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明細書 :泥水処理システムおよび泥水処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6425170号 (P6425170)
公開番号 特開2016-064323 (P2016-064323A)
登録日 平成30年11月2日(2018.11.2)
発行日 平成30年11月21日(2018.11.21)
公開日 平成28年4月28日(2016.4.28)
発明の名称または考案の名称 泥水処理システムおよび泥水処理方法
国際特許分類 C02F  11/00        (2006.01)
B03B   5/00        (2006.01)
B03B   9/00        (2006.01)
C02F   1/28        (2006.01)
C02F  11/12        (2006.01)
C02F  11/14        (2006.01)
B07B   1/28        (2006.01)
B07B   1/46        (2006.01)
FI C02F 11/00 ZABJ
B03B 5/00 Z
B03B 9/00
C02F 1/28 F
C02F 11/12 Z
C02F 11/14 A
C02F 11/14 Z
B07B 1/28 Z
B07B 1/46 Z
請求項の数または発明の数 10
全頁数 11
出願番号 特願2014-192934 (P2014-192934)
出願日 平成26年9月22日(2014.9.22)
審査請求日 平成29年7月13日(2017.7.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】石渡 寛之
【氏名】浅井 靖史
【氏名】山崎 将義
【氏名】佐藤 靖彦
【氏名】小林 正典
【氏名】長谷川 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】110000420、【氏名又は名称】特許業務法人エム・アイ・ピー
審査官 【審査官】佐々木 典子
参考文献・文献 特開2005-238102(JP,A)
特開昭54-013659(JP,A)
特開2004-141783(JP,A)
調査した分野 C02F 11/00-11/20
B03B 1/00-13/06
B07B 1/00-15/00
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
特許請求の範囲 【請求項1】
重金属により汚染された土砂を含む泥水を処理する泥水処理システムであって、
前記泥水に含まれる所定以上の粒径を有する前記土砂の粒子を分離する分離手段と、
分離された前記粒子を水洗するための水洗手段と、
前記粒子が分離された後の所定未満の粒径を有する粒子を含む泥水に薬剤を添加し、該所定未満の粒径を有する粒子に付着した重金属を泥水の液中に抽出する抽出手段と、
前記重金属が前記液中に抽出された後の前記所定未満の粒径を有する粒子を含む泥水に凝集剤を添加し、該粒子を凝集させる凝集手段と、
前記所定未満の粒径を有する粒子が凝集された後の泥水を脱水する脱水手段とを含む、泥水処理システム。
【請求項2】
脱水により得られた固形分を水洗するための第2の水洗手段と、水洗により形成される前記固形分を含むスラリーを脱水する第2の脱水手段とをさらに含む、請求項1に記載の泥水処理システム。
【請求項3】
前記脱水手段および前記第2の脱水手段から排出された排水に含まれる前記重金属を吸着剤に吸着させ、該排水から該重金属を除去する重金属除去手段をさらに含む、請求項2に記載の泥水処理システム。
【請求項4】
前記分離手段は、振動ふるい機であり、前記水洗手段は、前記振動ふるい機が備えるふるい上に分離された前記所定以上の粒径を有する粒子に水を噴射して該粒子を水洗する、請求項1~3のいずれか1項に記載の泥水処理システム。
【請求項5】
前記脱水手段および前記第2の脱水手段から排出された排水に酸性またはアルカリ性を有するガスまたは液を添加し、該排水のpHを調整するpH調整手段と、前記排水に凝集剤を添加し、該排水に含まれる粒子を凝集させる第2の凝集手段とをさらに含む、請求項2または3に記載の泥水処理システム。
【請求項6】
重金属により汚染された土砂を含む泥水を処理する泥水処理方法であって、
前記泥水に含まれる所定以上の粒径を有する前記土砂の粒子を分離する工程と、
分離された前記粒子を水洗する工程と、
前記粒子が分離された後の所定未満の粒径を有する粒子を含む泥水に薬剤を添加し、該所定未満の粒径を有する粒子に付着した重金属を泥水の液中に抽出する工程と、
前記重金属が前記液中に抽出された後の前記所定未満の粒径を有する粒子を含む泥水に凝集剤を添加し、該粒子を凝集させる工程と、
前記所定未満の粒径を有する粒子が凝集された後の泥水を脱水する工程とを含む、泥水処理方法。
【請求項7】
脱水により得られた固形分を水洗する工程と、水洗により形成される前記固形分を含むスラリーを脱水する工程とをさらに含む、請求項6に記載の泥水処理方法。
【請求項8】
前記泥水を脱水する工程および前記スラリーを脱水する工程で排出される排水に含まれる前記重金属を吸着剤に吸着させ、該排水から該重金属を除去する工程をさらに含む、請求項7に記載の泥水処理方法。
【請求項9】
前記分離する工程では、ふるいを使用し、前記水洗する工程では、前記ふるい上に分離された前記所定以上の粒径を有する粒子に水を噴射して該粒子を水洗する、請求項6~8のいずれか1項に記載の泥水処理方法。
【請求項10】
前記泥水を脱水する工程および前記スラリーを脱水する工程で排出される排水に酸性またはアルカリ性を有するガスまたは液を添加し、該排水のpHを調整する工程と、前記排水に凝集剤を添加し、該排水に含まれる粒子を凝集させる工程とをさらに含む、請求項7または8に記載の泥水処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属により汚染された土砂を含む泥水を処理するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルを構築する技術として、シールドマシンを使用し、地盤の崩壊を防ぎながら掘削、覆工を行うシールド工法が知られ、実際に数多く採用されている。このシールド工法では、泥水を使用して掘削を行う泥水式シールド工法が主流になりつつある。
【0003】
泥水式シールド工法は、掘削前面の切羽と、シールドマシンのカッターヘッドの後方に設けた隔壁との間に加圧した泥水を充填し、切羽の安定を図りながら掘削を行う工法である。この工法では、掘削された土砂を供給した泥水の一部とともに排泥として排出し、泥水処理プラントでその排泥の処理を行う。
【0004】
ここで、従来の泥水処理プラントの構成を、図1を参照して簡単に説明する。シールドマシン10から排出された排泥は、排泥ポンプ11により一次処理設備に送られる。排泥は、一次処理設備の前処理機12へ送られ、排泥中の大きい礫や固結土等を分離して除去する。残りの排泥は、泥水受槽13に回収され、サイクロン14および一次分級機15で、例えば75μm以上の粒径を有する砂や礫等の粗粒分を分離除去する。
【0005】
前処理機12および一次分級機15で分離された粗粒分は、ベルトコンベア16に乗せられ、土砂ピットへ運ばれる。75μm未満の粒径を有する細粒分を含む泥水は、調整槽17へ送られ、適宜、水、泥水、粘性調整剤等が添加され、泥水の濃度、比重、粘度が調整される。この調整された泥水は、供給ポンプにより加圧され、再びシールドマシン10へ送られ、再利用される。
【0006】
調整槽17内の泥水の一部は、余剰泥水として二次処理設備へ送られる。余剰泥水は、二次処理設備の余剰泥水槽18へ送られ、無機凝集剤槽19から無機凝集剤が添加された後、スラリー槽20において細粒分を凝集させる。凝集した細粒分を含む泥水(スラリー)は、フィルタープレス21で加圧濾過することにより脱水され、脱水ケーキとして脱水ケーキピットへ排出される。
【0007】
フィルタープレス21から排出される排水は、適宜、清水槽22から清水が加えられて希釈される希釈水槽23へ送られる。希釈水は、調整槽17に添加する水、増粘剤溶解槽24で増粘剤を溶解するための水、粘土溶解槽25で粘土を溶解するための水として使用される。増粘剤溶解槽24および粘土溶解槽25で作成された溶液は、貯泥槽26に集められ、余剰泥水槽18からの泥水とともに、調整槽17で濃度、比重、粘度を調整するために使用される。
【0008】
希釈水は、水質調整処理設備へも送られる。水質調整処理設備の原水槽28は、その希釈水を受け入れ、図示しない水中ポンプにより濁水処理設備27へ送る。その途中、CO2気化装置29により発生した炭酸ガスによりpHが調整され、無機凝集剤槽19および高分子凝集剤槽30から無機凝集剤および高分子凝集剤が添加される。濁水処理設備27では、これらの凝集剤により希釈水中に残った細粒分の粒子を凝集沈殿させ、上澄み液とスラッジとに分離する。上澄み液は、放流水槽31へ送られ、下水道等に放流され、スラッジは、脱水ケーキとして排出するためにスラリー槽20へ送られる。
【0009】
従来のこのような泥水処理プラントでは、排泥が重金属類で汚染されたものである場合、一次処理設備で回収された砂、礫、固結土等の一次処理土は重金属類の環境基準に不適合になることが想定され、健全土としてリサイクルすることができない場合がある。重金属類が濃縮される脱水ケーキは、環境基準を超過することが確実で、重金属類を含む脱水ケーキとして適切に処理、処分する必要がある。その結果、大規模なシールド工事では、これらの処理費用が膨大なものとなる。
【0010】
そこで、鉄粉を混合し、鉄粉に重金属類を吸着させた後、その鉄粉を回収する技術(例えば、特許文献1、2参照)や、特殊薬剤と高性能分級装置とを利用する技術(例えば、非特許文献1参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特開2011-56482号公報
【特許文献2】特開2014-73464号公報
【0012】

