TOP > 国内特許検索 > ダイナミックダンパ制御装置 > 明細書

明細書 :ダイナミックダンパ制御装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6369901号 (P6369901)
公開番号 特開2016-061377 (P2016-061377A)
登録日 平成30年7月20日(2018.7.20)
発行日 平成30年8月8日(2018.8.8)
公開日 平成28年4月25日(2016.4.25)
発明の名称または考案の名称 ダイナミックダンパ制御装置
国際特許分類 F16F  15/02        (2006.01)
FI F16F 15/02 A
F16F 15/02 C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 16
出願番号 特願2014-190102 (P2014-190102)
出願日 平成26年9月18日(2014.9.18)
審査請求日 平成29年1月13日(2017.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】井上 敏郎
【氏名】小松崎 俊彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100077665、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 剛宏
【識別番号】100116676、【弁理士】、【氏名又は名称】宮寺 利幸
【識別番号】100149261、【弁理士】、【氏名又は名称】大内 秀治
【識別番号】100136548、【弁理士】、【氏名又は名称】仲宗根 康晴
【識別番号】100136641、【弁理士】、【氏名又は名称】坂井 志郎
審査官 【審査官】葛原 怜士郎
参考文献・文献 特開平03-194238(JP,A)
特開平04-331838(JP,A)
特開2009-197905(JP,A)
調査した分野 F16F 7/10
F16F 15/00-15/36
特許請求の範囲 【請求項1】
防振対象部材の振動伝達経路に取り付けられる弾性部材と、
前記防振対象部材に対して前記弾性部材を介して配置される質量部材と、を備え、
前記弾性部材は、印加する電力の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変手段で構成され、
前記弾性率可変手段の変位量を検出する検出手段を有し、
前記検出手段により検出された前記弾性率可変手段の変位量に基づき、前記防振対象部材の振動周波数を取得し、
前記振動周波数を低減する弾性率となるように前記弾性率可変手段を制御し、
前記弾性率可変手段は、
導電性の磁性粒子が内部に分散され、印加される磁場の強さに応じて弾性率が変化すると共に、変形に伴って所定の方向における電気抵抗値が変化する磁気粘弾性エラストマと、
電力により前記磁気粘弾性エラストマに磁場を印加すると共に、印加する磁場の強さを変更可能な磁場印加手段と、
前記磁気粘弾性エラストマの電気抵抗を検出する抵抗検出手段と、を備え、
前記抵抗検出手段の検出値と、前記磁場印加手段が印加する磁場の強さとに基づいて、前記磁気粘弾性エラストマの変位量を検出すること
を特徴とするダイナミックダンパ制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のダイナミックダンパ制御装置において、
前記弾性率可変手段に電力を供給することで弾性率を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段により検出された前記弾性率可変手段の変位量を周波数に変換し、
その中で最も振幅の大きい周波数の振動を低減するように前記弾性率可変手段に電力を供給すること
を特徴とするダイナミックダンパ制御装置。
【請求項3】
請求項記載のダイナミックダンパ制御装置において、
予め計測された前記防振対象部材の振動周波数を低減するように、前記弾性率可変手段に磁場を印加する永久磁石を備え、
前記取得された前記防振対象部材の振動周波数が所定値を超えた場合には、
前記制御手段により前記弾性率可変手段に磁場を印加することで弾性率を制御すること
を特徴とするダイナミックダンパ制御装置。
【請求項4】
防振対象部材の振動伝達経路に取り付けられる弾性部材と、
前記防振対象部材に対して前記弾性部材を介して配置される質量部材と、を備え、
前記弾性部材は、印加する電力の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変手段で構成され、
前記弾性率可変手段の変位量を検出する検出手段を有し、
前記検出手段により検出された前記弾性率可変手段の変位量に基づき、前記防振対象部材の振動周波数を取得し、
前記振動周波数を低減する弾性率となるように前記弾性率可変手段を制御し、
前記弾性率可変手段は、
導電性の磁性粒子が内部に分散され、印加される磁場の強さに応じて弾性率が変化すると共に、変形に伴って所定の方向における電気抵抗値が変化する磁気粘弾性エラストマと、
電力により前記磁気粘弾性エラストマに磁場を印加すると共に、印加する磁場の強さを変更可能な磁場印加手段と、
前記磁気粘弾性エラストマの電気抵抗を検出する抵抗検出手段と、を備え、
前記抵抗検出手段の検出値に基づいて、前記磁気粘弾性エラストマの変位量を検出すること
を特徴とするダイナミックダンパ制御装置。
【請求項5】
請求項4記載のダイナミックダンパ制御装置において、
前記弾性率可変手段は、
前記抵抗検出手段の検出値と、前記磁場印加手段が印加する磁場の強さとに基づいて、前記磁気粘弾性エラストマの変位量を検出すること
を特徴とするダイナミックダンパ制御装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体の振動を抑制するダイナミックダンパ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動体の振動を抑制するダイナミックダンパとして、例えば特許文献1記載のダイナミックダンパ装置や特許文献2記載の可変剛性型の動吸振器がある。
【0003】
特許文献1には、防振対象部材に取り付けられた振動センサにより検出された振動周波数に基づいて、重心可変用アクチュエータを制御し、ダイナミックダンパの共振周波数を防振対象部材の振動周波数に合わせるように質量部材の重心を変化させる構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、外部磁場により粘弾性特性が可変する磁性粒子複合粘弾性体を用いた可変剛性型の動吸振器が記載されている。この動吸振器を用いたシステムでは、主振動体に動吸振器を取り付け、主振動体の振動を加速度センサ等にて検知し、制御手段にて信号変換することでMRE(磁性粒子複合粘弾性体)に印加する電流値を制御する。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2009-236225号公報
