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Specification :(In Japanese)永久磁石の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6213726
Publication number P2015-063725A
Date of registration Sep 29, 2017
Date of issue Oct 18, 2017
Date of publication of application Apr 9, 2015
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)永久磁石の製造方法
IPC (International Patent Classification) B22F   3/10        (2006.01)
FI (File Index) B22F 3/10 F
Number of claims or invention 2
Total pages 9
Application Number P2013-197699
Date of filing Sep 25, 2013
Date of request for substantive examination Apr 1, 2016
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】三井 好古
【氏名】梅津 理恵
【氏名】渡邉 和雄
【氏名】小山 佳一
Representative (In Japanese)【識別番号】100095359、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 篤
【識別番号】100143834、【弁理士】、【氏名又は名称】楠 修二
Examiner (In Japanese)【審査官】坂本 薫昭
Document or reference (In Japanese)特開2000-203997(JP,A)
Field of search B22F 3/00- 3/26
C22C 22/00,28/00
H01F 1/04- 1/117
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
Mnの粉末とBiの粉末とを混合して成形し、その成形体を1~20Tの磁場中で、240~262℃の温度で12~48時間焼結することを特徴とする永久磁石の製造方法。
【請求項2】
Mnの粉末とBiの粉末とを混合して成形し、その成形体を10~20Tの磁場中で、240~262℃の温度で焼結することを特徴とする永久磁石の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最も強力な永久磁石として、ネオジム磁石(Nd-Fe-B)があり、ハードディスクドライブや携帯電話等に使用されている。ネオジム磁石は、温度上昇とともに保磁力が低下するため、その低下を抑えるために、Dy(ジスプロシウム)が添加されている。しかしながら、Dyは稀少元素であることから、Dyを使用しない、ネオジム磁石に代わる永久磁石が求められている。
【0003】
ネオジム磁石に代わり得ると考えられる磁石材料の一つとして、強磁性体のMnBiがある。MnBiは、安価で、強い磁気異方性を有し、温度の上昇とともに保磁力と磁気異方性が強くなるという性質を有している。特に、200℃以上の高温領域で、3Tという高い保磁力を有することが知られている。Bi-Mn二元系の状態図を、図7に示す。
【0004】
従来、MnBiを製造する方法として、アーク溶解や高周波溶解で作製したMn-Bi母合金を、液体急冷法でアモルファス化し、結晶化させるものや(例えば、非特許文献1参照)、Mn粉末とBi粉末とを、MnとBiの共晶温度(262℃)以下で3~15日間焼結し、反応焼結によってMnBiを得るもの(例えば、特許文献1参照)、MnBi化合物が分散した非平衡組織を有する材料を形成し、その材料を磁場中で焼鈍することにより、MnBi粒子が成長して粗大化し、配向組織を有するMnBi合金を得るもの(例えば、特許文献2参照)などがある。
【0005】
また、一般的な異方性磁石は、主に以下のようにして製造されている。まず、一軸磁気異方性を有する物質を含む原材料を溶解して合金化し、その合金を粉砕する。次に、粉砕した粒子を用いて磁場中で成形し、焼結する。焼結後、表面加工や着磁を行う。この製造方法では、磁場中成形を行うことにより、結晶軸を揃え、異方性を付加している。
【0006】
なお、近年、Sm-Coサマリウムコバルト磁石、Sm-Fe-Nボンド磁石、またはネオジム磁石と、MnBiとのハイブリッド磁石が開発されている(例えば、特許文献3または非特許文献2参照)。これらのハイブリッド磁石は、MnBi粉末と希土類磁石粉末とを混合し、焼結することにより製造され、混合前の各磁石に比べて、優れた温度特性や磁気特性を有している。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】X. Guo etal., “The formation of single-phase equiatomic MnBi by rapid solidification”,J. Mater. Res., 1990, 5, p.2648
【非特許文献2】S. Cao et al., “Magnetic propetiesand thermal stability of MnBi/NdFeB hybrid bonded magnets”, J. Appl. Phys., 2011, 109, 07A740
【0008】

【特許文献1】特開2001-160203号公報
【特許文献2】特許第3769605号公報
【特許文献3】特開2008-255436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に記載のような溶解法を利用したMnBiの製造方法では、結晶化の際にMnが偏析しやすいため、高純度のMnBiを得るのが困難であるという課題があった。特許文献1に記載のような固相焼結法を利用したMnBiの製造方法では、長時間の熱処理が必要であるという課題があった。また、高純度のMnBiを得ることができないという課題もあった。特許文献2に記載の製造方法では、MnとBiの原料から、一旦、MnBi化合物が分散した非平衡組織を有する材料を形成する工程が必要であり、製造工程が煩雑になるという課題があった。また、MnBi化合物が分散した非平衡組織を有する材料を形成する際に、Mnが偏析しやすいため、高純度のMnBiを得るのが困難であるという課題もあった。
【0010】
一般的な異方性磁石の製造方法は、MnBiの製造には使用されていないが、仮にMnBiの製造に使用された場合には、一旦MnBi合金を製造する必要があり、製造工程が煩雑になるという課題があった。また、MnBi合金を製造する際に、Mnが偏析しやすいため、高純度のMnBiを得るのが困難であるという課題があった。
【0011】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、比較的短時間で簡便に高純度のMnBiを製造することができる永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、強磁場が材料の合成過程での結晶配向や相平衡に作用することや、図7に示すBi-Mn二元系の状態図が磁場を加えることによって大きく変化することから、MnBiにおいては、固相反応でも磁場が作用し、強磁場中での合成過程でその組織や磁気特性を制御可能であると考え、本発明に至った。
【0013】
すなわち、上記目的を達成するために、第1の本発明に係る永久磁石の製造方法は、Mnの粉末とBiの粉末とを混合して成形し、その成形体を1~20Tの磁場中で、240~262℃の温度で12~48時間焼結することを特徴とする。また、第2の本発明に係る永久磁石の製造方法は、Mnの粉末とBiの粉末とを混合して成形し、その成形体を10~20Tの磁場中で、240~262℃の温度で焼結することを特徴とする。