【非特許文献1】設樂和彦、外2名、「泥水式シールド工事で発生する自然由来砒素汚染土壌の浄化技術の開発」、第20回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集、一般社団法人 一般土壌環境センター、平成26年6月、p.231-236
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の技術では、特殊な装置を使用する必要があり、そのような特殊な装置を使用する場合、維持管理も考えると、膨大な費用がかかる。したがって、重金属により汚染された土砂を含む泥水を、特殊な装置を使用することなく浄化することができるシステムや方法の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題に鑑み、重金属により汚染された土砂を含む泥水を処理する泥水処理システムであって、泥水に含まれる所定以上の粒径を有する土砂の粒子を分離する分離手段と、分離手段により分離された粒子を水洗するための水洗手段と、分離手段から排出される所定未満の粒径を有する粒子を含む泥水に薬剤を添加し、該粒子に付着した重金属を泥水の液中に抽出する抽出手段と、泥水を脱水する脱水手段とを含む、泥水処理システムが提供される。
【0015】
また、重金属により汚染された土砂を含む泥水を処理する泥水処理方法であって、泥水に含まれる所定以上の粒径を有する土砂の粒子を分離する工程と、分離された粒子を水洗する工程と、所定未満の粒径を有する粒子を含む泥水に薬剤を添加し、該粒子に付着した重金属を泥水の液中に抽出する工程と、泥水を脱水する工程とを含む、泥水処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、重金属により汚染された土砂を含む泥水を特殊な装置を使用することなく浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の泥水処理システムの構成例を示した図。
【図2】本発明の泥水処理システムの構成例を示した図。
【図3】図2に示す泥水処理システムの二次処理設備の他の構成例を示した図。
【図4】図2に示す泥水処理システムが行う処理の流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2は、本発明の泥水処理システムの構成例を示した図である。この泥水処理システム40は、これに限られるものではないが、上述した泥水式シールド工事で使用される。以下、泥水処理システム40を泥水式シールド工事に使用するものとして説明する。泥水式シールド工事では、円筒形のシールドマシン10の切羽に向いた一方の円形の面(前面)に設けられたカッターヘッドにより土壌を掘削し、その際、切羽が崩壊しないようにシールドマシン10に設けられた隔壁と切羽との間に加圧された泥水を充填する。