【特許文献2】特開2013-181090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1及び2の構成の場合、振動センサや加速度センサ等をダイナミックダンパ本体とは別に配設する必要があり、部品点数が増加する。
【0007】
また、振動センサや加速度センサ等がダイナミックダンパから離れた位置に配設されてしまうと、振動センサや加速度センサ等の取付位置における共振周波数とダイナミックダンパが設けられている箇所における共振周波数とが異なってしまい、防振効果が低減する虞がある。
【0008】
本願発明では、ダイナミックダンパの位置で防振対象部材の振動状態を検出し、防振することができ、防振効果の低減を抑えることができるダイナミックダンパ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 本発明に係るダイナミックダンパ制御装置は、防振対象部材の振動伝達経路に取り付けられる弾性部材と、前記防振対象部材に対して前記弾性部材を介して配置される質量部材と、を備え、前記弾性部材は、印加する電力の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変手段で構成され、前記弾性率可変手段の変位量を検出する検出手段を有し、前記検出手段により検出された前記弾性率可変手段の変位量に基づき、前記防振対象部材の振動周波数を取得し、前記振動周波数を低減する弾性率となるように前記弾性率可変手段を制御することを特徴とする。
【0010】
上記構成により、ダイナミックダンパの他に振動センサや加速度センサを別途配置することなく防振対象部材の振動を低減することができるため、部品点数削減及びレイアウト性に優れる。
【0011】
また、弾性部材として構成される弾性率可変手段の変位から防振対象部材の振動周波数を取得しているため、防振対象部材の振動位置にダイナミックダンパを設けるだけで振動を効果的に低減することができる。
【0012】
[2] 本発明において、前記弾性率可変手段に電力を供給することで弾性率を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記弾性率可変手段の変位量を周波数に変換し、その中で最も振幅の大きい周波数の振動を低減するように前記弾性率可変手段に電力を供給してもよい。
【0013】
上記構成により、弾性率可変手段に入力される振動変位から防振対象部材の振動周波数を取得することができ、それに応じた電力を出力するだけで振動を低減することができるため(オープン制御)、複雑な制御ロジックを設けることなく振動低減を行うことができる。
【0014】
[3] 本発明において、前記弾性率可変手段は、導電性の磁性粒子が内部に分散され、印加される磁場の強さに応じて弾性率が変化すると共に、変形に伴って所定の方向における電気抵抗値が変化する磁気粘弾性エラストマと、電力により前記磁気粘弾性エラストマに磁場を印加すると共に、印加する磁場の強さを変更可能な磁場印加手段と、前記磁気粘弾性エラストマの電気抵抗を検出する抵抗検出手段と、を備え、前記抵抗検出手段の検出値と、前記磁場印加手段が印加する磁場の強さとに基づいて、前記磁気粘弾性エラストマの変位量を検出してもよい。
【0015】
上記構成により、防振対象部材の振動を検出するためのセンサを別途設ける必要がなく、また、弾性率可変手段自体の変位量を検出することができるため、ダイナミックダンパが配置される箇所の防振対象部材の振動を効果的に低減することができる。
【0016】
[4] この場合、予め計測された前記防振対象部材の振動周波数を低減するように、前記弾性率可変手段に磁場を印加する永久磁石を備え、前記取得された前記防振対象部材の振動周波数が所定値を超えた場合には、前記制御手段により前記弾性率可変手段に磁場を印加することで弾性率を制御してもよい。
【0017】
上記構成により、当初は防振対象部材の振動周波数に対応する磁場が加わるように永久磁石を設けておき、弾性部材の経年劣化や防振対象部材の振動周波数の変化を検知した場合には、電力により弾性率可変手段に磁場を印加することで、長期間における振動低減を低電力で行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ダイナミックダンパの位置で防振対象部材の振動状態を検出し、防振することができ、防振効果の低減を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の本実施の形態に係るダイナミックダンパ制御装置(第1ダイナミックダンパ制御装置)の概略構成を示す断面図である。
【図2】第1ダイナミックダンパ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】磁気粘弾性エラストマの変位量波形を周波数変換する処理を示す説明図である。
【図4】弾性率可変手段の防振制御によって、ダイナミックダンパの共振周波数を防振対象部材の主振動周波数に合致する共振周波数に変更する処理を示す説明図である。
【図5】第1ダイナミックダンパ制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】図6Aは1自由度の主振動系とダイナミックダンパとを有する2自由度振動系の数値モデルを示す図であり、図6Bは比較例、参考例1、参考例2及び実施例について、数値モデルの主振動系に対して掃引正弦波(掃引サイクル:5~55Hz、掃引速度:2Hz/s)の変位加振を加えた際の応答特性を示す図であり、図6Cは参考例及び実施例について、加振信号の周波数可変域での制御信号の違いを示す特性図である。
【図7】参考例に係るダイナミックダンパ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の本実施の形態に係るダイナミックダンパ制御装置(第2ダイナミックダンパ制御装置)の概略構成を示す断面図である。
【図9】図9Aは永久磁石を有する第2ダイナミックダンパ制御装置の第1変形例を一部省略して示す断面図であり、図9Bは第2変形例を一部省略して示す断面図であり、図9Cは第3変形例を一部省略して示す断面図である。
【図10】第2ダイナミックダンパ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るダイナミックダンパ制御装置の実施の形態例を図1~図10を参照しながら説明する。

