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Specification :(In Japanese)ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体およびその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6377342
Publication number P2015-117309A
Date of registration Aug 3, 2018
Date of issue Aug 22, 2018
Date of publication of application Jun 25, 2015
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体およびその製造方法
IPC (International Patent Classification) C08J   9/28        (2006.01)
C08L  67/04        (2006.01)
C08L 101/16        (2006.01)
FI (File Index) C08J 9/28 101
C08J 9/28 CFD
C08L 67/04
C08L 101/16
Number of claims or invention 4
Total pages 11
Application Number P2013-261424
Date of filing Dec 18, 2013
Date of request for substantive examination Dec 16, 2016
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】300071579
【氏名又は名称】学校法人立教学院
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】大山 秀子
【氏名】菅野 智成
Representative (In Japanese)【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100101373、【弁理士】、【氏名又は名称】竹内 茂雄
【識別番号】100118902、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 修
【識別番号】100129311、【弁理士】、【氏名又は名称】新井 規之
Examiner (In Japanese)【審査官】横島 隆裕
Document or reference (In Japanese)特開2007-191553(JP,A)
国際公開第2011/030766(WO,A1)
特開2010-260952(JP,A)
特開2012-120996(JP,A)
特開2009-144012(JP,A)
特開2011-038039(JP,A)
特開2009-235170(JP,A)
Field of search C08J 9/00-9/42
C08L 1/00-101/16
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
(A)L乳酸単位を主成分とするポリL乳酸
(B)D乳酸単位を主成分とするポリD乳酸
(C)環状エーテルと水の混合物、
を準備し、
成分(A)を成分(C)に溶解して溶液を調製し、成分(B)を成分(C)に溶解して溶液を調製し、これらの溶液を混合する混合工程、
混合溶液を冷却する冷却工程、ならびに
前記工程で得た溶液から、成分(C)を除去する除去工程、
を含む、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体の製造方法。
【請求項2】
前記除去工程が、成分(C)を脂肪族アルコールに置換する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記環状エーテルが、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、または1,3,5-トリオキサンである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記混合工程を室温以上の温度で行い、前記冷却工程を室温未満の温度で行う、請求項13のいずれかに記載の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石油化学系樹脂の多孔質体は、発泡ポリスチロールに代表されるように断熱材として、あるいは濾過材料として産業界で幅広く適用されている。しかしながら、近年、地球環境改善が大きな課題になっている。そのため植物由来樹脂のような環境適合型樹脂に対するニーズが非常に高まり、多孔質体分野においても植物由来樹脂からなる多孔質体が望まれている。
【0003】
従来の植物性樹脂由来の多孔質体に関して、特許文献1(特開2013-60499号公報)には、ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのマルチブロック共重合体を含んでなる多孔質膜が開示されている。特許文献2(特開2013-91763号公報)には、ポリ乳酸とポリ乳酸用可塑剤からなる組成物にデキストリン組成物を配合してなる多孔性シートが開示されている。特許文献3(特開2002-20530号公報)にはポリ乳酸のL体とD体の比率が90:10~10:90である共重合体を用いてなる生分解性多孔質膜が開示されている。特許文献4(特開2006-306983号公報)および特許文献5(特開2009-242728号公報)にはポリ乳酸の多孔質粒子に関する製造方法が開示されている。特許文献6(特開2010-260952号公報)にはポリ乳酸を含む多孔質体およびその製造方法が開示されている。これらの特許文献には、ポリ乳酸ステレオコンプレックスにかかる記載はない。
【0004】
一方、ポリ乳酸ステレオコンプレックスは耐熱性、耐薬品などに優れることが知られており、ポリL乳酸はポリD乳酸と混合することにより耐熱性に優れたステレオコンプレックスを形成することが知られている。例えば特許文献7(特開2007-191625号公報)にはポリL乳酸とポリD乳酸を溶液中でブレンドしてキャストフィルムを作成する方法が開示されている。特許文献8(特開2005-325286号公報)にはポリL乳酸とポリD乳酸とを二軸押出し機で溶融混練してポリ乳酸ステレオブロックを作製する方法が記載されている。特許文献9(特開2008-163111号公報)には、ポリL乳酸とポリD乳酸とを二軸押出し機により高温(220℃)で溶融混練し、熱処理してステレオコンプレックスを形成することが開示されている。特許文献10(特開2008-63455号公報)には、分子量を規定したポリL乳酸とポリD乳酸とをフラスコ中で加熱処理してステレオコンプレックスを形成することが記載されている。特許文献11(国際公開第2008/096895号)にはポリL乳酸とポリD乳酸を混練して結晶化させ固体を得る工程と得られた固体を溶融混練する工程からなるポリ乳酸ステレオコンプレックスの製法が開示されている。しかし、特許文献7~11には、ポリ乳酸ステレオコンプレックスの多孔質体にかかる記載はない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2013-60499号公報
【特許文献2】特開2013-91763号公報
【特許文献3】特開2002-20530号公報
【特許文献4】特開2006-306983号公報
【特許文献5】特開2009-242728号公報
【特許文献6】特開2010-260952号公報
【特許文献7】特開2007-191625号公報
【特許文献8】特開2005-325286号公報
【特許文献9】特開2008-163111号公報
【特許文献10】特開2008-63455号公報
【特許文献11】国際公開第2008/096895号
【0006】