【0019】
泥水処理システム40は、加圧した泥水を隔壁と切羽との間に供給し、掘削により生じる掘削土砂を供給した泥水の一部とともに回収して処理を行う。泥水処理システム40は、上述した従来の泥水処理システムと同様、一次処理設備と、二次処理設備と、水質調整処理設備とを含んで構成される。従来のシステムと同様、一次処理設備は、前処理機41と、泥水受槽42と、サイクロン43と、一次分級機44と、ベルトコンベア45と、調整槽46とを含む構成とされる。

【0020】
シールドマシン10からの掘削土砂を含む排泥は、泥水として、排泥ポンプ47により前処理機41へ送られる。この泥水には、シルトや粘土等の目の細かい細粒分と、小石、礫、砂等の粒径が大きい粗粒分とが含まれる。そのほか、木くず、ゴミ等も含まれる。前処理機41および一次分級機44は、例えば、振動ふるい機とされ、前処理機41では、粒径が比較的大きい礫や固結土、木くず、ゴミ等を取り除くことができる任意のメッシュサイズのふるいが使用され、一次分級機44では、前処理機41より目が細かい、所定以上の粒径、例えば75μm以上の粒径を有する土砂の粒子を分離することができるメッシュサイズのふるいが使用される。一次分級機44は、サイクロン43とともに使用され、上記の粗粒分を分離する。

【0021】
調整槽46は、撹拌装置を備え、適宜、希釈水や泥水等が添加され、槽内の泥水の濃度、比重、粘度を所定の値に調整する。供給ポンプ48は、調整された泥水を所定の圧力に加圧した後、シールドマシン10へ供給する。余剰の泥水は、供給ポンプ49により二次処理設備へ供給される。