【0021】
第1の本実施の形態に係るダイナミックダンパ制御装置(以下、第1ダイナミックダンパ制御装置10Aと記す)は、図1に示すように、防振対象部材12の振動伝達経路に取り付けられる弾性部材16と、防振対象部材12に対して弾性部材16を介して配置される金属製の質量部材18と、を備える。

【0022】
防振対象部材12は、例えば車両を想定したとき、エンジン(図示せず)が設置されるフレーム20等が挙げられる。

【0023】
弾性部材16は、印加する電力の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変手段22にて構成される。

【0024】
弾性率可変手段22は、磁気粘弾性エラストマ24と、磁場印加手段26と、抵抗検出手段28とを有する。

【0025】
磁気粘弾性エラストマ24は、マトリックスとしての粘弾性をもつ基質エラストマ30(弾性材料)と、基質エラストマ30内に分散された多数の導電性の磁性粒子32とを有する。導電性の磁性粒子32が内部に分散され、印加される磁場Biの強さに応じて弾性率が変化すると共に、変形に伴って所定の方向における電気抵抗値が変化する。

【0026】
基質エラストマ30の構成材料としては、例えばシリコーンゴム等の室温で粘弾性を有する公知の高分子材料が挙げられる。

【0027】
磁性粒子32の構成材料としては、鉄、窒化鉄、炭化鉄、カルボニル鉄、磁性酸化鉄類、フェライト類、ニッケル、コバルト、又はコバルト鉄の合金類、マグネタイト、ゲーサイト等が挙げられる。磁性粒子32の平均粒径は、例えば50μm未満である。

【0028】
弾性率可変手段22は、フレーム20に取り付けられた支持部34と、支持部34に支持された一対の磁気粘弾性エラストマ24とを有し、一対の磁気粘弾性エラストマ24間に質量部材18が懸架されている。弾性率可変手段22は、フレーム20の上面20aに設置されてもよく、あるいは、フレーム20の下面20bに設置されてもよい。

【0029】
支持部34は、例えば一対のブラケット35と、一対のブラケット35上に固定されたヨーク部材36とを有する。

【0030】
一対のブラケット35は、非磁性材料あるいは磁性材料(鉄等)にて例えば断面L字状に形成され、図示しない適宜の固定手段(ボルト、溶接等)により防振対象部材であるフレーム20に一体的に固定される。もちろん、図1に示すように、一対のブラケット35間に、これら一対のブラケット35をつなぐ部材37を一体にあるいは別体に設けてもよい。

【0031】
ヨーク部材36は、一対のブラケット35上に固定され、且つ、質量部材18と磁気粘弾性エラストマ24とで構成される構造体38の側部と上部を囲むように構成されている。このヨーク部材36は磁性材料(鉄等)にて構成されている。これにより、印加される磁場Biによって、質量部材18→磁気粘弾性エラストマ24→ヨーク部材36→磁気粘弾性エラストマ24→質量部材18という経路で磁路39(二点鎖線で示す)が形成される。つまり、支持部34は、ヨーク部材36で構造体38の側部と上部を囲むようにすることで、磁束漏れを防ぐ構造となっている。

【0032】
なお、一対のブラケット35は、上述したように、非磁性材料あるいは磁性材料にて構成することができる。しかし、防振対象部材12が磁性材料にて構成されている場合に、磁性材料にて構成された一対のブラケット35を使用すると、磁力線が防振対象部材12(例えばフレーム20)側に漏洩拡散し、磁気粘弾性エラストマ24を変位させる上で損失が生じるおそれがある。そこで、防振対象部材12が磁性材料にて構成されている場合は、一対のブラケット35を非磁性材料にて構成することが好ましい。