【0014】
第1および第2の本発明に係る永久磁石の製造方法では、Mnの粉末とBiの粉末とを混合した成形体を磁場中で焼結することにより、磁場がないところで焼結した場合と比べ、焼結による固相反応を促進することができ、比較的短時間で強磁性のMnBiを得ることができる。また、固相反応であるため、Mnが偏析せず、高純度のMnBiを得ることができ、MnBiの合成量を増やすこともできる。また、焼結時の磁場の方向に、MnBiの六方晶のc軸が配向するため、強い磁気異方性が得られる。MnBi合金等の製造工程が不要で、Mnの粉末とBiの粉末とから直接、強磁性のMnBiを得ることができ、簡便に高純度のMnBiを製造することができる。

【0015】
第1および第2の本発明に係る永久磁石の製造方法で、Mnの粉末とBiの粉末との混合割合は、1:1であることが好ましい。Mnの粉末の粒径は、100μm以下、Biの粉末の粒径は、100μm以下であることが好ましい。成形体に印加する磁場は、1~20Tが好ましいが、磁場が強ければ強いほど高い効果が期待できる。例えば、印加する磁場が強いほど、合成量は増加し、配向度も上昇する。焼結時間は、12~48時間が好ましい。焼結温度は、MnとBiの共晶温度(262℃)以下が好ましいが、低温での焼結となるため、可能な限り共晶温度に近い方がよく、240~262℃が特に好ましい。

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比較的短時間で簡便に高純度のMnBiを製造することができる永久磁石の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法の、磁場中焼結を行う装置を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法により得られた、(a)磁場を印加しない試料(0T)、(b)10Tの磁場を印加した試料、(c)15Tの磁場を印加した試料のX線回折強度曲線である。
【図3】本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法により得られた、(a)磁場を印加しない試料(0T)、(b)15Tの磁場を印加した試料の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法により得られた、15Tの磁場を印加した試料の磁化曲線である。
【図5】本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法により得られた、(a)磁場を印加しない試料、(b)15Tの磁場を印加した試料の磁化曲線である。
【図6】本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法により得られた、磁場を印加しない試料(0T)と15Tの磁場を印加した試料の、熱処理時間と飽和磁化との関係を示すグラフである。
【図7】Bi-Mn二元系の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法では、まず、材料のMnとBiとを粉砕し、粉末状にする。次に、そのMnの粉末とBiの粉末とを混合して成形する。図1に示すように、その成形体1を、外側にヘリウムフリー超電導磁石2が配置された電気炉3の中に入れ、ヘリウムフリー超電導磁石2で磁場を印加しつつ、電気炉3で成形体1の焼結を行う。これにより、強磁性のMnBiの永久磁石を得ることができる。