【非特許文献1】非特許文献1(Loomins GL, Murdoch JR, Gardner KH. Polym. Prepr. 1990;31:55.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献に記載の従来のポリ乳酸またはポリ乳酸系化合物からなる多孔質体は、耐熱性、耐薬品性などが不十分であるため用途が制限される。また、当該多孔質体は製造する際に、界面活性剤、超臨界液体等を使用するために環境に負荷を与える、製造工程が複雑であり高コストとなる、等の問題がある。よって、従来のポリ乳酸またはポリ乳酸系化合物からなる多孔質体は、必ずしも市場の要求を満たすとはいえない。このような状況を鑑み、本発明は、耐熱性、耐薬品性、および環境適合性に優れた多孔質体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物の多孔質体により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記課題は以下の本発明により解決される。
[1](A)L乳酸単位を主成分とするポリL乳酸、および
(B)D乳酸単位を主成分とするポリD乳酸
を含む、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体。
[2]成分(A)と成分(B)の重量比が、「90~10」:「10~90」である、[1]に記載の多孔質体。
[3]ポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶の融点が、200~240℃である、[1]または[2]に記載の多孔質体。
[4](A)L乳酸単位を主成分とするポリL乳酸
(B)D乳酸単位を主成分とするポリD乳酸
(C)環状エーテルと水の混合物、
を準備し、
成分(A)を成分(C)に溶解して溶液を調製し、成分(B)を成分(C)に溶解して溶液を調製し、これらの溶液を混合する混合工程、
混合溶液を冷却する冷却工程、ならびに
前記工程で得た溶液から、成分(C)を除去する除去工程、
を含む、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体の製造方法。
[5]前記除去工程が、成分(C)を脂肪族アルコールに置換する工程を含む、[4]に記載の製造方法。
[6]前記環状エーテルが、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、または1,3,5-トリオキサンである、[4]または[5]に記載の製造方法。
[7]前記混合工程を室温以上の温度で行い、前記冷却工程を室温未満の温度で行う、[4]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記[1]~[3]のいずれかに記載の多孔質体を含む成形体。
[9]前記[1]~[3]のいずれかに記載の多孔質体を含む、濾過材、担体、カラム、ガス分離膜、断熱材、スキャホールド、または防音材。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、耐熱性、耐薬品性、および環境適合性に優れた多孔質体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】DSC曲線
【図2】走査型電子顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においてX~Yとの記載は、両端の値すなわちXとYを含む。
1.多孔質体
本願発明のポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物多孔質体は、(A)L乳酸単位を主成分とするポリL乳酸、および(B)D乳酸単位を主成分とするポリD乳酸を含む。以下、成分について説明する。