【0033】
各磁気粘弾性エラストマ24のうち、質量部材18との接続部分及び支持部34のヨーク部材36との接続部分にそれぞれ電極板40a及び40bが設けられている。すなわち、電極板40a及び40bは、磁気粘弾性エラストマ24を挟持するように互いに平行に配置される。

【0034】
質量部材18は、ブラケット及び磁気粘弾性エラストマ24を介してフレーム20に支持される。質量部材18は、互いに相反する外面を有し、各外面に磁気粘弾性エラストマ24が接合されることによって、一対の磁気粘弾性エラストマ24間に懸架される。本実施の形態では、質量部材18は、上下方向に揺動可能となっており、従って、弾性率可変手段22は、上下方向が動作方向(制振方向)となっている。

【0035】
一方、磁場印加手段26は、例えば励磁コイル41を有する電磁石42にて構成され、供給された電力により磁気粘弾性エラストマ24に磁場Biを印加する。供給された電力のうち、駆動電流に応じて印加する磁場Biの強さが変更可能となっている。励磁コイル41は、質量部材18を囲んで配置される。励磁コイル41の軸線が磁気粘弾性エラストマ24の軸線と一致するように配置される。

【0036】
電磁石42に通電することによって、磁場Biが発生し、磁気粘弾性エラストマ24に磁場Biが印加される。磁場Biは、図1において破線で示すように、磁力線44が一方の磁気粘弾性エラストマ24から他方の磁気粘弾性エラストマ24へと向かうように生成される。電磁石42から発生する磁場Biは、電磁石42に流れる駆動電流に応じて変化し、駆動電流が大きくなるほど発生する磁場Biに強さは大きくなる。

【0037】
電磁石42に通電することによって、磁気粘弾性エラストマ24に磁場Biが印加されると、磁場Biの強さに応じて磁性粒子32は分極し、磁気的結合を形成する。磁性粒子32は、例えば連鎖的に結合して網目構造を形成する等によって、磁気粘弾性エラストマ24の弾性率が基質エラストマ30自体の弾性率(剛性)よりも増大する。磁気粘弾性エラストマ24に印加される磁場Biが強いほど、磁性粒子32間の磁気的結合が増大し、磁気粘弾性エラストマ24の弾性率が増大する。従って、電磁石42に供給される駆動電流が大きいほど、磁気粘弾性エラストマ24の弾性率は増大し、磁気粘弾性エラストマ24は荷重に対して変形しにくくなる。

【0038】
上述の弾性率可変手段22の支持部34と、一対の磁気粘弾性エラストマ24と、質量部材18とでダイナミックダンパ46が構成される。ダイナミックダンパ46は、図2に模式的に示すように、防振対象部材12の上に可動マス48がバネ50を介して接続された構成を有する。ここで、防振対象部材12とフレーム20とが対応し、可動マス48と質量部材18とが対応し、バネ50と磁気粘弾性エラストマ24とが対応する。

【0039】
そして、図2の可動マス48とバネ50にて構成されるダイナミックダンパ46の共振周波数fは、可動マス48の質量をM、バネ50のバネ定数をKとしたとき、
f=(1/2π)√(K/M)
である。

【0040】
このダイナミックダンパ46は、構造上、防振対象部材12の振動周波数fcに対して逆位相で振動し、可動マス48の慣性力を利用することで、防振対象部材12の振動を低減する。特に、上述したように、弾性率可変手段22によって、磁気粘弾性エラストマ24の弾性率が変化することから、防振対象部材12の振動周波数fcが変化しても、ダイナミックダンパ46の共振周波数fを振動周波数fcに合わせることが可能となる。

【0041】
図2に示すように、弾性率可変手段22の抵抗検出手段28は、電極板40a及び40b間の磁気粘弾性エラストマ24にセンス電流Isを流す例えば電流源52と、電極板40a及び40b間の磁気粘弾性エラストマ24の電圧値Vを検出し、検出した電圧値Vとセンス電流値Isに基づいて磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rを検出する抵抗検出部54とを有する。

【0042】
今、磁場Biが印加されておらず、且つ、変形が生じていない状態での磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rを初期抵抗Riとする。磁気粘弾性エラストマ24は、該磁気粘弾性エラストマ24の軸線と直交する平面に沿ったせん断方向に変形するとき、内部に分散された磁性粒子32同士が互いに離間して通電経路が伸長又は切断されるため、磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rは初期抵抗Riよりも増大する。

【0043】
また、磁気粘弾性エラストマ24に磁場Biが印加され、磁場Biの強さに応じて磁性粒子32が磁気的結合を形成して網目構造(鎖状構造)を形成すると、磁性粒子32による網目構造は通電経路となるため、磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rは、初期抵抗Riよりも低下する。印加磁場Biが強くなるほど、磁性粒子32による磁気的結合が促進され、磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rは低下する。