【0019】
本発明の実施の形態の永久磁石の製造方法によれば、Mnの粉末とBiの粉末とを混合した成形体を磁場中で焼結することにより、磁場を印加せずに焼結した場合と比べ、焼結による固相反応を促進することができ、比較的短時間で強磁性のMnBiを得ることができる。また、固相反応であるため、Mnが偏析せず、高純度のMnBiを得ることができ、MnBiの合成量を増やすこともできる。また、焼結時の磁場の方向に、MnBiの六方晶のc軸が配向するため、強い磁気異方性が得られる。MnBi合金等の製造工程が不要で、Mnの粉末とBiの粉末とから直接、強磁性のMnBiを得ることができ、簡便に高純度のMnBiを製造することができる。
次に、これらを確認するため、以下の試験を行った。
【実施例1】
【0020】
粒径が75μm以下のMnの粉末と、粒径が20μm以下のBiの粉末とを混合し、20MPaでプレスしてペレット状の成形体を得た。その成形体を石英管に入れ、アルゴンガスで封入した。石英管に入れた成形体に対して、10Tの磁場を印加した場合、および15Tの磁場を印加した場合について、それぞれ250℃で5日間の焼結を行い、試験用の試料を製造した。また、比較のために、磁場を印加しない状態(0T)についても、焼結を行い、試験用の試料を製造した。こうして製造された各試料に対し、以下の試験を行った。
【実施例1】
【0021】
まず、焼結後の各試料に対し、石英管の外から磁石を近づけた。その結果、磁場を印加していない試料では、磁石に反応せず、10T、15Tの磁場を印加した試料では、磁石に引き寄せられることが確認された。
【実施例1】
【0022】
次に、各ペレット状試料に対し、X線回折(XRD)を行った。その結果を、図2に示す。図2(a)に示すように、磁場を印加しない試料では、MnBiの回折ピークがほとんど観測されず、MnBiがほとんど合成されていないことが確認された。図2(b)および(c)に示すように、磁場中で焼結を行った試料では、MnBiの強い回折ピーク(図中のミラー指数が付されたピーク)が観測され、強磁性のMnBiが得られたことが確認された。また、(001)面に由来する(002)、(004)の回折ピークが強く観測されていることから、六方晶のc軸が強く配向していることも確認された。
【実施例1】
【0023】
次に、磁場を印加していない試料および15Tの磁場を印加した試料の走査型電子顕微鏡観察結果を、それぞれ図3(a)および(b)に示す。図3(a)に示すように、磁場を印加していない試料では、未反応のBiから成る白色のクラスターが多く認められるのに対し、図3(b)に示すように、15Tの磁場を印加した試料では、白色のクラスターは少なく、均質な組織が得られていることが確認された。
【実施例1】
【0024】
次に、振動試料型磁束計(VSM)を用いて、15Tの磁場を印加した試料に対し、室温で磁化測定を行った。得られた磁化曲線を、図4に示す。図4に示すように、磁化測定時に印加した磁場の方向が、焼結時に印加した磁場の方向に平行なもの(図中の「磁化容易軸」)と、焼結時に印加した磁場の方向に垂直なもの(図中の「磁化困難軸」)との間で磁化曲線が異なり、磁気異方性を有していることが確認された。
【実施例1】
【0025】
以上の試験結果から、磁場中で焼結することにより、ゼロ磁場中で焼結した場合と比べ、焼結による固相反応を促進することができ、比較的短時間(5日間以内)で強磁性のMnBiが得られることが確認された。また、焼結時の磁場の方向に、MnBiの六方晶のc軸が配向して、強い磁気異方性が得られることも確認された。なお、10Tおよび15Tの磁場を印加した試料では、原料のMnの粉末およびBiの粉末の約80%がMnBiとして合成されていることが確認された。
【実施例2】
【0026】
粒径が75μm以下のMnの粉末と、粒径が100μm以下のBiの粉末とを混合し、20MPaでプレスしてペレット状の成形体を得た。その成形体を石英管に入れ、アルゴンガスで封入した。石英管に入れた成形体に対して、15Tの磁場を印加し、250℃で、それぞれ3、6、12、24、48時間の焼結を行い、試験用の試料を製造した。また、比較のために、磁場を印加しない状態(0T)についても、250℃で、それぞれ3、6、12、24、48、120時間の焼結を行い、試験用の試料を製造した。こうして製造された各試料に対し、磁化測定を行った。
【実施例2】
【0027】
磁化測定には、振動試料型磁力計(VSM)を用い、各試料に対し室温で行った。磁場を印加せずに120時間熱処理を行った試料の磁化曲線を図5(a)に、15Tの磁場を印加して48時間熱処理を行った試料の磁化曲線を図5(b)に示す。図5(a)に示すように、磁場を印加しない試料では、磁化測定時に印加した磁場の方向が、試料の端面に平行なときの磁化曲線(図中の「面内」)と、それに垂直なときの磁化曲線(図中の「垂直」)とがほぼ同じになっており、異方性が認められなかった。これに対し、図5(b)に示すように、15Tの磁場を印加し焼結した試料では、磁化測定時に印加した磁場の方向が、焼結時に印加した磁場の方向に平行なもの(図中の「磁化容易軸」)と、焼結時に印加した磁場の方向に垂直なもの(図中の「磁化困難軸」)との間で磁化曲線が異なり、磁気異方性を有していることが確認された。
【実施例2】
【0028】
次に、異なる熱処理(焼結)時間の各試料について、磁化曲線から飽和磁化を求め、熱処理時間と飽和磁化との関係をプロットしたものを、図6に示す。図6に示すように、15Tの磁場を印加した試料では、磁気異方性を有しており、磁化容易軸方向が磁化困難軸方向の約2倍の飽和磁化を有していることが確認された。また、約48時間の熱処理時間で磁化がほぼ飽和することが確認された。磁場中焼結を行った試料の磁化容易軸方向の磁化は、磁場を印加していない試料の120時間での飽和磁化を、12時間で超えていることが確認された。これらのことから、12~48時間程度の比較的短時間で強磁性のMnBiを得ることができるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る永久磁石の製造方法により製造されたMnBi磁石は、ネオジム磁石の代替品として、ハードディスクドライブや携帯電話等に利用することができる。また、特許文献3や非特許文献2に記載のハイブリッド磁石の原料としても利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 成形体
2 ヘリウムフリー超伝導磁石
3 電気炉
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6