【0022】
この泥水処理システム40では、一次処理設備に、前処理機41および一次分級機44で分離された粗粒分を水洗するための水洗手段を備える。図2では、水洗手段として、シャワーノズルを備えた水噴射装置50が設けられている。水噴射装置50は、前処理機41および一次分級機44のふるい上に分離された粗粒分に向けて水を噴射し、その粒子を水洗する。水噴射装置50は、水を霧状に噴霧してもよい。

【0023】
土砂を汚染する重金属類は、所定未満の粒径を有する粒子、すなわちシルトや粘土等の細粒分に偏在することが知られている。このため、礫や砂等の粗粒分にはほとんど付着していない。しかしながら、粗粒分には、重金属類自体はほとんど付着していないものの、その重金属類が付着した細粒分が付着している。水噴射装置50による水洗では、粗粒分に付着した細粒分を洗い流している。これにより、前処理機41および一次分級機44で分離された粗粒分からなる一次処理土を、確実に重金属類の環境基準に適合させることができる。一次処理土は、ベルトコンベア45により土砂ピット51へ搬送され、健全土として再利用することができる。ここでは、粒径75μm以上の粗粒分と、それ未満の細粒分に分離しているが、これに限られるものではなく、重金属類の濃度等に応じてその他の粒径で分離してもよい。

【0024】
細粒分に偏在して付着する重金属類としては、水銀、鉛、銅、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、カドミウム、セレン、亜鉛、ビスマス、砒素等が挙げられる。

【0025】
二次処理設備も、従来のシステムと同様、余剰泥水槽60と、凝集剤槽61と、スラリー槽62と、フィルタープレス63と、清水槽64と、希釈水槽65と、増粘剤溶解槽66と、粘土溶解槽67と、貯泥槽68とを含んで構成される。これらの各装置については、従来のシステムと同様のものを用いることができ、ここでは詳述しない。

【0026】
図2に示す泥水処理システム40では、凝集剤槽61には、無機凝集剤と、高分子凝集剤とが充填される。無機凝集剤としては、無機凝集剤としてよく知られている硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、ポリシリカ鉄等が使用される。また、高分子凝集剤としては、高分子凝集剤としてよく知られているポリアクリルアミド系の凝集剤が使用される。なお、ここで例示した凝集剤は一例であり、凝集効果を有する物質であれば、これら以外の物質を使用することもできるものである。

【0027】
これらの凝集剤は、泥水中の細粒分を凝集させ、塊(フロック)を形成させる。これは、ある程度の大きさの塊にして、フィルタープレス63で適切に加圧濾過することができるようにするためである。

【0028】
この泥水処理システム40では、二次処理設備に、細粒分を含む泥水に薬剤を添加し、その細粒分に付着した重金属類を泥水中に抽出させる抽出手段として抽出・除去槽69および薬剤槽70を備える。抽出・除去槽69は、余剰泥水槽60からの泥水と、薬剤槽70からの薬剤とを受け入れ、撹拌装置により撹拌混合して、細粒分に付着した重金属類を泥水の液中に抽出させる。

【0029】
薬剤としては、例えば、キレート剤を使用することができる。キレート剤は、重金属イオンと反応し、キレート化合物を生成して、泥水の液中に重金属類を抽出させる。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、これらの金属塩等を用いることができる。なお、細粒分に付着した重金属類を泥水中に抽出させることができる薬剤であれば、キレート剤に限られるものではない。

【0030】
泥水処理システム40は、抽出・除去槽69からスラリー槽62を介してフィルタープレス63へ重金属が抽出されたスラリーを送り、脱水手段としてのフィルタープレス63でそのスラリーを脱水することができる。抽出・除去槽69をスラリー槽62の前流側に配置するのは、細粒分が凝集して重金属が抽出されにくくなる前に、重金属を抽出させるためである。上記のキレート化合物は、液中に存在するため、この脱水により排出される排水中に含まれ、水質調整処理設備へと送られる。一方、フィルタープレス63で脱水して得られた固形物である脱水ケーキは、重金属類の環境基準に適合した状態で、脱水ケーキピット71へ排出される。したがって、この脱水ケーキも、中間処理施設で改質等を行い、健全土として再利用することができる。