【0044】
このように、磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rは、磁気粘弾性エラストマ24の変位量Xに加えて、電磁石42が生じる磁場Biの強さによっても変化する。このため、電気抵抗Rを用いて弾性率可変手段22の変位量Xを演算する際には、電磁石42が発生する磁場Biの強さも考慮する必要がある。

【0045】
さらに、この第1ダイナミックダンパ制御装置10Aは、磁場Biの強度を検出する磁場強度検出手段56と、弾性率可変手段22の変位量(すなわち、磁気粘弾性エラストマ24の変位量)を検出する変位量検出部58と、第1制御部60Aとを有する。

【0046】
磁場強度検出手段56は、磁気粘弾性エラストマ24に印加されている磁場Biの強度を検出する例えばホール素子や、励磁コイル41に供給する駆動電流値から磁場Biの強度を演算する磁場強度演算部等にて構成することができる。

【0047】
変位量検出部58は、上述したように、電気抵抗Rを用いて磁気粘弾性エラストマ24の変位量Xを演算する際には、電磁石42が発生する磁場Biの強さも考慮する必要があることから、磁場Biの強さ毎に、磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗Rと変位量Xとの関係を予め定めた変位量マップ62を使用する。変位量検出部58は、磁場強度検出手段56からの磁場Biの強度と抵抗検出部54からの電気抵抗Rとに基づいて、変位量マップ62を参照することで磁気粘弾性エラストマ24の変位量Xを演算する。

【0048】
第1制御部60Aは、変位量波形作成部64と、周波数変換部66と、主振動周波数抽出部68と、第1駆動電流決定部70Aとを有する。

【0049】
変位量波形作成部64は、変位量検出部58からの出力を時系列に取り込んで、変位量Xが時間の経過と共にに変化する変位量波形X(t)を作成して出力する。この変位量波形X(t)の周期は、防振対象部材12であるフレーム20の振動周期と一致している。

【0050】
周波数変換部66は、図3に示すように、変位量波形作成部64からの変位量波形X(t)を取り込み、取り込んだ変位量波形X(t)(時間が変数の関数)を、周波数が変数の関数に変換する。すなわち、変位量波形X(t)に含まれる1以上の振動周波数と振幅との組み合わせに変換する。この周波数変換としては、例えばFFT(高速フーリエ変換)を用いることができる。

【0051】
主振動周波数抽出部68は、周波数変換部66からの情報のうち、最も振幅の大きい振動周波数を主振動周波数faとして抽出する。

【0052】
第1駆動電流決定部70Aは、主振動周波数faに対応する駆動電流値Iを決定する。例えば第1駆動電流決定部70Aは、主振動周波数faに基づいて、振動周波数と駆動電流値との関係を予め定めた第1駆動電流マップ72Aを参照して駆動電流値Iを決定する。第1駆動電流マップ72Aにおける振動周波数と駆動電流値との関係は、例えば振動周波数の増加に対して駆動電流値が線形的に増加する関係となっている。

【0053】
決定した駆動電流値Iはパワードライバ74を介して励磁コイル41に供給される。これにより、磁気粘弾性エラストマ24の弾性率が印加された磁場Biの強さに応じて変化し、ダイナミックダンパ46の共振周波数fがフレーム20の振動周波数fcと整合する。その結果、ダイナミックダンパ46は、フレーム20の振動周波数fcに対して逆位相で振動することとなる。

【0054】
すなわち、図4に示すように、ダイナミックダンパ46に対して防振制御を行っていない場合のダイナミックダンパ46の共振周波数をf0としたとき、第1制御部60Aによる弾性率可変手段22の防振制御によって、ダイナミックダンパ46の共振周波数fが防振対象部材12の主振動周波数faに合致する共振周波数f1に変更される。その結果、防振対象部材12であるフレーム20の振動が低減することとなる

【0055】
次に、第1ダイナミックダンパ制御装置10Aの処理動作について図5を参照しながら説明する。

【0056】
先ず、図5のステップS1において、変位量検出部58は、磁場強度検出手段56からの磁場Biの強度に基づいて、使用する変位量マップ62を決定する。

【0057】
ステップS2において、変位量検出部58は、決定した変位量マップ62と抵抗検出部54からの抵抗値(磁気粘弾性エラストマの電気抵抗R)とに基づいて、磁気粘弾性エラストマ24の変位量Xを演算する。

【0058】
ステップS3において、変位量波形作成部64は、変位量検出部58からの出力を時系列に取り込んで、変位量が時間の経過と共に変化する変位量波形X(t)を作成して出力する。

【0059】
ステップS4において、周波数変換部66は、変位量波形作成部64からの変位量波形X(t)を取り込み、変位量波形X(t)を、変位量波形X(t)に含まれる1以上の振動周波数と振幅との組み合わせに変換する。すなわち、変位量波形X(t)を周波数変換する。