【0012】
1-1.組成
(1)ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物
ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物はポリ乳酸ステレオコンプレックスを含む組成物であり、本発明の多孔質体の母体となる。ポリ乳酸ステレオコンプレックスは「ポリL乳酸」と「ポリD乳酸」からなるコンプレックスである。ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物は、ポリ乳酸ステレオコンプレックス以外の成分を含んでいてもよい。当該成分としては、コンプレックスを形成していないポリL乳酸、ポリD乳酸、ポリL乳酸とポリD乳酸の共重合体、公知の高分子材料、無機、有機充填剤、または添加剤が挙げられる。

【0013】
(2)ポリL乳酸:成分A
ポリL乳酸は、L乳酸を重合してなる重合体またはL乳酸を主成分として他成分と共重合してなる共重合体である。ポリL乳酸の重量平均分子量は5000~100万が好ましく、1万~70万がより好ましく、3万~50万がさらに好ましい。当該重量平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械的特性が不十分となる傾向にある。また、重量平均分子量が上限値を超えると溶媒への溶解性が低下し、本発明の多孔質体を製造することが困難になる場合がある。

【0014】
ポリL乳酸の製造方法は特に制限されず、L乳酸を直接重合してもよく、乳酸の環状2量体であるLラクチドを開環重合してもよい。また、これらの原料に加えて、グリコリド、カプロラクトン等の異種モノマーを共重合してもよい。当該共重合体における異種モノマー由来の成分が占める割合は、モノマー換算で30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがさらに好ましい。すなわち、L乳酸を主成分としてなるとは、L乳酸が70mol%超、好ましくは80mol%超、より好ましくは90mol%超であることをいう。

【0015】
ポリL乳酸のホモキラル結晶の融点は分子量に依存するが、本発明においては、当該融点の上限は180℃未満が好ましく、170℃以下がより好ましい。また融点の下限は140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。

【0016】
(3)ポリD乳酸:成分B
ポリD乳酸体は、D乳酸を重合してなる重合体またはD乳酸を主成分として他成分と共重合してなる共重合体である。ポリD乳酸の重量平均分子量は、ポリL乳酸について述べたとおりである。当該重量平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械的特性が不十分となる傾向にある。また、重量平均分子量が上限値を超えると溶媒への溶解性が低下し、本発明の多孔質体を製造することが困難になる場合がある。

【0017】
ポリ乳酸の製造方法は特に制限されず、D乳酸を直接重合してもよく、乳酸の環状2量体であるDラクチドを開環重合してもよい。また、これらの原料に加えて、グリコリド、カプロラクトン等の異種モノマーを共重合してもよい。当該共重合体における、異種モノマー由来の成分が占める割合は、ポリL乳酸について述べた値であることが好ましい。

【0018】
ポリD乳酸のホモキラル結晶の融点は分子量に依存するが、本発明においては、当該融点の上限は180℃未満が好ましく、170℃以下がより好ましい。また融点の下限は140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。

【0019】
(4)比率
本発明においては成分(A)と成分(B)の重量比は、「90~10」:「10~90」が好ましく、「60~40」:「40~60」がより好ましく、「55~45」:「45~55」がさらに好ましいが、「60~75」:「40~25」または「40~25」:「60~75」であってもよい。

【0020】
1-2.特性
(1)結晶由来のピーク
ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物は、DSCを用いたファーストスキャンでの測定において、得られる融解ピークの大部分がステレオコンプレックス結晶由来である。同様に、X線回折におけるピークの多くがステレオコンプレックス結晶由来である。当該結晶の融点は、200~240℃が好ましい。

【0021】
また、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物は、DSCを用いたファーストスキャンでの測定またはX線回折分析の少なくとも一方において、ホモキラル結晶に由来するピークが存在してもよいが、存在しないことが好ましい。すなわち、DSCを用いたファーストスキャンでの測定およびX線回折分析の双方でホモキラル結晶に由来するピークが存在しない、または、これらの測定のいずれか一方においてホモキラル結晶に由来するピークが小さいことが好ましい。

