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明細書 :脈拍計測装置を用いた安否確認通報システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6238187号 (P6238187)
公開番号 特開2014-087387 (P2014-087387A)
登録日 平成29年11月10日(2017.11.10)
発行日 平成29年11月29日(2017.11.29)
公開日 平成26年5月15日(2014.5.15)
発明の名称または考案の名称 脈拍計測装置を用いた安否確認通報システム
国際特許分類 A61B   5/0245      (2006.01)
A61B   5/00        (2006.01)
A61G  12/00        (2006.01)
G08B  25/04        (2006.01)
FI A61B 5/02 711E
A61B 5/00 102C
A61B 5/02 710A
A61G 12/00 Z
G08B 25/04 K
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2012-237487 (P2012-237487)
出願日 平成24年10月29日(2012.10.29)
審査請求日 平成27年9月7日(2015.9.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】田中 幹也
個別代理人の代理人 【識別番号】100158702、【弁理士】、【氏名又は名称】岡野 卓也
審査官 【審査官】伊知地 和之
参考文献・文献 特開昭58-206722(JP,A)
特開2011-182000(JP,A)
特開2000-287943(JP,A)
特開2011-176753(JP,A)
登録実用新案第3131971(JP,U)
特開昭55-087984(JP,A)
実開昭58-073203(JP,U)
特開2004-305268(JP,A)
特開2006-192020(JP,A)
特開2005-028157(JP,A)
特開2006-120060(JP,A)
調査した分野 A61B 5/00 - 5/01
A61B 5/02 - 5/03
A61G 12/00
G08B 23/00 - 31/00
特許請求の範囲 【請求項1】
動脈音又は心音を検知し、脈拍信号を取得する体導音検知手段と、
前記体導音検知手段が取得する脈拍信号に基づいて脈拍数を算出する脈拍数算出部を有するデータ処理手段と、
を備える脈拍計測装置を用いた安否確認通報システムであって、
前記体導音検知手段は、ソフトシリコンで封止されたコンデンサマイクロホンを有する体導音センサであり、
前記データ処理手段は、GPS機能付き端末であり、前記脈拍数算出部で算出した脈拍数に基づいて利用者の安否を判定する安否判定部をさらに有し、
前記データ処理手段は、前記体導音検知手段が取得する脈拍信号を自己相関処理して自己相関データを生成する信号処理部をさらに有し、前記脈拍数算出部は、前記信号処理部で生成される自己相関データに基づいて脈拍数を算出することを特徴とする
前記利用者の位置情報及び安否情報を通信手段により管理者に通知する安否確認通報システム。
【請求項2】
前記体導音検知手段が取得する脈拍信号を無線通信手段により前記データ処理手段に送信する請求項記載の安否確認通報システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、拍計測装置を用いた安否確認通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脈拍検知を活用して安否確認を行うシステムが知られている(特許文献1参照。)。
特許文献1に記載されたシステムは、脈拍を測定する手段を備える安否確認装置を含み、脈拍の測定結果を活用して利用者の安否確認を行う。
【0003】
前記脈拍を測定する手段は、赤外線発光ダイオードから出る赤外線を血管に当てて、そこからの吸収量又は反射量の大小をフォトトランジスタで測定して脈拍の検知を行う。そのため、利用者が安静にしていない状態では前記赤外線の光軸がずれて脈波信号にノイズが乗ることとなり、脈拍を正確に測定できない問題がある。
【0004】
そこで、前記安否確認装置は、利用者の体の動きを測定する手段をさらに備え、利用者の体の動きがある場合には、当該利用者の体の動きの測定結果に基づいて安否を判定し、利用者の体の動きがない場合には、当該利用者の脈拍の測定結果に基づいて安否を判定している。
【0005】
しかしながら、前記安否確認装置は、脈拍を測定する手段と、利用者の体の動きを測定する手段とを備えるため、装置構成が複雑化する問題がある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2006-141902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、利用者の体動の影響を受けることがなく、脈拍を正確に計測できる脈拍計測装置を用いることで、安否を確認するための装置構成を簡素化できる安否確認通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、
動脈音又は心音を検知し、脈拍信号を取得する体導音検知手段と、
前記体導音検知手段が取得する脈拍信号に基づいて脈拍数を算出する脈拍数算出部を有するデータ処理手段と、
を備える脈拍計測装置を用いた安否確認通報システムであって、
前記体導音検知手段は、ソフトシリコンで封止されたコンデンサマイクロホンを有する体導音センサであり、
前記データ処理手段は、GPS機能付き端末であり、前記脈拍数算出部で算出した脈拍数に基づいて利用者の安否を判定する安否判定部をさらに有し、
前記データ処理手段は、前記体導音検知手段が取得する脈拍信号を自己相関処理して自己相関データを生成する信号処理部をさらに有し、前記脈拍数算出部は、前記信号処理部で生成される自己相関データに基づいて脈拍数を算出することを特徴とする
前記利用者の位置情報及び安否情報を通信手段により管理者に通知する安否確認通報システムである。