【0060】
ステップS5において、主振動周波数抽出部68は、周波数変換部66からの情報のうち、最も振幅の大きい振動周波数を主振動周波数fとして抽出する。

【0061】
ステップS6において、第1駆動電流決定部70Aは、主振動周波数fが予め設定された最大周波数fmax以下であるか否かを判別する。主振動周波数fが最大周波数fmax以下であれば、ステップS7に進み、第1駆動電流決定部70Aは、主振動周波数fに基づいて、第1駆動電流マップ72Aを参照して駆動電流値Iを決定する。

【0062】
その後、ステップS8において、第1駆動電流決定部70Aは、決定した駆動電流値Iを出力する。決定した駆動電流値Iはパワードライバ74を介して励磁コイル41に供給される。これにより、ダイナミックダンパ46は、フレーム20の主振動周波数fに対して逆位相で振動することとなる。

【0063】
一方、ステップS6において、主振動周波数fが最大周波数fmaxよりも高いと判別された場合は、ステップS9に進み、第1駆動電流決定部70Aは、所定の駆動電流値を出力する。所定の駆動電流値としては、第1駆動電流マップ72Aから得られた、例えば最大周波数fmaxに対応する駆動電流値等が挙げられる。あるいは、駆動電流値を0にして制御を行わないようにしてもよい。

【0064】
ステップS8での処理又はステップS9での処理が終了した段階で、ステップS10に進み、第1ダイナミックダンパ制御装置10Aに対する終了要求(電源断、メンテナンス要求等)があるか否かを判別する。終了要求がなければステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰り返す。終了要求があれば、第1ダイナミックダンパ制御装置10Aでの処理動作を終了する。

【0065】
このように、第1ダイナミックダンパ制御装置10Aにおいては、ダイナミックダンパ46の他に振動センサや加速度センサを別途配置することなく防振対象部材12の振動を低減することができるため、部品点数削減及びレイアウト性に優れる。

【0066】
また、磁気粘弾性エラストマ24の変位量Xから防振対象部材12の振動周波数を取得しているため、防振対象部材12の振動位置にダイナミックダンパ46を設けるだけで防振対象部材12の振動を効果的に低減することができる。

【0067】
また、弾性率可変手段22に入力される振動変位から防振対象部材12の振動周波数を取得することができ、それに応じた電力を出力するだけで振動を低減することができるため、複雑な制御ロジックを設けることなく振動低減を行うことができる。出力値をある基準値に合わせ込むというフィードバック制御ではなく、オープンループ制御にて行うことができるため、制御ロジックを簡単にすることができる。

【0068】
防振対象部材12の振動を検出するためのセンサを別途設けることなく、ダイナミックダンパ46が配置される箇所で、磁気粘弾性エラストマ24の変位量を検出することができるため、ダイナミックダンパ46が配置される箇所の防振対象部材12の振動を効果的に低減することができる。

【0069】
ステップS6~S8において、予め設定した最大周波数maxを超えた主振動周波数が入力された場合に、最大周波数fmaxに対応する駆動電流値を出力するようにしたので、必要以上に大きな駆動電流を流すことがなくなり、消費電力の増大を抑制する上で有利となる。

【0070】
ここで、2つの実験例(第1実験例及び第2実験例)を示す。

【0071】
第1実験例は、図6Aに示す1自由度の主振動系80とダイナミックダンパ46とを有する2自由度振動系82の数値モデルを構築して、第1ダイナミックダンパ制御装置10Aによる防振効果を確認した。図6Aにおいて、m1、k1及びc1は、主振動系80の質量、バネ定数及び減衰係数を表し、m2、k2及びc2はダイナミックダンパ46の質量、バネ定数及び減衰係数を表す。

【0072】
そして、数値モデルの主振動系80に対して掃引正弦波(掃引サイクル:5~55Hz、掃引速度:2Hz/sec)の変位加振を加えた際の応答特性を図6Bに示す。

【0073】
図6Bにおいて、特性Laはダイナミックダンパ46が存在しない場合の変位応答(比較例)を示す。特性Lbはダイナミックダンパ46のバネ定数k2を低剛性に固定した場合の変位応答(参考例1)を示し、特性Lcはダイナミックダンパ46のバネ定数k2を高剛性に固定した場合の変位応答(参考例2)を示す。特性Ldはダイナミックダンパ46のバネ定数k2を可変にした場合の変位応答(実施例)を示す。

【0074】
図6Bの結果から、比較例(La参照)は、最大変位(振幅)が|0.2|mmを越えていた。参考例1(Lb参照)は、最大変位(振幅)が|0.15|mmであった。参考例2(Lc参照)は、最大振幅が|0.7|mmであったが、2カ所で変位の変動がみられた。実施例(Ld参照)は、最大振幅が|0.8|mmであったが、変位の変動は1箇所のみであった。このことから、実施例は、全般的に変位応答が低いことがわかる。