【0022】
DSCを用いたファーストスキャンでの測定とは、当該組成物を前記方法によって製造した後、放冷して室温まで冷却した後、速やかにDSCで分析を行う測定をいう。具体的には、DSCのファーストスキャンにおいて単独のポリL乳酸およびポリD乳酸に起因するホモキラル結晶に由来する融解ピークが観察されないことが好ましい。ファーストスキャンにおける昇温速度は10℃/分が好ましい。DSCで測定された融解ピークがステレオコンプレックス結晶に由来するかどうかは、下記のとおりX線回折により特定できる。

【0023】
X線回折分析において、ホモキラル結晶に由来するピークは、例えばCuKα線源を用いた場合に、12°、21°、24°付近に観察される。したがって、X線回折分析においてホモキラル結晶に由来するピークが存在しないとは、上記ピークが観察されないことをいう。

【0024】
ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物のステレオコンプレックス結晶の結晶化度は10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。この結晶化度は公知の方法で求められる。例えば、結晶化度はDSCを用いてステレオコンプレックス結晶の融解熱量から求めることができる。非特許文献1(Loomins GL, Murdoch JR, Gardner KH. Polym. Prepr. 1990;31:55.)によれば、結晶化度100%のステレオコンプレックス結晶の融解熱量は142J/gである。よって、本発明の組成物のステレオコンプレックス結晶の融解熱量をDSCによって求め、その値を142J/gで除することによって結晶化度を求めることができる。

【0025】
(2)耐熱性
ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物は、単独のポリL乳酸およびポリD乳酸に起因するホモキラル結晶をほとんど含まないことが好ましい。耐熱性に優れた多孔質体となるからである。しかしながら、ポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物は、ホモキラル結晶を含んでいてもよい。ステレオコンプレックス結晶の存在により、ポリL乳酸からなる多孔質体、ポリD乳酸からなる多孔質体等と比較して、耐熱性に優れる多孔質体となるからである。

【0026】
(3)耐薬品性
本発明の多孔質体はポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物が母材であるため、ポリL乳酸からなる多孔質体、ポリD乳酸からなる多孔質体等と比較して、耐薬品性に優れる。

【0027】
(4)用途
本発明の多孔質体は、耐薬品性、機械的性質や成形加工性が良好で高い融点を有し、耐熱性にも優れる。よって、本発明の多孔質体は、濾過材、カラム、気体分離膜、断熱材、触媒担体、スキャホールド、防音材などへ幅広く適用することができる。

【0028】
2.製造方法
本発明の多孔質体は、
(A)L乳酸単位を主成分とするポリL乳酸
(B)D乳酸単位を主成分とするポリD乳酸
(C)環状エーテルと水の混合物、
を準備し、
成分(A)を成分(C)に溶解して溶液を調製し、成分(B)を成分(C)に溶解して溶液を調製し、これらの溶液を混合する混合工程、
混合溶液を冷却する冷却工程、ならびに
前記工程で得た溶液から、成分(C)を除去する除去工程、
を含む製造方法、により製造されることが好ましい。

【0029】
(1)混合工程
1)成分AおよびB
成分AおよびBはすでに述べたとおりである。
2)成分C
環状エーテルとしては、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン等を挙げることができる。中でも、取扱性等から1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンが好ましい。環状エーテルと水の配合割合(重量比)は「70~95」:「30~5」が好ましく、「80~90」:「20~10」がより好ましい。

【0030】
3)配合割合
本工程では、成分Cに成分Aを溶解する。成分Cと成分Aの配合割合(重量比)は「70~98」:「30~2」が好ましく、「80~90」:「20~10」がより好ましい。成分Cと成分Bの配合割合も同様である。

【0031】
成分Aと成分Bの配合割合(重量比)は、前述のとおり「90~10」:「10~90」が好ましく、「60~40」:「40~60」がより好ましく、「55~45」:「45~55」がさらに好ましいが、「60~75」:「40~25」または「40~25」:「60~75」であってもよい。