【0010】
ここで、本発明において、「脈拍」とは、「心拍」を含むものと定義する。
【0013】
本発明で用いる脈拍計測装置は、前記体導音検知手段が取得する脈拍信号を無線通信手段により前記データ処理手段に送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明で用いる脈拍計測装置は、動脈音又は心音を検知し、脈拍信号を取得する体導音検知手段を備えるので、利用者の体動の影響を受けることがなく、脈拍を正確に計測することができる。
また、本発明で用いる脈拍計測装置は、体導音検知手段が、ソフトシリコンで封止されたコンデンサマイクロホンを有する体導音センサであり、前記コンデンサマイクロホンを前記ソフトシリコンで封止することで、動脈音又は心音を検知するに際し、気導音を遮断し体導音を抽出しやすくなる。
さらに、本発明で用いる脈拍計測装置は、データ処理手段が、前記体導音検知手段が取得する脈拍信号を自己相関処理する信号処理部をさらに有することにより、前記脈拍信号に雑音が含まれる場合でも、当該脈拍信号の自己相関データから周期信号を抽出することができるため、脈拍をより正確に計測することができる。
したがって、本発明の脈拍計測装置を用いた安否確認通報システムは、利用者の体動の影響を受けることがなく脈拍を正確に計測できる脈拍計測装置を用いるので、従来のように、利用者の体の動きを測定する手段を必要とせず、安否を確認するための装置構成を簡素化できる。
また、本発明の脈拍計測装置を用いた安否確認通報システムは、前記脈拍計測装置を構成する前記データ処理手段が、GPS機能付き端末であるため、前記利用者の安否情報を位置情報とともに管理者に通知することができる。

【0018】
本発明で用いる脈拍計測装置は、前記体導音検知手段が取得する脈拍信号を無線通信手段により前記データ処理手段に送信することとすれば、利用者が身体に装着することとなる前記体導音検知手段を有する機器を小型化・軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明で用いる脈拍計測装置の一例を示すブロック図。
【図2】本発明で用いる脈拍計測装置で使用する体導音センサの概略説明図。
【図3】本発明で用いる脈拍計測装置の他の例を示すブロック図。
【図4】体導音センサにより橈骨動脈音を検知して取得した脈拍信号、及び該脈拍信号を自己相関処理して得られた自己相関データのグラフ。
【図5】体導音センサにより頸動脈音を検知して取得した脈拍信号、及び該脈拍信号を自己相関処理して得られた自己相関データのグラフ。
【図6】体導音センサにより心音を検知して取得した脈拍信号、及び該脈拍信号を自己相関処理して得られた自己相関データのグラフ。
【図7】本発明の安否確認通報システムの一例を示すブロック図。
【図8】図7に示す安否確認通報システムのイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

【0023】
<脈拍計測装置>
図1は、本発明で用いる脈拍計測装置の例を示すブロック図である。
発明で用いる脈拍計測装置1は、体導音検知手段2と、データ処理手段3と、表示手段4とを一体として備える。