【0075】
第2実験例は、参考例に係るダイナミックダンパ制御装置200と第1ダイナミックダンパ制御装置10A(実施例)での制御信号の違いを確認した。その結果を図6Cに示す。図6Cにおいて、斜め方向に延びる破線は、上述した掃引正弦波の掃引サイクル(加振信号の周波数)の時間に対する変化を示す。また、黒色で示す実線Laは実施例の制御信号の変化を示し、グレーで示す実線Lbは参考例の制御信号の変化を示す。特に、この図6Cでは、加振信号の周波数可変域のうち、25~37Hzの周波数可変域での制御信号の違いを示す。

【0076】
参考例に係るダイナミックダンパ制御装置200は、基本的には、図7に示すように、本実施の形態と同様のダイナミックダンパ46と、車両の回転機械に設置された回転数センサ202と、駆動電流決定部204と、パワードライバ74と、磁場印加手段である励磁コイル41とを有する。駆動電流決定部204は、回転数センサ202からの出力(回転数)に基づいて、回転数と駆動電流値との関係を予め定めた駆動電流マップ206を参照して駆動電流値Iを決定する。

【0077】
そして、参考例及び実施例共に、フレーム20に対して第1実験例と同様の掃引正弦波(掃引サイクル:5~55Hz、掃引速度:2Hz/sec)の変位加振を加え、そのときの制御信号の変化を確認した。制御信号は参考例及び実施例共に、励磁コイル41の両端電圧とした。

【0078】
その結果、図6Cに示すように、制御信号は、参考例及び実施例共に、同様の信号波形となった。これは、わざわざ回転機械の回転数を用いなくても、回転機械の回転数を用いた方式と同等の性能が得られることがわかる。ところで、回転数センサ202は、振動センサや加速度センサ等のように、ダイナミックダンパ46から離れた位置に配設される場合が多い。このような場合、回転数センサ202の取付位置における共振周波数と、ダイナミックダンパ46が設けられている箇所における共振周波数とが異なってしまい、防振効果が低減する虞がある。しかし、本実施の形態では、回転数センサ202や振動センサ並びに加速度センサ等を用いないため、このような懸念を考慮に入れる必要がなく、簡素な構成で第1ダイナミックダンパ制御装置10Aを構成することができる。

【0079】
次に、第2の本実施の形態に係るダイナミックダンパ制御装置(以下、第2ダイナミックダンパ制御装置10Bと記す)について図8~図10を参照しながら説明する。

【0080】
第2ダイナミックダンパ制御装置10Bは、図8に示すように、上述した第1ダイナミックダンパ制御装置10Aとほぼ同様の構成を有するが、永久磁石90を有する点で異なる。

【0081】
永久磁石90は、当該永久磁石90による磁力線92が、電磁石42による磁力線44と同じ方向となるように設置することが好ましい。すなわち、永久磁石90による磁場Bsの方向と、電磁石42による磁場Biの方向を同じにする。図8の例では、リング状の永久磁石90を質量部材18の周りに設置し、さらに、永久磁石90の周りに電磁石42を構成する励磁コイル41を巻回した例を示す。

【0082】
その他、図9Aの第1変形例に示すように、質量部材18の周りに励磁コイル41を巻回し、その周りにリング状の永久磁石90を設置してもよい。あるいは、図9Bの第2変形例に示すように、質量部材18の内部に柱状の永久磁石90を設置してもよい。あるいは、図9Cの第3変形例に示すように、質量部材18自体を永久磁石90にて構成してもよい。

【0083】
永久磁石90による磁場Bsの強さは、以下のように設定しておくことが好ましい。すなわち、車両を駆動した際に、防振対象部材12であるフレーム20の振動周波数、特に、最も振幅が大きい振動周波数(以下、オフセット振動周波数と記す)を計測しておく。このオフセット振動周波数に対応する駆動電流値を、上述した第1駆動電流マップ72A(図2参照)を参照して求める。求めた駆動電流値を電磁石42の励磁コイル41に流す。このとき、発生する磁場Biの強さをホール素子等で計測する。予め用意した複数の永久磁石90から、計測した磁場Biの強さと同等の磁場の強さを発生する永久磁石90を選択する。あるいは、強磁性体に、計測した磁場の強さと同等の磁場をかけて残留磁化させることで、強磁性体を、計測した磁場の強さと同等の磁場を発生する永久磁石90とする。

【0084】
一方、図10に示すように、第2ダイナミックダンパ制御装置10Bの制御部、すなわち、第2制御部60Bは、変位量波形作成部64と、周波数変換部66と、主振動周波数抽出部68と、変動幅演算部94、第2駆動電流決定部70Bとを有する。

【0085】
変動幅演算部94は、主振動周波数抽出部68からの主振動周波数とオフセット振動周波数との変動幅Δfを演算する。

【0086】
第2駆動電流決定部70Bは、変動幅演算部94からの変動幅Δfに基づいて、変動幅Δfと駆動電流値Iとの関係を予め定めた第2駆動電流マップ72Bを参照して駆動電流値Iを決定する。