【0032】
4)条件
混合効率を高めるために、混合は室温以上で行うことが好ましい。その際、温度は50~120℃が好ましく、70~90℃がより好ましい。混合時間は、加熱温度にもよるが通常6~48hが好ましく、10~30hがより好ましい。混合温度が50℃未満では溶解しにくい場合がある。また混合温度を100℃以上とする場合は還流装置を使用する必要がある。

【0033】
本製造方法では、成分Aの溶液と成分Bの溶液を別個に調製し、両者を混合する。成分Aと成分Bを一括して成分Cに溶解させると、加熱混合のごく初期に沈殿が生成してしまい、多孔質体が形成できなくなる場合がある。

【0034】
(2)冷却工程
本工程では、前工程で得た混合溶液を冷却する。冷却する温度は室温未満が好ましく、0~15℃が好ましく、3~10℃がより好ましく、4~8℃がさらに好ましい。

【0035】
(3)除去工程
本工程では、冷却した混合溶液から、成分Cを除去する。除去の方法は限定されない。具体的には、冷却された混合溶液中の底部に白色の層が形成されるので、当該層から成分Cを除去することが好ましい。この際、加熱して成分Cを蒸発させて除去してもよいが、一度、層を他の有機溶媒で洗浄して、成分Cを当該有機溶媒で置換し、その後、当該有機溶媒を除去することが好ましい。有機溶媒としては脂肪族アルコールが好ましく、中でもイソプロパノールが好ましい。この操作は繰り返し行うことができる。液体成分をおおむね除去した後に、層を加熱して乾燥することがより好ましい。

【0036】
(4)多孔質体の生成機構
前記工程により、ポリ乳酸ステレオコンプレックスの形成と多孔化を同時に行うことができる。この点は本発明者らによって見出された極めて新しい知見である。この機構は必ずしも明らかではないが、成分A~Cの均一な溶液中において、分子間力によってポリ乳酸のステレオコンプレックスが溶液中に形成され、次の乾燥過程で、高分子鎖の凝集と急速な溶媒の蒸発の効果とが並行して生じ、微細な細孔が形成されると推察される。この際、混合溶液を急激に冷却、すなわち急冷すると細孔をより効率的に形成できる。

