロッド11を2本使用した場合である。また、共鳴室20の長さLが0.1mであり、共振周波数は1.7kHzである。また、音入力信号611の収録時間は10秒である。

【0041】
図6、図7において、横軸は周波数[単位はHz]、縦軸はSPL[単位はデシベル(dB)]である。図6、図7のSPLは、[数1]、[数2]により算出される。

【0042】
【数1】
JP0006349591B2_000002t.gif

【0043】
【数2】
JP0006349591B2_000003t.gif

【0044】
但し、fはサンプリング周波数[Hz]である。本実施形態では、サウンドカード4によるアナログ-デジタル変換時のサンプリング周波数fとして44.1kHzを使用する。PSW(f)は、周波数f[Hz]でのパワースペクトル密度関数値である。周波数fは「f=f×j÷N(Hz)」である(j=0,1,・・・,N-1)。Xは音圧[単位はパスカル(Pa)]データのフーリエ変換値である。Nはフーリエ変換値の全データ数である。SPL(f)[dB]は、周波数f[Hz]でのSPLである。Pは2×10-5(Pa)である。

【0045】
図6に示されるように、貫入試験機2のロッド11を1本のみ使用した場合、SPLのピーク値が共振周波数「1.7kHz」で得られることがよく分かる。一方、図7に示されるように、貫入試験機2のロッド11を2本使用した場合、SPLのピーク値が共振周波数「1.7kHz」付近に明確に現れていない。これは、複数のロッド11を使用したことによる影響であると考えられる。SWS試験では、スクリューポイント10の貫入量が大きくなると複数のロッド11を使用することになるので、複数のロッド11を使用したことによる影響を避けることができる土質判定方法が望ましい。この課題認識のもと、本実施形態では、以下に示す土質判定方法を実施する。

【0046】
図8は、本実施形態に係る土質判定方法の手順を示すフローチャートである。以下、図8を参照して、本実施形態に係る土質判定装置5の動作を説明する。土質判定装置5の入力部61(図4参照)により音入力信号611が入力されると、図8の手順が開始される。

【0047】
(ステップS11)抽出部62が、共振周波数データ522で示される共振周波数に基づいて、音入力信号611から検査対象の音信号621を抽出する。この検査対象音信号抽出方法を以下に説明する。

【0048】
[検査対象音信号抽出方法]
まず、抽出部62は、音入力信号611から、共振周波数データ522で示される共振周波数未満の周波数成分を抽出する。本実施形態では、共鳴室20の長さLが0.1mであり、共振周波数データ522で示される共振周波数は1.7kHzであるとする。したがって、抽出部62は、音入力信号611から、共振周波数データ522で示される共振周波数「1.7kHz」未満の周波数成分を抽出する。この周波数成分抽出処理は、複数のロッド11を使用したことによる影響を避けるためである。該周波数成分抽出方法として、例えば、1.6kHz以上の周波数成分をカットするローパスフィルタを使用することが挙げられる。

【0049】
次いで、抽出部62は、該抽出された1.7kHz未満の周波数成分から成る音入力信号611(抽出成分音入力信号611)を小区間に分割し、該小区間毎に音圧の実効値(音圧実効値P)を算出する。本実施形態では、小区間の長さTを0.2秒とする。なお、その小区間の長さTとして、0.2秒は例示であって、0.1秒または0.3秒など、0.2秒以外の値でもよい。音圧実効値Pは、[数3]で算出される。

【0050】
【数3】
JP0006349591B2_000004t.gif

【0051】
但し、P(t)は、時刻tの抽出成分音入力信号611である。時刻tは
「0≦t≦T」である。

【0052】
次いで、抽出部62は、各小区間の音圧実効値Pを使用して、[数4]によりSPL(EV)を算出する。これにより、小区間毎に、SPL(EV)が算出される。小区間毎のSPL(EV)は、小区間毎の音圧実効値Pを使用して算出される音圧レベルである。

【0053】
【数4】
JP0006349591B2_000005t.gif

【0054】
次いで、抽出部62は、小区間毎のSPL(EV)を使用して、単位回転時間毎に得られるSPL(EV)のピーク値の平均値を算出する。本実施形態では、該算出されたSPL(EV)のピーク値の平均値を検査対象の音信号621とする。抽出部62は、検査対象の音信号621を判定部63へ出力する。

【0055】
単位回転時間は、貫入試験機2のハンドル13を一度に回す回転量(単位回転量)に相当する時間である。貫入試験機2のハンドル13の回転量はスクリューポイント10の回転量に等しい。本実施形態では、作業者が貫入試験機2のハンドル13を1半回転ずつ回すので、単位回転量は1半回転であり、したがって単位回転時間は1半回転時間である。また、本実施形態では、回転速度が毎分50半回転であるので、単位回転時間である1半回転時間は「60秒÷50=1.2秒」である。