【0087】
第2駆動電流マップ72Bにおける変動幅Δfと駆動電流値Iとの関係は、例えばそれぞれゼロを基準として、変動幅Δfの絶対値の増加に対して駆動電流値Iの絶対値が線形的に増加する関係となっている。決定した駆動電流値Iはパワードライバ74を介して励磁コイル41に供給される。変動幅Δfがゼロであれば、励磁コイル41には駆動電流は流れず、磁気粘弾性エラストマ24には、永久磁石90による磁力線92による磁場Bsが印加される。変動幅Δfがプラスであれば変動幅分の正方向の駆動電流値が励磁コイル41を流れ、磁気粘弾性エラストマ24には、永久磁石90による磁力線92と変動幅分の磁力線44とが合わさった磁場Bs+Biが印加される。変動幅Δfがマイナスであれば、変動幅分の負方向の駆動電流値が励磁コイル41を流れ、磁気粘弾性エラストマ24には、永久磁石90による磁力線92から変動幅分の磁力線44が差し引かれた磁場Bs-Biが印加される。これにより、磁気粘弾性エラストマ24の弾性率が印加された磁場の強さに応じて変化し、ダイナミックダンパ46の共振周波数fがフレーム20の主振動周波数と整合する。その結果、ダイナミックダンパ46は、フレーム20の主振動周波数faに対して逆位相で振動することとなる。

【0088】
このように、第2ダイナミックダンパ制御装置10Bにおいては、当初は防振対象部材12の所定の振動周波数に対応する磁場が加わるように永久磁石90を設けたので、ダイナミックダンパ46に、所定の振動周波数と同等の共振周波数を生じさせるための電力をかける必要がなくなり、変動幅Δfに対応する電力だけを供給すればよいため、消費電力の低減を図ることができる。すなわち、磁気粘弾性エラストマ24等の経年劣化や防振対象部材12の振動周波数の変化を検知した場合に初めて、電力により弾性率可変手段に磁場を印加することで、長期間における振動低減を低電力で行うことができる。

【0089】
[実施の形態のまとめ]
以上説明したように、上述した実施の形態は、防振対象部材12の振動伝達経路に取り付けられる弾性部材16と、防振対象部材12に対して弾性部材16を介して配置される質量部材18と、を備える。弾性部材16は、印加する電力の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変手段22で構成されている。さらに、実施の形態は、弾性率可変手段22の変位量Xを検出する検出手段(抵抗検出手段28、磁場強度検出手段56)を有する。そして、実施の形態は、上記検出手段(28、56)により検出された弾性率可変手段22の変位量Xに基づき、防振対象部材12の振動周波数を取得し、振動周波数を低減する弾性率となるように弾性率可変手段22を制御する。

【0090】
本実施の形態において、弾性率可変手段22に電力を供給することで弾性率を制御する制御手段(第1制御部60A、第2制御部60B)を備え、制御手段(60A、60B)は、検出手段(28、56)により検出された弾性率可変手段22の変位量Xを周波数に変換し、その中で最も振幅の大きい周波数の振動を低減するように弾性率可変手段22に電力を供給してもよい。

【0091】
本実施の形態において、弾性率可変手段22は、導電性の磁性粒子32が内部に分散され、印加される磁場の強さに応じて弾性率が変化すると共に、変形に伴って所定の方向における電気抵抗値が変化する磁気粘弾性エラストマ24と、電力により磁気粘弾性エラストマ24に磁場を印加すると共に、印加する磁場の強さを変更可能な磁場印加手段26と、磁気粘弾性エラストマ24の電気抵抗を検出する抵抗検出手段28と、を備え、抵抗検出手段28の検出値と、磁場印加手段26が印加する磁場の強さとに基づいて、磁気粘弾性エラストマ24の変位量Xを検出してもよい。

【0092】
この場合、予め計測された防振対象部材12の振動周波数を低減するように、弾性率可変手段22に磁場を印加する永久磁石90を備え、取得された防振対象部材12の振動周波数が所定値を超えた場合には、制御手段(60B)により弾性率可変手段22に磁場を印加することで弾性率を制御してもよい。

【0093】
なお、この発明は、上述の実施の形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0094】
10A…第1ダイナミックダンパ制御装置
10B…第2ダイナミックダンパ制御装置
12…防振対象部材 16…弾性部材
18…質量部材 20…フレーム
22…弾性率可変手段 24…磁気粘弾性エラストマ
26…磁場印加手段 28…抵抗検出手段
34…支持部 35…ブラケット
36…ヨーク部材 41…励磁コイル
42…電磁石 46…ダイナミックダンパ
56…磁場強度検出手段 58…変位量検出部
60A、60B…第1制御部、第2制御部
64…変位量波形形成部 66…周波数変換部
68…主振動周波数抽出部 70A…第1駆動電流決定部
70B…第2駆動電流決定部 72A…第1駆動電流マップ
72B…第2駆動電流マップ 90…永久磁石
94…変動幅演算部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9