【0037】
既存のポリ乳酸ステレオコンプレックスを予め調製し、これをポリ乳酸ステレオコンプレックスの溶媒中に溶解させて加熱処理した場合にはステレオコンプレックスの多孔質体は得られない。よって、ポリL乳酸溶液とポリD乳酸の溶液を別個に調製し両者の溶液を混合することが、本発明の多孔質体の製造において極めて重要である。
【実施例】
【0038】
1.原料
以下のポリ乳酸を使用した。
成分(A):ポリL乳酸(レイシア H100、三井化学株式会社製)
成分(B):ポリD乳酸(試作品)
表1に成分(A)と(B)の分子量および融点を示す。
【実施例】
【0039】
【表1】
JP0006377342B2_000002t.gif
【実施例】
【0040】
2.物性測定
(1)ポリ乳酸の分子量
GPC(DG-2080-53型、JASCO社製)を使用して測定した。カラムにはTSKgel GMHXLφ7.8×300mm(東ソー株式会社製)、ガードカラムにはTSKguardcolumn HXL φ6.0×40mm(東ソー株式会社製)を使用した。
屈折率検出器としてRI-2031 Plus (JASCO製)を用いた。
溶離液にはクロロホルム(高速液体クロマトグラム用試薬、和光純薬株式会社製)を使用し、流速1.0ml/分、測定温度40℃で測定した。
原料のポリ乳酸の分子量は、ポリ乳酸をクロロホルムに溶解して測定した。
得られた組成物の分子量は、組成物0.05gを1mlのヘキサフルオロイソプロパノールに溶解した後、クロロホルム5mlを加えて溶液を調製し、当該溶液を用いて測定した。
得られた分子量をポリスチレン換算して重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。
【実施例】
【0041】
(2)融点、結晶化度
示差走査熱量計(DSC):DSC-Q200(TAインスツルメント製)を用い、JIS K7121に準拠して求めた。温度範囲は25~250℃とし、昇温速度10℃/分、窒素ガス流量50ml/分、サンプル量4~6mgとした。
融点は、DSC曲線のピークから求めた。また、結晶化度はDSC分析によりステレオコンプレックス結晶の融解熱量を測定し、その熱量を142J/gで割ることによって求めた。
【実施例】
【0042】
(3)耐薬品性試験
スクリュー管中で、大過剰の薬品中に得られた多孔質体を浸漬し、室温で1週間放置した後、目視により以下の基準で耐薬品性を評価した。
○(良):多孔質体の形状がほぼ保持されて薬品中への多孔質体の溶解が認められない。
×(不良):多孔質体の薬品中への大幅な溶解が認められる。
【実施例】
【0043】
(4)多孔性評価
試料表面を金蒸着した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてモルフォロジー観察を行って試料の多孔性を評価した。高倍率で撮影したSEM像において、以下の基準で評価した。
○(良):多くの細孔が観察された。
×(不良):細孔がほとんど観察されない。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
成分A 0.32g
ジオキサン 1.62g
水 0.18g
を30mmφ、内容量20ccのガラス製スクリュー管に入れ、撹拌して成分Aの10重量%溶液を調製した。
成分Aの代わりに成分Bを用いて同様の操作を行い、成分Bの10重量%溶液を調製した。
これらの溶液を混合した後、常圧で80℃に加熱した。その後、マグネット撹拌子を用いて撹拌しながら24h保持した。次に、80℃に保持してある当該スクリュー管を、直ちに5℃の雰囲気に置いて急冷し、5℃で24h保持した。管の下部に白色の析出物が見られた。
次に管内にイソプロパノール10ccを加え、スクリュー管を振とうした後、液体分を除去した。この操作を3回繰り返した後、スクリュー管を開放した状態で、60℃で24h保持した。スクリュー管下部に約5mm厚の白色の層が形成された。この得られた白色層について物性測定を行った。
【実施例】
【0045】
[実施例2~5]
成分AとBの配合比を表2に示すようにした以外は、実施例1と同様にして多孔質体を得て、評価した。
【実施例】
【0046】
【表2】
JP0006377342B2_000003t.gif
【実施例】
【0047】
[比較例1]
成分(B)を使用しない以外は、実施例と同様にして多孔質体を得た。
実施例1~5、比較例1のSEM像を図2に示す。球状微粒子あるいは繊維状粒子を構成単位とする網目構造が観察され、多孔性評価においていずれも○(良)との評価が得られた。よって、実施例1~5、比較例1においてで孔質体が得られたことが明らかとなった。
【実施例】
【0048】
[比較例2]
実施例1と同一量のA、B、Cを一括混合して実施例1と同様にして実験を行った。スクリュー管の底部に若干の沈殿が生じた他は、懸濁液状となり、ポリマー状の層は形成されなかった。従って、多孔質体は得られなかった。
【実施例】
【0049】
原料である成分AおよびBのDSC曲線と、得られたステレオコンプレックス組成物多孔質体のDSC曲線を図1に示す。比較例1の多孔質体はホモキラル結晶(hc)に由来するピークが観測された。しかし、実施例1~6ではホモキラル結晶に由来するピーク以外に230℃付近に新たにステレオコンプレックス結晶の融点のピークが観察された。特に実施例1ではhcのピークは見られなかった。
【実施例】
【0050】
表2には多孔質体の融点と結晶化度を、表3には多孔質体の耐薬品試験の結果を示す。本発明の多孔質体は、耐熱性およぶ耐薬品性に優れていることが明らかである。
【実施例】
【0051】
【表3】
JP0006377342B2_000004t.gif
【実施例】
【0052】
本発明の多孔質体は、耐熱性、耐薬品性、機械的性質などにも優れ、安価であることから、濾過材、カラム、気体分離膜、断熱材、触媒担体、スキャホールド、防音材などへ幅広く適用することができる。さらに本発明の多孔質体の製造方法は迅速、簡便、安価である。さらにまた当該製造方法は超臨界乾燥を使用しないため、液体ヘリウムあるいは液化二酸化炭素が不要であり、環境に優しい製造方法である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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