【0024】
前記体導音検知手段2には、動脈音や心音を検知し、脈拍信号を取得する体導音センサ21を用いる。ここで、本発明において、「脈拍」とは、「心拍」を含むものである。

【0025】
図2は、本発明で用いる脈拍計測装置で使用する体導音センサ21の概略説明図を示す。
前記体導音センサ21は、塩化ビニル製の円板23上にエレクトレットコンデンサマイクロホン(ECM)22を貼り付け、該ECM22をアクリル製の円筒体25に満たした充填剤24で封止することで構成される。

【0026】
前記充填剤24には、ソフトシリコンを用いることができる。前記充填剤24にソフトシリコンを用いれば、気導音を遮断し体導音を抽出しやすくなる。

【0027】
前記データ処理手段3には、前記体導音センサ21が取得する脈拍信号を自己相関処理して自己相関データを生成する信号処理部31、前記信号処理部31で生成される自己相関データに基づいて脈拍数を算出する脈拍数算出部32を有するマイコン等のコンピュータを用いる。

【0028】
前記脈拍数算出部32は、例えば前記自己相関データにおけるピークの周期を求めたり、前記自己相関データの値が事前に設定した閾値を超える回数をカウントしたりする等して脈拍数を算出することができる。

【0029】
前記表示手段4には、前記脈拍数算出部32で算出する脈拍数等を表示するために液晶ディスプレイ等を用いる。

【0030】
図1に示す脈拍計測装置1は、体導音検知手段2と、データ処理手段3と、表示手段4とを一体として備えるため、例えば手首装着型(腕時計型)に適する。

【0031】
次に、図3は、本発明で用いる脈拍計測装置のの例を示すブロック図である。
図3に示す脈拍計測装置11は、体導音検知手段12と、データ処理手段13及び表示手段14とが別体とされる点で、図1に示す脈拍計測装置1と異なる。

【0032】
そして、図3に示す脈拍計測装置11は、前記体導音検知手段12に送信機26、前記データ処理手段13に受信機33がそれぞれ設けられ、前記体導音検知手段12が取得した脈拍信号を無線通信手段により前記データ処理手段13に送信する構成とされている。

【0033】
図3に示す脈拍計測装置11は、前記体導音検知手段12が、データ処理手段13及び表示手段14と独立した構造であるため、利用者が手首や頸部、胸部等の動脈音又は心音の計測部位に装着する機器を小型化・軽量化できる。

【0034】
図3に示す脈拍計測装置11は、データ処理手段13及び表示手段14として、パソコン等のコンピュータ及び液晶等のディスプレイを用いることができる。

【0035】
また、図3に示す脈拍計測装置11は、データ処理手段13及び表示手段14として、スマートフォン等のコンピュータ機能を有する携帯電話端末を用いることもできる。前記データ処理手段13及び表示手段14としてスマートフォンを用いれば、利用者の脈拍を常時計測することが可能となる。

【0036】
なお、本発明で用いる脈拍計測装置は、上記構成以外の体導音センサを利用できることはいうまでもない。

【0037】
図4(a)は体導音センサを手首に装着し該体導音センサにより橈骨動脈音を検知して取得した脈拍信号、図4(b)は前記脈拍信号を自己相関処理して得られた自己相関データのグラフをそれぞれ示す。
図4に示すグラフから、橈骨動脈音を検知して取得した脈拍信号の波形に雑音が含まれている場合、自己相関処理することで周期信号を抽出できることが分かる。

【0038】
図5(a)は体導音センサを頸部に装着し該体導音センサにより頸動脈音を検知して取得した脈拍信号、図5(b)は前記脈拍信号を自己相関処理して得られた自己相関データのグラフをそれぞれ示す。
図5に示すグラフから、頸動脈音を検知して取得した脈拍信号の波形に雑音が含まれている場合でも、自己相関処理することで周期信号を抽出できることが分かる。