【0031】
泥水処理システム40は、抽出・除去槽69からスラリー槽62を介してフィルタープレス63へスラリーを送るのではなく、図3に示すように、脱水手段としての遠心脱水機72と、水洗手段としてのすすぎ槽73とを介して送ることもできる。遠心脱水機72は、一方に延びる軸体の周囲に螺旋状の羽根を有し、軸体の回転により一方から他方へ向けてスラリーを移動させるとともに、その遠心力により水分を除去するスクリューデカンタを用いることができる。ここでは、遠心脱水機72を使用しているが、これに限られるものではなく、フィルタープレス等の他の脱水装置を使用することも可能である。

【0032】
すすぎ槽73は、スラリー槽62に代えて、またはスラリー槽62とともに用いられ、所定の形状、容量の容器と、撹拌装置とから構成され、容器内には清水が入れられる。すすぎ槽73は、遠心脱水機72により脱水されて残った固形物、またはスラリー槽62で凝集剤が添加された後のスラリーが投入され、撹拌装置によりそれらを水洗する。これにより、固形物に付着したキレート化合物を洗い流し、固形物から除去することができる。この固形物を含むスラリーをフィルタープレス63へ送り、脱水して、脱水ケーキとして脱水ケーキピット71へ排出することができる。ここでは、清水を入れたすすぎ槽73を用いる例を示したが、これに限られるものではなく、上記の水噴射装置50等を使用して水洗してもよい。

【0033】
フィルタープレス63と同様、遠心脱水機72からも排水が排出されるので、水質調整処理設備へ送り、排水を処理させることができる。このように、抽出・除去槽69からスラリー槽62を介してフィルタープレス63へ送り、脱水するより、一度遠心脱水機72で脱水し、すすぎ槽73で水洗した後、フィルタープレス63で脱水することにより、より確実に重金属類の環境基準に適合した状態で脱水ケーキを脱水ケーキピット71へ排出することができる。

【0034】
再び図2を参照して、水質調整処理設備も、従来のシステムと同様、濁水処理設備80と、原水槽81と、CO2気化装置82と、放流水槽83とを含んで構成される。なお、高分子溶解槽は、二次処理設備にある凝集剤槽61を共用することができるので、ここでは省略している。この泥水処理システム40は、フィルタープレス63から排出された排水、遠心脱水機72を用いる場合は、その遠心脱水機72から排出された排水を、原水槽81に受け入れる。

【0035】
この原水槽81から水中ポンプを使用して濁水処理設備80へ排水を供給するが、その途中、pH調整剤として、酸性またはアルカリ性のガスまたは溶液が添加される。ここでは、排水をアルカリ性として、酸性ガスである炭酸ガスが供給されるようになっている。また、排水中の粒子を凝集させるために凝集剤も添加されるようになっている。さらに、重金属類を吸着する吸着剤が収容された吸着剤槽84が設けられ、吸着剤が添加されるようになっている。

【0036】
重金属類を吸着する吸着剤としては、例えば、ケイソウ土、シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライト、鉄、酸化鉄、これらの混合物、これらの少なくとも1つを主成分とし、これに他の成分を加えた混合物等を用いることができる。

【0037】
濁水処理設備80では、排水中の粘土やシルト等の粒子が凝集剤により凝集してフロックを形成し、重金属類が吸着された吸着剤とともに底に沈殿する。この沈殿物は、重金属類の濃度が高いスラッジであり、重金属類濃縮スラッジと呼ばれる。重金属類濃縮スラッジは、濁水処理設備80の底からポンプにて回収し、産業廃棄物の処分場へ搬送され、処理される。この重金属類濃縮スラッジは、脱水ケーキの量に比較して少ないため、その処分費用を削減することができる。

【0038】
濁水処理設備80では、底に沈殿する重金属類濃縮スラッジと、その上の上澄み液とに分離される。上澄み液は、粘土やシルト等の粒子や重金属類がほとんど含まれていないため、清水として希釈水槽65へ送り、この泥水処理システム40で循環利用することができる。その際、余剰の水は、放流水として下水道等に放流することができる。

【0039】
この泥水処理システム40を利用した泥水処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。泥水処理システム40の調整槽46に泥水を準備し、凝集剤槽61等に凝集剤等を充填しておく。シールドマシン10により掘削を開始し、ステップ400において、供給ポンプ48を起動させ、切羽と隔壁との間に泥水の供給を開始する。掘削を開始すると、掘削土砂が発生するため、それを排出するために排泥ポンプ47を起動させ、泥水の一部とともに排出を開始する。

【0040】
一次処理設備を起動し、排泥ポンプ47により泥水を前処理機41へ供給し、ステップ405では、粒径が大きい礫や固結土等を分離除去する。そして、それを通過した泥水は、泥水受槽42で回収され、一次分級機44へ供給される。一次分級機44では、ふるいにより、また、サイクロン43では、遠心力を利用して、粗粒分を分離除去する。ちなみに、サイクロン43で回収された粗粒分は、一次分級機44へ送られる。