【0056】
図9は、本実施形態に係るSPL(EV)の一例を示すグラフ図である。図9において横軸は時間t[単位は秒(s)]、縦軸はSPL(EV)[dB]である。図9に示されるように、単位回転時間である1半回転時間「1.2秒」毎に、SPL(EV)のピーク(図9中の○印の部分)が現れる。これは、作業者が貫入試験機2のハンドル13を1半回転(単位回転量)ずつ回しているために、地盤とスクリューポイント10との間に生じる摩擦音の強弱の変化が1半回転(単位回転量)毎に繰り返し発生しているからであると考えられる。

【0057】
なお、抽出成分音入力信号611を求める方法として、上記した共振周波数「1.7kHz」未満の周波数成分を抽出する周波数成分抽出処理に加えて、さらに、低周波数成分を除去する処理を追加してもよい。該低周波数成分を除去する方法として、例えば、コーナー周波数が100Hzであり、且つ、減衰率が6dBのハイパスフィルタを使用することが挙げられる。この低周波数成分除去処理は、暗騒音や貫入試験システム1に潜在する低周波雑音を除去することにより、土質判定精度を向上させるためである。

【0058】
以上が検査対象音信号抽出方法の説明である。

【0059】
(ステップS12)判定部63が、検査対象の音信号621と基準データ523とに基づいて、土質を判定する。本実施形態では、基準データ523は、判定される土質毎に、SPL(EV)のピーク値の基準値(SPL(EV)max)を有する。SPL(EV)maxは、事前に、実験により取得された値が基準データ523として記憶部52に記憶される。

【0060】
図10は、本実施形態に係る基準データ523の一例を示すグラフ図である。図10において、横軸は土の平均粒径の大小、縦軸はSPL(EV)max[dB]である。図10の例では、基準データ523は、判定される5種類の土質に各々対応する5つのSPL(EV)max_71~75を有する。SPL(EV)max_71は、5種類の土質のうち、最も平均粒径が大きい土質(本実施形態に係る実験では硅砂5号を使用)の値である。SPL(EV)max_72は、5種類の土質のうち、2番目に平均粒径が大きい土質(本実施形態に係る実験では硅砂6号を使用)の値である。SPL(EV)max_73は、5種類の土質のうち、3番目に平均粒径が大きい土質(本実施形態に係る実験では硅砂6号と粘土の配合割合が「硅砂6号:粘土=75:25」のものを使用)の値である。SPL(EV)max_74は、5種類の土質のうち、4番目に平均粒径が大きい土質(本実施形態に係る実験では豊浦砂を使用)の値である。SPL(EV)max_75は、5種類の土質のうち、最も平均粒径が小さい土質(本実施形態に係る実験では硅砂6号と粘土の配合割合が「硅砂6号:粘土=50:50」のものを使用)の値である。

【0061】
判定部63は、検査対象の音信号621を、基準データ523に含まれる各土質のSPL(EV)maxと比較する。判定部63は、該比較の結果に基づいて、当該検査対象の音信号621に該当する土質を判定する。

【0062】
(ステップS13)判定部63が、ステップS12での土質判定結果を示す土質判定結果データ631を出力する。この出力された土質判定結果データ631によって、当該音入力信号611が収録された貫入場所及び貫入量における土質の判定結果が報知される。

【0063】
以上が本実施形態に係る貫入試験方法の土質判定段階の説明である。

【0064】
上述した実施形態によれば、地中に貫入されるスクリューポイント10内に設けられた共鳴室20内に生じる音を収音するマイクロフォン21が収音した音入力信号611から、該共鳴室20の大きさに応じた共振周波数に基づいて検査対象の音信号621を抽出し、該検査対象の音信号621と基準データ523とに基づいて土質を判定する。これにより、基準データ523に基づいた土質判定を行うことができるので、作業者の音による土質判定で課題となっていた作業者の熟練度の違いによる判定結果の差を抑制できるという効果が得られる。また、スクリューポイント10の貫入量に応じた複数のロッド11の使用による影響を低減することができるので、SWS試験の実施環境の違いによる判定結果の差を抑制できるという効果が得られる。

【0065】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。

【0066】
例えば、本発明は、地盤調査に適用可能であるとともに、建設の施工段階における施工管理にも適用可能である。

【0067】
また、上述した土質判定装置5の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。

【0068】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0069】
1…貫入試験システム、2…貫入試験機、3…受信機、4…サウンドカード、5…土質判定装置、10…スクリューポイント、11…ロッド、12…錘、13…ハンドル、14…送信機、20…共鳴室、21…マイクロフォン、22…通信ケーブル、51…CPU部、52…記憶部、53…外部接続インタフェース、54…操作部、55…表示部、61…入力部、62…抽出部、63…判定部、521…土質判定プログラム、522…共振周波数データ、523…基準データ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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