【0039】
図6(a)は体導音センサを胸部に装着し該体導音センサにより心音を検知して取得した脈拍信号(心拍信号)、図5(b)は前記脈拍信号を自己相関処理して得られた自己相関データのグラフをそれぞれ示す。
図6に示すグラフから、心音を検知して取得した脈拍信号の波形に、前記各動脈音を検知して取得した脈拍信号に比べて大きな雑音が含まれている場合でも、自己相関処理することで周期信号を抽出できることが分かる。

【0040】
図4乃至図6に示す結果から、本発明の脈拍計測装置は、体導音センサが取得する脈拍信号を自己相関処理することで、前記脈拍信号の波形に雑音が含まれる場合でも、当該脈拍信号の自己相関データから周期信号を抽出できるため、脈拍をより正確に計測することができる。

【0041】
以下に、自己相関関数を求める式を示す。
【数1】
JP0006238187B2_000002t.gif
なお、本発明における自己相関処理自体は周知であり、ここでの詳細な説明は省略する。

【0042】
<脈拍計測装置を用いた安否確認通報システム>
図7は、本発明における安否確認通報システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
本実施形態の安否確認通報システムに用いる脈拍計測装置101は、図3に示す態様であって、データ処理手段103には、前記体導音センサが取得する脈拍信号を自己相関処理して自己相関データを生成する信号処理部31、前記信号処理部31で生成される自己相関データに基づいて脈拍数を算出する脈拍数算出部32に加え、前記脈拍算出部32で算出した脈拍数に基づいて利用者の安否を判定する安否判定部34を有するGPS機能付きの端末を用いる。

【0043】
そして、前記データ処理手段103で算出された利用者の脈拍数及び異常情報等の安否情報は、定時又は非常時に、利用者の緯度経度情報等の位置情報とともに通信手段によって管理会社や家族等の管理者105に対し通知される。

【0044】
なお、図1に示す態様の脈拍計測装置1であっても、GPS機能を搭載することができるのであれば、本実施形態の安否確認通報システムの脈拍計測装置として利用することができる。

【0045】
本実施形態の安否確認通報システムは、利用者の体動の影響を受けることがなく脈拍を正確に計測できる脈拍計測装置を用いるので、従来のように、利用者の体の動きを測定する手段を必要とせず、安否を確認するための装置構成を簡素化できる。
また、本実施形態の脈拍計測装置を用いた安否確認通報システムは、前記脈拍計測装置を構成する前記データ処理手段が、GPS機能付きの端末であるため、前記利用者の安否情報を位置情報とともに管理者に通知することができる。

【0046】
図8は、図7に示す安否確認通報システムのイメージ図である。
図8のイメージでは、脈拍計測装置101におけるデータ処理手段103が、屋内ではスマートフォン(コンピュータ機能を有する携帯電話端末)、屋外ではGPS機能付きスマートフォンと使い分けられているか、屋内においてもGPS機能付きスマートフォンを利用できる。

【0047】
上記本発明で用いる脈拍計測装置1において、データ処理手段3は、体導音センサ21が取得する脈拍信号を自己相関処理して自己相関データを生成する信号処理部31を有することとしたが、該信号処理部31は必ずしも自己相関データを生成するものである必要はない。

【0048】
本発明は、上記各実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の安否確認通報システムは、利用者の体動の影響を受けることがなく、脈拍を正確に計測できる脈拍計測装置を用いるので、従来のように、利用者の体の動きを測定する手段を必要とせず、安否を確認するための装置構成を簡素化できるとともに、前記利用者の安否情報と位置情報を管理者に通知することができるので極めて実用性が高い。
【符号の説明】
【0050】
1 脈拍計測装置
2 体導音検知手段
3 データ処理手段
4 表示手段
11 脈拍計測装置
12 体導音検知手段
13 データ処理手段
14 表示手段
21 体導音センサ
22 エレクトレットコンデンサマイクロホン(ECM)
23 塩化ビニル製円板
24 充填剤
25 アクリル製円筒体
26 送信機
31 信号処理部
32 脈拍数算出部
33 受信機
34 安否判定部
101 脈拍計測装置
102 体導音検知手段
103 データ処理手段
104 表示手段
105 管理者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7