【0041】
ステップ410では、水噴射装置50が、その前処理機41および一次分級機44が有するふるい上に分離した粗粒分に対して水を噴射して、その粒子を水洗する。付着した細粒分を洗い流すことができれば、水圧および水洗する時間は、いかなる圧力および時間であってもよい。

【0042】
水洗して洗浄されたふるい上の粒子は、ベルトコンベア45上に乗せられ、土砂ピット51へ運ばれる。ふるいを通過した泥水は、細粒分を含み、調整槽46へ送られる。ステップ415では、調整槽46で、泥水の濃度、比重、粘度等を調整し、シールドマシン10へ供給して再利用し、余剰分を二次処理設備へ送る。

【0043】
二次処理設備では、余剰泥水槽60でその余剰分の泥水を受ける。ステップ420では、余剰分の泥水に薬剤を添加し、抽出・除去槽69において重金属類を泥水の液中に抽出させる。ステップ425では、凝集剤槽61から凝集剤を添加し、スラリー槽62へ送り、スラリー槽62で泥水中の細粒分を凝集剤により凝集させる。凝集した細粒分を含むスラリーは、フィルタープレス63へ送られる。ステップ430では、フィルタープレス63で加圧濾過して脱水し、固形分を脱水ケーキとして脱水ケーキピット71へ排出する。脱水により排出される排水には、重金属類が含まれる。

【0044】
ステップ435では、フィルタープレス63から排出された排水を原水槽81で受け、CO2気化装置82から炭酸ガスを添加し、その炭酸ガスによりpHを調整する。また、凝集剤槽61から凝集剤を添加し、排水中の粒子を凝集させる。ステップ440では、吸着剤槽84から吸着剤を添加し、排水中の重金属類を吸着させる。凝集した粒子および重金属類が吸着した吸着剤は、濁水処理設備80の底に沈殿する。

【0045】
ステップ445では、濁水処理設備80の底に沈殿した重金属類濃縮スラッジを回収し、上澄み液を清水として放流水槽83へ送り、放流水槽83から希釈水槽65へ送って再利用する。なお、余剰水は、下水道等に放流することができる。また、スラッジの回収は、ある程度の量のスラッジが堆積した段階で行うことができる。この処理は、シールドマシン10による掘削が終了するまで繰り返し実施される。掘削が終了し、処理する泥水がなくなったところで、泥水処理システム40を停止し、ステップ450でこの処理を終了する。

【0046】
以上に説明してきたように、汎用のシャワーノズルを備える水噴射装置50、一般に使用されるキレート剤等の薬剤、重金属類吸着剤を使用するのみであるため、特殊な装置を使用することなく、現場内で重金属類を除去し、粗粒分のみならず、細粒分も健全土として再利用することができる。なお、濁水処理設備80からは、重金属類濃縮スラッジが排出されるが、脱水ケーキの量に比較して少ない量であり、産業廃棄物として処分すべき量を減少させることができ、処分費用を削減することができる。

【0047】
これまで本発明の泥水処理システムおよび泥水処理方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
10…シールドマシン、11…排泥ポンプ、12…前処理機、13…泥水受槽、14…サイクロン、15…一次分級機、16…ベルトコンベア、17…調整槽、18…余剰泥水槽、19…凝集剤槽、20…スラリー槽、21…フィルタープレス、22…清水槽、23…希釈水槽、24…増粘剤溶解槽、25…粘土溶解槽、26…貯泥槽、27…濁水処理設備、28…原水槽、29…CO2気化装置、30…高分子溶解槽、31…放流水槽、40…泥水処理システム、41…前処理機、42…泥水受槽、43…サイクロン、44…一次分級機、45…ベルトコンベア、46…調整槽、47…排泥ポンプ、48、49…供給ポンプ、50…水噴射装置、51…土砂ピット、60…余剰泥水槽、61…凝集剤槽、62…スラリー槽、63…フィルタープレス、64…清水槽、65…希釈水槽、66…増粘剤溶解槽、67…粘土溶解槽、68…貯泥槽、69…抽出・除去槽、70…薬剤槽、71…脱水ケーキピット、72…遠心脱水機、73…すすぎ槽、80…濁水処理設備、81…原水槽、82…CO2気化装置、83…放流水槽、84…吸着剤槽
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
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